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写真測量で法面の湧水箇所を記録する撮影ポイント6選

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面に湧水が見られる現場では、どこから水が出ているのか、どの範囲に湿りが広がっているのか、時間の経過で状態が変わっていないかを、後から確認できる形で残すことが重要です。写真測量は、現場の見た目を位置情報や三次元的な形状記録と結び付けて整理しやすい方法であり、法面の変状や湧水箇所の記録にも活用できます。ただし、ただ写真を多く撮るだけでは、湧水の位置や範囲が分かりにくくなり、後工程で使いづらい記録になってしまうことがあります。


この記事では、写真測量で法面の湧水箇所を記録する際に意識したい撮影ポイントを、実務で確認しやすい形で6つに整理します。施工管理、維持管理、点検、補修検討などで写真測量を使う担当者が、現場で迷わず撮影計画を立てられるよう、準備から記録の残し方まで具体的に解説します。


目次

法面の湧水記録で写真測量を使う目的を明確にする

撮影前に湧水箇所と法面全体の関係を把握する

湧水の位置が分かる基準物と一緒に撮影する

湿り範囲と水の流下方向が分かる角度で撮影する

近景と遠景を組み合わせて湧水の状態を残す

時間変化を追えるように撮影条件をそろえる

写真測量データとして使いやすい記録に整える

まとめ


法面の湧水記録で写真測量を使う目的を明確にする

写真測量で法面の湧水箇所を記録する前に、まず決めておきたいのは、何のために記録するのかという目的です。湧水の有無を確認したいだけなのか、湧水位置を図面上に落とし込みたいのか、補修前後の変化を比較したいのかによって、必要な撮影範囲や写真の細かさは変わります。目的が曖昧なまま撮影を始めると、現場では多く撮ったつもりでも、事務所に戻ってから必要な角度や基準が足りないことに気付きやすくなります。


法面の湧水は、表面に水がにじむ程度のものから、明確に流れが見えるものまで状態がさまざまです。雨の直後だけ見える場合もあれば、晴天が続いても同じ場所から水が出続ける場合もあります。そのため、写真測量の記録では、単に濡れている部分を写すのではなく、湧水の位置、範囲、周辺の地形、排水施設との関係、ひび割れやはらみ出しなどの変状との関係をまとめて残すことが大切です。


施工中の法面であれば、湧水箇所は作業手順や安全対策、排水処理の検討に関わります。切土面で水が出ている場合、のり肩や小段、法尻の排水計画と合わせて見ておく必要があります。既設法面の点検であれば、過去の記録と比べて湧水範囲が広がっていないか、表面の浸食や土砂流出につながっていないかを確認する材料になります。写真測量で形状や位置関係を残しておくと、条件が整っている範囲では断面位置や高さ関係を後から確認しやすくなり、報告書や協議資料にも使いやすくなります。


ただし、写真測量は万能ではありません。湧水量そのものを正確に測る方法ではなく、水質や地下水の経路を直接示すものでもありません。あくまで、現地に見えている状態を位置情報とともに記録し、状況判断を補助するための手段です。そのため、湧水量の測定、地質調査、排水設計、安定性の検討などが必要な場面では、写真測量の結果だけで判断せず、専門的な調査や設計条件と組み合わせる必要があります。


実務では、撮影前に「湧水の位置を共有するための記録なのか」「補修範囲を検討するための記録なのか」「変化を追跡するための記録なのか」を現場内でそろえておくと、撮影の無駄が減ります。目的が決まれば、法面全体を撮る写真、湧水箇所を細かく撮る写真、周辺の排水施設を写す写真、基準点や目印を含める写真など、必要なカットが見えてきます。写真測量では、撮影後に画像同士をつなげて形状を復元するため、現場での撮り方が成果の使いやすさに影響します。


湧水は時間や天候で見え方が変わりやすいため、撮影した日付や天候、直前の降雨状況、撮影時の法面状態も併せて残しておくと、後から誤解しにくくなります。写真だけを見ると大きな問題に見える濡れ跡でも、直前の雨による一時的な表面水かもしれません。反対に、晴天が続いた後でも同じ箇所が湿っていれば、継続的な湧水として注意すべき可能性があります。写真測量の成果に現場メモを添えることで、位置だけでなく状況の意味も伝わりやすくなります。


撮影前に湧水箇所と法面全体の関係を把握する

撮影に入る前には、いきなり湧水箇所へ近づいて細部を撮るのではなく、まず法面全体を観察することが重要です。湧水箇所は単独で存在しているように見えても、実際には小段の排水、法肩からの流入、背面地形、既設水路、排水孔、植生の濃淡などと関係していることがあります。写真測量で有効な記録にするには、湧水の点だけでなく、法面全体のどこに位置しているかを分かるように撮影計画を立てる必要があります。


法面全体を見るときは、法肩、法尻、小段、排水溝、集水桝、構造物との取り合いを確認します。湧水が法面中腹から出ている場合でも、上部の水が表面を伝っているだけなのか、地山や盛土内部から出ているのかは、写真だけでは判断しにくいことがあります。そのため、撮影時には水の出始めに見える箇所だけでなく、その上方、左右、下方の状態も含めて記録しておくと、後から現場状況を追いやすくなります。


写真測量では、同じ対象を複数の方向から重なりを持たせて撮影することが基本になります。法面全体を撮る場合も、正面から1枚だけ撮影するのではなく、少しずつ位置を変えながら、連続した写真として残すことが大切です。特に法面は傾斜があるため、撮影位置によって見える範囲や陰影が変わります。湧水箇所が植生や吹付面の凹凸に隠れることもあるため、見通しのよい位置を選びながら、全体と細部のつながりを意識します。


撮影前の観察では、安全確保も欠かせません。湧水がある法面では、表面が滑りやすくなっていることや、法尻に泥水がたまっていることがあります。無理に近づくと転倒や落石、土砂の崩れに巻き込まれる危険があります。写真測量のために近接写真を撮りたい場合でも、足場や退避経路を確認し、必要に応じて離れた位置から撮影する判断が必要です。記録精度を上げることよりも、まず安全な撮影位置を確保することが優先です。


法面全体の関係を把握するためには、撮影範囲の外側も少し広めに見ることが役立ちます。たとえば、法面の上部に造成地や舗装面がある場合、雨水が集まりやすい場所がないかを確認します。法面の下部に側溝や排水路がある場合、湧水がどこへ流れているかを見ます。構造物の目地や擁壁の排水孔から水が出ている場合は、周辺の変色や堆積物も記録しておくと、継続的な水の動きを推定しやすくなります。


また、湧水箇所が複数ある場合は、それぞれをばらばらに撮るのではなく、位置関係が分かる写真を先に撮っておくと整理しやすくなります。法面の左側から右側へ、または法肩から法尻へというように、撮影順序を決めておくと、後で写真を確認したときに迷いにくくなります。写真測量では写真同士のつながりも重要になるため、移動しながら撮る場合は、撮影間隔が空きすぎないように注意します。


湧水箇所を記録する目的が報告や協議にある場合、全体写真は特に重要です。近景写真だけでは、相手に「法面のどの位置なのか」が伝わりにくくなります。全体写真により、湧水が法肩寄りなのか、法尻寄りなのか、小段付近なのか、構造物との取り合い部なのかが分かります。そのうえで、写真測量の成果や位置情報付きの写真を示すと、説明が具体的になります。現場を知らない人に伝えることを意識して、全体の文脈が分かる写真を押さえておきます。


湧水の位置が分かる基準物と一緒に撮影する

湧水箇所を写真測量で記録するときに大切なのは、後から見た人が位置を特定できることです。濡れている部分の写真だけでは、法面のどこなのか、どの高さなのか、どの範囲にあるのかが分かりません。そこで、基準になる物を一緒に写すことが重要になります。基準物には、法肩、法尻、小段、排水溝、集水桝、構造物の角、既設の測点杭、境界標、管理用の目印などが使えます。


基準物を写す目的は、写真の見た目にスケール感と位置関係を与えることです。湧水のしみ出しが小さい場合、近くで撮ると大きく見えますが、実際には数十センチ程度の範囲かもしれません。反対に、遠くから撮ると小さく見えても、法面全体では大きな範囲に広がっていることもあります。基準物が一緒に写っていれば、後から写真を見たときに、湧水箇所の位置や大きさを判断しやすくなります。


写真測量では、現場の座標や高さと結び付けるための基準が重要です。位置情報を持つ点や、現地で識別しやすい目印を撮影範囲に含めておくと、成果を図面や地図に重ねるときに扱いやすくなります。簡易な記録であっても、法面のどの測点付近か、どの小段の上下か、どの排水施設に近いかを写真内で説明できるようにしておくと、後工程での確認が楽になります。


基準物を入れるときは、湧水箇所から離れすぎないことが大切です。全体写真では広い範囲を写すため、法面全体の位置関係が分かりますが、細部の写真では基準物が画面外に出てしまいがちです。湧水箇所の近くに分かりやすい構造物がない場合は、安全に設置できる範囲で一時的な目印を置く方法もあります。ただし、写真測量の解析や記録に使う場合は、目印が風で動いたり、撮影途中で位置が変わったりしないように注意が必要です。


法面の湧水は、色の違いや光の反射で見えることが多いため、写真内に余計な影や反射が多いと判別しにくくなります。基準物を入れようとして無理な角度から撮ると、肝心の湧水が見えづらくなることがあります。基準物と湧水箇所の両方が分かる写真を撮ったうえで、湧水そのものが見やすい角度の写真も別に撮っておくと安心です。説明用の写真と解析用の写真を兼ねようとしすぎると、中途半端な記録になることがあるため、役割を分けて撮影します。


撮影時には、同じ基準物が複数の写真に写るように意識すると、写真同士のつながりを確認しやすくなります。たとえば、全体写真に写っている排水溝の角を、中景写真にも入れ、さらに近景写真では湧水箇所と近くの目印を写すという流れにすると、全体から細部までのつながりが自然に追えます。このような撮り方をしておくと、写真測量の成果だけでなく、通常の報告書写真としても使いやすくなります。


また、基準物は後から変わらないものを優先することが望ましいです。置き石や仮設資材、作業車両などは撮影時には目印になりますが、後日同じ場所を確認するときにはなくなっている可能性があります。長期的な維持管理や再点検を想定する場合は、構造物、排水施設、測点、既設杭など、再現性のある目印を使うほうが適しています。写真測量で湧水箇所を記録する目的が、将来の比較にある場合は、この再現性が特に重要になります。


湿り範囲と水の流下方向が分かる角度で撮影する

湧水箇所の記録では、水が出ている点だけでなく、湿りがどこまで広がっているか、水がどの方向に流れているかを写すことが重要です。法面の表面では、水は傾斜や凹凸、植生、吹付材の状態、排水溝の位置などに影響を受けて流れます。湧水の出始めに見える場所と、実際に濡れている範囲が離れていることもあります。そのため、写真測量では、点としての湧水だけでなく、面としての湿り範囲と線としての流下方向を意識して撮影します。


湿り範囲を分かりやすく撮るには、正面からの写真だけでは不十分なことがあります。法面を正面から見ると、濡れている部分の色の違いは分かっても、水が表面を伝っている凹凸や流れの方向が読み取りにくい場合があります。斜め方向から撮影すると、表面の起伏や水みちが見えやすくなることがあります。特に、土砂が流れた跡、細かい溝、植生の倒れ、泥の堆積などは、角度を変えることで確認しやすくなります。


ただし、写真測量では極端な角度だけで撮ると、写真同士の重なりが悪くなったり、対象が歪んで見えたりすることがあります。全体を把握する写真は法面に対してできるだけ正対に近い位置から撮り、湧水や流下方向を確認する写真は斜め方向から補助的に撮るとバランスがよくなります。正面、左右斜め、上方または下方からの視点を組み合わせることで、湿り範囲の形と水の流れを説明しやすくなります。


水の流下方向を残すには、湧水箇所から法尻や排水施設までの連続性を写すことが大切です。湧水が出ている部分だけを拡大して撮影しても、その水がどこへ向かっているのかは分かりません。法面下部に泥水がたまっている場合や、側溝に流れ込んでいる場合は、湧水箇所から流末までを追える写真を撮ります。水が複数方向へ分かれている場合は、分岐している場所や、濡れ跡が途切れる場所も記録しておくと、後から状況を説明しやすくなります。


湿り範囲は、光の当たり方によって見え方が大きく変わります。逆光や強い反射があると、水面が白く飛んでしまい、範囲が分かりにくくなることがあります。反対に、日陰では濡れた部分と乾いた部分の差が見えにくくなることもあります。撮影位置を少し変えるだけで見え方が改善することがあるため、現場では同じ湧水箇所を一方向だけでなく、複数の角度から撮っておくと安心です。特に報告書に使う写真は、現場を知らない人でも濡れ範囲が分かる見え方を選ぶことが大切です。


また、湧水箇所の周辺に植生がある場合は、葉や草が水を隠してしまうことがあります。植生の濃い部分が湿りやすい場所を示していることもありますが、写真だけでは水そのものが見えない場合もあります。このようなときは、植生の状態、土の色、泥の付着、流水跡を含めて記録します。必要に応じて、安全に支障のない範囲で見通しを確保しますが、法面を傷めたり、湧水の流れを変えたりするような作業は避けるべきです。


写真測量で三次元データとして扱うことを考えると、濡れて光っている面は解析上の特徴点が取りにくくなる場合があります。水面の反射や単調な湿り面は、写真同士の対応が取りづらいことがあるため、周囲の模様や凹凸、地物が写るように撮影することが大切です。湧水箇所だけを画面いっぱいに写すのではなく、周辺の土質や構造物、植物、石、排水施設なども含めて、写真同士をつなげやすい情報を残します。


近景と遠景を組み合わせて湧水の状態を残す

法面の湧水記録では、遠景、中景、近景を組み合わせることが実務上とても有効です。遠景は法面全体の中で湧水箇所がどこにあるかを示します。中景は湧水箇所と周辺の変状、排水施設、法面形状との関係を示します。近景は水の出方、土砂の流出、表面のひび割れ、濁り、堆積物などの細かな状態を確認するために使います。この3つの距離感を意識して撮ることで、写真測量の成果と通常写真の説明力が高まります。


遠景写真では、法面全体が画面に入るように撮影します。道路、構造物、法肩、法尻、小段などが分かる構図にすると、湧水箇所の位置を説明しやすくなります。湧水が小さく見えてしまう場合でも、遠景は位置関係を示すための写真として必要です。現場によっては、法面全体を一度に写せないことがあります。その場合は、左側から右側へ分割して撮る、上段と下段に分けて撮るなど、写真同士がつながるように重なりを持たせます。


中景写真では、湧水箇所を中心にしながら、周辺の状態を広めに写します。水がにじんでいる範囲、周囲の乾いた部分との境界、排水溝までの距離、小段や法枠との関係などが分かるようにします。湧水の近くにひび割れ、沈下、はらみ出し、植生の変化、土砂の流出跡がある場合は、それらも同じ画面内に入るように撮影します。中景写真は、湧水を単独の現象ではなく、法面状態の一部として把握するために役立ちます。


近景写真では、湧水の出方を細かく残します。水が点状に出ているのか、線状ににじんでいるのか、面全体が湿っているのかによって、記録の意味が変わります。水が濁っている場合、細かい土粒子を含んでいる可能性があるため、周囲の土砂流出跡や堆積状況も写しておきます。水の出口に白色や茶色の付着物がある場合、継続的に水が流れていた痕跡として確認材料になることがあります。ただし、写真だけで原因を断定するのではなく、見えている状態を正確に残すことを優先します。


近景を撮るときは、対象に近づきすぎて周辺情報が失われないように注意します。湧水箇所を大きく写した写真は細部確認に役立ちますが、近すぎるとどこを撮った写真か分からなくなります。近景写真にも、可能な範囲で法面の模様や近くの目印を入れると、後から見返したときに場所を特定しやすくなります。必要であれば、同じ箇所について「位置が分かる近景」と「細部が分かる近景」を分けて撮影します。


写真測量では、遠景から近景へ急に切り替えると、写真同士のつながりが弱くなることがあります。成果として三次元形状を復元したい場合は、対象に近づく途中でも連続的に撮影し、画像同士の重なりを確保します。遠景だけ、近景だけではなく、撮影距離を段階的に変えることで、法面全体と湧水箇所の位置関係を保ちやすくなります。特に湧水が複数ある現場では、それぞれの近景写真がどの位置のものか分からなくなりやすいため、中景写真を十分に残しておくことが重要です。


また、撮影時には同じ湧水箇所を複数枚撮るだけでなく、写真の役割を意識しておくと整理しやすくなります。全体確認用、位置説明用、状態確認用、比較用というように、後から使う場面を想定して撮ります。報告書に載せる写真は限られていても、撮影時に十分な材料を残しておけば、協議や再確認が必要になったときに対応しやすくなります。現場では「少し多めに撮る」だけではなく、「後で説明できる順番で撮る」ことが大切です。


時間変化を追えるように撮影条件をそろえる

湧水は、時間の経過や天候によって状態が変わります。雨の後に急に増えることもあれば、晴天が続くと目立たなくなることもあります。地下水や背面からの水の影響がある場合は、降雨後しばらく経ってから湧水が強く見えることもあります。そのため、写真測量で法面の湧水箇所を記録する場合は、一度きりの写真だけでなく、時間変化を追えるように撮影条件をそろえることが重要です。


比較を目的とする場合、同じ位置、同じ方向、同じ範囲で撮影することが基本です。初回撮影時に撮影位置や向きを記録しておくと、次回以降の撮影で同じ構図を再現しやすくなります。法面全体を撮る位置、中景で湧水箇所を撮る位置、近景を撮る位置を決めておくと、日を変えて撮影した写真を並べたときに、湿り範囲の変化や流下跡の変化が分かりやすくなります。


撮影条件として残しておきたい情報には、撮影日時、天候、直前の降雨状況、気温の大まかな状態、法面表面の乾湿、工事や排水処理の状況があります。写真の見た目だけでは、湧水が増えた理由や濡れ跡の意味を判断しにくいことがあります。たとえば、前日に強い雨が降っていれば、表面水の影響を受けている可能性があります。逆に、しばらく雨がないのに同じ箇所が湿っていれば、継続的な水の供給が疑われるため、注意深く確認する必要があります。


時間変化を追う場合は、撮影するタイミングも大切です。雨の直後、雨から一定時間経過後、晴天が続いた後など、目的に応じて比較できるタイミングを選びます。ただし、天候や現場条件は思い通りにならないため、毎回完全に同じ条件で撮影できるとは限りません。その場合でも、条件の違いを記録しておけば、後から写真を比較するときに誤解を減らせます。写真測量の成果は視覚的に分かりやすい分、条件の違いを忘れると過大評価や過小評価につながることがあります。


同じ法面を継続的に記録する場合は、撮影範囲をむやみに変えないことも重要です。初回は広く撮っていたのに、次回は湧水箇所だけを近くで撮ると、範囲の変化を比較しにくくなります。初回に全体、中景、近景の基本セットを決め、次回以降も同じセットを撮るようにすると、変化が追いやすくなります。現場担当者が変わる可能性がある場合は、撮影位置や構図のルールを簡単に共有しておくと、記録の継続性が保ちやすくなります。


また、法面の湧水は補修や仮排水によって状態が変わることがあります。水抜き、排水溝の清掃、仮設ポンプ、土のう、シート養生などを行った場合、その前後で写真を残しておくと、対策の影響を確認しやすくなります。補修後に湧水が見えなくなったとしても、どの対策を行った後なのかが分からなければ、記録としての価値が下がります。写真測量のデータと施工履歴、点検メモを合わせて管理することが大切です。


時間変化を記録するときは、写真の明るさや撮影方向にも注意します。朝と夕方では影の位置が変わり、濡れた部分の見え方が変わります。強い日差しで反射が出ると、水が多く見えることもあります。完全に同じ光条件にすることは難しいですが、できるだけ同じ時間帯や同じ向きで撮るようにすると、比較しやすくなります。写真測量では画像の見え方が成果に影響するため、撮影条件のばらつきを小さくする意識が必要です。


写真測量データとして使いやすい記録に整える

撮影が終わった後は、写真を保存するだけでなく、写真測量データとして使いやすい形に整えることが重要です。法面の湧水記録では、写真の枚数が多くなりやすく、似たような写真も増えます。整理しないまま保存すると、必要な写真を探すのに時間がかかり、どの湧水箇所を写したものか分からなくなることがあります。撮影直後の記憶が新しいうちに、写真の分類、名称、位置情報、メモを整えておくと、後工程で大きな差が出ます。


まず、撮影した写真は現場名、撮影日、法面の区間、湧水箇所の識別名などで整理します。ファイル名やフォルダ名に一定のルールを持たせると、後から検索しやすくなります。湧水箇所が複数ある場合は、現場内で使う呼び名を決め、写真、図面、メモで同じ名称を使うことが大切です。写真では「右側の湧水」「上の濡れ跡」と表現していても、図面では別の番号になっていると、確認時に混乱します。


写真測量の成果を図面や地図と重ねる場合は、座標系や基準点の扱いにも注意が必要です。現場で取得した位置情報、既設図面の座標、測量成果の座標が一致していないと、湧水箇所の位置がずれて表示されることがあります。写真測量のデータを位置管理に使う場合は、どの基準で位置を合わせたのか、どの程度の確認精度を想定しているのかを記録しておくことが大切です。写真測量の結果を過信せず、必要に応じて現地測量や基準点確認と組み合わせます。


写真にメモを付ける場合は、見えている事実と判断を分けて書くと扱いやすくなります。たとえば、「法面中段に湿りあり」「水が法尻側へ流下」「泥の堆積あり」は見えている事実です。一方で、「地下水が原因と思われる」「排水不良が原因である」といった表現は判断を含みます。報告や協議では、写真から確認できる事実をまず整理し、原因や対策は別途検討として扱うと、安全な記録になります。


湧水箇所の記録では、位置情報付き写真を活用すると整理がしやすくなります。撮影地点の位置や写真の向きが残っていれば、後から地図上で写真を確認しやすくなります。ただし、撮影地点の位置と湧水箇所そのものの位置は同じではありません。離れた場所から撮影した場合、写真に付いている位置情報は撮影者の位置を示すことが多いため、湧水箇所の座標としてそのまま扱うと誤差が出ます。写真測量で湧水位置を示す場合は、撮影地点、対象位置、基準点の関係を意識して整理する必要があります。


成果を共有する相手に合わせて、データの見せ方も整えます。現場内の確認であれば、写真と簡単な位置図で十分な場合があります。発注者や設計担当との協議では、法面全体の三次元データ、湧水箇所の位置図、代表写真、撮影条件のメモをまとめると伝わりやすくなります。維持管理の記録であれば、過去写真との比較や、同じ位置からの経時変化を見せられるようにしておくと有効です。写真測量の成果は情報量が多いため、相手が判断しやすい形に整理することが大切です。


また、データ保管では、元写真を残しておくことが重要です。加工した画像や報告書に貼り付けた画像だけでは、後から追加解析や再確認を行いにくくなります。元写真、解析用データ、成果画像、位置図、メモを分けて保存し、どれが原本でどれが加工済みか分かるようにしておきます。湧水記録は後日再確認される可能性があるため、撮影時の情報を失わない管理が求められます。


まとめ

写真測量で法面の湧水箇所を記録する際は、濡れている部分を撮るだけでは十分ではありません。湧水が法面全体のどこにあり、どの範囲に広がり、どの方向へ流れ、周辺の変状や排水施設とどのように関係しているのかを、後から確認できる形で残すことが大切です。そのためには、撮影目的を明確にし、法面全体の観察から始め、基準物を入れた写真、湿り範囲が分かる写真、近景と遠景を組み合わせた写真を計画的に撮影する必要があります。


湧水は天候や時間の影響を受けやすいため、撮影日時や直前の降雨状況、撮影条件を残すことも重要です。同じ場所を継続的に確認する場合は、撮影位置や構図をそろえることで、変化を比較しやすくなります。さらに、撮影後は写真を整理し、位置情報、メモ、図面、写真測量データを結び付けて管理することで、現場確認だけでなく、報告、協議、補修検討、維持管理にも使いやすい記録になります。


写真測量は、法面の湧水を視覚的に残し、現場状況を共有するための有効な手段です。一方で、湧水の原因や安全性を写真だけで断定することは避け、必要に応じて測量、点検、地質、排水計画などの確認と組み合わせることが大切です。現場での撮影を丁寧に行い、後から説明できる記録として整えておくことで、法面管理の判断材料を増やせます。


湧水箇所の位置を現場で素早く残し、写真と座標を結び付けて管理したい場合は、スマートフォンを活用した記録方法も有効です。現地で撮影した写真に位置情報を添えて整理できれば、法面のどこで湧水が確認されたのかを共有しやすくなり、次回点検や補修範囲の確認にもつなげやすくなります。


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