目次
• オルソ画像とは何か?
• ドローンでオルソ画像を作成するメリット
• オルソ生成に必要な機材・ソフト
• オルソ画像作成の手順
• 高精度なオルソ生成のポイント
• オルソ画像の活用例
• まとめ
• よくある質問
オルソ画像とは何か?
オルソ画像とは、空中から撮影した写真に写り込む地形の「ゆがみ」を取り除き、真上から見下ろしたように補正した画像のことです。オルソという言葉はギリシャ語で「正しい」「ゆがみがない」という意味があり、その名の通りオルソ画像は通常の写真に比べて歪みがありません。例えば皆さんが普段使っているオンライン地図サービスの航空写真レイヤーでは、建物の壁面が写らず屋根だけが見えているでしょう。これは撮影後にオルソ補正(正射投影変換)を行い、全ての対象物を真上から見た状態に処理しているためです。オルソ画像は正射画像とも呼ばれ、地図のように全体が統一縮尺で表現されているため、距離や面積を正確に測定できる特長があります。
通常、オルソ画像は一枚の写真だけでなく複数の空撮画像をつなぎ合わせて作成します。ドローンなどで広い範囲を撮影する場合、カメラの視野には限りがあるため、何十枚もの写真を撮ってそれらをモザイク処理で合成し、大きな一つの画像に仕上げます。この際、各写真の位置ズレやレンズによる歪み、地表面の起伏によるズレを計算で補正することで、まるで上空から見た地図のような一枚のオルソモザイク画像が完成します。オルソ画像は航空測量や地理空間情報の分野で古くから活用されてきましたが、近年ではドローンの普及により、より手軽に高精細なオルソ画像を取得できるようになりました。
ドローンでオルソ画像を作成するメリット
ドローンによるオルソ生成が注目される背景には、コスト削減と効率化のメリットがあります。従来、広範囲のオルソ画像を作成するには有人航空機 による空中写真測量が必要で、高額な費用と長い準備期間がかかりました。これに対してドローンを使えば、少人数で短時間に現地の詳細な空撮が可能です。専用機材のレンタルや飛行機の手配が不要なため、必要なタイミングで迅速に撮影を行えます。またドローンは低空を飛行できるため、地上数センチ単位の非常に高解像度な画像を得られる点も大きな利点です。
安全性の向上も見逃せません。人が立ち入れない危険な崖地や災害現場でも、ドローンで上空から撮影すれば安全に最新の状況を把握できます。こうした理由から、土木測量や建設業界を中心にドローンによるオルソ画像作成が広がっています。行政分野でも、河川管理や農地の状況把握などに積極的にドローン空撮が取り入れられています。また国による建設DX推進やi-Constructionなどの流れもあり、現場の三次元データ化・オルソ画像活用は今や新たな常識となりつつあります。ドローンと写真測量技術を組み合わせることで、これまで専門業者に依頼していた地図作成作業を自分たちの手で行えるようになってきています。
オルソ生成に必要な機材・ソフト
ドローンを使ってオ ルソ画像を生成するために必要なものを押さえておきましょう。まずはドローン本体です。高解像度のカメラを搭載したドローンであるほど鮮明なオルソ画像が得られます。一般的には数千〜数万ピクセルの写真が撮れるカメラを搭載した機種が望ましく、最近の市販ドローンであれば多くが条件を満たしています。撮影時はカメラを真下(垂直方向)に向け、地表面を余すところなく捉えられるよう設定します。広い範囲を効率よくカバーするには自動航行アプリなどを使って飛行ルートを事前プログラムし、一定の高度と速度で格子状に飛行させると良いでしょう。
次に、撮影した画像データを処理する写真測量ソフトウェア(フォトグラメトリーソフト)またはクラウドサービスが必要です。写真測量ソフトはドローンで撮影した多数の写真からオルソ画像や3Dモデル(点群やDEMなど)を生成するためのツールで、市販の専門ソフトから無償のオープンソースまで様々な種類があります。ソフトを利用する場合、高性能なパソコン(CPUやGPU、十分なメモリ)があると解析がスムーズです。一方で、最近ではインターネット経由でクラウド上のサーバーに写真をアップロードし、自動で処理して結果を取得できるサービスも登場しています。クラウドサービスを使えば手元のPC性能に関わらず大量の写真を処理できるため、専用ソフトのインストールやハードウェア投資を省ける利点があります。
また、測量精度を高めたい場合には高精度GPS(RTK対応機体)や地上測量用の標定点(GCP: Ground Control Point)を用意すると良いでしょう。通常のドローンでもオルソ画像は生成できますが、緯度経度の位置精度は内蔵GPSの誤差(数m程度)の範囲でずれが生じます。そこで、あらかじめ既知の座標を持つターゲットを地面に設置しておき、その点を写真解析時に参照することで、オルソ画像に正確な位置合わせを行うことが可能です。同様に、RTK搭載ドローンを使えば飛行中にセンチメートル級の高精度測位が行えるため、撮影画像の位置情報自体を高精度化でき、後処理の負担を減らせます。必須ではありませんが、精度重視の測量用途ではぜひ検討したい装備です。
オルソ画像作成の手順
では、実際にドローン写真からオルソ画像を作成する一般的な手順を見てみましょう。
• 飛行計画と撮影: まず対象エリアをカバーできるようドローンの飛行計画を立てます。高品質なオルソ画像のためには、写真同士が重なるオーバーラップ率を十分に確保することが重要です。一般的に前後方向(フライト方向)で80%以上、側方向で60%以上の重複が推奨されます。自動航行プログラムを用いて高さや経路を設定し、カメラを常に地面に向けて定間隔に写真を撮影します。天候にも注意し、強風や雨を避け、明るい時間帯に撮影を行いましょう。また、必要に応じて地上に目印(GCPターゲット)を配置し、正確な位置情報を取得できる準備をします。
• 写真の取り込みと位置合わせ: 撮影した複数の画像データを写真測量用のソフトウェアまたはクラウドサービスに読み込みます。ソフトが自動的に各写真の特徴点を検出し、重複部分の共通点(タイポイント)を見つけ出して写真間の位置関係を計算します。これによりドローンが撮影した各画像のカメラ位置や向きが推定され、対象エリアの三次元構造(点群データや3Dモデル)が再構築されます。専門的にはSfM(Structure from Motion)技術と呼ばれる処理で、写真から立体的な形状を復元するステップです。
• オルソ画像の生 成: 再構築された3Dモデルの情報をもとに、各写真を真上から見た形に補正して貼り合わせていきます。具体的には、生成したデジタル標高モデル(地表の高さ情報)上に写真を投影し直すオルソ補正を行い、隣接する写真同士をシームレスにつなぎ合わせます。このモザイク処理によって、一枚の連続したオルソ画像(オルソモザイク)が作成されます。ソフトウェアが自動で明るさや色合いも調整するため、継ぎ目のない自然な仕上がりの画像になります。処理にかかる時間は写真枚数や解像度に依存しますが、数百枚規模の写真セットで数時間程度が目安です。
• 成果物の出力と活用: 完成したオルソ画像を必要な形式でエクスポートします。多くの場合、地理座標情報が含まれたGeoTIFF形式などの画像ファイルとして出力され、GISソフトやCADソフトに読み込んで利用できます。作成したオルソ画像は、それ単体で現地の詳細な俯瞰図として活用できるほか、他の地図データと重ね合わせて現況図を作成したり、測量図面の作成に役立てたりできます。例えば、道路工事現場のオルソ画像を設計図面のCADデータと重ねて、出来形(施工後の形状)が設計通りかチェックするといった使い方も可能です。
高精度なオルソ生成のポイント
高品質なオルソ画像を得るためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
• 十分な重複撮影: 先述のとおり写真の重なり(オーバーラップ)を多く確保することが最重要です。画像間の重複が不足していると、ソフトウェアが位置合わせに失敗したり、穴抜けや歪みの原因となります。余裕をもった撮影計画で、むしろ多少過剰なくらいの重複を確保すると安心です。
• 垂直方向の撮影: カメラはできる限り真下を向けて撮影しましょう。斜め方向の写真は建物の側面が写り込み、完全なオルソ画像にする際に不利になります。地表面を真上から捉えた写真だけを使うことで、歪みの少ない精度の高い結果が得られます。やむを得ず斜め写真を撮る場合でも、最終処理では「ナディアビュー」(nadir view)と呼ばれる真下視点の画像のみを抽出する手法があります。
• 光条件と露出: 天候や光の条件にも配慮が必要です。撮影日はできるだけ快晴で直射日 光がある時間帯を選ぶと良いでしょう。ただし真上からの日差しが強い正午頃は、反射光で白飛びしたりコントラストが強く出過ぎることもあります。適度に日差しが傾いた午前中や午後の撮影では、物の輪郭がはっきり映り、3D再現性が向上する場合もあります。また、カメラの露出設定は自動に任せず、全写真で明るさが極端に異ならないようマニュアル露出で統一するのが理想です。
• 精度向上の工夫: 正確な地図用途であれば、前述のGCP設置やRTKドローンの活用が効果的です。数点のGCPを用意し、その座標値を既知点として処理に与えることで、オルソ画像全体を現地の座標系に合わせ込むことが可能です。RTK対応ドローンを使う場合も、事前に基地局を設置するかネットワーク型RTKサービスに接続して測位しながら飛行することで、各写真に付与される位置情報の精度が飛躍的に向上します。これらを組み合わせれば、後から追加の補正をしなくても数センチ精度で位置合わせされたオルソ画像を取得できるでしょう。
• 法規制の遵守: ドローン飛行には航空法などの法令遵守も不可欠です。市街地や人の上空での飛行、大規模な測量飛行を行う際には、事前に国土交通省への許可・承認申請が必要となる場合があります。安全に配慮し、定められたルールの範囲内で飛行・撮影計画を立てるようにしましょ う。
オルソ画像の活用例
ドローンで生成したオルソ画像は、さまざまな分野で活用されています。ここでは代表的な活用シーンをいくつか紹介します。
• 土木・建設現場の測量: 工事前の現況地形測量や、工事中の出来形管理にオルソ画像が利用されています。従来は測量スタッフが何日もかけて作成していた地形図を、ドローン空撮とオルソ画像生成で短時間に作成可能です。得られたオルソ画像をもとに土量を算出したり、設計図面との比較による品質管理を行うことで、施工管理の効率化・高度化が進んでいます。
• 災害状況の記録と把握: 台風や地震による被災地域の俯瞰記録にオルソ画像が活用されています。被災直後の空撮写真からオルソ画像マップを作成することで、被害範囲や被災物の位置を正確に把握できます。関係機関で共有しやすく、復旧計画の策定や被害額の算定にも役立っています。
• 農業分野での圃場管理: ドローンによる農地の撮影画像からオルソ画像を作成し、圃場全体の状況を可視化する取り組みがあります。生育のムラや病害の発生箇所を俯瞰で捉え、追肥や防除の計画に反映させるなど精密農業(スマート農業)の一環として利用されています。農家や農業団体でも、ドローン空撮とオルソ生成により広大な農地の管理が効率化しています。
• インフラ設備の点検・維持: 道路や橋梁、ダムといったインフラ点検でもオルソ画像が役立ちます。定期巡回の際にドローンで撮影した区域のオルソ画像を蓄積し、過去との変化を比較することで、劣化や変状の兆候を早期に発見できます。GPSと組み合わせて基盤地図情報として管理すれば、複数年にわたるモニタリングや維持管理計画のデータベースとしても活用可能です。
• 都市計画・公共事業: 自治体などでは都市計画や土地利用の現況把握にドローンオルソ画像を利用するケースが増えています。高解像度の正射画像を背景図にすることで、都市部の微細な変化も見逃さず捉えられます。また、文化財の記録や観光資源のPRとして、名所旧跡のオルソ画像マップを公開する事例もあります。ドローンで撮影した美しい俯瞰画像は、広報資料や教育用途にも価値あるコンテンツとなっています。
まとめ
ドローン写真からオルソ画像を作成する手法は、誰でも利用できる身近な技術になりつつあります。写真測量ソフトの発達やクラウドサービスの登場により、以前は専門の測量会社に依頼していた正射画像の作成が、手持ちのドローンとパソコンさえあれば実現可能な時代になりました。高解像度のオルソ画像は地図としての精度と写真の直感的な分かりやすさを兼ね備えており、土木・建設から農業、防災まで幅広い分野で欠かせない情報基盤となっています。
しかし、いざ自分で取り組もうとすると高性能PCの用意やソフトの習得などハードルを感じる方もいるでしょう。LRTKによる簡易測量のように、ドローン写真をクラウドにアップロードするだけで自動的に高精度な点群データやオルソ画像を生成してくれるサービスも登場しています。専門知識がなくても使える手軽さと国産サービスならではの充実したサポートにより、初心者でもすぐに導入できるでしょう。先端技術を上手に活用し、オルソ生成という新常識をあなたの業務にも取り入れてみませんか?
よくある質問
Q: オルソ画像と普通の写真は何が違うのですか? A: オルソ画像は空中写真を真上から見たように補正したもので、全体が統一縮尺となっている点が通常の写真との大きな違いです。通常の斜め写真では建物の側面が写ったり遠近感による寸法の歪みがありますが、オルソ画像では全ての対象物を真上からの形に補正しているため、地図のように正確な寸法で距離や面積を測れます。
Q: ドローンがあれば初心者でもオルソ画像を作成できますか? A: はい、基本的なドローンの操作と写真撮影ができれば初心者でもオルソ画像を作成可能です。近年は自動飛行アプリで撮影ルートを簡単に設定でき、写真解析についてもクラウドサービスやユーザーフレンドリーなソフトが増えています。最初は小規模なエリアから練習し、慣れてきたら徐々に範囲を広げることでスムーズに習得できるでしょう。
Q: オルソ画像を作るのに高価なソフトや特別な機材が必要ですか? A: 必ずしも高価なソフトウェアを購入する必要はありません。オルソ画像作成には専門の写真測量ソフトが用いられますが、オープンソースの無料ソフトや利用料だけで使えるクラウドサービスも存在します。クラウドサービスを利用すれば、高性能なPCが手元になくても大量の写真を処理できます。また、ドローン機体も市販の撮影用ドローンで十分対応可能ですので、まずは身近な機材で始めてみると良いでしょう。
Q: ドローンで作成したオルソ画像の精度はどのくらいですか? A: 適切な手順で作成すれば、ドローンによるオルソ画像でも数センチメートル程度の精度で地形を表現できます。ただし位置の絶対精度は使用するGPSや補正手法によって変わります。一般的な市販ドローンの内蔵GPSだけに頼った場合、水平位置は数m程度ずれることがありますが、基準点(GCP)を使ったりRTK対応のドローンを用いることで数cm以内の精度に高めることが可能です。いずれの場合も、短期間で広範囲をカバーできるというドローンオルソ画像のメリットは非常に大きいです。
Q: オルソ画像はどのような形で利用できますか? A: オルソ画像はデジタル地図データの一種として様々な用途に利用できます。例えばGISソフトに読み込んで背景の地図として活用したり、CAD図面に重ねて現況との比較検討を行うことができます。距離や面積の計測にも用いられ、敷地調査や農地管理、災害後の被害評価など多くのシーンで役立ちます。また紙面に印刷して報告書の図版にしたり、ウェブ上の地図サービスに重ねて公開することもできます。正確かつ最新のオルソ画像は、意思決定のための客観的な資料として幅広く活用されています。
Q: オルソ画像を作成するには写真を何枚くらい撮る必要がありますか? A: カバーしたい範囲の広さや飛行高度によって必要な写真枚数は変わります。例えば標準的なカメラを搭載したドローンで高度100mから撮影する場合、1枚の写真で数千平方メートル程度を写せます。数ヘクタール規模の土地をオルソ画像化するには、前後左右に十分な重なりを確保しつつ数百枚の写真を撮影することになるでしょう。ドローンのバッテリー容量の制約もあるため、大規模なエリアでは複数回に分けて飛行しデータを取得します。写真枚数が増えるほど処理時間も長くなりますが、クラウドサービスを活用することで大量データも効率的に解析可能です。
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