直轄国道沿いで出入口を整備したり、歩道部の形状を変更したり、埋設物工事に伴って歩車道境界の縁石を一時撤去したりする場合、現場で見えている縁石だけを対象に考えると手戻りが起きやすくなります。直轄国道は交通量が多く、歩行者、自転車、沿道利用者、物流車両、バス、緊急車両など多くの利用が重なるため、縁石の撤去・復旧は小規模に見えても道路機能や安全管理に直結します。
特に注意したいのは、縁石が単なる境界材ではなく、車道と歩道の分離、排水の誘導、舗装端部の保護、視覚的な線形誘導、出入口形状の整理、道路附属物との取り合いなど、複数の役割を持っている点です。撤去範囲を少し広げただけでも、舗装復旧、集水桝、側溝、点状ブロック、標識柱、防護柵、照明柱、埋設管、民地側の乗入れ計画まで影響することがあります。
この記事では、直轄国道の縁石撤去・復旧で実務担当者が事前に確認すべき6項目を、協議、現地調査、撤去、仮復旧、出来形、記録管理の流れに沿って整理します。現場ごとに道路管理者の運用や条件は異なるため、ここで示す内容は一般的な確認観点として読み、実際の施工では必ず該当する国道事務所、出張所、警察署、発注者、関係占用者との確認を前提に進めることが重要です。
目次
• 直轄国道の縁石撤去・復旧で最初に押さえる考え方
• 確認1 管理区分と施工範囲を曖昧にしない
• 確認2 許可・承認・警察協議の役割を分ける
• 確認3 既設縁石と周辺構造物の状態を読む
• 確認4 撤去時の仮復旧と交通安全を具体化する
• 確認5 復旧仕様と出来形管理を現場で合わせる
• 確認6 写真・測位・竣工資料で説明できる状態にする
• 直轄国道の縁石工事を手戻りなく進めるために
直轄国道の縁石撤去・復旧で最初に押さえる考え方
直轄国道で縁石を撤去・復旧する工事は、見た目の規模だけで判断してはいけません。数メートルの縁石撤去であっても、道路区域内で構造を変更する行為に当たる場合があり、道路管理者との事前確認が必要になります。店舗や工場、物流施設、駐車場、工事用仮設ヤードなどの出入口をつくる場合は、歩道切下げ、乗入れ部の舗装構成、排水、交通処理、視距、歩行者の安全なども合わせて検討する必要があります。
縁石撤去を単独作業として考えると、撤去そのものは短時間で終わるように見えます。しかし、直轄国道では交通量が多く、歩道を通行する人も多いため、撤去後に段差や開口部が残る状態、仮舗装が不安定な状態、雨水が滞留する状態、車両が想定外の方向から乗り入れる状態をつくると、事故や苦情につながります。現場の作業時間よりも、協議、調査、規制計画、仮復旧、完成確認の準備に手間をかけることが、結果的に工程を安定させます。
また、直轄国道の縁石は、周辺の舗装、排水施設、道路標識、照明、信号設備、地中埋設物、防護柵、植樹帯、視覚障害者誘導用ブロックなどと密接に関係しています。縁石だけを復旧しても、隣接する舗装端部が沈下したり、集水桝との高さが合わなかったり、歩道の横断勾配が急になったりすれば、完成後の確認で指摘を受ける可能性がありま す。特に既設道路は過去の補修履歴や沈下、オーバーレイ、部分改修が重なっていることが多く、図面どおりの断面になっているとは限りません。
そのため、直轄国道の縁石撤去・復旧では、現地にあるものを外して戻すだけではなく、道路管理者が求める完成形に対して、現況がどうなっているかを読み解く姿勢が必要です。申請図や施工計画では線で表される範囲でも、現場では数センチの高さ差、舗装の割れ、排水の向き、既設構造物の偏りが問題になります。事前確認の精度が低いと、施工当日に規制範囲を広げざるを得なくなったり、材料が不足したり、復旧後の高さ調整でやり直しが発生したりします。
縁石撤去・復旧を円滑に進める第一歩は、管理区分、許認可、現況、仮設、復旧品質、記録という6つの観点を分けて整理することです。どれか一つだけを確認しても十分ではなく、相互に関係させながら施工前に詰めておく必要があります。
確認1 管理区分と施工範囲を曖昧にしない
最初に確認すべきなのは、工事を行う場所がどの道路管理者の管理範囲に入るか、そして縁石撤去・復旧の対象がどこからどこまでなのかです。直轄国道という言葉から国が管理している区間を想定することはできますが、国道であっても区間や場所によって管理の扱い、接続する市道や県道、歩道内の占用物、沿道民地との境界が複雑になることがあります。現地では国道本線、側道、取付道路、交差道路、民地出入口、歩道、植樹帯が連続して見えるため、図面上の道路区域と現場感覚が一致しない場合があります。
縁石の撤去・復旧では、道路区域内の構造物だけでなく、民地側の舗装や排水、車両動線も影響します。たとえば店舗出入口の計画では、道路側の縁石を撤去しても、民地側の勾配が急すぎれば車両が歩道部で腹を擦る、歩行者が通りにくくなる、雨水が道路側へ流出するなどの問題が起きます。反対に、民地側の計画だけを優先して道路側の高さを変えると、既設歩道の連続性や排水計画を崩すおそれがあります。
施工範囲を決める際は、縁石の本数や延長だけでなく、端部の取り合いを必ず確認します。既設縁石と新設縁石の接続部、歩道舗装との境界、車道舗装との縁、集水桝や側溝との接続、防護柵基礎や標識柱との離隔など、仕上がりに影響する点を現地で押さえることが必要です。図面上は直線で表されていても、実際には縁石の曲線部、すりつけ部、すり下げ部、切下げ端部が混在していることがあります。ここを曖昧にしたまま進めると、撤去後に既設材をどこまで残すか判断できず、復旧時に中途半端な継ぎ目が残ります。
また、直轄国道では道路附属物や占用物が近接していることが多く、縁石撤去の際に触れてはいけない施設を明確にしておく必要があります。照明柱、標識柱、信号関連設備、通信管路、電線共同溝、排水施設、植栽ます、視覚障害者誘導用ブロックなどは、縁石と近接して配置されることがあります。これらを一時的に移設する必要があるのか、保護すればよいのか、施工範囲から外すのかによって、協議先や工程が変わります。
管理区分の確認では、境界杭や道路台帳図、占用図、現地測量結果、過去の復旧図、発注者から提供された資料を照合し、現地で説明できる状態にしておくことが大切です。特に出入口整備では、車両が実際に通る幅と、道路管理者が承認する切下げ幅が一致しない場合があります。大型車の軌跡を 優先しすぎて縁石撤去幅を広げると、歩道の安全性や沿道交通への影響が大きくなるため、必要最小限の範囲を根拠付きで示す姿勢が求められます。
施工範囲が明確になれば、材料数量、撤去材の処分、仮復旧範囲、交通規制範囲、写真管理範囲も整理しやすくなります。逆に、施工範囲が曖昧なまま着工すると、現場判断で範囲を広げたり、復旧端部を後で調整したりすることになり、完成後の説明が難しくなります。小規模な縁石工事ほど、最初の範囲確認を丁寧に行うことが重要です。
確認2 許可・承認・警察協議の役割を分ける
直轄国道で縁石撤去・復旧を行う際は、道路管理者との協議と警察との協議を混同しないことが重要です。道路管理者は、道路構造、道路区域、占用物、施工方法、復旧仕様、維持管理上の支障などを確認します。一方、警察は、工事中の交通規制、道路使用、通行車両や歩行者の安全、交通処理の妥当性などを確認します。どちらか一方の確認だけで十分だと考えると、着工直前に不足が判明し、工程に影響することがあります。
縁石撤去・復旧が道路構造の変更を伴う場合、道路管理者の承認や許可が必要になることがあります。たとえば出入口を新設するために歩道を切り下げる、既設の歩車道境界を変更する、車両乗入れ部の舗装構成を変える、排水施設の位置や勾配に影響する、といった場合です。また、工事に伴って仮設物、材料、機械、保安施設などを道路上に置く場合や、地下埋設物、看板、配管などの継続的な設置に関係する場合は、占用の扱いを確認する必要があります。
ここで大切なのは、申請名や制度名を現場側だけで決め打ちしないことです。道路管理者の窓口では、工事の目的、施工主体、完成後に道路内へ残るもの、道路構造の変更内容、工事期間中の道路使用状況によって必要な手続きが変わる場合があります。縁石を一時撤去して原形復旧するのか、出入口形状として恒久的に変更するのか、歩道舗装や排水まで改修するのかによって、求められる資料も変わります。
警察協議では、車道規制だけでなく歩道規制も軽視できません。縁石撤去は歩車道境界で行うため、作業帯が歩道側 と車道側の両方に影響することがあります。歩行者をどこへ誘導するのか、自転車通行をどう扱うのか、車道側へはみ出す作業があるのか、資材搬入車が停車する位置はどこか、夜間作業の場合に照明や視認性は確保できるのか、といった点を具体化する必要があります。交通量の多い直轄国道では、短時間作業であっても規制図、保安員配置、作業時間帯、緊急時対応を整理しておくことが望まれます。
また、道路管理者への協議資料と警察への協議資料は、目的が違っても内容がつながっている必要があります。道路管理者に提出した施工範囲と、警察に示した規制範囲が食い違っていると、現場で説明が混乱します。撤去範囲、仮復旧範囲、材料置場、作業車両の停車位置、歩行者迂回経路、施工時間帯は、同じ現場情報に基づいて整合させることが大切です。
工事の発注者、施工者、設計者、沿道事業者が分かれている場合は、誰がどの手続きを担当するかも明確にします。申請者と施工者が異なる場合、道路管理者や警察からの条件が現場まで正確に伝わらないことがあります。許可条件、承認条件、施工時間、復旧方法、立会いの要否、工事完了後の提出資料などは、現場代理人や主任技術者だけでなく、実際に作業する 班まで共有しておく必要があります。
許可・承認・警察協議は、書類を出すための作業ではなく、現場で安全に工事を行い、完成後に道路機能を損なわないための事前調整です。縁石撤去・復旧のように小規模に見える工事でも、関係者の役割を分け、条件を一覧化し、施工計画に反映することで、着工後の判断迷いを大きく減らせます。
確認3 既設縁石と周辺構造物の状態を読む
縁石撤去・復旧で手戻りを防ぐには、既設縁石の状態を現地で細かく確認する必要があります。縁石の種類、寸法、天端高さ、車道側の露出高、歩道側の舗装高さ、縁石背面の固定状態、基礎の状態、目地の状態を見ておかないと、撤去後に復旧材料や施工方法が合わないことがあります。特に古い国道では、過去の補修や舗装の重ね打ちによって、標準的な形状と現況がずれていることがあります。
既設縁石が沈下している場合や、部分 的に傾いている場合は、単純な原形復旧でよいのか、周辺の高さに合わせて調整するのかを事前に協議する必要があります。現況が悪いまま復旧すると、完成後に見た目は既設に合っていても、排水不良や段差が残ることがあります。一方で、周辺よりきれいに直しすぎると、既設部との取り合いで不自然な勾配や段差が生じることもあります。どちらを優先するかは現場判断だけで決めず、道路管理者や発注者と確認しておくことが大切です。
排水施設との関係も重要です。縁石は車道端の水の流れを誘導する役割を持つことがあり、集水桝、側溝、街渠、横断排水、民地側排水との高さ関係が崩れると、雨天時に水たまりが発生します。撤去範囲の近くに集水桝がある場合は、桝の天端、グレーチングの状態、流入方向、既設舗装の勾配を確認します。出入口整備で縁石を切り下げる場合は、車両が乗り入れやすくなる一方で、水が民地側へ流れ込む、または民地側の水が道路へ流れ出る可能性もあります。
歩行者空間の確認も欠かせません。縁石復旧後に歩道幅が狭くならないか、横断勾配が急にならないか、車いすやベビーカーが通りにくい段差が残らないか、視覚障害者誘導用ブロックとの離隔や連続性に問題がないかを 見ます。縁石撤去の目的が車両出入口である場合、車両の使いやすさに意識が向きがちですが、直轄国道では歩行者の安全と通行性を維持することが非常に重要です。
近接する道路附属物や占用物も現地で確認します。標識柱、照明柱、信号柱、防護柵、車止め、植栽、電気通信設備、マンホール、弁室、止水栓、排水桝などが近くにある場合、撤去機械やカッター、バックホウ、転圧機械の作業スペースが制限されます。図面では十分に離れているように見えても、現場では支柱基礎が想定より大きい、舗装下に不明なコンクリートがある、既設配管が浅いといったこともあります。
撤去前調査では、写真だけでなく、位置と高さを残しておくことが役立ちます。縁石の始点、終点、切下げ端部、集水桝、既設舗装のひび割れ、段差、欠け、沈下などを記録しておくと、施工後に「工事で壊したものか、もともとあったものか」を説明しやすくなります。近隣店舗や沿道住民とのトラブルを防ぐ意味でも、着工前の現況記録は丁寧に行うべきです。
既設状態を読む力は、復旧品質に直結します。縁石撤去は壊す作業ですが、事前調査は完成形を想像する作業です。どこを残し、どこを直し、どこを保護し、どこを道路管理者に確認するのかを現地で見極めることが、縁石工事の成功を左右します。
確認4 撤去時の仮復旧と交通安全を具体化する
縁石撤去・復旧で事故や苦情が起きやすいのは、完成後よりも施工中です。縁石を外した直後は、歩車道境界が不明確になり、段差、開口部、未転圧部、仮舗装部、資材置場が発生します。直轄国道では通行量が多いため、わずかな不整でも歩行者のつまずき、自転車のふらつき、車両の接触、雨天時の泥はね、夜間の視認不足につながります。撤去作業そのものだけでなく、撤去した後にどの状態で一時開放するのかを具体的に決めておく必要があります。
仮復旧の考え方は、施工期間と交通への影響で変わります。当日中に本復旧まで終える場合でも、撤去から復旧までの間に歩行者や車両が近接するなら、保安施設、敷鉄板、仮舗装、段差解消材、バリケード、誘導員の配置が必要になることがあ ります。複数日にわたる場合は、夜間や休工日に現場をどのような状態で残すのか、雨天時に排水がどうなるのか、資材や撤去材をどこへ搬出するのかを明確にしなければなりません。
交通安全では、車道側の規制だけでなく、歩道側の通行確保が重要です。縁石工事は歩道端で行われるため、歩行者を車道側へ誘導するのか、民地側へ迂回させるのか、片側交互のような車両規制と同時に行うのかによって、危険の種類が変わります。歩道が狭い場所では、作業員、通行者、資材、機械が同じ空間に集中しやすくなります。通学路、バス停付近、店舗出入口、横断歩道付近、交差点付近では、通常以上に慎重な計画が必要です。
撤去方法も安全と品質に影響します。縁石を無理に引き抜くと、隣接する舗装や残置する縁石を傷めることがあります。舗装切断、目地切り、はつり、吊り上げ、搬出の順序を決め、残す部分にひび割れや欠けが広がらないようにします。特に既設縁石の一部だけを撤去する場合、端部の処理が悪いと復旧後の目地が乱れたり、既設材の欠損が目立ったりします。カッター排水や粉じん、騒音、振動にも配慮が必要です。
仮復旧では、段差解消と排水確保を軽視してはいけません。車両乗入れ部として使用する前提がある場合、仮舗装の厚さや転圧不足によって沈下が起きると、車両通行時に舗装が崩れたり、歩道側に段差が発生したりします。雨天時に水がたまると、通行者の足元が悪くなるだけでなく、復旧前の路盤や基礎が乱れる原因にもなります。短期間の仮復旧であっても、道路利用者から見ればその状態が道路の安全性そのものになります。
施工中の情報共有も重要です。現場で予定外の埋設物や劣化、空洞、湧水、既設構造物の破損が見つかった場合、現場判断で復旧形状を変えるのではなく、発注者や道路管理者へ速やかに共有し、対応を記録します。直轄国道では、現場を早く片付けたいという心理が働きやすいですが、根拠のない応急対応は後の検査や維持管理で問題になります。
撤去時の仮復旧と交通安全は、施工計画書に書いて終わりではなく、現場条件に合わせて実際に機能させる必要があります。保安施設を置く位置、誘導員が立つ位置、歩行者が迷わない表示、夜間の視認性、雨天時の対応、緊急車両が通る場合の退避方法まで、現場で再確認してから着工することが大切です。
確認5 復旧仕様と出来形管理を現場で合わせる
縁石復旧で最も重要なのは、道路管理者や発注者が求める復旧仕様と、現場の出来形を一致させることです。縁石の種類や寸法、基礎材、基礎コンクリート、敷きモルタル、目地、舗装復旧範囲、転圧方法、養生時間などは、現場ごとに条件が定められる場合があります。既設と同等に戻せばよいと思っていても、出入口として恒久的に使う場合は、通常の歩道部より強度や舗装構成を求められることがあります。
復旧仕様を確認する際は、縁石本体だけでなく、下部構造と周辺舗装を含めて考えます。縁石の通りがきれいでも、基礎が不十分であれば車両乗入れや凍上、雨水の影響で沈下や傾きが生じることがあります。特に車両が乗り入れる箇所では、乗用車だけでなく配送車、工事車両、緊急車両など、実際に想定される車両荷重を考慮する必要があります。民間施設の出入口では、開業後の利用状況が設計時の想定より多くなることもあります。
高さ管理では、縁石天端、車道側舗装面、歩道側舗装面、切下げ部のすりつけ、既設端部との接続を確認します。数センチの誤差でも、歩行者のつまずき、車両乗入れ時の衝撃、排水不良、見た目の不整合につながります。既設道路には縦断勾配や横断勾配があり、単純に水平に据えればよいわけではありません。測点ごとの高さを確認し、既設の流れに自然につながるように復旧する必要があります。
平面位置も同じく重要です。縁石の通りが車道側へ出すぎると車両接触の原因になり、歩道側へ入りすぎると有効幅員を狭めることがあります。曲線部や交差点付近では、わずかな位置ずれが視認性や車両軌跡に影響します。出入口部では、車両が斜めに進入する場合や、大型車が内輪差で縁石に近づく場合もあります。施工前に計画線を現地へ落とし込み、道路管理者や発注者と必要に応じて確認しておくと、復旧時の迷いが減ります。
舗装復旧との取り合いでは、切断線、復旧幅、既設舗装との段差、転圧、舗装端部の密着がポイントになります。縁石だけを新しくしても 、隣接舗装が割れていたり、仮復旧のまま沈下したりすれば、完成状態として不十分に見えます。歩道舗装、車道端部、乗入れ部舗装、民地側舗装の境界が複雑な場合は、どの範囲まで本復旧するのかを事前に明確にします。
出来形管理では、延長、幅、高さ、勾配、通り、段差、復旧面積、材料使用状況などを現場で記録します。不可視となる基礎や路盤、転圧状況、既設構造物との取り合いは、完成後に確認しにくくなるため、施工中の記録が重要です。特に直轄国道の工事では、完成後に道路管理者へ説明できる資料が求められることがあります。写真だけでなく、測定値、位置情報、施工日、作業内容を整理しておくと、検査や問い合わせへの対応が容易になります。
復旧仕様と出来形を合わせるためには、現場の経験だけに頼らず、施工前の基準確認、施工中の測定、施工後の確認を連続させることが必要です。縁石は道路利用者の目に触れやすく、わずかな不陸や通りの乱れも目立ちます。完成後に「少し合わないが問題ないだろう」と判断するのではなく、施工中に調整できる段階で確認を重ねることが、品質確保につながります。
確認6 写真・測位・竣工資料で説明できる状態にする
直轄国道の縁石撤去・復旧では、工事が終わった後に説明できる記録を残すことが欠かせません。完成した見た目だけでは、撤去範囲、既設状態、基礎の施工状況、仮復旧の安全対策、材料の使用状況、出来形測定の根拠までは分かりません。現場で問題が起きなかったとしても、後日、沈下、ひび割れ、排水不良、段差、沿道からの問い合わせが発生したとき、記録がなければ原因の切り分けが難しくなります。
写真管理では、着工前、撤去前、撤去中、基礎確認、縁石据付、舗装復旧、完成、清掃後の状態を流れで残します。着工前写真は、既設の欠け、ひび割れ、沈下、舗装の傷み、周辺施設の状態が分かるように撮影します。撤去中の写真は、どこまで撤去したか、残置部をどう保護したか、想定外の構造物があったかを説明できるようにします。完成写真は、同じ方向から撮るだけでなく、歩行者目線、車両進入方向、排水方向、端部の取り合いが分かる角度も残しておくと実務で役立ちます。
位置情報の管理も重要です。縁石工事は延長が短いことが多いため、図面上で大まかに示すだけでは、後から正確な施工位置を特定しにくい場合があります。始点、終点、切下げ端部、集水桝、標識柱、出入口中心、道路境界付近など、基準となる点を現地で測定しておくと、竣工図や出来形資料の精度が上がります。特に複数の小規模工事が同一路線で続く場合、写真だけでは場所の取り違えが起きやすいため、位置と写真を結びつけて管理することが有効です。
竣工資料では、承認条件や協議条件に対して、実際にどう施工したかを整理します。撤去延長、復旧延長、舗装復旧範囲、使用材料、施工日、交通規制日、立会い結果、出来形測定値、不可視部写真、完成写真などを、後から追える形にまとめます。提出先によって必要資料は異なりますが、道路管理者が確認したいのは、道路構造と安全性が条件どおりに確保されているかです。施工者側の都合で撮った写真だけではなく、相手が確認しやすい構成にすることが大切です。
記録管理で注意したいのは、現場写真と図面、測定値が互いに対応していることです。写真には写っているが図面に位置がない、測定値 はあるがどの点か分からない、完成図には反映されているが施工中写真がない、といった状態では、資料としての説明力が弱くなります。直轄国道の現場では、関係者が多く、工事後に別の担当者が資料を見ることもあります。担当者本人が覚えていなくても分かる記録にすることが、実務上の安全策です。
また、縁石撤去・復旧では、工事後の維持管理を意識した記録も重要です。どの範囲を新しくしたのか、既設のまま残した部分はどこか、既設劣化があった箇所はどこか、出入口利用によって将来傷みやすい箇所はどこかを残しておくと、後の補修判断に役立ちます。小さな工事であっても、道路の履歴として残る情報には価値があります。
現場での測位、写真、メモを一体で管理できる体制があると、縁石撤去・復旧の記録精度は大きく向上します。紙の野帳や個別写真だけに頼ると、後から整理するときに場所と内容の対応が崩れやすくなります。現場で位置を押さえながら写真を残し、施工範囲や出来形をその場で確認できる仕組みを使うことで、竣工資料の作成や関係者への説明がスムーズになります。
直轄国道の縁石工事を手戻りなく進めるために
直轄国道の縁石撤去・復旧は、作業そのものは限定的に見えても、道路管理、交通安全、歩行者動線、排水、舗装、占用物、沿道利用に関わる重要な工事です。手戻りを防ぐには、管理区分を確認し、許可・承認・警察協議の役割を分け、既設縁石と周辺構造物の状態を読み、撤去中の仮復旧と交通安全を具体化し、復旧仕様と出来形を合わせ、最後に写真・測位・竣工資料で説明できる状態にすることが必要です。
特に実務で差が出るのは、施工前の現地確認と記録の質です。図面だけでは分からない段差、沈下、排水の流れ、既設構造物のずれ、歩行者の通り方、車両の入り方を現地で把握しておけば、協議資料や施工計画に具体性が出ます。反対に、現地確認が浅いまま着工すると、撤去後に問題が見つかり、仮復旧や復旧仕様の変更、追加協議、工程遅延につながりやすくなります。
直轄国道では、道路利用者に与える影響が大きいため、現場判断だけで進める範囲をできるだけ減らし、事前に確認した条件に沿って施工することが大切です。とはいえ、既設道路では掘ってみなければ分からないこともあります。そのため、想定外が発生したときにすぐ共有できる写真、位置、測定値、メモを残す体制を用意しておくことが、現場対応力を高めます。
縁石撤去・復旧の品質は、完成時の見た目だけでなく、数か月後、数年後に道路として安全に機能し続けるかで評価されます。段差が出ないこと、排水が滞らないこと、歩行者が安全に通れること、車両が想定外の動きをしないこと、道路管理者が維持管理しやすいことまで含めて、完成形を考える必要があります。小規模工事ほど記録が省略されがちですが、小規模だからこそ、位置や高さの根拠を残しておくことで、後の説明が容易になります。
現場の確認、位置の記録、写真管理、出来形整理を効率よく進めたい場合は、スマートフォンを活用した高精度な現場記録の仕組みが有効です。LRTK Phoneを使えば、縁石の撤去範囲、復旧端部、集水桝や道路附属物との取り合い、完成後の出来形確認などを、位置情報とともに現場で記録しやすくなります。直轄国道のように説明責任が求められる現場では、施工した場所と写真、測定情報を結びつけて残せることが、協議、検査、維持管理まで含めた大きな安心材料になります。
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