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PVSystのアレイ損失の読み方6つ|どこで減るか解説

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSystのアレイ損失とは何を示す項目か

アレイ損失を読む前に押さえるべき発電量の流れ

読み方1:日射からモジュール面への変換で減る損失を見る

読み方2:温度による出力低下を確認する

読み方3:低照度特性とモジュール品質損失を確認する

読み方4:ミスマッチ損失とストリング構成の影響を見る

読み方5:直流配線損失と電圧降下を確認する

読み方6:影・汚れ・反射による実効日射の低下を見る

アレイ損失を読むときに混同しやすい項目

実務でアレイ損失を確認するときの手順

アレイ損失を改善するための設計・施工上の着眼点

まとめ


PVSystのアレイ損失とは何を示す項目か

PVSystの結果を確認するとき、多くの実務担当者が最初に見るのは年間発電量やPRです。しかし、発電量が想定より低い理由を探す段階では、単に最終値を見るだけでは不十分です。どの段階で、どの程度エネルギーが減っているのかを追う必要があります。そのとき重要になるのが、アレイ損失の読み方です。


アレイ損失とは、太陽電池モジュール側、つまり直流側で発生する損失を中心に整理したものです。日射がモジュール面に入射し、モジュールが直流電力を発生し、ストリングや接続箱、直流配線を通って変換装置へ渡されるまでの間に生じる減少分を読み解くための項目です。簡単にいえば、太陽光が電気に変わる入口付近でどこまで減っているかを見る場所です。


太陽光発電の損失は、大きく分けると日射側の損失、モジュール側の損失、直流回路側の損失、交流変換後の損失、変圧や送電の損失に分けられます。このうちアレイ損失は、モジュール面に届いた日射が直流電力として取り出されるまでの効率に深く関係します。そのため、設計条件、パネル配置、方位角、傾斜角、影、温度、汚れ、配線長、ストリング構成など、現場設計の妥当性が反映されやすい領域です。


アレイ損失を正しく読む目的は、単に損失率の大小を評価することではありません。大切なのは、その損失が自然条件として避けにくいものなのか、設計で改善できるものなのか、入力条件の置き方によって大きく変わるものなのかを分けて考えることです。たとえば温度損失は地域の気温や架台条件に左右されますが、通風性や設置方式によっても変わります。直流配線損失はケーブル長や断面積、電流値によって変わるため、設計の見直しで改善できる余地があります。


また、アレイ損失はPRを説明するうえでも重要です。PRは、理想的な日射量に対して実際にどれだけ有効な発電ができたかを示す指標として使われますが、PRが低い理由は一つではありません。日射データ、温度条件、影、汚れ、反射、直流損失、交流損失、出力制限などが複合的に効いてきます。その中でもアレイ損失は、現場のレイアウトやモジュール条件に関係するため、設計レビューや第三者レポート比較で指摘されやすい項目です。


実務では、アレイ損失を「大きいか小さいか」だけで見ると判断を誤ります。地域、設置方式、モジュール種類、傾斜角、積雪や汚れの条件、影の有無、ストリング設計、直流ケーブル長などを合わせて見る必要があります。同じ損失率でも、山間地の複雑な地形に設置された発電所と、平坦地に整然と設置された発電所では意味が変わります。したがって、アレイ損失は数値そのものよりも、損失の発生場所と理由を分解して読むことが重要です。


アレイ損失を読む前に押さえるべき発電量の流れ

アレイ損失を理解するには、発電量がどの順番で計算されていくのかを把握しておく必要があります。太陽光発電のシミュレーションでは、まず水平面の日射量や気象データがあり、それを設置するモジュール面の傾きや方位に合わせて変換します。次に、モジュール面に到達した日射に対して、反射、影、汚れなどを考慮し、実際に発電に使える日射量を求めます。その後、モジュールの定格特性、温度特性、低照度特性、品質ばらつきなどを考慮して直流電力を計算します。さらに、ストリング間のばらつきや直流配線の損失を引いた後、変換装置へ入力されます。


この流れを理解していないと、アレイ損失の位置づけが曖昧になります。たとえば、モジュール面への入射日射が少ないことと、モジュールが日射を電力に変換する段階で効率が下がることは別の現象です。前者は方位、傾斜、地形、影、気象条件に近い問題であり、後者は温度、モジュール性能、電気的ばらつきに近い問題です。どちらも最終的な発電量を減らしますが、改善策は異なります。


アレイ損失を見るときは、「基準がどこにあるか」を意識することも大切です。ある損失率が、水平面日射に対する損失なのか、モジュール面日射に対する損失なのか、理想的な直流出力に対する損失なのかによって意味が変わります。損失図では、前段の値から次段の値へ移るときに何が差し引かれているかを順に見ると理解しやすくなります。


特に実務で混乱しやすいのは、日射量の損失と電気的な損失が同じ「損失」という言葉で並んで表示される点です。たとえば影や汚れは、モジュールに届く実効日射を減らします。一方で温度損失や配線損失は、日射を受けた後に電気として取り出す過程で発生します。これらを一つの損失率として合計だけで見ると、どこを改善すべきか分からなくなります。


また、アレイ損失は月別に見ると理解が深まります。年間値では小さく見える損失でも、特定の季節に集中している場合があります。たとえば温度損失は夏季に大きくなりやすく、影損失は太陽高度が低い冬季や朝夕に大きくなりやすいです。積雪や汚れの影響がある地域では、特定月だけ発電量が大きく落ちることもあります。年間合計の損失率だけでは、こうした季節性を見落とす可能性があります。


したがって、アレイ損失を読む前には、発電量の流れを「日射が入る」「実効日射になる」「直流電力になる」「直流配線を通る」「変換装置に入る」という段階で整理しておくことが重要です。この順番を押さえるだけで、損失図の見え方は大きく変わります。


読み方1:日射からモジュール面への変換で減る損失を見る

最初に確認したいのは、水平面の日射がモジュール面の日射に変換される段階です。太陽光発電では、気象データとして与えられる日射量が水平面日射であることが多く、実際のモジュールは傾斜を持って設置されます。そのため、水平面の日射をモジュール面に換算する処理が行われます。ここでは方位角、傾斜角、直達日射、散乱日射、反射成分などが関係します。


この段階は、厳密にはモジュール内部の電気的損失ではありません。しかし、アレイ全体の発電量を読むうえでは非常に重要です。なぜなら、モジュール面に入る日射量が少なければ、その後どれだけ電気的な設計が良くても発電量は伸びないからです。特に傾斜角や方位角の設定が現地実態とずれている場合、年間発電量の見積もりに大きな差が出ます。


たとえば、南向きに近い配置では年間の受光量が安定しやすい一方、東西向きでは朝夕の発電が増え、正午付近のピークが抑えられる傾向があります。傾斜角が浅い場合は夏季に有利になりやすく、傾斜角が大きい場合は冬季に有利になりやすいです。どちらが良いかは、地域の日射特性、積雪、土地形状、架台構造、売電や自家消費の考え方によって変わります。


この段階で注意すべきなのは、単純に「傾斜が南向きからずれているから悪い」と判断しないことです。発電所の設計では、土地の形状、造成量、通路、排水、架台配置、隣接物、系統接続条件など、さまざまな制約があります。方位や傾斜が最適値から少し外れていても、全体の設備容量や施工性を考えると合理的な場合があります。したがって、日射変換の損失は、理論上の最適配置との差だけでなく、現場制約を踏まえて評価する必要があります。


また、散乱日射の割合が高い地域では、方位角や傾斜角の影響が直達日射の多い地域とは異なります。曇天が多い地域では、方位の違いによる差が比較的小さくなることもあります。一方で晴天が多く、直達日射が強い地域では、太陽の位置とモジュール面の向きの関係がより効きやすくなります。気象データの性質を理解しないまま損失だけを見ると、過大評価や過小評価につながります。


実務では、まずモジュール面日射量が妥当かを確認します。周辺案件や近隣地点の気象データと比べて極端に高い、または低い場合は、気象データ、座標、標高、方位、傾斜、アルベドなどの設定を確認する必要があります。ここでの入力に誤りがあると、その後のアレイ損失をいくら詳細に読んでも、土台となる日射量が間違っている可能性があります。


読み方2:温度による出力低下を確認する

アレイ損失の中でも、実務で特に大きくなりやすいのが温度損失です。太陽電池モジュールは、日射を受けると発電すると同時に温度が上昇します。一般的に、モジュール温度が上がると出力は低下します。これは、定格出力が一定の標準条件で測定されているのに対し、実際の現場ではモジュール温度がそれより高くなる時間が多いためです。


温度損失を読むときは、単に年間の損失率を見るだけでは不十分です。気温、風速、架台の通風性、設置方式、モジュール裏面の放熱条件が影響します。地上設置で背面に空間があり風が通りやすい場合と、屋根に近接して設置される場合では、同じ気温でもモジュール温度が変わります。通風が悪いほどモジュール温度は上がりやすく、温度損失も大きくなります。


温度損失は、暑い地域だけの問題ではありません。寒冷地でも夏季の日射が強く風が弱い時間帯には、モジュール温度が大きく上がります。一方で年間平均気温が低い地域では、温度損失が相対的に小さくなり、PRが高く見えやすいことがあります。このため、地域間でPRを比較するときは、温度条件の違いを考慮する必要があります。寒冷地のPRが高いからといって、必ずしも設計や施工が優れているとは限りません。


温度損失を見る際には、モジュール温度の計算条件が適切かも確認します。シミュレーションでは、モジュールの熱的な挙動を簡略化して計算するため、熱損失係数や設置方式の入力が結果に影響します。架台の種類、地面からの高さ、背面の開放状態、屋根面との距離などが実態と合っていないと、温度損失の評価がずれる可能性があります。


また、温度損失は出力制限や変換装置の容量設計とも関係します。高温時はモジュール出力が下がるため、直流側のピークが抑えられることがあります。逆に低温で日射が強い日は、モジュール出力が高くなり、変換装置側の上限にかかる可能性があります。温度損失だけを単独で見るのではなく、過積載率、出力制限、変換装置の入力範囲と合わせて確認することが実務上は重要です。


温度損失が大きい場合の改善策としては、通風性を確保する架台設計、過度に密閉された設置を避けること、現地の気温や風速に合った熱条件を入力することが挙げられます。ただし、温度損失は自然条件に大きく左右されるため、完全にゼロにすることはできません。重要なのは、地域や設置方式に対して妥当な範囲かどうかを判断することです。


読み方3:低照度特性とモジュール品質損失を確認する

次に確認したいのが、モジュールの低照度特性や品質損失です。太陽電池モジュールの定格出力は標準条件で測定されますが、実際の発電所では日射強度が常に標準条件と同じではありません。朝夕、曇天時、季節による太陽高度の違いなどにより、低照度の時間帯が多く発生します。このとき、モジュールがどの程度効率よく発電できるかが低照度特性として効いてきます。


低照度損失は、モジュール種類や特性によって変わります。標準条件では同じ定格出力に見えるモジュールでも、低照度時の出力特性が異なれば、年間発電量に差が出る可能性があります。特に曇天が多い地域や散乱日射の割合が高い地域では、低照度特性の影響を軽視できません。


ただし、低照度損失は温度損失や影損失に比べると、実務上は見落とされやすい項目です。理由は、設計図面から直接確認しにくく、モジュール仕様やシミュレーションモデルの入力に依存するためです。モジュールデータが正しく選択されているか、定格出力、温度係数、効率曲線などが適切かを確認する必要があります。類似した型式を選んでしまった場合や、仕様変更後のデータが反映されていない場合、発電量の見積もりに差が生じます。


品質損失は、モジュールの公称出力と実際の出力ばらつき、製造公差、経年前の初期差などを反映する項目です。モジュールには出力許容差があり、すべてのモジュールが定格値ぴったりで発電するわけではありません。また、発電所全体では多数のモジュールを直列・並列に接続するため、個々のばらつきが全体の出力に影響します。


実務で品質損失を見るときは、設定値が過度に楽観的になっていないかを確認します。品質管理がしっかりしているモジュールであっても、現場に設置された全数が理想的に動作するとは限りません。輸送、保管、施工、接続、汚れ、微細な損傷などの影響も考えられます。一方で、保守的に大きな品質損失を入れすぎると、発電量予測が不必要に低くなります。


低照度特性と品質損失は、単独で大きな差に見えない場合でも、年間発電量やPRの比較では効いてきます。特に複数の解析結果を比較するとき、モジュールデータや品質損失の前提が異なると、同じレイアウトでも発電量が変わります。したがって、比較表を作る場合は、単に最終発電量を並べるだけでなく、モジュールの設定条件も確認する必要があります。


読み方4:ミスマッチ損失とストリング構成の影響を見る

ミスマッチ損失は、アレイ損失を読むうえで非常に実務的な項目です。太陽光発電では、複数のモジュールを直列につないでストリングを構成し、さらに複数のストリングを並列に接続します。このとき、モジュールごとの出力差、方位や傾斜の違い、影のかかり方、温度差、配線条件の違いなどにより、各モジュールやストリングの動作点が完全には一致しません。その不一致によって生じる損失がミスマッチ損失です。


直列接続では、基本的に電流がそろう必要があります。そのため、直列につながった一部のモジュールの出力が低いと、ストリング全体の出力に影響します。たとえば、一部だけ影がかかる、汚れが強い、方位が違う、傾斜が違うといった条件があると、全体の出力が引っ張られる可能性があります。これがミスマッチ損失の基本的な考え方です。


ストリング構成が適切でない場合、ミスマッチ損失は大きくなります。異なる方位のモジュールを同じ入力系統にまとめる、異なる傾斜の架台を同じ回路に混在させる、影のかかる範囲と影の少ない範囲を同じストリングに入れる、といった設計は注意が必要です。現場条件によっては避けられない場合もありますが、その場合は損失がどの程度になるかを把握しておく必要があります。


ミスマッチ損失を読むときは、年間値だけでなく、どのような原因で発生しているかを考えることが大切です。モジュールの製造ばらつきによるミスマッチなのか、影によるミスマッチなのか、方位や傾斜の混在によるミスマッチなのかで、改善策が異なります。製造ばらつきに由来する小さなミスマッチはある程度避けにくいですが、ストリング設計に由来するミスマッチは設計段階で改善できる可能性があります。


また、地形が複雑な発電所では、同じ発電所内でも架台ごとに方位角や傾斜角が微妙に異なることがあります。造成地、斜面地、谷地形、段差のある敷地では、架台の向きや高さが均一にならないこともあります。そのような場合、アレイ全体を単純な一条件でまとめてしまうと、実際のミスマッチや影の影響を十分に表現できない可能性があります。


実務では、ストリング図、配置図、地形図、影の解析結果を合わせて確認します。どのモジュールが同じストリングに入っているか、どの入力系統に接続されているか、影のかかる場所がどの回路に集中しているかを見ることで、ミスマッチ損失の妥当性を判断しやすくなります。ミスマッチ損失が大きい場合は、単に数値を修正するのではなく、回路構成そのものを見直す必要があります。


読み方5:直流配線損失と電圧降下を確認する

直流配線損失は、モジュールで発生した直流電力が変換装置に届くまでの間に、ケーブルの抵抗によって熱として失われる損失です。アレイ損失の中でも設計で管理しやすい項目であり、実務レビューではよく確認されます。配線損失は、ケーブル長、導体断面積、電流、電圧、回路構成、接続箱の位置、変換装置の配置などによって変わります。


直流配線損失を読むときは、まず設定値が実際の配線計画に基づいているかを確認します。概算値として一定の損失率を入れている場合もありますが、発電所規模が大きい場合や配線距離が長い場合は、実際の配線長とケーブルサイズから計算した方が妥当です。特に、架台から接続箱までの距離、接続箱から変換装置までの距離、幹線の断面積が結果に影響します。


配線損失は電流の二乗に比例して大きくなるため、同じケーブル抵抗でも電流が大きいほど損失が増えます。一方で、電圧が高いシステムでは同じ電力を送るための電流が小さくなるため、配線損失を抑えやすくなります。したがって、直流電圧、ストリング数、並列数、入力回路数の設計も配線損失と関係します。


配線損失で注意すべきなのは、距離の平均化です。発電所内には、変換装置に近いストリングもあれば遠いストリングもあります。単純な平均距離で計算すると、実態より小さく出る場合もあれば大きく出る場合もあります。特に敷地が広い場合や、接続箱の配置が偏っている場合は、配線ルートを具体的に確認することが重要です。直線距離ではなく、実際のケーブル敷設ルートで考える必要があります。


また、直流配線損失は、設備方式によっても考え方が変わります。変換装置を各アレイの近くに分散して配置する方式では、直流配線距離を短くしやすい一方、交流側の配線や機器点数が増える場合があります。集中配置する方式では、直流側の幹線が長くなりやすく、直流配線損失が増える可能性があります。どちらが適切かは、発電所規模、保守性、施工性、変圧設備の配置、土地条件によって異なります。


直流配線損失が大きい場合の改善策としては、ケーブル断面積を大きくする、接続箱や変換装置の配置を見直す、配線ルートを短くする、回路ごとの電流を抑える、ストリング構成を最適化するなどがあります。ただし、ケーブルサイズを大きくすると材料費や施工性に影響するため、損失低減とコスト・施工性のバランスを見る必要があります。シミュレーション上の損失を小さくするだけでなく、実際に施工可能な設計であることが重要です。


読み方6:影・汚れ・反射による実効日射の低下を見る

アレイ損失を読むうえで、影、汚れ、反射の影響は必ず確認すべき項目です。これらは、モジュールが受け取る実効日射を減らす要因です。日射量そのものが十分であっても、影がかかる、表面が汚れる、入射角が大きく反射が増えると、発電に使える光の量は減少します。


影損失は、周辺地形、樹木、建物、電柱、架台同士の間隔、モジュール列間の影などによって発生します。特に太陽高度が低い冬季や朝夕には、影が長く伸びるため、列間影や周辺障害物の影が大きくなりやすいです。年間の影損失が小さく見えても、特定時間帯や特定月に発電量へ大きな影響を与えている場合があります。


影損失を見るときは、単に影があるかどうかではなく、どの時間帯に、どの範囲に、どの回路へ影響するかを確認します。同じ影面積でも、ストリングの一部にかかる影と、複数ストリングに均等にかかる影では電気的な影響が異なります。影は日射量を減らすだけでなく、ミスマッチ損失を増やす原因にもなります。そのため、影損失とミスマッチ損失は切り離さずに見る必要があります。


汚れ損失は、モジュール表面に砂、ほこり、花粉、鳥のふん、落葉、火山灰、塩分、積雪後の残渣などが付着することで発生します。汚れの程度は地域、周辺環境、降雨頻度、傾斜角、清掃計画によって大きく変わります。傾斜角が浅いモジュールでは汚れが流れ落ちにくく、汚れ損失が大きくなることがあります。農地、工場、幹線道路、海岸、山間部など、周辺環境によって想定すべき汚れの種類も異なります。


汚れ損失は設定値として単純に年間一定で入れられることもありますが、実際には季節変動があります。雨が多い時期は自然洗浄が期待できる一方、乾燥期には汚れが蓄積しやすくなります。積雪地域では、雪がモジュールを覆う期間の発電低下と、雪が滑落した後の反射増加や残雪影響をどう扱うかも重要です。汚れ損失を読むときは、地域の実態に合った設定かどうかを確認する必要があります。


反射損失は、太陽光がモジュール表面に入射したとき、一部が反射して発電に使われないことによる損失です。入射角が大きいほど反射は増えやすく、朝夕や冬季に影響が出やすくなります。モジュール表面のガラス特性や入射角補正の設定によっても結果が変わります。反射損失は普段あまり注目されないこともありますが、傾斜角や方位、地域の日射条件によっては無視できません。


影、汚れ、反射は、いずれも実効日射を減らす項目です。これらの損失が大きい場合は、レイアウト、列間隔、架台高さ、周辺障害物、清掃計画、モジュール傾斜角などを見直すことで改善できる可能性があります。ただし、土地面積や施工条件との兼ね合いがあるため、単純に損失を最小化するだけでなく、設備容量や全体収益とのバランスで判断することが大切です。


アレイ損失を読むときに混同しやすい項目

アレイ損失を読むときに混同しやすいのが、直流側の損失と交流側の損失です。アレイ損失は主にモジュールから直流入力までの損失を扱いますが、最終的な発電量には変換装置の効率、交流配線、変圧器、出力制限、所内消費なども影響します。PRが低い原因を探すとき、アレイ損失だけを見て結論を出すと、交流側の問題を見落とす可能性があります。


たとえば、直流側の発電量は十分でも、変換装置の容量上限によって出力がカットされる場合があります。この損失は、アレイの性能が悪いというより、直流容量と交流容量の設計バランスによるものです。過積載を行う場合、一定の出力カットは設計上許容されることもあります。したがって、出力カットを単純に悪い損失と見るのではなく、年間発電量、設備利用率、収益性の観点で評価する必要があります。


また、所内消費や補機損失もアレイ損失とは別の項目です。監視装置、通信機器、冷却装置、変圧設備、制御機器などで消費される電力は、最終的な送電量に影響しますが、モジュールが電力を生み出す段階の損失とは性質が異なります。アレイ損失と補機損失を混同すると、改善すべき対象がずれてしまいます。


さらに、劣化損失と初年度のアレイ損失も分けて考える必要があります。太陽電池モジュールは時間とともに出力が低下しますが、これは長期発電量予測で扱う項目です。初年度のシミュレーションに含まれる品質損失やミスマッチ損失とは意味が異なります。長期収支を評価する場合は、初年度のアレイ損失と経年劣化を別々に整理することが重要です。


比較レポートを見るときは、損失項目の名称が似ていても、計算範囲が同じとは限りません。ある資料では日射側の損失に含まれている項目が、別の資料ではアレイ側の損失として扱われている場合もあります。したがって、複数の解析結果を比較する際は、項目名だけで判断せず、どの段階のエネルギーからどの段階のエネルギーへ移るときの損失なのかを確認することが大切です。


実務でアレイ損失を確認するときの手順

実務でアレイ損失を確認するときは、まず最終発電量やPRから入るのではなく、前提条件を確認することが重要です。所在地、気象データ、標高、方位角、傾斜角、モジュール型式、直流容量、交流容量、配線条件、影の入力、汚れ条件などが正しいかを確認します。前提条件が違えば、損失率の比較は意味を持ちにくくなります。


次に、モジュール面日射量を確認します。水平面日射から傾斜面日射への変換が妥当か、周辺地域と比べて極端な値になっていないかを見ます。ここで違和感がある場合は、気象データや方位・傾斜の入力を見直します。日射量はすべての計算の出発点なので、この段階の確認は非常に重要です。


その後、影、汚れ、反射など、実効日射を減らす項目を確認します。影損失が大きい場合は、影の原因が列間影なのか、周辺障害物なのか、地形なのかを整理します。汚れ損失が大きい場合は、地域環境や清掃計画と整合しているかを確認します。反射損失については、傾斜角や入射角の影響が妥当かを見ます。


続いて、温度損失を確認します。地域の気温、風速、設置方式に対して、温度損失が妥当な範囲かを判断します。特に屋根置きや通風が悪い設置では温度損失が大きくなりやすく、地上設置で通風が良い場合は比較的小さくなりやすいです。熱条件の入力が実態と合っているかを確認することが重要です。


次に、モジュール品質、低照度特性、ミスマッチ損失を確認します。モジュールデータが正しいか、ストリング構成が妥当か、影や方位差が同じ回路内に混在していないかを見ます。ここでは配置図や単線結線図、ストリング図との照合が有効です。損失図だけでは原因が見えない場合でも、図面と合わせることで判断しやすくなります。


最後に、直流配線損失を確認します。設定値が概算なのか、実配線に基づく計算なのかを確認し、ケーブル長、断面積、接続箱位置、変換装置位置が整合しているかを見ます。直流配線損失は設計変更で改善できる可能性が高いため、数値が大きい場合は重点的に確認する価値があります。


このように、アレイ損失の確認は、上から順に損失図を眺めるだけではなく、気象、レイアウト、電気設計、施工条件を横断的に見る作業です。数字の大小だけでなく、その数字がどの前提から生まれているかを追うことが、実務で使える読み方です。


アレイ損失を改善するための設計・施工上の着眼点

アレイ損失を改善するには、まず改善できる損失と改善しにくい損失を分けることが大切です。温度損失や反射損失のように自然条件の影響が大きいものは、完全になくすことはできません。一方で、直流配線損失、ミスマッチ損失、影損失、汚れ損失の一部は、設計や運用で改善できる可能性があります。


レイアウト面では、方位角と傾斜角の整合性、列間隔、架台高さ、周辺障害物との距離を確認します。土地を最大限使うために架台を詰め込みすぎると、列間影が増えたり、保守動線が悪くなったりする可能性があります。短期的には設備容量が増えて発電量が増えるように見えても、影やメンテナンス性の悪化によって長期的な性能が下がる場合があります。


電気設計面では、ストリング構成と入力系統の分け方が重要です。影の条件が異なるモジュール、方位や傾斜が異なるモジュールを同じ系統にまとめると、ミスマッチ損失が増える可能性があります。できるだけ同じ条件のモジュールを同じストリングや同じ入力系統にまとめることが基本です。地形が複雑な場合は、エリアごとに条件を分けて設計することが有効です。


配線面では、接続箱や変換装置の配置を工夫し、不要に長い直流配線を避けることが重要です。ケーブル断面積を大きくすれば損失は減らせますが、材料費や施工性とのバランスがあります。単純に太いケーブルを選ぶだけでなく、機器配置、ルート、回路数、施工手順を含めて最適化することが必要です。


施工面では、設計通りに方位、傾斜、配線、接続が実現されているかが重要です。図面上では損失が小さくても、現場で架台角度がずれている、配線ルートが長くなっている、接続先が設計と異なる、影を生む設備が追加されていると、実際の発電量は変わります。竣工時の出来形確認や、位置・高さ・角度の確認は、アレイ損失の実態把握に直結します。


運用面では、汚れや植生管理、定期点検が重要です。雑草が伸びてモジュール下部に影を作る、鳥害や粉じんで一部だけ汚れが強くなる、排水不良で泥はねが起こるといった問題は、発電所の運用中に発生します。これらはシミュレーション時には見込みにくいこともありますが、実測データと現地確認を組み合わせることで改善できます。


アレイ損失を改善するためには、シミュレーション上の数値だけでなく、現場の状態を正確に把握することが欠かせません。設計図面、完成図、現地測量、写真、点群、発電実績をつなげて確認することで、損失の原因をより具体的に特定できます。


まとめ

PVSystのアレイ損失は、太陽光発電の発電量がどこで減っているのかを理解するための重要な項目です。単に損失率の大小を見るのではなく、日射がモジュール面に入る段階、実効日射に変わる段階、モジュールが直流電力を発生する段階、ストリングや直流配線を通る段階に分けて読むことが大切です。


特に確認すべきポイントは、日射からモジュール面への変換、温度損失、低照度特性と品質損失、ミスマッチ損失、直流配線損失、影・汚れ・反射による損失です。これらはそれぞれ発生原因が異なり、改善方法も異なります。温度のように自然条件の影響が大きいものもあれば、配線長やストリング構成のように設計で改善しやすいものもあります。


実務担当者がアレイ損失を読む際には、損失図だけで判断せず、配置図、ストリング図、単線結線図、気象条件、現地条件を合わせて確認する必要があります。年間値だけでなく月別値や季節性を見ることで、影、温度、汚れ、積雪などの影響も把握しやすくなります。また、複数の解析結果を比較する場合は、損失項目の名称だけでなく、計算範囲や前提条件が同じかどうかを確認することが重要です。


アレイ損失の読み方を身につけると、発電量が低い理由を感覚ではなく根拠を持って説明できるようになります。設計段階では、レイアウトや配線計画の改善点を見つけやすくなります。施工後には、実測発電量との比較を通じて、影、汚れ、配線、角度ずれ、運用上の問題を特定しやすくなります。つまり、アレイ損失は単なる解析結果の一項目ではなく、設計・施工・運用をつなぐ確認ポイントです。


太陽光発電所の性能を正しく把握するには、シミュレーション上の数値と現場の状態を結びつけることが欠かせません。モジュールの配置、架台の角度、現地の高低差、周辺障害物、完成後の出来形を正確に確認できれば、アレイ損失の原因をより具体的に説明できます。LRTKは、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスとして、現場での位置確認、出来形確認、点群や図面との照合に活用できます。発電量解析の結果を机上の数値で終わらせず、現地の状態と結びつけて検証したい場合、LRTKを使った高精度な現場確認は、太陽光発電所の設計・施工・維持管理をより確かなものにする手段になります。


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