モバイルスキャンとは何か
モバイルスキャンとは、スマートフォン(特にiPhoneなど)と最新の技術を組み合わせることで、高精度な測位と3次元点群データの取得を手軽に実現する新しい測量手法です。近年、建設・土木の現場では測量のデジタル化が進み、スマホのカメラやLiDARセンサー、GPS機能を活用した「スマホ測量」が注目されています。スマートフォンに小型のRTK-GNSS受信機を装着し、リアルタイムで誤差補正を行うことで位置精度をセンチメートル級まで高められます。また、スマホ内蔵のLiDARによって周囲をスキャンすれば、現場の状況を3Dの点群データとして記録できます。従来は高価な専用機器が必要だったこれらの作業が、モバイルスキャンにより誰でも・すぐに・安価に行えるようになりつつあります。
従来の測量機器と手法
従来の測量では、目的に応じて様々な専用機器や手法が使われてきました。代表的なものには次のような例があります。
1.光学式の測角・測距機で、プリズムなどの目標に向けて角度と距離を測り、高精度な座標を求めます。ミリメートル単位の精度が得られるため基準点測量などに欠かせませんが、1点ずつ目標に照準して測るため効率は低く、通常は2人(測量士と補助者)での作業が必要です。また、視通しが確保できる範囲内でしか測れない制約もあります。 2. 人員がGNSS受信機(GPS測量機)を持って歩き回り、衛星測位によって座標を取得する手法です。RTK方式やネットワーク型測位(VRSなど)を用いれば数センチの精度が得られ、一人で広範囲を測量できる利点があります。しかし、受信機や基地局など機材の初期コストが高く、天空の見通しが悪い場所(山間部や高層ビル街、屋内など)では測位精度が低下したり測定ができないという課題があります。 3. 三脚据え置き型やハンディ型のレーザー測量機で、レーザービームを高速照射して周囲の距離を面的に測定し、大量の点群データを取得します。一度のスキャンで数百万点もの点を取得でき、構造物や地形をミリ単位の精度で詳細に記録できるのが強みです。ただし、機器が大型・高価で、データ処理や位置合わせにも専門知識が必要です。複数地点からのスキャンデータを統合する手間もかかるため、現場全体をカバーするには時間と労力を要します。 4.小型無人機(ドローン)にカメラを搭載し、上空から撮影した多数の写真を解析して地形の3Dモデルや点群を生成する手法です。短時間で広範囲の地表面を測れるため土量計算や用地測量に活用されています。しかし、航空法に基づく飛行許可やオペレーターの技能が必要であり、天候や飛行禁止区域などの制約を受けます。写真測量で精度を出すには地上に多数の標定点(ターゲット)を設置する必要があり、データ処理にも時間がかかります。
以上のように、従来の測量機器はそれぞれ高い性能を持ちながらも、コストや人手、作業時間、専門知識などの面で導入ハードルがありました。例えば、高価な機材を揃えることが難しい中小企業にとっては最新の3D測量技術の利用が限定されていたのが実情です。
モバイルスキャン(LRTK)の特徴とメリット
スマートフォンとRTK技術を組み合わせたモバイルスキャンは、上記の課題を解決する画期的なアプローチです。中でもLRTKは、iPhoneに装着できる超小型のRTK-GNSS受信機と専用アプリ・クラウドサービスからなる製品で、スマホを高精度な測量機器に一変させる統合ソリューションです。
LRTKを使用したモバイルスキャンには次のような特徴とメリットがあります。
• 高精度な測位: スマホに取り付けた小型GNSS受信機がリアルタイムで位置補正を行い、水平・鉛直ともに数センチの誤差に抑えた高精度測位が可能です。従来のスマホ内蔵GPSでは数メートルの誤差がありましたが、RTK(リアルタイムキネマティック)技術により測位誤差を飛躍的に低減しています。得られる座標は公共座標系(世界測地系)に基づくため、基準点や設計図面の座標と直接比較・照合できます。
• 点群スキャン機能: iPhoneの内蔵LiDARセンサーを活用し、周囲をかざして歩くだけで現場の3D点群データを取得できます。取得範囲はLiDARの届く数メートル程度ですが、必要に応じて移動しながら隅々までスキャン可能です。RTKによる位置補正を併用することで、スキャン中に自己位置が常に高精度に補正され、全ての点群に絶対座標(グローバル座標)を付与できます。そのため、広範囲を歩き回ってもデータの位置ズレや歪みが生じにくく、測量図や施工図と整合性の取れた3Dデータが得られます。
• 作業効率と安全性: 点群スキャンを用いることで 、これまで一つ一つ測っていた地形や構造物の形状を短時間で一括取得できます。例えば、盛土の体積計算であれば盛土全体をスキャンするだけでその場で体積が算出でき、従来は数日かかった出来形計測が数分で完了したケースも報告されています。危険箇所の測量にも有効で、人が立ち入れない崖崩れ現場や高所の構造物も遠巻きにスキャンして詳細な記録が可能です。現場での計測回数自体を減らせるため、作業員の負担軽減やヒューマンエラーの低減にもつながります。
• 誰でも使える簡便さ: スマホアプリの直感的なインターフェースによって、特別な訓練を受けていない技術者でも扱いやすいのも利点です。複雑な設定や高度な測量知識がなくても、画面の指示に従って進めれば測位や点群取得が行えます。従来は専任の測量士に頼らざるを得なかった作業も、モバイルスキャンなら現場監督や職長クラスのスタッフが自ら測量をこなせるようになります。
• クラウド連携とデータ共有: LRTKのアプリで取得した位置情報や点群データは、そのままクラウド上にアップロードして保存・共有できます。オフィスに持ち帰ってUSBでデータをコピーするような手間は不要で、現場で取得した最新の3Dデータを即座に社内や協力会社と共有可能です。クラウド上の点群ビューアを使えば、PC上で距離や面積・体積を測 定したり、設計データと重ね合わせて検討したりすることもできます。これにより、現場とオフィス間でデータをシームレスに受け渡しでき、測量後すぐに図面作成や解析に着手できるようになります。
• AR表示・ナビゲーション: モバイルスキャンで得た高精度データは、スマホの画面上でAR(拡張現実)表示することも可能です。例えば、取得した点群や設計上の座標を現実の風景に重ねて表示し、工事の進捗を視覚的に確認したり、埋設物の位置を透視的に示したりできます。さらに、アプリの「座標誘導」機能により、設定した目標点に作業員を誘導するナビゲーションができるため、一人で杭打ち位置の墨出し(位置出し)作業を行うことも可能です。ARを活用することで、現場での施工精度と作業の省力化を同時に実現します。
以上のように、LRTKを活用したモバイルスキャンは、高精度・低コスト・省力であり、かつデータ活用まで見据えた包括的な測量ソリューションです。それでは次に、従来の測量手法と比較して具体的にどのような 違いがあるのか、ポイントごとに見ていきましょう。
精度の比較
精度の面では、従来の測量機器にもそれぞれ強みがあります。トータルステーションは条件が整えばミリ単位の極めて高い精度で測定できますし、3Dレーザースキャナーも近距離であればミリレベルの詳細な形状を取得できます。一方、GNSS測量(RTK)は数センチ程度の位置精度を得られ、広範囲の測位には効果的です。ドローン写真測量では、地上に設置した基準点との合わせ技で数センチ〜数十センチの精度を期待できます。ただし、いずれも方法によって得意不得意のレンジや条件があります。例えば、レーザースキャナーは遠距離になると精度が落ち、写真測量も対象物や撮影条件によって誤差が変動します。
モバイルスキャン(LRTK)の精度は、基本的にはRTK-GNSSの精度に支えられています。良好な衛星受信環境下でRTKがFix解(固定解)となれば、LRTKは水平・垂直ともにほぼ±数センチの位置精度で自己位置を把握できます。LiDARによる点群の相対精度も数センチ程度であるため、全体として実用十分な精度で3次元計測が可能です。もちろん、ミリ単位の厳密な精度を要求される基準点の設置や機器検校などの用途では、引き続きトータルステーション等の出番があるでしょう。しかし一般的な地形測量や出来形管理においては、モバイルスキャンで得られる精度で必要要件を満たせるケースが大半です。現に、LRTKで取得した点群データに基づき、施工前後の形状差分をチェックしたり、出来形図書を作成したりといった実利用が各地で始まっています。「スマホでここまで高精度に測れるのか」と驚く現場技術者も多く、精度面でも従来手法に比肩しうるレベルに達しています。
導入コストの比較
導入コストの面でも、モバイルスキャンには大きな利点があります。従来の測量機器は総じて高額で、最新のトータルステーションや高精度GNSS受信機、3Dレーザースキャナーなどは、一式揃えると数百万円規模の投資が必要でした。またソフトウェアや維持管理費用もかかるため、小規模事業者にとって負担となっていました。その点、モバイルスキャンで必要なのはスマートフォンと小型GNSS受信機、そしてアプリケーションだけです。スマホはすでに多くの人が持っている身近なデバイスですし、GNSS受信機も従来機器に比べて格段に安価に提供されています。LRTKの価格は公式には公開されていませんが、「一人一台持てるほどリーズナブルな水準」に設定されており、現場スタッフ全員に行き渡らせることも現実的です。初期費用が抑えられることで、社内で試験導入しやすく、費用対効果を検証しながら徐々に本格運用に移行できるメリットがあります。
さらに、モバイルスキャンは機材の集約にも貢献します。スマホという汎用端末が測量機器の役割を兼ねるため、余分な専用機器を多数揃える必要がありません。例えば従来は、測量用の機械+制御用の端末+カメラ+メモ帳…とバラバラだったものが、スマホひとつで代替可能になります。これにより機器購入費だけでなく、運搬コストや管理コストも削減されます。
作業効率の比較
作業効率について比較すると、モバイルスキャンの優位性が際立ちます。トータルステーションによる測量は高精度ながら1点ずつの測定で時間がかかり、広い現場をカバーするには測点の移設を繰り返す必要がありました。GNSS測量は比較的スピーディに多数点を観測できますが、それでも点ごとに静止して測るプロ セスが必要です。一方、モバイルスキャンであれば、移動しながら連続的にデータを取得できるため大幅な時間短縮が可能です。例えば一人が現場を歩き回ってLiDARスキャンを行えば、数万〜数百万点にも及ぶ膨大な測点が数分で集まり、地形全体をほぼ一度で記録できます。従来は難しかった「抜け・漏れのない測量記録」も短時間で達成できるのです。また、ドローン写真測量では現場での撮影自体は早く済んでも、後処理の写真合成に長時間(時には数日)が必要でしたが、モバイルスキャンなら取得した点群をその場でクラウド送信し、短時間で結果を確認できます。
作業効率という観点では、安全対策や準備時間の短縮も見逃せません。モバイルスキャンはスマホと小型機器のみで行えるため、機材のセッティング時間や移動の手間が大幅に減ります。大掛かりな三脚設置やドローン飛行計画の準備が不要で、思い立ったタイミングですぐ測量を開始できます。加えて、一人で完結できる作業が増えることで、人員の調整や待機時間もなくなり、現場全体のスケジュール効率も向上します。
運用人数の比較
従来の測量手法では、運用に必要な人数にも違いが見られます。トータルステーション測量では測量機を操作する者と標尺やプリズムを持つ補助者の2人1組が基本でした。熟練者が不足している場合、現場全体の測量を外注に頼らざるを得ないこともありました。ドローン測量でも、安全確認のために操縦者と監視役の複数名が必要となるケースがあります。
これに対し、モバイルスキャンは原則1人で完結可能です。スマホとLRTKデバイスを携行した1名が現場を歩くだけで測量ができるため、人員手配のハードルが下がります。もちろん、広大な現場では複数人がそれぞれスマホ測量機を持って同時に作業すれば一層効率が上がります。誰もが使えるスマホ測量機を各自に配備できれば、「一人一台で測量」というこれまでにない体制が実現し、測量待ちによる工事停滞も解消されるでしょう。
安全性の比較
安全性の観点からも、モバイルスキャンは従来手法にない利点をもたらします。従来の測量では、危険な場所での作業リスクが常につきまといました。例えば交通量の多い道路上での測点設置、高所での計測、崖崩れや災害現場への立ち入りなど、人が測りに行くこと自体が危険なケースがあります。ドローンは人が直接立ち入らなくて済む手段ではありますが、墜落リスクや電波障害の心配があり、飛行場所によってはかえって安全管理が難しい場合もあります。
モバイルスキャンであれば、人が危ない場所に踏み込まずにデータ収集を行える機会が増えます。LiDARスキャンはある程度離れた位置からでも可能なので、急傾斜地の下から斜面全体をスキャンしたり、立入禁止区域の外側から内部の状況を記録したりといった使い方ができます。また機材がコンパクトで身軽な分、足場の悪い場所でも転倒や機器落下のリスクを抑えて作業できます。さらに、作業時間の短縮は屋外作業における熱中症や転落などのリスク露出時間を減らす効果も期待できます。モバイルスキャンで取得した点群データを活用すれば、危険箇所はデータ上で詳細を把握して、現地での人力確認を最小限にするといった安全重視の運用も可能になるでしょう。
教育負担の比較
新しい技術を導入する際に問題となるのが教育・習熟の負担ですが、この点でもモバイルスキャンは優位性があります。トータルステーションやGNSS測量機、3Dスキャナーなどは高度な専門知識や経験が求められ、熟練の測量士を育成するには長い時間と研修コストが必要でした。現場ごとに担当者が限られるため、特定の人に負荷が集中する傾向もありました。
LRTKを用いたスマホ測量では、学習コストが格段に低減します。普段使い慣れたスマートフォンのアプリ操作が基本となるため、デジタルツールに抵抗がない若手はもちろん、ベテラン層でも直感的に扱いやすい設計です。実際の操作手順もシンプルで、初期設定さえ整えば測位開始から点群取得、データ共有まで画面の案内通り進めるだけです。数回使えばコツを掴めるため、現場でのOJTを通じて短期間で複数のスタッフが戦力化できます。また、各人が自分のスマホで試せるため練習機会も豊富で、1台の機械を順番に使うより習熟が早まります。教育負担が軽くなることで、新技術導入への心理的ハードルも下がり、現場全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しやすくなるという効果も期待できます。
クラウド連携の比較
クラウド連携は、モバイルスキャンの大きな強みの一つです。従来の測量では、取得データをSDカードやUSBメモリで持ち帰り、事務所のPCで集計・解析するといった流れが一般的でした。そのため現場とオフィスでデータにタイムラグが生じ、必要な情報をすぐ共有できないもどかしさがありました。紙の野帳や写真帳で記録していた場合、情報の抜け漏れや伝達ミスが起こるリスクもありました。
モバイルスキャンでは、現場とオフィスがリアルタイムに繋がります。LRTKのクラウドサービス上に点群データや測点座標をアップロードすれば、インターネット経由で即座に関係者が閲覧・活用できます。例えば現場で測った地形の点群をクラウド共有しておけば、その日のうちに本社で設計担当者がデータを確認し、必要に応じて追加測量箇所の指示を出す、といったことも可能です。3次元データは視覚的に分かりやすいため、関係者間で現況の共通認識を持ちやすく、打ち合わせや意思決定もスムーズになります。また、クラウド上にデータを蓄積しておくことで、後日別のプロジェクトで再利用したり、経年変化を比較したりといったデータ資産の活用も容易です。モバイルスキャンにおけるクラウド連携は、単なるデータ保管ではなく、現場の情報を即座に共有することで施工管理や維持管理の効率化を支える重要な基盤となっています。
現場適応力の比較
最後に、現場適応力すなわち様々な現場環境や状況への対応力について比較します。従来の測量機器は、それぞれ得意なシチュエーションが異なります。トータルステーションは開けた場所で威力を発揮しますが、障害物の多い市街地や屋内では使用が難しくなります。GNSS測量は広範囲で視界の開けた屋外に強い反面、トンネル内や樹木の下では衛星信号が届かず無力です。3Dレーザースキャナーは屋内外問わず高精度に測れますが、据え付け場所の確保や電源の問題があり、狭隘部や人通りの多い場所では運用しづらいことがあります。ドローンは広域測量に適しますが、屋内や森林の中、電波干渉のある場所では飛べませんし、強風や降雨時にも使えません。
モバイルスキャン(LRTK)は、これら各手法のギャップを埋める柔軟性があります。スマホと小型デバイスによる測量は、狭い室内から広い屋外まで同じ手順で実施可能であり、地上で手持ち運用するため法律上の飛行申請なども不要です。例えば市街地の道路やビル群の間でも、人が歩ける範囲であれば点群を取得できますし、工場やプラント内の配管のような複雑な環境でも手軽にスキャンできます。一方で、山間部など携帯圏外の現場ではネットワーク型RTKが使えない課題がありますが、LRTKデバイスは日本の準天頂衛星「みちびき」が提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)に対応しているため、通信圏外でも衛星から直接補正信号を受信して高精度測位を継続できます。この通信インフラに依存しない測位は、災害直後の孤立現場や山奥の工事現場でも威力を発揮します。
現場適応力という意味では、「必要なときにすぐ使える」手軽さも重要です。モバイルスキャンなら普段はポケットにしまっておけるほど機材が小さく、急な測定のニーズにも即応できます。トラックで機材を運搬したり重機で計測器を据え付けたりといった手間がないため、現場のあらゆる局面で臨機応変に測量作業を差し込めます。総じて、LRTKによるモバイルスキャンは多様な現場 条件に対応し、場所を選ばず高精度なデータ取得が行える点で、従来手法に比べて圧倒的に高い適応力を備えていると言えます。
LRTKの簡単な使い方と導入の流れ
ここまでモバイルスキャンの利点を見てきて、「実際に自分の現場でも使ってみたい」と感じた方もいるかもしれません。最後に、LRTKを活用したスマホ測量の基本的な使い方と導入ステップを簡単に紹介します。
• 機器の準備: まず、LRTKのようにスマートフォンに装着できる小型RTK-GNSS受信機を用意します。iPhone/iPadに取り付ける専用ケースやアタッチメントを使い、端末と一体化させます。機器は軽量でバッテリーも内蔵しているため、現場でも長時間使用可能です。購入時点で初期設定が済んで届くことが多く、手元に届いたその日から測量に取り掛かれます。
• アプリのインストール: 次に、スマホに専用の測量アプリ(LRTKアプリ)をインストールします。アプリを起動してユーザー登録・ログインを行い、画面の案内に従 ってスマホとGNSS受信機をBluetooth等で接続します。測位方法として、モバイル通信経由でネットワーク型RTK(Ntripサービス)に接続するか、衛星からCLAS信号を受信するかを選択し、RTKによる補正が正しく行われている状態(Fix解)にします。
• 試験測量と精度確認: すぐに本番で使い始める前に、事務所周辺などで試しに測位・点群スキャンを行い、精度や操作感を確認します。既知点で測位結果の誤差をチェックしたり、身近な対象物をスキャンして点群の見え方を確かめたりしましょう。LRTKアプリ上では現在の精度指標(標準偏差や衛星捕捉数など)が表示されるため、安定してセンチ精度が出ていることを確認できます。試しに取得した点群データはクラウドにアップロードし、PCのブラウザで表示してみることで、期待通りの情報が取れているか検証できます。
• 現場での本格運用: 準備が整ったら、実際の工事現場で本格的に活用してみましょう。測量基準点(既知点)がある場合は付近でRTKの固定解を得て、測位が安定するまで待ちます。準備ができたら、記録したい箇所でスマホを持って歩きながらLiDARスキャンを開始します。ゆっくり様々な角度から対象をスキャンし、必要に応じて途中で一時停止して高精度座標付きの写真撮影も行います。一通りスキャンし終えたら、アプリ上で点群データを保存し 、体積計算や距離測定などの分析を現場で実施します。問題がなければクラウドにデータをアップロードし、オフィスのPCや他のスマホ・タブレットから共有・確認できるようにします。
• 継続利用と展開: 実運用を開始した後は、現場スタッフ間で使い方のコツを共有したり、得られたデータをもとに施工計画の改善提案をするなど、現場DXの一環として定着を図ります。最初は小規模な用途から始め、効果を実感しつつ徐々に活用範囲を広げていくと良いでしょう。スマホ測量は操作が簡単で特別な資格も不要なため、興味を持った担当者が自主的に使い始めるケースも増えています。「誰でも・すぐに・高精度な測量」というLRTKのコンセプト通り、将来的には一人一台のスマホ測量機が現場の新常識になることを目指しましょう。
以上のステップを踏むことで、比較的短期間かつ低コストでLRTKの導入が可能です。何より重要なのはまずは現場で試してみることで、データの精度や運用上のメリットを肌で感じることです。初めて触れる技術には不安も付きものですが、LRTKは国土交通省推進のi-Constructionにも対応した信頼性の高いソリューションです。モバイルスキャンという新たな武器を導 入することで、測量作業の生産性向上や現場の安全管理・品質管理のレベルアップが期待できます。ぜひこの機会に最新技術を取り入れ、従来の常識にとらわれないスマートな測量ワークフローを実現してみてください。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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