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点群とは?現場で役立つ“3Dデータ”の正体と利点を解説

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近年、土木・建設の現場で「点群データ」という言葉を耳にする機会が増えています。従来の図面や写真とは違う新しい3Dデータとして注目されており、現場の生産性向上や効率化に貢献すると期待されています。本記事では、点群とは何か、そして図面や写真データと何が違うのかを解説し、土木分野での主な活用シーンや現場の“武器”になる5つの利点をご紹介します。さらに、なぜ今この点群が注目されているのか背景をひも解き、最新の技術動向としてスマホ測量+LRTKによって誰でも簡単に始められる時代が来ていることをお伝えします。


点群とは何か?3Dスキャンで得られる「点」の集合体

点群データ(ポイントクラウド)とは、物体や地形の形状を無数の点の集合として表現した三次元データのことです。 各ポイントには位置を示すX・Y・Z座標値が含まれ、取得方法によっては色(RGB値)や反射強度といった情報も持ちます。例えば建物や地形を点群化すると、その表面上のあらゆるポイントがデジタル上に再現され、写真のように見える立体的な点の集まりとして表示されます。レーザースキャナーによる3D計測やドローン空撮を用いた写真測量(フォトグラメトリ)によって取得でき、取得時点の現場状況を高精度な3Dデータとして丸ごと記録できる点が大きな特徴です。


言い換えれば、点群データは現実空間をデジタル上にコピーしたようなものです。従来の平面的な図面や写真では捉えきれない奥行き方向の情報まで含めて現場を記録できるため、コンピュータ上で好きな視点から観察したり、任意の2点間の距離を計測したりすることが可能です。人の手によるスケール計測とは異なり、一度に広範囲を測量できて測り残しがほとんど出ないことも利点です。また取得した点群データをもとに後から図面や3Dモデルを起こすことも容易で、必要な寸法を取り忘れて再調査…といった手戻りも防げます。


点群が“図面や写真と違う”理由とその強み

では、点群データはなぜ図面や写真と違うのでしょうか?最大の違いはデータそのものが三次元的であることです。図面は2次元の平面上に対象物を投影・簡略化したもの、写真もカメラ位置から見た一方向の2D画像に過ぎません。それに対して点群は、対象物そのものの形状を大量の点で直接表現しているため、現場のありのままの姿を立体的に保存しています。


この違いから生まれる強みはいくつかあります。


第一に直感的な可視化です。点群データは色付きで表示すれば写真さながらのリアルな3Dビューとなり、専門知識がない人でも空間を一目で理解しやすくなります。図面の読解が苦手な新人や施主でも、点群を見れば現場の状況を直感的に掴めるでしょう。第二に高精度な計測性です。点群上ではどの箇所間も自由に距離や面積を測定でき、図面スケールを当てて測るよりも正確で、ヒューマンエラーの心配も少なくなります。第三に情報量の多さです。図面や写真では後から見返せる情報に限りがありますが、点群データには現場の形状情報が隅々まで含まれているため、あとから追加の寸法が必要になってもデータ上で確認できます。必要に応じた二次利用(断面図作成や設計へのフィードバック等)が容易になる点は、点群ならではの強みです。


もっとも、点群データはメリットばかりではありません。膨大な点の集合であるためデータ容量が大きく、扱いには工夫が必要です。また専用の閲覧ソフトや処理スキルが求められるケースもあります。しかし近年はパソコンやクラウドの性能向上により、大容量データの取り扱いもだいぶ容易になってきました。総合的に見れば、現場をまるごとデジタル記録できる点群データの価値は非常に高く、図面や写真を補完・強化するデータとしてこれから欠かせない存在になりつつあります。


点群が使われる主な用途(測量・出来形・維持管理・施工管理)

点群データは土木のさまざまな業務で活用が進んでいます。特に代表的なのが以下の用途です。


測量(現況把握):地形測量や構造物の現況把握に利用されます。従来は測量士がトータルステーションやGPS機で主要点を一つずつ計測していましたが、レーザースキャナーやドローンを使った点群測量なら短時間で地表面を面的に取得可能です。例えば広大な造成予定地を事前にドローンで空撮し点群化すれば、起伏に富んだ地形モデルを短時間で作成でき、土量算出や計画立案に役立ちます。

出来形管理(竣工時の形状記録):施工後の構造物や地形を点群でまるごと記録し、設計通りにできているかを確認・保存する用途です。完成形を3Dデータとして残しておけば、図面が後から紛失しても正確な3Dモデルや断面図を起こせるため、品質管理や将来の改修計画に役立ちます。従来は要所要所の出来形を写真や測定値で記録していましたが、点群なら抜け漏れなく現物を保存できるので安心です。

施工管理(進捗確認・出来形チェック):工事の進捗管理にも点群が活躍しています。工事中の現場を定期的にスキャンして点群化することで、出来高の数量管理や形状チェックを効率化できます。例えばコンクリート打設後に構造物を点群測定し、設計BIMデータと重ね合わせれば、仕上がりが図面通りかすぐに確認可能です。複雑な形状の施工であっても、点群を使えばその場で出来形を見える化できるため、手戻り防止につながります。

維持管理(インフラ点検):橋梁やトンネル、ダムなどインフラ点検の分野でも点群活用が始まっています。定期点検時に構造物全体をスキャンしておけば、経年変化を定量的に比較することができます。ひび割れや変形の兆候を点群データ上で早期発見したり、補修計画の検討に役立てたりすることが可能です。人の目視や写真記録だけでは見落としていた細かな変化も、点群データなら過去との差分を解析することで客観的に把握できるでしょう。


以上のように、点群データは測量から施工、維持管理まで幅広い場面で現場のデジタルツインを支える基盤技術となっています。今や国土交通省主導の「i-Construction」により3D活用が推進され、土木業界では点群データによる業務改革が加速しています。


点群データが“現場の武器”になる5つの利点

では、点群データを活用すると具体的にどんなメリットが現場にもたらされるのでしょうか。ここでは点群が現場の強力な武器になる5つの利点を挙げます。


可視化による直観的な把握 – 点群は現場をそのまま3Dで再現するため、現況を直観的に把握できます。図面や数値データではピンと来ない対象物の傾き・高さ関係も、点群を見れば一目瞭然です。例えば高さや位置の異なる構造物同士の関係性も、点群データ上で確認すれば直感的に理解できます。関係者全員で出来上がりイメージを共有しやすくなり、安全確認や作業指示もスムーズになるでしょう。

省人化・省力化の推進 – 点群計測の導入によって、測量や検測にかかる手間が大幅に削減できます。従来は複数人で何日もかけていた現場計測が、レーザースキャナー1台を据えて短時間で終わるケースもあります。危険な高所や立ち入り禁止区域も遠隔から安全に測れるため、人が無理をして測る必要がありません。限られた人員で効率良く現場を管理する上で、点群データは強い味方となります。

精度の高い計測と分析 – 点群データはミリメートル単位の精度で対象形状を捉えられる場合もあり、手作業では得られない高精度な計測結果をもたらします。取得した点群を設計データと突き合わせてズレをチェックすれば、施工精度の検証も定量的に実施可能です。さらに点群上で体積や断面形状を解析すれば、盛土・切土量の算出や変形量の測定など高度な分析も現場で即座に行えます。これらは従来専門業者に委ねていた作業ですが、点群があれば現場担当者自ら短時間で正確に実施可能です。

記録性(デジタルアーカイブ) – 点群データは現場の状況を余すことなく記録できるデジタルアーカイブです。例えば工事前の原状、施工中の出来形、竣工後の完成形と、時系列で点群を蓄積しておけば、あとから過去の状態を正確に振り返ることができます。写真や報告書では残らない細部も点群上で再現されているため、設計変更の履歴確認やトラブル発生時の検証資料として非常に有用です。

データ共有と活用の容易さ – 点群データはデジタル情報なので、クラウドなどを通じて関係者間で容易に共有できます。遠隔地にいる設計者や発注者ともデータさえ共有すれば、同じ3D現場モデルを見ながら打合せすることも可能です。最近では専用ソフトをインストールしなくてもウェブブラウザ上で点群を閲覧・計測できるサービスも登場しており、データ利活用のハードルは着実に下がっています。こうした情報共有性の高さも、点群が現場DXを支える武器となるゆえんです。


以上の利点から、点群データは現場の生産性向上に直結するテクノロジーと言えます。実際、国土交通省も働き方改革の一環で建設DXの重要性を強調しており、ドローンによる3次元測量やICT施工などの導入が期待されています。点群活用は、まさにこの建設DXを具体的に推し進める原動力なのです。


なぜ今点群データが注目されているのか?その背景

点群技術自体は以前から存在していましたが、ここ数年で急速に注目度が高まっています。その背景には、国の方針現場を取り巻く環境変化の双方があります。


一つ目は国の推進政策です。前述の「i-Construction」に代表されるように、国土交通省は建設現場へのICT・3D技術導入を積極的に後押ししています。公共工事の入札要件にもBIM/CIM(3Dモデル活用)が盛り込まれるなど、業界全体で3次元データ活用が避けて通れない流れになりつつあります。点群データはBIM/CIMやICT施工と親和性が高く、現場のデジタル化を支えるキー技術として注目されています。


二つ目は2024年問題とも呼ばれる労務環境の変化です。建設業では2024年4月から時間外労働(残業時間)の上限規制が罰則付きで適用され、月45時間・年360時間を超える残業ができなくなりました。慢性的な人手不足に加え残業削減が求められる中で、生産性向上は待ったなしの課題です。そこで従来人海戦術に頼っていた測量・検査業務などを効率化する手段として、点群データの活用が改めて脚光を浴びています。実際、国も生産性向上策の例として3次元測量の導入ICT施工の推進を挙げており、現場DXの切り札として点群に期待が寄せられています。


三つ目は技術進歩と普及による現場での扱いやすさ向上です。ひと昔前までは高額な専用機材が必要でしたが、現在ではドローン搭載LiDARの普及やソフトウェアの進歩により点群取得のハードルは格段に下がりました。さらに最近ではスマートフォンにLiDARセンサーが標準搭載され、自分たちで手軽に点群を取得できる時代です。こうした技術の民主化により、点群は一部の専門家だけでなく一般の現場技術者にも身近なツールになりつつあります。


スマホ測量+LRTKの登場で、中小企業や現場責任者でも簡単に始められる時代へ

上述したように、最近ではスマホ1台で3Dスキャンができるようになりました。しかし通常のスマートフォン単体では、取得した点群に位置座標が付かないことや、歩き回ってスキャンするとデータが歪んでしまうといった課題があります。そこで登場したのが LRTK(スマホ用高精度測位デバイス) です。


写真1:スマートフォンに装着した「LRTK Phone」デバイス。*iPhoneの背面に取り付けて使用する超小型のGNSS受信機で、単体約125gと軽量。ワンタッチで着脱可能であり、必要なときにすぐ装着して使える手軽さが特長です。*


LRTKは東京工業大学発のスタートアップ企業Lefixea Inc.が提供するスマホ測量システムで、高精度GNSS受信機「LRTK Phone」と専用アプリ・クラウドサービスから構成されています。スマートフォンにLRTK Phoneを装着すると、衛星測位によるRTK(リアルタイムキネマティック)方式でスマホの位置をセンチメートル級に高精度化できます。これによりスマホ内蔵LiDARで取得した点群一つ一つに世界測地系の座標(緯度・経度・標高)を付与できるのが大きな特徴です。従来のスマホ単体LiDARスキャンではバラバラなローカル座標で扱われるため、あとで地図や設計座標に合わせる手間がありました。LRTKならその場で測量座標系に合致した点群データを取得できるため、煩雑な後処理を大幅に省略できます。専門的な測量知識がなくてもボタン操作中心で直感的に扱えるよう工夫されており、中小企業のベテラン施工管理者から若手まで誰でも使いこなせる親しみやすさも備えています。


LRTKによって、これまで特殊な機材が必要だった点群計測が一気に身近になりました。スマホをかざして動かすだけでリアルタイムに点群が画面に表示され、取りこぼしなくスキャンできているか確認可能です。さらにスキャン後すぐにスマホ上で任意の距離や体積を計算でき、その場でデータを活用できます。精度面でも優れています。LRTK Phoneは日本の準天頂衛星システム由来のセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)に対応しており、携帯電波圏外の山間部でも高精度測位が可能です。条件にもよりますが測位精度は数cm程度とされ、従来の据置型GNSS測量機に匹敵します。それをポケットに入るスマホと小型デバイスだけで実現できるのですから画期的です。


このようにスマホ測量+LRTKの組み合わせにより、点群データ活用は従来以上に簡単かつ低コストなものになりました。高額な3Dスキャナーを持たない中小企業でも、iPhoneとLRTKを用意すれば今日から始められる時代です。現場の誰もが日常業務で点群計測を行える未来も、そう遠くはないでしょう。点群データの民主化がさらに進めば、これまで紙図面や経験に頼っていた現場管理もデジタルデータに基づく客観的かつ効率的な手法へと大きく様変わりしていくはずです。


LRTKで始める手軽な点群活用:まずは公式サイトをチェック

最後に、スマホで手軽に点群計測を始めたい方に向けてLRTK製品をご紹介します。LRTKは前述の通りスマートフォンを高精度測量機に変えるソリューションで、専用デバイスとアプリによって現場での3Dスキャンを強力にサポートしてくれます。現在お使いのiPhoneやiPadがあれば、特別な訓練を受けていなくても自分の手で高精度な点群データを取得・活用できるようになります。興味のある方はぜひ[LRTK公式サイト](https://www.lrtk.lefixea.com)をのぞいてみてください。点群データ活用への第一歩として、現場DXツールの導入を検討してみましょう。あなたの現場にも、きっと新たな発見と効率化のチャンスが生まれるはずです。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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