法面測量(のりめんそくりょう)は、道路や造成地などの斜面の形状を正確に把握するために欠かせない作業です。しかし従来の方法では、測量機器の設置や断面ごとの読取りに多くの時間と人手を要し、現場の負担となってきました。近年、スマートフォンによる点群計測を活用することで、この法面測量の作業時間を大幅に短縮できると注目されています。本記事では、法面測量の必要性と従来手法の工程、作業時間が長引く原因を整理した上で、[スマホを使った点群測量](https://www.lrtk.lefixea.com/blog-js/p7)の仕組みとメリット を詳しく解説します。さらに、現地計測からクラウド共有・データ出力までのワークフローや、法面データの多彩な活用例を紹介し、最後に最新のスマホ点群計測技術(LRTK)を導入するメリットについても触れます。
法面測量の必要性と従来の作業工程
崩壊の恐れがある斜面の調査や、道路脇の法面の出来形確認など、土木分野では様々な場面で法面測量が行われます。目的は、斜面の傾斜角や高さ、表面の凹凸を把握して安全対策や施工計画に役立てることです。従来、法面の形状を測るにはトータルステーション(TS)やレベルとスタッフ(標尺)を用いる手法が一般的でした。測量員の一人が法面上でスタッフを立て、もう一人が下部や対岸など見通しの良い地点に据え付けたTSでスタッフの位置・高さを読み取ります。こうして斜面上の複数点の座標を取得し、それらを繋いで断面図を描く(断面スケッチを作成する)ことで法面の勾配や形状を確認していました。必要に応じて縦断方向に複数の断面測定を行い、全体の土量計算や設計形状との比較を行うこともあります。
しかしこの従来手法では、測定するポイントごとに機器の照準と読取りを繰り返す必要があり、斜面の規模によっては測量だけで半日から数日を要する場合もありました。また急斜面の場合、測量員が安全に測点まで到達するための仮設足場や安全帯の使用も必要で、準備と片付けに時間がかかります。法面測量は現地での労力が大きく、事前準備から事後の図面整理まで多段階の工程を踏む作業でした。
法面測量に時間がかかる主な要因
伝統的な測量方法では、なぜこれほど作業時間が長くなりがちなのでしょうか。主な要因を整理してみます。
• 人手と測定ポイントの多さ: 法面全体を把握するには多数の測点を測る必要があり、一点一点を2人以上で測定するため人手も時間もかかります。広い法面や複数断面の測量では、1回の出来形測定に数日かかることも珍しくありませんでした。
• 機材の準備と設置: TSやレベルなど測量機材の運搬・据え付け・校正に手間がかかります。特に山間部や急斜面では機材を運ぶだ けでも労力が必要です。また高精度な機器は高価であり、自社で保有していない場合は専門業者への外注調整が必要になることもありました。
• 足場の確保と安全対策: 傾斜が急な法面では、測量員が立ち入るために仮設の足場や梯子を設置したり、安全帯で体を確保したりする必要があります。これらの安全対策に要する準備撤去の時間が作業全体を長引かせる要因となっていました。
• 測り残し・やり直し: 高所や崩れやすい場所など危険な個所は測点を諦めざるを得ないケースもあります。また手書きメモで記録した数値の誤記や、現場で取り切れなかった点が後から判明して再測定となれば、二度手間となり、さらに時間を要していました。
• データ整理と図面化の手間: フィールドで取得した数値をもとに断面図を作成したり、表計算ソフトに入力して体積を計算したりといった事後処理にも時間がかかります。測量結果を報告書や検査書類にまとめる作業は煩雑で、現場作業後の技術者の負担となっていました。
このように、従来の法面測量は多大な人力と時間を投入しても効率が上がりにくいのが実情でした。そのため近年では、ICT施工やi-Constructionといったデジタル技術の活用によって測量・出来形管理を効率化する取り組みが推進されています。その中で注目を集めている技術の一つが、スマートフォンを使った点群測量です。
点群測量の基礎とスマホ計測の仕組み
点群測量とは、対象物の表面を多数の点の集合(点群データ)として取得する測量手法です。レーザースキャナーで斜面にレーザー光を当てて反射点を3次元座標として収集したり、カメラで斜面を撮影して画像から形状を復元したり(写真測量)、様々な方法で面状の詳細データを取得できます。法面全体を短時間で面的に計測できるため、従来のように点ごとに測る必要がなくなり、測量作業を大幅に効率化できます。
中でも近年注目されるのが、スマホによる点群計測です。最新のスマートフォンには高性能なカメラやLiDAR(ライダー:光による距離測定)センサーが搭載されており、専用アプリを使ってスマホをかざしながら歩くだけで周囲の環境を3Dスキャンできるようになっています。LiDARが連続的に発する赤外線レーザーで斜面までの距離を測り、一秒間に数十万点もの点を取得して斜面形状を記録します。この非接触型の計測により、危険な斜面に人が登らずとも地上から表面形状を捉えることが可能です。
スマホ単体で取得した点群データは機器内の座標系(ローカル座標)に基づくため、そのままでは図面上の位置や高さが不明確になってしまいます。またスキャン中にスマホを動かすことでデータにわずかな歪みが生じることも課題でした。そこで重要になるのが座標補正です。スマホのGPSや、さらに高精度なRTK-GNSS受信機を併用することで、取得した点群に地球基準の正確な座標を与えることができます。例えばスマホに小型のRTK測位デバイス(衛星測位の誤差を補正してcm精度で位置を特定できる装置)を取り付ければ、スキャン中も自身の位置を高精度に把握し続け、取得する点群一つひとつにリアルタイムで絶対座標を付与できます。その結果、スマホで手軽に計測した点群データであっても、従来の測量図と同等に信頼できる空間座標を持った測定結果として活用できるのです。
スマホ点群データの利便性:密度・断面・体積・ヒートマップ
スマホで取得する点群データは、従来の人力測量では得られない高密度かつ立体的な情報を含んでいます。数百万規模の点が斜面全体を覆うため、どの部分が凹んでいるか盛り上がっているかといった細部まで視覚的に把握可能です。密度が高いほど解析の自由度が増し、後述する様々な利活用がしやすくなります。
例えば、一度法面全体の点群を取得しておけば、任意の断面ラインで切った断面図をデータ上で作成できます。現場で主要断面だけ測っていた従来と異なり、後から必要に応じて好きな位置・角度で断面形状を確認できるため、見落としが減り設計との比較検討も容易です。また点群は斜面の3次元形状そのものなので、盛土や切土の体積を算出したり、表面積を測定したりといった数量計算もソフト上で即座に行えます。
さらに、取得した点群データと設計モデルを重ね合わせて差分を計算すれば、ヒートマップなどで施工誤差を可視化することも可能です。例えば、設計通りの箇所を青~緑、ズレの大きい箇所を黄色~赤と色分け表示すれば、斜面のできばえを一目で評価できます。このようにスマホ点群データは単なる座標集合ではなく、後工程の解析や判断を強力にサポートする豊富な情報源となります。
スマホ点群計測のワークフロー(準備〜共有)
では、スマホによる点群計測は実際どのような手順で進めるのでしょうか。一般的なワークフローの一例を紹介します。
• 事前準備: 計測に用いるスマートフォンや補助デバイスの準備を行います。専用アプリをスマホにインストールし、必要に応じて高精度GNSS受信機やポールなど付属機器を取り付けます。測量地域の基準点座標や設計データがある場合は、それらをアプリに読み込んでおくと後段の比較がスムーズです。
• 現地でのスキャン: 測量したい法面の下部や周囲を歩きながら、スマホをかざしてスキャンします。斜面全体にまんべんなくLiDARを当てるように移動し、見落としがないよう様々な角度から表面を計測します。安全に立ち入れる範囲で斜面の上部や側面にも回り込むことで、死角を減らし点群の欠損を防ぎます。計測範囲に応じて数分程度スマホを動かせば、法面全体の点群がその場で取得できます。
• クラウドへのアップロード: スキャンが完了したら、スマホ内の点群データをクラウドサービスにアップロードします。アップロード後、自動的に点群の位置合わせやノイズ除去などの処理が行われ、クラウド上で3Dビューアーによる確認が可能になります。高精度GNSSを使っている場合、アップロード直後のデータに既に絶対座標が付与されているため、追加の基準点調整作業は不要です。
• データの共有・出力: クラウド上の点群はインターネット経由で関係者と共有できます。現場から離れたオフィスでも、ブラウザ上で斜面形状を3次元モデルとして確認し、距離や高低差を計測することができます。また必要に応じて、点群データを設計CAD図面と重ねて表示したり、任意断面の断面図を画像として切 り出すことも可能です。最終的に、点群や断面図はDXFやPDF形式で出力し、出来形計測の成果として保存・提出できます。
このようなワークフローにより、現地作業からデータ整理・共有までの一連の流れがデジタル化されます。スマホ計測によって現場で完結する範囲が広がり、従来は事務所に持ち帰っていた図面作成や数量算出作業も半自動化されるため、トータルの作業時間が飛躍的に短縮されます。
法面データ活用の幅広い用途:出来形確認・施工前後比較・災害復旧
スマホで取得した法面の詳細な点群データは、様々な場面で活用することができます。その代表的な用途を挙げます。
• 法面出来形の確認: 施工後の法面が設計通りの勾配・形状になっているかを点群データでチェックできます。取得した点群を設計モデルと照らし合わせれば、どの箇所が設計値からズレているか一目瞭然です。従来は断面図を人力で引いて目視確認していた出来形検査も、デジタルデータに基づく客観的な評価が可能になります。
• 施工前後の地形比較: 工事前の原地形の法面をスキャンしておき、施工後の法面点群と比較することで、どれだけ盛土・切土が行われたかを正確に把握できます。例えば崩落した斜面の土量を事前に計測しておけば、復旧工事で実際にどれだけ土砂を投入または撤去したかを差分計算で求めることができます。施工前後のデータを重ねることで、工事効果を視覚的に説明することも容易です。
• 災害復旧の記録: 豪雨や地震で法面が崩壊した現場でも、スマホ点群計測で迅速に被災状況を記録できます。危険な現地で長時間作業する必要がなく、遠巻きにスキャンするだけで崩壊範囲や土砂量をデジタルに記録可能です。その後の復旧工事においても、施工中の状況を定期的に点群計測しておけば、復旧前後で地形がどう変化したかを精密に比較できます。災害対応では迅速性と記録保存が求められますが、スマホ点群計測はその両方に貢献します。
スマホ計測ならではの即応性・携帯性・省力化
スマホ点群計測の導入によって、現場作業の即応性と省力化が飛躍的に向上します。従来は測量班のスケジュール調整や重機材の手配が必要だった作業も、スマホが一台あれば思い立ったときにすぐ計測を始められます。例えば突発的に法面の様子を確認したい場合も、重機材を手配することなく即日対応が可能です。また雨天時であっても小降りの合間を見計らって短時間でスキャンを済ませることで、天候による作業中断を最小限にできます。
またスマートフォンは高い携帯性を備えており、狭い現場や高所でも人が入れる所さえあれば計測が行えます。大型のレーザースキャナーでは困難だった樹木の茂みの下や橋梁の裏側といった場所でも、手持ちのスマホなら柔軟にアプローチできる場合があります。機材搬入が難しい山間部の法面調査でも、作業員が身軽に動けるため負担が軽減します。
さらに仮設の足場が不要になる点も見逃せません。非接触かつ遠距離から測定可能なスマホ点群計測なら、危険な斜面に無理に立ち入る必要がありません。地上から斜面全体をスキャンできれば、高所に昇って標尺を当てるような従来の手間や転落リスクも無くなります。結果として、少人数で安全に法面測量を完了できるため、省力化と安全性向上の両面でメリットが得られます。
おわりに:スマホ点群計測で現場が変わる(LRTKの活用)
スマホを用いた点群計測技術は、法面測量の現場に革新的な変化をもたらしつつあります。計測にかかる作業時間の短縮、人員・コスト負担の軽減、安全性の向上など、その効果は計り知れません。こうしたメリットを現実のものにしているのが、 [LRTK](https://www.lrtk.lefixea.com/lrtk-phone) に代表される高精度なスマホ点群計測ソリューションです。
LRTKはスマートフォンに装着して使用する小型のRTK-GNSS受信機とクラウドサービスから構成され、スマホだけでは難しかったセンチメートル級の精密測量を可能にします。例 えば高さ差30mの大規模な法面であっても、LRTKを使えばカメラを向けて歩くだけで1〜2分程度で3Dスキャンが完了します。取得された点群データには初めから正確な座標が付与されており、そのまま出来形管理の成果として活用できます。国土交通省の定める出来形管理要領にも準拠した精度を実現できるため、安心して業務に導入できるでしょう。
このような最先端のスマホ測量技術を導入すれば、法面測量のプロセスは劇的に効率化されます。これまで熟練の技術者と数日を要していた作業が、誰でも短時間で完了できるようになれば、現場の生産性は飛躍的に向上します。また常時持ち歩けるスマホで計測できることで、必要なときにすぐ現況をデジタル記録でき、施工管理や維持管理のあり方も変わってくるでしょう。スマホ点群計測の活用は、これからの法面管理におけるスタンダードとなりつつあります。ぜひ自社の現場にも取り入れて、その効果を実感してみてください。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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