たった一人で現場の測量ができたら、作業効率はどれほど向上するでしょうか。建設・土木の現場では長年、「測量作業は最低でも2人以上で行うもの」という常識がありました。通常は1人が測量機を操作し、もう1人がスタッフ(標尺)を持って測点に立つといった役割分担が必要です。しかし近年、ワンマン測量と呼ばれる一人で完結できる新しい測量スタイルが注目を集めています。深刻な人手不足や働き方改革の波の中で、限られた人員でも現場を効率よく回すための切り 札として期待されているのです。
実際、土木技術者の高齢化と若手入職者の減少により、測量を担える人材の確保が現場の大きな課題となっています。ベテラン測量士が定年で現場を去る一方、その後継となる若手が不足し、各スタッフが複数の現場を掛け持ちする状況も珍しくありません。さらに2024年の働き方改革関連法による時間外労働規制(いわゆる「2024年問題」)も目前に迫り、限られた時間と人数で効率的に測量業務をこなす必要性が一段と高まっています。こうした背景から、従来は複数人体制が当たり前だった測量作業を一人で完結させるワンマン測量が大きな注目を浴びているのです。
ワンマン測量とは?なぜ注目されているのか
ワンマン測量とは、文字通り1人で行う測量のことです(「一人測量」とも呼ばれます)。通常、測量作業は2人以上の作業員がチームを組んで協力しながら進めます。例えばトータルステーション測量では、1人が機器を操作し、もう1人が離れた地点でプリズムを保持する二人一組の作業が基本でした。しかし先端技術の活用により、従来は人手を要した 測量業務を一人で正確かつ迅速に完結できる可能性が開けてきました。国土交通省主導の *i-Construction*(建設現場のICT活用)推進も追い風となり、現場の省人化・効率化を実現する次世代のワークフローとしてワンマン測量が脚光を浴びています。
ワンマン測量が注目される最大の理由は、やはり現場の人手不足を補い生産性を向上できる点にあります。複数人がかりだった測量が一人で済めば、人件費削減の効果だけでなく、他の作業と並行して測量を進められるため現場全体の進行がスムーズになります。これまで測量班の到着を待つ間に重機を止めて待機せざるを得なかったようなケースでも、ワンマン測量なら必要なときに即座に測定できるため「測量待ち」によるタイムロスを大幅に削減できます。また、測量作業を特定の熟練者だけに頼らずに済めば、担当者不在時に工事が滞るリスクも軽減できます。つまり、一人でできる測量は現場の柔軟性を高め、全体のリスク管理や生産性向上にも繋がるのです。

