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スマホ測量でここまでできる!図面も写真も超える“次の管理法”とは

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万能の測量機LRTKの説明

近年、スマートフォンを使ったスマホ測量が土木現場で大きな注目を集めています。人手不足や働き方改革への対応、国の推進する*i-Construction*などを背景に、現場のデジタル化は待ったなしの状況です。従来は図面や写真で行っていた施工管理も、スマホで取得する点群データによる3D管理へとシフトしつつあります。本記事では、なぜ今スマホ測量なのか、その技術原理と可能性、現場での具体的活用例、そして導入方法までをわかりやすく解説します。図面や写真では捉えきれなかった現場の姿を、スマホ×点群で丸ごと記録・活用できる“次の管理法”を覗いてみましょう。


なぜ今“スマホ測量”なのか?

人手不足の深刻化と生産性向上の必要性が、スマホ測量台頭の大きな理由です。測量や出来形管理に熟練した技術者の高齢化が進み、2024年の働き方改革関連法(いわゆる「2024年問題」)による残業規制も相まって、効率化へのニーズが高まっています。現場では「これまで時間と手間をかけてきた測量も、スマホアプリがあれば驚くほど楽にできる」「若手に長く現場で働いてもらうには、こうしたスマートなソリューションが必要だ」といった声も聞かれます。一人で素早く計測できるスマホ測量は、人手不足を補い業務効率を飛躍的に高める切り札となり得るのです。


また、国土交通省も現場の3次元化を後押ししています。例えば2022年4月には「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」が改訂され、スマホやタブレットによる点群測量アプリの活用が正式にガイドラインへ盛り込まれました。これにより、iPhoneやiPadで高精度な3D測量を行うスマホアプリ(例:OPTiM Geo Scan)が国交省のお墨付きで現場利用可能となっています。政策面の追い風もあり、現場では3Dレーザースキャナやドローンだけでなくスマホで点群を計測・活用する動きが当たり前になりつつあるのです。


さらに、従来手法の限界もスマホ測量を促進する理由です。これまで施工管理では紙の図面に寸法を記録したり、撮影した写真を台帳に貼り付けたりして出来形(施工後の形状)を管理してきました。しかし図面や写真だけでは現場のすべてを伝えきれず、手戻りやミスの原因になることもあります。特に出来形管理では限られた測定点と2次元情報だけで品質を確認するため、全体像の把握が難しく人的ミスも発生しがちでした。一度施工して埋め戻した箇所などは後から測り直すことができないため、見落としがあれば重大な問題につながります。


こうした課題に対し、スマホ測量による3次元点群データ活用は有効な解決策となります。点群とは空間を構成する多数の点(座標データ)の集合であり、密度の高い点群ほど対象物を写真のようにリアルかつ詳細に記録できます。スマホ測量なら、図面のように正確写真のように直感的な3Dモデルを簡単に取得できるため、現場の状況を漏れなく記録・共有できます。人が立ち入れない危険箇所も非接触で測量でき、安全性向上にも寄与します。図面と写真の「いいとこ取り」をスマホ一台で実現できる点で、まさに次世代の施工管理法と言えるでしょう。


スマホで取得できる点群とは(技術原理と必要な機材)

スマホで取得できる点群データとは、スマートフォンのセンサーを使って計測した多数の3次元点の集まりです。各点にはX・Y・Zの座標値(位置)と色情報などが含まれ、これらをプロットすることで地形や構造物の形状を立体的に表現できます。従来は高価な3Dレーザースキャナーや特殊なカメラが必要でしたが、近年のスマホにはLiDAR(ライダー)センサーや高性能カメラが搭載され、手のひらサイズで3Dスキャンが可能になりました。


スマホのLiDARは赤外線レーザーを照射して物体までの距離を高速に測定するセンサーです。iPhoneの場合、公式には最大約5m先まで正確な深度を取得できるとされています。LiDARにより、壁や地面までの距離データを点の集合体として取得できるため、スマホをかざして歩くだけで周囲の点群スキャンが行えます。LiDARのないスマホでも、カメラで複数枚の写真を撮影して解析するフォトグラメトリ(写真測量)により点群化する手法もあります。しかし写真測量は処理に時間がかかるため、リアルタイム性や手軽さではLiDAR搭載スマホに軍配が上がります。


取得したスマホ点群は、専用アプリ上で即座に3Dモデルとして表示したり、必要な寸法を測ったりできます。ただしスマホ単体だけでは得られるのは局所的な点群であり、測定結果に絶対的な座標(緯度・経度や標高)は付与されません。言い換えれば、現場全体のどこにその点群が位置するかは後処理で基準点に合わせないと分からないのです。ここで重要になるのがRTK-GNSSによる位置補正技術です。


RTK-GNSS(リアルタイムキネマティックGNSS)とは、GPSなどの衛星測位に基準局からの補正情報を適用し、リアルタイムでセンチメートル級の高精度測位を行う仕組みです。専用の高精度GPS受信機をスマホに連携させることで、スマホが記録する点群に絶対座標(世界測地系の緯度経度標高)を付加できます。例えばスマホに装着可能な小型受信機「LRTK Phone」を用いれば、スマホが常時±数センチの精度で自己位置を測定しながら点群取得を行えます。これにより、測った点群データを後から基準点に合わせて変換する手間が省け、現地でそのまま設計座標系の3Dデータとして利用できます。スマホ測量を真の業務レベルで活用するには、こうしたスマホ×RTKの組み合わせが欠かせません。


まとめると、スマホ+LiDAR+RTKという組み合わせにより、これまで測量機器やレーザースキャナーが必要だった高精度の点群計測が手軽に行えるようになりました。次章では、このスマホ点群を使って実際の土木現場で何ができるのか、具体的な5つの活用シーンを見てみましょう。


スマホでここまでできる!5つの実務活用例

スマホ測量で取得した点群データは、土木の施工管理や維持管理にさまざまな形で活用できます。ここでは、現場担当者にとって特に有用な5つの実践例を紹介します。


1. 出来形記録(3Dによる施工完了データの保存)

出来形記録とは、施工完了時点の構造物や地形の形状を記録し、発注者への提出書類や検査に備える業務です。従来は巻尺やトータルステーションで要所の寸法を測り、写真台帳に施工状況を残すのが一般的でした。スマホ点群を活用すれば、完成した構造物全体を3次元スキャンして丸ごと記録できます。例えばコンクリート構造物であれば、表面の微細な凹凸まで含めた出来形をデジタル保存でき、後から任意の断面で寸法を確認することも可能です。取得した点群自体が出来形管理図書のエビデンス(証拠資料)となり得るため、紙の写真や断面図より信頼性の高い記録と言えます。将来リニューアル工事を行う際も、この3D出来形データを参照すれば現況把握が容易です。スマホ測量なら現場技術者が施工直後にサッと計測できるため、不可視部分の埋め戻し前記録なども漏れなく実施でき、品質保証と手戻り防止に大きく貢献します。


2. 墨出し・測点誘導(設計位置の現地表示)

墨出し(位置出し)とは、図面上の基準に従って現地に印をつける作業です。建設現場で構造物の位置や高さを出す際に欠かせない工程ですが、トランシットやレベルを使った従来の墨出しは複数人での作業や面倒な機器据え付けを要しました。スマホ×RTKを使えば、測りたい点の設計座標を入力するだけでスマホ上にその方向を示すナビゲーションが表示されます。例えばLRTK対応アプリでは、事前に登録した座標に向けてスマホが矢印やガイドを示し、指定位置に到達すると通知してくれます。これを使って単独作業で杭打ち位置を特定したり、高さの基準点にマーキングしたりできるため、一人で効率良く墨出し作業が可能になります。熟練が必要だった作業も直感的なアプリ操作でこなせるため、測量の専門家でなくとも現場スタッフ自ら位置出しができる点が画期的です。


3. 土量計算(掘削・盛土量の迅速算出)

土工事における土量計算(出来形数量算出)にもスマホ点群が威力を発揮します。従来は一定間隔ごとに地盤高を測って断面図を起こし、平均断面法で体積を求めるのが一般的でしたが、この方法では多大な手間と人員を要しました。点群データを用いる方法では、掘削前後や盛土前後の地表面をそれぞれスマホでスキャンし、2つの点群の差分から体積を自動計算できます。点群は地表面を隅々まで捉えているため、細かな凹凸まで考慮した高精度な土量算出が可能です。一度取得した点群から任意の範囲でメッシュ法による再計算もできるため、追加の現地測量なしで「ここからここまでの土量を再計算」といった要望にも応えられます。実際の事例では、従来4人×7日(28人日)かかっていた土量計測作業が、ドローンや点群技術の活用で2人×1日(2人日)に短縮された例も報告されています。スマホ測量であれば準備も簡単ですから、小規模な掘削でも気軽に3D計測を行い、その場で即座に出来形数量を算出・確認できます。迅速な出来形数量の把握は出来高管理や発注者への報告をスムーズにし、現場全体の生産性向上につながります。


4. 維持管理(現況の3Dアーカイブと異常検知)

完成後のインフラや構造物の維持管理にもスマホ点群は役立ちます。定期点検時にスマホで対象物をスキャンしておけば、現況の3Dアーカイブデータとして蓄積できます。例えば法面(のりめん)や盛土の斜面を定期的に点群計測し、時系列で比較すれば、沈下や変形の兆候を早期に発見できます。従来は点検結果を写真とテキストで記録していましたが、点群なら変化量を数値で捉えることも容易で、客観的な維持管理資料として信頼性が高まります。


また、工事に伴う周辺構造物のモニタリングにも有効です。施工前に近隣建物をスマホスキャンで記録しておけば、工事後に発生したひび割れ等を立体的に比較検証できます。さらに、埋設物の位置把握にもスマホ測量+ARが活用されています。試掘で一度確認した地下埋設管の位置を点群で取得し地図上に記録しておけば、埋め戻した後でもスマホのAR機能で地下にある管の位置を地上に可視化できます。道路の維持管理で下水管やケーブルの経路を把握する際に、図面を広げなくともスマホ画面越しに位置を確認できるわけです。以上のように、スマホ点群は現況をありのままデジタル保存し、変化や異常を見える化するツールとして維持管理分野でも重宝されています。


5. ARによる設計データ確認(出来形との重ね合わせ)

スマホ測量のユニークな応用が、AR(拡張現実)による設計データの現地確認です。スマホやタブレットの画面上に、あたかもその場に物体が存在するかのように設計モデルを重ねて表示する技術で、施工管理の事前検討や出来形検査に応用できます。例えば完成予想の3Dモデル(BIM/CIMモデル)をスマホに読み込めば、現地の風景にそのモデルをAR投影し、設計と現況のズレを一目でチェックできます。LRTK対応のスマホアプリなら、高精度な位置合わせによりモデルと実物のズレが数センチ以内に抑えられるため、図面上では気づけない干渉や仕上がり誤差をその場で発見できます。例えば道路工事で、設計の縁石ラインをAR表示して出来形と比較し、曲線形状の乱れがないか確認するといった使い方です。ARによる出来形確認は発注者への完成報告にも威力を発揮します。スマホ画面に映る完成形(設計モデル)と現地の出来形が重なった映像を見せれば、素人にも完成度が直感的に伝わります。実際に河川護岸工事の出来形検査でARを活用し、「発注者への報告や現場でのコンセンサス形成に効果的だった」とする声もあります。このようにAR機能まで含めて活用できるのがスマホ測量の強みであり、設計・施工・検査のすべてにおいて3Dデータを一貫利用することで、業務の抜け漏れ防止と円滑化に寄与します。


スマホ測量のメリットと限界(従来手法との比較)

以上のような活用例から、スマホ測量には従来手法にない多くのメリットがあることが分かります。主な利点を整理すると次の通りです。


精度向上: 3Dレーザースキャナーや写真測量で得られる点群は適切に計測すればミリメートルオーダーの精度を実現できます。人手による部分測量では見落としていた微小な誤差も検知可能で、設計値との差異を詳細に把握できます。出来形管理の厳密さが格段に増し、品質確保に貢献します。

効率化と省力化: 広範囲を短時間で一度に非接触計測できるため、これまで複数人で何日もかけていた測点取得が一人で完了します。取得データから自動で差分算出や合否判定も行えるため、手計算や図面への手書き作業も削減されます。結果として検査・報告に要する時間が短縮され、担当者の負担軽減と生産性向上につながります。

データの再利用性: 点群データはデジタル情報としてクラウド等に蓄積・共有でき、必要に応じ何度でも解析可能です。一度スキャンしておけば後から好きな視点で確認したり断面を切り出したりでき、追加調査の手間も減ります。施工完了時の点群を保存しておけば、維持管理や将来の改修計画にもそのまま活用可能です。紙の帳票と違い劣化せず半永久的に残せる記録資産となります。

安全性の向上: 人が立ち入れない高所・斜面や重機稼働中の危険エリアでも、遠隔から点群を取得できます。従来はリスクのあった測定作業も非接触で済むため、作業員の安全を確保できます。特に災害現場の調査では、スマホ測量によって二次災害の危険を冒さず状況把握が可能です。


一方で、スマホ測量にも留意すべき限界や課題があります。現在の技術水準における主な制約を挙げます。


計測範囲と環境: スマホ内蔵のLiDARは有効範囲が約5m程度と限られ、広大な現場を一度にスキャンするのは難しいです。範囲をカバーするにはこまめに移動して複数回計測しデータを結合する必要があります。また直射日光下ではセンサーにノイズが乗りやすく、ガラスや水面など一部の素材は点群が取得しづらい場合があります。雨天時の測量も精度低下や機器故障のリスクがあるため避けるべきでしょう。

精度と校正: 点群計測にはある程度の技術習熟も求められます。スマホを動かす速度が速すぎるとデータにスキップや歪みが生じることがあり、安定した計測にはコツが要ります。またスマホ単体では位置精度が数m程度と粗いため、厳密な測位には外部RTK補強が不可欠です。逆に言えばRTKなしにスマホだけで出来形検査に使うのは難しく、目的に応じた機器構成を揃える必要があります。

データ量と処理: 高密度の点群データはファイルサイズが大きく、スマホのストレージや処理能力を圧迫することがあります。長時間のスキャンや高詳細モードでは数百万点規模のデータとなり、古い端末ではアプリが落ちてしまう可能性もあります。取得後のデータ管理や保存にも工夫が必要で、社内で点群を扱える環境(高速PCやクラウドサービス)が整っていないと活用が進まない恐れがあります。


以上のように、スマホ測量には従来以上の精度・効率性をもたらすメリットがある一方、機器特性や運用面での限界も存在します。ただし技術の進歩は日進月歩であり、センサー性能やアプリの改良によって課題は着実に克服されつつあります。次章では、実務で使えるスマホ測量を始めるために、具体的にどのような手順・ツールが必要かを説明します。


LRTKを使った“現場で使える”スマホ測量の始め方

実際に現場でスマホ測量を導入するには、高精度GNSS受信機と専用アプリを組み合わせたソリューションを用意するのが近道です。先述した「LRTK Phone」はその代表例で、iPhoneに取り付ける超小型のRTK-GNSS受信機と対応アプリ・クラウドから構成されています。ここではLRTKを例に、スマホ測量導入の基本的な流れを紹介します。


1. 機材とアプリの準備: まずはLiDAR搭載のiPhoneやiPad(例:iPhone 12/13/14 Proモデル以降)を用意します。次にLRTK Phoneのような対応GNSS受信機を端末に装着し、App Storeから提供されている専用の測量アプリをインストールします。受信機本体はわずか数百グラムのスマホサイズで、バッテリー内蔵・長時間駆動が可能です。スマホ背面に取り付けても嵩張らない設計のため、現場へ手軽に持ち運べます。


2. セットアップと測位確認: アプリを起動し、受信機とスマホをBluetoothやケーブルで接続します。初回利用時にはアカウント登録や簡単なセットアップを行い、RTK補正情報の取得方法を設定します。日本国内であれば、携帯電波が届く現場では基準局ネットワーク(Ntripなど)から補正データを受信し、圏外エリアでは準天頂衛星みちびきのセンチメータ級補強サービス(CLAS)を直接受信する、といった運用が可能です。補正が正常に行われれば、スマホ画面上に現在位置の精度(誤差◯cmなど)が表示されます。これで準備完了、スマホがセンチ単位で測れる測量機器に早変わりです。


3. 現場で計測・活用: あとは用途に応じてアプリ内の機能を使うだけです。点群スキャンモードに切り替えれば、スマホをかざして歩くだけで周囲の点群がどんどん記録されていきます。取得データはその場で3D表示され、断面や体積の計測もワンタッチで可能です。設計図やBIMデータを読み込めば、ARモードで現実空間にモデルを重ねて表示できます。位置出し機能を使えば、画面のガイドに従って指定座標へ移動し杭打ちやマーキングを行えます。測り終えたデータはクラウドに自動同期されるため、オフィスのPCから即座に確認したり、チームで共有することも容易です。このように一台のスマホで測量・出来形管理・AR確認までマルチにこなせるのがLRTKソリューションの強みです。


導入にあたって特別な測量の知識や資格は必要ありません。直感的なアプリ操作で誰でも扱えるため、現場スタッフが日常業務の延長で測量・点検を行えるようになります。ポケットに収まる機材を一人一台持てば、必要なときにいつでも即測れる体制が築け、現場の生産性は飛躍的に向上するでしょう。高価な専用機器に頼らず手持ちのスマホを活用できる点もコスト面で大きなメリットです。まさに\*「いつでもどこでも誰でも」\*測量ができる時代が到来しつつあります。


スマホ測量を始めるハードルは想像以上に低く、効果は即座に実感できます。興味を持たれた方はLRTK公式サイトで製品詳細や事例をぜひチェックしてみてください。スマホ×LRTKで、あなたの現場の施工管理を次の次元へアップデートしてみませんか?


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