近年、建設・土木現場の測量作業に“一人測量”という新しい潮流が生まれつつあります。これは、従来は複数人で行っていた測量業務を先端技術の力で一人で完結させる取り組みです。特に注目を集めているのが、スマートフォンと小型GNSSデバイスを組み合わせた高精度測位ソリューション「LRTK」です。iPhoneなどの手持ち端末に超小型RTK-GNSS受信機を装着することで、誰でも現場でセンチメートル級の測量や墨出しが可能となります。本記事では、一人測量の背景と課題、LRTKの技術的特徴(測位・点群・AR・ナビ機能)や従来手法との比較、そして現場ワークフローの変革について専門的な視点から解説します。施工管理者・土木技術者・自治体インフラ担当者の皆様に向けて、実際の活用例やメリット、価格構成まで詳述し、記事の最後にはLRTKを使った一人測量の簡単な操作例も紹介します。
人手不足の課題と“一人測量”台頭の背景
建設現場やインフラ維持の現場では、測量は品質管理や出来形確認に欠かせない重要プロセスです。しかし現在、この分野は深刻な人手不足に直面しています。ベテラン測量士の高齢化と若手不足により、限られた人員で多数の現場を回らざるを得ない状況です。加えて、2024年の働き方改革関連法施行による時間外労働規制(いわゆる2024年問題)もあり、限られた時間と人数で効率良く測量業務をこなす必要性が高まっています。
従来の測量作業は複数人チームが前提でした。例えばトータルステーションを用いる場合、1人が機器を操作し別の1人が離れた測点でプリズムを保持する、といった二人一組が基本です。場合によっては測点の記録係を含め3名体制となることもあり、人手と手間のかかる作業が現場に重い負担となっていました。広い現場で測点が多ければ準備から撤収まで丸一日かかることも珍しくなく、測量後に事務所で図面化や数量計算を行うため即時にデータ活用できな い非効率さも課題でした。さらに人力中心の計測はヒューマンエラーのリスクも伴い、読み違いや記録ミスが生じると後工程で手戻りを招いて工期遅延につながる恐れもあります。熟練者に頼った属人的な体制では、担当者不在時に「測量待ち」で現場が止まってしまうケースもありました。
こうした課題を解決する切り札として期待されているのが、一人測量というアプローチです。最新のデジタル技術(高精度GNSSやAR)の活用により、複数人がかりだった測量を一人で正確かつ迅速に行える可能性が開けてきました。国土交通省主導の*i-Construction*(建設現場のICT活用)も追い風となり、現場の省人化・効率化を実現する次世代ワークフローとして一人測量が注目されているのです。
LRTKとは何か:スマホが変える測量機器の常識
一人測量を現実のものにした代表的なソリューションがLRTK(レフィクシア社開発)です。LRTKはスマートフォンに装着して使用する超小型のRTK-GNSS受信機で、重量約125g・厚さ約1cmというポケットサイズの筐体に高性能アンテナとバッテリーを内蔵しています。専用のスマホケース経由でiPhone/iPadに簡単に取り付け可能で、BluetoothまたはLightning接続によりスマホと連携します。これにより、普段使っているスマホがセンチメートル級精度の測量機器に早変わりします。
高精度測位の仕組み: LRTKは単体のスマホGPSでは数メートル誤差がある位置情報を、RTK方式によって数センチまで補正します。ネットワーク型RTK(国土地理院の電子基準点網や民間補正サービス)に対応しており、基準局からの補正情報を受け取ってリアルタイムに測位精度を向上。電源を入れて衛星を捕捉すれば短時間で誤差数センチのFIX解が得られるため、待ち時間なく作業を開始できます。さらに日本の準天頂衛星みちびきが提供するCLAS信号(センチメータ級測位補強サービス)にも対応しており、山間部など携帯電波の届かない現場でも単独でcm精度測位が可能です。従来は三脚据置きの大型機器や専門知識が必要だった高精度測量が、手のひらサイズのデバイスで誰でも扱えるようになりました。
スマホアプリとクラウド連携: LRTKを活用する際は、専用のスマホアプリ(iOS/Android対応)を起動して測位を開始します。アプリ側が高度な設定を自動処理してくれるため操作は直感的で、測点の記録・計算・保存までワンタッチで完結できます。例えば測定と同時に平面直角座標系への変換やジオイド高の計算も自動実行され、測点ごとに名前やメモを付けて保存可能です。紙の野帳に座標を書き留める必要はもはやありません。取得したデータはスマホ内に保存されると同時にワンボタンでクラウド(LRTKクラウド)へアップロードでき、オフィスのPCからリアルタイムに確認・共有が行えます。逆に事前に用意した設計図や座標リスト、3Dモデルをクラウドに上げておけば現場のスマホと同期し、設計データと現況測量データを現場で照合することも可能です。このようにスマホ+クラウドによるオールインワン測量システムとして機能するのがLRTKの大きな特徴です。
従来測量との比較:何がどう変わるのか
最新のスマホ測量(LRTK導入)によって、従来手法から具体的にどのような改善が得られるのか主要ポイントを比較します。
• 必要人員の削減: 従来は2~3名がかりだった測量も、スマホ+高精度GNSSがあれば一人で完結します。これにより人件費を削減できるだけでなく、人員不足の現場でも測量を滞らせず進められます。
• 機材と準備の簡略化: トータルステーションやスタッフ、レベルといった大型機材の運搬・セッティングが不要になります。ポケットに収まるスマホ&LRTKだけで済むため、重い三脚を担ぐ必要もなく、現地到着後すぐ作業に取り掛かれます。
• 作業効率とスピード: 旧来は測量→図面起こし→数量計算→出来形確認と数日かかるフローでしたが、新手法では現場で取得したデータを即クラウド共有し即座に結果確認が可能です。リアルタイムに出来形を把握できるため、手戻り防止にもつながります。
• 測位精度と品質確保: 「一人で測量して大丈夫か?」という不安もあるかもしれませんが、LRTKはRTK方式により誤差数センチの高精度測位を実現しています。従来の巻尺や単独GPS測量よりも精度が高く、品質管理上の要求を十分満たします。高精度なおかげで再測ややり直しも減り、出来形管理の信頼性が向上します。
• データ記録とミス防止: デジタル測量では測定値や写真に位置情報が自動記録されるため、ノートに手書き転記する必要がありません。写真にも撮影場所の座標・方位タグが付与され、後で「どこで撮ったか分からない」と迷う心配もなくなります。人手による記録ミスが減少し、データの取り違えや抜け漏れを防げます。
• 習得の容易さと作業標準化: スマホアプリ中心の操作はシンプルで直感的です。高度な測量機器を扱った経験が浅い人でも短時間で使いこなせます。測量ノウハウがアプリに集約されているため誰でも一定の精度で作業可能となり、特定のベテランに頼る必要が減ります。属人化が解消され、チーム全体で安定した測量品質を維持できるようになります。
以上の比較から、 一人測量によって「少ない人員で迅速かつ高精度にデータ取得し、即座に活用する」ことが可能となるのがお分かりいただけるでしょう。それを具体的に実現する鍵となるのが、次に述べるLRTKの多彩な機能群です。
LRTKの主な機能紹介(測位・点群・AR・ナビ)
LRTKは単なる測位機器に留まらず、スマホのカメラやセンサーと連携した様々な機能を備えています。一台で「測る・記録する・案内する・見せる」をこなす万能ツールとして現場DXを支援します。ここでは特に重要な4つの機能に注目して紹介します。
• 高精度測位(GNSS測位機能): LRTKの最も基本となる機能がセンチメートル精度の位置座標測定です。RTK-GNSSによりリアルタイムに高精度な緯度・経度・高さを取得し、測点データはスマホ内に保存されるだけでなくクラウドにも即時アップロード可能です。測位開始からわずか数十秒でRTKのFIX解が得られ、必要なポイントをスマホの画面で選んでボタン一つで測点保存できます。測った座標は自動で日本測地系の平面直角座標やジ オイド高に変換されるため、後処理なしに現場で直接設計図と照合できます。
• 点群データ取得(3Dスキャン機能): iPhoneやiPadに搭載されたLiDARスキャナと高精度位置情報を組み合わせることで、現場の3次元形状を点群データとして取得できます。例えば構造物や地形をスマホでスキャンすれば、その場でカラー点群モデルが生成されスマホ画面上で確認可能です。従来は専用のレーザースキャナーで計測後にPC処理していた点群も、LRTKなら現場でスキャン→即データ化し、必要に応じてクラウド経由でオフィスへ送信できます。取得した点群から距離や面積・体積をスマホ上で瞬時に計測することもでき、出来形管理や数量算出が大幅に効率化します。
• AR表示・杭打ち支援(拡張現実機能): LRTKは測った座標や設計データをもとに、AR(拡張現実)技術で現場に仮想オブジェクトを重ねて表示できます。具体的には、設計図上の目標点を選ぶとスマホのカメラ映像にその位置に対応する仮想の杭やラインが3次元表示されます。まるでカメラ越しに完成図やマーキングが現地に描かれているように見えるため、「ここに杭を打つ」「この高さまで盛土する」といった 作業を直感的に進められます。杭打ち位置出しでは、熟練測量士がいなくてもスマホ画面上の案内に従って初心者が正確な位置に杭を設置可能です。AR杭は視点を変えても常に所定の位置に留まるのでズレの心配がなく、コンクリート上や危険個所など物理的に杭を置けない場合でもARによる位置確認ができるのも利点です。
• 座標ナビゲーション(誘導案内機能): GNSSで得た現在位置と目標座標との相対位置関係を活かし、LRTKアプリはユーザーを目的地点までナビゲートすることができます。設計で決められた座標や過去に記録した測点を選択すると、スマホ画面に目的地の方向と距離を示す矢印が表示され、まるでカーナビのように正確な場所まで誘導してくれます。目標地点に近づくと画面表示が切り替わり、ARガイド画面にて精密な誘導を行います。これにより広い現場で「目的のポイントが見つからない」という無駄歩きを防ぎ、初めての現場でも迷わず到達可能です。埋設物の位置確認や災害時の被害調査などでも、事前に座標を登録しておけば誰でも確実に必要箇所へ辿り着けるため、迅速な現場対応に役立ちます。
以上のように 、LRTKは測位・計測からナビ・記録・可視化までオールインワンの機能を提供します。これ一台で多様な現場ニーズに応えられるため、測量専門部署に依頼していた作業も現場担当者自身でこなせるようになり、フットワーク軽い現場運営が可能になります。
一人測量で変わる業務フロー:スマホ一つで完結
LRTKを導入すると、測量から施工管理までの業務フローがどのように変わるのか、その一例を追ってみましょう。現場到着からデータ共有、杭打ち、検査、記録までをシームレスに一人で実施できる点がポイントです。
• 現況の高精度測量: 測量したい現場に到着したら、まずiPhoneにLRTKデバイスを装着して専用アプリを起動します。衛星捕捉後、ネット経由で基準局(電子基準点など)の補正情報に接続しRTK測位を開始します。数十秒以内にステータスがFIX(誤差数センチ)になれば測量準備完了です。測りたい点でスマホ(もしくは取り外したLRTKアンテナ)を測点にかざし、画面のボタンをタップするだけでその地点の座標が瞬時に 記録されます。必要に応じてiPhoneのLiDARで周囲をスキャンし、地形の点群データを取得することも可能です。こうして集めた現況データは端末内に保存されると同時にワンタップでクラウドへアップロードできます。
• クラウドで即時データ共有: クラウドに同期された測点座標や点群は、オフィスにいながらリアルタイムで地図上に確認できます。測量担当者がUSBで持ち帰るのを待つ必要はなく、現場と事務所が常時データで繋がります。逆に、施工図面上の座標リストや完成予想の3Dモデルを事前にクラウドへ上げておけば、現場のスマホに自動同期されます。クラウド側で設計データと現況点群の位置合わせも自動処理されるため、現場で煩雑な座標合わせをする手間もありません。まさに現場とオフィスが一体化した情報共有が実現します。
• ナビゲーションによる位置出し: 次に、設計上の指定位置や基準点への杭打ち作業に移ります。LRTKアプリのナビ機能で目的の測点を選択すると、スマホ画面に矢印と距離が表示されるので、その指示に従って移動します。目標に近づくと表示がARガイドに切り替わり、数センチ単位で位置合わせできるようスマホが誘導してくれます。従来は図面や丁張を頼りに「この辺りか」と探していた杭打ち位置も、スマホのナ ビのおかげで迷わず辿り着けます。測量経験の浅い人でも確実にポイントを特定できるため、ベテランの付き添い無しで位置出し作業が可能です。
• ARによる墨出し・杭打ち: 指定位置に到達したら、スマホのカメラをかざしてARモードをオンにします。すると、設定した座標の場所に仮想の杭やマーキング線が立ち上がって見えます。例えば「ここに杭を打つ」という箇所では、画面上にCGの杭が地面に刺さって表示されるため、その真下の位置に実際の杭を打設します。AR杭は視覚的に位置が把握できるので、補助者がいなくても一人で素早く正確に墨出し作業を完了できます。斜面の中腹など直接立ち入れない場所でも、安全な場所から仮想杭を表示して位置を示すことができ、作業効率と安全性が飛躍的に向上します。
• 出来形検査とその場フィードバック: 工事完了後の出来形検査(仕上がりが設計通りかの確認)もLRTKが力を発揮します。スマホ片手に各検査ポイントの高さや形状を測定し、測ったデータは即クラウドにアップロード可能です。設計値はあらかじめクラウドから同期されているため、測ったポイントがそのま ま設計座標系で記録され、ズレ量が即座に算出されます。例えば道路工事で路盤高をチェックする場合、各点の実測高さをアップするだけで自動的に設計高との差異一覧が得られるイメージです。もし規格から外れた箇所が見つかっても、現場で即追加測定や補正施工を行えるため、検査後の手戻りを最小限にできます。広範囲を確認したい場合は点群スキャンで施工完了形状を3D記録し、後で設計3Dモデルと重ね合わせて全体を検証するといった方法も取れます。データはすべてクラウド蓄積されるので、帳票作成もスムーズです。
• 写真記録・維持管理への応用: 日常の点検業務や施工記録写真の整理にもLRTKは有用です。スマホで撮影した写真には撮影位置の座標とカメラ方角が自動でタグ付けされるため、いちいち紙の図面に「写真撮影地点」を書き込む必要がありません。クラウド上の地図に写真がプロットされるので、後から探す手間もゼロです。定期点検では撮影箇所を座標登録しておけば、次回訪問時にナビ機能で全く同じ位置・角度から再撮影することも容易になります。経年変化の比較精度が向上し、インフラ点検の信頼性も高まります。
以上のように、LRTKを使えば一人の技術者が測量から杭打ち、出来形確認、写真記録まで一貫して実施できることがお分かりいただけたでしょう。現場で得たデータはリアルタイムに共有され、即座に意思決定や追加指示に反映できます。紙の帳票やエクセル管理から解放され、誰もが同じクラウド上の情報にアクセスできるため属人的な暗黙知も減ります。結果として、待ち時間のないスムーズな施工管理と標準化が進み、現場全体の生産性向上に大きく寄与します。
具体的な活用例と得られるメリット
一人測量を実践することで、様々なシーンで以下のようなメリットが得られます。
• 杭打ち作業の効率化: 基準点の位置出しや丁張設置など、従来は測量班がポイントを出してから作業員が杭を打つ手順でした。LRTK導入後は作業員自らスマホのAR杭表示を見ながら正確な位置に杭打ちができます。斜面や高所など直接アクセスできない場所でも、安全な位置から仮想杭でポイントを特定できるため、仮設標識 の設置作業もスムーズです。人手と手順が削減され、施工の段取りが大幅に改善します。
• 出来形検査の省力化: 工事完了後の出来形測量・検査では、LRTKによって一人で迅速に測定から記録まで完了します。例えば道路舗装の高さ確認であれば、一人がスマホ片手に各点の高さを測ってクラウドにアップロードするだけで、即座に全ポイントの誤差リストが得られます。複数人で丸一日かけていた検測作業が大幅短縮される上、その場で誤差を把握して是正できるため、検査結果の精度と信頼性も向上します。
• 点検記録のDX化: インフラ点検や施工記録では、スマホで撮影するだけで写真に高精度な位置座標・方位が自動タグ付けされクラウド地図に整理されます。これにより現場で紙の図面に撮影場所を書き込む手間や、後日の写真仕分け作業が不要となります。また、撮影位置の再現性も担保されるため、経年劣化の比較や報告資料作成が正確かつ効率的に行えます。点検漏れ防止や記録作業の省力化といったDX推進効果が得られます。
• 初心者支援・緊急対応: LRTKのナビ機能により、経験の浅いスタッフでも迷わず目的地に到達できます。初めての現場で要所の測点を確実に見つけ出したり、災害発生直後に被災箇所の座標を共有して素早く現場調査に向かったりと、現場対応力の強化につながります。ベテランの勘に頼らずとも済むため、人材育成や緊急時のバックアップ体制としても有効です。
これらの活用例から、一人測量ツールLRTKは単なる測量効率化に留まらず、施工の進め方自体を変革する可能性を持つことがご理解いただけるでしょう。省人化のみならず、安全性・正確性の向上やデータ活用の高度化といった副次的なメリットも見逃せません。
導入コストと価格構成:誰でも手が届く高精度測量
新しい技術を導入する際に気になるのがコスト面です。従来の高精度測量機器はトータルステーションにせよGPS受信機にせよ高価で、大型レーザースキャナーや業務用ドローン一式となれ ば本体価格だけで数百万円に上ることもあります。その点、LRTKを用いたスマホ測量は初期費用を格段に抑えられるのが特徴です。
初期導入費用: 既にLiDAR搭載スマホ(例:iPhone 12 Pro以降)を持っていればデバイス代だけで済みますが、仮に端末から用意する場合でもスマホ+GNSSデバイス一式で数十万円程度に収まります。例えば手持ちのiPhoneにLRTKデバイスを導入するケースでは、数十万円規模で高精度測量を始めることができます。これは、単体で数百万円する3Dレーザースキャナーやドローン測量システムと比べて一桁以上も低コストであり、中小企業でも手が届く価格帯と言えます。
運用コスト: 測位に必要な補正情報については、日本では準天頂衛星みちびきのCLAS信号が無料で利用できます。LRTKのようにCLAS受信対応であれば追加料金なしで高精度測位が可能です。また、携帯通信網を利用したネットワーク型RTK(Ntrip)の民間サービスを使う場合でも、月額数千円程度から高精度GNSS補 正情報を購読できます。このようにランニングコストも比較的安価で、必要に応じたプラン選択が可能です。LRTKが提供するクラウドサービスや専用アプリ利用料についても、サブスクリプション(月額)型とデバイス購入込みで永年利用可能なプランなど製品によって様々ですが、自社の運用形態に合わせて柔軟に選べるようになっています。
費用対効果: 一人測量により人件費削減や工期短縮によるコストセーブ効果も期待できます。例えば2人必要だった測量が1人で済めば人的コストは半減し、測量待ちによる重機の遊休時間がなくなれば機会損失も減ります。さらにミス削減でやり直し工事や追加調査の発生を抑えれば、定性的にも大きなメリットがあります。初期投資が比較的小さいことも相まって、LRTK導入の投資回収期間は短期間にとどまるケースが多いでしょう。総合的に見て、LRTKは「低コストで始められる現場DX」と言えます。
LRTKを使った一人測量の操作例
最後に、LRTKを用いた一人測量がどれほど簡単か、具体的な操作の流れを例と して紹介します。ここでは「一人で基準点測量と杭打ち墨出しを行うケース」を想定した一連の手順を示します。
• デバイス装着・測位開始: 測量現場に着いたら、まずiPhoneにLRTKデバイスを装着して電源を入れます。専用アプリを起動し、衛星補正情報の受信設定(ネットワーク接続 or CLAS受信)を行うと、約20~30秒ほどでRTKのステータスがFIX(±2cm精度)になります。これで高精度測位の準備完了です。
• 基準点の測定: 測量の起点となる既知点や任意のポイントにLRTKをかざし、アプリの測位ボタンをタップして座標を記録します。緯度・経度・高さが即座に保存され、点名やメモを入力することもできます。記録された測点は自動的にクラウド同期されるため、オフィスのPCからも確認可能です(通信圏外の場合は後で手動アップも可能)。
• 現況測量(必要に応じ点群取得): 続いて現場内の必要な地点を一人で計測して回ります。測りたい箇所でスマホを構えてボタンを押すだけで次々と座標を取得できます。高さ方向の測定が必要な場合は付属の一脚(ポール)にLRTKを取り付け、先 端を地表に当てて測位することで正確な地盤高が得られます。要所ではiPhoneのLiDARスキャンを実行し、周囲の地形や構造物を点群データとして取得しておくと後工程で役立ちます。
• 設計データの取り込み: 事前にアップロードしておいた設計座標や図面データをアプリ側で呼び出し、杭打ちやチェックを行う目標点を選択します。例えばこれから杭を打つべき設計上の座標リストがあれば、その中から一つを指定します。クラウド経由で設計値が同期されているため、この操作だけでスマホに目標地点の情報がセットされます。
• ナビゲーションとAR杭打ち: アプリのナビ開始ボタンを押すと、スマホ画面に目標方向を示す矢印と距離が表示されます。指示に従って歩き、目的地に近づいたら画面をARモードに切り替えます。するとカメラ映像の中に、指定座標の位置に仮想杭(ARマーカー)が立って表示されます。自分の立ち位置を微調整し、仮想杭が実際の地面にしっかり刺さっているように見えるポイントを探します。そこが杭打ち位置です。位置が定まったら、その箇所に印を付けて実際の杭を打設します。こ れで一人で正確な杭の位置出しが完了します。
• 出来形の確認・記録: 杭打ち後、必要であれば周囲の出来形をその場で確認します。例えば所定の高さになっているかを測るため、杭頭や舗装面の高さをLRTKで測定します。測った点のデータはすぐスマホ画面に表示され、あらかじめ取り込んだ設計高さとの差分が自動計算されます。許容範囲内かどうかを現地でチェックし、問題なければ完了です。最後に写真を数枚撮影して記録します。写真には座標タグが付いているため、あとでどの位置の写真か一目瞭然です。
以上の手順すべてを一人で、スマホ一つで実施できるのがLRTKによる一人測量の強みです。従来なら複数人と何日もかけていた測量・墨出し作業が、わずか数ステップのシンプルな操作で完了します。これにより、施工管理者自らが必要なタイミングで即座に測量・検測を行えるようになり、現場の生産性と機動力が飛躍的に向上するでしょう。
人手不足や働き方改革が叫ばれる中、一人測量の実現は建設・土木業界にとって大きな福音です。LRTKがもたらす次世代ワークフローは、少人数でも高精度な測量を可能にし、リアルタイムの情報共有と業務標準化によって現場管理を変革します。これまでの「測量待ち」や「手戻り」といった非効率を解消し、品質確保とDX推進を同時に達成できるソリューションとして今後ますます普及が進むでしょう。技術の専門性が要求される測量作業が直感的なスマホ操作に置き換わった今、現場の常識が大きく変わろうとしています。ぜひこの機会にLRTKを活用した一人測量を導入し、従来の作業フローをアップデートしてみてはいかがでしょうか。最新テクノロジーを味方に、あなたの現場を次のステージへと進化させましょう。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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