top of page

RTKがFixしない原因5選:衛星受信環境・補正情報・座標設定ミスなど徹底解説

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

RTK(リアルタイムキネマティック)測量は、衛星測位によってセンチメートル級の高精度な位置をリアルタイムに求められる画期的な技術です。しかし、実際の現場では「なかなかRTKがFIXしない(固定解が得られない)」という声もしばしば聞かれます。フロート解のままでは位置誤差が数十センチに及び、精度不足による手戻りや測り直しにつながりかねません。


本記事では、RTKがFixしない主な原因として考えられる代表的な5つの要因を取り上げ、それぞれについて徹底解説します。衛星受信環境の問題、補正データ受信のトラブル、基準点座標の設定ミスなど、よくある原因を網羅し、精度低下や作業中断を防ぐためのポイントも紹介します。測量業務に携わる方はぜひ参考にしてください。記事の最後では、こうした課題を解決する新しい簡易測量ソリューション「LRTK」についてもご紹介します。


目次

衛星受信環境が悪い

補正情報が受信できていない

基準点・座標設定のミス

GNSS機器の設定不良や不具合

基線距離や大気誤差の影響

LRTKによる簡易測量のすすめ

FAQ


1. 衛星受信環境が悪い

RTK測位では、GPSやGLONASSをはじめとする複数のGNSS衛星からの電波を安定して受信できることがFIX解取得の大前提です。しかし、現場の衛星受信環境が悪いと観測衛星数が不足したり、測位に必要なデータ品質が確保できず、いつまで経っても固定解が得られない場合があります。例えば、周囲を高層建築物に囲まれた都市部や森林の中では、空の視界が遮られて利用可能な衛星の数が減少しがちです。また、コンクリート壁面や金属面、水面などで衛星信号が反射してしまうマルチパス(多重経路)も深刻な問題です。反射波の影響で測定距離に誤差が生じると、RTKのアンビギュイティ(整数値解)解析が乱れ、FIXが成立しにくくなります。


さらに、高圧線やレーダーなど強力な電波を発する設備が近くにあると、GNSS信号にノイズや干渉が加わり受信強度が低下する場合もあります。悪天候も無視できません。豪雨や雷雨の際には電離圏の影響や電波減衰が増してRTKが不安定になることがあります。こうした衛星受信環境の悪条件下では、RTKの解がフロートのまま固定に至らないリスクが高まります。


対策: 測位を行う際は、できる限り天空が広く開けた場所を選びましょう。基地局アンテナは360°遮るもののない見通しの良い地点に設置し、移動局(ローバー)側も測点付近の障害物を取り除けるなら事前に撤去します。また、大きな反射物の近くでの観測は避けるのが無難です。難しい場合はアンテナにグランドプレーン(土台板)を装着したり、高性能なチョークリングアンテナでマルチパス波を低減する工夫も有効です。さらに、最近のGNSS受信機はマルチGNSS対応(複数衛星システム追跡)やデュアル周波数対応のものが増えています。これらを活用することで視界不良な環境下でも利用できる衛星数を増やし、電離圏誤差の影響も打ち消して、FIX率の向上が期待できます。環境要因でRTKが安定しないときは、無理せず時間帯を変える(衛星配置の良い時間に測る)ことや、トータルステーションなど別手法で補完する柔軟さも持ち合わせましょう。


2. 補正情報が受信できていない

RTKでは、基地局(基準点)から送られる誤差補正データをリアルタイムで受信し続けることで、はじめてセンチメートル級の精度が得られます。したがって、基地局とローバー間の通信が途切れて補正情報が届かない状況では、いくら待ってもFIX解を得ることはできません。補正が停止した状態では、RTKは単独測位(スタンドアロン)やDGPS程度の精度に逆戻りしてしまい、解もフロートのままです。


補正情報が受信できなくなる原因としては、通信環境や機器設定の問題が挙げられます。無線型RTKの場合、基地局・移動局の無線機の周波数やチャンネル設定が一致していなかったり、見通し外に出て電波が届かなくなると補正データが途絶えます。特定小電力無線や簡易無線を使うケースでは、実用通信距離が数km程度と限られるため、現場が広範囲に及ぶと電波範囲外に出てしまうことがあります。また、トンネル内やビル陰など電波遮蔽環境も通信断の要因です。一方、NTRIPなど携帯インターネット回線を使うネットワーク型RTKでは、現場が圏外でモバイルデータ通信が不安定な場合や、基地局サービス側の障害でデータが受信できないケースもあります。


対策: まず基地局・ローバーの通信設定を事前に確認しましょう。無線を利用する際は送信周波数やグループIDが双方で一致しているか、アンテナ接続に緩みや断線がないかを点検します。基地局アンテナはできるだけ高所に設置し見通し距離を確保する、中継アンテナを設置するなどして通信エリアを拡大する工夫も有効です。ネット回線を使う場合は、現地で複数キャリアのSIMカードを用意し電波状況の良い回線を使えるようにしたり、必要に応じて外部アンテナやモバイルWi-Fiルーターを活用して受信感度を高めます。さらに、長時間の測量ではバッテリー切れによる補正停止も多い原因です。基地局・移動局とも事前に十分なバッテリー残量を確認し、予備電源を携行しておきましょう。どうしてもリアルタイムで補正を得られない場合には、RTKに固執せずスタティック測位で生データを記録し、後でPPK(事後処理)で計算するといった対応も検討します。


3. 基準点・座標設定のミス

RTK測量では、使用する基準点の座標値や測地系・座標系の設定が正確であることが大前提です。これを誤ると、たとえRTKがFIXしていても結果の座標がずれてしまい、大きな誤差を招きます。例えば、基地局に設定する既知点座標を一桁間違えて入力したり、日本の平面直角座標系でゾーン番号を誤るケースがあります。その場合、測位結果が実際の位置から数十メートルもずれてしまうこともあります。実際に「基準点の座標を1桁入力ミスして、後でデータが合わず真っ青になった…」という事例もあり、座標設定ミスは笑えない重大な問題です。


また、日本とは異なる測地系・測量座標系を使う現場では特に注意が必要です。世界測地系(JGD2011/2022)に対し、旧来の東京測地系を使っていたり独自のローカル座標を採用していると、座標変換を正しく行わない限り結果座標は現地の基準と合致しません。高さ方向でもジオイド高の補正を忘れると、得られた高さが現場の標高と大きく乖離します。


対策: 測量開始前に、使用する基準点の座標値と測地系・座標系の指定を必ず確認しましょう。発注図書や既知点票を見て、正しい基準座標系(例: JGD2011の◯系、◯◯県○区座標など)を機器に設定します。基地局を設置する際は、入力した既知点座標が正しいかダブルチェックしてください。可能であれば作業前に現場の既知点を1つ観測し、機器設定どおりの座標が得られるか検証すると安心です。ローカルな独自座標系で測る場合は、複数の既知点を使ってサイトキャリブレーション(座標補正)を行い、機器の座標を現地測量座標に合わせ込むことが重要です。万一設定ミスに気付いたら、記録した生データに対して後から正しい座標系へ変換処理を施すことで、データを救済できる可能性もあります。しかし変換作業には手間がかかるため、やはり初めから設定ミスを防ぐことが肝心です。


4. GNSS機器の設定不良や不具合

システムや機器の設定ミス・不具合も、RTKがFixしない原因となり得ます。基本的な例では、基地局とローバーのモード設定の誤りが挙げられます。本来基地局側で動かすべき受信機をローバーモードのまま運用していたり、逆に移動局を固定モードにしてしまうと、正しく補正情報が生成・適用されず測位が成立しません。また、RTKネットワークサービスを利用する場合にマウントポイント(補正データの仮想基準点)の選択を誤ると、対応しないデータ形式のために解が得られないことがあります。


機器固有の問題では、GNSSアンテナやケーブル類の不調も見逃せません。アンテナコネクタが緩んでいたりケーブルが断線していると、そもそも衛星信号や補正データを正常に受信できずRTKはFixしません。フィールド端末(コントローラ)のソフト設定も要注意です。測地系・投影座標系などを間違えていれば前述の通り成果ズレにつながりますし、そもそもRTKの解算モード設定(移動局にすべきところを固定局にしている等)が誤っていれば正しい解は得られません。加えて、ファームウェアやアプリのバグ・フリーズも稀に起こります。特にタブレットやスマホで制御するタイプのGNSS受信機では、アプリが強制終了して補正受信が止まっていた、といったケースもあります。


対策: 機器トラブルを防ぐには、現場に入る前の事前チェックが欠かせません。GNSS受信機本体やアンテナ、無線機器の接続状態を点検し、電源やバッテリー残量も確認します。新しい現場で使用する際は、測量用ソフトウェアの設定(測地系・座標系、アンテナ高入力、通信設定など)を初期から正しくセットアップできているか一通りシミュレーションしておきましょう。また、メーカーから提供されている受信機ファームウェアや制御アプリは最新の安定版にアップデートし、不具合修正情報にも注意を払います。作業中も機器の動作に違和感を覚えたら、一度測定を中断して再起動する、別の既知点で計測して検証するなど、早めに原因を切り分けることが大切です。基本的なことですが、測量ポールの気泡管で垂直を確認する、アンテナ高の入力ミスをしない、といったヒューマンエラー対策も同時に徹底しましょう。


5. 基線距離や大気誤差の影響

RTK測位がFixに至らない場合、基準局とローバーの距離(基線長)や大気誤差といったRTK方式固有の制約も考慮する必要があります。一般に基地局との距離が離れるほど、両局間での電離圏・対流圏の誤差差分が大きくなり、補正で打ち消せない残差が増えるため、固定解の取得が難しくなります。高精度なRTK受信機でも、仕様上「水平精度8mm + 1ppm」といった表記があるように、距離1kmあたり約1mmずつ誤差が増加します。そのため、ローバーが基地局から数十kmも離れてしまうと、整数アンビギュイティ解決に必要な観測精度が確保できず、解が安定しなくなってしまうのです。特にシングル周波数(L1のみ)の機器では電離圏誤差を十分に補正できないため、長基線ではフロート解からFIXに至るまで非常に時間がかかったり、最悪Fixしないケースもあります。


また、太陽フレア等による電離圏擾乱や、衛星配置(ジオメトリ)の悪い時間帯も固定率の低下を招きます。周囲に遮蔽物がなくても、たまたま上空の衛星の配置が偏ってPDOP値が高くなっているときは、RTKの初期化に時間がかかることがあります。逆に、マルチGNSSで常時10個以上の衛星を捕捉できる状況であれば、多少の大気誤差があっても安定してFIXしやすくなります。


対策: 基準局と測点との距離はできるだけ短く保つのが鉄則です。自前で基地局を設置できる場合は現場の近くに据えるか、難しい場合は国土地理院の電子基準点やVRS方式(仮想基準点)サービスを活用して事実上の基線長を短縮しましょう。また、測量に入る前に衛星の稼働状況を調べ、衛星数が少なくジオメトリの悪い時間帯を避ける計画も有効です。たとえば国土地理院の提供する「GNSS衛星可視予測サービス」などでPDOPの予測値を確認してみると良いでしょう。電離圏の乱れが大きい日は、高精度測位そのものを控えるか短時間の観測データを後日精密処理(PPKやPPP)するなど、無理のない対応を検討します。RTKのリアルタイム性にこだわりすぎず、状況に応じて他の測量手法と使い分ける柔軟さが、結果的に「測り直しゼロ」への近道となります。


LRTKによる簡易測量のすすめ

ここまで、RTKがなかなかFIXしない典型的な原因と対処法を見てきました。高精度なRTK測量を成功させるには、周囲の環境確認や機器設定など気を配るポイントが多く、専門的な知識や経験も要求されます。そこで注目したいのが、これらの課題を一挙に解決し誰でも簡単にセンチメートル精度測位を実現できるソリューション「LRTK」です。


LRTK(エルアールティーケー)は、スマートフォンや専用小型デバイスを用いて手軽に高精度測位が行えるよう設計された新しい測量システムです。複数の衛星測位技術とクラウドサービスを組み合わせることで、従来のRTK運用に付きものだった煩雑さを排除しています。例えば基地局の設置や通信確保、座標系の調整といった高度な作業を意識せずとも、LRTKなら現場で端末をセットするだけで自動的にミリ単位の測位が可能です。実際の運用ではみちびき衛星(QZSS)の補強信号も活用しており、携帯電話の電波が届かない山間部などでも安定した測位が行えます。


LRTKを活用することで得られるメリットの一部を紹介します。


手軽さ: スマホアプリ中心の直感的な操作で、特別なGNSSの専門知識がなくても扱えます。難しい設定や現場調整が不要で、短時間のトレーニングですぐに利用可能です。

高精度: 複数地点からの衛星観測や先端的なクラウド補正技術により、水平・垂直とも約1〜2cmの測位精度を実現します。専用の一脚(モノポッド)を使えばお一人でも安定した測位が行え、数十回の平均化によってミリ未満の精度に近づけることも可能です。

信頼性: 従来のRTKで問題となりがちな通信途絶や設定ミスのリスクが大幅に低減されます。データはリアルタイムでクラウドに自動保存され、万一の機器トラブル時も測位ログが残るため安心です。

効率性: 機器をポーチに入れて現場へ持ち運び、ワンタッチで測位開始できる手軽さから、従来よりも測量作業の生産性が向上します。後処理の手間も省けるため、測ったその場で成果を得て次の工程に進めます。


最新テクノロジーを駆使したLRTKを導入すれば、RTK測量にまつわる「Fixしない」「精度が出ない」といった悩みから解放されるでしょう。興味のある方は、ぜひLRTKの詳細情報をチェックしてみてください。現在、サービス紹介資料の無料提供も行っていますので、お気軽に資料請求をご検討ください。


FAQ

Q: RTK測量でフロート解のまま固定できない場合、どう対処すればよいですか? A: まず今回紹介した5つの要因(衛星受信環境・補正情報・座標設定・機器設定・基線長)のうち、どれに問題がないか順番に確認しましょう。空が開けた場所に移動できないか、基地局からの電波が届いているか、設定ミスがないかを点検します。それでもFIXしない場合、一旦測定を中断し、時間をおいて衛星配置が改善するのを待つのも手です。どうしてもリアルタイムでFIXが得られなければ、無理に続行せずスタティック測位でデータを記録し、後日PPK処理で解を求める選択肢も検討しましょう。


Q: RTKでは最低何基の衛星が見えていればFIXできますか? A: 一般的に、RTKで固定解を得るには5基以上の衛星が同時に観測できることが望ましいとされています(擬似距離差分用に4基+干渉誤差補正用に1基程度)。しかし衛星配置(ジオメトリ)が偏っている場合や、マルチパス等でデータ品質が低い場合は、たとえ5基見えていてもFIXは難しくなります。実用上は常に7〜8基以上の衛星を捕捉している状態が理想です。マルチGNSS対応の受信機ならGPS/GLONASS/みちびき/Galileoなど複数衛星群を同時利用でき、都市部でも10基前後を確保しやすいため、結果として固定率の向上につながります。


Q: マルチGNSS・デュアル周波数対応の受信機を使うと固定率は上がりますか? A: はい、上がります。マルチGNSS対応機は利用できる衛星数が格段に増えるため、上空視界が悪い現場でも必要な測位衛星を確保しやすくなります。またL1/L2などデュアル周波数受信機は、電離圏遅延の補正精度が大きく向上し、単一周波数に比べ短時間でアンビギュイティを解決できます。その結果、初期のFIX獲得までの時間短縮や、保持率(いったんFIXした後の維持)が大幅に改善します。高精度を安定して得るには、可能な範囲でマルチGNSS・マルチ周波数機を活用することが有利です。


Q: LRTKとはどのようなサービスですか? A: LRTKは、従来のRTK運用に代わる新しい高精度測位サービスです。スマートフォンと専用受信機を組み合わせ、クラウド上の補正プラットフォームと連携することで、専門的な手順なしに誰でもセンチメートル級の測位を行えます。面倒な基地局設置や座標変換作業が不要で、端末を持って現場に行きボタンを押すだけで測量が完結します。通信や機器設定のトラブルに悩まされることもなく、測位データは自動でクラウド保存されるため、安全・確実に成果を得られる点も特徴です。詳しくはLRTKの公式情報をご参照ください。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page