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スマホLiDAR測量のやり方7手順|必要機材と精度の目安

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

スマホでLiDAR測量をしたいと考えたとき、多くの実務担当者が最初に気になるのは、本当に仕事で使えるのか、どこまでの精度が出るのか、そして何を準備すれば失敗しないのかという点ではないでしょうか。近年は高性能なスマートフォンの登場によって、点群取得や簡易的な三次元計測を現場で手早く行えるようになりました。これまで三次元計測は専用機材が前提と思われがちでしたが、いまは現況確認、改修前の記録、出来形の下見、設備周辺の把握、土工前後の比較検討など、スマホを起点に効率化できる場面が確実に増えています。


一方で、スマホLiDAR測量は、やみくもに歩いてスキャンすればうまくいくものではありません。対象物の大きさ、必要な成果物、周辺の遮蔽物、表面の材質、歩き方、基準の取り方によって、仕上がりは大きく変わります。特に実務では、きれいな三次元モデルが作れたかどうかよりも、図面化や数量確認に耐えられるか、後工程に渡せるか、位置の整合が取れるかのほうが重要です。そのため、スマホLiDAR測量を仕事で使うには、機材選びより先に、測る目的と必要精度を整理し、現場に合った手順で運用することが欠かせません。


この記事では、スマホLiDAR測量の基本から、必要機材、現場で失敗しないための7手順、精度の目安、向いている業務と注意点まで、実務担当者向けにわかりやすく整理して解説します。これから導入を検討する方はもちろん、すでに試したものの精度や使い方に不安がある方にも、現場で判断しやすい内容になるようまとめています。


目次

‐ スマホLiDAR測量とは何か ‐ スマホLiDAR測量に必要な機材 ‐ 手順1 測量の目的と必要精度を決める ‐ 手順2 測る範囲と現場条件を確認する ‐ 手順3 基準の取り方と座標の扱いを決める ‐ 手順4 スキャン計画と歩行ルートを作る ‐ 手順5 現地で安定してスキャンする ‐ 手順6 取得データを確認して不足を補う ‐ 手順7 点群整理と成果物化を行う ‐ スマホLiDAR測量の精度の目安 ‐ スマホLiDAR測量が向いている場面と注意点 ‐ まとめ


スマホLiDAR測量とは何か

スマホLiDAR測量とは、LiDARセンサーを搭載したスマートフォンを使って、空間までの距離情報を連続的に取得し、点群や三次元形状として記録する計測方法です。対象物に向かって距離を測るだけでなく、移動しながら周辺空間を面として捉えられるため、壁、床、天井、法面、構造物、設備周辺、造成前後の形状などを短時間で把握しやすいのが特徴です。


従来の測量では、点を一つずつ取る方法、写真から三次元化する方法、専用のレーザー機器で高密度点群を取得する方法などが使われてきました。スマホLiDARはその中間に位置する存在だと考えるとわかりやすいです。専用機並みの高精度や長距離性能を期待するものではありませんが、持ち運びやすく、立ち上げが早く、その場で結果を確認しながら追加取得しやすいという運用面の強みがあります。


実務で特に価値があるのは、現場の初動を速くできることです。たとえば、寸法確認のために再訪問していた現場を一度の訪問で広めに記録しておけば、あとから断面を確認したり、不足寸法を補ったりしやすくなります。改修、修繕、施工計画、出来形の事前確認、周辺干渉の検討などでは、現場で短時間に空間全体を押さえられるメリットが大きいです。


ただし、スマホLiDAR測量は万能ではありません。取得距離が長すぎる現場、細い線材や反射が強い素材が多い場所、日射条件が厳しい屋外、座標精度が厳格に求められる測量用途では、スマホ単体の運用だけでは不足しやすくなります。そのため、現場導入では、スマホLiDARを何の代替にするのかではなく、どの工程を速くし、どの工程は別の手段で補完するのかという考え方が重要です。


スマホLiDAR測量に必要な機材

スマホLiDAR測量を始めるうえで最低限必要なのは、LiDAR対応のスマートフォン本体です。ただし、本体さえあれば十分というわけではありません。実務で安定した結果を得るには、保持の安定性、電源、基準の取り方、記録の整理という四つの観点で準備しておく必要があります。


まず本体は、LiDARによる距離取得が可能で、点群や三次元データを扱える性能を持つ端末が前提です。処理性能が不足すると、現場での表示が不安定になったり、長時間の取得で発熱しやすくなったりします。屋外で使うなら、画面の見やすさやバッテリー持ちも重要です。実務では、一回の計測時間よりも、移動、確認、再取得まで含めた現場滞在全体で安定して使えるかが重要になります。


次に、端末を安定して持つための補助具が必要です。手持ちだけでも計測はできますが、ぶれが大きいと形状の乱れや位置ずれが出やすくなります。片手操作で無理に歩くより、両手で安定して保持できるグリップや簡易ハンドルがあると、動きが滑らかになりデータ品質が安定します。必要に応じて首掛けや落下防止も考えておくと安全です。


電源まわりでは、予備バッテリーがほぼ必須です。LiDAR計測は通常の写真撮影より消費が大きく、画面をつけたまま移動しながら処理するため、想像以上に電池を使います。長時間現場や寒暖差の大きい場所では、途中で残量が急減することもあります。計測の中断はデータの欠損だけでなく、再現性の低下にもつながるため、電源対策は軽視できません。


また、スケール確認や位置合わせのための補助物も用意しておくと精度管理がしやすくなります。代表的なのは、長さが既知の基準物、目印となるマーカー、簡易の標識、巻尺やスタッフなどです。スマホLiDARは見た目が整ったデータでも、全体のスケールや位置合わせに微妙なずれが残ることがあります。現場に既知寸法を意図的に置いておくと、後処理で確認しやすくなります。


さらに、座標を持たせたい場合や他データと重ねたい場合には、高精度な位置情報を与える仕組みが重要になります。単に形を記録するだけならスマホ単体でも運用できますが、平面図や断面図、土量確認、既存図との重ね合わせまで見据えるなら、基準点や高精度測位との連携を検討したほうが実務では安定します。形状の取得と位置の整合は別問題であり、ここを分けて考えると失敗しにくくなります。


最後に、現場メモを残す手段も必要です。どこからどこまでを計測したのか、どの面を重点的に取ったのか、遮蔽物は何だったのか、基準に使った寸法は何かを記録しておくと、後処理で迷いません。スマホLiDAR測量は現場では簡単に見えても、後工程での判断材料が不足すると成果物の品質が落ちやすいので、計測と同時にメモを残す習慣が大切です。


手順1 測量の目的と必要精度を決める

最初の手順は、何のために測るのかを明確にすることです。ここが曖昧なまま現場へ行くと、データ量だけ多くて使いにくい結果になりやすいです。スマホLiDAR測量では、目的によって歩き方も対象範囲も必要な基準も変わります。現況把握が目的なのか、施工前の記録なのか、干渉確認なのか、断面確認なのか、数量比較なのかで、求められるデータはまったく異なります。


実務上は、成果物から逆算すると判断しやすくなります。たとえば、現場状況を共有するための三次元記録が欲しいだけなら、空間全体が欠けずに取れていることが優先です。一方で、平面図や断面図の作成に使うなら、床面や壁面、角、通路幅、段差など、寸法判断に使う面がきれいに取れていることが重要になります。土工や造成の比較に使うなら、局所の見た目よりも、地表面が連続して安定して取得できているかが重要になります。


必要精度を先に決めておくことも大切です。数センチ程度の誤差で十分な現況確認なのか、より厳しい位置整合が必要なのかをあらかじめ整理しておくと、現場で過剰な期待や無駄な作業を防げます。スマホLiDARは、短時間で広がりを把握するのは得意ですが、どの用途でも高精度を保証する道具ではありません。目的に対して十分かどうかを見極める姿勢が重要です。


この段階では、対象物の大きさも整理します。室内一室、狭い設備周辺、短い通路、法面の一部、外構の一角など、比較的限定された範囲は扱いやすいです。逆に、広大な造成地、長距離の線形、樹木が多いエリア、車両や人の動きが多い現場では、スマホLiDAR単体では効率も精度も不安定になりやすいです。現場規模に対して方法が合っているかを最初に見極めることが、導入成否を大きく左右します。


手順2 測る範囲と現場条件を確認する

次に行うべきなのは、実際にどこをどこまで測るかを現場条件とセットで確認することです。スマホLiDAR測量では、後から余分を切り出す運用より、最初から必要範囲を意識して丁寧に取る運用のほうが成功しやすいです。理由は、データ量が増えるほど端末負荷が上がり、姿勢の乱れや位置ずれの影響も蓄積しやすくなるからです。


現場確認では、まず遮蔽物を見ます。人の往来が多い場所、資材が積まれている場所、狭くて旋回しにくい場所、光の反射が強い面、水たまり、ガラス面、均一で特徴の少ない壁面などは、計測結果に影響が出やすいです。こうした条件があるときは、一度で全部を取ろうとせず、優先範囲を絞って複数回に分けるほうが安定します。


屋外では天候や日射も考慮が必要です。強い直射、濡れた地面、影のコントラストが大きい時間帯は、見た目の追従や認識に影響が出ることがあります。特に地表をきれいに取りたい場合は、朝夕の極端な斜光や、雨上がり直後の反射条件に注意したほうがよいです。屋内でも、暗すぎる場所や逆光が強い場所は、補助的な認識が不安定になることがあります。


また、計測開始点と終了点の候補も決めておきます。どこから入り、どこで折り返し、どこまでを一つのデータとして扱うのかが曖昧だと、歩行が無駄に複雑になり、結果としてデータがぶれやすくなります。特に角が多い場所、段差が多い場所、通路が分岐する場所では、事前に移動の順番を決めておくと取得漏れが減ります。


現場条件を確認する段階では、取らない場所を決めることも重要です。スマホLiDAR測量では、重要ではない範囲まで漫然とスキャンすると、処理負荷だけが増えて必要部分の品質が落ちることがあります。何を記録し、何を切り捨てるかを先に決めることで、短時間でも使えるデータを作りやすくなります。


手順3 基準の取り方と座標の扱いを決める

三つ目の手順は、基準の取り方と座標の扱いを決めることです。ここは実務で見落とされやすいのですが、スマホLiDAR測量を単なる三次元メモで終わらせるか、成果物につながるデータにするかを分ける重要なポイントです。


たとえば、現場の状況確認だけが目的なら、ローカルな相対形状として取れていれば一定の価値があります。しかし、既存図面と重ねたい、別日に取ったデータと比較したい、断面位置を指定したい、他の測量成果と整合させたいという場合には、どの基準で位置づけるかが必須になります。形状がきれいでも、位置が合わなければ実務では使いにくいからです。


最も簡単なのは、現場内で既知寸法を複数確保する方法です。たとえば、離れた二点間の距離、高さのわかる位置、角や通り芯に相当する基準を現地で控えておきます。これにより、後処理でスケール確認や向きの調整がしやすくなります。さらに精度や再現性を高めたい場合は、基準点を設けて位置のよりどころを明確にする運用が有効です。


屋外で平面位置や標高まで扱いたい場合は、高精度測位との連携を考えるべき場面が多くなります。スマホLiDARは空間形状の取得に強みがありますが、広域での絶対位置を安定して与えることは別の課題です。現況地形と設計データを重ねたり、施工位置の判断に使ったりするなら、座標系の理解と基準の管理が欠かせません。現場では、何となく位置が合って見える状態と、業務判断に使える状態は別物です。


この段階で、後で必要になる成果物を想定しておくと、基準の置き方も決めやすくなります。たとえば断面を切る予定なら、断面基準線に使える位置を意識します。平面図に落とすなら、角や境界の扱いを意識します。数量比較に使うなら、地表面の連続性と高さの整合が重要です。目的と基準を結びつけて考えることが、後工程の手戻りを減らします。


手順4 スキャン計画と歩行ルートを作る

スマホLiDAR測量で仕上がりを左右するのは、実は現場での歩き方です。同じ端末を使っても、計画なく動く場合と、ルートを決めて一定の速度で動く場合では、データの安定性が変わります。そのため、計測前にスキャン計画と歩行ルートを作ることが四つ目の手順になります。


基本は、重要面を先に押さえ、その後で周辺を補う考え方です。たとえば室内なら、床、壁、開口部、柱、設備まわりなど、寸法判断に使う面を優先的に見せるように移動します。屋外なら、地表面の連続性、法肩や法尻、構造物の縁、段差、境界に関わる形状を先に確保します。すべてを同じ密度で取ろうとすると、必要な面まで粗くなりやすいです。


歩行ルートは、できるだけ単純で、戻りや急旋回が少ないものが理想です。細かく蛇行すると姿勢変化が増えて、位置合わせが不安定になりやすくなります。対象の周囲をゆるやかに回る、通路なら片側を進んで要所で向きを変える、広場なら外周を押さえてから内部を補う、といった考え方が有効です。大きな空間では、最初に全体の骨格を取り、その後で詳細部を追加するとまとまりやすくなります。


視線や端末の向きも重要です。床ばかり、あるいは壁ばかりを見続けると、空間認識が偏ることがあります。床、壁、角、天井や上部要素など、特徴の異なる面を適度に含めながら動くことで、位置の安定につながります。特に変化の少ない長い通路や単調な面では、特徴点が少なくずれやすいため、目印になる要素を意識的に含めるとよいです。


また、一つのデータで無理に広範囲を取り切らない判断も大切です。広すぎる範囲を一気に取ると、途中で端末負荷が上がったり、ずれが蓄積したりして、後半ほど品質が落ちることがあります。用途に応じて、区画ごと、部屋ごと、エリアごとに分け、基準でつなぐ発想を持つと、結果として品質と作業効率の両方が安定します。


手順5 現地で安定してスキャンする

計測本番では、滑らかに、一定の速度で、急な動作を避けながらスキャンすることが重要です。スマホLiDAR測量は、ただ歩けばよいように見えて、実際には持ち方、歩く速さ、視点の動かし方で結果が変わります。ここを雑にすると、後からソフト上でどれだけ調整しても限界があります。


端末はできるだけ両手で保持し、胸の前あたりで安定させると扱いやすいです。腕だけで振り回すのではなく、体ごとゆっくり向きを変えるイメージで動くと、軌跡が安定します。対象に近づきすぎたり離れすぎたりを繰り返すと、形状のつながりが崩れやすいので、対象との距離を意識して一定に保つことが大切です。


歩く速度は、速すぎないことが基本です。急いで全体を回ると、その場では取れたように見えても、細部や角の再現が甘くなりやすいです。逆に遅すぎて同じ場所を何度も往復すると、処理負荷や重複が増え、必ずしも良い結果になるとは限りません。重要なのは、必要部分を見失わず、端末の認識が追従できる速度で一定に進むことです。


屋外では、人や車両の通過にも注意します。動いている対象を含んだまま取り続けると、ノイズや形状の乱れとして残ることがあります。無理に続行せず、一時停止して通過を待つほうが、結果的に後処理が楽になることも多いです。風が強い日には体勢がぶれやすくなるため、狭い足場や法面では安全を最優先にしながら、短い区間ごとに確実に押さえる意識が必要です。


また、途中で画面上の状態を適宜確認することも大切です。スキャン中は作業に集中しがちですが、取得漏れ、面の欠損、形状の崩れが見えたら、その場で補うのが最も効率的です。現場では少し余分に取るくらいでちょうどよく、帰所後に不足が見つかるほうがコストは大きくなります。計測は歩く作業ではなく、確認しながら記録の品質を管理する作業だと考えると失敗しにくくなります。


手順6 取得データを確認して不足を補う

スマホLiDAR測量では、取り終えた直後の確認が非常に重要です。ここで確認を省くと、帰所後に欠損や歪みが見つかっても、取り直しができないことがあります。六つ目の手順は、現地で取得データを確認し、不足があればその場で補うことです。


確認すべきポイントは、まず対象範囲が欠けていないかです。図面化したい面、断面を取りたい線、数量把握に必要な地表面、設備の干渉確認に必要な空間がきちんと記録されているかを見ます。見た目がきれいでも、必要な位置のデータが抜けていれば意味がありません。特に角の裏、機器の背面、通路の奥、段差の縁は見落としやすいです。


次に、形状のねじれや段差の不自然さがないかを確認します。長い壁が波打って見える、床面が不自然にうねる、閉じたはずの空間で始点と終点が合わないといった症状がある場合は、歩行ルートか取得条件に問題があった可能性があります。そのまま使えることもありますが、重要部が含まれるなら、その場で取り直すか、別ルートで補完したほうが安全です。


既知寸法との照合も有効です。現場で控えた距離や高さと、おおむね整合しているかを見ることで、スケール異常や局所的な歪みを早期に見つけられます。実務では、完全な一致よりも、用途に対して許容できる範囲かを判断することが大切です。少しでも不安があるなら、同じ場所を別角度から追加取得しておくと、後処理で救える可能性が高まります。


また、エリア分割して計測した場合は、つなぎ部分が十分に重なっているかも確認します。重なりが少ないと、後で位置合わせが難しくなります。共通して見える角や標識、壁面、地物がきちんと含まれているかを見て、足りなければ接続区間だけ追加で取りましょう。全体を取り直す必要はなくても、つなぎの補強で成果物の安定性が大きく変わることがあります。


手順7 点群整理と成果物化を行う

現場での取得が終わったら、最後は点群整理と成果物化です。スマホLiDAR測量は、現場で取れた時点で終わりではありません。実務で使うには、不要部分の整理、位置の確認、断面や平面の読み取り、必要に応じた形式への変換など、後工程を通じて初めて価値が出ます。


まず行うのは、不要データの整理です。人や車両、計測者自身、目的に関係ない背景、重複の大きい部分などを整理すると、見やすさが大きく改善します。すべてを残すとデータ量が増えて扱いにくくなるため、何を成果物に使うかを意識して整えることが大切です。特に実務では、閲覧用の見やすいデータと、検討用の元データを分けて考えると運用しやすくなります。


次に、基準や既知寸法との整合を確認します。ローカル座標で扱う場合でも、向きやスケールに不自然さがないかを見ます。外部座標や基準点に合わせる場合は、位置合わせの根拠が明確であることが重要です。ここが曖昧だと、後で別データと重ねたときに差が出ても原因を追えません。


成果物化の方法は用途で変わります。現況共有が目的なら、三次元ビューで見やすく整理するだけでも価値があります。図面化が目的なら、平面方向の輪郭、断面位置、主要寸法、レベル差を確認しやすい状態に整えます。土量や造成比較の下準備として使うなら、地表面に相当する部分を意識してノイズを整理し、連続性のある形にしておく必要があります。


ここで大切なのは、スマホLiDARのデータを単独で完結させようとしすぎないことです。現場の意思決定に必要なレベルに達しているなら、十分に実務価値があります。一方で、厳密な測量成果や高精度な設計照査が必要なら、別の測位手段や追加測定で補完するのが現実的です。スマホLiDARは、すべてを一台で済ませるための道具というより、取得の初速を上げ、現場情報の密度を高めるための道具として位置づけると使いやすくなります。


スマホLiDAR測量の精度の目安

スマホLiDAR測量の精度を考えるときは、センサー単体の性能だけでなく、対象物までの距離、計測範囲の広さ、表面の材質、歩行軌跡、基準の取り方、後処理方法まで含めて判断する必要があります。そのため、ひとつの数字だけで語るのは危険です。実務では、どの条件ならどの程度を期待し、どこから先は補完が必要かを理解しておくことが重要です。


一般的には、近距離の室内や小規模対象で、歩行が安定し、形状の特徴も十分にある環境であれば、現況把握や寸法のあたりを取る用途には十分使えるケースが多いです。壁間距離、開口部位置、設備周辺の離隔、段差確認などでは、数センチ程度の誤差感で実務判断に役立つことがあります。とくに、紙のメモや写真だけでは不足しがちな現場では、三次元で残る価値のほうが大きい場面も少なくありません。


一方で、広い屋外や長距離の連続計測では、誤差が累積しやすくなります。地面の起伏が大きい、特徴が少ない、草木や反射面が多い、日射条件が厳しいといった要因が重なると、見た目以上に位置ずれや面のゆがみが出ることがあります。そのため、造成地全体の高精度把握や厳密な出来形管理のような用途では、スマホLiDAR単体に過度な期待をしないほうが安全です。


また、精度には二つの見方があります。一つは局所的な形状精度で、もう一つは全体の位置精度です。局所的にはよく見えても、全体として別データと重ねるとずれていることがあります。これは、形の再現と座標整合が別の問題だからです。実務担当者は、どちらが必要な仕事なのかを切り分けて考える必要があります。


精度を安定させるためには、対象との距離を欲張りすぎないこと、単調な面ばかりを追わないこと、既知寸法や基準点を持つこと、長すぎる範囲を一回で取らないことが有効です。精度を上げるというより、精度が落ちる要因を減らす考え方です。スマホLiDAR測量は、条件を整えれば非常に実用的ですが、条件を無視すると結果がばらつきやすい技術でもあります。


スマホLiDAR測量が向いている場面と注意点

スマホLiDAR測量が向いているのは、まず短時間で現況を記録したい場面です。改修前の室内、設備更新前の周辺空間、施工前の障害物確認、搬入計画の下見、維持管理の記録、外構の形状把握などでは、手軽さとスピードが大きな強みになります。現地で広めに記録しておけば、帰所後に見返しながら追加検討できるため、再訪問の削減にもつながります。


また、図面が古い、現況と合っていない、そもそも図面がないといった現場でも有効です。写真だけでは立体的な位置関係が伝わりにくい場面で、三次元の情報があると、関係者間の認識合わせがしやすくなります。現場調査の段階で、まずスマホLiDARで押さえてから、必要に応じて追加測量や詳細確認へ進む流れは、実務上とても相性がよいです。


一方で注意したいのは、精度要求の高い用途へそのまま当てはめないことです。境界に関わる判断、厳格な出来形評価、高低差の厳密管理、長距離の座標整合が必要な用途では、スマホ単体運用では不足する場面があります。また、ガラス、水面、金属反射、細線材、植生が密集した場所などは取得結果が不安定になりやすいため、対象特性を理解して使う必要があります。


さらに、実務ではデータの保管や共有も考える必要があります。現場で取得できても、後で開けない、重くて共有できない、誰がどの基準で取ったのかわからないという状態では運用が定着しません。だからこそ、取得手順だけでなく、命名、保存、成果物化、共有方法まで含めてルール化することが重要です。スマホLiDAR測量は、技術というより運用設計で差がつく領域だといえます。


まとめ

スマホLiDAR測量は、専用機による本格測量をすべて置き換えるものではありませんが、現場の初動を速くし、空間の見える化を進め、再訪問や測り漏れを減らすうえで非常に有効な手段です。成功のポイントは、端末の性能だけに期待するのではなく、目的を決め、現場条件を見極め、基準を意識し、歩行ルートを計画し、現地確認と後処理まで含めて一つの作業として設計することです。これができれば、スマホLiDAR測量は現況把握、改修検討、施工計画、維持管理など、さまざまな実務で使いやすい武器になります。


とくに、スマホで取得した形状データを、より実務的な位置情報と結びつけたい場面では、形状取得と高精度な位置合わせをどう組み合わせるかが重要になります。現場の簡易測量をさらに効率化したいなら、LRTKという選択肢も有効です。LRTKはiPhone装着型GNSS高精度測位デバイスで、スマホを使った空間記録と高精度な位置情報の運用をつなぎやすくします。LiDARによる空間把握と座標確認を一連の流れで進めたい実務担当者にとって、現場運用を一段前に進めるための現実的な手段になりやすいです。


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