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発電量が低いとき、最初に疑うべきこと
「晴れているのに発電量が低い」「去年より売電が減った」「昼間だけグラフが伸びない」と感じたとき、原因としてよく疑われるのが電圧上昇抑制です。
ただし、発電量が低い原因は電圧上昇抑制だけではありません。 太陽光パネルの汚れ、影、季節差、パワーコンディショナの温度抑制、機器の故障、ブレーカー、モニターの表示違い、蓄電池の充電、家庭内消費の増加など、複数の要因が重なっていることもあります。
特に注意したいのは、「発電量が低い」ように見えて、実際には「売電量が低い」だけのケースです。発電した電気を家庭内で多く使っていれば、売電量は減ります。蓄電池がある家庭では、昼間に電気を蓄電池へ充電するため、売電が少なく見えることもあります。
まずは次の3つを切り分けましょう。
この3つを分けて見るだけで、「本当に発電していないのか」「発電しているが売電できていないのか」「表示上の問題なのか」がかなり整理できます。
電圧上昇抑制とは?発電量が下がって見える仕組み
電圧上昇抑制とは、太陽光発電のパワーコンディショナが、電力系統の電圧上昇を抑えるために発電出力を一時的に下げる機能です。
太陽光発電は、発電した電気を家庭で使い、余った分を電力会社の電線へ送り返します。これを逆潮流といいます。ところが、発電量が多く、周辺の電気使用量が少ないと、地域の電圧が上がりやすくなります。
そのまま電圧が上がりすぎると、周辺の住宅や電気機器に影響が出る可能性があります。そのため、パワーコンディショナには、一定の電圧を超えないように出力を抑える機能が組み込まれています。ほくでんネットワークは、太陽光発電設備のPCSには、低圧標準電圧100Vの場合の適正電圧101±6Vを超過しないよう発電出力を抑制する機能があると説明しています。
ここで大切なのは、電圧上昇抑制は故障ではないという点です。電圧が適正な範囲に戻ると、自動的に抑制が解除され、通常の発電状態に戻ります。短 時間の電圧上昇でも動作することがあり、動作中は一時的に販売電力量が減ることがあります。
つまり、電圧上昇抑制が起きているときは、太陽光パネルが壊れているわけではなく、パワーコンディショナが安全のために出力を調整している状態です。
見分け方1:モニターに「抑制」「電圧抑制」が出ているか
もっとも分かりやすい見分け方は、モニターやリモコンに表示される文字を見ることです。
機種によって表現は異なりますが、次のような表示が出ることがあります。
あるパワーコンディショナの取扱説明書では、「電圧抑制」と表示された場合、パワーコンディショナが電圧上昇を防ぐために出力を一時的に抑えており、通常は故障ではなく、電圧が正常に戻ると表示が消えると説明されています。
ただし、表示が出ていないからといって、電圧上昇抑制ではないと断定はできません。古いモニターでは表示が簡略化されていたり、一定時間だけ表示されて見逃していたり、履歴画面にだけ残る場合もあります。
確認するときは、昼前後の発電ピーク時間帯にモニターを見るのがおすすめです。朝や夕方は発電量が少ないため、電圧上昇抑制が起きにくく、表示を確認できないことがあります。
見分け方2:晴天の昼前後だけ発電量が低いか
電圧上昇抑制は、発電量が多くなりやすい時間帯に起きやすい傾向があります。つまり、晴天の10時〜14時ごろ、発電グラフが本来なら山型になる時間帯に、不自然に頭打ちになったり、ギザギザと上下したりする場合は、電圧上昇抑制の可能性があります。
典型的なグラフの見え方は次の通りです。
電圧上昇抑制は、「日射が強いほど起こりやすい」ことがあります。これは、太陽光発電の出力が増えるほど、電線側へ流れる電気が増え、電圧が上がりやすくなるためです。
一方で、同じ昼でも、家庭内でエアコンや給湯器、洗濯乾燥機などを使っていると、自家消費が増えて逆潮流が減るため、電圧上昇抑制が起きにくくなる場合があります。つまり、発電量が低い日の生活パターンも確認材料になります。
見分け方3:発電量と売電量を分けて確認する
「発電量が低い」と感じるとき、実際に低いのが発電量なのか、売電量なのかを必ず分けて確認してください。
発電量とは、太陽光発電システムが作った電気の量です。売電量とは、作った電気のうち家庭で使いきれず、電力会社へ送った量です。
たとえば、次のようなケースでは、発電量は問題なくても売電量が少なくなります。
• 在宅時間が増えて昼間の電気使用量が増えた
• エコキュートや電気自動車を昼間に充電している
• 蓄電池が昼間に充電している
• 食洗機、洗濯乾燥機、IH調理器、エアコンを昼間に使っている
• 家族構成や生活時間が変わった
• 売電単価が下がり、売電収入だけが少なく見えている
この場合、問題は発電システムではなく、電気の使い方や売電単価の変化です。
逆に、発電量そのものが晴天日に大きく低下していて、同時に「電圧抑制」表示や履歴がある場合は、電圧上昇抑制の可能性が高まります。
見分けるポイントはシンプルです。
電圧上昇抑制は、発電した電気を電線へ送り出す場面で起きやすい現象です。そのため、「発電量」だけでなく「売電量」とセットで見ることが、原因特定の近道になります。
見分け方4:前年同月・同じ天気の日と比べる
発電量を判断するときは、単日の数字だけで見ないことが重要です。太陽光発電は天候、季節、気温、日照時間に大きく左右されます。
たとえば、夏は日射が強い一方で、パネル温度が高くなりやすく、効率が落ちることがあります。冬は気温が低く効率面では有利ですが、日照時間が短く、積雪や低い太陽高度の影響を受ける地域もあります。春や秋は発電量が伸びやすい一方で、地域によっては電力需要が少ない時間帯に出力制御や抑制の影響を受けることがあります。
比較するなら、次の順番がおすすめです。
• 前年同月の発電量と比較する
• 直近3年の同じ月と比較する
• 快晴日同士で日別グラフを比較する
• 同じ時間帯の発電カーブを比較する
• 抑制表示や履歴があった日だけ抜き出す
特に有効なのは、快晴日同士のグラフ比較です。天気が違う日を比べても判断しにくいため、雲が少ない日、雨がない日、積雪がない日を選んで見比べましょう。
もし、前年の快晴日はきれいな山型だったのに、今年の快晴日は昼だけ平らに削られているなら、電圧上昇抑制や温度抑制を疑います。一方、朝から夕方まで全体的に低いなら、パネル汚れ、影、機器の劣化、日射条件の違いなども確認が必要です。
見分け方5:抑制履歴・エラー履歴を確認する
モニターや表示器によっては、電圧上昇抑制の履歴を確認できます。製品によっては、発電履歴を年・月・日単位で表示でき、エラー履歴や電圧上昇制御履歴を残せるものもあります。オムロンのカラー表示器では、発電履歴をグラフ表示でき、エラー履歴・電圧上昇制御履歴を各100件まで残せるとされています。
別の取扱説明書でも、電圧上昇抑制機能が動作した日時を履歴画面から確認できると説明されています。
履歴を見るときは、次の項目をメモしてください。
このメモは、販売店・施工店・電力会社へ相談するときに非常に役立ちます。「発電量が低いです」と伝えるより、「快晴日の11時〜13時に電圧抑制履歴が5回あり、発電グラフのピークが削れています」と伝えた方が、原因の切り分けが早くなります。
電圧上昇抑制ではない可能性が高い7つの原因
発電量が低い原因は、電圧上昇抑制だけではありません。次の7つもよくある原因です。
1. パネルの汚れ
黄砂、花粉、鳥のフン、落ち葉、土ぼこりなどがパネルに付着すると、日射を受けにくくなります。特に鳥のフンや落ち葉のように一部を強く遮る汚れは、影のような影響を与えることがあります。
ただし、屋根上の確認や清掃は転落リスクがあります。無理に屋根へ上がらず、必要に応じて専門業者へ相談してください。
2. 影の影響
隣家、樹木、アンテナ、電柱、屋根上設備などの影が増えてい る可能性があります。設置当初は問題がなくても、樹木の成長や周辺環境の変化で影が増えることがあります。
影の影響は、季節や時間帯によって変わります。冬だけ発電量が低い、朝だけ低い、夕方だけ急に落ちる場合は、影の可能性も高いです。
3. パワーコンディショナの温度抑制
パワーコンディショナ内部の温度が高くなると、機器保護のために出力を抑えることがあります。取扱説明書では、「温度抑制」と表示された場合、内部温度の上昇を防ぐために出力を一時的に抑えており、温度が正常に戻ると表示が消えると説明されています。
特に夏場、直射日光が当たる場所、換気が悪い場所、周囲に物を置いている場所では注意が必要です。
4. パワーコンディショナの劣化・故障
パワーコンディショナは、太陽光パネルで作った直流電力を家庭で使える交流電力へ変換する重要な機器です。部品の劣化や熱、外部環境の影響で不具合が起こることがあります。オムロンは、パワコンの平均的な寿命を10年程度とし、使用環境や個体差によって変わると説明しています。
設置から10年前後たっていて発電量が低い場合は、電圧上昇抑制だけでなく、パワコンの点検も検討しましょう。
5. ブレーカーや接続の問題
太陽光発電用ブレーカーが落ちている、接続に問題がある、停電後に自立運転から連系運転へ戻っていないなど、基本的な操作・接続が原因のこともあります。
モニターに発電量が表示されない、売 電がまったくない、エラーコードが出ている場合は、取扱説明書に沿って安全に確認できる範囲を見てください。分電盤や配線内部を開けて確認する作業は避けましょう。
6. 出力制御と混同している
電圧上昇抑制と混同しやすいものに、再生可能エネルギーの出力制御があります。資源エネルギー庁は、出力制御には、需給バランスによるものと、送電線の容量によるものがあると説明しています。
電圧上昇抑制は、主に周辺の電圧上昇を防ぐためにパワーコンディショナが動作するものです。一方、出力制御はエリア全体の需要と供給のバランスや送電容量に関係します。表示、通知、契約内容、機器設定が異なるため、混同しないようにしましょう。
7. モニター・通信の不具合
発電自体 はしているのに、モニターや通信ユニットの不具合で数字が正しく見えていない場合もあります。通信エラー、データ更新遅れ、アプリの表示不具合、HEMSとの連携不良などがあると、「発電量が低い」と誤解しやすくなります。
電力メーター、パワコン本体、モニター、アプリの表示を見比べ、数字に大きなズレがないか確認しましょう。
発電量が低いときの確認手順5ステップ
原因を効率よく切り分けるには、感覚ではなく順番に確認することが大切です。
ステップ1:晴天日の発電グラフを見る
まず、雨や曇りの日ではなく、雲の少ない晴天日を選びます。日別グラフを見て、朝から夕方まで自然な山型になっているか確認してください。
昼前後だけ削れているなら、電圧上昇抑制や温度抑制の可能性があります。一日中低いなら、影、汚れ、機器不具合、日射不足を疑います。
ステップ2:モニター表示を確認する
昼前後に、モニターやパワコン本体を見てください。「抑制」「電圧抑制」「温度抑制」「エラー」などの表示があるか確認します。
表示が一瞬で消える場合もあるため、できれば数日分確認しましょう。
ステップ3:履歴画面を見る
表示器やアプリに履歴機能がある場合は、電圧上昇抑制履歴、エラー履歴、発電履歴を確認します。履歴がある機種なら、発生日時が原因特定の重要な手がかりになります。
ステップ4:発電量と売電量を分けてメモする
発電量、売電量、買電量、自家消費量、蓄電池充電量を分けて見ます。特に蓄電池がある家庭では、売電量だけでは判断しないでください。
ステップ5:販売店・施工店へ相談する
ここまで確認しても原因が分からない場合や、電圧抑制が頻繁に出る場合は、販売店や施工店へ相談します。ほくでんネットワークも、電圧上昇抑制機能が頻繁に動作する場合は、発電設備を設置した電気工事店やメーカーに相談のうえ、窓口へ問い合わせるよう案内しています。
相談時には、次の情報を準備しておくとスムーズです。
相談先は販売店・施工店・電力会社のどこ?
発電量が低いときは、いきなり電力会社へ連絡するより、まず販売店・施工店・メーカーに相談するのが一般的です。理由は、原因が電圧上昇抑制とは限らず、パワコン設定、配線、ブレーカー、機器故障、モニター不具合などの確認が必要だからです。
相談先の目安は次の通りです。
電圧上昇抑制の対策には、パワコンの設定確認、屋内配線の見直し、電力会社側の電圧確認などが関係することがあります。ほくでんネットワークは、屋内配線の電線が細い場合に屋内で電圧上昇が発生し、電圧上昇抑制機能が動作するケースがあると説明しています。
ただし、電圧設定の変更や配線工事は、利用者が自己判断で行うものではありません。必ず販売店、施工店、電気工事店、電力会社と相談しながら進めてください。
やってはいけないNG対応
発電量が低いと焦ってしまいますが、自己判断で危険な作業をするのは避けてください。
NG1:パワコンの設定を勝手に変更する
電圧上昇抑制が出るからといって、パワコンの電圧設定を勝手に変えるのは避けましょう。周辺の電圧や電力会社との協議に関係する設定であり、安全性にも関わります。
NG2:分電盤や配線を開ける
分電盤内部、パワコン内部、接続箱、屋外配線などを開けて確認するのは危険です。感電や機器破損のリスクがあります。利用者が確認するのは、表示、ブレーカーの 外観、モニター、取扱説明書に記載された範囲までにしましょう。
NG3:屋根に上がってパネルを確認する
パネル汚れや影を見たいからといって、屋根に上がるのは危険です。スマートフォンのズーム、地上からの目視、ドローン点検、専門業者の点検など、安全な方法を選んでください。
NG4:発電量の低下を放置する
一時的な電圧上昇抑制なら故障ではないことが多いですが、頻繁に発生する場合や、長時間続く場合、発電量が大きく低下している場合は相談が必要です。長期間放置すると、売電機会の損失や機器不具合の見逃しにつながります。
よくある質問
電圧上昇抑制が出たら故障ですか?
多くの場合、故障ではありません。電圧が上がりすぎないように、パワーコンディショナが一時的に出力を抑えている状態です。電圧が正常に戻ると表示が消え、通常運転に戻ると説明されています。
ただし、頻繁に出る、長時間消えない、発電量が大きく落ちている、エラーコードも出ている場合は点検を依頼してください。
電圧上昇抑制は売電収入に影響しますか?
影響することがあります。抑制中は出力が一時的に下がるため、販売電力量が減る場合があります。ほくでんネットワークも、電圧上昇抑制機能が動作すると一時的に販売電力量が減少することがあると説明しています。
ただし、売電量が減った原因がすべて電圧上昇抑制とは限りません。自家消費の増加や蓄電池充電も確認しましょう。
昼間に家電を使うと電圧上昇抑制は減りますか?
家庭内で発電した電気を使うと、電力会社側へ送り返す電気が減るため、電圧上昇抑制が起きにくくなる場合があります。ただし、必ず改善するとは限りません。地域の系統電圧、配線、発電設備の容量、周辺の電気使用状況によって変わります。
実践するなら、晴天日の昼に洗濯乾燥機、食洗機、給湯、EV充電、蓄電池充電などを試し、発電グラフや抑制履歴の変化を見ると判断しやすくなります。
電力会社に言えば必ず直りますか?
必ず直るとは限りません。原因が住宅内の配線、パワコン設定、機器不具合、パネル側の問題であれば、販売店や施工店の確認が必要です。一方、系統側の電圧が高い場合は、電力会社による確認が必要になることがあります。
相談の順番としては、まず販売店・施工店で設備側の確認を行い、必要に応じて電力会社へ相談する流れが現実的です。
出力制御と電圧上昇抑制は同じですか?
同じではありません。電圧上昇抑制は、主に周辺の電圧上昇を防ぐためにパワーコンディショナが出力を調整する機能です。出力制御は、エリア全体の需給バランスや送電容量などに関係する制御です。資源エネルギー庁は、出力制御には需給バランスによるものと送電線の容量によるものがあると説明しています。
設置から10年たつと発電量は低くなりますか?
設置年数が長くなると、パワーコンディショナや周辺機器の劣化を考え る必要があります。パワコンの平均的な寿命は10年程度とされ、使用環境や個体差によって変わると説明されています。
ただし、10年たったから必ず大きく発電量が落ちるわけではありません。前年同月比較、晴天日比較、エラー履歴、点検結果をもとに判断しましょう。
まとめ
発電量が低いと感じたときは、まず電圧上昇抑制・温度抑制・機器不具合・自家消費増加・影や汚れを切り分けることが重要です。
電圧上昇抑制は、電圧が上がりすぎないようにパワーコンディショナが出力を一時的に抑える機能であり、多くの場合は故障ではありません。とはいえ、頻繁に発生する場合や売電量への影響が大きい場合は、確認と相談が必要です。
見分けるポイントは次の5つです。
特に、晴天日の昼に発電グラフの山が削れていて、同じ時間帯に「電圧抑制」や抑制履歴が残っているなら、電圧上昇抑制の可能性が高いです。
一方で、発電量が一日中低い、雨の日も晴れの日も低い、エラーコードが出ている、設置から10年前後たっている場合は、パワコンや配線、パネル側の点検も検討しましょう。
自己判断でパワコン設定を変更したり、分電盤や配線を触ったり、屋根に上がったりするのは危険です。発電量、売電量、表示内容、履歴、発生時間帯をメモし、販売店・施工店・メーカーへ相談することが、原因解決への最短ルートです。
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