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一人測量×LRTK:導入1週間で工数30%削減を実現した方法

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万能の測量機LRTKの説明

導入(課題の共有)

建設現場における測量作業は、これまで高度な専門技術と複数人の人手によって支えられてきました。巻尺やスタッフ(標尺)、水準器、トータルステーションといった機器を用い、一つひとつの測点を基準点から順に測定していく従来の方法では、一般的に2~3人がかりでのチーム作業が必要です。例えば、1人が三脚に据えた測量機器を操作し、もう1人が離れた地点でスタッフを持って位置出しを行う――このように複数人で息を合わせる作業は、準備から撤収までに大きな手間と時間を要しました。現場が広かったり測点数が多かったりすれば、測量作業だけで丸一日かかることも珍しくありません。


また、人力によるアナログな計測はヒューマンエラーのリスクも伴います。スタッフの目盛りの読み間違いや記録ミスが起これば、後工程で測り直しが発生してコスト増大や工期の遅延につながる恐れもありました。


効率面から現場全体を細かく測ることは難しく、重要そうな箇所だけ測定して済ませてしまうケースも多くあります。しかし測定しなかった箇所に問題が潜んでいても気づけないというリスクも抱えていました。


ところが近年、建設業界では慢性的な人手不足と作業員の高齢化が深刻化し、限られた人数で現場を回すための省人化効率化が大きな課題となっています。特にベテランの測量技術者が減少し「人に頼る測量」の継続が難しくなる中で、少人数でも高精度な測量を行える新たな手法が求められてきました。その切り札として注目されているのが、GNSS(全球測位衛星システム)技術を活用した一人測量というアプローチです。従来は複数人で行っていた測量を最新のGNSS測位で省力化しつつ、必要な精度を確保できる可能性が開けてきたのです。


本記事では、この一人測量を実現する革新的なツール「LRTK」を現場に導入し、たった1週間で測量工数を30%削減することに成功した方法をご紹介します。従来の測量手法との比較から、LRTK導入の流れと使い方、得られた効果、そして新人や土工でも扱える理由、さらには災害現場での活用事例まで、順を追って解説します。人手不足時代の新常識となりつつある“一人測量”の実態と効果を、ぜひ最後までご覧ください。


従来の測量方法との比較(人数・時間・コスト)

まず、LRTKによる一人測量の威力を語る前に、従来の測量作業がどれほど人手と時間を要していたか整理してみましょう。前述のように、従来は2人以上の測量班を編成し、光学式の測量機器とスタッフを用いて相対的に位置を確認していくのが一般的でした。この方法では人員が常に複数必要なため、人件費というコストの面でも大きな負担になります。例えば2名体制で半日かけて行っていた測量は、延べ作業時間にすると2人×4時間で8時間分の工数が発生します。測点が増えれば日数も人もさらに必要となり、現場全体で見れば測量だけで相当なコストを割いていたのが実情です。


時間の面でも、従来手法は非効率な場面が少なくありません。機器の据え付けや水準出しにかかる時間、スタッフを持って移動する人とのコミュニケーションに費やす時間、さらには測点間の移動や記録作業など、付随作業が多いためです。広範囲の測量では測量機をこまめに据え直す必要があり、見通しの悪い地形では測りたい地点が死角に入る度に測位できず苦労する、といった制約もありました。こうした制約下では「この程度で十分だろう」と測点数を減らしてしまうこともあり、結果としてデータ精度や信頼性を犠牲にすることもあったのです。


一方、GNSSを用いた測量手法の登場は、こうした状況を一変させる可能性を秘めています。人工衛星からの信号を使うGNSS測位であれば、視通しの悪い場所でも上空さえ開けていれば位置情報を取得できます。広いエリアでも絶対的な座標で各点を直接測定できるため、遠く離れた点同士の位置関係把握も一人でこなせます。ただし通常のGNSS(GPS)による単独測位では誤差が数メートル程度発生するため、建設測量で要求されるセンチメートル級の精度を出すには工夫が必要でした。そこで登場したのがRTK(リアルタイムキネマティック)方式です。RTKは基地局と移動局の2台のGNSS受信機を通信で連携させ、共通の誤差要因をリアルタイムに差分補正することで測位精度を飛躍的に高める技術です。これにより数センチの誤差範囲で測量が行えるようになり、1990年代以降、光学機器に代わる新たな測量手段として普及が進みました。しかし従来型のRTK機器は大掛かりで高価なものが多く、運用にも専門知識が必要でした。専用の基地局を設置したり無線通信機器を準備したりするハードルもあり、「高精度だけれど手軽ではない」という点で省人化には直結していなかったのです。


このような背景から、「もっと手軽に、少人数で使える高精度測位ソリューション」が待ち望まれていました。そしてそのニーズに応える形で生まれたのがLRTKです。LRTKはスマートフォンと超小型のRTK-GNSS受信デバイスを組み合わせることで、単独作業でもセンチメートル級の測量を可能にした画期的なシステムなのです。


LRTK導入の流れと使い方(現場での適用例)

それでは実際に、LRTKを用いた一人測量がどのような手順で行われるのか見てみましょう。今回、筆者の現場でLRTKを導入した際の具体的な適用例に沿って、その流れと使い方を解説します。


準備: 現場に到着したら、まず手持ちのiPhoneに専用のスマホカバーを介してLRTKデバイスを装着します。デバイスの電源を入れ、スマホ上でLRTKの専用アプリを起動してGNSSの受信を開始します。初回利用の現場では衛星補足にやや時間を要する場合もありますが、通常は数十秒程度でRTKによる高精度測位が可能な状態(Fix解)になり、測位準備が完了します。

測定: 測りたいポイントに移動したら、スマホアプリ上のボタンをタップするだけで、その地点の緯度・経度・高さといった座標値が即座に記録されます。従来必要だった補助スタッフはもう必要ありません。測点を変えるごとに機器を据え直す手間もなく、1人で次々とデータを取得できます。広い範囲を測りたい場合でも、ただ現場内を歩き回るだけで自動的に多数の点を取得してくれるため、まるで3Dスキャナーのように地形の点群モデルを一人で生成することも可能です。

確認: 測定結果はその場でスマホ画面上に一覧表示され、各点の高さや相互の距離もリアルタイムで計算できます。必要に応じて現場の写真を撮影すれば、撮った写真には位置の緯度・経度・高さ、そしてカメラの向きまでもがタグ付けされます。これにより、後から見返した際に「どの地点のどの方向を撮影した写真か」が一目瞭然の高精度な記録資料となります。

共有: 一通りの測量が完了したら、アプリからワンタップで測定データをクラウド上の共有ストレージにアップロードします。事務所に戻る頃には関係者全員がデータを閲覧できる状態になっているため、上司や同僚は即座に成果を確認できます。万一見落としや測り忘れがあっても、早い段階で指摘を受け追加測定に対応できるため、後から「現場にもう一度出向く」といった無駄も発生しにくくなります。


以上のように、LRTKを活用すれば従来は数人がかりだった現場測量が驚くほど簡単になります。スマートフォンとGNSSを駆使した一人測量によって、測量作業は劇的に効率化され、取得データの即時共有によって施工管理の精度も格段に向上しました。まさに「誰でもどこでも測れる」時代を象徴するのが、このLRTKによる一人測量なのです。


効果(工数削減・作業の効率化)

それでは、実際にLRTKを導入したことでどのような効果が得られたのか、筆者の現場での成果をご紹介します。最大の成果は、何と言っても測量にかかる工数の大幅削減です。LRTK導入後は、それまで2人1組で行っていた測量作業を1人で完結できるようになりました。結果として、導入初週から測量に費やす延べ工数を約30%削減することに成功しています。


例えば、従来は測量2名で半日(延べ8時間)かけて50点の測定を行っていたケースでは、LRTK導入後は1名でほぼ同じ数の測点を半日強(実働5〜6時間程度)で計測できました。単純計算でも8時間分の人件費が5〜6時間分に減ったことになり、約30%以上の工数短縮となったわけです。これは現場にとって非常にインパクトの大きい改善と言えます。空いた時間で他の作業を進めたり、人員を別の重要業務に振り向けたりできるため、プロジェクト全体の進行もスムーズになりました。


加えて、データ共有の迅速化による段取りの効率化も見逃せません。クラウド経由で測量結果を即日共有できるため、これまでは翌日以降になってから判明していた測り漏れや誤測をその日のうちに発見し、すぐに追加測定や修正対応が可能になりました。手戻り作業が減少したことで現場とオフィス間のコミュニケーションロスも減り、作業全体の流れが効率化されています。また、LRTKで取得した点群データを使えば現場状況をデジタルに可視化できるため、打合せや報告資料の作成も簡便になりました。こうした副次的な効果も含めると、単純な工数削減以上に現場運営全体での省力化・効率化につながっていることを実感しています。


さらに、安全性と品質の向上も大きな効果として挙げられます。一人測量が可能になったことで、炎天下や足場の悪い場所で長時間作業する必要が減り、熱中症や事故のリスク低減につながりました。少人数で短時間のうちに必要十分なデータを取得できるため、作業員の現場滞在時間そのものが短縮され、安全確保の面でも有利です。また、デジタル機器による測定はヒューマンエラーの削減にも寄与します。目視での読み取りや手書き記録が不要になったため、ケアレスミスが発生しにくくなり、結果として測量データの信頼性が向上しました。測量精度の高さと相まって、出来形管理や品質検査で指摘を受けるケースも減少し、工事全体の品質確保にも貢献しています。


新人や土工でも扱える理由(端末の軽量性・操作性)

LRTKがこれほどまでに現場の生産性向上に寄与する背景には、その使いやすさがあります。特筆すべきは、最新テクノロジーを用いた測量システムでありながら、新人社員や熟練度の低い作業員(いわゆる土工さん)でもすぐに使いこなせる点です。従来の測量機器は操作が複雑で専門知識が必要でしたが、LRTKではそうしたハードルが大きく下がっています。


まず、機器の物理的な取り回しが簡単です。LRTKデバイス本体はわずか100グラム台という超軽量サイズで、専用カバーごとiPhoneに装着しても片手で楽に持てるほどコンパクトです。三脚や長いスタッフを担いで歩く必要がなく、狭い場所や傾斜地でも身軽に測量できます。年配の方や力の弱い方でも負担になりにくい重量のため、誰でも現場に持ち出して使えるでしょう。


次に、操作インタフェースが直感的でシンプルです。スマートフォンのアプリ上で動作するため、普段からスマホに親しんでいる若手であれば抵抗なく受け入れられます。ボタン一つで測位・記録が完了し、難しい設定や複雑な手計算は一切必要ありません。初めて触る新人でも、基本的な操作説明を受ければその日のうちに現場で使い始めることができました。実際、当現場でも入社1年目のメンバーがLRTKによる測量を担当しましたが、スマホゲーム感覚で楽しみながら短時間でコツをつかんでいました。


さらに、LRTKは測量の専門知識が浅いユーザーをサポートする様々な機能を備えています。アプリ上には現在の測位状態(RTKの固定解が得られているかなど)が分かりやすく表示され、測位が不安定な際には警告も出ます。測定データは自動でジオイド高や平面直角座標系に換算されるため、ユーザー自身が座標変換の知識を持っていなくても問題ありません。要するに、測量の黒子役として難しい部分は機械とソフトウェアが担ってくれるので、現場の人間は「ポイントにデバイスを当ててボタンを押す」ことに専念すれば良いのです。これなら経験の浅い人でもミスなく高品質な測量成果を得られますし、ベテランのノウハウが無くても一定の成果を出せるため、組織全体の技術力平準化にも寄与します。


災害現場への適用と利点

LRTKによる一人測量は、平常時の施工現場だけでなく災害対応の現場でも大いに威力を発揮します。大規模な地震や豪雨災害が発生した直後の被災地では、崩壊した斜面の形状測定やインフラ被害状況の把握など、迅速な測量が復旧方針の決定に直結します。しかし災害直後の現場は足場が悪く危険が伴うため、本来ならなるべく人を立ち入らせたくない環境です。LRTKがあれば、最小限の人数で安全に必要な測量を行えるため、この課題を解決できます。


具体的には、被災直後の山崩れ現場で一人の技術者がLRTKを携行し、崩落範囲を短時間で測量するといった使い方が考えられます。事前に設置した基準点が流出してしまったような場合でも、GNSSによる絶対測位なら問題ありません。測量者は危険な箇所に長時間留まることなく、歩きながら素早く必要箇所の地形データを取得できます。取得したデータはすぐにクラウドで共有できるため、遠隔地の本部でもリアルタイムに被災状況を把握し、初動対応や復旧計画に役立てることができます。


また、LRTKデバイスはヘルメットへの取り付けも可能で、これによってハンズフリーでの測量も実現できます。救助活動や復旧工事に携わる現場では、両手を使って安全確保しながら移動しなければならない場面も多々あります。そうした状況下でもヘルメットに装着したLRTKが常に高精度の位置情報を記録してくれるため、作業員は測量機器を構える必要すらありません。歩いて現場を見て回るだけで状況把握に必要なデータを収集できるのは、災害現場において画期的と言えるでしょう。実際にLRTKは自治体や研究機関による災害調査でも活用が始まっており、被災地での有用性が各地で実証されつつあります。今後は災害対応マニュアルの中にも、LRTK等の一人測量デバイスを用いた迅速な現況把握手法が組み込まれていくかもしれません。


導入を検討する企業・現場への提案

ここまで、一人測量を可能にするLRTKの特徴と効果について見てきました。最後に、これからLRTK導入を検討する企業や現場の皆様に向けて、スムーズな導入・活用のための提案とメッセージをお伝えします。


小規模導入から効果を実感: いきなり全現場に展開するのではなく、まずは1台のLRTKを用いて小規模な現場やプロジェクトで試験的に運用してみることをおすすめします。短期間使うだけでも、工数削減や効率化の効果を十分に実感できるはずです。現場スタッフの反応や改善点をフィードバックしながら、徐々に運用範囲を広げていくとスムーズでしょう。

現場スタッフへの周知とトレーニング: LRTK自体は操作が簡単ですが、現場で最大限活用するには事前の周知と短時間の操作講習が有効です。スマホ操作に慣れた若手はすぐに順応しますが、デジタル機器が苦手なベテランにもメリットを理解してもらえるよう、実演を交えて教育すると良いでしょう。「ボタンを押すだけで測れる」ことを実際に体験すれば、世代を問わずその手軽さに驚くはずです。

運用フローへの組み込み: LRTKで取得したデータはクラウドで共有できるため、ぜひ既存の施工管理フローに組み込んで活用してください。例えば、測量データを即座に社内のプロジェクト共有フォルダに保存し、CAD図面やBIMモデルと突合・比較する、といった使い方が可能です。国土交通省が推進する i-Construction の要領にも沿ったデジタルな現場運営が実現でき、発注者への報告資料作成もスピーディーになります。

安全管理と品質向上のツールとして活用: LRTKの導入目的は省人化や効率化だけではありません。作業員の負担軽減や熱中症対策、安全管理の強化といった観点からも、一人測量を積極的に取り入れてみてください。さらに、出来形管理や検査の精度向上、施工記録のデジタルアーカイブ化など品質管理面でのメリットも大きいです。導入にあたっては、こうした多面的な効果を社内で共有し、関係部署とも協力して推進すると良いでしょう。


人手不足や働き方改革が叫ばれる現在、一人測量を可能にするLRTKは、建設・測量業界におけるゲームチェンジャーとなり得る存在です。従来は人海戦術に頼っていた測量作業が、スマホ片手で誰にでも行える時代がすぐそこまで来ています。導入初期から効果が現れやすいツールですので、早期に現場へ取り入れることで競合他社に先駆けた生産性向上が期待できます。LRTKによる一人測量の手軽さとその効果をぜひ現場で体感してみてください。最新テクノロジーを味方につけて、貴社の測量業務を次のステージへ引き上げる一歩を踏み出してはいかがでしょうか。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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