ワンマン測量の最前線をリードするLRTKの強みとは？

近年、測量の世界で「ワンマン測量」と呼ばれる新しいスタイルが注目を集めています。一人だけで測量作業を完結できるこの方法は、人手不足や技術者の高齢化など、建設・測量業界が抱える課題への解決策として期待されています。ロボティックトータルステーションや高精度GNSS測位など技術の進歩によって、かつては複数人が必要だった測量も一人でこなせる時代が到来しました。

こうしたワンマン測量の最前線をリードしているのが、東京工業大学発スタートアップのレフィクシア株式会社が開発した小型測位デバイスLRTK（エルアールティーケー）です。スマートフォンに装着するだけでセンチメートル級の精密測位を可能にするLRTKは、現場のDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進し、一人測量を現実のものとしています。本記事では、LRTKがワンマン測量で業界をリードできる理由と、その強みについて詳しく解説します。

ワンマン測量が求められる背景

従来、測量作業は複数人のチームで行うのが当たり前でした。たとえばトータルステーション（TS）での測量では、1人が機器を操作し、もう1人がプリズムを持って離れた測点に立つ必要がありました。熟練の測量士と補助スタッフのペア、場合によっては記録係を含めた3名体制が基本で、広い現場ではチームで一日がかりの作業になることも珍しくありません。当然、人件費や時間のコストも大きく、測量後にはデータ整理や図面作成といった事務作業も残っています。こうした従来手法では、人員不足に悩む現場ほど負担が大きく、効率化の妨げとなっていました。

しかし近年、人口減少や技術者不足の中で「少ない人員でいかに効率良く現場を回すか」が大きな課題となり、測量においてもワンマン測量への期待が高まっています。その背景には技術革新もあります。自動追尾式のロボティックトータルステーションの登場により、一人でもターゲットを追尾して測れるようになりました。また、GNSS（衛星測位）技術の進歩、特にリアルタイムキネマティック（RTK）方式の普及によって、基準局からの補正情報を用いることで一人でもセンチメートル級の高精度測位が可能になっています。国の*i-Construction*推進や建設業界のDX（デジタル変革）も後押しし、「一人で測れるならその方が良い」という考え方が現場に浸透しつつあります。

LRTKとは？一人測量を実現するスマホ測位デバイス

LRTKは、スマートフォンと組み合わせて使う超小型のRTK-GNSS受信機です。重量約165g、厚さ1cmほどの端末をiPhoneなどの背面に装着し、スマホとBluetoothまたはLightning接続することで、手持ちのスマホがそのままセンチメートル級の測量機器へと早変わりします。内部には高性能GNSSアンテナとバッテリーが搭載されており、スマホから電源供給と制御を受けて動作します。ポケットに収まるデバイスとスマホさえあれば、これまで三脚を立てて複数人で行っていた測位作業も一人で完結可能です。まさに「スマホ測量」の時代を切り開く画期的なソリューションと言えるでしょう。

このLRTKシステムは、ネットワーク型RTKや日本の準天頂衛星システムからの補強信号などにも対応しており、全国どこでもリアルタイムに高精度測位が行えます。携帯電話回線を通じて基準局から補正データを受信するNtrip方式はもちろん、山間部などネット接続が難しい環境でも上空の衛星から直接補正情報（みちびきのCLAS信号）を取得して誤差を数センチまで補正可能です。

スマホで手軽に扱えるシンプルな設計ながら、LRTK端末は数時間の連続測定に耐えるバッテリーも備えています。現場にiPhoneとLRTKを持ち込むだけで、即座に高精度な一人測量を始められます。測位精度は従来のスマホ内蔵GPSとは一線を画し、LRTKを用いれば誤差数cm以内という測量に十分耐える精度が得られます。

LRTKが最前線をリードする主な強み

LRTKが一人測量の最前線で注目されるのは、その機能や使い勝手の良さに多くの強みがあるからです。主なポイントを挙げてみましょう。

• センチメートル級の高精度測位: GNSSによるリアルタイムキネマティック（RTK）測位で、数センチの誤差にまで測位精度を高められます。一般的なスマホ内蔵GPSが5～10m程度の誤差であるのに対し、LRTKなら測量に必要な精度を単独作業でも確保可能です。高精度な位置情報により、出来形管理や墨出しでも安心して活用できます。

• ARナビゲーションによる杭打ち作業支援: LRTKの専用スマホアプリには、AR技術を活用した座標ナビゲーション機能が搭載されています。事前に設定した目標点の座標に対し、自分の現在位置から「東に○cm」「北に○cm」移動すれば良いとリアルタイムで画面表示されるため、一人でも迷わず正確に杭打ち（位置出し）作業が行えます。複数人がかりだった従来の墨出し作業も、スマホ片手に一人で完結できるのです。

• LiDAR連携による3D測量: iPhoneのLiDARセンサーやカメラと連携することで、周囲をスキャンして3次元の点群データを取得することも簡単です。LRTKが各点に高精度な位置座標を付与しながらスキャンできるため、歩き回ってスマホをかざすだけで広範囲の地形や構造物を一人で計測できます。従来の抜き取り測量では見落としていた細部まで点群に記録でき、出来形確認やデジタルツインの構築にも役立ちます。

• 測位データの自動記録と写真記録: 測定ボタンをタップするだけで、その瞬間の緯度・経度・高さがタイムスタンプ付きで自動保存されます。測点名も自動採番され一覧化されるため、いちいち野帳に書き写す手間がありません。さらに、スマホで撮影した写真には測位情報が自動で紐付けられます。測った場所の状況を写真付きで記録でき、データ整理の時間短縮とヒューマンエラーの防止に繋がります。

• クラウド共有による即時データ活用: 現場で取得した測量データは、その場でクラウドにアップロードして関係者と共有できます。測り終わった直後にスマホから成果データを送信すれば、オフィスに戻る頃には上司や同僚がそのデータを確認している状態にできるのです。クラウド上で位置座標や点群を即座に閲覧・活用できるため、追加の測り漏れがあればすぐフィードバックを受けて現場で追測できます。手戻り作業を最小限に抑え、リードタイムの短縮に貢献します。

• スマホ活用による直感的な操作性: 機器のセットアップはスマホにLRTKデバイスを装着するだけ。煩雑な初期設定は不要で、初めての現場でも電源投入からRTKによる「FIX解」取得までわずか数十秒です。専用アプリの画面はシンプルで分かりやすく、専門機器の操作経験が浅い技術者でも直感的に扱えます。スマホに慣れた若手からベテランまで、誰もが短時間のトレーニングで使いこなせるため、現場へのスムーズな導入が可能です。

• 導入しやすい低コスト: 導入費用が安価なこともLRTKの大きな魅力です。従来の高精度GNSS測量機はアンテナ一体型で1台数百万円するのが一般的でしたが、ポケットサイズのLRTKデバイスなら数万円～十数万円程度と桁違いに手頃です。専用アプリは無料提供されており、既存のスマホを利用できるため新たな専用端末も不要です。高精度測位サービスを利用する場合の通信料等はありますが、トータルで見れば従来機材に比べ初期投資・ランニングコストを大幅に削減できます。中小企業や自治体でも導入しやすい価格帯であり、精度と効率向上のメリットを低コストで享受できる点もLRTKが選ばれる理由です。

LRTKによる一人測量の簡単ステップ

LRTKを使った一人測量は、次のような手順で誰でも簡単に始められます。

• 機器とアプリの準備: まずLRTKデバイス本体を用意し、使用するスマートフォン（iPhone/iPad等）に専用の固定ホルダーやケースで取り付けます。事前にApp StoreやGoogle Playから無料の「LRTK」専用アプリをダウンロードしてインストールしておきましょう。

• 現場でのセットアップ: 測量現場に着いたら、スマホに装着したLRTKデバイスの電源を入れます。スマホでLRTKアプリを起動してデバイスと接続すると、衛星捕捉が始まりRTK測位が開始されます。数十秒ほど待って画面にRTKの「FIX解」（高精度測位の状態）が表示されたら、測量準備完了です。

• 測位・計測の実行: 測りたいポイントに移動し、アプリ上の「測位」ボタンをタップするだけで、その地点の高精度座標が記録されます。補助スタッフは不要です。広い範囲を連続で測りたい場合は、スマホを手に持ったまま歩くだけで自動的に点群スキャンが行われ、周囲の3Dモデルが生成されます。杭打ちなど位置出し作業の場合は、座標ナビ機能を使って画面の指示通りに移動すれば、一人で目標位置を正確にマーキングできます。

• データ確認・共有: 測定した座標データや生成した点群はアプリ内に即座に表示され、距離や面積の計算もその場で行えます。必要に応じて現場写真を撮影すれば、測位情報付きの記録写真として保存されます。作業終了後、アプリからワンタップでクラウドにデータをアップロードすれば、事務所に戻る頃には関係者と成果を共有できています。追加の指示や測り直しの要請も即座に受け取れるため、効率よく確実に測量業務を完了できます。

LRTK導入で得られる主なメリット

LRTKによる一人測量が現場にもたらすメリットをまとめると、次のような点が挙げられます。

• 省人化による人件費削減: 従来2～3名必要だった測量が1名で実施できるため、人手不足の解消に役立つだけでなく人件費を大幅にカットできます。限られた人員で複数現場を回すことが可能となり、生産性の向上に直結します。

• 作業時間の短縮: 高速な測位とデータ処理により、測量から図面作成・数量計算・報告までのリードタイムが劇的に短縮されます。現場で取得したデータを即座にクラウド共有して確認できるため、従来数日かかっていた出来形確認作業もその日のうちに完了します。

• 測量精度・データ品質の向上: RTK-GNSSによるセンチメートル級の精度で測定でき、精度要件を十分に満たすデータを取得可能です。点群計測により現場全体を高密度に計測できるため、抜け漏れのない品質の高い成果が得られます。誤差が小さい分、再測や手戻りの発生も減少します。

• 安全性の向上: 測量に要する作業時間が短くなることで、作業員の現場滞在時間が減り熱中症や事故のリスク低減につながります。夜間や交通量の多い道路上での測量も短時間で済むため、危険な状況に長く晒されずに済みます。

• ヒューマンエラーの削減: 測定値や写真が自動でデジタル記録されるため、手書きメモの書き間違いやデータ転記ミスがなくなります。測り忘れ・記録漏れも防止でき、信頼性の高い成果品作成が可能です。

• 技術習得の容易さと属人化解消: スマホアプリ中心の操作は分かりやすく、短期間で誰でも習得できます。測量ノウハウがシステム化されているため、特定のベテランに頼らずとも一定の精度で作業可能です。個人の経験に左右されにくく、組織全体で安定した測量を継続できます。

現場で実証された効率化と品質向上

LRTK導入の効果は既に現場で実証されています。例えば、ある土木工事の現場では、LRTKを導入することで測量作業の大幅な効率化が報告されました。従来は2人1組で丸一日かかっていた出来形測定が、LRTK利用後は1人で数時間ほどで完了し、約70%以上の作業時間短縮を実現したのです。人件費も大幅に削減でき、さらにLRTKによりリアルタイムで高密度な測量データを取得できるため、現場全体を余すところなく計測して精度と品質を向上させることにも成功しています。取得した詳細な点群データのおかげで、従来の抜き取り測量では見落としていた箇所まで確認でき、施工ミスの早期発見や手戻り防止に寄与しました。

また、地方自治体でも現場測量のDXにLRTKが活用され始めています。例えば福井市では、2023年に災害復旧の現地調査にいち早くLRTKシステムを導入しました。被災箇所を職員が発見してすぐその場でスマホ測量を開始できるため、現場と役所を往復する手間が減り、従来より短時間で詳細な被害状況を記録できています。その結果、復旧計画の立案から工事着手までのリードタイムが短縮され、早期復旧とコスト削減に大きく貢献したと報告されています。導入費用が比較的安価な点も自治体にとって魅力で、それまで外部委託していた測量を自前で行えるようになり、コスト圧縮と技術の内製化に繋がった例です。このようにLRTKを用いた一人測量は、公共分野でも着実に成果を上げています。こうした成果から、他の自治体でもLRTK導入を検討する動きが広がっています。

まとめ

LRTKは、ワンマン測量を可能にする数々の強みで現場の常識を変えつつあります。センチメートル精度の測位を誰でも手軽に扱え、これまで複数人がかりだった測量作業もLRTKで驚くほど簡単な作業に変えることができます。一人で効率良く現場を測り、データを即共有して活用する――そんなスマートな働き方を支えるLRTKは、まさに最前線で現場DXを牽引する心強いパートナーと言えるでしょう。さらに、LRTKシリーズは国土交通省が推進する*i-Construction*施策にも対応しており、建設業界のデジタル化を力強く支援します。

高精度かつ簡単に使えるLRTKを活用して、ぜひ皆さんの現場でも測量作業の省力化・効率化を実現してみてください。興味をお持ちの方は、ぜひ[LRTK公式サイト](https://www.lrtk.lefixea.com)もご覧いただき、[お問い合わせフォーム](https://www.lrtk.lefixea.com/contactlrtk)からお気軽にご連絡ください。スマートフォンひとつで始められるLRTKの「簡単な測量」を体験し、貴社の現場を次のステージへと進化させてみませんか？