道路構造を検討する際は、車道や歩道、側溝、擁壁、法面、排水施設などの納まりだけでなく、道路空間に存在する占用物等との関係を合わせて確認する必要があります。道路内や道路に近接する場所には、電柱、電線、通信管路、上下水道管、ガス管、マンホール、バルブ、引込管、仮設物、標識柱、照明柱、地上機器など、さまざまな物件や施設が存在します。これらの中には道路法上の占用物件として扱われるものだけでなく、道路管理者が設ける道路附属物や、民地側設備と道路施設が接続するものもあ ります。
道路構造と占用物等の位置関係を見落とすと、施工段階で移設協議や設計変更が必要になったり、完成後の通行安全性、排水性、点検性、補修性に影響したりすることがあります。特に既存道路の改良や維持補修では、図面上の位置と現地の実態が完全には一致しない場合もあり、早い段階で現況を確認しておくことが重要です。この記事では、道路構造で検索する実務担当者に向けて、占用物配置による干渉を防ぐために確認したい5つの視点を整理します。
目次
• 道路構造と占用物配置を一体で確認する重要性
• 道路区域と占用物の位置関係を確認する
• 車道・歩道・路肩の有効幅員との干渉を確認する
• 排水施設・擁壁・法面との納まりを確認する
• 地下埋設物と掘削・基礎構造の干渉を確認する
• 維持管理と将来工事を見据えた配置を確認する
• 道路構造と占用物配置の確認精度を高めるまとめ
道路構造と占用物配置を一体で確認する重要性
道路構造を安全で使いやすいものにするためには、舗装構成、横断勾配、側溝、縁石、擁壁、法面、交差点形状などを個別に確認するだけでは十分とはいえません。道路空間は、通行、排水、防護、案内、照明、通信、ライフライン、維持管理など、複数の機能が重なって成立しています。そのため、道路構造と占用物等の配置を別々に検討すると、図面上では問題がないように見えても、現地では柱が歩行者の動線を狭めたり、地下管路が側溝基礎と近接したり、マンホール周辺が舗装の弱点になったりすることがあります。
道路法上の占用許可の対象となる物件は、道路に一定の工作物、物件又は施設を設け、継続的に道路空間を使用するものとして扱われます。代表的には、電柱、電線、通信管路、上下水道管、ガス管、看板、仮設足場、工事用施設などが関係します。一方で、道路標識や道路照明のように、設置主体や目的によっては道路附属物として扱われるものもあります。実務では、法令上の分類を確認したうえで、道路構造と干渉する可能性のある物件を広く確認対象に含めることが大切です。
特に注意したいのは、道路構造の変更によって、既存の占用物等との関係が変化することです。道路拡幅、歩道設置、側溝改修、縁石の入れ替え、法面整形、擁壁新設、交差点改良、バリアフリー化、舗装修繕などを行うと、これまで大きな支障になっていなかった物件が、新しい道路構造では通行や施工の妨げになることがあります。例えば、既設電柱が新しい歩道の有効幅員を圧迫する、側溝改修により地下埋設管との離隔が不足する、マンホール蓋が新しい舗装計画高や横断勾配に合わない、といったケースが考えられます。
道路構造と占用物配置の干渉は、単に物理的にぶつかるかどうかだけで判断できません。通行空間の確保、視認性、排水機能、構造安全性、点検口の開閉、車両乗入れ、除草や清掃の作業空間、災害時の復旧性など、多面的に確認する必要があります。施工段階で移設や防護が必要になると、占用者や関係機関との協議、移設設計、工期調整、交通規制の見直しが発生することがあります。そのため、計画の初期段階から道路構造と占用物等を重ね合わせ、支障の可能性を洗い出しておくことが有効です。
実務では、平面図だけではなく、横断図、縦断図、構造図、現地写真、測量成果、点群データ、占用台帳、埋設物資料、関係者協議記録を組み合わせて確認します。平面図では離れて見える物件でも、横断方向や高さ方向では縁石、側溝、舗装厚、基礎、埋設深さと近接している場合があります。逆に、横断図では問題がないように見えても、道路線形、交差点部、乗入れ部、曲線部では局所的に通行空間が狭くなることもあります。
道路構造で干渉を防ぐ確認は、設計者だけの作業ではありません。現場代理人、測量担当者、発注者、道路管理者、占用者、施工班、維持管理担当者が同じ前提を共有することが重要です。既存資料に記載されている位置が現 地と一致しているとは限らず、古い物件、休止中の管路、仮設後に残された設備、道路区域境界付近の不明管などが後から判明することもあります。現地確認を前提に、設計図面と実際の道路空間の差を丁寧に埋めていく姿勢が、干渉防止の基本になります。
道路区域と占用物の位置関係を確認する
最初に確認したいのは、道路区域、官民境界、用地境界、道路構造物、占用物等の位置関係です。道路構造を検討するうえで、道路区域の内外が曖昧なまま占用物を扱うと、施工範囲、移設要否、管理区分、復旧範囲の判断が不安定になります。道路区域内にある物件なのか、民地側にある物件なのか、境界付近にまたがる物件なのかによって、協議先や施工方法が変わるため、計画初期に整理しておく必要があります。
道路区域と占用物等の位置関係を確認する際は、平面上の位置だけでなく、境界標、既設構造物、側溝外側線、歩車道境界、法肩、法尻、擁壁前面、民地出入口など、現地で確認できる基準物との関係を見ます。図面上の境界線と現地の塀、ブロック、側溝、舗装端が一致しない場合もあり ます。特に古い道路や段階的に改良された道路では、道路区域と現況利用の形がずれていることがあるため、境界付近の物件は図面上の寸法だけで判断しないことが大切です。
道路区域内にある物件でも、許可を受けた位置や台帳上の位置と、実際の設置位置が一致しているかは確認が必要です。長年の舗装補修、側溝改修、民地側の改築、交通安全施設の追加などにより、周辺構造物だけが変わり、既存の物件が相対的に支障化している場合があります。例えば、歩道が後から整備された道路で既存電柱や支線が歩道内に残り、車椅子やベビーカーの通行を妨げる位置になることがあります。道路構造を見直す場合は、既存物件を残せるか、移設が必要か、保護措置で対応できるかを早めに検討します。
境界付近では、民地側の排水管や乗入れ設備が道路構造と関係することもあります。道路側溝に接続される排水管、民地出入口の横断暗渠、門柱や塀に近接する支線、宅地への引込管などは、道路管理と民地管理の接点になります。道路構造を変更すると、これらの勾配、接続高さ、覆土、開閉性、排水方向が変わる場合があります。占用物配置を確認する際は、道路区域内の物件だけでなく、道路に影響する周辺物件も含めて確 認することが大切です。
道路区域と占用物の位置関係でよく問題になるのは、施工時になってから掘削できない場所や基礎を設置できない場所が判明することです。これを防ぐには、物件の種類ごとに管理者、占用者、設置目的、必要離隔、移設可否、仮受けの可否、休止中か供用中かを整理します。特に地下埋設物は、図面に記載があっても位置や深さに誤差がある場合があるため、必要に応じて試掘や探査を組み合わせ、施工前に不確実性を下げることが重要です。
市街地のように道路区域内の余裕が少ない場所では、道路構造物と占用物等が密集しやすくなります。車道、歩道、側溝、縁石、防護柵、標識、照明、地下管路を限られた幅の中に納める必要があり、ひとつの物件を少し移動するだけで別の構造物に影響することがあります。このような場所では、物件を単体で見るのではなく、道路断面全体の中でどこに何を置くのが安全で維持管理しやすいかを検討します。
道路区域と占用物配置の確認は、完成後の管理責任にも関係し ます。道路構造物の補修や占用物の更新を行う際、位置関係が不明確だと、将来の協議に時間がかかることがあります。完成図や管理資料には、物件の概略位置だけでなく、道路構造との関係が分かる情報を残しておくと、次回工事や維持管理で役立ちます。現在の施工だけでなく、完成後に誰がどの範囲を管理するのかまで意識することが、干渉防止の出発点になります。
車道・歩道・路肩の有効幅員との干渉を確認する
次に重要なのは、占用物等が車道、歩道、路肩、停車帯、路側帯、植樹帯、歩行者滞留部などの有効空間を阻害していないかを確認することです。道路構造では、図面上の幅員が確保されていても、実際に利用できる幅が柱類や地上機器、蓋類によって狭くなる場合があります。特に歩道内の電柱、標識柱、照明柱、支線、マンホール、バルブボックス、集水桝などは、歩行者、自転車、車椅子、ベビーカーの通行性に影響します。
有効幅員を確認する際は、単純な道路幅ではなく、利用者が安全に通れる連続した空間として考えることが大切です。歩道幅が一定程度あっても、柱や標 識、地上機器がばらばらの位置に設置されていると、実際の通行ラインが蛇行し、すれ違いが難しくなることがあります。マンホール蓋や桝蓋が連続して配置されている場合、雨天時の滑り、段差、がたつきが歩行性に影響することもあります。道路構造の確認では、幅員寸法だけでなく、障害物の配置、路面状態、勾配、視認性を含めて見ます。
車道側では、占用物等が通行空間、車両の走行位置、曲線部の内輪差、交差点の見通しに影響しないかを確認します。路肩付近の標識柱、照明柱、防護柵、占用柱が車両の接触リスクを高める位置にないか、交差点や出入口付近で運転者や歩行者の視線を遮らないかを検討します。大型車が通行する道路、バス停周辺、物流施設への出入口、狭あい道路の交差点では、平面図だけでは判断しにくい車両軌跡との関係も確認したいところです。
歩道と車道の境界付近では、縁石、側溝、街渠、集水桝、横断勾配、乗入れ部が占用物等と干渉しやすくなります。柱類が縁石近くにあると、歩道の有効幅員を狭めるだけでなく、車両のドア開閉、清掃、路面補修にも影響することがあります。乗入れ部では、車両が歩道を横断するため、占用物が車両の進入角や歩行者の待避空間に支障しないか を見る必要があります。歩道内の物件は、単に設置できる場所に置くのではなく、歩行者動線と道路構造の連続性を妨げにくい位置に整理することが有効です。
路肩や路側帯では、車両の一時停止、歩行者の避難、維持作業、緊急時の通行などを考慮します。路肩に物件が張り出していると、車両が安全に寄せられない、作業員が待避しにくい、排水施設の点検がしにくいといった問題が発生します。道路構造上、路肩は単なる余白ではなく、交通安全や維持管理に関わる機能を持ちます。そのため、占用物等が路肩の機能を損なっていないかを確認することが大切です。
有効幅員の干渉を防ぐには、現況写真や図面だけでなく、実際に利用者の目線で現地を見ることが効果的です。歩行者がどこを通るのか、自転車がどこを走るのか、車両がどの位置で曲がるのか、雨天時に水がどこへ流れるのかを確認すると、図面上では見落としやすい支障が見えてきます。学校、病院、公共施設、商業施設、駅周辺など、多様な利用者が集中する道路では、有効幅員と占用物配置の確認を丁寧に行う必要があります。
また、占用物等の高さ方向にも注意が必要です。地上部の柱や箱だけでなく、張り出し、支線、標識板、道路照明、引込線などが通行空間に影響することがあります。歩行者や車両の通行に必要な高さ、作業車両の通行、街路樹の枝、標識の視認性などを含めて、立体的に確認することが大切です。道路構造の干渉確認は、平面の幅だけでなく、横断方向、縦断方向、高さ方向を合わせた三次元的な見方が必要になります。
排水施設・擁壁・法面との納まりを確認する
道路構造の中でも、占用物等と干渉しやすいのが排水施設、擁壁、法面です。これらは道路の安全性と耐久性を支える重要な構造であり、占用物の配置によって機能が阻害されると、路面滞水、洗掘、沈下、ひび割れ、構造物の損傷などにつながる可能性があります。道路改良や維持補修では、既存物件を避けながら側溝、集水桝、横断暗渠、擁壁基礎を配置する場面が多いため、早期の干渉確認が欠かせません。
排水施設との関係では、まず水の流れを妨げないかを確認します。柱基礎、マンホール、バルブボックス、地上機器などが側溝や街渠の連続性を遮ると、集水効率が下がったり、清掃しにくくなったりします。集水桝の位置に物件が近すぎると、蓋の開閉や土砂撤去が困難になり、維持管理上の支障になります。また、マンホール蓋や桝蓋が横断勾配や縦断勾配に合っていないと、路面に段差や水たまりが生じやすくなります。
側溝や街渠を改修する場合は、既設占用物の基礎や埋設管が新設構造物の掘削範囲に入らないかを確認します。側溝本体だけでなく、基礎材、敷モルタル、埋戻し範囲、施工時の床掘り幅、仮設土留めの必要範囲も考慮します。図面上では側溝と埋設管が離れていても、施工時には掘削影響範囲が重なり、管路の防護や仮受けが必要になることがあります。排水施設の設計では、完成形だけでなく、施工時に安全に掘れるかどうかまで確認することが重要です。
擁壁との関係では、占用物の基礎、地下管路、マンホールが擁壁本体や基礎、裏込め排水、背面土、根入れ部分に影響しないかを確認します。擁壁の背面に埋設管が近接すると、将来の漏水や掘削が擁壁の安定に影響する可能性があります。また、擁壁前面に柱類や地上機器を置くと、点検や補修の作業空間 が不足することがあります。擁壁は完成後に簡単に動かせる構造ではないため、占用物等との位置関係は慎重に検討する必要があります。
法面との関係では、法肩や法尻に物件を設置することで、排水、草刈り、点検、安定性に影響しないかを確認します。法肩近くの柱基礎や地下管路は、法面の安定や雨水浸透に関係する場合があります。法尻付近に桝や管路が集中すると、排水の流末処理が複雑になり、豪雨時の洗掘や土砂堆積の原因になることもあります。法面は平面的なスペースだけでなく、高低差や勾配を持つため、占用物の設置位置を高さ方向も含めて確認する必要があります。
排水施設、擁壁、法面との干渉確認では、雨天時や出水時の状態を想定することが重要です。晴天時の現地確認では問題が見えにくくても、雨水が集まる位置、土砂が堆積する位置、越流水が通る位置、湧水が出る位置では、占用物等が機能障害の要因になる可能性があります。道路構造は、通常時だけでなく、降雨時、災害時、維持作業時に機能する必要があります。そのため、物件が水の流れと管理動線を妨げていないかを立体的に見ることが大切です。
さらに、排水施設や擁壁、法面は、道路の長期的な耐久性に直結します。占用物を避けるために排水勾配を無理に変えたり、桝の位置を不自然にずらしたりすると、局所的な滞水や清掃困難箇所を生むことがあります。既存物件を残す前提で道路構造を合わせる場合でも、道路本来の機能を損なわないかを確認し、必要に応じて移設、保護、構造変更、管理方法の見直しを検討します。
地下埋設物と掘削・基礎構造の干渉を確認する
占用物配置の中でも、特に注意が必要なのが地下埋設物です。地下埋設物は地表から見えないため、図面や台帳に頼りがちですが、実際の位置、深さ、管径、材質、接続状況、休止状況が資料と異なることがあります。道路構造の工事では、舗装版の撤去、路盤掘削、側溝設置、集水桝設置、擁壁基礎、標識基礎、防護柵基礎、照明柱基礎、地盤改良など、さまざまな掘削作業が発生するため、地下埋設物との干渉を事前に確認することが不可欠です。
地下埋設物の確認では、まず既存資料を集め、平面位置と縦断方向の情報を整理します。管路やケーブルがどの道路側に入っているのか、車道下なのか歩道下なのか、側溝沿いなのか、交差点部でどのように曲がっているのかを把握します。ただし、資料上の線は概略であることも多く、実際の管路が図面通りに一直線で入っているとは限りません。古い工事、緊急復旧、引込管の追加、道路改良による再配置などにより、現地で複雑な埋設状況になっていることがあります。
掘削との干渉を確認する際は、完成後の構造物位置だけでなく、施工時の作業範囲を含める必要があります。側溝や桝の外形寸法が埋設管と離れていても、床掘り幅、作業員の作業空間、転圧機械の使用範囲、仮設土留めの位置を考えると、実際には近接施工になることがあります。標識柱や照明柱の基礎では、地上部の柱位置だけでなく、基礎の根入れ深さや掘削径が地下管路に近接することがあります。防護柵基礎や車止めの設置でも、浅い埋設物との接触に注意が必要です。
地下埋設物と道路構造の干渉で問題になりやすいのは、交差点、横断部、歩道切下げ部、橋梁前後、既設構造物の取り合い部です。交差点には複数方向から管路が集まり、マンホールや弁 室も多く配置されます。歩道切下げ部では、舗装構成や横断勾配が変化し、地下管路の覆土や桝の高さ調整が必要になることがあります。橋梁前後では、伸縮部、踏掛部、排水管、添架物、護岸構造などが近接するため、占用物等の位置確認をより慎重に行います。
地下埋設物は、損傷した場合の影響も大きくなります。通信、電力、水道、ガス、下水などの機能停止は、周辺住民や道路利用者に影響を及ぼす可能性があります。また、現場作業員の安全にも関わります。そのため、道路構造の設計や施工計画では、埋設物の有無を確認するだけでなく、近接施工時の防護方法、試掘位置、立会いの要否、掘削機械の使い方、仮受け方法、緊急時の連絡体制まで整理しておくことが望ましいです。
マンホール、弁室、ハンドホールなどの蓋類は、地下埋設物でありながら路面機能にも直接影響します。車道部にある蓋は、舗装の平坦性、騒音、振動、段差、雨天時の滑り、清掃に関係します。歩道部にある蓋は、歩行性やバリアフリー性に関係します。道路構造を変更する場合は、蓋の高さを新しい舗装計画高に合わせるだけでなく、横断勾配、排水方向、通行動線、点検開閉方向を確認します。蓋が集水位置や横断歩道上に重なる 場合は、利用者の安全性や維持管理性を踏まえて調整を検討します。
地下埋設物との干渉を減らすには、早い段階で占用者や施設管理者と情報共有することが重要です。設計が固まってから移設協議を始めると、工期や施工順序に大きな影響が出ることがあります。道路構造の変更範囲、掘削深さ、施工時期、交通規制の予定を関係者に示し、移設が必要か、防護でよいか、現地立会いが必要かを確認します。占用者側の更新計画がある場合は、道路工事と同時に調整できる可能性もあります。こうした調整は手間がかかりますが、後の手戻りを防ぐうえで有効です。
維持管理と将来工事を見据えた配置を確認する
道路構造と占用物配置の確認では、完成時に干渉していないことだけでなく、維持管理や将来工事に支障がないことも重要です。道路は完成して終わりではなく、舗装修繕、側溝清掃、除草、標識更新、照明点検、管路更新、災害復旧、交通安全対策などが継続的に行われます。占用物等の配置が維持管理を妨げると、点検が困難になり、補修費や作業時間が増え、道路利用者への影響も大 きくなる可能性があります。
維持管理を見据える際は、点検口や蓋が開けられるか、清掃機材や作業員が近づけるか、車両を安全に停められるか、交通規制を抑えられるかを確認します。集水桝の前に柱や防護柵があると、蓋の開閉や土砂撤去が難しくなります。マンホールの上に将来の舗装打換えや区画線更新が重なると、施工品質や作業効率に影響します。照明柱や標識柱の周囲に作業空間がないと、点検や更新時に大掛かりな規制が必要になることがあります。
将来工事の視点では、道路拡幅、歩道改良、無電柱化、交差点改良、舗装更新、排水改修、耐震対策などを想定します。現時点では問題のない占用物でも、将来の道路構造変更により支障になる可能性があります。すべての将来計画を正確に見通すことは難しいですが、既に上位計画、周辺開発、交通量の変化、通学路対策、バリアフリー化の方針がある場合は、それらを踏まえて占用物配置を考える必要があります。
市街地では、占用物等を一度設置すると移設が難しく なることがあります。地下埋設物が増えるほど、次の工事で掘削できる余地が少なくなります。地上機器や柱類が歩道内に点在すると、後から歩行空間を改善しようとしても制約が残ります。道路構造を検討する段階で、占用物をできるだけ整理し、管理しやすい位置に集約し、将来の更新に対応できる余地を残すことが重要です。
維持管理性を高めるためには、占用物等を道路構造の弱点にしないことも大切です。舗装の継ぎ目やマンホール周辺は、沈下やひび割れが発生しやすい箇所になることがあります。排水の流れが集中する位置に蓋や段差があると、雨水や土砂の影響を受けやすくなります。法面や擁壁近くに管路がある場合、漏水や掘削が構造安定に影響することも考えられます。占用物を置くことで道路構造の耐久性を下げていないかを確認することが必要です。
災害時の復旧性も見逃せません。地震、豪雨、斜面崩壊、冠水、路肩崩落などが発生した場合、道路とライフラインは同時に被害を受ける可能性があります。占用物等が道路の排水や応急復旧の動線を妨げていると、復旧作業が遅れることがあります。逆に、道路構造と占用物の位置関係が整理され、記録として残っていれば、被災後の状況把握や応急対 応がしやすくなります。占用物配置の確認は、日常管理だけでなく、非常時の道路機能確保にもつながります。
完成図や管理資料への反映も重要です。現地で確認した物件の位置、移設済みの物件、残置された物件、試掘で確認した埋設深さ、施工時に変更した納まりなどは、関係者間で共有できる形で記録しておく必要があります。施工中の判断が現場内だけに残ると、将来の担当者が同じ確認を繰り返すことになります。道路構造と占用物配置の関係を記録化することは、次の維持管理や更新工事の効率化につながります。
道路構造と占用物配置の確認精度を高めるまとめ
道路構造と占用物配置で干渉を防ぐためには、平面図上の位置確認だけでなく、道路区域、有効幅員、排水、擁壁、法面、地下埋設物、維持管理、将来工事を総合的に見ることが重要です。占用物等は道路空間に必要な機能を支える一方で、配置を誤ると通行安全性、施工性、排水性、点検性、更新性に影響します。特に既存道路の改良や補修では、現況と図面が一致しないこともあるため、現地確認を前提にした丁寧な照合が 欠かせません。
5つの確認の中でも、まず道路区域と占用物の位置関係を明確にすることが出発点になります。誰が管理する物件か、道路区域内にあるのか、境界付近で支障にならないかを整理することで、協議や移設判断が進めやすくなります。次に、車道、歩道、路肩の有効幅員を確認し、道路利用者が安全に通行できる連続した空間を確保します。幅員寸法だけでなく、柱類、蓋類、地上機器、支線、標識などが動線や視認性を妨げていないかを見ることが大切です。
排水施設、擁壁、法面との納まりでは、水の流れ、構造物の安定、点検清掃の作業空間を確認します。占用物を避けるために排水勾配や桝位置を無理に変えると、完成後の維持管理に課題を残すことがあります。地下埋設物との関係では、完成形だけでなく施工時の掘削範囲、基礎寸法、仮設、試掘、関係者立会いを含めて検討します。見えない部分ほど不確実性が高いため、資料と現地を重ねて確認し、必要に応じて早期に関係者協議を行うことが重要です。
さらに 、完成後の維持管理と将来工事を見据えることで、短期的な納まりだけでなく、長く使いやすい道路構造に近づけることができます。点検口が開けられるか、清掃ができるか、補修時に掘削できるか、災害時に復旧しやすいかといった視点は、設計段階では後回しにされがちですが、道路の品質を左右する重要な要素です。占用物を単に空いている場所に置くのではなく、道路構造全体の機能を損なわない位置に整理することが、干渉防止の基本です。
実務では、図面、現地写真、測量成果、関係資料、協議記録を組み合わせても、判断に迷う場面があります。既設構造物が多い道路、狭い歩道、交差点部、擁壁や法面を含む区間、地下埋設物が集中する区間では、現況を立体的に把握することが有効です。現場の位置関係を正確に記録し、関係者が同じ情報を見ながら協議できれば、占用物の移設要否や道路構造の調整方針を決めやすくなります。
道路構造と占用物配置の干渉を防ぐ取り組みは、手戻りを減らすだけでなく、完成後の安全性、維持管理性、説明性を高めます。道路構造の確認では、道路管理者や占用者との協議を前提に、現地の状況を正確に把握し、図面や記録と照合しながら判断することが大切です。写真、測 量、点群、台帳整理などの記録手段を現場条件に応じて使い分け、道路空間を立体的に捉えることで、占用物配置による干渉リスクを抑えやすくなります。
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