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PVSyst マニュアルで地形条件を反映する5つの考え方

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSyst マニュアルで地形条件を確認する前提

地形条件を反映する考え方1:場所と気象条件を分けて整理する

地形条件を反映する考え方2:傾斜と方位を発電条件として扱う

地形条件を反映する考え方3:周辺地形による日陰を過小評価しない

地形条件を反映する考え方4:配置計画と地形のずれを確認する

地形条件を反映する考え方5:現地条件と解析条件を照合する

地形条件を反映するときに起こりやすいミス

PVSyst マニュアルを実務で使うときの確認手順

地形条件を反映した解析結果の見方

まとめ


PVSyst マニュアルで地形条件を確認する前提

PVSyst マニュアルで地形条件を反映したいと考える人の多くは、太陽光発電所の設計や発電量シミュレーションで、現地の傾斜、方位、周辺の山、法面、造成形状、段差、地表面条件などをどこまで考慮すべきか迷っています。平坦な土地であれば、システム容量、パネルの向き、傾斜角、機器仕様、日射量データを中心に検討できます。しかし実際の案件では、敷地が完全に水平であることは少なく、地形のわずかな違いが配置、日陰、施工性、保守性、発電量の見込みに影響します。


PVSyst マニュアルを読むときに大切なのは、地形条件を単なる背景情報として扱わないことです。地形は、発電量を直接変える要素であると同時に、設計条件を間接的に制約する要素でもあります。たとえば南向き斜面であれば、同じパネル傾斜角でも太陽光を受けやすくなる場合があります。一方、北向き斜面や谷地形では、地表面の勾配そのものよりも、周囲の山や斜面による朝夕の日陰が問題になることがあります。


また、PVSyst の操作画面だけを追っていると、入力欄を埋めることが目的になりがちです。しかし実務では、入力した条件が現地のどの情報に対応しているのかを説明できることが重要です。地形条件を反映するとは、単に3D画面に地面を作ることではありません。測量図、造成図、配置図、航空写真、現地写真、周辺障害物、地盤高、斜面方向などを整理し、解析上どの条件として扱うのかを決める作業です。


PVSyst マニュアルを使って地形条件を確認する際は、まず解析の目的を明確にする必要があります。概算段階なのか、基本設計段階なのか、詳細設計段階なのかによって、必要な地形反映の細かさは変わります。概算段階では周辺地形による大きな日陰や方位の違いを押さえるだけでも十分な場合があります。詳細設計では、アレイごとの標高差、列間隔、架台高さ、地表面勾配、造成後の地盤形状まで確認が必要になることがあります。


つまり、PVSyst マニュアルで地形条件を反映するには、ソフトの機能を覚える前に、どの地形要素が発電量や設計判断に効くのかを整理することが出発点になります。本記事では、地形条件を実務に落とし込むための5つの考え方を、入力作業だけでなく判断の流れとして解説します。


地形条件を反映する考え方1:場所と気象条件を分けて整理する

地形条件を反映するときの最初の考え方は、場所の条件と気象条件を混同しないことです。PVSyst では、対象地点の位置情報や気象データを設定しますが、これだけで地形が自動的に正確に反映されるわけではありません。緯度、経度、標高、気象データは、その場所の太陽高度や日射環境を決める基礎条件です。一方で、敷地内の起伏や周辺の山、斜面、建物、樹木などは、別途確認して反映すべき条件になります。


たとえば、同じ地域の気象データを使っても、尾根上の敷地と谷あいの敷地では、実際の日照条件が異なることがあります。気象データ上の日射量が十分でも、東側に山があれば朝の日射が遮られる可能性があります。西側に斜面や林地があれば、夕方の発電が想定より低くなる場合もあります。このような差は、気象データだけでは表現しきれません。


PVSyst マニュアルを読む際には、気象データの設定項目と、近傍障害物や3Dシーン、地平線条件に関する項目を分けて理解することが大切です。気象条件は広域的な日射の前提であり、地形条件はその日射が現地のパネル面に届くまでの制約です。これを分けて考えないと、地形による損失を気象データの問題として扱ってしまい、原因の切り分けが難しくなります。


実務では、まず対象地の位置、標高、利用する気象データの出どころ、周辺地形の概要を整理します。そのうえで、敷地内の地盤高差や傾斜方向、造成前後の形状、周辺の山や林地の位置を別のレイヤーとして見ます。これにより、PVSyst 上で何を気象条件として入力し、何を日陰条件や配置条件として扱うかが明確になります。


注意したいのは、標高の扱いです。標高は気象条件や温度条件に関係することがありますが、敷地内の細かな高低差とは別に考える必要があります。ある地点の代表標高を設定しただけでは、敷地内の段差や斜面上のアレイ配置まで反映したことにはなりません。地形条件を反映するという言葉の中には、広域的な標高条件と、敷地内の局所的な起伏条件が含まれています。


この区別ができていると、解析結果を説明するときにも説得力が出ます。発電量が低く出た場合に、気象データが厳しいのか、周辺地形の日陰が効いているのか、パネル配置が斜面に合っていないのかを切り分けやすくなります。PVSyst マニュアルを操作手順として読むだけでなく、入力項目がどの現地条件を代表しているのかを対応づけることが重要です。


地形条件を反映する考え方2:傾斜と方位を発電条件として扱う

地形条件の中でも、敷地の傾斜と方位は発電量に関わる基本要素です。太陽光パネルは、受ける日射量が角度によって変わります。架台でパネル角度を調整できるとしても、地盤そのものが傾いている場合、実際の設置角度、列間隔、影の落ち方、施工方法に影響します。そのため、PVSyst マニュアルで地形条件を確認するときは、敷地傾斜を単なる地面の形ではなく、発電条件の一部として扱う必要があります。


南向きの緩やかな斜面では、設計上有利に働くことがあります。地面が太陽の方向に向いているため、架台の高さや傾斜角の考え方が平地とは変わる場合があります。一方、北向き斜面では、同じパネル傾斜角を確保しようとしても架台高さが大きくなったり、列間隔を広く取る必要が出たりします。東西方向に傾斜がある場合は、朝と夕方の日射条件やアレイごとの発電差を意識する必要があります。


PVSyst で発電量を検討する際、パネル面の傾斜角と方位角は重要な入力条件です。しかし、現地の地形勾配とパネル面の角度を混同すると、実際と異なる条件で解析してしまうことがあります。地面が傾いているからといって、パネル面が同じ角度で傾いているとは限りません。逆に、架台を地形なりに設置する場合は、地形勾配がそのままアレイ面の向きに影響することがあります。


実務では、まず敷地全体の平均的な傾斜方向を見るだけでなく、アレイを配置する範囲ごとに地形を分けて考えることが大切です。造成地では、敷地の一部が平坦で、別の部分が法面に近い形状になっていることがあります。大規模な地上設置案件では、同じ発電所内でも区画ごとに傾斜や方位が異なることがあります。このような場合、すべてを一つの代表条件で処理すると、実際の発電傾向との差が大きくなる可能性があります。


地形を反映するうえでは、パネルをどの基準に合わせて配置するのかも重要です。地面の勾配に合わせるのか、真南方向にそろえるのか、敷地境界や道路に合わせるのかによって、発電量と施工性のバランスが変わります。PVSyst マニュアルを読むときは、入力する角度が設計意図を表しているか、現地の地形に引きずられた結果なのかを区別しておくと、検討の精度が上がります。


また、地形勾配は影の長さにも影響します。平坦地での列間隔と、傾斜地での列間隔は同じ考え方では扱えません。上り勾配や下り勾配の方向によって、前列の影が後列に与える影響は変わります。特に冬季の太陽高度が低い時期には、わずかな地盤高差や列間隔の不足が発電ロスにつながることがあります。


このように、傾斜と方位は地形図の読み取りだけで終わる条件ではありません。パネル面の角度、架台計画、列間隔、日陰損失、施工性をつなぐ条件です。PVSyst マニュアルを使うときは、地形の傾きがどの入力項目に反映され、どの損失評価に関係するのかを意識して確認することが重要です。


地形条件を反映する考え方3:周辺地形による日陰を過小評価しない

地形条件を反映するうえで特に見落としやすいのが、周辺地形による日陰です。太陽光発電のシミュレーションでは、建物や樹木の影に注意が向きやすい一方で、遠くの山、丘陵、斜面、堤防、造成の法肩などによる影が軽く扱われることがあります。しかし、周辺地形による日陰は、朝夕や冬季に大きく効く場合があり、年間発電量や時間帯別の発電傾向に影響します。


PVSyst マニュアルで地形条件を確認するときは、近くの障害物と遠方の地平線条件を分けて考えることが大切です。近くの障害物は、パネル列、建物、擁壁、樹木、設備機器などが対象になります。これらは3D的な位置関係によって、特定のアレイやストリングに影響します。一方、遠方の山や丘陵は、太陽が低い角度にある時間帯に、敷地全体へ広く影響することがあります。


周辺地形の日陰を過小評価すると、実際には朝の立ち上がりが遅い敷地であるにもかかわらず、解析上は早い時間から発電すると見込んでしまうことがあります。逆に、西側に高い地形がある場合、夕方の発電が早く落ちることがあります。年間発電量だけを見ると差が小さく見える場合でも、時間帯別の発電特性や自家消費率、蓄電池連携、出力制御の検討では影響が無視できないことがあります。


地形による日陰を確認する際は、対象地から見た東西南北の見通しを整理することが重要です。特に太陽の通り道に対して、どの方向に高い地形があるのかを確認します。南側の山は日中の日射に影響しやすく、東側や西側の山は朝夕の発電に影響しやすくなります。北側の地形は日本国内の一般的な太陽光案件では直接影響が小さいこともありますが、斜面や高緯度条件、特殊な配置では確認しておく必要があります。


PVSyst 上で周辺地形を扱う場合、地平線条件や近傍影の設定に関する考え方を理解することが大切です。すべての地形を詳細な3Dモデルで再現する必要があるとは限りません。遠方の山並みは地平線として扱い、敷地周辺の建物や法面、樹木、段差は近傍影として扱うなど、影響の性質に応じて表現方法を分けると実務的です。


重要なのは、細かく作り込むことそのものではなく、発電量に効く影を落とさないことです。解析の見た目が精密でも、東側の山影を反映していなければ、朝の発電見込みは過大になる可能性があります。逆に、発電にほとんど影響しない細部まで作り込むと、作業時間が増えるだけで、判断に必要な精度はあまり上がらない場合もあります。


現地確認では、写真や動画を残すだけでなく、どの方向にどの程度の高さの障害物や地形があるのかを記録しておくと、PVSyst の設定に落とし込みやすくなります。測量データや地形データがある場合は、配置図と重ねて確認することで、日陰の原因を説明しやすくなります。PVSyst マニュアルを読む際は、日陰設定を単なる画面操作として見るのではなく、周辺地形をどの程度まで解析条件に含めるべきかを判断するための項目として扱うことが大切です。


地形条件を反映する考え方4:配置計画と地形のずれを確認する

地形条件を反映する4つ目の考え方は、配置計画と地形のずれを確認することです。太陽光発電所の設計では、パネルをきれいに並べることだけでなく、その配置が現地の地形に対して無理なく成立するかが重要です。図面上では整ったアレイ配置でも、実際の地形に重ねると、法面にかかる、排水路と干渉する、造成高低差が大きい、保守通路が取りにくいといった問題が出ることがあります。


PVSyst マニュアルを見ながらシミュレーションを行う際、発電量だけを重視して配置を決めると、施工上の制約を見落とすことがあります。地形条件は、パネルの向きや傾斜だけでなく、設置可能範囲そのものを決めます。急傾斜地、段差のある造成地、谷筋、排水方向が複雑な土地では、パネルを置ける範囲と置くべきでない範囲を明確に分ける必要があります。


配置計画と地形のずれでよく起きるのは、平面図では問題がないように見えるのに、断面方向で無理があるケースです。たとえば、隣り合うアレイの地盤高が大きく異なる場合、架台高さの調整が必要になります。列間隔が同じでも、上段と下段の関係によって影の出方が変わることがあります。保守通路や管理道路の勾配がきつくなり、施工後の点検や除草に支障が出ることもあります。


PVSyst に入力する配置条件は、現地の地形を完全に再現するものではなく、発電量評価に必要な形に整理された条件です。そのため、入力前に地形と配置の関係を確認しておく必要があります。どの範囲を発電エリアとして扱うのか、どの範囲を除外するのか、アレイごとに傾斜条件を変える必要があるのか、周辺の法面や擁壁が影を落とすのかを整理します。


また、地形条件を反映するときは、造成前の地形と造成後の地形を混同しないことが重要です。初期検討では現況地形を使っていても、実施設計では造成後の計画地盤で検討する場合があります。造成によって斜面が削られたり、盛土で高さが変わったりすれば、周辺との高低差や影の条件も変わります。PVSyst の解析条件がどの時点の地形を前提にしているのかを明確にしておかないと、設計図面との整合が取れなくなります。


地形と配置のずれを確認するためには、平面図だけでなく、断面図や高低差情報を見ることが有効です。敷地境界、等高線、造成計画、排水計画、管理道路、パワーコンディショナや受変電設備の位置も含めて確認すると、発電量だけでは見えない制約が分かります。PVSyst マニュアルの操作手順に沿って入力する前に、そもそもその配置が地形に対して妥当かを確認することが、解析の信頼性を高めます。


特に大規模な案件では、地形に合わせてアレイを複数のブロックに分ける考え方が重要です。敷地全体を一つの均一な条件として扱うより、傾斜方向や高低差、日陰の影響が似ている範囲ごとに分けたほうが、現実に近い評価ができます。PVSyst での入力作業も、こうした設計上の区分を反映する形で進めると、後から結果を説明しやすくなります。


地形条件を反映する考え方5:現地条件と解析条件を照合する

地形条件を反映する最後の考え方は、現地条件と解析条件を必ず照合することです。PVSyst マニュアルに沿って設定を進めると、入力欄を埋めることで作業が完了したように感じます。しかし、解析に使った条件が現地の実態や設計図面と一致していなければ、結果の信頼性は下がります。地形条件は特に、図面、測量、現地写真、造成計画、配置案の間で差が出やすい項目です。


照合のポイントは、入力した条件が何を根拠にしているかを説明できる状態にすることです。パネル傾斜角は設計図面に基づくのか、地形に合わせた仮定なのか。方位角は真南基準なのか、敷地境界や道路に合わせたものなのか。周辺地形による影は、現地写真、地形データ、目視確認、測量結果のどれを根拠にしたのか。こうした情報が整理されていると、解析結果を社内外に説明しやすくなります。


PVSyst の結果は、入力条件の品質に大きく左右されます。地形条件を細かく設定したとしても、その前提が古い図面や造成前のデータであれば、現在の計画とは合わない可能性があります。逆に、詳細な3Dデータがなくても、発電に効く主要な地形影響を適切に押さえていれば、検討段階として十分な判断ができる場合もあります。大切なのは、解析の目的に対して必要な地形条件が過不足なく反映されていることです。


現地条件と解析条件を照合する際は、発電量の数値だけでなく、日陰の発生時期や時間帯、影響を受けるアレイ範囲も確認します。年間発電量が想定範囲に入っていても、特定の季節や時間帯に大きな影が出ている場合があります。特に山間部、谷地形、傾斜地、周辺に樹林がある土地では、時間帯別の発電傾向を確認することが重要です。


また、解析条件の更新管理も見落とせません。太陽光案件では、初期配置案から最終設計までに、パネル枚数、列間隔、架台高さ、機器配置、造成計画が変わることがあります。地形条件を反映した解析を一度作成しても、設計変更が入れば再確認が必要です。古い配置に基づく日陰条件や地形条件のまま発電量を評価すると、実際の計画とズレた結果になります。


PVSyst マニュアルを実務で使うなら、設定後の確認作業まで含めて一連の流れとして考えるべきです。入力した条件、使った図面、仮定した地形、反映しなかった要素、解析結果への影響を簡潔に整理しておくと、後工程での手戻りを減らせます。地形条件は一度入力して終わりではなく、設計の進捗に合わせて見直す条件です。


地形条件を反映するときに起こりやすいミス

PVSyst マニュアルを見ながら地形条件を反映するとき、よくあるミスは、地形を細かく作り込むことに意識が向きすぎて、発電量に本当に効く条件を見落とすことです。精密な見た目の3Dシーンを作っても、周辺の山影や斜面方向、列間隔の影響が適切に反映されていなければ、解析の実用性は下がります。地形反映は、見た目の再現ではなく、発電条件の再現として考える必要があります。


もう一つのミスは、代表条件で敷地全体を単純化しすぎることです。小規模で平坦な案件なら代表値でも十分な場合がありますが、傾斜や高低差が大きい土地では、全体を一つの傾斜角や方位で扱うと実態から外れることがあります。特に、南向き斜面と東向き斜面が混在する敷地、造成段差がある敷地、谷筋を含む敷地では、範囲ごとの条件差を確認する必要があります。


造成前後のデータを混同することも起こりやすいミスです。初期検討の段階では現況地形を前提にしていたのに、途中で造成計画が変わり、最終的な地盤高や法面位置が異なることがあります。このとき、PVSyst の解析条件を更新しないまま結果だけを使うと、日陰や配置の前提が実際の計画と合わなくなります。地形データの版数や図面の更新日を確認する習慣が重要です。


また、周辺樹木や法面を一時的なものとして無視してしまうケースもあります。樹木は伐採予定であれば解析条件から除外できる場合がありますが、伐採範囲が未確定であったり、隣地の樹木で管理できなかったりする場合は、影響を考慮すべきです。法面や擁壁も、造成後に残る形状であれば、影や保守動線に影響することがあります。


地形条件を反映するときは、単位や座標の認識にも注意が必要です。図面や測量データを参照する場合、縮尺、方位、基準高さ、座標系の違いによって、配置の向きや位置がずれることがあります。PVSyst 上で入力する角度や方位が、図面上の方位と一致しているかを確認しないと、南北がわずかにずれた条件で解析してしまう可能性があります。小さな角度差でも、斜面地や影の検討では無視できない場合があります。


さらに、解析結果を年間発電量だけで判断するのも危険です。地形影響は、年間値では目立ちにくくても、季節別、月別、時間帯別では大きく出ることがあります。朝夕の影、冬季の日射不足、特定アレイの発電低下は、年間合計だけでは把握しにくいものです。地形条件を反映したなら、結果画面でも地形による影響がどのように表れているかを確認する必要があります。


PVSyst マニュアルを実務で使うときの確認手順

PVSyst マニュアルを実務で使う場合、まず行うべきことは、解析対象の条件整理です。対象地の位置、敷地範囲、設置容量、配置案、造成前後の地形、周辺環境、利用する気象データを確認します。この段階で、地形条件をどこまで反映する必要があるかを決めます。概算検討であれば大きな地形影響に絞り、詳細検討であれば区画ごとの高低差や近傍影まで確認します。


次に、敷地内の傾斜と方位を把握します。図面や測量データがある場合は、等高線や地盤高から、アレイ配置範囲の傾斜方向を確認します。現地写真がある場合は、図面では分かりにくい段差、法面、樹木、周辺建物、管理道路の状況を見ます。斜面地では、平面図だけでなく断面方向の確認が重要です。


その後、パネル配置と地形の関係を確認します。パネル列が地形に対して自然に配置されているか、列間隔に無理がないか、影の影響が大きい区画がないかを見ます。地形に合わせて複数のブロックに分ける必要がある場合は、代表条件を分けて設定することを検討します。すべてを一括で扱うより、発電特性の似た範囲ごとに整理したほうが、結果の解釈がしやすくなります。


次に、周辺地形による日陰を確認します。東側、西側、南側に高い地形や樹林、建物、法面がないかを見ます。遠方の山並みは地平線条件として整理し、近くの障害物は近傍影として扱うなど、影響の種類に応じて考えます。ここで大切なのは、すべてを詳細に再現することではなく、発電量に影響する影を見落とさないことです。


PVSyst への入力後は、設定した条件が意図どおり反映されているかを確認します。方位角、傾斜角、配置、日陰条件、気象データ、損失条件が、設計資料や現地条件と合っているかを見直します。入力値だけでなく、結果画面で影の影響や損失の出方も確認します。地形条件を反映したつもりでも、結果に全く影響が出ていない場合は、設定が正しく反映されていない可能性があります。


最後に、解析条件を記録します。どの図面を使ったのか、どの地形条件を反映したのか、どの要素は反映しなかったのか、どの程度の精度を前提にしたのかを残しておくと、後で設計変更が入ったときに見直しやすくなります。PVSyst マニュアルを実務で使ううえでは、操作だけでなく、条件整理、入力、確認、記録までを一つの流れとして扱うことが重要です。


地形条件を反映した解析結果の見方

地形条件を反映した後は、結果の見方も変わります。単に年間発電量が高いか低いかを見るだけでは、地形を考慮した意味が十分に分かりません。地形条件は、月別発電量、時間帯別発電量、日陰損失、アレイごとの差、季節ごとの傾向に表れます。特に、周辺地形による影を反映した場合は、朝夕や冬季の発電低下に注目する必要があります。


まず確認したいのは、想定した地形影響が結果に表れているかです。東側に山がある敷地であれば、朝の発電立ち上がりに影響が出る可能性があります。西側に高い地形がある場合は、夕方の発電が早く下がる傾向が考えられます。南側に障害となる地形がある場合は、冬季の日中に影響が大きくなることがあります。解析結果がこうした現地感覚と大きく異なる場合は、設定条件を見直すべきです。


次に、損失項目の内訳を確認します。地形条件による影響は、日陰損失や入射角の条件、配置に関わる損失として表れることがあります。損失が大きい場合は、どの地形要素が原因なのかを切り分けます。列間隔の問題なのか、周辺山影なのか、パネル方位が最適でないのか、地形に合わせた配置によって傾斜条件が変わったのかを確認します。


年間発電量が大きく変わらない場合でも、時間帯別の発電パターンが変わることがあります。これは自家消費型や蓄電池連携を検討する際に重要です。たとえば、朝の発電が遅れる敷地では、午前中の需要に対する発電寄与が想定より小さくなる可能性があります。夕方の影が大きい敷地では、夕方需要への対応が弱くなることがあります。地形条件は、年間の総量だけでなく、発電する時間帯にも影響します。


また、地形を反映した結果は、設計改善の判断にも使えます。配置を少しずらす、列間隔を広げる、架台高さを調整する、影の大きい範囲のパネルを減らす、伐採や造成の可能性を検討するなど、発電量と施工性のバランスを見直す材料になります。PVSyst の結果を単なる提出用レポートとして扱うのではなく、設計案を改善するための情報として使うことが重要です。


解析結果を見るときは、入力条件の不確実性も意識します。地形データが粗い場合、周辺樹木の将来状態が未確定の場合、造成計画が変更される可能性がある場合は、結果にも一定の幅があります。そのため、精密な数値だけを強調するのではなく、どの条件に基づく結果なのかを説明できるようにしておく必要があります。


まとめ

PVSyst マニュアルで地形条件を反映するには、画面上の入力手順を覚えるだけでは不十分です。地形条件は、場所、気象、傾斜、方位、周辺日陰、配置計画、造成条件、現地確認とつながっています。どの条件をどの入力項目に反映するのかを整理しなければ、見た目は整った解析でも、実際の発電条件とはずれた結果になる可能性があります。


まず大切なのは、場所と気象条件を分けて考えることです。気象データは広域的な日射環境を表しますが、敷地内の起伏や周辺地形の日陰までは自動的に表現しません。次に、傾斜と方位を発電条件として扱うことが必要です。地形の向きや勾配は、パネル面の角度、列間隔、影の出方、施工性に影響します。


さらに、周辺地形による日陰を過小評価しないことが重要です。山、丘陵、法面、樹林、擁壁などは、朝夕や冬季の発電量に影響する場合があります。配置計画と地形のずれも確認すべきです。平面図では成立している配置でも、断面方向や造成後の地盤条件を見ると、影や施工上の問題が見つかることがあります。


最後に、現地条件と解析条件を照合することが欠かせません。入力した値がどの図面や現地情報に基づくのか、どの地形条件を反映し、どの条件を反映していないのかを説明できる状態にすることで、解析結果の信頼性が高まります。PVSyst マニュアルを実務で活用するなら、操作手順、条件整理、結果確認、記録管理を一体で進めることが大切です。


地形条件を正しく反映できれば、発電量の見込みだけでなく、配置の妥当性、影のリスク、設計変更の必要性、保守性まで見えやすくなります。PVSyst を単なるシミュレーションソフトとして使うのではなく、現地条件を設計判断に結びつける道具として活用することが、地形のある太陽光案件で失敗を減らすための基本です。


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