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PVSystの読み方入門|最初に見るべき5項目

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この記事は平均5分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

PVSystのレポートは、慣れないうちはどこから読めばよいのか迷いやすいです。発電量、比率、損失、日射量、アレイ出力、系統連系側の出力など、似たように見える数字が並ぶため、最初から全部を追いかけると、かえって全体像が見えにくくなります。実務では、用語を一つずつ全部覚えるより、「最初にどこを見るか」の順番を持っておいたほうが、はるかに速く内容をつかめます。PVSystの公式チュートリアルでも、レポートの中心として、主結果、比発電量、PR、損失図、そして補助的なグラフを見る流れが整理されています。


また、PVSystのレポートは、単に年間発電量の合計だけを示す資料ではありません。主結果ページではエネルギーの結論が見えますし、損失図ではその結論に至るまでにどこでエネルギーが減ったのかが見えます。さらに、気象・日射関連の変数を見ると、そもそもの入力条件と受光条件が妥当かどうかも確認できます。つまり、PVSystの読み方とは、数字を暗記することではなく、「結論」「原因」「背景条件」を順番に押さえることです。


この記事では、PVSystのレポートを読むときに最初に確認したい五つの項目を、初心者向けに順番立てて解説します。実務担当者が、レポートを受け取った直後に「まず何を見るべきか」「どの数字をどう読み違えやすいか」を整理できるように、できるだけ用語の関係が見える形でまとめます。PVSystをこれから使い始める方だけでなく、結果を受け取って確認する側の方にも役立つ内容です。


目次

PVSystを読む前に理解したい前提

1 最初に見るべきはMain results

2 日射量まわりの数値を確認する

3 Loss Diagramで発電量の減り方を追う

4 EArray・EOutInv・E_Gridの違いを押さえる

5 月別結果とNormalized productionsで異常を探す

実務で迷わない読む順番

まとめ


PVSystを読む前に理解したい前提

PVSystを読む前に、まず押さえたいのは、レポートの数字には「結果の数字」と「途中経過の数字」があることです。たとえば、Produced EnergyやSpecific production、PRのような数字は、最終的な結論に近い数字です。一方で、GlobIncやGlobEff、EArrayのような数字は、どの条件でその結論に至ったかを理解するための途中経過の数字です。最初から途中経過ばかり見ていると、どの数字が重要なのか分からなくなります。だからこそ、PVSystではまず結論を見て、そのあとで原因を追う読み方が向いています。公式チュートリアルでも、Main resultsが先に位置づけられ、その後にLoss diagramや各種グラフを見る構成になっています。


もう一つ大切なのは、PVSystの結果には、日射条件、光学損失、アレイ損失、インバータ損失、配線損失など、複数の段階があるということです。PVSystの公式ドキュメントでは、Grid-connected systemのシミュレーション変数として、GlobInc、GlobEff、EArrMPP、EArray、EOutInv、E_Grid などが順番に定義されています。つまり、PVSystは「発電量がいくらか」だけではなく、「その発電量に至るまでにどこでどれだけ減ったか」を追えるように作られているということです。


そのため、初心者が最初に意識すべきことは、全部を一度に理解しようとしないことです。まず主結果で結論をつかみ、そのあと日射条件、損失図、エネルギーの流れ、月別のばらつきへと進めると、かなり読みやすくなります。実務でPVSystを読む力とは、すべての略号を暗記することではなく、レポートの読み順を持つことだと言ってよいです。


1 最初に見るべきはMain results

最初に見るべき項目は、Main resultsです。ここを見れば、その案件の結論がひとまずつかめます。公式チュートリアルでも、レポートの第四ページに「energy production, specific production and performance ratio」が示されることが説明されています。つまり、まずはここで、年間でどれだけ発電する想定か、その発電量を設備規模あたりで見るとどうか、そしてシステムとしての性能感はどうかを押さえるのが基本です。


ここで特に見るべきなのは、Produced Energy、Specific production、PRの三つです。Produced Energyは、そのシミュレーション条件で最終的に得られる年間発電量の中心となる数字です。Specific productionは、設置容量1kWpあたり年間どれだけ発電したかを示す指標で、PVSystの公式ドキュメントでは「system’s annual production per unit of installed capacity, expressed in kWh/kWp/year」と説明されています。つまり、総発電量の大小だけではなく、設備規模に対して発電のしやすさを把握したいときに便利な数字です。


PRはさらに重要です。PVSystでは、PRは系統連系システムにおいて、E_Gridを GlobInc × PnomPV で割った比として説明されています。これは「その場所、その入射日射条件の中で、システム全体がどれだけ有効にエネルギーを取り出せたか」を見る指標です。しかも公式ドキュメントでは、PRにはシェーディング、IAM、Soiling、アレイ変換損失、劣化、ミスマッチ、配線、インバータ効率など、光学・アレイ・システム損失が含まれるとされています。つまり、PRはモジュール効率そのものではなく、システム全体の「出来」をざっくり見る指標です。


ここでよくある読み違いは、PRだけを見て良し悪しを決めてしまうことです。PRは便利な指標ですが、年間発電量そのものを置き換える数字ではありません。PRが高くても設置容量が小さければ総発電量は小さいですし、PRが少し低くても大きな容量で十分な発電量を確保している案件もあります。つまり、Main resultsでは、Produced Energy、Specific production、PRを必ずセットで読むことが大切です。


実務でPVSystレポートを受け取ったら、まずこの三つを見て、「この案件は年間でどれくらい発電するのか」「設備規模に対してどれくらい良いのか」「システム全体の損失込みの見え方はどうか」をつかむと、その後の詳細確認がかなりしやすくなります。つまり、Main resultsはレポートの入口であると同時に、最後まで迷わないための地図でもあります。


2 日射量まわりの数値を確認する

二つ目に見るべき項目は、日射量まわりの数値です。Main resultsで結論をつかんだあとに、「なぜこの発電量になったのか」を知りたくなったら、次に確認したいのが日射条件です。PVSystの公式ドキュメントでは、気象と日射に関する変数として、GlobHor、DiffHor、Tamb、Windvel、そしてコレクタ面に対する GlobInc、BeamInc、DiffAInc などが定義されています。つまり、レポートの結果は、まずどれだけの光がその面に入ってきたかを前提にして決まっています。


ここで最初に押さえたいのは、GlobHorとGlobIncの違いです。GlobHorは水平面日射量で、気象データとしてその地点に入力される基礎値です。一方のGlobIncは、屋根や架台など、実際の受光面に変換された入射日射量です。つまり、GlobHorはその地域の空から来る日射の基礎であり、GlobIncは方位と勾配を通した「その面が実際に受ける日射量」です。ここを区別すると、なぜ同じ地域でも南向きと東西面で結果が変わるのかが理解しやすくなります。


さらに見ておきたいのが GlobEff です。PVSystのシミュレーション結果では、GlobInc のあとに、光学損失などを考慮した GlobEff という概念が置かれます。Main results の表や simulation variables を追うと、日射量は単に入射して終わるのではなく、IAM やシェーディング、Soiling などの影響を受けたうえで、実際に発電に使える条件へ変わっていくことが分かります。つまり、GlobInc が十分でも、GlobEff が思ったほど伸びていないなら、入射後の光学損失を疑うべきです。


この段階でよくある読み違いは、「発電量が低いならまず設備の性能が悪い」と考えてしまうことです。しかし、実際には、そもそもその面に入る日射量が少なかっただけかもしれません。北向きや東西設置、あるいは冬季に日射が不足しやすい立地では、設備条件より前に受光条件を確認したほうがよいことがあります。つまり、PVSystのレポートでは、発電量の前に日射量の前提を確認することが非常に重要です。


実務では、日射量まわりの数値を見ることで、「地域条件が妥当か」「方位・勾配の設定が妥当か」「光学損失が大きすぎないか」を判断しやすくなります。PVSystを読むとき、Main resultsの次に日射量を見るという順番を持っておくと、結果の背景がかなりつかみやすくなります。


3 Loss Diagramで発電量の減り方を追う

三つ目に見るべき項目は、Loss Diagramです。PVSystの大きな強みの一つは、年間発電量の結論だけでなく、そこへ至るまでにどこでエネルギーが減ったのかを視覚的に追えることです。公式ドキュメントでも、Loss Diagram は「システム設計の質を素早く洞察するための図」であり、主な損失源を識別するためのものだと説明されています。しかも年間レポートには常に表示され、月別でも確認できます。つまり、PVSystの読み方で迷ったら、Loss Diagramが最も有効な中間地点になります。


Loss Diagramでは、日射がどの段階で減り、アレイでどの段階で減り、インバータや配線でどの段階で減るのかが順番に見えます。公式の simulation variables を見ると、GIncLoss、TempLoss、ShdElec、MisLoss、OhmLoss、InvLoss などの損失変数が定義されています。つまり、PVSystは「何kWh減ったか」だけでなく、「何が原因で減ったか」まで追えるようになっています。


初心者がここで注目したいのは、損失を細かく全部覚えることではありません。まずは、光学損失が大きいのか、温度損失が大きいのか、シェーディング由来が目立つのか、インバータ損失が大きいのかを大まかに見ることが大切です。たとえば、GlobIncは十分なのにGlobEffで大きく落ちるなら、IAMやシェーディング、Soilingなどの光学損失が疑えます。EArrMPPからEOutInvで大きく落ちるなら、インバータや運転制約を疑うべきです。つまり、Loss Diagramは「どこを見るべきか」を教えてくれる図です。


また、Loss Diagramを読むときに知っておくと便利なのが、EArray は Loss Diagram にそのまま出ない点です。公式説明では、EArray はアレイ出力の有効エネルギーで、インバータ動作点のずれを含みますが、Loss Diagram には表現されないとされています。これを知らずに「Loss Diagramにないから重要ではない」と考えると、インバータの動作点制約を見落とすことがあります。つまり、Loss Diagramは非常に強力ですが、そこに載るものと載らないものの区別も必要です。


実務では、Main resultsで結論を見たあとに、Loss Diagramで「どこが主要因か」を把握すると、レポート全体の理解がかなり深まります。PVSystを読むときに、いきなり全部のページを追うより、この図で損失の大きなところをつかんでから詳細変数を見るほうが、はるかに効率的です。


4 EArray・EOutInv・E_Gridの違いを押さえる

四つ目に見るべき項目は、EArray、EOutInv、E_Grid の違いです。PVSystのレポートを読み始めると、似たようなエネルギー量の数字がいくつも出てきます。これを区別しないまま読むと、「どの数字が本当の発電量なのか」が分からなくなりやすいです。実務では、この三つの違いを押さえるだけで、発電量の読み違いがかなり減ります。


まず EArray は、アレイ出力側の有効エネルギーです。公式説明では、インバータの動作点のずれを考慮したアレイ出力のエネルギーであり、Loss Diagramには表れないとされています。つまり、モジュールやアレイの段階で、実際にどれだけのエネルギーが出てきたかを見る数字です。


次に EOutInv は、インバータ出力側で利用可能になったエネルギーです。アレイ側からインバータを通して、交流側でどれだけ出てきたかを見る数字と考えると分かりやすいです。つまり、EArray と EOutInv の差を見ると、インバータ効率や運転制約による影響を読みやすくなります。


そして E_Grid は、系統へ注入されたエネルギーです。公式の変数定義でも、E_Grid は “Energy injected into the grid” とされています。したがって、売電や系統連系側へ出たエネルギーを見たいときの中心はこの数字です。ただし、ここで注意したいのは、自家消費を含む案件では E_Grid だけを「システムの総発電量」と見なさないことです。PR の公式説明でも、通常の系統連系では E_Grid を使う一方、システム内で内部消費された E_Solar がある場合は E_Grid + E_Solar を使って評価すべきとされています。つまり、自家消費案件では E_Grid だけ見ていると、発電の一部を見落とすことがあります。


ここでよくある読み違いは、E_Grid を見て「発電量が少ない」と判断してしまうことです。もしその案件が自家消費型なら、E_Grid には建物内で使った分が含まれていない可能性があります。逆に、売電量だけを重視したい案件なら E_Grid は非常に重要です。つまり、PVSystの数字は「どこで測ったエネルギーか」を意識して読まなければなりません。


実務では、EArray、EOutInv、E_Grid の順に見ていくと、パネル側、インバータ側、系統側でどこに差が出ているかがかなり分かりやすくなります。PVSystを読んでいて数字が多すぎると感じたら、まずこの三つの位置づけを整理すると、エネルギーの流れ全体が見えるようになります。


5 月別結果とNormalized productionsで異常を探す

五つ目に見るべき項目は、月別結果と Normalized productions です。年間の結論と損失の流れが分かっても、まだ「どの季節に強いのか」「どの時期に弱いのか」は見えにくいことがあります。PVSystでは、主結果のほかに、Specific production や PR、そして正規化指標を通して、季節差や異常の有無を見やすくできます。つまり、月別と正規化の視点を持つと、年間総量だけでは見えない特徴がかなり分かります。


Specific production は、公式説明どおり kWh/kWp/year で表される設備規模あたりの発電量です。これにより、単純な総発電量ではなく、その設備が「1kWpあたりどれくらい発電しやすいか」を把握できます。PVSystの Normalised performance index の説明では、Specific production は Yf に対応し、主結果ページで確認できるとされています。つまり、設備容量の違う案同士を比較するときにも使いやすい指標です。


また、Normalized performance index の考え方を押さえると、PR や Yf、Yr の関係も見えやすくなります。公式説明では、Yr は受光面入射日射量に基づく理想的な基準、Yf は有効なエネルギー生産を設備容量で割ったものとして整理されています。つまり、Yf と PR を見れば、「容量の大きさを除いたときにどれくらい発電できているか」「日射条件に対してどれくらい効率よく動いているか」が分かりやすくなります。


さらに、Loss Diagram は月別にも確認できると公式に説明されています。これは非常に重要で、年間では小さく見える問題が、特定の月に集中していることが分かるからです。たとえば、冬だけシェーディング損失が大きい、夏だけ温度損失が大きい、梅雨時だけ有効日射が落ちるといった特徴が見えると、設計や運用改善の方向が定めやすくなります。つまり、月別の見方は、異常検知だけでなく、原因特定にも役立ちます。


実務では、Main resultsで年間の結論を押さえたあと、月別のPRやSpecific production、必要に応じて月別の損失図を確認すると、かなり解像度が上がります。年間の数字だけで安心せず、月別で「どこが弱いか」を見ることが、PVSystを読みこなす最後の一歩です。


実務で迷わない読む順番

PVSystのレポートを実務で読むときは、まず Main results を見て、Produced Energy、Specific production、PR の三つで結論をつかみます。次に日射量関連の値、特に GlobInc と GlobEff を見て、前提条件と光学的な効き方を確認します。そのあと Loss Diagram で、どこで大きく減っているかを把握し、必要に応じて EArray、EOutInv、E_Grid の違いを追います。最後に月別結果や正規化指標を見て、季節差や異常の兆候を探ります。公式チュートリアルの構成も、この流れとかなり近い考え方です。


この順番の良いところは、結論から原因へ進めることです。いきなり略号を全部追うのではなく、まず結論、次に背景条件、次に損失、最後に月別のばらつきという形にすると、PVSystのレポートはかなり読みやすくなります。実務で必要なのは、PVSystの全変数を暗記することではなく、「この案件の良し悪しは何で決まっているか」を短時間でつかむことです。


まとめ

PVSystの読み方を入門として押さえるなら、最初に見るべき五項目は、Main results、日射量関連の数値、Loss Diagram、EArray・EOutInv・E_Grid の違い、そして月別結果と Normalized productions です。Main resultsで結論をつかみ、日射量で前提を確認し、Loss Diagram で原因を追い、エネルギー変数で流れを押さえ、最後に月別と正規化指標で異常や偏りを見る。この順番を持つだけで、PVSystのレポートはかなり読みやすくなります。


大切なのは、PVSystを「数字が多くて難しいレポート」と見ないことです。PVSystは本来、発電量の結論、受光条件、損失、エネルギーの流れ、季節差を一つのレポートの中で追えるように作られています。つまり、読み方さえ整理できれば、非常に実務向きのツールです。最初から全部を理解しようとせず、五つの項目を順番に確認するだけで、必要な情報はかなり拾えるようになります。


また、こうしたレポートの読み取り精度を本当に高めたいなら、現場条件を正確に押さえることが欠かせません。屋根端部、障害物の位置、高低差、近接影の入り方が曖昧だと、どれだけPVSystの出力を丁寧に読んでも、前提そのものがぶれやすいからです。特にシェーディングや有効面積の条件は、Loss Diagram や実発電量差としてそのまま現れやすい部分です。


その点で、現場の位置関係を高精度に把握する手段として、iPhone装着型GNSS高精度測位デバイスのLRTKは非常に有効です。屋根端部や障害物の位置を現場で正確に記録しやすくなるため、PVSystに入れる前提条件の精度を高めやすくなります。PVSystの読み方を本当に実務で使える形にしたいなら、LRTKのような手段で現地条件をきちんと押さえることが、結果の解釈精度まで高める大きな強みになります。


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