top of page

インフラ維持管理を効率化する法面緑化の点群技術

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

インフラの維持管理において、道路やダムなどの法面(のりめん)に草木を植えて緑化する「法面緑化」は、防災・景観・環境の観点で重要な取り組みです。斜面を緑で覆うことで表土の浸食を防ぎ、土砂災害のリスクを低減できるうえ、周辺の景観向上や生態系の保全にもつながります。


とはいえ、緑化した斜面を長期にわたって健全に保つには定期的な点検と維持管理が欠かせません。従来は作業員による目視点検が中心でしたが、人手不足や記録の属人化、危険個所での確認作業など様々な課題が指摘されてきました。近年、こうした課題を解決するために3次元点群データAR(拡張現実)を活用した新技術が注目されています。本記事では、法面緑化の維持管理に点群技術を取り入れるメリットと具体的な活用方法を解説し、日常点検から災害対応まで業務を効率化する最新手法をご紹介します。


法面緑化が担う防災・景観・環境の役割

法面緑化とは、道路や造成地の斜面に草木を植えたり種子を吹き付けたりして表面を緑で覆う施工です。緑化された植生の根が土壌をしっかりと束ねることで、降雨時の表層崩壊や土砂の流出を防ぎ、斜面の安定性を高める効果があります。また、植物の蒸散作用により斜面内部の余分な水分を排出できるため、水圧による斜面崩落リスクの低減にもつながります。つまり法面緑化は、防災対策の一環として斜面の崩落や土砂災害を未然に防ぐ重要な役割を果たしています。


さらに、法面を緑化することで周囲の景観や環境にも大きなメリットがあります。従来はコンクリート吹き付けや金網による裸の法面が多く見られましたが、緑の植生で覆えば自然になじみ、景観の向上に寄与します。四季折々の草花や樹木が茂る斜面は人々に潤いと安らぎを与え、無機質な構造物の圧迫感を和らげてくれます。また、生態系の面でも、緑化された法面は昆虫や小動物のすみかや通り道となり、周辺の生物多様性の保全にもつながります。このように法面緑化は、安全面だけでなく景観・環境面でもインフラ維持管理において欠かせない取り組みとなっています。


従来の法面維持管理とその課題

法面緑化の維持管理では、従来、専門の技術者や作業員による定期巡視や点検が行われてきました。担当者が斜面のふもとや上部から目視で異常がないか確認し、必要に応じて双眼鏡で細部を観察したり、斜面に実際に登って近接調査を実施します。点検結果は手帳や図面にメモしたり、簡単なスケッチを描いて記録し、後日事務所で報告書にまとめるのが一般的です。こうした手法は長年現場で受け継がれてきたものですが、近年では以下のような課題が浮き彫りになっています。


定量性に欠ける: 目視中心の点検では斜面の変化を定量的に把握することが難しく、小さな変化が見逃されがちです。例えば、土砂のわずかな流出や法面勾配の微妙な変化は、感覚的な評価に頼ると見落とす恐れがあります。

記録の属人化: 点検内容が個人の手書きメモや記憶に頼りがちで、情報共有や過去との比較が容易ではありません。担当者が変わると過去の点検結果を正確に引き継げず、せっかくの知見が活用されないケースもあります。

作業負担と安全性: 急斜面での目視点検や高所での近接確認は作業員にとって大きな負担であり、転落や落石など安全面のリスクも伴います。危険個所の点検には複数人の要員確保や通行止めなども必要となり、負担が大きい作業でした。

人手不足: インフラ老朽化に対する点検需要が高まる一方で、技術者の高齢化や担い手不足により、一人ひとりの担当範囲が広がっています。その結果、点検の頻度や精度を維持することが難しくなる懸念があります。


3次元点群による斜面状況の記録と定量評価

3次元計測技術の進歩により、斜面の形状を点群データとして詳細に記録することが可能になりました。点群データとは、斜面表面の無数の点をそれぞれX・Y・Z座標で表した3次元モデルで、レーザースキャナや写真測量によって取得できます。まるで現地の斜面を丸ごとデジタルコピーしたようなもので、地形の凹凸から植生の盛り上がりに至るまで、斜面の形状を高い解像度で忠実に捉えます。


この点群モデルを用いれば、斜面の状態を面的かつ立体的に把握して定量評価することができます。例えば、現地では測りにくかった法面の勾配やカーブの具合も、点群上で断面を切ることで正確に角度や半径を計測可能です。斜面全体の面積や部分的に露出した土の範囲、崩壊土砂の体積なども自動算出でき、主観に頼らないデータとして記録できます。また、点群データは日時や季節を問わず一度取得しておけば、その時点の斜面全体の客観的な記録として残るため、後から見返して細部を検証することも容易です。従来の平面的な写真やメモでは難しかった立体物の全体把握を、点群なら一度の計測で完璧に記録できる点が大きな利点です。


点群データで経年変化を把握し異常を検知

定期的に点群データを取得して蓄積しておけば、経年変化の把握と異常の早期検知に役立ちます。例えば、今年取得した斜面点群と前年のデータを重ね合わせて比較することで、斜面形状に生じた差異を詳細に分析できます。点群同士の差分を計算すれば、どの部分で土砂が失われ(または堆積し)、どれだけの量が変化したかを色付きのヒートマップ等で可視化できます。肉眼では気づかない数センチ規模の表土流出や僅かな隆起・沈下であっても、点群差分から浮き彫りになるため、小さな異変も見逃しません。


具体的には、盛土法面の一部が雨で削られて低下していれば、その箇所の点群が以前より沈み込み、体積減として数値で示されます。逆に斜面に膨らみ(変形)が生じていれば、点群が前回より前方に突出した差分として現れます。地表の陥没やクラックによる段差も点群断面を比較することで定量的に把握可能です。このように過去データと照らし合わせることで斜面の経年劣化を定量的にモニタリングでき、変状が大きくなる前に補修や対策を講じる判断がしやすくなります。点群活用による早期発見は、災害の未然防止や維持管理コストの縮減にも大いに貢献するでしょう。


AR可視化で現場情報を直感的に共有

点群データはオフィス内で分析するだけでなく、現場でAR(拡張現実)表示することで関係者間の情報共有を飛躍的に向上させます。タブレットやスマートフォンをかざせば、取得した3D点群モデルや設計データを実際の法面上に重ねて表示できるため、現地で斜面の状態を直感的に確認することが可能です。例えば、点群から作成した現在の斜面モデルをARで映し出し、そこに施工当初の設計形状を重ねれば、設計通りに維持されている部分と変形している部分が一目で分かります。ズレの大きい箇所はAR画面上で赤くハイライト表示されるなど、どこに異常があるかが視覚的に把握できるため、口頭や図面で説明するよりはるかに分かりやすくなります。


このARによる可視化は、現地作業員だけでなく発注者や設計者とのコミュニケーションにも効率を発揮します。現場に同行してもらい実際にAR表示を見れば、担当者同士で共通のイメージを持って状況を議論できます。遠方の関係者にもAR映像やスクリーンショットを共有すれば、テキストの報告書では伝わりにくい微妙な凹凸や被害範囲も直感的に伝えられます。情報がリアルな空間上で共有されることで、対応方針の合意形成がスムーズになり、意思決定のスピードアップにもつながります。


困難な法面も安全・効率的に計測

急傾斜地や崖に近い法面の点検では、省人化安全性向上の面でも点群測量が威力を発揮します。人が立ち入るのが困難または危険な斜面でも、離れた場所からレーザーやカメラで計測すれば接近せずに現況を把握できます。例えば、これまでならロープを使って作業員がよじ登って確認していた法面崩壊箇所も、ドローンで上空から点群データを取得すれば、安全な場所にいながら詳細な地形の様子を捉えることができます。崩落の恐れが残る不安定な斜面でも、二次災害の危険にさらされることなくデータ収集できる点は大きな利点です。


また、点群測量は一度に広範囲をカバーできるため、複数人で何日もかけて測っていた作業が、わずか数十分のスキャンで完了することもあります。必要最低限の人員で効率よく現場計測ができ、人員不足の現場でも業務を回しやすくなります。測定機器も従来のような重機や足場を要さず、軽量な機材を持ち運んでその場で計測できるケースが増えており、現場のフットワークが格段に向上しています。危険なのり面ほど人が近づかずに済む点群技術は、作業者の安全確保と作業効率化の両立に貢献するソリューションと言えるでしょう。


クラウド連携による巡視記録の一元管理

点群データや現場記録をクラウドで共有・管理すれば、維持管理業務の情報一元化が図れます。従来は点検の都度、紙の報告書や写真アルバムをファイルで保管していましたが、デジタル化した点群や写真データをクラウド上に蓄積しておけば、過去から現在までの斜面情報を一括して管理できます。日時や場所ごとに整理されたデータベースから、必要なときにすぐ過去の点検結果を呼び出して3Dモデルを確認できるため、「何年も前のあの法面の状況はどうだったか?」といった振り返りも即座に行えます。現場で取得した点群をそのままクラウドにアップロードすれば、オフィスに戻る頃には関係者全員が最新データを確認できている、といったリアルタイム共有も可能です。


クラウド活用により、複数の担当者で最新かつ同一の情報を参照できるため、認識のズレや伝達ミスが減少します。また、データから自動生成した断面図や差分マップなどをオンラインで共有すれば、報告書の作成作業も簡略化できます。紙資料のやり取りではなくクラウド上でコメントや指示を残すことで、やり取りの履歴も含めて記録が残り、将来の点検計画策定にも役立ちます。このように点群データをクラウド連携させることで、巡視記録の蓄積と活用がスムーズになり、維持管理業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいきます。


スマホひとつでできる点群計測・AR活用の現場事例

近年では、スマートフォンを活用した手軽な点群計測ソリューションも登場しています。その威力を示す現場事例の一つを紹介しましょう。


ある道路斜面の定期点検で、担当者は高性能スマホ一台だけを持って現場に赴きました。スマホには専用の点群計測アプリがインストールされており、起動して斜面にかざすと内蔵されたLiDARセンサー(またはカメラ)で周囲の3次元データを取得できます。担当者が法面の麓を歩きながらスマホを向けると、わずか数分で斜面全体の点群モデルがスマホ上に生成されました。取得データには衛星測位による位置情報も付与されており、後処理なしで絶対座標付きの3Dモデルが得られます。


その場で点群モデルを確認すると、ある斜面中腹の盛土部分に小さなくぼみが生じていることが判明しました。担当者はスマホをARモードに切り替え、前年の点群データと今回のデータを比較表示します。すると、現地の景色の中で当該箇所に赤いヒートマップが浮かび上がり、昨年より地形が後退していることがひと目で分かりました。担当者はAR表示された映像をスクリーンショットで保存し、点検コメントとともにクラウド共有しました。オフィスの上長や設計担当者も即座にそのデータを閲覧し、必要な補修工の検討を開始できました。このように、スマホひとつで点群計測から現場での確認・記録・共有まで完結でき、従来に比べ格段にスピーディーかつ正確な点検が実現しています。


スマホを用いた点群技術活用には数多くのメリットがあります。主なポイントを以下にまとめます。


機動性: スマートフォンと小型測位端末さえあれば、重い機材を運ぶ必要がなく現場を駆け回れます。思い立ったときにすぐ計測でき、突発的な点検にも迅速に対応可能です。

即時性: 現場でスキャンしたら、その場で3Dモデルを確認しAR表示まで行えるため、点検と同時に結果を得ることができます。オフィスに持ち帰って処理を待つ必要がなく、その日のうちに対策の検討に移れます。

精度向上: GNSS(衛星測位)との組み合わせやスマホ内蔵のLiDAR技術により、従来は困難だったセンチメートル級の精度で点群を取得できます。高精度なデータに基づき、従来より信頼性の高い評価・判断が可能です。

一体的な記録: スマホ内で写真撮影やメモ記録も同時に行え、位置タグ付きで管理できます。点群モデル上に気づいた点を注釈として残すこともでき、紙のメモに頼らない一元的なデータ蓄積が進みます。

コスト削減: 専用の高価な測量機器を新たに導入せずとも、身近なスマートフォンで代用できるため、初期投資や維持費を大幅に抑えられます。技術者一人ひとりが手軽に使えるため外注費の削減にもつながります。


LRTK導入で日常点検から災害対応まで効率化

最後に、ここまで紹介してきたスマホ点群技術を現場で実践する具体的なソリューションとして、[LRTK](https://www.lrtk.lefixea.com)をご紹介します。LRTKは高精度GNSSを搭載した小型端末とスマホアプリから構成され、スマホひとつでセンチ単位の測量から3D点群スキャン、ARによる可視化までを実現する統合プラットフォームです。複雑な操作や専門知識は不要で、現場担当者が直感的に扱えるシンプルなUIでありながら、取得した点群データは国土交通省の基準に準拠した精度を備えています。日常の巡視点検で活用すれば、従来より少ない手間で詳細な記録を残せ、異常の兆候も見逃しません。万一、大雨や地震で法面災害が発生した際も、LRTKがあれば迅速に被災箇所をスキャンして崩壊土量を把握し、即座に復旧計画に役立てることができます。


このようにLRTKを導入することで、平時のインフラ点検から緊急時の被害調査まで、あらゆる場面で効率的かつ的確な対応が可能となります。スマートフォンという身近なツールで高度な空間情報を扱える時代が到来しつつある今、法面緑化の維持管理手法も新たなステージへと移行しています。点群技術とARの力で、現場の安全と作業効率は飛躍的に向上します。インフラを守る日々の業務に、こうした最新技術を取り入れてみませんか。LRTKは現場のDXを後押しし、皆様の維持管理業務を強力にサポートすることでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page