車道面や距離標点を基準にした交通量調査では、単に車両台数を数えるだけでなく、「どの位置で」「どの車道面を対象に」「どの方向の交通を」「どの時間帯で」記録したのかを、後から確認できる形で整理することが重要です。特に道路管理、維持補修、交通影響の把握、工事計画、事故対策、交差点改良などに関わる実務では、調査結果の数字そのものと同じくらい、位置情報や現地条件の整理精度が成果物の確認しやすさを左右します。
目次
• 交通量調査で車道面・距離標点を整理する重要性
• 整理法1:調査地点を距離標点で統一して位置のずれを防ぐ
• 整理法2:車道面の区分を事前に定義して記録の粒度をそろえる
• 整理法3:時間帯・方向・車種分類を同じ軸で集計する
• 整理法4:写真・メモ・位置情報をひも付けて確認しやすくする
• 整理法5:点検・再集計しやすい台帳形式にまとめる
• まとめ:車道面・距離標点の整理精度が調査品質を左右する
交通量調査で車道面・距離標点を整理する重要性
交通量調査は、道路を通行する車両や歩行者、自転車などの流れを把握するための基本的な調査です。しかし、実務で問題になりやすいのは、調査後に「この数値はどの地点を示しているのか」「上り方向と下り方向の区分は正しいのか」「車道面のどの範囲を対象にしたのか」が曖昧になることです。調査票上では同じ路線名や同じ交差点名で記録されていても、現地では数十メートル位置が違うだけで交通の流れが変わることがあります。流入路の手前なのか、交差点直後なのか、バス停や駐車場出入口の影響を受ける位置なのかによって、交通量の意味は変わります。
そこで役立つのが、車道面と距離標点を軸にした整理です。距離標点は、路線上の位置を一定の基準で示すための管理上の考え方であり、道路台帳や現地管理、点検記録との照合に使いやすい情報です。車道面は、実際に車両が通行する面を対象にするため、車線、方向、路肩、付加車線、右左折レーン、停車帯などの扱いを明確にしなければなりません。つまり、交通量調査で得られる台数データを道路管理の情報として使いやすくするには、位置と面の整理が欠かせません。
また、交通量調査は一度実施して終わりではありません。過年度調査との比較、工事前後の変化確認、渋滞対策後の効果検証、舗装補修区間の優先順位付け、将来交通量の検討など、後から何度も参照されることがあります。そのときに距離標点の記録が曖昧だったり、車道面の区分が担当者ごとに違っていたりすると、再集計や比較が難しくなります。逆に、調査地点、車道面、方向、時間帯、車種、写真、現地メモが一貫したルールで整理されていれば、調査成果は長く使いやすい資料になります。
車道面・距離標点で検索する実務担当者の多くは、現地調査の前後で「どう整理すれば後から困らないか」を知りたいはずです。ここでは、交通量調査の実務で役立つ整理法を5つに分けて解説します。現場での記録、事務所での集計、成果品作成、関係者への説明までを見据えた内容です。
整理法1:調査地点を距離標点で統一して位置のずれを防ぐ
最初に整えるべきなのは、調査地点の位置情報です。交通量調査では、路線名、交差点名、施設名、住所、図面上の位置などで地点を表すことがありますが、それだけでは道路管理上の位置として不十分な場合があります。特に長い路線や郊外部の単路部では、住所だけでは細かな位置を特定しにくく、交差点名がない場所では担当者間で認識がずれることもあります。そのため、距離標点を使って調査地点を統一的に整理することが有効です。
距離標点で整理する際は、まず対象路線の起点側と終点側を確認し、どちら向きに距離が増えるのかを明確にします。これを曖昧にしたまま調査票を作ると、同じ地点を示しているつもりでも、上り側から見た位置と下り側から見た位置が混在してしまいます。調査地点名には、路線名だけでなく、距離標点、上下線または方向、近接する目標物、調査断面の説明を組み合わせると、後から見ても位置が分かりやすくなります。
たとえば、単に「市道A線・商業施設前」と記録するのではなく、「市道A線、起点からの距離標点付近、上り方向、商業施設出入口手前の調査断面」のように、距離標点と現地条件を合わせて記録します。こうすることで、将来の再調査時にも同じ位置に近い断 面を選びやすくなります。交通量は数メートルの違いで大きく変わらない場合もありますが、出入口、合流部、分岐部、バス停、横断歩道、信号停止線の前後では、位置の違いが調査結果に影響することがあります。だからこそ、距離標点を基準にして調査地点を固定することが大切です。
現地調査の段階では、距離標点が現地で確認できる場合と、図面や台帳上でしか確認できない場合があります。現地に距離標や管理用の表示がある場合は、写真で記録し、調査地点との位置関係をメモします。現地表示がない場合は、事前に図面上で距離標点を確認し、現地では周辺構造物や道路附属物、交差道路、照明柱、標識柱などを補助的な目印として記録します。これにより、距離標点の情報と現地の見え方を結び付けることができます。
距離標点を使うときに注意したいのは、調査断面そのものと距離標点が完全に一致するとは限らない点です。距離標点は位置を示す基準であり、実際の調査位置はその近傍に設定されることがあります。その場合は、「距離標点ちょうど」なのか、「距離標点から起点側に少し寄った位置」なのか、「距離標点から終点側に移動した断面」なのかを記録しておく必要があります。曖昧な表現を避け、 調査断面と距離標点の関係を文章で補足するだけでも、成果品の使いやすさは向上します。
さらに、過年度調査との比較を行う場合は、今回の距離標点と過年度資料の地点表記を照合します。過去資料では住所や交差点名だけで整理されていることもあるため、現地写真や調査位置図を確認しながら、距離標点ベースに置き換える作業が必要です。このとき、完全に同じ地点か、近接地点として扱うべきかを判断し、比較時の注意点として残しておきます。交通量調査では、数値の大小だけで結論を出すのではなく、地点条件が同じかどうかを確認したうえで解釈することが重要です。
距離標点による整理は、調査前の計画段階で最も効果を発揮します。調査後に位置を推定することも不可能ではありませんが、写真やメモが不足していると確実性が下がります。調査地点一覧を作成する時点で、路線名、距離標点、方向、調査断面の説明、現地目印、調査目的を一体で整理しておけば、現地担当者も記録担当者も同じ認識で作業できます。交通量調査の品質を安定させる第一歩は、地点名の付け方だけでなく、距離標点を基準にした位置の整理にあります。
整理法2:車道面の区分を事前に定義して記録の粒度をそろえる
次に重要なのは、車道面をどの範囲で捉えるかを事前に決めることです。交通量調査では、車両が通過した台数を数えるため、調査対象となる車道面の範囲を明確にしなければなりません。一般的な単路部であれば上下方向の車線を区別して記録すれば足りることもありますが、実際の道路には右折車線、左折車線、付加車線、停車帯、路肩、バス停部、導流帯、交差点流入部など、さまざまな要素があります。どこまでを対象に含めるかが曖昧だと、担当者ごとに記録の粒度が変わり、集計結果の比較が難しくなります。
車道面の整理では、まず調査の目的を確認します。道路全体の交通量を把握したいのか、特定方向の流入交通を知りたいのか、交差点改良のために右左折交通を分類したいのか、舗装損傷との関係を見るために大型車の通行位置を把握したいのかによって、車道面の区分は変わります。単に細かく分ければよいわけではありません。細分化しすぎると現場記録の負担が増え、逆に大まかすぎると後から必要な分析ができません。目的に合った最小限の区分を決めることが大切です。
たとえば、単路部の断面交通量を把握する場合は、上り方向と下り方向を基本単位にし、必要に応じて車線別に分けます。交差点部では、流入方向ごとに直進、左折、右折を分けることがあります。複数車線道路では、走行車線、追越車線、右折専用車線などの区分が必要になる場合があります。沿道出入口が多い区間では、本線交通と出入り交通をどう扱うかを事前に決める必要があります。このルールが現地担当者に共有されていないと、同じ車両を本線交通として数える人と、出入口交通として別扱いする人が出てしまいます。
車道面を整理するときは、調査位置図に記録対象範囲を明示すると効果的です。文字だけで「上り」「下り」と書くよりも、調査断面の位置、計測方向、対象車線、除外する範囲を図面上に示すことで、現地での迷いを減らせます。ただし、図面を作る場合でも、本文や調査票には言葉で区分の定義を残します。図面だけでは、後から見た人が意図を読み取りにくいことがあるためです。「上り方向は起点から終点へ向かう車両を対象とする」「左折専用車線は交差点流入交通に含める」「路肩走行や一時停車車両は通過交通に含めない」など、判断に迷う条件ほど文章化しておくと安心です。
また、車道面の区分では、道路構造の変化にも注意が必要です。同じ距離標点付近でも、少し手前では1車線、少し先では右折車線が追加されることがあります。調査断面をどこに置くかによって、車道面の構成が変わるため、距離標点と車道面の情報はセットで整理する必要があります。特に交差点手前や合流部では、停止線付近で数えるのか、車線分岐前で数えるのかによって、直進車と右左折車の扱いが変わります。調査目的が断面交通量なのか、方向別交通量なのかを明確にしたうえで、車道面の区分を決めましょう。
現地写真も車道面の整理に役立ちます。調査票に記録された「上り第1車線」という表現だけでは、後から現地を知らない人が正確に理解しにくいことがあります。調査開始前に、対象となる車道面全体が分かる写真を撮影し、調査票や台帳とひも付けておけば、集計時や成果品確認時に判断しやすくなります。写真には、撮影方向、対象車線、距離標点との関係を簡単に説明するメモを添えるとさらに有効です。
車道面の区分は、調査結果の信頼性だ けでなく、作業効率にも影響します。現場で判断に迷うたびに担当者が個別判断をすると、記録のばらつきが生じます。事前に区分を決め、調査票にも同じ言葉を使い、写真や位置図でも同じ範囲を示すことで、調査の再現性が高まります。交通量調査の整理では、台数を正しく数えることに加えて、どの車道面で数えたのかを正しく残すことが欠かせません。
整理法3:時間帯・方向・車種分類を同じ軸で集計する
交通量調査のデータは、時間帯、方向、車種分類の組み合わせで整理されることが多くあります。ここで大切なのは、すべての調査地点で同じ軸を使って集計することです。距離標点や車道面を丁寧に記録していても、時間帯の切り方や車種分類が地点ごとに違っていると、比較や分析がしにくくなります。交通量調査は複数地点で同時に行われることも多いため、集計ルールを統一しておくことが重要です。
時間帯の整理では、調査開始時刻と終了時刻を明確にし、集計単位をそろえます。たとえば、15分単位、30分単位、1時間単位など、どの単位で集計するかを調査前に決めておきます。現地で は連続して記録していても、集計時に単位を変えることはできますが、元データの時刻記録が粗いと細かな再集計はできません。将来的にピーク時間帯を抽出したい場合や、短時間の交通集中を確認したい場合は、細かな時間単位で記録しておくと柔軟に対応できます。
方向の整理では、上り、下り、流入、流出、東行き、西行きなどの表現を混在させないことが重要です。道路管理の観点では、起点側から終点側へ向かう方向、終点側から起点側へ向かう方向という整理が分かりやすい場合があります。一方、交差点調査では、北側流入、南側流入、東側流入、西側流入のように方位で整理したほうが分かりやすい場合もあります。どちらを採用する場合でも、距離標点と車道面の整理に合わせて方向定義を統一し、調査票、集計表、成果品で同じ表現を使います。
車種分類についても、調査目的に合わせた整理が必要です。一般的には、小型車、大型車、二輪車、自転車、歩行者などの区分が考えられますが、実務では大型車の内訳や貨物車の扱い、バスの扱い、特殊車両の扱いなどが問題になることがあります。舗装や橋梁、道路構造への影響を考える場合は、大型車交通量が重要になることが多いため、大型車の分類ルールを 明確にしておく必要があります。見た目で判断する分類は担当者によって差が出やすいため、代表例や判断基準を事前に共有しておくと記録のばらつきを抑えられます。
時間帯、方向、車種分類を同じ軸で整理するメリットは、後からさまざまな切り口で分析できる点にあります。距離標点ごとの交通量比較、車道面ごとの大型車比率、ピーク時間帯の方向別交通量、工事規制前後の変化、交差点流入部ごとの交通集中など、必要な分析は業務の途中で変わることがあります。最初から統一した軸で元データを残しておけば、再集計が容易になります。逆に、地点ごとに集計単位が違うと、後からそろえる作業に時間がかかり、場合によっては正確な比較ができません。
集計時には、合計値だけでなく、元データとのつながりを保つことも重要です。成果品では1日交通量やピーク時間交通量だけが掲載されることもありますが、実務上は、その数字がどの時間帯のどの方向のどの車種を集計したものかを追跡できる必要があります。特に関係者から数値の根拠を確認されたとき、元データに戻れる整理になっていないと説明に時間がかかります。調査票、入力データ、集計結果、成果表の項目名を統一し、同じ地点番号や距離標点でひも付けることで、根拠をたどりやすくなります。
また、欠測や異常値の扱いも整理しておくべきです。現地調査では、天候、事故、工事、緊急車両、機器の不調、調査員の交代などによって、通常とは異なる交通状況が発生することがあります。そのような場合、単に台数だけを記録すると、後から異常の理由が分からなくなります。時間帯ごとに現地メモを残し、必要に応じて「一時的な渋滞あり」「規制車両通過」「沿道施設への集中出入りあり」などの説明を添えると、集計結果の解釈に役立ちます。
交通量調査では、正確な台数を得ることに意識が向きがちですが、実務で求められるのは、説明できるデータです。時間帯、方向、車種分類を同じ軸で整理することで、調査結果は単なる数字の集まりではなく、道路の状況を読み解くための情報になります。距離標点と車道面で位置を固定し、同じ集計軸でデータを整えることが、品質の高い交通量調査につながります。
整理法4:写真・メモ・位 置情報をひも付けて確認しやすくする
交通量調査の成果を後から確認するとき、数字だけでは判断できないことが多くあります。たとえば、ある地点で大型車交通量が多かった場合、それが幹線道路として自然な結果なのか、近くの物流施設や工事車両の影響なのかは、現地条件を見なければ分かりません。また、同じ距離標点付近でも、見通し、車線構成、路面状況、沿道出入口、駐停車状況、歩行者動線などによって交通の流れは変わります。そのため、写真、メモ、位置情報を交通量データとひも付けて整理することが重要です。
写真は、調査地点の説明力を高める分かりやすい記録です。調査前に全景写真を撮影し、調査中に交通状況が分かる写真を残し、必要に応じて距離標点や周辺目印も撮影しておくと、後から地点を確認しやすくなります。写真を撮る際は、単に枚数を増やすのではなく、何を確認するための写真かを意識します。調査断面が分かる写真、車道面の区分が分かる写真、方向を示す写真、距離標点や目印が分かる写真、現地特有の注意点が分かる写真を残しておくと、集計や報告書作成で役立ちます。
メモは、 写真では伝わりにくい状況を補足します。たとえば、「朝の時間帯に沿道施設への右折待ちが発生」「下り方向で一時的に路肩停車あり」「調査地点の手前で工事規制あり」「雨天により自転車交通が少ない可能性あり」といった情報は、写真だけでは読み取りにくいことがあります。こうしたメモは、時間帯や方向、車道面と結び付けて記録することで価値が高まります。調査全体の感想として残すのではなく、どの時間帯のどの地点で起きたことなのかを明確にすることが大切です。
位置情報は、距離標点の整理を補強します。道路管理上は距離標点が基準になりますが、現地調査では地図上の位置や座標情報も確認に役立ちます。特に複数の調査員が別々の地点を担当する場合、位置情報を取得しておくことで、調査地点の取り違えを防ぎやすくなります。ただし、位置情報には誤差が含まれることがあるため、距離標点、現地目印、写真、メモと組み合わせて確認することが望ましいです。座標だけを絶対視するのではなく、複数の情報を照合して地点を確定する姿勢が重要です。
写真、メモ、位置情報をひも付ける際は、ファイル名や管理番号の付け方を統一します。たとえば、地点番号、距離標点、方向、撮影日、撮影 内容が分かる形にしておくと、後から探しやすくなります。写真が大量にある場合、ファイル名が撮影機器の連番のままだと、どの地点の写真か分からなくなりがちです。調査後すぐに整理する時間を確保し、調査票や台帳の地点番号と写真ファイルを対応させておくことが大切です。
ひも付けの精度を高めるには、現地での記録手順も工夫します。調査地点に到着したら、まず地点番号と距離標点を確認し、全景写真を撮影します。次に、対象となる車道面や方向が分かる写真を撮り、調査票に撮影済みであることを記録します。調査中に特別な状況が発生した場合は、時刻と内容をメモし、必要に応じて写真を追加します。調査終了後には、調査票、写真、位置情報が同じ地点番号でそろっているかを確認します。この流れを標準化すれば、調査員が変わっても成果の品質を保ちやすくなります。
写真やメモの整理は、報告書の見栄えだけのためではありません。交通量データの妥当性を確認するための根拠になります。たとえば、ある時間帯だけ交通量が極端に少ない場合、現地メモに事故や規制の記録があれば、その数値を通常交通として扱うべきか判断しやすくなります。逆に、メモがなければ、入力ミスなのか現地状況 によるものなのか判断できません。交通量調査では、数字の異常を見つけるだけでなく、その理由を確認できる整理が求められます。
また、関係者への説明でも、写真や位置情報は大きな役割を果たします。調査地点を知らない人に対して、距離標点だけで説明してもイメージしにくい場合があります。そこに現地写真や位置図、車道面の説明があれば、調査結果の理解が早くなります。特に、道路管理者、設計担当者、施工担当者、地元関係者など、立場の異なる人が同じ資料を見る場合は、写真とメモを組み合わせた整理が有効です。数値を見せるだけでなく、その数値が得られた場所と条件を示すことで、交通量調査の成果は使いやすくなります。
整理法5:点検・再集計しやすい台帳形式にまとめる
最後の整理法は、調査結果を台帳形式にまとめることです。交通量調査では、調査票、写真、位置図、集計表、現地メモ、成果表など、さまざまな資料が発生します。これらが別々に管理されていると、後から確認するときに時間がかかります。そこで、距離標点と車道面を中心に、必要な情報を一覧で追える台帳形式に整理しておくと、点検や再集計がしやすくなります。
台帳に含めるべき情報は、調査目的によって変わりますが、基本となるのは地点を特定する情報、調査条件を示す情報、集計結果を示す情報、確認資料への参照情報です。地点を特定する情報としては、路線名、距離標点、上下方向または方位、調査断面の説明、現地目印などがあります。調査条件としては、調査日、曜日、天候、調査時間、調査方法、対象車道面、車種分類、集計単位などがあります。集計結果としては、方向別交通量、時間帯別交通量、車種別交通量、大型車混入の状況などを整理します。確認資料としては、写真番号、位置図番号、現地メモ、元データの保管先などをひも付けます。
台帳形式の利点は、調査結果の全体像を把握しながら、必要に応じて元資料に戻れることです。たとえば、ある距離標点の大型車交通量だけを確認したい場合、台帳で該当地点を探し、必要に応じて写真や元データを確認できます。交差点部の方向別交通量を再集計したい場合も、地点番号と車道面区分が統一されていれば、元データとの照合が容易です。成果品に掲載した数字だけでなく、そこに至るまでの記録を追跡できることが、台帳整理の大きな 価値です。
台帳を作る際に注意したいのは、自由記述だけに頼りすぎないことです。自由記述は現地状況を詳しく残せる一方で、担当者によって表現が変わりやすく、検索や集計には向きません。地点番号、路線名、距離標点、方向、車種分類、時間帯など、集計や検索に使う項目はできるだけ統一した表記にします。一方で、現地特有の事情や注意点は自由記述欄に残します。定型項目と自由記述を使い分けることで、台帳は実務で扱いやすくなります。
点検しやすい台帳にするためには、入力ミスを見つける仕組みも必要です。交通量調査では、方向別の合計と時間帯別の合計が一致しない、車種別合計と総交通量が合わない、距離標点の表記が地点一覧と集計表で異なる、写真番号が欠けている、といったミスが起こりやすくなります。台帳上で地点ごとのチェック欄を設け、位置確認、車道面区分確認、写真確認、集計確認、異常値確認を順番に確認できるようにしておくと、成果品提出前の点検がスムーズになります。
再集計を 前提にする場合は、元データと集計データを分けて管理することも大切です。元データは、調査時に記録した最も細かな単位のデータです。集計データは、目的に応じて時間帯や方向、車種をまとめたデータです。集計後の表だけを残して元データが追えない状態になると、別の切り口で分析したくなったときに対応できません。元データには地点番号、距離標点、車道面区分、時刻、方向、車種などを持たせ、集計データはそこから作成する流れにしておくと、後からの見直しに強くなります。
台帳形式は、過年度比較にも役立ちます。毎年または複数年ごとに交通量調査を行う場合、同じ距離標点、同じ車道面、同じ時間帯、同じ車種分類で整理されていれば、変化を比較しやすくなります。逆に、年度ごとに地点名や方向表記が違っていると、比較の前処理に多くの手間がかかります。将来的な比較を見据えるなら、今回の調査だけで完結する整理ではなく、次回調査でも使える台帳の形式を意識することが重要です。
さらに、台帳は引き継ぎ資料としても有効です。交通量調査は、計画担当、現地担当、集計担当、報告書作成担当が分かれることがあります。担当者が変わっても同じ情報を確認できるようにしておけば、説 明の手間を減らし、認識違いを防げます。距離標点や車道面の考え方は、口頭で説明すると伝わりにくい部分もあるため、台帳に明文化しておくことが重要です。特に、判断に迷った点、通常と異なる処理をした点、比較時に注意すべき点は、次の担当者が読んでも分かる形で残しておきましょう。
交通量調査の整理は、調査終了後にまとめて行うよりも、調査計画の段階から台帳を意識して進めるほうが効率的です。調査地点一覧を台帳の骨格として作り、現地調査で写真やメモを追加し、集計後に交通量データを反映し、最後に確認結果を記録する流れにすると、情報が散らばりにくくなります。台帳は単なる一覧表ではなく、現地調査から成果品までをつなぐ管理資料です。車道面・距離標点を軸にした台帳整理によって、交通量調査の成果は確認しやすく、使い回しやすく、説明しやすい資料になります。
まとめ:車道面・距離標点の整理精度が調査品質を左右する
車道面・距離標点を用いた交通量調査では、調査地点を正しく特定し、対象となる車道面を明確にし、時間帯・方向・車種分類を 統一して集計することが重要です。交通量の数字だけを見れば一見整理できているように見えても、位置や車道面の定義が曖昧であれば、道路管理や設計、補修計画、交通対策の資料として使いにくくなります。距離標点は調査地点を道路上の基準で示すための軸になり、車道面の区分は実際にどの交通を数えたのかを示す軸になります。この2つを丁寧に整理することで、交通量調査の成果は実務で活用しやすい情報になります。
今回紹介した5つの整理法は、どれか1つだけを行えばよいものではありません。距離標点で地点を統一し、車道面の区分を事前に定義し、時間帯・方向・車種分類を同じ軸で集計し、写真・メモ・位置情報をひも付け、点検・再集計しやすい台帳形式にまとめることで、調査結果の信頼性は高まります。特に、後から確認する人が現地に行かなくても調査条件を理解できる状態にしておくことが、実務では大きな価値を持ちます。
交通量調査は現場での一瞬の記録が基礎になりますが、その成果は長期間にわたって参照されます。工事前後の比較、将来計画の検討、舗装や道路構造の維持管理、交通安全対策など、さまざまな場面で過去の調査結果が使われます。そのときに、距離標点、車道面、方向、 時間帯、車種、写真、メモが整理されていれば、データの意味を正しく読み取ることができます。反対に、整理が不十分だと、せっかく調査したデータが十分に活用されない可能性があります。
現場作業の効率化という面でも、整理方法の標準化は効果的です。調査前にルールを決め、現地で同じ手順で記録し、調査後に同じ形式で集計することで、担当者ごとの差を抑えられます。紙の調査票や一般的な表計算形式で管理する場合でも、距離標点と車道面を軸にした考え方を持つだけで、整理の精度は大きく変わります。さらに、写真や位置情報を同時に管理できる環境を活用すれば、現地記録とデータ整理のつながりをより強くできます。
車道面・距離標点の交通量調査をより確実に進めるには、現地で取得した位置情報、写真、メモ、調査データを一体で扱える仕組みが役立ちます。現場での記録漏れを減らし、事務所での整理や確認を効率化したい場合は、使用する機器や記録方法の精度、現地での操作性、データ出力後の管理しやすさを確認しながら、業務に合った記録環境を整えるとよいでしょう。特定の製品や方法だけに頼るのではなく、距離標点、車道面、写真、メモ、集計データを同じルールで結び付けることが 、交通量調査の成果を安全に活用するための基本です。
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