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PVSystのグラフの読み方6つ|月別・損失・性能を理解

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この記事は平均6分30秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

PVSystの結果を見るとき、多くの人が最初に確認するのは年間発電量やPRの数値です。しかし、太陽光発電所の計画や設計レビューで本当に重要なのは、その数値がどのような季節変動、損失構造、出力特性から生まれているのかを読み取ることです。そこで役立つのが、PVSystに表示される各種グラフです。


PVSystのグラフは、単に見た目で傾向を確認するためのものではありません。月別の発電量、日射量、温度影響、損失の内訳、出力制限、性能比の変化を確認することで、設計条件が妥当か、発電量が過大または過小に見積もられていないか、現地条件とシミュレーション条件が合っているかを検証できます。


特に事業用太陽光では、年間発電量の大小だけで判断すると、原因を見誤ることがあります。例えば、年間発電量が想定より低い場合でも、日射量が低いのか、影の影響が大きいのか、温度損失が大きいのか、PCSの出力制限が効いているのかによって、対策はまったく変わります。逆に、発電量が高く見える場合でも、損失設定が甘い、汚れや積雪が十分に考慮されていない、過積載の扱いが現実より有利になっているといった可能性があります。


この記事では、PVSystのグラフを読むときに押さえるべき6つの視点を、月別、損失、性能の観点から整理します。PVSystを初めて読む人だけでなく、レポート比較、銀行提出用資料、EPCとの設計協議、O&Mでの実績比較を行う人にも役立つ内容です。


目次

PVSystのグラフは年間値の理由を確認するために読む

読み方1:月別発電量グラフで季節変動を確認する

読み方2:月別日射量グラフで前提条件を確認する

読み方3:損失グラフでどこで発電量が減っているかを見る

読み方4:PRの月別変化で性能の安定性を見る

読み方5:出力制限やクリッピングのグラフを見る

読み方6:温度・影・汚れの影響を月別に切り分ける

PVSystのグラフを見るときに注意したい比較方法

実測データとPVSystグラフを比較する時の考え方

まとめ


PVSystのグラフは年間値の理由を確認するために読む

PVSystのグラフを読む目的は、きれいな図を見ることではなく、年間発電量やPRの理由を説明できるようにすることです。シミュレーション結果として表示される年間発電量は、日射量、温度、モジュール特性、配線損失、PCS効率、影、汚れ、積雪、出力制限など、多くの条件が積み重なった結果です。


そのため、最初に年間発電量だけを見ると、全体の良し悪しは分かっても、なぜその値になったのかまでは分かりません。PVSystのグラフは、この「なぜ」を読み解くために使います。


例えば、同じ年間発電量でも、冬に大きく落ち込んで夏に強い案件と、年間を通じて安定している案件では、リスクの内容が異なります。冬に落ち込む場合は、積雪、低太陽高度、地形影、朝夕の影、日射データの地域差を確認する必要があります。夏に落ち込む場合は、温度損失、PCS制限、過積載によるクリッピング、汚れ、熱設計を確認する必要があります。


また、PVSystのグラフは、複数案を比較するときにも重要です。架台角度を変えた案、PCS容量を変えた案、方位角を変えた案、配線損失を変えた案を比較する場合、年間発電量だけでは差の理由が分かりません。月別グラフや損失グラフを見れば、どの季節で差が出ているか、どの損失項目が増減しているかを確認できます。


PVSystの読み方としては、まず年間値を確認し、その後に月別、損失、PR、出力制限、温度影響の順にグラフを見ていくと理解しやすくなります。


読み方1:月別発電量グラフで季節変動を確認する

PVSystのグラフで最初に見るべきものは、月別発電量のグラフです。月別発電量を見ることで、その発電所がどの季節に強く、どの季節に弱いのかを把握できます。


一般的に、日本の太陽光発電では春から初夏にかけて発電量が高くなりやすく、梅雨、夏の高温期、冬季に低下する傾向があります。ただし、地域によって傾向は大きく異なります。北海道や東北では冬の積雪や低太陽高度が影響しやすく、九州や四国では夏の日射は強い一方で温度損失や出力制御の影響を考える必要があります。


月別発電量グラフを見るときは、単に最も高い月と低い月を確認するだけでは不十分です。発電量が高い月については、日射量が多いのか、温度が低くてモジュール効率が良いのか、影が少ないのかを確認します。発電量が低い月については、日射量が少ないのか、温度損失が大きいのか、積雪や汚れが反映されているのかを確認します。


特に注意したいのは、発電量の月別グラフだけを見て「この月は悪い」と判断しないことです。発電量は日射量の影響を強く受けるため、日射量が少ない月に発電量が低いのは自然な結果です。本当に見るべきなのは、日射量に対して発電量が妥当かどうかです。そのため、月別発電量グラフは、月別日射量グラフやPRのグラフとセットで確認する必要があります。


また、複数のPVSystレポートを比較する場合、月別発電量の形が大きく違う場合は注意が必要です。同じ場所、同じ設備容量であれば、基本的な季節変動の形は似るはずです。もし特定の月だけ大きく差が出ている場合は、気象データ、影設定、積雪設定、汚れ設定、稼働率、出力制御、PCS制限のいずれかに違いがある可能性があります。


月別発電量グラフは、PVSystの結果を直感的に理解する入り口です。ただし、それだけで結論を出さず、次のグラフと組み合わせて原因を確認することが重要です。


読み方2:月別日射量グラフで前提条件を確認する

PVSystの発電量を読むうえで、日射量グラフは最も重要な前提条件の一つです。発電量は日射量に大きく依存するため、日射量の前提が変われば、発電量も大きく変わります。


PVSystでは、水平面全天日射量、傾斜面日射量、有効日射量など、複数の形で日射に関する値が扱われます。特に太陽光パネルの発電に直接関係するのは、モジュール面に入射する日射量です。そのため、単に気象データ上の水平面日射量を見るだけでなく、傾斜角、方位角、影、反射、IAM損失などを反映した後の有効な日射量を見る必要があります。


月別日射量グラフを見るときは、まず地域として自然な季節変動になっているかを確認します。日本では、多くの地域で春から夏にかけて日射量が大きくなりますが、梅雨の影響で6月や7月に落ち込む場合があります。冬は太陽高度が低く、日照時間も短いため、日射量が少なくなりやすいです。


次に、同じ案件で複数の気象データを比較する場合は、月別日射量の差を確認します。年間日射量が同程度でも、月別の配分が違うことがあります。例えば、あるデータでは冬の日射が高く、別のデータでは夏の日射が高い場合、年間発電量は近くても月別発電量やPRの見え方が変わります。


また、傾斜面日射量が想定より低い場合は、架台角度や方位角が適切か確認します。南向きに近い設計であれば、年間を通じて比較的安定した日射が得られます。一方、東西向きや低角度設計では、発電のピーク時間や季節変動が変わります。土地の制約で方位が振れている場合、発電量の低下がどの程度かを月別日射量で確認できます。


日射量グラフで重要なのは、「発電量が低い原因が設備側にあるのか、気象前提にあるのか」を切り分けることです。日射量そのものが低ければ、発電量が低いのは自然です。一方、日射量が高いのに発電量が伸びない場合は、温度損失、影、PCS制限、配線損失、モジュールミスマッチなど、設備側の要因を疑います。


PVSystのグラフを読むときは、発電量グラフの次に必ず日射量グラフを確認することで、前提条件の妥当性を判断しやすくなります。


読み方3:損失グラフでどこで発電量が減っているかを見る

PVSystのグラフで特に重要なのが、損失を示すグラフです。発電所の設計レビューでは、最終的な発電量だけでなく、どの段階でどれだけエネルギーが減っているかを確認する必要があります。


PVSystでは、日射がモジュールに入る前の損失、モジュールで電気に変換される段階の損失、DC側の損失、PCS変換時の損失、AC側の損失などが整理されます。損失グラフを見ることで、発電量低下の原因がどこにあるのかを把握できます。


まず確認したいのは、影による損失です。地形、周辺建物、樹木、架台同士の前後影などがある場合、特定の時間帯や季節に発電量が落ちます。影損失が大きい場合、月別グラフでも冬や朝夕に発電量が落ちやすくなります。固定価格買取制度や事業収支の検討では、影損失を過小評価すると発電量を高く見積もってしまう可能性があります。


次に、IAM損失を確認します。IAMは入射角による損失で、太陽光がモジュール面に斜めに入るほど反射などの影響で有効に使える日射が減ることを表します。冬や朝夕に影響が出やすく、架台角度や方位の影響も受けます。IAM損失が大きい場合、単純な日射量だけでは説明できない発電量低下が生じます。


さらに、温度損失も重要です。太陽光モジュールは温度が上がると出力が低下します。夏場に日射量が多いにもかかわらず発電量が思ったほど伸びない場合、温度損失が関係していることがあります。特に屋根設置、風通しの悪い設置、地上設置でもモジュール裏面の放熱条件が悪い場合は、温度損失が大きくなります。


DC配線損失、AC配線損失、変圧器損失も確認すべき項目です。配線距離が長い案件、接続箱からPCSまでの距離が長い案件、昇圧設備までの距離が長い案件では、配線損失が無視できないことがあります。PVSyst上では損失率として表示されるため、設定値が現実的かどうかを確認する必要があります。


損失グラフを見るときは、各項目の数値を単独で見るのではなく、設計条件と照らし合わせることが重要です。広い土地でPCSが分散配置されているのにDC配線損失が大きい場合は、設定が過大かもしれません。逆に、配線距離が長いのに損失が極端に小さい場合は、過小評価の可能性があります。


損失グラフは、PVSystの中でも設計の妥当性を最も直接的に確認できるグラフです。発電量の高低を説明するためには、必ず確認するべき項目です。


読み方4:PRの月別変化で性能の安定性を見る

PVSystでよく使われる指標の一つにPRがあります。PRはPerformance Ratioの略で、日射量に対して発電所がどれだけ効率よく発電しているかを見るための指標です。年間PRだけを見ることも多いですが、グラフで月別PRを見ると、より深い分析ができます。


月別PRが安定している場合、その発電所は季節に対して比較的一貫した性能を持っていると考えられます。一方、特定の月だけPRが大きく低下している場合は、その月に特有の損失が発生している可能性があります。


例えば、夏にPRが低下している場合は、温度損失やPCSの出力制限が原因となることがあります。日射量が多い月ほど発電量は増えますが、モジュール温度も上がりやすく、過積載設計ではPCSの上限に達してクリッピングが発生しやすくなります。その結果、日射量に対する発電効率としてのPRが下がることがあります。


冬にPRが低下している場合は、積雪、低太陽高度、影、IAM損失が原因となることがあります。特に寒冷地では、モジュール温度が低いため本来は効率が上がりやすい一方で、積雪や影が大きいとPRが下がります。冬のPRが極端に低い場合は、積雪損失や地形影の扱いを確認する必要があります。


また、月別PRが不自然に高い場合も注意が必要です。日射量の設定、損失設定、汚れ設定、稼働率、出力制御の扱いが甘い場合、PRが実態より高く見えることがあります。特に銀行提出用や投資判断用のレポートでは、PRが高いこと自体を良い結果として見るのではなく、そのPRがどのような前提から算出されているかを確認することが重要です。


PRのグラフは、発電量グラフとは違う視点を与えてくれます。発電量は日射量の影響を大きく受けますが、PRは日射に対する性能を見る指標です。そのため、発電量が低い月でもPRが高ければ、日射量が少ないだけで設備性能は悪くない可能性があります。逆に、発電量が高い月でもPRが低ければ、日射量に対して十分に発電できていない可能性があります。


PVSystのグラフを読むときは、年間PRだけでなく、月別PRの形を必ず確認することで、性能の安定性や季節ごとのリスクを把握できます。


読み方5:出力制限やクリッピングのグラフを見る

PVSystのグラフで見落としやすいのが、出力制限やクリッピングに関するグラフです。太陽光発電では、DC側の太陽光パネル容量をPCS容量より大きくする過積載設計が一般的です。この場合、日射が強い時間帯には、モジュールが発電できる電力がPCSの出力上限を超えることがあります。その超過分は売電できず、クリッピング損失として扱われます。


クリッピングは必ずしも悪いものではありません。過積載によって朝夕や曇天時の発電量を増やし、年間発電量を高める設計は一般的です。重要なのは、クリッピング損失が設計意図の範囲内かどうかです。


PVSystのグラフで出力制限を見るときは、まずどの月にクリッピングが多いかを確認します。一般的には、日射量が多く、気温が比較的低い春や初夏にクリッピングが出やすいことがあります。夏は日射量が多い一方でモジュール温度が高くなるため、DC出力が温度で抑えられ、春ほどクリッピングが目立たないこともあります。


次に、クリッピングが時間帯としてどのように発生しているかを見ます。正午前後に短時間だけ発生している場合と、長時間にわたって出力が張り付いている場合では意味が異なります。長時間にわたってPCS上限に達している場合は、過積載率が高すぎる可能性があります。一方、短時間だけのクリッピングであれば、年間発電量を最大化するうえで許容されることもあります。


また、出力制限にはPCS容量によるものだけでなく、系統側の制約や契約上の上限が関係する場合もあります。PVSystでどのような制限条件を設定しているかを確認しないと、発電量の差を正しく説明できません。例えば、PCS定格、連系出力、力率設定、皮相電力上限、有効電力上限の扱いによって、シミュレーション結果が変わることがあります。


出力制限のグラフは、過積載設計の妥当性を判断するうえで重要です。発電量が低い原因が損失ではなく、意図的な出力上限にある場合もあります。そのため、PVSystのグラフを読むときは、クリッピングや出力制限が年間でどの程度あり、どの季節に集中しているかを確認する必要があります。


読み方6:温度・影・汚れの影響を月別に切り分ける

PVSystのグラフを実務で読むときに重要なのは、複数の損失要因を月別に切り分けることです。発電量が低い月があったとしても、その原因が一つとは限りません。温度、影、汚れ、積雪、IAM、配線、PCS制限が重なっている場合があります。


温度損失は、主に夏に大きくなりやすい項目です。太陽光モジュールは、セル温度が上がると出力が下がります。そのため、日射量が多い夏でも、気温やモジュール温度が高いと、期待ほど発電量が伸びないことがあります。月別グラフで夏のPRが低下している場合は、温度損失を確認します。


影損失は、季節や時間帯によって出方が変わります。冬は太陽高度が低いため、同じ障害物でも影が長く伸びます。前後の架台間隔が狭い場合や、南側に地形・建物・樹木がある場合は、冬の影損失が大きくなります。月別グラフで冬だけ発電量やPRが落ち込む場合は、影の設定を確認する必要があります。


汚れ損失は、地域や管理条件によって変わります。雨が少ない地域、土埃が多い地域、造成直後の現場、農地や工事現場に近い場所では、汚れによる損失が大きくなる可能性があります。PVSystでは月別に汚れ損失を設定できるため、季節ごとの現実的な想定になっているかを確認します。


積雪地域では、積雪損失の扱いも重要です。雪がパネル上に残ると、その期間は発電量が大きく低下します。一方で、雪面反射によってアルベドが高くなり、条件によっては反射光が発電に寄与することもあります。積雪損失とアルベドをどのように設定しているかによって、冬季の発電量は大きく変わります。


ここで大切なのは、グラフを一つずつ独立して見るのではなく、月別の発電量、日射量、PR、損失を横断的に見ることです。例えば、冬に発電量が低い場合でも、日射量が低いだけなのか、影損失が大きいのか、積雪が効いているのかを分けて考えます。夏にPRが低い場合でも、温度損失なのか、クリッピングなのか、汚れなのかを切り分けます。


PVSystのグラフは、原因を一発で教えてくれるものではありません。しかし、複数のグラフを組み合わせることで、発電量低下の理由をかなり具体的に説明できるようになります。


PVSystのグラフを見るときに注意したい比較方法

PVSystのグラフを比較するときは、比較条件をそろえることが非常に重要です。異なるレポートを見比べる場合、発電量やPRの差が本当に設計差によるものなのか、前提条件の違いによるものなのかを確認しなければなりません。


まず確認すべきなのは、設備容量です。DC容量、AC容量、PCS容量、過積載率が違えば、発電量やクリッピングの傾向は変わります。単純な年間発電量ではなく、DC1kWあたりの年間発電量や、AC容量に対する出力の使われ方を見ることで、より公平な比較ができます。


次に、気象データを確認します。同じ地点でも、使用する気象データによって月別日射量や気温が変わります。PVSystのグラフで月別日射量が大きく違う場合、設計差ではなく気象データ差が発電量差の原因になっていることがあります。


さらに、損失設定の比較も重要です。DC配線損失、AC配線損失、変圧器損失、IAM、汚れ、積雪、劣化率、可用率などが異なれば、年間発電量は変わります。特に、汚れや積雪の設定は案件ごとに考え方が分かれやすく、比較時に差が出やすい項目です。


また、グラフの軸や単位にも注意が必要です。あるグラフではkWhで表示され、別のグラフではkWh/kWpで表示されることがあります。月別値を見る場合、日数の違いによって単純な月合計が変わるため、必要に応じて日平均や容量あたりの値で比較することも有効です。


PVSystのグラフ比較では、見た目の形だけで判断せず、前提条件、単位、容量、損失設定をそろえてから読むことが大切です。


実測データとPVSystグラフを比較する時の考え方

PVSystのグラフは計画値であり、実測データとは必ずしも一致しません。実際の発電所では、天候、停止、出力制御、故障、通信欠測、積雪、汚れ、草木の成長、系統制約など、シミュレーションでは完全に再現できない要因が発生します。


実測データとPVSystを比較する場合は、まず比較対象をそろえる必要があります。PVSystの発電量がAC出力なのか、系統連系点の送電量なのか、売電メーター値なのかを確認します。実測側も、PCS出力、受電点、VCT、売電メーターなど、どの点の値かによって比較結果が変わります。


次に、日射量の実測値がある場合は、発電量だけでなく日射量も比較します。実際の年の日射量がPVSystの気象データより低ければ、実測発電量が低くても異常とは限りません。反対に、実際の日射量が高いのに発電量が低い場合は、設備側の損失や停止を疑う必要があります。


また、月別で比較することが重要です。年間値だけを見ると、ある月の不足を別の月の好調が打ち消してしまうことがあります。月別に見ることで、梅雨、夏の温度損失、冬の積雪、出力制御の多い時期などを切り分けやすくなります。


実測比較では、PVSystのグラフを基準線として使い、実績との差を原因別に分解する考え方が有効です。差が出た場合は、すぐにPVSystが間違っていると判断するのではなく、気象差、停止、出力制御、汚れ、積雪、計測点の違いを順番に確認します。


さらに、現場確認と組み合わせることで精度が上がります。例えば、発電量が低いストリングやエリアがある場合、図面上の位置と現地の状況を照らし合わせることで、影、汚れ、パネル異常、配線異常を確認できます。LRTKのようなiPhone対応の高精度GNSSを使えば、現地で設備位置や点検箇所を高精度に記録し、図面やクラウド上の情報と重ねて確認しやすくなります。PVSystのグラフで見えた傾向を、現地の位置情報や点検記録と結びつけることで、机上解析と現場判断のズレを減らせます。


まとめ

PVSystのグラフは、年間発電量やPRの結果を理解するための重要な手がかりです。数値だけを見るのではなく、月別発電量、日射量、損失、PR、出力制限、温度や影の影響を順番に確認することで、シミュレーション結果の理由を説明できるようになります。


まず、月別発電量グラフでは季節変動を確認します。どの月に発電量が高く、どの月に低いのかを見ることで、発電所の基本的な特徴を把握できます。ただし、発電量だけでは判断せず、日射量グラフと組み合わせて読むことが重要です。


次に、月別日射量グラフで前提条件を確認します。日射量のデータが変われば発電量も変わるため、気象データの妥当性や季節ごとの日射傾向を確認する必要があります。発電量が低い原因が気象前提にあるのか、設備側にあるのかを切り分ける基礎になります。


損失グラフでは、どこで発電量が減っているかを確認します。影、IAM、温度、配線、PCS、変圧器、汚れ、積雪などの損失を見れば、発電量低下の原因を具体的に把握できます。設計レビューでは、損失設定が現実的かどうかを必ず確認するべきです。


PRの月別変化を見ると、性能の安定性が分かります。夏にPRが下がる場合は温度損失やクリッピング、冬にPRが下がる場合は影や積雪の影響を疑います。年間PRだけでは見えない季節ごとの特徴を読み取ることができます。


出力制限やクリッピングのグラフでは、過積載設計が適切かを確認します。クリッピングは必ずしも悪いものではありませんが、どの季節にどの程度発生しているかを見て、設計意図の範囲内かを判断する必要があります。


最後に、温度、影、汚れ、積雪などの影響を月別に切り分けることが大切です。PVSystのグラフは一つだけを見ても十分ではありません。複数のグラフを組み合わせて読むことで、発電量の高低やPRの変化をより正確に説明できます。


PVSystのグラフを正しく読めるようになると、単なる発電量確認から一歩進んで、設計の妥当性、損失設定の根拠、現地条件との整合性、実測との差の原因まで説明できるようになります。太陽光発電所の計画、設計、審査、運用改善において、PVSystのグラフを読む力は非常に重要です。


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