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直轄国道の街路樹付近で工事する際の5つの注意

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

直轄国道の工事では、舗装、縁石、排水施設、地下埋設物、標識、照明、乗入口、歩道改修など、限られた道路空間の中で複数の管理対象を同時に扱います。その中でも街路樹付近の工事は、見えている幹や枝だけでなく、地中に広がる根、植樹ます、歩行者動線、交通規制、占用物件、排水機能まで関係するため、通常の掘削工事や舗装復旧よりも慎重な段取りが必要です。


街路樹は景観や緑陰だけでなく、沿道環境の形成にも関わる道路空間の重要な要素です。一方で、根を不用意に切断したり、幹を傷つけたり、埋戻しや転圧で生育環境を悪化させたりすると、工事直後は問題が見えなくても、後日になって樹勢低下、根上がり、舗装の不陸、倒伏リスク、排水不良などの形で影響が現れることがあります。直轄国道で街路樹付近の工事を行う実務担当者は、工事範囲だけでなく、街路樹を含む周辺環境全体を管理対象として捉えることが大切です。


目次

直轄国道の街路樹付近工事で最初に押さえるべき考え方

注意1:根域を想定して掘削範囲と施工方法を決める

注意2:道路管理者との協議で許可条件と役割分担を明確にする

注意3:根・幹・枝を傷めない現場管理を徹底する

注意4:交通規制と歩行者動線を街路樹条件込みで設計する

注意5:施工記録と復旧後の確認を残して手戻りを防ぐ

まとめ:街路樹付近の工事は現地把握の精度が品質を左右する


直轄国道の街路樹付近工事で最初に押さえるべき考え方

直轄国道の街路樹付近で工事を行う場合、最初に意識したいのは、街路樹を単なる障害物として扱わないことです。街路樹は道路空間の一部であり、歩道、植樹帯、縁石、排水施設、地下埋設物、照明柱、標識柱、防護柵などと一体で機能しています。そのため、工事の目的が管路の敷設、舗装補修、乗入口の改修、排水施設の更新、標識基礎の設置などであっても、街路樹への影響を設計段階から考慮する必要があります。


道路を継続して使用し、地上、地下、上空に施設を設ける行為は、道路占用の対象になる場合があります。また、道路管理者以外の者が道路に関する工事を行う場合には、道路法上の承認や道路管理者との協議が必要になることがあります。直轄国道では、対象区間を管轄する国道事務所や出張所などの管理窓口を確認し、工事内容、占用物件の有無、交通規制の要否、街路樹や道路施設への影響を事前に整理することが重要です。


街路樹付近の工事で問題になりやすいのは、図面上の施工範囲と、実際に影響を受ける範囲が一致しないことです。平面図では掘削幅が狭く見えていても、掘削機械の旋回、土砂の仮置き、作業員の動線、仮設防護、交通誘導員の配置、舗装切断、埋戻し、転圧、復旧舗装の施工範囲まで含めると、街路樹の幹や根の近くまで影響が広がることがあります。とくに歩道内や植樹帯周辺では作業ヤードが限られるため、作業の都合で植樹ますの中に資材を置いたり、幹に仮設物を固定したり、枝に接触する高さで機械を動かしたりしやすくなります。


また、街路樹の根は地中にあるため、着手前の目視確認だけでは全体像を把握できません。根は植樹ますの範囲内だけに収まっているとは限らず、歩道舗装の下、縁石の周辺、車道側の路盤近く、既設管路の周辺まで伸びていることがあります。根上がりや舗装のひび割れ、縁石のずれ、植樹ます周辺の沈下、排水ます付近の詰まりなどが見られる場合は、地中で根が施設に影響している可能性もあります。逆に、外観上は問題がなくても、過去の工事で根が切られていたり、土壌が締め固められていたりすることもあります。


したがって、直轄国道の街路樹付近で工事する際は、まず現地で街路樹の位置、樹種、幹の太さ、枝張り、植樹ますの形状、歩道幅員、車道との離隔、既設構造物、地下埋設物、排水施設、沿道出入口、バス停や横断歩道の有無を確認します。そのうえで、工事範囲が街路樹にどの程度近づくのか、根を傷める可能性があるのか、歩行者や車両の通行にどのような影響が出るのかを整理します。


街路樹付近の工事は、現場で少し位置をずらせば済むように見えることがあります。しかし、直轄国道では管理者、占用者、沿道利用者、通行車両、歩行者、自転車、周辺施設など、関係する主体が多くなりがちです。小さな変更でも、交通規制、復旧形状、管理境界、占用位置、排水勾配、将来の維持管理に影響する場合があります。着手後の現場判断だけに頼るのではなく、事前の現地把握と協議資料の精度を高めておくことが、手戻りを減らす第一歩です。


注意1:根域を想定して掘削範囲と施工方法を決める

街路樹付近の工事で最も注意すべき点は、根への影響です。街路樹の根は、樹木を支える機能、水分や養分を吸収する機能、土壌中で呼吸する機能を持っています。太い根を不用意に切断すると、樹木の支持力が低下し、風や車両振動を受けたときの安全性に影響するおそれがあります。細い根を広範囲に傷めると、すぐに倒伏につながらなくても、樹勢低下や枝枯れ、葉量の減少などが後日現れることがあります。


街路樹管理の実務では、樹木に必要な根の範囲や、根を守るための区域を想定し、その範囲をできるだけ避けて埋設や掘削の計画を行う考え方があります。具体的な扱いは、工事の種類、路線条件、街路樹の状態、道路管理者の基準によって異なります。幹の太さや幹周、歩道幅員、地下埋設物の位置、掘削深さを踏まえ、根への影響をできるだけ小さくする計画を立てることが求められます。


実務上は、平面図に街路樹の幹位置だけを点で記入するのでは不十分です。幹の中心、植樹ます、枝張り、想定される根域、掘削端、仮設材の位置、機械の作業範囲、舗装切断線、既設埋設物、復旧範囲を重ねて確認する必要があります。とくに歩道内の地下埋設工事では、管路の線形をわずかに変更するだけで根への影響を減らせる場合があります。逆に、設計上は街路樹を避けているつもりでも、実際の掘削幅、土留め、作業余裕、舗装復旧幅を加えると根域に入ってしまうことがあります。


掘削深さにも注意が必要です。浅い掘削であっても、細根が集中する層に影響する場合があります。深い掘削では、太い根や支持根に接触する可能性が高まります。既設管の更新や新設管の布設では、管底高、勾配、接続ますの位置を優先しすぎると、街路樹の根を大きく切断せざるを得ない計画になることがあります。設計段階で複数のルートや深さを比較し、根への影響、将来の維持管理、排水機能、交通規制のしやすさを総合的に判断することが大切です。


根域に近い範囲では、機械掘削だけを前提にしないことも重要です。根が出る可能性が高い箇所では、試掘を行い、根の位置や太さを確認しながら施工方法を調整する考え方が有効です。根が確認された場合は、無理に引きちぎったり、掘削機械のバケットで押し切ったりするのではなく、道路管理者や専門的な知見を持つ者の判断を踏まえて対応します。管理基準によっては、根域への影響が避けられない場合、有資格者や樹木管理に詳しい担当者の立ち会い、施工状況記録の作成などが求められることもあります。


また、根を避けることだけでなく、根の周辺環境を悪化させないことも大切です。根の近くで土砂を長時間仮置きすると、土壌が締め固められ、通気性や排水性が低下することがあります。重機や車両が植樹ます周辺を繰り返し通行すると、見た目には分かりにくくても土壌が圧密されることがあります。舗装復旧時に不適切な材料を根の近くに入れたり、過度に転圧したりすると、樹木の生育環境を損なう可能性があります。


直轄国道では、限られた時間で交通規制を解除しなければならない現場もあります。そのため、施工当日に根が見つかってから慌てて判断すると、工程、規制、復旧、関係者調整のすべてに影響します。事前に根域を想定し、掘削位置を見直す余地を持たせ、根が出た場合の連絡先、判断者、写真記録、施工変更の扱いを決めておくことで、現場の混乱を抑えやすくなります。


注意2:道路管理者との協議で許可条件と役割分担を明確にする

直轄国道の工事では、工事の種類によって必要な手続きや協議先が変わります。道路内に管路や設備を設置して継続的に使用する場合、道路管理者以外の者が道路に関する工事を行う場合、交通規制を伴う場合、既設の街路樹や道路施設に影響する場合では、それぞれ確認すべき事項が異なります。街路樹付近の工事では、占用位置や工事範囲だけでなく、街路樹の保全、仮設計画、復旧方法、施工中の記録、完了後の確認まで協議対象になることがあります。


国が管理する道路の占用や承認工事に関する手続きは、管轄する道路管理者に確認する必要があります。直轄国道の指定区間では、国道事務所や出張所などが実際の窓口になることが多いため、対象路線、施工場所、工事内容、交通規制の有無を整理したうえで相談を始めることが重要です。なお、自治体管理の国道や県道、市町村道では窓口や運用が異なるため、同じ国道という名称だけで判断しないよう注意します。


協議で避けたいのは、街路樹に関する説明が「支障なし」「現地で注意する」という表現だけで終わってしまうことです。道路管理者が判断しやすい資料にするためには、工事範囲と街路樹の位置関係を具体的に示す必要があります。平面図には、幹位置、植樹ます、掘削範囲、舗装復旧範囲、仮設防護、資材置場、作業車両の停止位置、歩行者通路、交通誘導員の配置を分かるように整理します。断面図には、掘削深さ、既設管路、計画管路、根が想定される範囲、舗装構成、埋戻し範囲を示します。写真には、撮影方向、路線の上下方向、起点側と終点側、車道側と民地側の関係が分かる情報を添えると、現場を知らない関係者にも伝わりやすくなります。


役割分担も明確にしておく必要があります。街路樹の枝が工事機械に支障する場合、施工者の判断で枝を切ってよいわけではありません。幹に傷がある場合、それが工事前からのものか、施工中に発生したものかを確認できるよう、着手前写真を残しておく必要があります。根が出た場合に誰へ連絡し、誰が施工継続の可否を判断し、どのような処置を行うのかも、事前に決めておくべきです。現場代理人、施工班、交通誘導員、測量担当、写真管理担当の間で認識がずれると、許可条件を満たしているつもりでも、実際の現場では街路樹を傷めてしまうことがあります。


街路樹付近の工事では、工期や交通規制時間の制約から、協議時に「現場で調整します」としたくなる場面があります。しかし、直轄国道は交通量が多い区間や沿道利用が複雑な区間も多く、現場での急な変更は、歩行者動線、車線規制、緊急車両の通行、沿道施設への出入りに影響します。とくに街路樹付近では、仮設通路を確保しようとして植樹帯に踏み込む、資材を置く場所がなく幹の近くに集積する、規制材を幹に近づけすぎるといった問題が起こりやすくなります。


協議資料では、通常時の施工手順だけでなく、想定外の根が出た場合、既設埋設物の位置が図面と違った場合、街路樹の根や枝と計画物が干渉した場合、雨天で掘削部の養生が必要になった場合なども考えておくと安心です。すべてのケースを細かく決め切る必要はありませんが、少なくとも連絡、確認、記録、判断、復旧の流れを明確にしておけば、現場での迷いを減らせます。


また、隣接する沿道施設や住民への説明も軽視できません。街路樹付近の工事では、落ち葉清掃、植樹ます周辺の段差、枝の張り出し、日陰、見通しなど、普段から沿道利用者が気にしている要素に触れることがあります。工事中に歩道が狭くなる場合や、植樹帯周辺を迂回させる場合は、案内の分かりやすさが苦情防止につながります。道路管理者との協議だけでなく、現場周辺に対する説明の仕方も、街路樹付近工事の品質の一部と考えるべきです。


注意3:根・幹・枝を傷めない現場管理を徹底する

街路樹付近の工事では、施工計画書に街路樹保護の方針を書くだけでは不十分です。実際の現場で根、幹、枝を傷めない管理を徹底できるかが重要です。工事が始まると、限られた作業時間の中で掘削、搬出、埋戻し、舗装復旧、規制撤去を進めるため、作業員の意識が工種そのものに集中しやすくなります。その結果、幹に資材が接触する、枝に機械が当たる、植樹ますに工具を置く、根を乾燥させたまま放置する、といった小さな不注意が発生します。


まず、幹の保護を明確にします。幹の近くで作業する場合は、作業前に傷や腐朽、傾き、支柱の状態を確認し、写真で記録します。工事中は、幹に資材を立てかけない、ロープや規制材を直接くくり付けない、機械や運搬車が接触しないよう離隔を確保する、必要に応じて仮設の保護を行うといった基本を徹底します。幹の表皮は樹木を守る重要な部分であり、外皮を削るような傷は樹勢に影響する可能性があります。小さな接触であっても、後日問題にならないよう、現場内で明確な禁止事項として共有しておくことが有効です。


次に、枝への接触を避けます。街路樹の枝は、歩道や車道の上に広がっていることがあり、作業車、積載物、仮設照明、標識、測量用の器具、舗装機械などが接触する可能性があります。とくに夜間工事や交通規制時間に追われる現場では、上方確認が不足しやすくなります。工事車両の進入経路、荷下ろし位置、機械のブームや荷台の高さ、仮設材の設置高さを事前に確認し、枝に触れない作業動線を設定します。枝が支障する場合でも、施工者が独自判断で切除するのではなく、道路管理者と協議したうえで扱いを決める必要があります。


根が露出した場合の管理も重要です。根は乾燥や直射日光、踏みつけ、引きちぎりに弱い部分です。根域に近い掘削では、根の切断を避けるために人力施工や小型機械の使用を検討し、露出した根は必要に応じて乾燥を防ぐ養生を行います。散水、湿潤状態の保持、直射日光の回避などは、現場条件と道路管理者の指示に応じて適切に判断します。


やむを得ず根を切る必要がある場合は、切断の可否、切断位置、処置方法を慎重に判断します。太い支持根を複数切断すると、樹木の安定性に影響するおそれがあります。細根であっても、広い範囲で失われると樹勢に影響します。掘削機械で根を引き裂くような施工は避け、専門的な判断に基づき、必要最小限の処置とします。工事範囲内で根の保全が難しい場合は、計画位置の変更、施工方法の変更、対象樹木の扱いの見直しなど、道路管理者と協議する余地を持つことが大切です。


埋戻し時にも注意が必要です。根の周辺に大きな空隙が残ると、舗装沈下や根の乾燥につながるおそれがあります。一方で、過度な締固めは根の呼吸や水分移動を妨げる可能性があります。根の近くでは、通常の道路構造として必要な締固めと、樹木の生育環境を損なわない配慮のバランスを取る必要があります。必要に応じて、埋戻し材料、締固め方法、水締めの扱いなどを道路管理者や専門的な知見を持つ担当者と確認します。


現場管理では、作業員全員が街路樹付近の注意点を理解していることが大切です。朝礼や作業前打合せで、当日の作業範囲、保護する街路樹、近づいてはいけない範囲、根が出た場合の連絡、写真記録のタイミングを共有します。交通誘導員にも、歩行者を誘導する際に植樹ます内へ誘導しないこと、規制材を幹に接触させないこと、歩行者が根元を踏み荒らさないよう注意することを伝えます。街路樹保護は造園担当だけの仕事ではなく、現場全体の品質管理です。


注意4:交通規制と歩行者動線を街路樹条件込みで設計する

直轄国道の工事では、交通規制計画が工事の成否を大きく左右します。街路樹付近の工事では、車両交通だけでなく、歩行者、自転車、沿道施設への出入り、バス停、横断歩道、交差点、排水施設、視認性などを同時に考える必要があります。街路樹は歩道内の有効幅員を狭める要素になる一方で、規制材や案内看板を設置する位置を制限する要素にもなります。そのため、通常の歩道内工事よりも仮設計画を丁寧に組み立てる必要があります。


まず、歩行者通路の確保を街路樹の位置込みで考えます。図面上では歩道幅員が十分にあるように見えても、実際には植樹ます、街路樹の幹、支柱、縁石、照明柱、標識柱、排水ます、乗入口の勾配などにより、有効に通行できる幅が限られることがあります。仮設防護柵や規制材を設置すると、さらに通行幅が狭くなります。車いす利用者、ベビーカー、高齢者、自転車を押して歩く人なども通行するため、単に人が通れる幅を残すだけでなく、安全にすれ違えるか、段差や傾きがないか、夜間でも分かりやすいかを確認します。


街路樹の根元や植樹ますを歩行者通路として扱うことは避けるべきです。植樹ます内は舗装面と高さが異なることがあり、踏み込みによる転倒リスクや樹木の根元への影響があります。工事中に歩行者を植樹ます側へ逃がすような規制にすると、根元の土壌が踏み固められたり、支柱や幹に接触したりするおそれがあります。歩行者動線は、街路樹を避けたうえで、連続性のある通路として計画します。


車両交通については、街路樹による見通しの変化に注意します。街路樹の幹や枝、植樹帯の低木、仮設看板、規制材が重なると、ドライバーから作業員や歩行者が見えにくくなることがあります。交差点付近、横断歩道付近、バス停付近、沿道駐車場の出入口付近では、特に視認性を確認します。交通誘導員の立ち位置も、街路樹の陰に入ると見えにくくなる場合があります。安全に見える位置と、実際にドライバーから認識しやすい位置は異なるため、現地で確認して調整することが必要です。


作業車両の停車位置も重要です。街路樹付近では、クレーン機能を持つ車両、舗装機械、土砂運搬車、資材搬入車などが枝に接触する可能性があります。荷台を上げる、アームを動かす、資材を吊る、標識や保安材を積み下ろすといった動作では、上方の枝を確認する必要があります。車両を街路樹に近づけすぎると、幹や支柱への接触だけでなく、根元周辺の土壌圧密にもつながります。作業車両の位置は、交通規制の効率だけでなく、街路樹への影響も踏まえて設定します。


夜間工事では、照明計画にも注意します。街路樹の枝葉が照明を遮り、作業箇所や歩行者通路に影を作ることがあります。逆に、照明の設置位置を優先するあまり、枝に器具が接触したり、幹の近くに重い設備を置いたりすることもあります。夜間は根や枝の状態を見落としやすく、写真記録も不鮮明になりがちです。街路樹付近で夜間施工を行う場合は、根元、掘削部、歩行者通路、車両誘導位置が十分に確認できる照明を確保し、照明機材そのものが街路樹に影響しないよう配置します。


雨天時や強風時の対応も考えておく必要があります。雨天では掘削部に水が溜まり、根が露出している箇所の土砂が流出することがあります。歩行者通路に泥水が流れると転倒リスクや苦情につながります。強風時には、枝の揺れ、仮設材の転倒、規制看板の飛散が問題になります。街路樹は風の影響を受けるため、支柱や枝の状態に不安がある場合は、無理に施工を進めず、関係者と安全確認を行うことが大切です。


交通規制と街路樹保護は別々の計画ではありません。歩行者を安全に通すための仮設が根を傷めることもあれば、街路樹を避けるための規制変更が車両の見通しを悪くすることもあります。直轄国道では、交通機能を確保しながら道路施設を適切に守る必要があるため、街路樹条件を最初から交通規制計画に組み込むことが、現場の安全性を高めます。


注意5:施工記録と復旧後の確認を残して手戻りを防ぐ

街路樹付近の工事では、施工記録が非常に重要です。工事前、施工中、埋戻し前、復旧後の状態を記録しておくことで、道路管理者への説明、社内検査、関係者との協議、後日の問い合わせ対応がしやすくなります。街路樹への影響は、工事直後に明確な形で現れるとは限りません。数週間後、数か月後に葉の状態が変わる、枝枯れが目立つ、舗装が持ち上がる、植樹ます周辺が沈下する、排水ますの流れが悪くなるといった形で問題化することがあります。そのため、工事時点の状態を客観的に残すことが重要です。


着手前には、街路樹ごとに幹、根元、植樹ます、支柱、枝張り、周辺舗装、縁石、排水ます、既設構造物の状態を撮影します。写真は近景だけでなく、路線方向が分かる全景、車道側から見た位置関係、歩道側から見た通行幅、掘削予定範囲との離隔が分かる構図も必要です。既存の傷、腐朽が疑われる箇所、傾き、支柱の破損、舗装の段差、根上がりがある場合は、施工前から存在したことが分かるよう記録します。


施工中は、掘削位置、根の有無、根が露出した場合の状態、養生状況、根を避けた施工状況、埋戻し材料、転圧状況、舗装復旧、仮設通路、交通規制の状況を記録します。道路管理者から施工状況記録の作成や提出を求められている場合は、その様式や撮影項目に従って整理します。特に根の切断、枝の処置、植樹ます周辺の復旧など、後日の説明が必要になりやすい箇所は、施工段階ごとに記録を残すことが望まれます。


根が出なかった場合でも、記録は不要とは考えない方が安全です。根が出なかったこと、計画範囲で施工できたこと、街路樹に接触しないよう保護したことを記録しておけば、後日の説明がしやすくなります。根が出た場合は、根の位置、太さ、方向、掘削深さ、処置前後の状態、道路管理者や専門者への確認状況を残します。現場で判断した内容を口頭だけで済ませると、完了後に説明が難しくなるため、写真と記録票を組み合わせて残すことが望ましいです。


復旧後の確認では、舗装や縁石がきれいに戻っているかだけでなく、街路樹の根元周辺に不自然な沈下や盛り上がりがないか、植樹ますの排水が妨げられていないか、支柱や保護材に損傷がないか、歩行者通路に段差が残っていないかを確認します。根の近くで埋戻しを行った場合は、土壌が乾きすぎていないか、空隙が残っていないか、過度に締め固められていないかにも注意します。


工事完了時には、完成形だけでなく、将来の維持管理に必要な情報も整理します。新たに設置した管路や構造物の位置、街路樹との離隔、点検口やますの位置、根の侵入を防ぐために配慮した箇所、復旧材料、施工中に確認した既設埋設物の位置などは、次回の工事や維持管理で役立ちます。直轄国道では、同じ区間で別の占用者や別工事が後日施工することもあります。今回の記録が将来の工事リスクを減らす資料になるという意識が必要です。


特に街路樹付近では、写真の撮り方が品質を左右します。幹と掘削範囲の距離感が分からない写真、どちら向きに撮ったか分からない写真、夜間で暗く根の状態が見えない写真、復旧後の全景しかない写真では、後から確認したときに十分な説明になりません。撮影時には、位置が分かる目印、測定値、方向、対象樹木、施工段階が伝わるように工夫します。必要に応じて、写真だけでなく、測定メモや図面上の位置と紐づけて整理すると、現地と施工範囲の関係を説明しやすくなります。


街路樹付近の工事では、トラブルを完全にゼロにすることは簡単ではありません。既設図面と現地が違う、根が想定外の方向に伸びている、歩道幅員が思ったより狭い、交通規制を設置すると作業ヤードが不足するなど、現場で初めて分かることもあります。だからこそ、事前の現地把握、施工中の判断記録、復旧後の確認を一連の流れとして残すことが重要です。記録が丁寧であれば、変更協議や追加説明が必要になった場合でも、事実に基づいて落ち着いて対応できます。


まとめ:街路樹付近の工事は現地把握の精度が品質を左右する

直轄国道の街路樹付近で工事を行う際は、街路樹を避けるかどうかだけでなく、根域、幹、枝、歩行者動線、交通規制、地下埋設物、排水施設、復旧後の維持管理まで含めて考える必要があります。街路樹は地上に見えている部分だけで判断できないため、図面上の施工範囲と実際の影響範囲にずれが生じやすい対象です。掘削範囲、仮設ヤード、資材置場、作業車両の位置、舗装復旧範囲を含め、現地条件を丁寧に確認することが大切です。


注意すべきポイントは、根域を想定した施工計画、道路管理者との協議、根・幹・枝を傷めない現場管理、街路樹条件を踏まえた交通規制と歩行者動線、施工記録と復旧後確認の5つです。これらは別々の作業ではなく、互いに関係しています。根を避ける計画にすると作業ヤードが変わり、作業ヤードが変わると歩行者通路や交通規制が変わり、交通規制が変わると仮設材の位置や写真管理の方法も変わります。街路樹付近工事では、このつながりを早い段階で把握することが、手戻りや苦情、管理者協議の長期化を防ぐ近道です。


実務担当者にとって重要なのは、現場の状態を正確に把握し、関係者が同じ情報を見ながら判断できるようにすることです。幹と掘削範囲の離隔、根が想定される範囲、歩道の有効幅員、仮設材の配置、交通誘導員の立ち位置、復旧後の形状を、写真、図面、測定メモなどで整理できれば、協議や施工管理の精度は高まります。


直轄国道の街路樹付近工事では、限られた道路空間の中で、安全、品質、工程、環境配慮を同時に成立させる必要があります。現地確認を丁寧に行い、街路樹への影響を見える化し、施工中の記録を確実に残すことが、結果的に工事全体の信頼性を高めます。街路樹、縁石、埋設物、歩行者通路、施工範囲の位置関係を早い段階で整理し、道路管理者や関係者と共有できる状態にしておくことが、街路樹付近工事を安全に進めるための基本です。


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