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PVSyst マニュアルで積雪地域を想定する6つの設定

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSyst マニュアルで積雪地域を扱う前に押さえる前提

設定1 気象データは積雪期の再現性を確認する

設定2 方位角と傾斜角は雪の残り方まで含めて考える

設定3 積雪による発電低下は月別の損失として整理する

設定4 アルベドは雪面反射と通常地表を分けて考える

設定5 低温条件はストリング電圧と機器選定に反映する

設定6 両面発電では裏面側の雪面反射を別管理する

積雪地域のPVSyst設定でよくある失敗

シミュレーション結果を読むときの確認ポイント

まとめ


PVSyst マニュアルで積雪地域を扱う前に押さえる前提

PVSyst マニュアルで積雪地域の太陽光発電シミュレーションを行うとき、最初に理解しておきたいのは、積雪は単なる「冬の発電量低下」ではなく、複数の設定項目にまたがって影響する条件だという点です。雪は日射を遮る一方で、地表の反射率を高める場合もあります。さらに、低温によってモジュール電圧が上昇し、インバータの入力条件やストリング設計にも影響します。したがって、積雪地域を想定する場合は、損失設定だけを大きくすればよいという考え方では不十分です。


PVSystでは、プロジェクト単位で地点、気象データ、アルベドなどの基本条件を設定し、バリアント側でモジュール、インバータ、幾何条件、影、損失などの詳細条件を組み立てます。公式マニュアルでも、Projectが地点や気象データ、一般パラメータを持ち、Variantがモジュール、インバータ、幾何レイアウト、影などの詳細定義を含む構造として説明されています。積雪地域の検討では、この階層を意識し、どの現象をプロジェクト側で扱い、どの現象をバリアント側で扱うかを切り分けることが重要です。


特に注意したいのは、PVSystの気象データに雪そのものの挙動が自動的に完全再現されるわけではない点です。PVsystの公式ドキュメントでは、雪はPVsystの気象データに含まれておらず、雪がいつアレイから落ちるかを予測するのは難しいため、必要に応じて特定月の部分的または完全なsoiling attenuationとして考慮すると説明されています。つまり、積雪地域では「雪の影響をどの入力項目に置き換えるか」を設計者が判断する必要があります。


この記事では、PVSyst マニュアルを読む実務者が、積雪地域の案件で最低限確認したい6つの設定を整理します。対象は、屋根設置、地上設置、低圧から高圧までの一般的な太陽光発電案件です。細かな数値は案件ごとに異なりますが、設定の考え方を押さえておけば、単に冬季発電量を下げるだけの粗い検討から一歩進み、設計条件、発電量予測、レポート説明の整合性を高めやすくなります。


設定1 気象データは積雪期の再現性を確認する

積雪地域を想定する最初の設定は、気象データの選び方です。PVSystでは地点を設定し、気象データを読み込んだうえでシミュレーションを進めます。しかし、雪国の太陽光発電では、年間日射量だけを見て気象データを選ぶと、冬季の発電量評価を誤る可能性があります。なぜなら、積雪地域では冬季の日射、気温、雲量、降雪後の晴天、雪面反射などが発電量に複合的に影響するからです。


PVSyst マニュアルを確認すると、地点作成時には複数の気象データソースからデータを取り込めること、また、データソースごとの妥当性はユーザー側で評価する必要があることが示されています。さらに、TMYデータは長期間の実測データから代表年を構成する考え方であり、合成された時系列データとは性質が異なります。積雪地域では、平均的な日射量だけでなく、冬季の月別傾向が実態に近いかを確認することが欠かせません。


実務では、まずシミュレーション地点の緯度経度と標高を確認し、使用する気象データが対象地の雪の多さをどこまで反映しているかを見ます。沿岸部と内陸部、平野部と山間部では、同じ県内でも降雪量や日射条件が大きく異なります。PVSyst上では似た年間日射量に見えても、12月から3月の月別日射量や気温が現地感覚とずれていることがあります。このずれを放置すると、冬季の損失設定やアルベド設定を調整しても、全体として不自然なシミュレーションになりやすくなります。


また、発電量予測の説明資料では、どの気象データを使ったかだけでなく、積雪そのものをどのように扱ったかを明確にしておくことが重要です。気象データが平均的な日射と気温を表すものであって、積雪によるモジュール面の遮蔽を直接表すものではない場合、別途損失として考える必要があります。逆に、冬季の日射がすでに保守的なデータであるにもかかわらず、さらに過大な雪損失を重ねると、発電量を必要以上に低く見積もる可能性があります。


気象データの確認は、積雪地域のPVSyst設定全体の土台です。ここが曖昧なままだと、後続の傾斜角、soiling loss、アルベド、温度条件の設定根拠も曖昧になります。PVSyst マニュアルを読む際は、画面操作だけでなく、入力した気象データが何を表し、何を表していないのかを意識することが大切です。


設定2 方位角と傾斜角は雪の残り方まで含めて考える

積雪地域で次に重要になるのが、モジュールの方位角と傾斜角です。通常の太陽光発電設計では、年間発電量を最大化するために方位と傾斜を検討します。しかし、雪の多い地域では、傾斜角が発電量だけでなく、モジュール表面に雪が残る時間にも関係します。低い傾斜では雪が滑り落ちにくく、発電停止に近い状態が長引く可能性があります。一方で、傾斜を大きくしすぎると、夏季や年間全体の入射条件、風荷重、架台コスト、景観、設置可能枚数に影響します。


PVSystでは、固定設置の場合にPlane tiltとPlane azimuthを設定し、太陽高度や入射角に応じた発電量を計算します。積雪地域では、この設定を単なる最適化ツールの結果だけで決めるのではなく、雪が落ちやすい角度か、落雪した雪が下段や通路に影響しないか、屋根上で雪止めや軒先条件と干渉しないかを含めて考える必要があります。特に屋根設置では、実際の屋根勾配が固定条件になることが多く、PVSyst上の理想値と施工可能な角度が一致しない場合があります。


方位角についても、単純に南向きに近づければよいとは限りません。東西屋根、複数面屋根、山間部の地形影、冬季の低い太陽高度による遮蔽などがある場合、冬季発電量の落ち込みが特定面に偏ることがあります。積雪地域では、南面であっても前方障害物や雪庇、周辺樹木、隣接建物の影が冬季に強く出ることがあります。PVSystの3Dシーンや近傍影設定を使う場合は、冬季の太陽高度で影がどう出るかを確認し、積雪損失と影損失を混同しないことが重要です。


また、傾斜角を変えた複数バリアントを作成して比較する方法も有効です。たとえば、標準的な傾斜、雪落ちを重視したやや急傾斜、設置容量を重視した低傾斜の3案を作り、年間発電量、冬季発電量、損失図、PRを比較します。このとき、積雪による月別損失設定を同じにしたまま比較するだけでは、傾斜による雪落ちの違いが表現されません。実務上は、傾斜角ごとに想定する積雪残存リスクを変え、月別損失の根拠も合わせて整理すると、より説明しやすい検討になります。


PVSyst マニュアルを使いこなすうえでは、画面に入力する角度がそのまま発電量だけに効くのではなく、現地の積雪挙動と設計判断をつなぐ重要な条件であると理解することが大切です。


設定3 積雪による発電低下は月別の損失として整理する

積雪地域のPVSyst設定で最も直接的に関係するのが、soiling lossの扱いです。通常、soiling lossは汚れ、砂ぼこり、鳥糞、農業・工業由来の付着物などによる日射損失として考えられます。PVsyst公式ドキュメントでは、soiling lossは降雨条件など環境に依存し、月別値として定義でき、シミュレーション中は日射損失として扱われると説明されています。


積雪の場合も、PVsystの公式ドキュメントでは、雪が問題になる場合、特定月に部分的または完全なsoiling attenuationを設定して考慮する方法が示されています。これは非常に重要です。つまり、PVSyst上で「雪」という独立した詳細モデルが常に自動計算されると考えるのではなく、積雪によってモジュール面に届かない日射を、月別の損失として表現する考え方が基本になります。


実務で月別損失を設定する際は、まず対象地の積雪期を整理します。日本の積雪地域であれば、地域によって11月から4月まで影響を見る場合もあれば、主に12月から2月を重点的に見る場合もあります。北海道、東北、北陸、長野県の山間部などでは、積雪期間、湿雪か乾雪か、降雪後の融雪スピード、晴天日数が異なります。単に「雪国だから冬季は一律で大きな損失」とするより、月別にリスクの強弱をつける方が自然です。


たとえば、12月は降り始めで雪が定着しにくい地域、1月と2月は積雪が継続しやすい地域、3月は日射と気温上昇で雪落ちが進みやすい地域など、月ごとの状況を反映します。屋根設置では、屋根勾配や屋根材、雪止め、周辺の雪溜まりによって、同じ地域でも雪の残り方が違います。地上設置では、地上高、下端クリアランス、列間、積雪深、除雪計画が影響します。PVSystの月別損失は、こうした現場条件をひとつの入力値に集約するため、設定根拠を残しておくことが欠かせません。


注意すべきなのは、soiling lossに雪損失を入れる場合、通常の汚れ損失と二重計上しないことです。雪の多い冬季に、通常の汚れ損失と積雪損失を別々に大きく入れると、実態以上に厳しい発電量になる可能性があります。反対に、夏季の粉じんや農地由来の汚れを無視して、雪の月だけ損失を入れると、年間損失の説明として不十分になることもあります。月別で「通常汚れ」と「積雪影響」を分けて内部メモに整理し、PVSyst上では合算値として入れる方法が実務的です。


PVSyst マニュアルで積雪地域を扱う際、このsoiling lossの設定はレポートで最も説明を求められやすい項目です。発電事業者、金融機関、施工会社、保守会社が見る場合、「なぜこの月だけ損失が高いのか」「過去の発電実績や積雪データと整合しているのか」が問われます。したがって、月別損失は感覚で入力するのではなく、現地の積雪深、除雪方針、設置角度、周辺事例、保守計画を踏まえた設計条件として扱うべきです。


設定4 アルベドは雪面反射と通常地表を分けて考える

積雪地域では、雪は発電量を下げるだけでなく、地表反射を高める要因にもなります。これがアルベドの設定です。アルベドとは、地表がどの程度光を反射するかを表す考え方で、雪面は一般的な土、草地、舗装面よりも反射が大きくなる傾向があります。PVSystではProject settingsでfar Albedoを定義でき、両面発電の場合はパネル下のアルベドをSystem window側で定義する考え方が説明されています。


ここで重要なのは、積雪による発電低下と雪面反射による増加効果を混同しないことです。モジュール表面が雪で覆われている場合、いくら地表反射が大きくても発電できません。一方で、モジュール上の雪が落ち、周囲や地面に雪が残っている場合は、反射光によって入射量が増える可能性があります。つまり、雪は「遮蔽」と「反射」という相反する影響を持ちます。PVSystの設定では、前者を主にsoiling lossとして、後者をアルベドとして扱う整理がわかりやすいです。


アルベドを設定する際は、年間一定値にするか、月別で変化を持たせるかを検討します。積雪がほとんどない地域では一定値でも大きな問題になりにくいですが、積雪地域では冬季だけ雪面反射を考慮する方が自然です。ただし、雪面反射を高く見積もりすぎると、雪損失で下げた冬季発電量を不自然に押し戻すことがあります。特に片面モジュールでは、地表反射の恩恵は限定的になることもあるため、積雪による発電不能リスクを過小評価しないよう注意が必要です。


地上設置では、積雪後にアレイ前面や列間に雪が残るため、冬季アルベドの影響を受けやすい場面があります。一方、屋根設置では、屋根材の色、雪の残り方、周辺建物、勾配、軒先条件によって反射条件が変わります。屋根面に雪が残ると、反射というよりモジュール面の遮蔽や周辺の局所的な反射として複雑に作用します。そのため、屋根設置でアルベドを過度に調整するよりも、まずは積雪損失の整理を優先した方が説明しやすい場合があります。


PVSyst マニュアルを読むと、アルベドは単独の便利な補正値のように見えます。しかし、積雪地域では発電量を増やす設定として安易に使うのではなく、地表状態を表す条件として慎重に扱う必要があります。雪がある月のアルベドを上げる場合は、その同じ月にモジュール面の積雪損失がどの程度あるのかも合わせて確認し、全体として矛盾しない発電量になるように調整します。


設定5 低温条件はストリング電圧と機器選定に反映する

積雪地域では、低温条件も重要な設定です。太陽電池モジュールは温度が低いほど開放電圧が上昇します。そのため、寒冷地ではストリングの直列枚数が多すぎると、低温時にインバータの最大入力電圧や絶対電圧制限を超える可能性があります。積雪地域のPVSyst設定では、発電量だけでなく、低温時の電気設計が安全側に成り立つかを確認しなければなりません。


PVSystのProject settingsでは、設計条件として地点の最低可能温度を設定し、Absolute Voltage limitに関する警告メッセージを出すために使えることが公式マニュアルで説明されています。ただし、同じ箇所で、シミュレーション自体は地点の気象データの温度を使うことも説明されています。つまり、最低温度設定は年間発電量を直接変えるための値というより、ストリング設計や警告確認のための重要条件として理解する必要があります。


実務では、最低気温をどの値で見るかが問題になります。気象データの代表年に含まれる最低気温だけでは、設計上の極低温を十分に表せない場合があります。積雪地域や寒冷地では、過去の最低気温、設計基準、機器メーカーの条件、現地標高を踏まえ、保守的な値を採用することがあります。特に高圧・特別高圧の案件や、山間部、北海道・東北内陸部の案件では、低温時の電圧確認を軽視すると、後工程でストリング構成の見直しが必要になる場合があります。


また、低温は発電量にプラスに働く側面もあります。モジュール温度が低いと変換効率は上がりやすく、晴天で雪面反射がある場合、瞬間的に高い出力が出る可能性があります。その一方で、積雪によりモジュールが覆われていれば発電できません。このため、積雪地域では「冬は発電しない」と単純化するのではなく、雪が落ちた後の低温晴天日には高い出力が出る可能性も考える必要があります。インバータ容量、過積載率、クリッピング、DC/AC比の検討では、このような冬季特有の条件も見落とせません。


PVSyst上では、モジュール、インバータ、直列枚数、並列数を設定すると、設計条件に応じて警告や整合性確認が行われます。積雪地域では、夏季高温時のMPPT下限だけでなく、冬季低温時の最大電圧も必ず確認します。PVSyst マニュアルで温度条件を読むときは、発電量予測のための気象温度と、機器選定のための極低温条件を分けて理解することが大切です。


設定6 両面発電では裏面側の雪面反射を別管理する

近年、地上設置案件では両面発電モジュールを採用するケースが増えています。積雪地域で両面発電を検討する場合、雪面反射による裏面発電の増加が期待される一方で、積雪による前面遮蔽、下端の雪溜まり、架台による裏面影、地上高不足などのリスクもあります。したがって、片面モジュール以上に、アルベド、地上高、列間、架台影、ミスマッチを丁寧に見る必要があります。


PVsyst公式ドキュメントでは、両面発電の設定において、Ground albedoはパネル下の地面のアルベドであり、Projectで設定する遠方地形のアルベドとは別であること、また月別値として設定して雪を考慮できることが説明されています。これは積雪地域の両面発電にとって非常に重要です。雪面反射を期待するなら、Project側の一般的なアルベドだけでなく、両面発電モデル側のGround albedoを正しく扱う必要があります。


ただし、雪面反射を高く設定すれば必ず発電量が増えるわけではありません。裏面に届く光は、地表反射だけでなく、モジュールの地上高、列間、架台形状、構造物の影、モジュール裏面の受光分布に影響されます。PVsystの両面発電ドキュメントでも、構造物による裏面側の影や、裏面照度の不均一によるミスマッチ損失が重要な要素として説明されています。積雪地域では、雪面反射の増加を期待する一方で、架台や積雪そのものが裏面側に影響する可能性もあるため、楽観的な設定は避けるべきです。


特に地上高は重要です。モジュール下端が低いと、積雪深が大きい年にモジュール下部が雪に埋まり、前面や裏面の受光を阻害する可能性があります。地上高を上げると積雪リスクは下げやすくなりますが、架台コスト、風荷重、施工性、保守性に影響します。PVSystでは発電量の比較はできますが、最終的な設計判断では構造、施工、保守、除雪計画を合わせて評価する必要があります。


両面発電で積雪地域を扱う場合は、冬季のGround albedoを月別で設定し、同時にsoiling lossで前面積雪の遮蔽を考えます。さらに、構造影やミスマッチ損失が妥当かを確認し、雪面反射による増加分だけを強調しないことが大切です。レポート上では、雪による損失と雪面反射による増加が同時に存在するため、説明が難しくなりがちです。そのため、設定根拠を「前面の積雪遮蔽」「地表の雪面反射」「裏面の構造影」「低温時の電気条件」に分けて整理しておくと、関係者に説明しやすくなります。


積雪地域のPVSyst設定でよくある失敗

積雪地域のPVSyst設定でよくある失敗のひとつは、冬季発電量が低くなる理由をすべてsoiling lossに押し込んでしまうことです。確かに、雪による遮蔽は月別soiling lossとして扱うのが実務的ですが、実際には気象データ、傾斜角、影、アルベド、低温、両面発電条件が複合的に影響します。損失だけを大きくすると、なぜその値になったのかを説明しにくくなり、設計変更時の比較も難しくなります。


もうひとつの失敗は、アルベドを高くしすぎることです。雪面は反射率が高いというイメージがあるため、冬季のアルベドを大きく設定したくなります。しかし、モジュール表面が雪で覆われている時間が長い場合、反射光の恩恵よりも遮蔽損失の方が支配的になります。特に片面モジュールで、低傾斜かつ除雪が難しい案件では、アルベド増加による発電量改善を過大に見込まないことが重要です。


低温条件を見落とすことも大きな失敗です。発電量シミュレーションの結果だけを見て、ストリング電圧の警告や設計温度を十分に確認しないと、寒冷地でインバータ入力電圧の条件に問題が出る可能性があります。積雪地域のPVSyst検討では、年間発電量、PR、損失図だけでなく、システム設計画面での電圧条件や警告も合わせて確認する必要があります。


さらに、実績データとの比較をしないまま設定を固定することも避けたいところです。既設発電所が近隣にある場合、冬季の月別発電量や停止傾向を確認することで、積雪損失の妥当性を高められます。もちろん、既設発電所と同じ傾斜、架台、除雪条件とは限らないため単純比較はできませんが、少なくとも極端に楽観的または悲観的な設定を避ける材料になります。


シミュレーション結果を読むときの確認ポイント

PVSystで積雪地域のシミュレーションを行った後は、年間発電量だけでなく、月別の結果を必ず確認します。積雪の影響は特定月に集中するため、年間値だけでは設定の妥当性が見えません。12月から3月の発電量、PR、損失の内訳を確認し、月別soiling lossやアルベド設定と整合しているかを見ます。冬季の発電量が極端に高い場合は、積雪損失が不足している可能性があります。逆に、冬季がほぼゼロに近い場合は、雪損失を過大に設定していないか、気象データ自体が保守的すぎないかを確認します。


Loss Diagramも重要です。PVSystのレポートでは、損失図によって発電量がどの要因で減少しているかを把握できます。積雪地域では、soiling loss、IAM、温度損失、配線損失、インバータ損失、影損失などがどの程度効いているかを見ます。雪の影響をsoiling lossに入れている場合、その月別設定が年間損失にどれだけ効いているかを確認し、説明できる状態にしておく必要があります。


また、複数バリアントの比較も有効です。積雪損失を標準ケース、保守的ケース、楽観的ケースの3段階で比較すると、発電量予測の感度が見えます。傾斜角を変える、地上高を変える、両面発電のアルベドを変える、除雪ありなしを想定するなど、案件ごとの論点に合わせて比較します。金融機関や事業者に説明する場合、単一の結果だけを示すより、積雪条件に対する感度を示した方が判断材料として有用です。


最後に、PVSystの結果はあくまで入力条件に基づくシミュレーションであり、雪の落ち方や除雪状況を完全に予測するものではありません。PVSyst マニュアルの考え方を踏まえつつ、現地条件、施工計画、保守計画、過去実績を合わせて判断することが、積雪地域の発電量予測では重要です。


まとめ

PVSyst マニュアルで積雪地域を想定する場合、見るべき設定はひとつではありません。気象データ、方位角と傾斜角、月別soiling loss、アルベド、低温時の電圧条件、両面発電の裏面反射を総合的に確認する必要があります。特に雪は、モジュール面を覆って発電量を下げる一方で、地表反射を高めることもあるため、損失と増加要因を分けて整理することが大切です。


最も重要なのは、PVSyst上の設定値を単なる入力作業として扱わず、現地条件を表現するための設計仮定として管理することです。積雪損失を月別で入れる場合は、対象月、損失率、根拠、除雪条件、設置角度をセットで記録します。アルベドを調整する場合は、雪面反射を見込む期間と、モジュール表面の積雪遮蔽との関係を確認します。低温条件を設定する場合は、発電量だけでなく、ストリング電圧とインバータ入力条件の安全性を確認します。


積雪地域の太陽光発電は、冬季発電量の不確実性が大きい一方で、低温晴天や雪面反射によって有利に働く場面もあります。だからこそ、PVSyst マニュアルを読みながら、どの現象をどの設定で表現しているのかを明確にすることが重要です。発電量予測の精度を高めるには、公式マニュアルの考え方、現地の積雪実態、設計条件、保守方針をつなげて判断する必要があります。


PVSystで積雪地域を扱う実務では、気象データを確認し、傾斜角と雪落ちを考え、月別損失を設定し、アルベドを慎重に扱い、低温時の電圧を確認し、両面発電では裏面側の雪面反射まで見る。この6つを押さえることで、冬季の発電量低下をただ大きく見積もるだけでなく、説明可能で比較しやすいシミュレーションに近づけられます。PVSyst マニュアルを活用する際は、数値入力の前に積雪地域特有の現象を整理し、入力値と設計根拠が対応したレポートを作ることが、信頼性の高い発電量評価につながります。


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