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PVSystの見積前に知るべき読み方5つ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSystを見積前に読む意味

見積前にPVSystを見るときの基本

読み方1 入力条件が見積条件と合っているか確認する

読み方2 年間発電量と売電・自家消費に使う値を分ける

読み方3 Specific YieldとPRで発電効率を確認する

読み方4 Loss Diagramで見積に影響する損失を読む

読み方5 月別結果とリスク条件を見積説明に反映する

見積前のPVSyst読解でよくある間違い

見積前レビューで使いやすい確認の流れ

現場確認と高精度測位を組み合わせた活用


PVSystを見積前に読む意味

PVSystを見積前に読む意味は、太陽光発電設備の発電量見込みを、見積条件と矛盾なく説明できるようにすることです。見積では、設置容量、機器構成、施工範囲、発電量、売電量、自家消費量、O&M条件などが関係します。PVSystの結果を正しく読まずに見積へ反映すると、発電量が過大または過小になり、施主説明や社内レビューで後から差分が出やすくなります。


PVSystは、太陽光発電所の発電量をシミュレーションするための有効なツールです。しかし、PVSystのレポートに出ている年間発電量をそのまま見積書に載せればよいわけではありません。PVSystの結果は、設置場所、気象データ、モジュール仕様、PCS仕様、方位角、傾斜角、影条件、損失条件、出力制限などの入力条件に基づく計算値です。見積条件とPVSystの入力条件がずれていれば、見積に使う発電量もずれます。


たとえば、見積ではモジュール枚数を変更したのに、PVSystでは変更前の容量で解析している場合があります。PCS容量を変えたのにDC/AC比が更新されていない場合もあります。配線ルートが長くなったのにWiring Lossが以前のままになっていることもあります。現場に影要因があるのにShading Sceneに入っていない場合、発電量が高く見積もられる可能性があります。


見積前にPVSystを読むときは、発電量の数字だけでなく、その数字が見積の前提と合っているかを確認します。どの容量で計算しているか、どのPCSで計算しているか、どの損失条件を入れているか、売電量として使う値はどれか、自家消費型なら負荷データは現実的か、蓄電池があるなら充放電条件は合っているかを見ます。


また、見積前のPVSyst読解では、発電量の下振れ要因も把握しておく必要があります。気象データが楽観的ではないか、Soiling Lossが低すぎないか、出力制御を見落としていないか、クリッピングが過大ではないか、積雪や影をどう扱っているかを確認します。これらを見落とすと、見積時の発電量説明が過度に楽観的になり、運転後に実測値との差が問題になりやすくなります。


一方で、必要以上に保守的な条件を入れすぎると、発電量が低く出て、提案の魅力が弱くなる場合もあります。見積前に大切なのは、楽観的でも過度に保守的でもない、根拠のある前提でPVSystを読むことです。見積は、発電量の数字だけでなく、その数字の根拠を説明できる状態で作る必要があります。


PVSystの見積前読解は、営業資料を整えるためだけの作業ではありません。設計条件と発電量をつなぎ、発電量と収支をつなぎ、収支と現場リスクをつなぐための確認作業です。見積前にPVSystの基本項目を押さえておけば、施主から発電量の根拠を聞かれたときにも、社内で設計条件を確認されたときにも、落ち着いて説明できます。


見積前にPVSystを見るときの基本

見積前にPVSystを見るときの基本は、最初に「このレポートは見積条件と同じ前提か」を確認することです。PVSystの結果は、入力条件と一体です。見積で提示する設備容量や機器構成と、PVSystの設定が違っていれば、発電量の説明にずれが出ます。


まず確認するのは、設置容量です。モジュールの合計容量、枚数、型式、出力クラスが見積と一致しているかを見ます。見積で採用するモジュールが変わった場合、定格出力や温度係数も変わる可能性があります。PVSyst側のモジュールデータが古いままだと、発電量や温度損失が実際の提案と一致しません。


次にPCS容量を確認します。PCSの台数、定格出力、変換効率、入力条件、力率条件が見積と一致しているかを確認します。PCS容量が変わると、DC/AC比やクリッピングが変わります。DC容量だけを増やしてPCS容量を変えない場合、過積載の影響が強くなります。見積でPCS構成を変えた場合は、PVSystも再確認が必要です。


方位角と傾斜角も重要です。地上設置では架台角度、屋根設置では屋根面ごとの方位と勾配が発電量に直結します。見積図面では複数方位や複数傾斜があるのに、PVSystでは単一方位として扱っている場合、実際の発電カーブや月別発電量がずれる可能性があります。


気象データも確認します。年間日射量、月別日射量、気温が現場に対して妥当かを見ます。見積前の段階では、発電量を高く見せるために日射量の高いデータだけを採用するのではなく、現場を代表するデータを使うことが重要です。複数の気象データを比較して、発電量の幅を把握しておくと、説明がしやすくなります。


影条件も見積前に確認するべき項目です。Shading Sceneに架台列、周辺建物、樹木、法面、設備機器が反映されているかを見ます。見積段階では、配置や架台間隔が変更されることがあります。列間距離が狭くなれば、冬季の列間影が増える可能性があります。容量を増やすために影のあるエリアまで使う場合も、PVSystに反映する必要があります。


損失条件も見ます。Soiling Loss、Wiring Loss、Thermal Loss、Mismatch Loss、Transformer Loss、Auxiliary Lossが見積条件と合っているかを確認します。たとえば、ケーブルルートが長い見積なのにWiring Lossが低いままだと、発電量が過大になります。補機消費を見積に含めているのにPVSystで見ていない場合も、正味発電量の説明がずれます。


見積前にPVSystを見る目的は、発電量の数字を拾うことではなく、見積条件と発電量の整合を確認することです。入力条件、年間発電量、Grid Injection、PR、Specific Yield、Loss Diagram、月別結果を順番に確認すれば、見積に使える発電量かどうかを判断しやすくなります。


読み方1 入力条件が見積条件と合っているか確認する

PVSystの見積前に知るべき読み方の1つ目は、入力条件が見積条件と合っているか確認することです。これは最も基本であり、最も重要な確認です。PVSystの発電量は入力条件から計算されるため、見積条件と入力条件がずれていると、発電量の根拠が崩れます。


まず、モジュールの型式と容量を確認します。見積で採用するモジュールの定格出力、枚数、合計容量がPVSystと一致しているかを見ます。見積段階では、モジュールの出力クラスや枚数が変更されることがあります。PVSystが古い案のままになっていると、年間発電量もSpecific Yieldも見積条件と合いません。


次に、PCSの型式と容量を確認します。PCS容量は、Inverter OutputやClipping Lossに大きく影響します。見積でPCS台数を変更した、PCS容量を変更した、力率条件を変えた、出力上限を設定した場合は、PVSystにも反映されているかを確認します。DC容量とAC容量の比率であるDC/AC比も合わせて見ます。


架台条件も見積と一致している必要があります。方位角、傾斜角、列間距離、架台高さ、レイアウトがPVSystと見積図面で合っているかを確認します。傾斜角が変わると、月別発電量やIAM Loss、列間影が変わります。列間距離が変わるとShading Lossが変わります。見積のレイアウト変更は、発電量に直結します。


屋根設置では、屋根面ごとの方位と傾斜が重要です。南面だけでなく、東面、西面、北寄りの面を使う場合、面ごとの発電量や自家消費との相性が変わります。複数屋根面をまとめて平均化している場合は、時間帯別発電やクリッピングの評価がずれる可能性があります。


気象データの地点も確認します。見積対象地とPVSystの地点が合っているか、標高や地域特性が大きく違わないかを見ます。発電所が山間部や積雪地域にある場合、近隣の代表データでも実態と差が出る場合があります。気象データが発電量に強く効くため、見積前に確認しておく必要があります。


影条件も見積条件と一致しているか確認します。見積図面で周辺障害物、法面、樹木、建物、架台列間影がある場合、それらがPVSystに反映されているかを見ます。発電量を高く見せるためではなく、現実的な発電量を説明するために必要です。


配線条件も見積と合わせます。見積で想定しているPCS位置、接続箱位置、ケーブルルート、ケーブル断面積がPVSystのWiring Lossと整合しているかを確認します。PVSystで配線損失を固定値として入れている場合、その値が見積の設計に合っているかを見ます。


入力条件が見積条件と合っていることを確認できれば、PVSystの発電量を見積説明に使いやすくなります。逆に、ここにずれがある場合は、年間発電量やPRの説明に入る前に、PVSyst条件を更新する必要があります。


読み方2 年間発電量と売電・自家消費に使う値を分ける

PVSystの見積前に知るべき読み方の2つ目は、年間発電量と売電・自家消費に使う値を分けることです。見積では、発電量の総量だけでなく、その電力量がどこで使われ、どれだけ収支に反映されるかが重要です。


まず、年間発電量がどの段階の値かを確認します。PVSystには、Array Output、Inverter Output、Grid Injection、System Outputなどの値が出る場合があります。Array Outputはモジュール側のDC発電量として扱われる場合があり、Inverter OutputはPCS出口のAC電力量です。Grid Injectionは系統へ注入される電力量に近い値として扱われます。


売電型の見積では、Grid Injectionや受電点に近い電力量を確認します。PCS出口のInverter Outputをそのまま売電量として使うと、AC配線損失、変圧器損失、補機消費を見落とす可能性があります。見積で売電量を示す場合、どの計測点の電力量を使っているかを明確にします。


自家消費型の見積では、年間発電量だけでは不十分です。発電した電力のうち、施設内で使われた自家消費量、余った余剰電力量、外部から買う買電量を分けて確認します。発電量が多くても、需要と時間帯が合っていなければ余剰が増え、買電削減効果は限定的になる場合があります。


余剰売電型では、自家消費量と売電量の両方を見ます。施設内で使った電力量は買電削減に関係し、余剰として系統へ流れた電力量は売電に関係します。見積では、この2つを分けて説明できるようにしておくと、施主に伝わりやすくなります。


蓄電池併設の場合は、さらに充電量、放電量、蓄電池損失を確認します。蓄電池を入れると、自家消費率や買電量、売電量が変わります。昼間の余剰を夜に使うことで買電量が減る一方、蓄電池損失が発生します。発電量が増えるわけではなく、電力の使い方が変わることを理解して読みます。


見積前には、PVSystのどの値を見積書や提案書に使うのかを決める必要があります。年間発電量として表示する値、売電量として使う値、自家消費量として使う値、買電削減量として使う値を整理します。これを曖昧にすると、後で「この発電量はPCS出口なのか、受電点なのか」という確認が発生します。


また、年間値だけでなく月別値も確認します。売電収入や自家消費効果は季節によって変わります。自家消費型では、需要が多い月に発電量が多いかどうかが重要です。蓄電池併設では、余剰が多い月に充電量が増えるかを確認します。


見積前のPVSyst読解では、発電量の総量を読むだけでなく、その電力量が売電、自家消費、余剰、買電削減のどこに効くかを分けて読むことが大切です。これにより、見積説明と発電量シミュレーションの整合が取りやすくなります。


読み方3 Specific YieldとPRで発電効率を確認する

PVSystの見積前に知るべき読み方の3つ目は、Specific YieldとPRで発電効率を確認することです。見積では、年間発電量の総量が注目されますが、それだけでは発電効率や設計の妥当性を説明しきれません。Specific YieldとPRを確認すると、発電量の意味を整理できます。


Specific Yieldは、設置容量あたりの年間発電量です。設置容量が違う案を比較するときに特に重要です。大容量案は年間発電量が大きく見えますが、容量あたりでは効率が下がっている場合があります。見積前にSpecific Yieldを確認することで、追加した容量が有効に発電しているかを判断できます。


たとえば、屋根全面にモジュールを載せる案では、総発電量は大きくなるかもしれません。しかし、北寄りの面、影のある面、方位の悪い面まで使うことで、Specific Yieldが下がる可能性があります。この場合、総発電量は増えても、容量あたりの発電性能は落ちています。施主に説明する際も、「容量を増やすと発電量は増えますが、追加部分の効率は下がります」と説明できます。


PRは、受けた日射に対してシステムがどれだけ効率よく発電できているかを見る指標です。見積前にPRを確認することで、損失条件が現実的か、設計に大きなロスがないかを把握できます。ただし、PRが高ければ必ず良いとは限りません。影や汚れ、補機、出力制限を十分に反映していない場合、PRは高く見えます。


PRが低い場合は、Loss Diagramを確認します。温度損失が大きいのか、影損失が大きいのか、配線損失やクリッピングが大きいのかを見ます。PRが低くても、現場条件を正しく反映しているなら妥当な場合があります。見積では、PRの高低よりも、その理由を説明できることが重要です。


Specific YieldとPRは、意味が違います。Specific Yieldは容量を基準にした発電量です。PRは日射を基準にした効率です。日射量が多い地域ではSpecific Yieldが高くなりやすいですが、高温によるThermal Lossが大きければPRは下がる場合があります。両方を確認することで、発電量を多面的に読めます。


見積前にこれらの指標を確認しておくと、他社比較や設計案比較にも対応しやすくなります。年間発電量だけを比較すると、容量や気象データの差に惑わされやすくなります。Specific Yieldで容量あたり、PRで日射に対する効率を確認すれば、比較の軸が明確になります。


見積説明では、「年間発電量は総量、Specific Yieldは容量あたりの発電量、PRは日射に対する効率です」と整理すると分かりやすくなります。この3つを分けて示せるようにしておくと、PVSystの結果を見積に自然につなげられます。


読み方4 Loss Diagramで見積に影響する損失を読む

PVSystの見積前に知るべき読み方の4つ目は、Loss Diagramで見積に影響する損失を読むことです。見積前に発電量を確認するとき、年間発電量だけでは、どの条件が発電量を下げているか分かりません。Loss Diagramを見ることで、見積条件や設計条件に関係する損失を把握できます。


まず確認するのは、大きな損失項目です。Thermal Loss、Shading Loss、Soiling Loss、Wiring Loss、Inverter Loss、Transformer Loss、Auxiliary Loss、Clipping Lossのうち、どれが大きいかを見ます。大きな損失は、見積前に説明や見直しが必要な項目です。


Shading Lossが大きい場合は、影の原因を確認します。周辺の樹木、建物、法面、架台列間影、設備機器が影を作っている可能性があります。見積のレイアウトを変えれば影が減るのか、現場条件として受け入れるべきなのかを判断します。影の大きいエリアにモジュールを追加している場合、容量あたりの発電量が下がる可能性があります。


Soiling Lossが大きい場合は、清掃や現場環境を見積条件に反映する必要があります。粉じん、泥はね、未舗装道路、農地、花粉、黄砂などがある現場では、汚れ損失が発電量に効きます。清掃計画を提案に含めるか、損失条件として保守的に見るかを検討します。


Wiring Lossが大きい場合は、ケーブルルートやPCS配置が見積に影響します。PCSや接続箱の位置を変えることで配線損失が減る可能性があります。ケーブル断面積を見直すことで発電量は改善するかもしれませんが、施工条件とのバランスを考える必要があります。PVSystのWiring Lossは、見積上の電気設計と密接に関係します。


Thermal Lossが大きい場合は、設置方式や通風条件を確認します。屋根面に近い設置や高温地域では温度損失が増えます。架台高さや通風を改善できるか、モジュール特性で差が出るかを検討します。ただし、温度損失は気象条件による自然な損失でもあるため、完全になくすことはできません。


Clipping Lossが大きい場合は、DC/AC比やPCS容量を確認します。過積載設計では一定のクリッピングを許容することがありますが、過大な場合は追加容量の効果が小さくなります。見積でモジュール容量を増やす案を提示する場合、クリッピングの影響を説明できるようにしておく必要があります。


Transformer LossやAuxiliary Lossも見落としやすい項目です。変圧器損失や補機消費がPVSystに反映されていない場合、売電対象電力量や正味発電量を過大に見積もる可能性があります。見積範囲に変圧器や補機が含まれる場合は、これらの損失を確認します。


Loss Diagramを読むときは、損失率を単純合計しません。日射側、DC側、AC側、系統側の流れでどこが効いているかを読みます。見積前に主要損失を把握しておくことで、設計改善の余地や施主説明の注意点を整理できます。


読み方5 月別結果とリスク条件を見積説明に反映する

PVSystの見積前に知るべき読み方の5つ目は、月別結果とリスク条件を見積説明に反映することです。見積では年間発電量が中心になりがちですが、実際の発電量や収支は季節によって変動します。月別結果を確認しておくと、施主説明や社内レビューでより実務的な説明ができます。


まず月別発電量を確認します。どの月に発電量が多く、どの月に少ないかを見ます。日射量が多い月は発電量が増えやすく、日射量が少ない月は発電量が下がりやすくなります。見積で年間発電量だけを示す場合でも、月別の変動を把握しておくと説明しやすくなります。


夏は日射量が多く発電量が大きくなりやすいですが、気温が高くなりThermal Lossが増えます。そのため、発電量は多くてもPRが下がる場合があります。夏の発電量を説明するときは、温度損失の影響を理解しておきます。


冬は日射量が少なく、太陽高度が低く、発電量が小さくなりやすい季節です。積雪地域では、雪による遮蔽や発電停止が影響する場合があります。冬の発電量を過大に見積もらないために、積雪、影、低日射の影響を確認します。


春や秋は、気温が比較的低く日射もあるため、PRが高くなりやすい場合があります。一方、DC/AC比が高い案件では、春や秋にクリッピングが発生することがあります。月別のClipping Lossを確認すると、過積載の影響を説明しやすくなります。


自家消費型では、月別発電量と月別需要の関係が重要です。発電量が多い月に需要も大きければ、自家消費効果が出やすくなります。逆に、発電量が多くても需要が小さい月は余剰が増える可能性があります。見積では、年間発電量だけでなく、自家消費量や買電削減量の月別変動も確認します。


出力制御がある案件では、月別の出力制御影響を確認します。発電量が多い季節に制御が集中すると、売電収入に大きく影響します。PVSystで出力制御を設定しているか、設定していない場合は別途リスクとして説明できるかを確認します。


見積前には、発電量の下振れ要因も整理します。気象年変動、PCS停止、出力制御、汚れ、影、積雪、清掃不足、草影、計測点の違いなどがリスク条件です。PVSystの基準ケースだけでなく、感度分析や保守的条件を確認しておくと、見積説明の信頼性が上がります。


月別結果とリスク条件を把握しておくことで、見積説明が単なる年間発電量の提示で終わらなくなります。季節ごとの発電特性、収支への影響、O&M上の注意点まで説明できるようになります。


見積前のPVSyst読解でよくある間違い

見積前のPVSyst読解でよくある間違いの一つは、年間発電量だけを見積に転記してしまうことです。年間発電量には複数の段階があります。DC側の発電量、PCS出口の電力量、系統注入量は同じではありません。見積で売電量や自家消費量を示す場合は、適切な値を選ぶ必要があります。


もう一つの間違いは、見積条件とPVSyst条件のずれを確認しないことです。モジュール枚数、PCS容量、方位角、傾斜角、レイアウト、ケーブルルートが見積と違っていると、発電量の根拠がずれます。見積前には、必ず入力条件を照合します。


気象データを確認しないことも危険です。日射量が高いデータを使えば発電量は高く出ます。現場を代表していない気象データを使うと、実測や収支が下振れする可能性があります。複数データで比較しておくと、発電量の幅を説明しやすくなります。


PRが高いから安心と判断することも間違いです。PRが高い場合でも、影や汚れ、補機消費、出力制限が十分に反映されていない可能性があります。PRはLoss Diagramとセットで読みます。


損失率を低く見すぎることもあります。Soiling Loss、Wiring Loss、Auxiliary Lossなどを低く設定すると、発電量は高く出ます。しかし、現場条件と合っていなければ、運転後に実測値が下振れします。見積前には損失の根拠を確認します。


設置容量が大きい案を無条件に良いと判断することも危険です。容量を増やすと総発電量は増えますが、影のある場所や方位の悪い場所まで使うと、容量あたりの発電量が下がる場合があります。Specific YieldやClipping Lossを確認します。


出力制御を見落とすことも大きな間違いです。発電できる電力があっても、系統側の制限で売電できない場合があります。PVSystで出力制御を考慮しているかを確認し、見積説明に反映します。


自家消費型で負荷データを確認しないこともよくあります。発電量が多くても、需要時間帯と合わなければ自家消費効果は限定的です。負荷データが実態に合っているか、余剰や買電量がどう変わるかを確認します。


見積前のPVSyst読解では、発電量の数字だけでなく、入力条件、損失条件、出力制限、収支に使う値を確認することが重要です。これにより、見積後の説明不足や発電量差分のリスクを減らせます。


見積前レビューで使いやすい確認の流れ

見積前にPVSystをレビューするときは、確認の流れを決めておくと効率的です。最初に見積条件と入力条件を照合し、次に年間発電量とGrid Injectionを確認し、その後にSpecific Yield、PR、Loss Diagram、月別結果、リスク条件を確認します。


まず、見積条件とPVSyst条件を照合します。モジュール型式、枚数、容量、PCS容量、方位角、傾斜角、レイアウト、配線条件、影条件が一致しているかを確認します。ここでずれがあれば、発電量の評価に進む前に修正が必要です。


次に、年間発電量とGrid Injectionを確認します。発電量の総量と、最終的に系統へ注入される電力量を分けて見ます。売電型ではGrid Injection、自家消費型では自家消費量と余剰量、蓄電池併設では充放電量も確認します。


次に、Specific YieldとPRを確認します。Specific Yieldで容量あたりの発電量を見ます。PRで日射に対する効率を見ます。これらが極端に高い、または低い場合は、気象データや損失条件を確認します。


その後、Loss Diagramで主要損失を確認します。温度、影、汚れ、配線、PCS、変圧器、補機、クリッピング、出力制限のうち、どれが発電量に効いているかを見ます。見積条件に関係する損失は、説明できるようにしておきます。


月別結果では、季節ごとの発電量とPRを確認します。夏の温度損失、冬の影や積雪、春秋のクリッピングなどを見ます。自家消費型では月別需要との関係も確認します。


最後に、リスク条件を整理します。気象年変動、出力制御、PCS停止、汚れ、影、積雪、O&M条件、施工変更による配線損失などを確認します。必要に応じて感度分析を行い、見積発電量の幅を把握します。


見積前レビューでは、すべての項目を細かく確認するより、発電量に効く項目を優先します。見積条件とPVSyst条件の一致、収支に使う電力量、主要損失、月別変動、下振れリスクを押さえれば、施主説明や社内レビューでの質問に対応しやすくなります。


現場確認と高精度測位を組み合わせた活用

PVSystを見積前に読むときは、レポート上の条件と現場実態を結びつけることが重要です。見積段階では、図面や机上条件をもとにPVSystを作成することが多いですが、現場の方位、傾斜、影、汚れ、配線ルート、PCS配置、接続箱、変圧器、日射計、受電点が想定と違う場合、発電量や損失条件も変わります。


たとえば、Shading Lossを確認するには、影を作る樹木、建物、法面、架台列、設備機器の位置を把握する必要があります。Soiling Lossを確認するには、未舗装道路、粉じん源、泥はね、排水不良、清掃対象箇所を確認します。Wiring Lossを確認するには、PCS、接続箱、変圧器、ケーブルルートの位置関係を確認します。


見積前に現場確認ができる場合は、PVSystの前提と現場の差を早い段階で把握できます。影のあるエリアを避ける、PCS位置を見直す、配線ルートを短くする、汚れやすい場所を考慮する、積雪や排水条件を反映するなど、発電量と見積条件の精度を上げやすくなります。


大規模な太陽光発電所では、似たような架台列や接続箱が多数並ぶため、写真だけでは後から位置を特定しにくいことがあります。見積前の調査写真や現場メモに正確な位置情報を付けておけば、PVSystの入力条件やLoss Diagramの確認に使いやすくなります。


施工段階でも位置情報は重要です。見積時の想定と施工時の実際の配置が変わることがあります。PCS位置、接続箱位置、ケーブルルート、架台配置、列間距離が変われば、Wiring LossやShading Lossが変わる可能性があります。施工変更を位置付きで記録しておくと、PVSyst条件の更新や竣工後の実測比較に役立ちます。


LRTKは、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスです。現場で高精度な位置情報を取得しながら、点検写真や確認結果を記録できるため、PVSystの見積前確認にも活用しやすい方法です。PVSystで設置容量、Grid Injection、PR、Loss Diagram、月別結果を確認し、現場ではLRTKを使って影要因、汚れ箇所、PCS、接続箱、ケーブルルート、日射計、受電点を位置付きで記録すれば、見積条件と現場実態を結びつけやすくなります。


PVSystの見積前読解は、机上の発電量確認だけでは完結しません。数値を読み、前提を確認し、現場で検証することで、見積の信頼性が高まります。LRTKのような高精度測位を活用することで、設計確認、見積前調査、施工確認、実測比較、O&M改善をより一体的に進めやすくなります。


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