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点群って、どう始めるのが正解?現場目線でわかる導入の流れと効果

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この記事は平均6分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、「点群データ」や3Dスキャンという言葉を耳にする機会が増えていませんか?土木施工管理の現場でも、点群技術への興味は高まっています。しかし一方で、「興味はあるけど何から始めれば…」「高そうだし操作も難しそう」「精度が不安」という声が多いのも事実です。この記事では、点群とは何かという基本から、導入で現場がどう変わるのか、そして初心者がつまずかずに始める方法までを、施工管理者の目線でわかりやすく解説します。スマホ測量や最新デバイス「LRTK」のような手軽な導入法、実際の活用事例、よくある不安の解消策も紹介します。「これなら自分の現場でもできそうだ」と思える一歩を後押ししますので、ぜひ最後までご覧ください。


点群とは何か?初心者向けのシンプルな定義

「点群(てんぐん)」とは、文字通り無数の点の集まりで構成されたデータのことです。それぞれの点には空間上の座標(X, Y, Z)が含まれ、場合によっては色(RGB)などの情報も持ちます。例えばデジタルカメラで撮った写真がピクセル(画素)の集まりで2次元の画像を表すように、点群データは3次元空間を点の集合として記録したものです。建物や地形をレーザースキャナーで測量したり、ドローンやスマホで撮影した画像から3Dモデルを作成すると、対象物の表面が何百万、何千万という点となってデータ化されます。


点群データを取得する方法はいくつかあります。例えば、地上型の3Dレーザースキャナーを使った精密測量、ドローンを飛ばして上空からレーザー測量、車両にスキャナーを搭載して走行しながら測る方法などです。最近ではハンディタイプのスキャナーや、スマートフォン・タブレットの内蔵LiDAR(光による測距センサー)やカメラで手軽に点群を取得する方法も登場しています。つまり専門的な大型機械がなくても、身近なデバイスで周囲を3Dで取り込める時代になってきたのです。


取得された点群データは、専用ソフトで処理・解析することで様々な活用ができます。例えば、地形や構造物の3Dモデル化、工事出来形の寸法計測、設計図との照合による誤差チェック、施工計画のシミュレーションなどです。従来は2次元図面や現場写真だけでは分かりづらかった情報も、点群という「3Dの実測データ」を使えば直感的に把握できます。では、この点群を現場で使うと何が変わるのでしょうか?


点群を導入すると現場で何が変わるのか?

点群技術を現場に取り入れることで、施工管理にはさまざまなプラスの変化が生まれます。主な効果として以下が挙げられます:


測量・計測作業の大幅な効率化と省人化: 3Dレーザースキャンや写真測量を使えば、従来何人もかけて何日も測っていた範囲を短時間で一人でも計測できます。広い現場でも一度に大量の点を取得できるため、「点の取りこぼし」が減り追加測量の手間も削減できます。例えば後述する事例では、タブレットでの点群計測を導入したところわずか30分で現場の出来形測量が完了し、従来比で作業時間を何分の一にも短縮できました。人手不足が叫ばれる中、少人数でも現場を回せる省人化につながります。

品質・精度の向上(出来形管理の高度化): 点群データは非常に緻密で高精度な測定結果です。対象物の形状をミリ単位まで記録でき、後から任意の箇所の寸法を測り直すことも容易です。そのため出来形(施工後の形状)を正確に把握でき、設計との誤差を最小限に抑えた施工管理が可能になります。また、一度点群を取っておけば、埋設物の位置や構造物の詳細形状など将来のメンテナンスや検証にも役立つデジタル記録となります。「あれ、ここどうなってたっけ?」という時に点群データを見返せば一目瞭然です。

安全性の向上: レーザー計測やドローン・スマホによる写真計測は基本的に非接触で行えるため、人が立ち入れない危険箇所でも安全にデータ取得ができます。高所作業や崩れやすい斜面の測量も、点群なら人が近付かずに済みます。結果として測量中の事故リスクを減らし、現場の安全確保に寄与します。

データ共有と合意形成のスムーズ化: 得られた点群データは3次元モデルとして関係者みんなで共有できます。クラウド上にアップすれば、遠隔地の上司や発注者ともリアルタイムで現場の状況を立体的に確認可能です。図面や写真だけでは伝わりにくかった情報も、3D点群なら「百聞は一見にしかず」で理解してもらえます。出来形検査の立会い時にもタブレットで点群を見せれば説得力抜群ですし、設計変更の協議でも実物そのもののデータを見ながら議論できるので合意形成がスピーディーになります。

施工計画や検討の高度化: 点群データをもとにシミュレーションを行うことで、工事計画の精度も向上します。たとえば重機の搬入経路を点群上で事前に確認したり、点群データに設計モデルを重ねて干渉をチェックしたり、さらにはAR技術で現場に完成モデルを重ねて見ることもできます。点群導入によるスピードと品質の向上は、現場DX推進の強力な原動力となっており、業界全体で活用が期待されています。


このように点群を使いこなすことで、「早く・正確に・安全に・わかりやすく」という現場管理の要素が一気にレベルアップします。ただ、頭ではメリットが分かっても「実際に導入するとなるとハードルが高そう…」と思う方も多いでしょう。そこで次章では、初心者が無理なく点群活用を始めるためのステップを具体的に見ていきます。


どう始めればよい?初心者のための導入ステップ

点群技術に興味はあっても最初は誰もが初心者。まずは小さく始めて徐々に習熟していくのがポイントです。以下に、現場で働く施工管理者・技術者が迷わず点群導入するための基本ステップを整理しました。


導入の目的を明確にする – 最初に「何のために点群を使いたいのか」をはっきりさせましょう。出来形管理の効率化なのか、進捗記録の共有なのか、あるいは土量計算や出来高管理なのか…。目的によって必要な機材や精度も変わってきます。例えば「小規模な掘削の出来形を素早く測りたい」が目的ならタブレットの簡易計測で十分でしょうし、「橋梁全体の維持管理に活かしたい」なら高精度スキャナーやドローンも検討することになります。まずは点群で解決したい課題を現場スタッフで話し合い、導入のゴールを設定しましょう。目的が明確になれば、「では試しに○○を点群でやってみよう」という一歩が踏み出しやすくなります。

スモールスタート(小規模・低コストで試行) – いきなり高額な最新機器をフルセット購入…という必要はありません。最初は今ある道具や安価なツールで、小さな範囲から試してみるのがおすすめです。たとえば社内に最新のiPhoneやiPadがあれば、それに搭載されたLiDARで身近な構造物をスキャンしてみるところから始められます。後述するようなスマホ測量アプリや小型デバイスを活用すれば初期投資を抑えつつ実用精度のデータが得られます。実験的に一現場、あるいは現場内の一部分だけ点群計測してみて、効果や課題を検証しましょう。幸い点群データは部分導入でも他の従来手法と併用しやすいので、「まずは1日に1回だけドローン飛ばして点群で進捗記録」「手計測の確認として一部だけ3Dスキャンしてみる」などスモールスタートに向いています。

使いながら覚える(現場で実践&フィードバック) – パソコン上の研修や座学も有用ですが、点群技術は実際に現場で使ってみてナンボです。最初は不慣れでも、現場で試行錯誤する中でコツを掴んでいくことが上達への近道になります。例えば先述のタブレット計測の事例では、最初ゆっくり丁寧に撮りすぎてうまくいかなかったものが、スピード感に慣れたら15分程度で計測できるようになったそうです。このように実地で経験を積めば「ここは手で補正しよう」「この角度からもスキャンしよう」と感覚が身につきます。現場の若手にもどんどん触らせて、一緒に習熟度を上げていきましょう(実際、「新しい技術は若手にどんどん運用させたい。積極活用で会社のレベルも上がるし若手も活躍できる」という声もあります)。現場スタッフからのフィードバックを次の導入展開に活かし、徐々に対象範囲や頻度を広げていくと無理なく社内展開できます。


以上のステップを踏めば、「とりあえず触ってみたら意外と簡単だった」「データを見た上司や発注者にも好評だった」という成功体験が得られるはずです。その積み重ねが社内の理解を広げ、本格導入への追い風になるでしょう。


導入の現実的な方法あれこれ ~スマホ測量からLRTKまで~

「小さく始める」にも具体的にどんな手段があるのか、気になりますよね。ここでは比較的手軽に始められる点群計測の方法をいくつか紹介します。高価なレーザースキャナーを買わなくても、工夫次第で現場に3D技術を取り入れられます。


● スマホやタブレットを使った手軽な点群計測 近年のスマートフォンやタブレットには驚くほど高性能なカメラやセンサーが搭載されています。例えばiPhoneやiPad ProにはLiDARセンサーが内蔵されており、専用アプリを使えば周囲の環境を3Dスキャンして点群化することが可能です。実際、岐阜県のある建設会社ではiPadと新しい点群取得アプリを使い、小規模な土工現場の出来形計測を試みました。結果は驚くべきもので、標定点の設置15分+スキャン15分の計30分で、掘削部の点群計測が完了したのです。従来この規模の出来形測量をドローン写真測量で行っていた場合、写真データを点群化するだけで5時間以上かかっていた作業が、わずか30分で済んだ計算です。さらに点群データから即座に体積を算出し、その場で土量や埋戻し材の手配・運搬計画まで立てることができました。これは現場の生産性を大きく向上させる好例です。


 *タブレットを使って現場の出来形をスキャンしている様子。短時間で広範囲を測れるうえ、その場で3D点群データを確認できる(岐阜県・蒲田建設の事例)*


スマホ・タブレット計測の利点は手軽さとスピードです。機器のセットアップに時間がかからず、撮影するような感覚で計測できます。専用アプリにもよりますが、撮影後の点群生成処理もクラウドや端末上で自動的に行われ、数分~十数分程度で完了します。例えばPix4DcatchやScaniverseといったアプリでは、ゆっくり歩き回って動画撮影するだけで点群取得でき、処理時間も数秒~数分程度と非常に高速です。取得できる点群精度も侮れません。ある検証ではiPadのLiDARで取得した点群による鉄筋間隔の測定誤差が数ミリ程度(誤差0.3Φ以内)という結果も報告されています。また前述の土工事例でも、ドローン測量との誤差が0.1%以内という高い精度が確認され「十分実用に耐える」ことが示されました。このようにスマホ測量でも現場用途で必要十分な精度を確保できるケースが多いのです。にあるように、むしろ利点は「自分が必要な範囲だけ狙って計測できる」ことで、不要な箇所まで撮影して大量データを処理する無駄がない点です。まずは身近なスマホで気軽に点群計測を試してみるのは、初心者にとって理にかなったアプローチと言えるでしょう。


● LRTKによる高精度なスマホ測量 スマホ単体でも便利ですが、「いや、うちは出来形管理で測量図化もするし、できれば公共座標の精度が欲しい」という現場もあるでしょう。そんなニーズに応えるのが、最近話題のLRTK(エルアールティーケー)というデバイスです。LRTKは東京工業大学発のスタートアップ企業レフィクシア社が開発した、小型のRTK-GNSS受信機+専用アプリからなる製品で、iPhoneやiPadに装着して使うスマホ測量ツールです。これをスマホに取り付けるだけで、従来は据置型の高精度GPSやトータルステーションでなければ難しかったセンチメートル級測位がスマホで可能になります。加えてスマホ内蔵のLiDARカメラと組み合わせれば、全球座標(公共座標)で位置づけられた高精度点群計測まで一人でこなせてしまいます。しかも価格は驚くほどリーズナブルで、現場の実務者に1人1台持たせても惜しくないコストだと言います。具体的な金額は公表されていませんが、記事では「価格は超リーズナブル」と強調されており、全員が持てば現場業務の生産性が大幅向上しそうだと紹介されています。


 *スマートフォンに小型の高精度GNSS受信機を装着するだけで、いつでもどこでもセンチメートル級測位と点群計測が可能になる「LRTK Phone」。ポケットに収まる手軽さで、現場作業のスタイルが大きく変わると期待されている*


LRTKの特徴は、何と言っても現場実務に即した「手軽さ」と「高精度」の両立にあります。デバイス本体は重量わずか125g・厚さ13mm程度で、専用スマホカバー経由でワンタッチ装着できます。バッテリー内蔵で約6時間駆動し、モバイルバッテリーからType-C充電も可能なので一日中持ち歩いて使えます。日本の準天頂衛星みちびき(QZSS)のセンチメータ級補強サービス(CLAS)に対応しており、携帯電波の圏外でも衛星からの補正情報だけでcm級の測位を維持できます。山間部や災害現場などネットが不安定な環境でも使えるのは大きな強みです。実際、2023年の能登半島地震の被災地調査でもLRTKが活躍し、「大きな機材を持ち込めない状況で小型のLRTKが高精度測位と状況記録に大いに威力を発揮した」と報告されています。


精度面でも、LRTKは驚くべき性能を示しています。メーカーの検証によれば、LRTKを一脚(三脚)で固定して測位した場合、単独測位で水平方向±1.2cm・垂直方向±3cm程度の誤差とのこと。さらにアプリ上で提供される「平均化測位」機能を使い、1点あたり60回測定の平均を取ると誤差8mm程度(水平)という高精度が得られています。10mmを切る精度となれば、もはやトータルステーション測量にも匹敵するレベルで、本格的な測量機と言えます。これだけの精度を、据付不要・ワンタッチ装着のスマホ一台で実現できるのは革命的です。実際に現場では、LRTKで取得した点群データや座標をそのままクラウド共有し、オフィス側ですぐ図面化・数量計算に取り掛かるといった活用も行われています。フィールドとオフィスがリアルタイムで繋がることで、測量成果の共有・検証サイクルが格段にスピードアップします。


このように、スマホ単体の簡易計測からLRTKによる高精度測量まで、ニーズと予算に応じた様々な導入方法があります。いずれも以前に比べて圧倒的に低コスト・低ハードルになってきているのがポイントです。「高そうだしウチには無理…」と敬遠せず、まずは使えるものから試してみる価値は大いにあるでしょう。


よくある不安とその解消策(精度・操作・データ管理など)

点群導入に踏み切れない方々の声を聞くと、いくつか共通する不安要素があります。ここでは代表的な心配事と、その解決策・考え方を整理してみます。


❓ 精度が不安 – 「安価なスマホ計測では精度が出ないのでは?」「点群ってノイズも多いんじゃない?」といった声です。確かに用途によって要求精度は異なりますが、現在の点群技術は目的次第で必要十分な精度を確保可能です。例えば前述の例では、タブレットLiDARでの出来形計測がドローン測量とほぼ遜色ない0.1%以内の誤差に収まっています。またLRTKのようなツールを使えば現場測量図レベルの精度(1cm未満)も達成できます。重要なのは「どの程度の精度が必要か」を見極めることです。出来形管理で数cmの誤差許容ならスマホ測量、構造物変位のモニタリングでmm精度が欲しければ高精度機器、といったようにゴールに合わせて手段を選べば十分実用に足ります。ノイズについても、最近の点群処理ソフトには自動ノイズ除去機能があり、不要点のフィルタリングや平滑化が簡単に行えます。心配な場合は計測対象にターゲット(標定点)を設置し、基準点でキャリブレーションしておけば精度担保も可能です。「最初は社内資料用だからおおまかでOK」「徐々に精度を上げていこう」くらいの気持ちで始めてみると良いでしょう。

❓ 操作が難しそう – 新しい機械やソフトの扱いに不安を感じる声もあります。しかし最近の点群計測機器は直感的に操作できるものが増えています。スマホアプリで完結するものは画面の指示通りに動かすだけですし、LRTKのような製品は「ボタン一つで平均化測位」「自動で座標系変換・点名採番」など痒い所に手が届く機能が満載です。現場でメモを取ったり図面を広げたりといった作業も、端末一つでこなせる設計になっており「これ一台あれば現場の筆記具すら不要」と開発者が語るほどです。操作面で言えばむしろ従来のトータルステーション+手簿作業よりシンプルになっているケースも多いのです。またメーカーやサービス提供各社も、ウェビナーや動画マニュアルなど充実したサポートを用意しています。不安な最初の1回は、ベンダーの支援やマニュアルに沿って計測し、あとは使うほどに慣れていく…という流れで十分やっていけるでしょう。

❓ データが重くて扱いづらいのでは – 点群データは確かにファイルサイズが大きくなりがちです。広範囲を高密度にスキャンすると数百万~数億点にもなり、データ量が数百MB~数GBになることもあります。しかし近年はハードウェア・ソフトウェアの進歩で大容量データの取り扱いもかなり楽になっています。高性能PCでなくとも、クラウドサービス上で点群を管理・閲覧できるプラットフォーム(例えばPix4DcloudやLRTKクラウド等)が普及しつつあります。クラウドに上げてURLを共有すれば、受け手側はブラウザで3D点群を見るだけなのでローカルに重いデータを保存する必要もありません。また必要な部分だけスキャンする運用を心掛ければ無駄な点群を増やさずに済みます。実際、先述のタブレット計測では「撮りたくないところは歩かず、必要な部分だけピンポイントで計測」することで効率よくデータ取得しています。さらにデータ形式にも工夫があり、たとえばLAS形式の点群を圧縮したLAZ形式にすればファイルサイズを大幅に小さくできます(専用ビューアで展開可能)。このように取得→処理→共有までのワークフローが整備されつつある現在、データ管理のハードルは以前より確実に下がっていると言えます。最初は無料ツールや小規模データから試し、徐々に社内で扱う容量に慣れていけば問題ありません。


現場での導入事例紹介:「これならできる!」という成功のポイント

机上の理屈より「実際にやってみたらどうだったか」が一番参考になります。この章では、点群技術を現場導入して効果を上げた事例を2つご紹介します。どちらも大掛かりな投資をせず、現場目線で工夫して成果を出した好例です。


● スマホLiDARで30分測量&即日土量算出(岐阜県・小規模土工事) 従来は小規模な現場でもUAV写真測量を使っていたものの、「準備と処理に時間がかかりすぎる」「データ化しないと出来形数量が出せず、その間施工が止まる」という課題がありました。そこで岐阜県の蒲田建設株式会社では、新たにリリースされたiPad LiDAR対応アプリ「快測Scan」に注目。ちょうど良いタイミングでコンクリート堰堤の床掘(面積150㎡程度)の出来形計測があったため、iPad Proを使った3Dスキャン計測を試してみたのです。結果は前述の通り、標定点設置15分+スキャン15分の計30分で点群取得が完了し、その場で土量を算出して即座に発注者へ報告することができました。処理待ち時間がなくなったことで、その日のうちに次の工程の手配(埋戻し材の手配や残土処分の計画)が立てられ、現場の段取りが大きく改善しました。さらに事後の精度検証では、ドローンでの計測結果と比較して誤差0.1%以内という非常に高い精度が確認され、発注者にも「問題なく使える」という太鼓判をもらっています。新技術活用として技術発表会でも発表したところ、発注者からも好反応を得られたとのことです。この事例の成功ポイントは、「目的(迅速な出来形測量と即時の数量算出)にフォーカスして手段を選定したこと」と、「最初は少し手こずったがコツを掴んで短時間計測を実現した」という現場主体のトライアルにあります。大掛かりな設備投資をしなくても、現場発想で工夫すればDXは実現できる好例と言えるでしょう。


● LRTKで災害現場を即時3D記録&共有(石川県・地震被災地) 2023年の石川県能登地方を襲った地震では、被災現場の状況把握と記録が急務となりました。しかし地震直後の現場は大規模機材を持ち込める状況ではなく、通信インフラも一部ダウンしていました。そんな中、活躍したのがLRTKを装着したiPhoneです。重量わずか数百グラムのスマホ測量器なら、どんな場所へも作業員が持ち運びできます。LRTKはみちびき衛星の補強信号でネット圏外でもcm級測位が可能なため、携帯電波が届かない被災地でも精度の高い位置座標データと点群を取得できました。調査員が移動しながら連続的に測位・スキャンしたデータは、そのままLRTKクラウドにアップロードされ、オフィスや支援本部でも即座に共有されました。これにより、被害状況の把握や復旧計画の立案が大幅にスピードアップしました。「災害の時こそ、この小さなLRTKが1台あれば現場の状況共有に大きな威力を発揮する」と評価されており、非常時のツールとしても注目されています。ポイントは、普段から携行できるコンパクトさと即時共有できる仕組みです。平常時の施工管理はもちろん、災害時の初動調査など、フットワーク軽く3D計測できることの価値を示した事例と言えるでしょう。


最後に:まずは触ってみよう!一歩踏み出すあなたへ

点群技術の導入は決して特別な企業だけのものではありません。今やスマホ一つからでも始められる時代です。「百聞は一見に如かず、百見は一験に如かず」と言います。文章や噂で聞くだけでなく、まずは自分で触れて体験してみることが何よりの近道です。幸い無料で使えるアプリやお試しサービス、レンタル機器なども増えています。最初のハードルさえ越えてしまえば、「こんなに簡単だったのか!」ときっと感じられるでしょうし、現場での新たな活用アイデアもどんどん湧いてくるはずです。


現場DXが叫ばれる今、点群技術は避けて通れない潮流になりつつあります。しかし焦る必要はありません。小さな成功体験を積み重ね、社内の理解者を増やしながら進めていけば、着実に現場が変わっていきます。この記事で紹介したスマホ測量やLRTKといった手軽で実践的なツールも、ぜひ「次の一手」として検討してみてください。にあるようにLRTKのようなリーズナブルなデバイスが静かなブームとなりつつある今、導入のハードルはますます下がっています。あなたの現場でも、「とりあえずやってみる」精神で点群活用の一歩を踏み出してみませんか?まずはできる範囲で試し、そのデータを覗いてみるだけでも、新しい発見と改善のヒントがきっと得られるはずです。現場の未来を切り拓く第一歩として、点群技術にぜひチャレンジしてみましょう。きっと「これならできる!」という自信につながります。


併せて、今回触れたLRTKなどについて興味を持った方は、公式サイトや事例紹介もチェックしてみてください。スマホが高精度測量機に早変わりするその体験は、現場管理の常識を良い方向にアップデートしてくれるに違いありません。現場の効率化・省人化、品質向上への道は、思いのほか身近なところから開けています。ぜひ今日からでも一歩を踏み出してみてください。あなたの現場にも、新しい風が吹くことでしょう。


最後までお読みいただきありがとうございました。現場DXの旅路の中で、この記事がその背中を押す一助となれば幸いです。安全第一で、良い現場ライフを!


参考文献・情報源: 国土交通省 i-Construction 施策, インフォマティクス 空間情報クラブ, 建設DXブログ, AI Market点群データ解説, レフィクシア LRTK 製品情報, 建設システム導入事例, 建設ITワールド サクセスストーリー, ほか.


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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