目次
• 発電量が低いと感じたら、まず確認すべきこと
• メンテナンス周期の結論:3つの目安
• 目安1:月1回、発電量データを前年同月と比べる
• 目安2:設置後1年目、その後4年に1度は専門点検を受ける
• 目安3:前年同月比10〜15%以上の低下は臨時点検を検討する
• 発電量が低い原因別チェックリスト
• 自分でできる安全な確認方法
• 専門業者に依頼すべき点検項目
• メンテナンス周期を短くしたほうがよい5つの環境
• 発電量が低い状態を放置するリスク
• よくある質問
• まとめ
発電量 が低いと感じたら、まず確認すべきこと
太陽光発電の発電量が低いと感じたとき、最初に大切なのは「本当に異常なのか」を切り分けることです。発電量は、天気、季節、日射量、気温、影、パネルの汚れ、パワーコンディショナの状態などによって日々変わります。昨日より今日の発電量が低いだけでは、すぐに故障とは判断できません。
判断の基準にしたいのは、前年同月との比較です。太陽光発電協会は、発電性能や売電収入の確認のため、月に一度、前年同月の発電量と比較することが大事だと案内しています。発電モニターを確認し、毎日の発電量をグラフ化すると発電性能の確認に役立つともされています。
たとえば、梅雨や台風シーズンのように曇りや雨が多い月は、発電量が下がりやすくなります。一方で、晴天が多い月なのに前年同月より大きく低い、晴れた日の正午前後でも発電量が伸びない、発電モニターにエラーが出ている、売電量が急に落ちた、といった場合は、メンテナンス周期を待たずに点検を検討すべきサインです。
特に注意したいのは、「少し低い状態が何カ月も続いている」ケースです。完全停止なら気づきやすいですが、発電量がじわじわ落ちる不具合は見逃されがちです。月単位で記録していないと、発電量の低下に気づくのが遅れ、売電収入や自家消費メリットを取り逃がす可能性があります。
メンテナンス周期の結論:3つの目安
発電量が低い太陽光発電では、次の3つの周期を組み合わせて管理するのが現実的です。
住宅用太陽光発電について、太陽光発電協会は「所有者が自分で行う日常点検」と「専門業者に依頼して行う定期点検」が必要だと説明しています。また、定期点検は設置後1年目、その後は4年に1度が推奨されています。
つまり、発電量が低いときのメンテナンスは「4年に1度だけ業者を呼べばよい」という考え方では不十分です。月1回のセルフチェックで異常を早く見つけ、1年目と4年ごとの専門点検で見えない不具合を確認し、発電量の急低 下やエラーが出たら臨時点検を入れる。この3段階で考えると、無駄な点検費用を抑えながら、発電ロスを防ぎやすくなります。
目安1:月1回、発電量データを前年同月と比べる
もっとも手軽で、発電量低下の早期発見に役立つのが月1回のデータ確認です。発電モニター、HEMS、売電明細、電力会社のWeb明細、遠隔監視システムなどを使い、毎月の発電量を記録します。
見るべき数字は、単なる当月の発電量だけではありません。次の4つを確認すると、異常の見落としを減らせます。
発電量が低いかどうかを判断するときは、1日単位ではなく、できるだけ月単位で見ます。1日だけの低下は雲、雨、黄砂、積雪、出力制御などの影響を受けやすいためです。一方、月単位で前年より大きく低い場合は、天候だけではなく、影、汚れ、配線不良、パワコンの出力低下なども疑います。
目安として、前年同月比で5%程度の差なら天候差の可能性もあります。10%前後の低下が2カ月以上続く場合は注意、15〜20%以上の低下がある場合は早めに原因確認をしたほうが安心です。ただし、この数字はあくまで実務上の目安です。地域の日射量、設置角度、周辺環境、パネル容量、出力制御の有無によって判断は変わります。
月1回の確認では、数字だけでなく「変化」も記録しましょう。近くに建物が建った、樹木が伸びた、鳥のフンが増えた、台風後に屋根上の見た目が変わった、パワコンの音が変わった、といった小さな変化が、発電量低下の原因につながることがあります。
記録は難しく考える必要はありません。次のような簡単な表を作るだけでも十分です。
このように記録すると、「一時的な低下」なのか「継続的な低下」なのかが見えます。専門業者へ相談するときも、発電量の推移を示せるため、原因の特定がスムーズになります。
目安2:設置後1年目、その後4年に1度は専門点検を受ける
太陽光発電は屋外で長期間使う設備です。雨、風、紫外線、台風、積雪、塩害、温度変化などの影響を受けるため、見た目に問題がなくても、少しずつ劣化や緩みが進むことがあります。
そのため、専門業者による定期点検は、設置後1年目、その後4年に1度を基本に考えます。太陽光発電協会も、住宅用システムの定期点検について、設置後1年目、その後は4年に1度の定期点検を推奨しています。点検項目は設置後の年数や故障状況により異なるため、販売店、工務店、太陽電池モジュールメーカーなど専門業者への相談が案内されています。
設置後1年目の点検が重要な理由は、初期不良や施工後のなじみによる不具合を見つけやすいからです。たとえば、ケーブルの固定、接続部の状態、架台の締め付け、雨仕舞い、パワコンの運転状態などは、実際に1年ほど稼働してから確認することで、施工直後には分からなかった問題が見つかることがあります。
その後の4年ごとの点検では、長期使用による劣化を確認します。パネル表面の汚れや割れ、架台のサビ、ボルトの緩み、配線の劣化、接続箱の状態、パワコンのエラー履歴、発電データの傾向などを確認します。発電量が低いと感じていない場合でも、定期点検を受けることで、故障前の兆候を把握できる可能性があります。
特に、10年以上経過した設備では、パワコンや周辺機器の劣化にも注意が必要です。発電量がゼロになるほどの故障でなくても、変換効率の低下、冷却不足、エラーの増加などにより、発電量が少しずつ低下することがあります。4年ごとの点検に加えて、10年目、15年目などの節目では、交換時期や保証内容も確認しておくと安心です。
目安3:前年同月比10〜15%以上の低下は臨時点検を検討する
3つ目の目安は、周期を待たずに実施する臨時点検です。太陽光発電の発電量が低い状態には、時間を置いて様子を見てもよいケースと、早めに専門業者へ相談したほうがよいケースがあります。
臨時点検を検討したいサインは次のとおりです。
発電量が低い原因の中でも、影や落ち葉は見落とされやすい要因です。太陽光発電協会は、薄い陰がかかると発電量が低下し、落ち葉など不透明な物体がパネル表面に貼りついた場合は、その物体の陰による低下以上に発電量が低下することがあると説明しています。長期間続くと、遮蔽されたセルが高温となるホットスポット現象が発生する場合もあります。
また、発電量の低下を早く見つけるには、遠隔監視システムも有効です。資源エネルギー庁のFIT・FIP制度FAQでは、遠隔監視システムは認定基準上必須ではないものの、保守点検・維持管理のためには有効な手段であり、設置が望ましいとされています。
「4年に1度の点検を受けているから大丈夫」と考えるのではなく、異常が出たときは周期を前倒しすることが大切です。太陽光発電は、故障したまま放置すると発電ロスが積み重なります 。たとえば月に50kWhのロスがある場合、1年で600kWhの機会損失になります。売電単価や電気料金単価によって金額は変わりますが、低下に早く気づくほど損失を抑えやすくなります。
発電量が低い原因別チェックリスト
発電量が低い原因は一つとは限りません。複数の要因が重なっていることもあります。次の表で、症状と原因の見分け方を確認しましょう。
汚れについては、太陽光発電協会が、ゴミやほこりがパネル表面に付くと発電量が数%程度下がることがあり、平均的な都市部で汚れによる出力低下はおよそ5%以下と説明しています。一方で、交通量の多い道路の隣接地域などでは油性浮遊物が付着し、降雨だけでは流されない場合があるともされています。
ここで重要なのは、「汚れなら自分で屋根に登って洗えばよい」と考えないことです。屋根上での作業は転落の危険があります。さらに、誤った洗浄方法でパネル表面を傷つけたり、配線や屋根材を傷めたり する可能性もあります。発電量低下が汚れによるものか判断できない場合は、まず地上から安全に確認し、必要に応じて専門業者へ相談しましょう。
自分でできる安全な確認方法
発電量が低いとき、所有者が自分でできる確認は「安全な範囲」に限定することが大切です。屋根に登る、パネルを直接触る、配線を開ける、パワコン内部を分解する、といった作業は避けてください。
自分で確認できることは次の7つです。
パワコンにエラーコードが表示されている場合は、まず取扱説明書を確認します。停電、系統側の異常、一時的な保護動作で復帰する場合もありますが、エラーが繰り返す、焦げ臭い、異音がする、発熱が強いといった場合は使用を続けず、販売店や施工会社へ連絡しましょう。
パネルの汚れも、地上から見える範囲で確認します。鳥フン、落ち葉、雪、砂ぼこりが見える場合でも、無理に屋根へ登る必要はありません。太陽光発電協会も、一般の住宅地区ではゴミやほこりなどの汚れは降雨で流されるため、安全面からも屋根に登って日常的な掃除をする必要はほとんどないとしています。
ただし、発電量が低い状態が続く、汚れが明らかに残っている、周辺に工場・幹線道路・海岸・山林がある、鳥のフンが頻繁に付くといった場合は、通常より早めに専門点検や清掃を検討しましょう。
専門業者に依頼すべき点検項目
専門業者による点検では、所有者が確認できない部分まで確認します。依頼時には「発電量が低いので見てほしい」と伝えるだけでなく、いつから、どのくらい低いのか、エラーは出ているのか、台風や落雷などのきっかけがあったのかを伝えると、点検がスムーズになります。
主な点検項目は次のとおりです。
点検を依頼する先は、まず設置時の販売店、施工会社、工務店、メーカー窓口が候補になります。太陽光発電協会も、定期点検の依頼先として販売店、工務店、太陽電池モジュールメーカーへの相談を案内しています。
見積もりを取るときは、点検費用だけでなく、点検範囲、報告書の有無、写真の有無、測定項目、清掃の可否、修理が必要な場合の追加費用、保証対応の可否を確認しましょう。特に発電量が低い原因を調べたい場合は、単なる目視点検だけでは不十分なことがあります。発電データの確認、パワコンのエラー履歴、系統別の測定などを行えるか確認することが大切です。
メンテナンス周期を短くしたほうがよい5つの環境
基本の周期は「月1回のセルフチェック」「設置後1年目と4年ごとの専門点検」「異常時の臨時点検」ですが、設置環境によっては点検間隔を短くしたほうがよい場合があります。
1. 海沿い・塩害地域
海に近い地域では、塩分を含んだ風によって金属部品や端子、架台が劣化しやすくなります。塩害対策仕様の機器を使っていても、サビや腐食がまったく起きないわけではありません。海沿いでは、4年ごとの定期点検だけでなく、台風後や強風後の臨時確認を組み合わせると安心です。
2. 樹木・山・建物の影が伸びやすい場所
設置時には問題がなくても、樹木が成長したり、隣地に建物が建ったりすると、数年後に影の影響が出ることがあります。影は一部だけでも発電量に影響するため、毎年同じ季節、同じ時間帯に影の出方を確認しましょう。太陽光発電協会も、太陽電池モジュールにはなるべく陰が掛からないようにすることが重要だと説明しています。
3. 幹線道路・工場・農地の近く
交通量の多い道路沿いでは油性の浮遊物、工場周辺では粉じん、農地周辺では土ぼこりや花粉が付着しやすい場合があります。通常の住宅地では雨で汚れが流れることもありますが、油分を含む汚れは降雨だけで落ちにくいことがあります。汚れによる発電量低下が疑われる場合は、清掃の必要性を専門業者に確認しましょう。
4. 台風・大雪・落雷・地震が多い地域
自然災害の後は、発電量が低いかどうかにかかわらず、発電モニターや外観を確認しましょう。パネルのズレ、飛来物による損傷、架台の緩み、ケーブルの傷み、パワコン停止などは、災害後に発生することがあります。特に台風後に発電量が急に下がった場合は、周期を待たずに点検を依頼したほうが安全です。
5. 設置から10年以上経過している設備
10年以上経過した太陽光発電では、パネルだけでなく、パワコン、接続箱、配線、架台、屋根材の状態も確認したい時期です。卒FIT後も自家消費や蓄電池連携で使い続けるなら、発電量が低いまま放置するのはもったいない状態です。10年目以降は、4年ごとの定期点検に加えて、保証終了前の確認や交換計画の検討も行いましょう。
発電量が低い状態を放置するリスク
発電量が低い状態を放置すると、最も分かりやすいリスクは経済的な損失です。売電している場合は売電収入が減り、自家消費している場合は電力会社から買う電気が増えます。電気料金が高い時間帯に自家消費できるはずだった電気を失うと、家計や事業コストに影響します。
しかし、リスクはお金だけではありません。落ち葉や付着物による影が長期間続くと、ホットスポット現象が発生する場合があります。太陽光発電協会は、落ち葉など不透明な物体が貼りついた状態が長期間続くと、遮蔽されたセルが高温となって特性が低下する場合があると説明しています。
また、FIT・FIP認定を受けている設備では、保守点検・維持管理への対応も重要です。資源エネルギー庁のFAQでは、住宅用太陽光発電の場合も 保守点検及び維持管理計画を策定する必要があり、最低限、目視等で異常がないかを確認する措置を検討するよう案内されています。
太陽光発電協会も、改正FIT法に基づく事業計画策定ガイドラインでは「保守点検および維持管理を実施すること」とされ、義務であることが示されていると説明しています。
発電量が低い状態は、単なる効率の問題ではなく、設備の安全性や長期利用にも関わります。発電量の変化に気づいた段階で原因を確認し、必要なメンテナンスを行うことが、長く安定して使うための基本です。
よくある質問
発電量が低いかどうかは何%で判断すればよいですか?
まずは前年同月比で判断します。天候差もあるため、5%前後の差だけで故障と決めつける必要はありません。ただし、10%以上の低下が続く、15〜20%以上の 低下がある、晴天日のピーク発電量が明らかに低い、といった場合は、原因確認を始める目安になります。
4年に1度の点検をしていれば十分ですか?
最低限の目安としては、設置後1年目、その後4年に1度の定期点検が推奨されています。ただし、これは月1回のセルフチェックや異常時の臨時点検と組み合わせて考えるべきです。発電量が低い状態が続いているなら、次の定期点検まで待たずに相談しましょう。
汚れは雨で落ちるので掃除しなくてもよいですか?
一般的な住宅地区では、ゴミやほこりは降雨で流されることが多く、安全面からも屋根に登って日常的に掃除する必要はほとんどないとされています。ただし、交通量の多い道路沿いや油性浮遊物が付着しやすい環境では、雨だけでは流されない場合があります。
影が少しだけでも発電量は下がりますか?
はい。薄い陰でも発電量は低下します。落ち葉など不透明な物体が貼りついた場合は、その物体の陰による低下以上に発電量が下がることもあります。樹木、電柱、アンテナ、隣家、山の影などが増えていないか確認しましょう。
発電量が低いとき、まず業者に何を伝えればよいですか?
次の5点を伝えるとスムーズです。
• いつから発電量が低いのか
• 前年同月比でどのくらい低いのか
• エラーコードや警告表示があるか
• 台風、地震、落雷、大雪などの後か
• パネルの汚れ、影、異音、異臭など気づいた変化があるか
発電量の記録やモニター画面の写真があると、原因の切り分けに役立ちます。
遠隔監視システムは必ず必要ですか?
認定基準上、必ず設置しなければならないものではありません。ただし、資源エネルギー庁は、保守点検・維持管理のためには有効な手段であり、設置が望ましいとしています。発電量低下に早く気づきたい場合や、事業用・遠隔地の設備では導入メリットが大きくなります。
まとめ
発電量が低い太陽光発電では、メンテナンス周期を次の3つで考えることが大切です。
発電量が低いと 感じたら、まず前年同月比を確認しましょう。1日だけの低下ではなく、月単位で継続して低いかを見ることが重要です。10〜15%以上の低下が続く、晴天日でも発電量が伸びない、エラー表示が出ている、影や汚れが増えた、台風や落雷の後から低いといった場合は、定期点検の周期を待たずに専門業者へ相談しましょう。
太陽光発電は、設置して終わりの設備ではありません。月1回の確認、1年目と4年ごとの点検、異常時の早めの対応を続けることで、発電量の低下を見逃しにくくなり、売電収入や自家消費メリットを守りやすくなります。
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