駅出入口の段差解消は、単に床を平らにする工事ではありません。鉄道施工では、利用者の通行、車いす動線、視覚障害者の誘導、排水、仮設通路、夜間施工、駅前道路や民地との取り合いなど、多くの条件が重なります。特に駅出入口は、ホームや改札内よりも一般歩行者、送迎車、自転車、バス利用者、店舗利用者が混在しやすく、わずかな段差や勾配の乱れが移動の不安につながる場合があります。この記事では、railway constructionに関わる実務担当者に向けて、駅出入口の段差解消で車いす動線を守る ために確認したい6項目を整理します。
目次
• 駅出入口の段差解消は移動経路全体で考える
• 現況測量で段差と勾配の起点を正確に押さえる
• 仮設通路でも車いす動線を途切れさせない
• すり付け勾配と踊り場で無理のない移動を確保する
• 排水と仕上げの管理で段差の再発を防ぐ
• 視覚障害者誘導用ブロックと車いす動線を両立する
• 夜間施工と切替時の確認で供用中の安全を守る
• 記録と共有を残し次の施工判断につなげる
• まとめ
駅出入口の段差解消は移動経路全体で考える
鉄道施工における駅出入口の段差解消では、対象を出入口の框、舗装の切れ目、スロープの始点だけに限定して考えると、実際の車いす動線を見落としやすくなります。車いす利用者にとって重要なのは、道路や駅前広場から出入口に入り、改札、券売機、案内設備、エレベーター、ホーム方面へ移動するまでの連続性です。ある一点の段差を解消しても、その前後に急な横断勾配、狭い仮設通路、排水溝の沈み、点検蓋の浮き、滑りやすい仕上げが残っていれば、動線としては十分とはいえません。
駅出入口は、鉄道用地と道路管理範囲、商業施設、地下通路、駅前広場、バス乗降場などが接することが多い場所です。そのため、施工範囲の内側だけを整えても、隣接部分との高低差が残る場合があります。実務では、工事範囲線ではなく利用者の移動経路を基準 にして、どこからどこまでを一連の動線として扱うかを最初に決めることが大切です。たとえば、出入口前の歩道から自動扉、改札前、エレベーター前までを連続した経路として確認し、その途中に車いすの前輪が引っかかる要素がないかを見ます。
段差解消工事では、設計図上の仕上がり高さだけでなく、利用者の視点で動線を確認する姿勢が求められます。図面上では小さな差に見える部分でも、車いすでは前輪が止まりやすく、介助者がいても通過に力が必要になることがあります。また、雨天時には水たまりを避けるために利用者が本来の通路から外れ、別の段差に近づいてしまうこともあります。こうした行動を想定し、出入口周辺の平面計画と高さ計画を合わせて検討する必要があります。
駅出入口では、時間帯によって利用者の流れが大きく変わります。朝夕の通勤時間帯は人の密度が高く、車いす利用者が通路の端に寄りにくい場合があります。昼間は高齢者やベビーカー、旅行者が増え、夜間は照度や視認性が低下します。段差解消の確認では、通過できるかどうかだけでなく、混雑時でも立ち止まらずに進めるか、他の利用者と交錯しにくいか、案内表示を見ながら自然に進めるかを確認することが重要です。
また、駅の出入口は災害時や異常時の避難経路になることもあります。通常時の利便性だけでなく、停電、雨、強風、混雑、代替経路設定時にも使える動線かを考えておくと、施工後の運用で問題が出にくくなります。段差解消はバリアフリーの一部ですが、実務では安全、案内、維持管理、排水、施工切替を含めた総合的な確認が必要です。
現況測量で段差と勾配の起点を正確に押さえる
段差解消を確実に行うためには、着工前の現況把握が欠かせません。駅出入口では、既設床、舗装、縁石、排水ます、点検蓋、建具下端、階段下端、スロープ始点、歩道境界などが複雑に接しています。これらの高さが少しずつ異なるため、単純に一箇所の段差だけを測って判断すると、施工後に別の場所で高低差が顕在化することがあります。
現況測量では、車いすが実際に通る幅の範囲を面で確認することが大切です。中心線だけの高さ確認では、横断勾配や片側の沈み込みを把握できません。出入口前の舗装では、排水のために片側へ勾配が付いている場合があり、車いすはその影響を受けて進行方向から外れやすくなります。特に駅前の歩道や広場は過去の補修履歴が重なっていることが多く、表面は平らに見えても局所的な不陸が残っていることがあります。
段差の測定では、垂直方向の高さだけでなく、すり付け長さ、勾配の変化点、段差の角の丸み、周囲の仕上げ厚さを確認します。小さな段差でも、角が鋭い場合は前輪が引っかかりやすくなります。反対に、高低差そのものは残っていても、長い距離でなめらかにすり付けられていれば通過しやすい場合があります。したがって、実務では点の高さだけでなく、断面としての連続性を記録することが重要です。
既設部の高さを確認する際は、将来残す部分と撤去する部分を分けて整理します。撤去予定の舗装を基準に高さを決めると、施工中に基準が失われ、仕上がりの再現性が低下することがあります。残置される建物側の敷居、柱際、排水設備、道路側の境界など、変わらない基準を選び、施工段階ごとに確認できるようにしておくことが大切です。
また、現況写真や測点記録は、施工後の説明資料としても役立ちます。駅利用者や関係者から段差や勾配について問い合わせがあった場合、工事前にどのような状態で、どの範囲をどのように改善したのかを説明しやすくなります。段差解消工事は、完成後に見た目の変化が小さいこともあります。そのため、着工前後の記録を残しておくことで、改善内容を客観的に共有できます。
鉄道施工では、夜間の限られた時間で作業することも多く、現地で迷う余裕がない場合があります。事前に測量結果を整理し、どの高さを守るのか、どこで勾配を変えるのか、どの設備に取り合うのかを明確にしておくことで、施工時の手戻りを減らせます。車いす動線を守る段差解消は、施工当日の技術だけでなく、着工前の現況把握の精度で大きく左右されます。
仮設通路でも車いす動線を途切れさせない
駅出入口の段差解消では、完成後の仕上がりだけでなく、施工中の仮設通路が重要です。鉄道駅は供用しながら工事を進めることが多く、出入口を完全に閉鎖できない場合があります。そのため、既設の出入口や周辺通路を切り回しながら、車いす利用者が安全に通行できる経路を確保しなければなりません。
仮設通路でよく起こる問題は、幅員の不足、急なすり付け、養生材の浮き、仮囲いの圧迫感、案内不足です。仮設材は短期間の使用を前提に設置されることが多いため、細かな段差や継ぎ目への意識が弱くなりがちです。しかし、車いす利用者にとっては仮設であっても日常の通路です。完成形と同じように、前輪が引っかからないか、途中で方向転換できるか、混雑時に待避できるかを確認する必要があります。
仮設スロープを設ける場合は、設置した時点だけでなく、使用中の変化にも注意します。人の通行、雨水、清掃、資材搬入、温度変化によって、仮設材がずれたり、端部が浮いたりすることがあります。特に出入口付近は利用者が集中し、車輪や台車が繰り返し通過します。固定状況や端部処理を定期的に確認し、異常があれば補修できる体制を整えておくことが大切です。
仮設通路では、車いす利用者だけでなく、視覚障害者、高齢者、ベビーカー、旅行用荷物を持つ利用者も同じ経路を使います。仮囲いで通路幅が狭くなると、対向者とのすれ違いが難しくなり、利用者が段差のある端部へ寄ってしまうことがあります。単に通れる幅を確保するだけでなく、実際の人流を想定して、立ち止まりやすい場所、案内を見る場所、曲がり角の見通しを確認します。
案内表示も仮設動線の一部です。段差解消工事では、普段使っている出入口が一時的に使いにくくなることがあります。その場合、車いす利用者がどこへ進めばよいかを早い段階で判断できるように、出入口手前、分岐点、仮設通路入口、エレベーター方向などに一貫した案内を設けることが望まれます。案内が遅れると、利用者は狭い場所で引き返すことになり、混雑や接触の原因になります。
工事関係者の動線と利用者動線を分けることも重要です。資材搬入や撤去作業のために仮設通路を一時的に占用すると、車いす利用者が通行できなくなる場合があります。短時間の作業であっても、利用者から見れば突然通路がふさがれた状態になります。作業時間、 誘導員の配置、代替経路、緊急時の対応を事前に決め、現場内で共有しておくことが必要です。
段差解消工事では、完成時の検査に意識が向きやすいものですが、駅利用者は工事中も毎日駅を使います。仮設通路で車いす動線を途切れさせないことは、施工品質の一部です。計画、設置、日常点検、切替時確認を丁寧に行うことで、供用中の駅でも安心して利用できる環境を保ちやすくなります。
すり付け勾配と踊り場で無理のない移動を確保する
段差解消の中心となるのが、すり付け勾配の計画です。既設の床や舗装には高低差があるため、その差をどの距離でなめらかにつなぐかによって、車いすの通行しやすさが大きく変わります。短い距離で無理に段差を解消すると、見た目には平らになったように見えても、実際には急な勾配となり、車いす利用者や介助者に負担をかけることがあります。
駅出入口では、用地や構造物の制約により、十分なすり付け長さを確保しにくいことがあります。建物の扉位置、階段、柱、排水設備、道路境界、店舗入口などが近接しているためです。このような場合でも、単純に最短距離でつなぐのではなく、利用者が安全に減速し、方向転換し、扉を開閉し、案内を確認できる余地を持たせることが大切です。勾配だけでなく、平たんに近い待機部分や踊り場の考え方を取り入れることで、移動のしやすさが向上します。
踊り場は、単なる水平部分ではなく、動作を切り替えるための場所です。車いす利用者は、スロープを上がった後に扉を開ける、曲がる、案内表示を見る、同行者を待つといった動作を行います。この場所に勾配が残っていると、車いすが自然に動いてしまい、不安定になります。特に自動扉や手動扉の付近、改札前、エレベーター前では、停止できる平たん性を意識する必要があります。
すり付け部では、縦断勾配だけでなく横断勾配にも注意します。水はけを考えて片側へ傾けることは必要ですが、横方向の傾きが大きいと、車いすが進行方向からずれやすくなります。利用者は勾配に逆らいながら進むことになり、片手操作の方や介助者に負担がかかります。駅出入口のように人が 多い場所では、横方向へ流されることで他の利用者と接触するおそれもあります。
仕上げの継ぎ目も移動感に影響します。舗装材、床材、金物、排水溝蓋、点検蓋が連続する場所では、それぞれの端部に小さな高低差が生じやすくなります。施工時には、材料ごとの仕上がり高さを合わせるだけでなく、経年による沈下やたわみも考慮します。特に蓋類は、支持部のがたつきや周囲の沈みによって段差が生じることがあるため、車輪が通る位置に配置される場合は注意が必要です。
また、すり付け勾配の確認は、完成直後だけでなく、実際に通行を想定した目線で行うことが重要です。現場担当者が歩いて確認すると問題が見えにくい場合があります。歩行者は小さな段差を自然にまたぐことができますが、車いすでは前輪が直接影響を受けます。車輪の通過を想定し、進入角度、停止位置、曲がりやすさ、逆方向からの通行を確認することで、より実態に近い判断ができます。
段差解消の目的は、段差をなくすことだけではなく、無理な く連続して移動できる状態を作ることです。すり付け勾配と踊り場を丁寧に計画することで、車いす利用者にとっての負担を減らし、駅全体の移動品質を高めることができます。
排水と仕上げの管理で段差の再発を防ぐ
駅出入口の段差解消では、雨水処理と仕上げ管理を軽視すると、施工後に別の問題が発生することがあります。段差をなくすために床や舗装をすり付けると、既存の排水勾配が変わり、水たまりができやすくなる場合があります。水たまりは滑りやすさや汚れの原因になるだけでなく、利用者が避けて通ることで本来の車いす動線から外れるきっかけにもなります。
出入口付近は、屋外から雨水が入り込みやすく、屋根や庇の形状、風向き、清掃時の水の流れにも影響されます。段差解消後の仕上がりを考える際は、晴天時の見た目だけでなく、雨天時に水がどこへ流れるかを確認する必要があります。排水ますや側溝に向かって適切に流れるか、扉前に水が滞留しないか、仮に水が残っても車いす利用者が安全に通れるかを検討します。
排水を優先しすぎると、横断勾配が強くなり、車いす動線に影響することがあります。反対に、車いす動線の平たん性だけを優先すると、水が抜けずに仕上げ材の劣化や凍結、汚れの原因になる場合があります。実務では、排水と移動しやすさの両方を満たすために、勾配の向き、排水設備の位置、仕上げ材の目地、段差のない水切り処理を合わせて考えることが重要です。
仕上げ材の選定や施工精度も段差の再発に関係します。駅出入口は通行量が多く、車輪、台車、清掃機器、搬入機材が繰り返し通過します。仕上げ材の固定が不十分だったり、下地が安定していなかったりすると、時間の経過とともに沈みや浮きが出ることがあります。小さな浮きや沈みでも、車いすの前輪には大きな抵抗になる場合があります。
材料の境界部では、硬さや沈下特性の違いにも注意します。建物側の床、外部舗装、補修材、蓋類、金物などが接する場所では、同じ高さで仕上げても、その後の使用で差が出ることがあります。下地の締固め、支持部の安定、端部の納まり、目地の処理を丁寧に行うことで、段差の再発を抑えられます。
清掃や維持管理のしやすさも、車いす動線を守るうえで重要です。滑りにくい仕上げであっても、汚れがたまりやすい凹凸が多いと、雨天時にぬめりやすくなる場合があります。逆に、表面が滑らかすぎると水濡れ時の不安につながります。駅出入口では、日常清掃、雨天後の対応、落ち葉や砂の堆積、冬季の管理なども想定し、仕上げを選ぶ必要があります。
完成後の点検では、段差が解消されたかだけでなく、水の流れ、乾きにくい場所、滑りやすい部分、仕上げの浮き、目地の欠けを確認します。駅出入口は供用後に利用者の動きが集中するため、施工直後に問題がなくても、数週間から数か月の使用で不具合が見えることがあります。記録を残し、維持管理部門と共有しておくことで、段差の再発を早期に把握しやすくなります。
段差解消は一度の施工で終わるものではなく、供用後も状態を維持してはじめて効果を発揮します。排水と仕上げの管理を設計段階から施工、維持管理までつなげ ることで、車いす動線の安全性を長く保つことができます。
視覚障害者誘導用ブロックと車いす動線を両立する
駅出入口では、車いす動線と視覚障害者誘導用ブロックの配置を同時に考える必要があります。どちらも重要な移動支援ですが、配置や仕上げの扱いを誤ると、互いに使いにくさを生む場合があります。車いす利用者にとっては、ブロックの突起が振動や抵抗になることがあり、視覚障害者にとっては、段差解消に伴う床の変更で誘導の連続性が途切れることがあります。
段差解消工事では、既設の誘導ルートを一時的に撤去したり、移設したりすることがあります。このとき、工事後に元の位置へ戻すだけでは不十分な場合があります。出入口の形状、スロープの位置、扉の位置、案内設備の位置が変われば、誘導ルートも再検討が必要です。利用者が自然に入口を認識し、改札や案内設備へ進めるように、車いす動線と誘導ルートの関係を整理します。
視覚障害者誘導用ブロックは、情報を伝えるための連続した設備です。途中で途切れたり、仮設材で覆われたり、仕上げ材との境界が分かりにくくなったりすると、誘導機能が低下します。工事中の仮設段階でも、必要な誘導が確保されているかを確認することが大切です。仮設通路へ切り替える場合は、誘導員や案内表示だけに頼るのではなく、利用者が自ら方向を判断しやすい環境を整える必要があります。
一方で、車いす動線上に誘導ブロックが長く重なると、移動時の振動や走行抵抗が増えることがあります。特に出入口前の勾配部や曲がり角では、車いす利用者がブロックを斜めに横断することになり、前輪の向きが乱れやすくなります。配置を検討する際は、車いすが主に通る平たんな帯状の経路と、視覚障害者が認識しやすい誘導経路が無理なく共存できるようにします。
駅出入口は、音や人の流れも情報になります。混雑する場所では、誘導ブロック上に立ち止まる人が増えたり、荷物が置かれたりすることがあります。段差解消後に通路の幅や人の流れが変わると、誘導ブロックの使われ方も変化します。設計時には、単に線を引くように配置するのではなく、どこで人が待つのか、どこに案内表示があるのか、どの方向から車いすが進入するのかを合わせて確認します。
仕上げ高さの取り合いにも注意が必要です。誘導ブロックは周囲の床と高さや突起の関係を持つため、段差解消のすり付け部分に設置すると、局所的な不陸や水たまりが生じやすくなることがあります。ブロックの周囲に水がたまると滑りや汚れの原因になり、利用者が避けて通る動きにつながります。施工時には、ブロック端部、目地、周囲の排水方向を丁寧に確認します。
車いす動線と視覚障害者誘導用ブロックの両立には、関係者間の確認が欠かせません。土木、建築、設備、駅運営、案内計画、維持管理がそれぞれ別々に判断すると、現場で不整合が生じます。段差解消を行う前に、どの利用者にどの情報を提供するのか、どの経路を優先的に守るのか、工事中はどのように案内するのかを共有しておくことが重要です。
誰か一方にとって使いやすい出入口ではなく、複数の利用者が同じ空間を安全に使える出入口 を目指すことが、railway constructionにおける段差解消の実務品質につながります。
夜間施工と切替時の確認で供用中の安全を守る
鉄道駅の出入口工事では、夜間や終電後の限られた時間に施工し、翌朝には供用するケースがあります。このような施工では、短時間で撤去、下地調整、仕上げ、養生、清掃、開放確認を行う必要があり、段差や不陸の確認が後回しになりやすくなります。しかし、車いす動線を守るためには、切替直後の状態こそ慎重に確認する必要があります。
夜間施工では、照明条件が昼間と異なります。現場照明では平らに見えた場所でも、翌朝の自然光や駅照明の下では凹凸が見えにくくなることがあります。逆に、影が強く出ることで、利用者が段差を誤認する場合もあります。出入口付近は、屋外照明、駅舎照明、看板照明、車両のライトなどが重なり、視認性が一定ではありません。完成確認では、測定だけでなく、利用者が見る方向からの見え方を確認することが大切です。
切替時には、仮設から本設へ、または旧経路から新経路へ利用者の流れが変わります。この瞬間に案内表示や誘導員の配置が不十分だと、利用者が工事中のエリアへ入りかけたり、段差の残る端部へ近づいたりすることがあります。特に始発前後は、通勤利用者が急いでいるため、案内を細かく読まずに普段の経路へ進むことがあります。切替直後は、普段との違いを早めに認識できる案内が必要です。
施工途中の状態で一時開放する場合は、端部処理が重要です。仕上げが完成していない境界、仮舗装の継ぎ目、養生材の端、仮設蓋の周囲には、小さな段差が生じやすくなります。短期間だからといって不安定な状態で開放すると、車いすだけでなく歩行者にも危険が生じます。一時開放する箇所は、最終仕上げではないとしても、供用通路として必要な平たん性、固定性、視認性を確保する必要があります。
夜間施工では、作業者が工程に追われ、完成後の利用者目線で歩く時間が少なくなることがあります。これを防ぐには、切替確認の項目をあらかじめ決めておくことが有効です。高さ、勾配、端部、蓋、排水、案内、照明、仮囲い 、清掃状況、通行幅などを確認し、問題があれば開放前に補修または暫定対策を行います。口頭確認だけでなく、写真や簡単な記録を残すことで、翌日の引き継ぎも円滑になります。
駅出入口では、早朝の供用開始後に予想外の動きが起こることもあります。利用者が新しい動線に慣れていない場合、狭い場所で立ち止まったり、別の入口へ向かったり、案内を確認するために逆流したりします。切替後しばらくは、現場担当者や駅係員が状況を観察し、案内の位置や仮設材の状態を見直すことが望まれます。車いす利用者が通過しにくそうにしている場所があれば、段差だけでなく、幅、勾配、混雑、見通しの問題も含めて確認します。
段差解消工事の品質は、完成図面どおりに仕上げることだけで決まりません。供用中の駅で安全に切り替え、利用者が迷わず通行でき、問題があれば対応できることも品質の一部です。夜間施工と切替時の確認を丁寧に行うことで、工事中から完成後まで車いす動線を守りやすくなります。
記録と共有を残し次の施工判断につなげる
駅出入口の段差解消で得られた情報は、その工事だけで終わらせず、次の施工や維持管理に活かすことが大切です。鉄道施設は長く使われるため、同じ出入口や隣接エリアで、将来また補修、設備更新、舗装改修、案内サイン更新、排水改修が行われることがあります。その際、過去の段差解消でどの高さを基準にしたのか、どこに制約があったのか、どの仮設動線が有効だったのかが分かると、計画の精度が上がります。
記録として残したい内容は、完成写真だけではありません。着工前の段差や勾配、既設設備の高さ、施工中の仮設経路、切替時の対応、完成後の確認結果、供用後に見つかった課題などを一連の流れとして残すことが重要です。写真だけでは高さや勾配の意味が伝わりにくいため、撮影位置や向き、確認したポイントを合わせて整理します。
段差解消工事では、現場での判断が多く発生します。図面上の想定と現況が異なる場合、既設部との取り合いを現場で調整することがあります。その判断の理由を残しておかないと、後から見た人には、なぜその勾配になったのか、なぜその位置で誘導ブロックを切り替えたのかが分かりません。記録を残すことで、将来の担当者が同じ課題を繰り返さずに済みます。
共有の対象は、施工会社だけではありません。鉄道事業者、駅運営、保守担当、案内担当、清掃担当、隣接施設の管理者など、段差解消後の出入口に関わる人へ必要な情報を渡すことが大切です。たとえば、排水の流れが変わった場所、定期的に確認したい蓋、仮設期間中に利用者が迷いやすかった場所、完成後に水が残りやすい場所などは、維持管理に直結します。
また、利用者からの声を記録に反映することも有効です。工事関係者が問題ないと判断した場所でも、実際の利用者には使いにくい場合があります。車いす利用者、高齢者、視覚障害者、ベビーカー利用者、荷物を持つ旅行者など、さまざまな利用者の動きから得られる気づきは、次の改善に役立ちます。すべてを即時に改修できなくても、課題として残すことで、次回の工事や設備更新時に反映できます。
近年の現 場では、位置情報を持った写真や点群、施工記録を活用し、現況と完成状態を立体的に残す考え方も広がっています。駅出入口のように取り合いが複雑な場所では、平面図や文字だけでは伝わりにくい段差、勾配、通路幅、設備位置を、現場の状態に近い形で共有できることが大きな利点です。記録の精度が高まれば、関係者間の認識違いを減らし、次の施工判断も早くなります。
段差解消は、現場で完結する小さな補修に見えることがあります。しかし、実際には駅の移動品質を支える重要な工事です。記録と共有を丁寧に行えば、個別の工事で得た知見が蓄積され、駅全体のバリアフリー改善につながります。
まとめ
鉄道施工の駅出入口段差解消では、車いす動線を守るために、段差そのものだけでなく、移動経路全体を見て判断することが重要です。出入口前の舗装、建具下端、排水、誘導設備、仮設通路、夜間施工、切替時の案内など、複数の要素が重なるため、一つの数値だけで安全性や使いやすさを判断することはできません。
最初に確認したいのは、駅前から改札やエレベーター方面まで、車いす利用者が無理なく連続して移動できるかという視点です。そのためには、現況測量で段差や勾配の起点を正確に押さえ、施工範囲内外の高低差を面として把握する必要があります。次に、工事中の仮設通路でも車いす動線を途切れさせず、幅員、端部処理、案内、固定状態を日々確認することが求められます。
本設の仕上げでは、すり付け勾配と踊り場を丁寧に計画し、停止、方向転換、扉の通過がしやすい状態を確保します。排水と仕上げの管理では、水たまりや仕上げ材の浮き沈みを防ぎ、段差の再発を抑えることが大切です。さらに、視覚障害者誘導用ブロックとの関係を整理し、複数の利用者が同じ空間を安全に使えるように配慮します。
夜間施工や供用切替では、短時間の作業であっても、開放前の確認を省略しないことが重要です。小さな仮設段差、案内不足、照明条件の違いが、利用者の不安や事故につながる可能性があります。完成後は、写真や測定結果、現場判断、利用者の動きなどを記録し、次の施工や維持管理へ共有することで、駅全体の改善につなげられます。
駅出入口の段差解消は、見た目の平たん化ではなく、誰もが迷わず、安全に、連続して移動できる動線を整える仕事です。現況把握から仮設、仕上げ、切替、記録までを一体で管理することで、railway constructionの品質は高まりやすくなります。現場の段差や勾配、出入口周辺の状態を分かりやすく記録し、関係者間で共有することが、次の改善判断につながります。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、
こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

