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電線点検をドローンで行う前に確認したい5条件

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

電線点検は、高所作業や接近作業を伴うため、安全確保と作業効率の両立が常に課題になります。ドローンを使えば、作業員が直接近づきにくい場所を上空や側方から確認しやすくなり、目視点検の補助、写真記録、劣化箇所の把握、点検結果の共有を効率化できます。一方で、電線の周辺は飛行リスクが高く、単に機体を飛ばせば点検が成立するわけではありません。飛行条件、対象設備の状態、撮影精度、作業体制、記録の扱いまで事前に整理しておかないと、見落としや再点検、接触事故、関係者との調整不足につながります。


目次

ドローン点検に適した電線区間かを見極める

飛行ルートと離隔距離を事前に具体化する

撮影・記録に必要な解像度と位置情報を決める

現場の安全管理と関係者調整を先に固める

点検後の判定・共有・再確認まで設計する

まとめ


ドローン点検に適した電線区間かを見極める

電線点検にドローンを使う前に、まず確認したいのは、その区間が本当にドローン点検に向いているかどうかです。ドローンは便利な道具ですが、すべての電線点検を置き換えられる万能手段ではありません。現場によっては、地上からの目視、双眼鏡、昇降設備、近接作業、既存の巡視記録と組み合わせたほうが安全で確実な場合もあります。最初の判断を誤ると、飛行準備に時間をかけたのに十分な画像が得られない、危険が大きくて結局飛ばせない、撮影できても判定に使えないという結果になりかねません。


ドローン点検に向きやすいのは、地上から視認しにくい高所の電線、傾斜地や河川沿いなど人が近づきにくい区間、周辺に障害物が少なく比較的安定して飛行できる区間、点検対象が連続していて撮影ルートを組みやすい区間です。特に、電線のたるみ、支持物周辺の異常、付属金具の状態、樹木との接近、鳥害や異物付着の有無などは、上空または斜め方向から確認することで状況を把握しやすくなる場合があります。人が現場に近づく前に全体像をつかむ予備調査としても、ドローンは有効です。


一方で、電線が密集している場所、建物や樹木が近い場所、交通量の多い道路沿い、強い風が吹き抜けやすい谷部、周辺に通信設備や重要施設がある場所では、飛行の難易度が高くなります。電線そのものは細く、背景と重なると映像上で見えにくくなることがあります。機体のセンサーが細い線状物を常に正確に認識できるとは限らないため、障害物回避機能に頼り切るのは危険です。特に電線に対して横方向から接近する飛行や、複数の線の間を抜けるような飛行は、接触リスクが大きくなります。


対象区間の地形も重要です。山間部では風向きが急に変わることがあり、谷筋では機体が流されやすくなります。海沿いや橋梁付近では突風や乱流の影響を受ける場合があります。市街地では建物による風の巻き込みが起こり、機体の姿勢が不安定になることもあります。電線点検では、対象物の近くで安定した位置を保ちながら撮影する必要があるため、単に飛行できるだけでは不十分です。撮りたい角度で、必要な距離を保ち、ブレの少ない画像を取得できる環境かどうかを見極める必要があります。


点検目的の整理も欠かせません。異常の有無を大まかに確認したいのか、部材の劣化や損傷を詳細に見たいのか、樹木との離隔を確認したいのか、過去の点検結果と比較したいのかによって、必要な飛行方法と撮影方法は変わります。大まかな巡視であれば広い範囲を連続撮影する方法が向いていますが、金具や碍子、接続部などの細部を確認する場合は、より高い解像度と安定した撮影姿勢が必要です。点検目的が曖昧なまま飛行すると、現場では撮影できたように見えても、事務所に戻ってから判定に使えないことがあります。


また、電線が通っている土地や施設の管理条件も確認しておく必要があります。道路、河川、鉄道、民有地、工場敷地、山林、公共施設の周辺など、電線が通る場所によって関係者は異なります。飛行の可否だけでなく、立ち入り場所、離発着場所、補助者の配置場所、車両の駐停車位置、通行人への配慮も変わります。ドローン点検は空中の作業であると同時に、地上の段取りに支えられる作業です。飛行場所だけでなく、作業員がどこに立ち、機材をどこに置き、緊急時にどこへ退避するかまで含めて、対象区間の適性を判断することが大切です。


事前調査では、既存の設備図、過去の巡視記録、地図、現地写真、周辺の航空写真、樹木や建物の状況を確認し、現場で実際に目視確認する流れが現実的です。机上で飛行できそうに見えても、現地では電線が思ったより低い、樹木が伸びている、車両を安全に停められない、離発着場所が確保できないといったことがよくあります。特に電線点検では、対象物の高さ、線の方向、支持物の位置、周辺障害物の位置関係を立体的に把握することが重要です。


ドローンを使うかどうかは、効率だけで判断しないほうが安全です。作業員が近づかずに済むという利点がある一方で、飛行そのものに新たなリスクが生まれます。対象区間の条件を見極め、ドローンで得られる情報と、ドローンでは確認しにくい情報を分けておくことで、無理のない点検計画を組めます。まずは、点検目的、対象区間、周辺環境、関係者、地上作業のしやすさを整理し、ドローン点検に適した範囲を明確にすることが第一条件です。


飛行ルートと離隔距離を事前に具体化する

電線点検で最も慎重に扱うべき要素の一つが、飛行ルートと離隔距離です。ドローン点検では、対象に近づくほど細部を撮影しやすくなりますが、近づくほど接触リスクも高まります。特に電線は細く、風で揺れることがあり、背景に溶け込みやすい対象です。撮影者の画面上では十分に距離があるように見えても、実際には機体の向きや奥行きの見誤りによって危険な位置に入っている場合があります。したがって、現場で感覚的に飛ばすのではなく、事前に飛行ルートと接近限界を具体化しておくことが重要です。


飛行ルートを決める際は、まず電線と並行して飛ぶのか、支持物ごとに停止して撮影するのか、斜め方向から一定間隔で撮影するのかを整理します。長い区間を巡視する場合は、電線に対して一定の横距離を保ち、支持物や接続部で一時停止して撮影する方法が考えられます。局所的な異常確認であれば、対象箇所の周辺だけを限定的に飛行し、角度を変えながら撮影する方法が向いています。いずれの場合も、電線の上を不用意に横切る、線の間に入る、支持物に近づきすぎるといった飛行は避けるべきです。


離隔距離は、機体の大きさ、操縦者の技能、風の状況、対象設備の種類、必要な画像品質によって変わります。重要なのは、現場ごとに安全側の基準を設け、操縦者と補助者が同じ認識を持つことです。例えば、通常撮影時の目安距離、これ以上近づかない接近限界、風が強い場合の中止判断、緊急時の退避方向をあらかじめ決めておくと、現場判断のブレを抑えられます。電線点検では、良い写真を撮ろうとして少しずつ近づいてしまうことがあります。接近限界を明文化しておくことは、事故防止に直結します。


飛行ルートは、平面図だけではなく高さ方向も含めて考える必要があります。電線は地形に沿って高さが変わり、支持物間でたるみが生じます。斜面や谷部では、機体から見た地面との距離と電線との距離が同時に変化します。地上から見て安全そうなルートでも、空中では電線、樹木、支持物、建物、道路標識などが複雑に重なっていることがあります。飛行計画では、対象設備の高さ、線のたるみ、周辺障害物の高さ、機体の進行方向を立体的に確認し、無理のない高度設定を行う必要があります。


離発着場所も飛行ルートの一部として考えるべきです。安全な離発着場所が確保できない現場では、点検対象に到達する前からリスクが高まります。地面が傾斜している場所、砂利や草が多い場所、通行人や車両が近い場所、電線の真下や支持物の近くは、離発着に適さない場合があります。離発着場所は、機体を安定して置けること、操縦者が電線と機体を視認しやすいこと、補助者が周囲を監視しやすいこと、緊急着陸できる余地があることを基準に選ぶとよいです。


飛行中の視認性も大きな条件です。電線点検では、操縦者が画面の映像だけに集中しすぎると、機体と電線の位置関係を見失うおそれがあります。補助者を配置し、機体の周辺、電線との距離、通行人や車両の接近、風の変化を監視できる体制が望まれます。補助者には、単に「見ている」だけではなく、どの距離に近づいたら声をかけるのか、どの言葉で中止を伝えるのか、緊急時に誰が何を判断するのかを共有しておく必要があります。現場では短い合図で意思疎通できることが重要です。


また、ドローンの自動飛行を使う場合でも、事前確認はさらに重要になります。自動飛行はルートの再現性を高める一方で、現場の一時的な変化には人の確認が必要です。樹木の成長、仮設物、工事車両、鳥、風、電線の揺れなど、計画時には想定していなかった要素が飛行当日に現れることがあります。自動飛行ルートを設定している場合でも、初回は低リスクな位置で確認し、必要に応じて手動介入できる体制を整えることが大切です。設定したルートを過信せず、現場の状況に合わせて中止や変更を判断する余地を残しておくべきです。


撮影角度もルート設計に関係します。電線や付属部材を正面から撮るだけでは、重なりや影によって異常が見えにくい場合があります。斜め上、斜め下、側方など、複数の角度から撮影することで、損傷や変形、異物付着を確認しやすくなります。ただし、角度を増やすほど飛行ルートは複雑になります。安全な離隔を保ったまま必要な角度を確保できるかを事前に検討し、危険な接近が必要になる撮影は別の方法に切り替える判断も必要です。


飛行ルートと離隔距離は、点検品質と安全性を両立させるための土台です。現場で「見えないからもう少し近づく」という判断を繰り返すと、リスクは急速に高まります。事前に、どこを通るか、どの高さで飛ぶか、どこで止まるか、どこまで近づけるか、どこに逃がすかを決めておけば、撮影に集中しながらも安全側の運用ができます。電線点検をドローンで行うなら、飛行前のルート設計こそが実作業の成否を左右します。


撮影・記録に必要な解像度と位置情報を決める

ドローンで電線点検を行う目的は、単に映像を残すことではありません。点検後に異常の有無を判断し、必要に応じて補修や再調査につなげることが目的です。そのためには、どの程度の細かさで撮影する必要があるのか、写真や動画にどのような位置情報を紐づけるのか、点検記録としてどの形式で残すのかを事前に決めておく必要があります。撮影できた枚数が多くても、判定に必要な情報が不足していれば、点検記録としては不十分です。


まず確認すべきは、点検で見たい対象の大きさです。電線全体のたるみや樹木との接近を確認したい場合と、部材の小さなひび、摩耗、腐食、緩み、変色、異物付着を確認したい場合では、必要な解像度が異なります。広い範囲を一度に撮ると全体の位置関係は分かりやすくなりますが、細部は粗くなります。逆に、対象に寄った画像は細部の確認に向きますが、どの場所を撮った写真なのかが分かりにくくなることがあります。全景、区間写真、詳細写真をどのように組み合わせるかを決めておくことが大切です。


動画と静止画の使い分けも重要です。動画は連続的な状況把握に向いており、電線沿いの巡視や樹木との接近状況を流れで確認しやすい利点があります。一方で、細かな異常判定や報告書への添付には、ブレの少ない静止画のほうが扱いやすい場合があります。動画から必要な場面を切り出すこともできますが、画質やブレ、圧縮の影響で細部確認に向かないことがあります。電線点検では、全体把握には動画、判定箇所には静止画、というように役割を分けると記録の質を高めやすくなります。


撮影時には、対象箇所の前後関係が分かる写真を残すことも大切です。詳細写真だけが残っていると、後から見た人がどの支持物のどの部分なのか判断しにくくなります。現場で撮影した本人には分かっていても、報告書を確認する管理者、補修を担当する作業者、将来の点検担当者には伝わらないことがあります。支持物番号、区間名、周辺の目印、撮影方向が分かる全景写真を併せて残すことで、点検記録の再利用性が高まります。


位置情報の扱いも、電線点検の実務では大きな意味を持ちます。写真におおまかな位置情報が付いているだけでも、後から地図上で撮影箇所を探しやすくなります。しかし、電線や支持物の管理では、単なる住所や地名だけでは不十分なことがあります。どの支持物間なのか、線路のどちら側なのか、どの高さの部材なのか、どの方向から撮影したのかまで分かるようにしておくと、補修指示や経年比較がしやすくなります。位置情報は、写真ファイルに自動で入る情報だけに頼らず、点検台帳や図面との対応まで意識して整理することが重要です。


電線点検では、同じ場所を定期的に比較することもあります。前回点検時と今回点検時で、樹木がどれだけ伸びたか、部材の変色が進んだか、異物が残っているか、補修後の状態が維持されているかを確認するには、撮影位置と撮影方向をある程度そろえる必要があります。毎回ばらばらの角度で撮影していると、変化なのか見え方の違いなのか判断しにくくなります。定期点検を前提にする場合は、標準的な撮影位置、撮影方向、必要なカット数を決めておくと、比較しやすい記録になります。


画像の命名や整理方法も軽視できません。ドローン点検では短時間に大量の写真や動画が発生します。現場ごと、区間ごと、支持物ごと、異常の種類ごとに整理するルールがないと、後処理に多くの時間がかかります。撮影日、現場名、区間名、支持物番号、撮影方向、異常区分などをどのように記録するかを決めておくことで、報告書作成や関係者共有がスムーズになります。撮った直後は分かっていても、数日後には記憶が曖昧になります。現場で記録できる情報は、できるだけその場で紐づけておくべきです。


また、点検画像は判定の根拠になるため、画質だけでなく改ざん防止や履歴管理の観点も必要です。誰が、いつ、どこで撮影し、どのように判定したのかが追える状態にしておくと、社内確認や発注者説明に使いやすくなります。画像を圧縮しすぎると細部が失われることがあるため、保存用の元データと共有用の軽量データを分ける運用も考えられます。現場で撮影したデータを個人端末だけに残すのではなく、決められた保管場所へ速やかに集約することも大切です。


撮影・記録の条件を事前に決めておくことは、現場作業の迷いを減らす効果もあります。何をどこまで撮ればよいかが明確であれば、操縦者は必要以上に接近したり、同じ箇所を何度も撮り直したりしなくて済みます。補助者や点検担当者も、撮影漏れを確認しやすくなります。ドローン点検の価値は、飛行そのものではなく、判断に使える記録を残せることにあります。だからこそ、飛ばす前に必要な解像度、撮影範囲、位置情報、整理方法を決めておくことが欠かせません。


現場の安全管理と関係者調整を先に固める

電線点検をドローンで行う場合、技術面と同じくらい重要なのが安全管理と関係者調整です。電線周辺は、作業員、通行人、車両、施設利用者、土地所有者、管理者など多くの関係者が関わる可能性があります。ドローンは空を飛ぶため、地上作業より自由度が高く見えますが、実際には飛行場所、離発着場所、操縦者の立ち位置、補助者の配置、通行規制、緊急時対応など、事前に決めるべきことが多くあります。調整不足のまま現場に入ると、飛行できないだけでなく、事故やクレームの原因にもなります。


まず確認したいのは、飛行に関わるルールと許可の整理です。ドローンの飛行には、場所や方法によって各種の規制や手続きが関係します。電線点検では、人口が多い区域、道路や河川の周辺、第三者の上空、施設の近接、夜間や目視外の可能性など、注意すべき条件が重なりやすくなります。実施前には、国や自治体のルール、施設管理者の規程、発注者の安全基準、社内手順を確認し、必要な申請や承認を済ませておく必要があります。現場で「たぶん大丈夫」と判断するのは避けるべきです。


関係者への事前説明も重要です。電線点検のドローン飛行は、周辺住民や通行人から見ると、何を撮影しているのか分かりにくい作業です。住宅地や施設周辺では、プライバシーへの不安や騒音への懸念が生じることがあります。事前に作業日時、作業範囲、目的、飛行高度の考え方、撮影対象、問い合わせ先を整理し、必要に応じて周知しておくことで、不要なトラブルを減らせます。点検対象が電線であっても、周辺の建物や敷地が映り込む可能性があるため、撮影範囲とデータの扱いにも配慮が必要です。


現場では、第三者の安全確保を最優先に考えます。離発着場所の周囲に人が近づかないようにする、操縦者の背後を車両が通らない位置を選ぶ、補助者が通行人の接近を確認する、必要に応じて一時的に作業範囲を明示するなど、地上側の安全管理が欠かせません。ドローンは上空にあるため、周囲の人が機体に気づかない場合があります。機体の落下や接触のリスクをゼロにすることはできないため、万一の際に第三者へ影響が及ばない運用を考える必要があります。


操縦者と補助者の役割分担も明確にしておくべきです。操縦者は機体操作と撮影に集中しやすいため、周囲の監視を同時に完璧に行うのは難しい場合があります。補助者は、電線との距離、周辺の人や車両、風の変化、鳥などの接近、離発着場所の安全を確認します。点検担当者が別にいる場合は、どの箇所を撮るべきか、撮影できたか、異常候補があるかを確認する役割を担います。現場に複数人がいるだけでは安全体制とは言えません。誰が何を見るのか、誰が中止を判断するのかを明確にしておくことが必要です。


気象条件の確認も安全管理の基本です。電線点検では、風、雨、霧、逆光、日没時間、気温、湿度が作業品質に影響します。風が強いと機体が流されやすくなり、電線との離隔を保ちにくくなります。雨や霧は視界と機体性能に影響し、画像の判定品質も下がります。逆光では電線や部材が黒くつぶれて見え、細部確認が難しくなります。日没が近い時間帯では、作業が長引いたときに視認性が急に悪くなります。天候が悪いときに無理に実施するより、条件のよい時間帯に延期したほうが、結果的に安全で効率的です。


緊急時対応も事前に決めておく必要があります。機体が制御しにくくなった場合、通信が不安定になった場合、通行人が作業範囲に入った場合、急に風が強くなった場合、鳥が接近した場合、どの方向へ退避し、どこに着陸させるのかを決めておきます。緊急着陸場所がない現場では、そもそも飛行計画を見直すべきです。また、電線の近くで異常が起きたときに、機体を回収しようとして人が危険な場所へ入らないようにすることも重要です。ドローンの損傷よりも、人と設備の安全を優先する判断基準を共有しておく必要があります。


電線点検では、設備の管理者や作業責任者との連携も欠かせません。点検対象の設備がどのような状態なのか、停電や通電の扱い、近接してはいけない範囲、過去に異常があった箇所、注意すべき支持物や区間などを確認しておくことで、現場での判断がしやすくなります。ドローンチームだけで完結させようとせず、設備に詳しい担当者と点検目的を共有しておくことが重要です。特に、異常の疑いがある箇所を発見した場合に、誰へどのように報告するのかを決めておくと、点検後の対応が早くなります。


安全管理と関係者調整は、飛行前の手間に見えるかもしれません。しかし、ここを省くと現場での中断、撮影不足、苦情対応、再調整が発生し、結果的に大きな負担になります。ドローン点検は、機体の性能だけで成立する作業ではありません。作業範囲の周知、法令やルールの確認、役割分担、気象判断、緊急時対応、データの扱いまでを含めて準備することで、はじめて実務に耐える点検になります。


点検後の判定・共有・再確認まで設計する

電線点検をドローンで行う前に見落とされがちなのが、点検後の流れです。現場で撮影して終わりではなく、撮影データを確認し、異常の有無を判定し、必要に応じて再確認や補修につなげ、関係者へ共有するところまでが点検業務です。点検後の設計が不十分だと、写真は大量にあるのに判断が進まない、異常箇所の位置が分からない、報告書作成に時間がかかる、次回点検に活かせないという状態になります。ドローン点検の効果を高めるには、飛行前の段階で点検後の運用を決めておくことが必要です。


まず、異常判定の基準を明確にします。電線点検で確認する内容には、たるみ、断線の兆候、被覆の損傷、付属部材の変形や腐食、接続部の異常、異物付着、鳥害、樹木との接近、支持物周辺の変化などがあります。どの状態を経過観察にするのか、どの状態を早急な対応にするのか、どの状態なら別手段で再確認するのかを決めておかないと、判定者によって判断がばらつきます。ドローン画像だけで判断できるものと、現地で近接確認しなければ判断できないものを分けることも大切です。


画像確認の担当者も決めておく必要があります。操縦者が撮影した映像をそのまま保管するだけでは、点検結果としては不十分です。設備の知識を持つ担当者が確認するのか、現場責任者が一次判定するのか、複数人で確認するのか、判定結果をどの様式に記録するのかを事前に決めておくと、作業後の流れがスムーズになります。特に、異常の疑いがある画像については、拡大確認、前回データとの比較、周辺写真との照合が必要になることがあります。


共有方法も実務上の重要な条件です。点検結果を社内だけで使うのか、発注者や協力会社と共有するのか、補修担当者へ引き継ぐのかによって、必要な整理方法は変わります。画像をファイル名だけで送ると、受け取った側が位置や内容を理解するのに時間がかかります。地図上で撮影箇所を確認できるようにする、点検台帳と写真を紐づける、異常箇所にコメントを付ける、対応優先度を示すなど、受け手がすぐに判断できる形に整えることが大切です。


再確認の条件も決めておきたいポイントです。ドローンで撮影した画像に異常の疑いがあっても、影、ブレ、ピントずれ、角度不足によって確定できないことがあります。その場合、再飛行するのか、地上から確認するのか、近接作業に切り替えるのかを判断する必要があります。再確認の基準がないと、軽微な疑いでも毎回大きな作業になったり、逆に重要な兆候を見逃したりするおそれがあります。点検前に、どの程度の不明点なら再確認対象とするかを決めておくと、判断が早くなります。


過去データとの比較も、電線点検では大きな価値があります。単発の点検では異常に見えなくても、前回から変化している場合は注意が必要です。樹木の接近、部材の変色、周辺地形の変化、支持物周辺の土砂移動などは、時間の経過で進行することがあります。ドローン点検の画像を毎回同じような形式で残しておけば、変化を追いやすくなります。逆に、撮影位置や整理方法が毎回異なると、経年比較が難しくなります。点検後の活用を考えるなら、初回から継続利用を前提に記録設計をしておくべきです。


データ容量と保管期間も現実的な課題です。高解像度の写真や動画は容量が大きく、無計画に保存すると管理が煩雑になります。しかし、容量を抑えるために必要な元データを削除してしまうと、後から詳細確認ができなくなる場合があります。保存用データ、共有用データ、報告書添付用データを分け、どのデータをどの期間保管するのかを決めておくことが望ましいです。点検記録は、事故防止や保全計画の根拠にもなるため、後から探せる状態で保管することが重要です。


報告書の作り方も、点検前に想定しておくと効率が上がります。報告書に必要な項目が決まっていれば、現場で撮るべき写真や記録すべき情報が明確になります。現場名、点検日、天候、担当者、対象区間、飛行条件、確認結果、異常箇所、対応案、添付写真など、必要な項目を先に整理しておくことで、撮影漏れを防げます。報告書作成の段階で不足に気づくと、再点検が必要になる場合があります。点検後の成果物から逆算して、現場作業を設計することが大切です。


ドローン点検の効果は、撮影した瞬間ではなく、その後の判断と行動に表れます。異常を早期に発見し、関係者が同じ情報を見ながら対応を決められることが価値です。そのためには、判定基準、確認担当、共有方法、再確認条件、保管ルール、報告書の形を事前に整えておく必要があります。点検後の流れまで設計されていれば、ドローンは単なる撮影機材ではなく、電線保全の記録基盤として活用しやすくなります。


まとめ

電線点検をドローンで行う前に確認したい条件は、機体を飛ばせるかどうかだけではありません。対象区間がドローン点検に適しているか、電線との離隔を保てる飛行ルートを組めるか、判定に使える撮影記録を残せるか、安全管理と関係者調整が整っているか、点検後の判定と共有まで設計できているかが重要です。この5条件を事前に確認することで、ドローン点検は安全性と効率性を両立しやすくなります。


特に電線周辺は、細い線状物、風、障害物、第三者、関係者調整が重なりやすい現場です。機体の性能や操縦技術だけに頼るのではなく、点検目的を明確にし、現場条件に合わせて無理のない計画を組むことが求められます。撮影したデータも、位置や対象が分からなければ実務では使いにくくなります。写真や動画に位置情報を結びつけ、点検台帳や地図と連携しながら整理できれば、点検後の確認、補修判断、経年比較がしやすくなります。


また、ドローンで得られる空中からの情報と、地上で取得する位置情報や現場記録を組み合わせることで、電線点検の精度と説明力はさらに高まります。点検箇所、撮影位置、周辺状況、異常候補を現場で正確に残せる環境があれば、関係者間の共有もスムーズになります。ドローン点検を一度きりの撮影で終わらせず、保全業務の継続的な記録として活かすには、現場での位置付き記録が欠かせません。


電線点検の現場で、ドローンによる撮影記録に加えて、地上側の高精度な位置情報、写真記録、点群データ、現場共有を一体的に扱いたい場合は、スマートフォンと連携して使えるLRTK Phoneの活用も選択肢になります。点検対象の位置を現場で正確に残し、写真や計測データを後から確認しやすい形で整理できれば、ドローン点検で得た情報をより実務に活かしやすくなります。


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