top of page

【初心者必見】モバイルスキャンを使った3D点群スキャンの始め方

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

モバイルスキャンとは何か(概要と仕組み)

近年、建設業や測量の現場で3D点群スキャンという技術が注目されています。点群データとは、対象物や空間を構成する多数の点の集まりで、それぞれの点がX・Y・Zの3次元座標(場合によっては色情報も)を持つものです。写真が画素の集まりで2次元情報を記録するのに対し、点群は3次元の点の集合体として現実の立体形状をデジタルに記録できます。点群データを処理することで、現場の状況をリアルな3Dモデルとして再現し、設計図面との比較や寸法計測、施工の進捗管理などに役立てることができます。


しかし、従来このような高精度の3D点群を取得するには、レーザースキャナーや写真測量用ドローンなど高価な専門機材と高度なスキルが必要でした。手間もコストもかかるため、現場で気軽に使えるものではなかったのです。そこで新たに注目されているのが、モバイルスキャンと呼ばれる手法です。これは文字通りスマートフォンなどのモバイル端末で行う3Dスキャンのことで、身近なデバイス一つで点群データを取得できる画期的な方法として注目されています。例えば最新のiPhoneにはLiDAR(ライト検出と測距)センサーが搭載されており、このセンサーを利用することでスマホが簡易3Dスキャナーとして機能します。スマートフォンをかざして周囲をスキャンするだけで、数メートル以内の環境を点群データとして記録することが可能です。


スマホを使ったモバイルスキャンでは、赤外線レーザーを照射して物体までの距離を高速に測定するLiDARセンサーとカメラの両方を駆使します。LiDARで形状(距離情報)を取得し、カメラで色やテクスチャを取得して組み合わせることで、カラー付きの3D点群モデルをリアルタイムに生成できます。その場で画面に3Dモデルを表示しながらスキャンできるため、三脚を据えて機械を動かす従来の計測と比べてはるかに手軽です。


モバイルスキャンの利点は、何と言っても「手軽さ」と「低コスト」です。スマホさえあれば特別な機材が不要で、操作も直感的なので初心者でも扱いやすい点が魅力です。国土交通省主導の *i-Construction* 推進も相まって、施工管理や維持点検の分野でこうしたデジタル計測が普及し始めています。今やスマホひとつで現場を丸ごと3D記録できる時代が到来しつつあるのです。


もっとも、スマホ単体のスキャンだけではカバーしきれない課題もあります。例えばスマホのLiDARで取得した点群には、緯度経度や標高といった絶対座標(地球上の位置情報)が付与されません。スキャン結果はあくまで相対的な座標系で記録されるため、測量の基準点とひも付けたり他のデータと統合したりするには追加の処理が必要です。また測定範囲や精度にも限界があり、広大な現場全体を高精度に測るには不向きな場合もあります。そこで登場したのが、スマホのモバイルスキャンと組み合わせて使えるRTK-GNSSという高精度測位技術です。RTK(Real Time Kinematic)方式のGNSSならば数センチメートルの誤差で位置を測定できるため、スマホに外付けのRTK受信機を連携させることで、取得した点群にリアルタイムで高精度な位置情報を付与することが可能になります。この「スマホ + RTK」という組み合わせによって、専門業者に頼らなくても誰もが簡単にセンチ単位の精度で3D点群測量を行える未来が現実味を帯びてきました。詳細は後述しますが、モバイルスキャンに高精度測位を組み入れることで、現場計測の可能性はさらに大きく広がります。


必要な機材(スマートフォン、RTK-GNSS受信機、スキャンアプリなど)

モバイルスキャンを始めるために必要な機材はごくわずかです。基本的には「スマートフォン」「高精度GNSS受信機」「3Dスキャン用アプリ」の3つがあればOKです。従来の3D計測に比べて初期導入費用も低く、スマホと数十万円程度の追加機材を用意するだけでスタートできます。


スマートフォン:最近のスマホであれば多くの場合利用可能ですが、特におすすめはLiDARセンサー搭載の機種です。例えば iPhone 12 Pro以降のモデルや対応するiPad Proには背面にLiDARセンサーが内蔵されており、高精度な距離計測が可能です。LiDAR非搭載のスマホでも写真解析(フォトグラメトリ)に対応したアプリで3Dモデル化することもできますが、手軽さではLiDAR対応機種が圧倒的です。まずは対応端末を準備し、バッテリーを十分充電しておきましょう。

RTK-GNSS受信機:スマホに接続して使う高精度GPS受信機です。RTK方式(リアルタイムキネマティック)のGNSSに対応した受信機を用意することで、スマホで取得する点群にセンチメートル単位の位置情報を付加できます。近年はスマホと一体化できる小型軽量のRTK受信機が各社から登場しており、Bluetoothや専用ケーブルでスマホと連携して使用します。ポケットに入るサイズながら、測位誤差を飛躍的に小さくできる心強い機材です。価格も専用測量機器に比べて安価で、現場スタッフ全員に持たせても経済的な低コストが実現できます。

3Dスキャン用アプリ:スマートフォンにインストールして使用する、点群計測のためのアプリケーションです。各種アプリストアから入手可能で、無料または低価格で利用できるものがいくつも存在します。LiDAR対応アプリでは、カメラとセンサーを使ってリアルタイムに点群を取得し、その場でデータの保存や共有ができます。初めての方は評価の高いアプリを1つ選んでインストールすると良いでしょう。アプリを起動するとカメラとLiDARにアクセスする許可を求められるので許諾します。また、RTK受信機と連動するには専用の計測アプリや設定が必要な場合もあるため、機器のマニュアルに従って接続設定を行ってください。


このほか、あると便利なものとしてモバイルバッテリー(外部電源)やスマホ用スタビライザー(ジンバル)などがあります。3Dスキャン中はスマホのバッテリー消費が激しいため長時間作業する場合は予備電源を携行しましょう。また、ジンバルはスマホを安定保持して手ブレを抑える補助道具で、必須ではありませんが、より滑らかなスキャンを行いたい場合に役立ちます。


準備と初期設定手順(アプリインストール、測位設定など)

準備として、機材とアプリの設定を整えましょう。以下に初期設定の手順を示します。


機材の接続と起動: スマートフォンにRTK-GNSS受信機を装着し、電源を入れます。Bluetooth接続の場合はスマホの設定からペアリングを行い、ケーブル接続の場合は正しく装着されていることを確認します。受信機のインジケータやアプリ上で接続状態をチェックし、GNSS衛星を受信し始めていることを確認してください。

測位設定の確認: スマホで3Dスキャン用アプリを起動し、RTKモードで高精度測位が行える状態に設定します。初めて使用する際には、RTKの基準局情報や補正サービスの設定をアプリ内で入力する必要があるかもしれません(例:インターネット経由で基地局データを受信する設定など)。指示に従って必要な項目を設定したら、GNSSの受信状態を確認します。アプリ画面上に現在の測位精度や「Fix(固定解)」といった表示が出ていれば、高精度測位が有効になっています。測位が不安定な場合は、見通しの良い空へ移動したり、設定を再確認してみましょう。

スキャン範囲と環境の準備: 続いて、どの場所・対象をスキャンするか決めます。初心者の方は、いきなり広大な現場全体を測るのではなく、小さな範囲から試してみることをおすすめします。例えば室内の一部屋、身近な構造物の一面、重機や配管設備の一部など、数メートル四方の範囲から練習すると良いでしょう。スキャン対象を決めたら、事前にその周辺を簡単に片付けておきます。余分な障害物や動く物(人や車両)は可能な限り排除し、安定した環境を整えましょう。照明も適切に配置し、暗すぎたり逆光が強すぎたりしない状態にしておくと、より綺麗にスキャンできます。

アプリの初期設定: スキャン前にアプリ内の設定を確認します。計測単位(メートル表示かなど)やデータ保存先、点群の解像度設定など、必要に応じて初期設定を調整してください。多くの場合デフォルト設定のままで問題ありませんが、心配な場合はチュートリアルやマニュアルに目を通しておくと安心です。また、スキャンモードの選択があるアプリでは「点群モード」「メッシュモード」など目的に応じたモードを選びます(初めは標準的な点群取得モードで構いません)。準備が整ったら、新規スキャンを開始できる状態になります。


以上の手順を完了すれば、いよいよ点群スキャンの計測に移る準備ができました。次に、実際の点群取得の操作ステップを見ていきましょう。


点群取得の操作ステップ(歩き方、スキャンのコツなど)

それでは実際に点群の取得を行う手順を見てみましょう。スキャン中の操作ポイントを順を追って解説します。


スキャン開始: アプリの計測画面で新規スキャンを開始します。通常「Start」や「スキャン開始」ボタンを押すと、カメラ映像上に点群の取得が始まります。画面にはスマホが捉えている映像とともに、取得された点群がリアルタイムで表示されていきます。最初はドキドキするかもしれませんが、画面に点の集まりが現れていく様子を確認しながらゆっくり進みましょう。

スマホの構え方と角度: スキャン中はスマートフォンをできるだけ両手でしっかりと安定させて持ちます。片手持ちだとブレが生じやすいので注意してください。地面や床など水平面を計測する際は、スマホを地面に対して約30〜45度程度傾け、斜め下方向にカメラを向けると良好な結果が得られます。真上から真下を見下ろす角度だとカメラ視界に遠方の地平線や空ばかりが入り、センサーが自己位置を見失いやすくなるためです。壁や崖面など垂直の対象をスキャンする場合は、その面に対してできるだけ正面から直角にカメラを向けるよう意識します。斜め方向からレーザーを当てると反射が弱くなり、壁面の点がまばらになる傾向があります。対象物に対してなるべく直角に近い角度でセンサーを当てるイメージで構えてください。

移動速度とスキャン経路: スキャンしながら移動する際は、ゆっくり滑らかに動くことが肝心です。歩く速さは普段の半分以下を目安に、一歩ずつ確実に撮影する感覚で進みます。急に向きを変えたり振り返ったりせず、カメラの向きをなめらかに動かしましょう。もし手ブレが心配な場合は一旦立ち止まって姿勢を整え、再度ゆっくり歩き始めると良いです。広い範囲をスキャンする場合は、効率良く取り残しがないよう計画的に動くことがポイントです。例えば部屋全体を取るなら壁沿いにぐるっと一周し、必要に応じて中央部分も縦横に移動してカバーします。屋外ではエリアをいくつかのブロックに分け、ジグザグに歩いて全域を網羅する方法が有効です。一度スキャンした場所を長時間後に再度通過すると、アプリが同じ場所だと認識できずに点が二重に記録されてしまう「ゴースト」と呼ばれる現象が起こる場合があります。同じ所を二度スキャンしないのが基本ですが、万一見落としに気付いたらすぐ引き返して補完するようにしましょう。広範囲を無理に一度で取ろうとせず、必要に応じてエリアを分割して別々にスキャンする方が結果的に高精度なデータを得られます。

対象に焦点を当て続ける: スキャン中は常に狙いたい対象物が画面中央に映るよう心がけます。カメラのプレビューに空や床ばかりが大きく写っていると、自己位置推定(SLAM)の精度が低下しやすくなります。また、人や車など動いている物体をフレームに入れないことも重要です。動く被写体が映り込むと、その部分の点群がノイズとなったり、位置合わせに狂いが生じたりします。できる限りスキャン中は周囲の環境が静止した状態を保ち、自分自身も一定のペースで動き続けましょう。リアルタイム表示される点群を見ながら、取り残している箇所がないか随時チェックします。点が全く出ていない隙間や影になっている部分があれば、その部分にカメラを向けて追加でスキャンしてください。取得された点群が十分に対象を覆っていると判断できたら、次の工程に進みます。

スキャン終了とデータ生成: 対象エリアを一通りスキャンし終えたら、アプリ上で完了ボタン(「Finish」や「完了」など)を押して計測を終了します。終了後、自動的にスマホ内部で点群データの生成処理(ポストプロセス)が行われます。この処理には数秒〜数十秒程度かかることがあります。処理が完了すると、取得できた点群データが画面上に3Dモデルとして表示され、自由に回転・拡大して確認できるようになります。一部のアプリではノイズ点の除去や領域のトリミングなど簡易的な編集機能も備わっているので、気になる箇所があればこの段階で修正します。問題がなければデータを保存し、点群ファイルをエクスポートして計測作業は完了です。


データの保存とクラウド共有(取得後の処理・確認)

無事に点群データを取得できたら、その保存と活用方法を押さえておきましょう。取得後の処理や共有の手順は以下の通りです。


データの保存形式: スキャンアプリで生成した3Dデータは、用途に応じて様々な形式でエクスポート(書き出し)できます。一般的な点群データとしては、各点の座標値(+色情報)を格納する`.ply`や`.xyz`形式、あるいはレーザースキャナー業界標準の`.las`形式などがあります。また、点群から生成されたメッシュモデル(ポリゴンデータ)として、テクスチャ付きの`.obj`や`.fbx`、汎用的な3Dシーン形式の`.glb`、AR表示用の`.usdz`なども選択可能です。純粋な点群として活用したい場合は`.ply`や`.las`、3Dモデルとして扱いたい場合は`.obj`や`.glb`といった具合に、目的に合わせて形式を選びます。初心者の方はひとまず汎用性の高いカラー点群の`.ply`テクスチャ付き`.obj`で保存しておくと良いでしょう。

CADや測量ソフトとの連携: 保存した点群データは、建設・土木分野では出来形管理や図面作成の補助など様々なシーンで役立ちます。専用の点群処理ソフトやCADソフトにインポートすれば、現場の地形をもとに断面図を作成したり、設計データと照合して施工精度を検証したりといった解析が可能です。例えば舗装後の路面点群から厚みを計算したり、掘削前後の地形点群を比較して盛土・残土量を算出したりといった活用が考えられます。主要な土木CADソフトウェアの多くは点群の読み込みに対応しているため、スマホで取得した点群を背景に設計モデルを重ねて可視化するといったことも容易です。ただし、スマホ点群は取得範囲や精度に限界があるため、公式な検測ではトータルステーション等で取得した基準点と併用し、点群は補助として使うのが現実的です。その際には基準点の座標と点群データを後処理で合致させる(ジオリファレンスする)ことで、ローカル座標系しか持たない点群に公共座標を与えることもできます。

クラウドへの共有: 取得した点群データは容量が大きくなりがちですが、インターネット上のクラウドストレージを活用すれば簡単にバックアップ・共有できます。例えば計測後にスマホから社内のクラウドフォルダにアップロードし、オフィスの同僚に共有リンクを送れば、その場にいない人でもブラウザ上でデータを閲覧・ダウンロードしてもらえます。スキャンアプリによっては独自のクラウドプラットフォームを提供しており、アップロードするだけでWeb上に3Dビューアが生成され、他者とインタラクティブに点群モデルを共有できる機能もあります。現場でスマホから点群を即座にクラウド共有し、遠隔地のメンバーとリアルタイムに状況を確認するといった使い方をすれば、報告や意思決定のスピードも格段に向上します。通信圏外の場所で取得した場合も、後で電波が入る場所へ移動してアップロードすればクラウド同期が可能です。

3DビューワーやARでの活用: 保存した点群データや3Dモデルは、専用ソフトがなくても手軽に視覚化して共有できます。PC上ではフリーの点群ビューアソフトを使って詳細にデータを観察したり、不要なノイズを削除したりすることができます。また、スマホやタブレットでエクスポートしたモデルを表示し、AR(拡張現実)機能で実際の風景に重ねてみることも可能です。例えば、スキャンした構造物の3Dモデルをその場でAR表示して関係者に見せれば、写真や図面だけでは伝わりにくい情報も直感的に共有できます。点群データはこのように計測・設計からプレゼンテーションまで幅広く活用できるデジタル資産となります。クラウドと組み合わせれば社内外への情報展開も容易なので、積極的に共有・利活用してみましょう。


よくある失敗と注意点(測位が不安定、点群が抜ける等)

最後に、モバイルスキャンを行う上でよくある失敗や注意すべきポイントを整理しておきます。初めての計測で陥りがちなトラブルを事前に知っておけば、失敗を減らしスムーズに作業できるでしょう。


測位が不安定になる: RTK-GNSSを使う場合、周囲の環境によっては衛星信号が遮られ、測位が不安定(Float解状態)になることがあります。高い建物の近くや樹木の下、トンネル内などでは十分な衛星が捕捉できず、位置精度が低下します。対策として、できるだけ見通しの良い空が開けた場所で測位する、衛星が多く出ている時間帯を選ぶ、あるいは日本の補強衛星(みちびき・CLAS)の利用に対応した機器を用いるなどが有効です。測位ステータスが「Fix(固定)」から外れた場合は、一旦立ち止まってアンテナの向きを調整したり、再びFixになるのを待ってからスキャンを続行すると安全です。

点群が抜け落ちる(計測できない部分がある): LiDAR方式には苦手な対象物があります。代表的なのは鏡・ガラス・水面などの反射や透過が極端なものです。レーザーが跳ね返らなかったり正反射してしまうため、これらの面は点群にほとんど映らないか誤った位置に点が飛びます。また、黒い物体も注意が必要です。黒色は光を吸収しやすく、レーザーが当たっても十分な反射光が得られずに点群がスカスカになりがちです。実際、黒い服を着た人や黒い舗装面は点が抜けて形状が再現されにくい傾向があります。対策として、明るいライトで照らしてやる、異なる角度から何度かスキャンして反射を拾う、といった方法がありますが、完全に補えるとは限りません。透明や鏡面のものは「写らなくて当たり前」と割り切って、必要に応じて現場で写真を併用するなど他の手段で補完しましょう。

環境の揺らぎによる誤差: スキャン中は周囲の環境がなるべく静止していることが理想です。強風で樹木や草が大きく揺れていたり、近くで重機が走行して地面が振動したりしていると、点群にブレやノイズが混入し精度が落ちます。風でなびく旗や動いている人など動的な被写体は、可能な限りカメラに映さないようにしましょう。どうしても風が避けられない場合は、風が一瞬弱まったタイミングで測る、あるいは揺れている対象物は後で点群データから削除する前提で記録するといった対応も考えられます。スマホスキャンはオペレーターである人間が動かす手持ち計測なので、足場の悪い場所や高所での作業、安全面には十分注意し、無理な姿勢でのスキャンは避けてください。

明るさ・日光の影響: LiDARセンサーは屋内や夜間の暗い環境でも動作しますが、強い直射日光は苦手です。太陽光に含まれる赤外線ノイズの影響で、屋外の真昼にスキャンするとセンサーが乱され精度が低下する場合があります。できれば曇りの日や朝夕など直射日光が弱い時間帯を選ぶと良いでしょう。どうしても炎天下で測る必要がある場合は、スマホに日傘で影を作る、LiDARの露出補正設定を調整するといった工夫も考えられます。また、暗すぎる環境ではカメラで色が取得できないため、夜間にカラー点群を取りたいときは現場を照明で照らすか、深度データだけ取得して後から写真合成する方法(対応アプリが必要)を検討してください。

デバイスの熱暴走とバッテリー: スマホの処理能力は高いとはいえ、長時間の3Dスキャンでは端末が高温になります。夏場に直射日光の下で連続スキャンを行うと、短時間で本体が熱くなり内部で自動的に処理速度が制限されたり、最悪アプリが強制終了してしまうこともあります。そうなると途中までの計測データが失われてしまうため、暑い日はこまめに休憩を挟む、スマホケースを外して放熱を良くする、携帯扇風機で風を当てるなどの熱対策を取りましょう。同時にバッテリー消費も激しいため、モバイルバッテリーを用意しておき、こまめに充電できるようにします。スキャンの途中で電源が落ちてしまうと計測は最初からやり直しになってしまいます。開始前に十分充電しておき、余裕を持った電源管理を心がけてください。

計測範囲の限界: スマホによるモバイルスキャンは、オペレーターが手で持って歩ける範囲が計測可能範囲の上限となります。LiDARセンサーの届く距離もせいぜい5m前後です。高所や狭隘部など物理的に近づけない場所の点群は取得できません。そのような場合は無理をせず、ドローンによる写真測量や高所用の専用機材など他の計測手法も組み合わせて検討しましょう。スマホ単体で無理にすべてを賄おうとすると「届かない」「見えない」箇所が出てきます。逆に言えば、人が歩いて計測できる範囲であればスマホで十分カバーできるとも言えます。対象や目的に応じて適材適所で手法を選択し、安全かつ確実にデータを取得しましょう。


以上の点に注意すれば、「測位が不安定でデータが使い物にならない」「スキャンしたのに重要な部分が抜けていた」といった失敗を大きく減らせるはずです。事前にリスク要因を把握し、現場状況に応じて対策を講じることで、モバイルスキャンをより効果的に活用できるでしょう。


LRTKの導入と簡単な測量の始め方(自然な紹介と導入メリット)

さて、ここまでスマホとRTKを組み合わせたモバイルスキャンについて解説してきましたが、実際に現場で活用するにはどのように導入すればよいでしょうか。その答えの一つが、レフィクシア社が提供するLRTK(スマホ一体型RTKソリューション)の活用です。LRTKを導入すれば、これまで測量の専門知識が必要だった高精度計測を誰でも手軽に始めることができます。最後に、LRTKを使った簡単な測量の流れと、その導入メリットを紹介して締めくくります。


LRTKを用いた現場測量の流れ(例):


現場でのデータ取得: スマートフォン(iPhoneなど)に小型RTK受信機(LRTKデバイス)を装着し、専用アプリを起動します。測りたい対象に向けてスマホのカメラ/LiDARで周囲をスキャンしたり、必要な地点でポイント測量(単点の位置記録)を行います。例えば地盤全体をぐるりとスキャンしつつ、要所では単独測位で水準点の高さを記録するといったことが可能です。

リアルタイム測位と記録: アプリ上では衛星からの測位データにRTK補正がリアルタイム適用され、取得中の点群や測点に高精度な座標(公共座標系など)が自動付与されていきます。計測中は画面に現在の測位ステータス(Fix/Float)や推定精度が表示されるため、精度を確認しながら作業できます。記録したデータにはタイムスタンプや使用座標系の情報も自動保存され、現場でメモを取る手間も減ります。

クラウドへの共有: 計測が終わったら、スマホからワンタッチでデータをクラウドストレージにアップロードします。通信圏内であれば現場から即座に社内クラウドに点群データや測点情報を共有でき、オフィスにいるスタッフがWebブラウザでデータを確認可能です(オフラインの場合も後で圏内に移動してアップロードすればOKです)。

オフィスでの解析・活用: クラウドに上がったデータをもとに、離れた場所の技術者が必要な解析を行います。例えば取得した点群を専門ソフトで開き、体積計算や断面図作成、設計モデルとの照合などを実施します。現場で取得直後のデータを全員で即時に共有・活用できるため、従来より格段にスピーディーで効率的な測量ワークフローが実現します。


LRTK導入の主なメリット:


携帯性と即応性: LRTK受信機はポケットに収まるコンパクトサイズで、スマホに装着しても負担になりません。作業員一人ひとりが常に携行できるため、「測りたい」と思ったその場ですぐに計測を開始できます。従来のように測量班の到着を待つ必要がなくなり、日常業務の延長で素早く対応可能です。

瞬時にセンチ級測位: 電源投入後、数十秒で衛星を捕捉してRTKの固定解(Fix)を取得できます。スマホアプリ上でFixが得られれば、即座に現在位置をセンチメートル単位で記録可能です。基準点出しや高さ確認もその場で行え、待ち時間を大幅に短縮します。専用アプリでは複数回の測位平均による精度向上もワンタップで行え、単点測位でも8〜12mm程度の精度に収まることが確認されています。

低コストと業務効率化: スマホと組み合わせることで専用機器より価格は超リーズナブルになっており、現場スタッフ全員に持たせても経済的です。1人1台の配備で測量待ちのロスが減り、同時並行で複数箇所のデータ取得も可能になるため、結果的に現場全体の生産性が飛躍的に向上します。また、クラウド連携により現場で取得したデータが即座に社内で共有できるため、報告・検討プロセスも効率化します。

マルチな計測機能: スマホ一体型のLRTKはGNSS測位だけでなく、スマホのカメラLiDARと連携して写真測量点群計測にも活用できます。位置情報付きで現場写真を撮影して記録すれば後日の追跡が容易になりますし、LiDARスキャンした点群データから体積計算や平面図作成も可能です。これ1台で「測位」「写真記録」「点群スキャン」「ARによる合成表示」まで対応できるため、まさに万能測量機と言えるでしょう。

独自技術による信頼性: LRTKは日本の準天頂衛星システム(みちびき)のCLASにも対応しており、通信圏外でも単独でセンチ級測位を維持できる点は他にない強みです。

クラウドサービスとの連携: LRTKシリーズには専用のLRTKクラウドプラットフォームが用意されており、測量データの保存・管理・共有までワンストップで提供できるエコシステムも魅力でしょう。他のRTK機器では得られないこれらの付加価値を踏まえると、現場のDXを推進する上でLRTKは有力な選択肢と言えます。


LRTKの登場により、「スマホだけで測る」というこれまで夢のようだったスタイルが現実のものとなりました。国土交通省が推進するi-Constructionにも適合する最新技術であり、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。もし本記事をお読みの皆様の中で、高精度なモバイルスキャンに興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度LRTKの詳細情報をチェックしてみてください。導入に際しての不明点は専門スタッフがサポートしてくれるので安心です。最先端のLRTKを活用して、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page