目次
• 88条申請は工事開始何日前までに必要か
• 14日前提出でまず確認すべきこと
• 工事開始日の考え方で間違いやすい点
• 88条申請の対象になりやすい工事
• 14日前提出に間に合わせるための逆算方法
• 提出前にそろえるべき資料の考え方
• 14日前提出で差し戻されやすい注意点
• 工程変更があった場合の確認ポイント
• 元請や協力会社との役割分担
• 88条申請を早めに進める現場管理のコツ
• まとめ
88条申請は工事開始何日前までに必要か
88条申請は工事開始何日前までに必要なのかを確認したい実務担当者にとって、最も重要なのは、対象となる工事や計画の種類を正しく見極めることです。建設工事の実務でよく扱われる労働安全衛生法第88条に基づく計画届では、一定の工事について、工事開始日の14日前までに所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があるケースがあります。
ここで注意したいのは、「88条申請はすべて14日前」と単純に覚えてしまうことです。88条に関係する届出には複数の種類があり、内容によっては30日前という期限が関係するものもあります。この記事では、検索意図として多い「建設工事で14日前までに提出する計画届」を中心に、実務上の注意点を整理します。
14日前提出とは、工事開始日の14日前に書類作成を始めればよいという意味ではありません。14日前までに必要な書類を整え、提出できる状態にし、実際に届け出る必要があるという意味です。つまり、図面作成、計算書作成、社内確認、元請確認、監督署への事前相談、修正対応などは、その前に終わらせておく必要があります。
現場では、工程表上の着工日だけを見て「まだ余裕がある」と判断してしまうことがあります。しかし、88条申請で見るべき工事開始日は、現場全体の着工日とは限りません。対象となる足場、型枠支保工、掘削、解体、架設通路などの作業に実際に着手する日が起点になる場合があります。そのため、現場全体の工程ではなく、届出対象作業ごとの開始日を確認することが大切です。
たとえば、現場全体の工事開始日が6月1日であっても、届出対象となる足場の組立が5月25日から始まる場合、14日前の計算は5月25日を基準に考える必要があります。逆に、本体工事の開始日は早くても、届出対象作業が後工程で始まる場合は、その対象作業の開始日を確認して判断します。
実務では、法定期限ぴったりに提出するのではなく、数日前に提出できるように準備することが望ましいです。書類に不備があった場合、修正や追加資料の提出が必要になることがあります。14日前という期限は最低限守るべきラインであり、余裕を持って提出することが、工程遅延や差し戻しを防ぐための現実的な対応です。
14日前提出でまず確認すべきこと
88条申請を14日前までに提出する必要があるかどうかを判断するには、最初に工事内容を整理する必要があります。工事名だけを見ても、届出が必要かどうかは判断できません。実際の作業内容、仮設物の規模、構造、高さ、深さ、設置期間、施工方法、作業場所の条件などを確認して、対象工事に該当するかを見ます。
まず確認すべきなのは、その作業が労働安全衛生法上の計画届の対象になるかどうかです。建設現場で関係しやすいものとしては、一定規模以上の足場、型枠支保工、架設通路、掘削、建築物や工作物の解体、その他危険性の高い作業があります。ただし、名称だけで判断するのではなく、対象となる要件を現場条件と照らし合わせる必要があります。
次に確認するのは、工事開始日です。ここでいう工事開始日は、現場事務所の設置日や資材搬入日ではなく、届出対象となる作業に着手する日として整理するこ とが重要です。足場であれば、足場を使い始める日ではなく、足場の組立を始める日が問題になります。型枠支保工であれば、コンクリート打設日だけでなく、支保工の組立開始日を確認する必要があります。
さらに、誰が申請主体になるのかも確認します。元請がまとめて対応するのか、協力会社が資料を作成して元請が確認するのか、または事業者側で届出を行うのかを早めに決める必要があります。役割分担が曖昧なままだと、期限直前になって書類がそろわないという事態が起きます。
所轄の労働基準監督署も確認が必要です。現場の所在地によって提出先が変わるため、会社所在地や支店所在地ではなく、工事現場を管轄する監督署を確認します。複数の現場や広範囲の工事では、提出先の判断を早めに行っておくと安心です。
また、提出方法や受付時間も実務上は重要です。持参するのか、郵送するのか、電子的な手続きが可能か、控えの扱いはどうするのか、社内で保管すべき写しは何かを確認します。提出期限だけを把握して いても、実際の提出手段が決まっていなければ、直前で慌てることになります。
14日前提出で失敗しないためには、対象判定、工事開始日、提出先、申請主体、必要書類、提出方法を早い段階で一つずつ確認することが大切です。これらを工事開始直前に確認し始めると、図面や計算書の修正に対応できなくなります。
工事開始日の考え方で間違いやすい点
88条申請で最も間違いやすいのが、工事開始日の考え方です。「工事開始日」と聞くと、現場全体の着工日を思い浮かべることが多いですが、計画届では届出対象となる作業に着手する日を起点として考える必要があります。この認識がずれていると、14日前提出の期限を誤って計算してしまいます。
たとえば、工程表に「仮設工」と書かれている期間がある場合、その中に足場の組立、架設通路の設置、支保工の組立などが含まれていることがあります。工程表 の大項目だけでは、実際に届出対象作業がいつ始まるのか分かりません。工程担当者や職長、協力会社に確認し、具体的な作業開始日を把握する必要があります。
また、資材搬入や墨出し、現地確認などの準備作業と、届出対象作業の開始を混同しないことも重要です。準備作業だけであれば届出対象作業の開始とは見なさない場合もありますが、実際には準備作業の中で組立や設置に着手していることもあります。判断が難しい場合は、所轄の監督署や社内の安全担当者に早めに確認するのが安全です。
足場工事では、使用開始日ではなく組立開始日を基準に考えることが重要です。現場で足場を実際に使うのは本体工事の開始後であっても、足場の組立はそれより前に行われます。使用日だけを見て14日前を計算すると、組立開始時点では期限を過ぎている可能性があります。
型枠支保工でも同様です。コンクリート打設日を基準にしてしまうと、支保工の組立開始日を見落とすおそれがあります。計画届の対象になるのは、危険性のある仮設構造物を設置して作業を行う計画そのものです。したがって、打設日だけでなく、組立、設置、調整、検査の流れを含めて開始日を確認する必要があります。
解体工事や掘削工事でも、起点日の判断が重要です。解体であれば、内装撤去、養生、足場設置、本体解体などの工程が分かれていることがあります。どの作業が届出対象になるのかを整理し、その作業の開始日を基準にします。掘削であれば、重機搬入日ではなく、実際に掘削に着手する日や、土留めなど関連作業の開始日を確認します。
工事開始日の考え方で迷った場合は、工程表だけで判断しないことが重要です。施工計画書、作業手順書、仮設計画図、協力会社の工程、現場打合せ記録を確認し、実作業ベースで判断します。日付の認識違いは期限遅れに直結するため、関係者間で文書や工程表に明記しておくと安心です。
88条申請の対象になりやすい工事
88条申請の対象になるかどうかは、工事の種類と条件によって決まります。実務で特に注意すべきなのは、足場、型枠支保工、架設通路、掘削、解体など、作業員の墜落、倒壊、崩壊、挟まれ、巻き込まれといった重大災害につながりやすい工事です。これらは安全対策を事前に計画し、必要に応じて届出を行う必要があります。
足場工事では、高さ、構造、設置期間、使用目的などが確認ポイントになります。単に足場を設置するから必ず届出が必要というわけではありませんが、一定条件を満たす場合は計画届の対象になる可能性があります。特に外部足場、吊り足場、張出し足場、大規模な仮設足場では注意が必要です。
型枠支保工では、支柱の高さや構造、荷重条件、コンクリート打設方法などが重要になります。支保工は見た目以上に大きな荷重を受けるため、計算書や組立図の整合が求められます。支柱の間隔、水平つなぎ、筋交い、支持地盤、荷重の伝達経路などを明確にする必要があります。
架設通路や作業床につ いても、設置条件によっては注意が必要です。高所に設置する通路、仮設の歩廊、斜路、作業構台などは、作業員の通行や資材運搬に使われるため、安全性の確保が重要です。幅員、勾配、手すり、床材、支持構造、積載荷重などを確認します。
掘削工事では、掘削深さ、地山の状態、土留めの有無、地下水、周辺構造物、重機作業範囲などを確認します。地山の崩壊は重大事故につながるため、施工方法と安全対策を事前に整理する必要があります。掘削範囲が変更される場合は、届出要否や計画内容にも影響することがあります。
解体工事では、建築物や工作物の高さ、構造、解体方法、重機の使用、周辺環境、飛散防止、墜落防止、倒壊防止などが確認ポイントになります。解体工事は現場ごとの条件差が大きく、図面どおりに進まないこともあります。そのため、事前調査と施工手順の整理が特に重要です。
対象工事の判断で大切なのは、「前回も不要だったから今回も不要」と考えないことです。同じ名称の工事でも、規模や高 さ、施工方法、設置期間が変われば届出の要否が変わる可能性があります。対象になるか迷う場合は、早めに確認することが最も確実です。
14日前提出に間に合わせるための逆算方法
88条申請を14日前までに提出するには、工事開始日から逆算して準備を進める必要があります。実務では、14日前という法定期限だけを見ていると間に合わないことがあります。書類を完成させるまでには、図面作成、計算書作成、社内確認、元請確認、監督署相談、修正対応といった複数の工程があるためです。
まず、対象作業の工事開始日を確定します。現場全体の着工日ではなく、届出対象作業に着手する日を確認します。その日から14日前を法定提出期限として設定します。ただし、実務上の提出目標日は、それより数日前に置くのが安全です。たとえば、14日前が金曜日であっても、修正や確認の余裕を考えると、その週の前半には提出できる状態にしておく方がよいです。
次に、提出予定日から逆算して書類完成日を決めます。書類完成日とは、届出書だけでなく、添付図面、計算書、工程表、施工計画、案内図、資格者情報などがそろい、内容確認ができる状態の日です。ここを明確にしないと、提出直前まで資料が未完成のままになりがちです。
図面と計算書は、提出予定日のさらに前に初版を作成しておく必要があります。複雑な仮設物や外部依頼がある場合は、初版作成から修正までに時間がかかります。図面と計算書の整合確認も必要です。図面上の寸法、部材、間隔、高さ、支持条件が、計算書の条件と一致しているかを確認します。
社内確認と元請確認の期間も逆算に入れます。安全担当者や工事責任者、元請の安全部門が確認する場合、すぐに承認が得られるとは限りません。担当者不在、会議日程、修正依頼などで数日かかることがあります。確認工程を見込まずにスケジュールを組むと、書類はできているのに提出できない状態になります。
さらに、差し戻し対応の余裕も必要です。提出後に記載漏れや添付不足、不整合が見つかった場合、修正して再提出または追加説明を行うことになります。提出期限ぎりぎりでは、この対応が工程に影響します。14日前提出の案件でも、できれば17日前や20日前を社内目標にするなど、前倒し管理が有効です。
逆算管理では、工程表に申請関連の日付を入れることが効果的です。対象作業開始日、法定提出期限、社内提出目標、書類完成期限、図面初版期限、計算書初版期限、元請確認期限を工程表上で見える化します。これにより、現場会議で進捗確認がしやすくなり、直前の抜け漏れを防げます。
提出前にそろえるべき資料の考え方
88条申請で必要になる資料は、工事の種類や内容によって変わります。ただし、基本的な考え方は共通しています。届出書に書かれた計画内容を、図面、計算書、工程表、施工方法、安全対策によって具体的に説明できる状態にすることが重要です。
まず、届出書の基本情報を正確に記入します。工事名、所在地、事業者名、工事期間、対象作業の開始日、施工内容、関係者情報などに誤りがないように確認します。工事名や所在地は、契約書、施工計画書、工程表、案内図と表記をそろえることが望ましいです。細かな表記の違いでも、確認時に余計な説明が必要になることがあります。
次に、図面を準備します。平面図、断面図、立面図、詳細図、配置図など、工事内容を理解するために必要な図面を整理します。足場であれば設置範囲、高さ、作業床、手すり、昇降設備、控え、壁つなぎなどを示します。型枠支保工であれば、支柱配置、水平つなぎ、筋交い、支持条件、荷重を受ける範囲などを示します。
計算書が必要な場合は、図面と一致していることが重要です。計算書だけが正しくても、図面との対応関係が分からなければ確認しにくくなります。どの部材にどの荷重がかかり、どのように安全性を確認しているのかが分かるように整理します。計算条件、使用部材、許容値、結果を明確に示すことが大切です。
工程表も重要な資料です。対象作業の開始日、組立期間、使用期間、解体日、関連作業との取り合いが分かるようにします。工程表が曖昧だと、14日前提出の起点が確認しにくくなります。届出書に記載した開始日と工程表の日付が一致しているかを確認します。
施工方法や作業手順も、必要に応じて整理します。どの順番で組み立てるのか、どこで安全確認を行うのか、誰が点検するのか、使用前点検や立入禁止措置はどうするのかを明確にします。提出資料は行政手続きのためだけでなく、現場で安全に作業するための計画書として機能する必要があります。
案内図や現場位置図も忘れやすい資料です。提出先が現場の位置を確認できるよう、所在地と周辺状況が分かる資料を用意します。大規模な現場では、敷地内のどの場所で対象作業を行うのかが分かる配置図もあるとよいです。
提出前には、資料全体の整合を確認しま す。届出書、工程表、図面、計算書、施工計画で、工事名、開始日、寸法、部材、範囲、設置期間が一致しているかを見ます。資料が多いほど不整合が起きやすいため、最後にまとめて確認する工程を必ず入れることが大切です。
14日前提出で差し戻されやすい注意点
88条申請を14日前までに提出しても、書類に不備があれば修正や追加対応が必要になることがあります。差し戻しを防ぐには、よくある不備を事前に把握し、提出前に確認することが重要です。
まず多いのが、工事開始日の不整合です。届出書ではある日付が記載されているのに、工程表では別の日付になっている場合、どちらが正しいのか確認が必要になります。特に工程変更後に届出書だけ修正されていない、または工程表だけ更新されているケースはよくあります。提出前には、対象作業の開始日がすべての資料で一致しているかを確認します。
次に、図面の情報不足です。平面図はあるものの、断面図がなく高さ関係が分からない場合や、寸法が読みにくい場合、対象範囲が不明確な場合があります。足場や支保工では、高さ、幅、間隔、支持位置、補強方法が分からなければ、安全性を判断しにくくなります。図面は社内の作成者だけが分かるものではなく、第三者が見ても内容を理解できるようにする必要があります。
計算書と図面の不一致も差し戻しの原因になります。図面では支柱間隔が変更されているのに、計算書は旧条件のままになっている場合があります。部材名、寸法、荷重条件、設置間隔、支持条件が一致しているかを確認します。計算書の数値だけでなく、計算の前提が今回の現場に合っているかが重要です。
添付書類の不足も起こりやすい不備です。必要な図面や計算書、工程表、案内図、施工計画などが不足していると、追加提出が必要になります。過去の案件で不要だったから今回も不要とは限りません。工事内容と所轄の確認方針に応じて、必要資料を整理します。
工事名や所在地の表記違いも見落としがちな点です。契約上の工事名、現場で使っている略称、届出書の名称がばらばらだと、確認時に混乱します。所在地も、番地、地番、現場案内図の表記をできるだけそろえます。些細に見える部分ですが、書類全体の信頼性に関わります。
安全対策の記載不足も注意が必要です。墜落防止、倒壊防止、崩壊防止、立入禁止、点検方法、作業主任者、合図者、重機作業範囲など、工事内容に応じた安全対策が説明されているか確認します。形式的に資料をそろえるだけでなく、実際の現場でどのように安全を確保するのかが伝わる内容にすることが大切です。
差し戻しを減らすには、提出前チェックを標準化することが効果的です。担当者の経験に頼るだけでなく、毎回同じ観点で確認できる仕組みを作ることで、漏れを減らせます。14日前提出の期限を守るだけでなく、受理後に手戻りが出ない状態を目指すことが実務上のポイントです。
工程変更があった場合の確認ポイント
建設現場では、工程変更が頻繁に発生します。天候、資材納期、他業者との調整、設計変更、発注者指示、安全上の理由などにより、対象作業の開始日が前後することがあります。88条申請では、この工程変更が提出期限に直接影響します。
特に注意が必要なのは、対象作業が前倒しになった場合です。工事開始日が早まると、14日前の期限も前にずれます。すでに提出済みであれば変更内容の確認が必要になり、未提出であれば準備期間が急に短くなります。工程変更が出た時は、対象作業の開始日と88条申請の提出期限を必ずセットで見直します。
工事開始日が後ろ倒しになった場合でも、確認は必要です。提出済みの書類に記載した開始日や工程が大きく変わる場合、変更の扱いについて確認が必要になることがあります。特に施工方法、設置期間、構造、使用部材、作業範囲が変わる場合は、単なる日付変更では済まないこともあります。
工程変更時には、まず変更内容を具体的に把握します。何の作業が、いつからいつに変わったのか、対象作業の開始日は変わったのか、施工方法や仮設物の構造は変わったのかを確認します。工程表の大項目だけでなく、実際の作業単位で確認することが重要です。
次に、提出済み資料との整合を確認します。届出書、工程表、図面、計算書、施工計画に影響があるかを見ます。たとえば、工程変更に伴って足場の設置期間が延びる場合、使用期間や点検計画に影響する可能性があります。掘削範囲や解体範囲が変わる場合は、図面や安全対策の見直しが必要です。
元請や協力会社との情報共有も欠かせません。工程変更は一部の担当者だけが把握していることがあります。現場会議で変更が決まっても、書類作成担当者に伝わっていなければ、申請資料は古い条件のままになります。変更があった場合は、88条申請に関係するかどうかを確認する担当者を決めておくとよいです。
また、工程変更が短期間に何度も 起こる現場では、申請準備を後回しにせず、仮の条件でも早めに論点を整理しておくことが大切です。すべてが確定してから着手しようとすると、提出期限に間に合わなくなります。未確定部分と確定部分を分けて管理し、確定次第すぐに資料へ反映できるようにしておきます。
工程変更への対応は、88条申請の期限管理において非常に重要です。提出期限を守るためには、工程表の変更を見た時に、同時に申請期限も見直す習慣を現場全体で持つことが必要です。
元請や協力会社との役割分担
88条申請では、元請、協力会社、設計担当、安全担当、現場代理人など、複数の関係者が関わります。提出期限を守るためには、誰が何を担当するのかを早めに決めることが重要です。役割分担が曖昧なまま進むと、期限直前になって必要資料がそろっていないことがあります。
まず決めるべきなのは、届出の主体と提 出担当です。誰の名義で届け出るのか、実際に書類を作るのは誰か、監督署へ提出するのは誰かを整理します。元請が全体を管理し、協力会社が専門工事に関する図面や計算書を作成するケースもあります。いずれにしても、最終確認の責任者を明確にしておく必要があります。
協力会社が図面や計算書を作成する場合、必要条件を早めに伝えることが大切です。工事開始日、提出期限、対象範囲、使用部材、施工条件、元請の様式、必要な図面の種類などを共有します。依頼が曖昧だと、出てきた資料が提出に使えないことがあります。
元請側では、協力会社から提出された資料をそのまま流すのではなく、現場全体の計画と整合しているかを確認します。他業者の作業範囲、重機動線、資材置場、仮設電気、搬入路、近隣対策などとの取り合いを見ます。専門工事としては成立していても、現場全体では干渉がある場合があります。
安全担当者の確認も重要です。88条申請は単なる行政手続きではなく、危険作業に対する安全計画です。施工方法、点検体制、作業主任者、立入禁止措置、墜落防止、倒壊防止などが現場のルールに合っているかを確認します。安全担当者の確認期間も逆算に入れておく必要があります。
役割分担でよくある問題は、書類の作成担当と工程管理担当が別であることです。工程変更を工程担当だけが把握し、書類担当に伝わらないと、申請資料の日付や内容が古いままになります。工程変更があった時に、88条申請担当へ連絡するルールを作ることが大切です。
また、元請と協力会社の間で「どちらが提出すると思っていた」という認識違いも起こります。提出期限の管理では、作成、確認、提出、控え保管までの流れを明確にし、工程表や共有資料に記載しておくと安心です。
88条申請は一人の担当者だけで完結するものではありません。現場全体の工程、安全、施工計画とつながっているため、関係者全員が期限と役割を理解しておくことが、14日前提出を確実に行うための基本です。
88条申請を早めに進める現場管理のコツ
88条申請をスムーズに進めるには、現場管理の初期段階から申請の要否を意識することが大切です。工事開始直前に確認するのではなく、工程表を作成する段階で対象になりそうな作業を洗い出します。足場、支保工、掘削、解体、架設通路など、危険性の高い作業を早めに抽出しておくことで、提出期限に追われるリスクを減らせます。
まず、工程表に申請関連の日付を入れます。対象作業開始日、14日前の法定期限、社内提出目標日、書類完成期限、元請確認期限、図面初版期限などを工程表に反映します。これにより、現場会議で申請準備の進捗を確認しやすくなります。
次に、必要資料を早めに集めます。最新の設計図、仮設計画図、施工図、工程表、現場写真、部材仕様、過去の類似資料などを整理します。資料が不足していると、図面作成や計算書作成が止まります。特に最新図面の版数確認は重要です。古い図面をもとに作成した資料は、後で大きな修正が必要になることがあります。
現場確認も早めに行います。図面上では分からない高低差、既設構造物、作業スペース、搬入経路、隣接地との関係、地盤状態などは、施工計画に影響します。写真や測量情報を残しておくと、関係者説明や図面修正がしやすくなります。
また、過去の書類を活用する場合は、流用ではなく参照として使う意識が必要です。過去資料は効率化に役立ちますが、工事名、所在地、開始日、構造条件、寸法、部材、施工方法が今回と異なる場合があります。過去資料をそのまま使うと、見落としが発生しやすくなります。
チェックリストを使った確認も有効です。対象判定、起点日、提出期限、必要資料、図面、計算書、施工方法、安全対策、元請確認、提出方法を同じ順番で確認すれば、担当者によるばらつきを減らせます。特に複数現場を同時に管理している場合は、標準化された確認フローが役立ちます。
さらに、デジタルで現場情報を管理することも効果的です。写真、位置情報、測点、図面、工程を関連付けて管理できれば、申請資料の前提確認が早くなります。現場の位置や範囲を正確に把握できると、仮設計画や施工計画の説明性も高まります。
88条申請を早めに進めるコツは、申請を事務作業として後回しにしないことです。施工計画、安全計画、工程管理の一部として扱い、対象作業が見えた時点で準備を始めることが、14日前提出を確実にする最も現実的な方法です。
まとめ
88条申請は工事開始何日前までに必要かという問いに対して、建設工事でよく扱われる計画届では、対象作業の工事開始日の14日前までに提出が必要となるケースがあります。ただし、88条に関係する届出には複数の種類があり、内容によっては30日前の期限が関係する場合もあります。そのため、まずは自社の工事がどの届出に該当するのかを確認することが重要です。
14日前提出で特に注意すべきなのは、工事開始日の考え方です。現場全体の着工日ではなく、届出対象となる作業に着手する日を基準に考える必要があります。足場であれば使用開始日ではなく組立開始日、型枠支保工であれば打設日だけでなく支保工の組立開始日を確認します。工程表の大項目だけで判断せず、実際の作業開始日を関係者間で共有することが大切です。
提出期限を守るには、14日前から準備を始めるのでは遅い場合があります。図面、計算書、工程表、施工計画、安全対策、案内図、社内確認、元請確認、監督署相談、差し戻し対応まで含めて逆算する必要があります。実務では、法定期限より数日前に提出できるよう、社内目標日を前倒しで設定することが望ましいです。
差し戻しを防ぐには、届出書と添付資料の整合を確認します。工事名、所在地、開始日、工事期間、対象範囲、寸法、部材、施工方法、計算条件が資料ごとに一致しているかを見ます。図面と計算書の不一致、工程表の日付違い、添付不足、安全対策の記載不足は、実務で起 きやすい不備です。
工程変更があった場合は、88条申請の提出期限も必ず見直します。対象作業が前倒しになれば、14日前の期限も前倒しになります。工程変更を一部の担当者だけが把握していると、申請資料が古い条件のままになりやすいため、現場会議や共有資料で申請期限も確認する仕組みが必要です。
88条申請を効率よく進めるには、現場情報を早く正確に把握することも大切です。仮設物の設置位置、作業範囲、高低差、搬入経路、既設物との関係を正確に記録できれば、施工計画や図面作成、社内確認が進めやすくなります。LRTKは、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスとして、現場の位置確認、測点記録、図面との照合、施工範囲の記録に活用できます。88条申請そのものを代行するものではありませんが、申請資料の前提となる現場情報を正確に残し、関係者間の認識違いや手戻りを減らす助けになります。工事開始14日前の提出期限に追われないためにも、早い段階で現場を測り、記録し、共有できる体制を整えておくことが、安全で確実な施工準備につながります。
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