実務でのLiDAR測量は、速度と詳細なデータ収集が魅力です。ただし、取得した点群データを現場の座標系に合致させる作業に時間を要することも少なくありません。特に建設や土木の測量では、基準点と点群を整合させて断面図や平面図を作成する必要があり、基準点の設置や座標調整に多くの手間を要します。これを手作業で行うと多大な時間を要し、非効率に繰り返してきました。
LiDAR測量における「座標自動付与」とは、取得した点群データや計測情報に対し、緯度・経度・標高といった座標値を自動的に割り当てることを指します。従来は、スキャン後に測量技術者が基準点を基に点群の位置合わせ(ジオリファレンス)を手作業で行うケースも多く、これが現場・オフィス双方での負担となっていました。しかし、この座標付与を自動化できれば、人為的な誤差も減り、複数のデータセットをシームレスに統合することが可能になります。結果として、全体の作業時間短縮と品質向上の両立につながるのです。
また、高密度な点群データであればあるほど、座標合わせの重要性が増します。わずかな誤差でも既存図面との整合に影響するため、測量段階から正確な座標を付与しておくことが求められます。こうしたニーズに応える技術が各種登場しており、現場の効率化に大きな役割を果たしつつあります。
本記事では、LiDAR測量で取得する点群データに座標を自動付与して作業時間を短縮する方法を8つ紹介します。現場で実践されている方法や新技術まで、一つひとつが作業時間の削減に直結します。これらを活用すれば、少人数でも高精度な3D点群を短時間で獲得および処理できるようになるでしょう。
目次
• 方法1: RTK-GNSSで座標情報を同時収集
• 方法2: 既知点とターゲットで自動基準合わせ
• 方法3: 慣性計測装置による連続位置補正
• 方法4: 点群同士の自動位置合わせ
• 方法5: 座標系と高さ基準の統一・自動変換
• 方法6: スマートフォンLiDARと高精度GNSSの混合
• 方法7: RTK対応ドローンで写真・LiDAR測量
• 方法8: GNSS基準局サービスの活用で基準点設置を簡略化
• LRTKで現場測量の座標取得をスマートに効率化
方法1: RTK-GNSSで座標情報を同時収集
高精度GNSSをLiDAR計測に組み合わせることで、取得と同時に各点に緯度・経度・高さの座標を自動追加できます。いわゆる直接ジオリファレンス技術により、世界座標系に繋がった高精度の点群データを現場で得ることが可能です。RTK方式では、現場に基地局(基準点)を設置するか、ネットワーク経由で補正情報を受信し、移動局のGNSSでリアルタイム測位を行います。これにより、別途用意した基準点データと点群を後から合併する必要がありません。得られる点群は初めから現場全体と同一の座標上に位置しているため、後処理で平面図・縦断図に座標を合わせ込む手間が初期段階から省略できます。
例えば、地上型レーザースキャナにRTK-GNSS受信機を搭載すれば、設置した基準点より撮影終了後の点群が自動的に現地座標系に繋がった形 で出力されます。また、UAV(ドローン)や自動車搭載計測システムのように、移動体でのLiDAR測量にもRTK-GNSSが有効です。移動経路でも誤差をリアルタイムで修正できるため、マルチパスやドリフトを抑えられます。
なお、航空機搭載の大規模LiDAR測量でもGNSS/INSによるダイレクトジオリファレンスが活用されています。リアルタイムに位置と向きを記録することで、広範囲の点群を基準点なしで地図座標にプロットでき、地上作業量の削減に大きく寄与しています。この手法は地上やモバイルでの計測にも応用され、従来より小規模・低コストなシステムでも活用可能になってきました。
このようにRTK-GNSSを搭載しておけば、LiDAR計測から得た点群について後処理で座標を付与し直す作業が少なく、精度確認ほかはそのまま標準図へ利活用できます。
方法2: 既知点とターゲットで自動基準合わせ
GNSS信号が弱い環境(都市部のビル陰や山間部、屋内など)では、従来通り既知の基準点を現場に設置し、点群データの位置合わせに用いる手法が有効です。現場に複数の基準点(ターゲット)を配置し、それらの座標をトータルステーションやGNSSで精密に測定しておきます。LiDAR計測では、そのターゲットが点群データに写り込むように設置し、後日の点群処理で自動検出させます。例えば、光を反射する白色の球体標識や、コード化された新型ターゲットなどを設置する方法があります。特有の形状が点群に明確に撮り込まれるため、処理ソフトが自動検出して識別することができます。
ターゲットが点群データ上に確認できたら、あらかじめ取得しておいた基準点の座標値と対応付けを行います。複数のターゲットを使い、最小二乗法により全体のずれを最小化することで、大規模な点群であっても高精度な変換マトリクスを算出できます。こうして得られた点群データを現場の座標系に一括変換すれば、全体が正確に現地の位置関係で表示されます。このような方法を使う場合、実際の現場での設置にやや手間がかかりますが、後程のPC処理を大幅省力できるので結果的に作業時間の短縮に繋がります。また、このターゲット併用手法は写真測量にも応用可能です。ドローンやスマホで撮影する際、数点の既知標識を写し込んでおき、後から写真合成ソフトで座標補正を行うことで、モデル全体を所定の座標に合わせることができます。
方法3: 慣性計測装置による連続位置補正
GNSSが比較的良好に受信できる地平でも、移動してスキャンする場合は部分的にドロップが発生する可能性があります。RTK-GNSSは現地で高精度な位置を得られますが、GPSデータの取得周期は1秒程度と高密度ではありません。その間にLiDARセンサが読み取る点数は極めて多く、GNSS単独では移動するプラットフォームの軌跡を正確に描画できません。ここで役立つのが慣性計測装置(IMU)です。IMUは動きながら座標軸に対する方向や変位を高速で繰り出し処理が可能で、GNSSが取れない瞬間や間隔でも自律的に自身の移動を続けられます。
LiDAR測量用の移動計測では、GNSSとIMUが一体となったナビゲーションシステムが多く使われます。例えばUAVに搭載するLiDARユニットは、GNSS+IMUで飛行中の姿勢や自位置を測定しています。車両のMobile Mappingシステムやバックパック型の歩行計測(モバイルマッピング)においてもIMUが必須です。この組み合わせを使用すると、点群収集中は自身の方向や位置が小さい乱れでも指定できるため、後日の処理で図層を調整させる必要がありません。GNSSとIMUを組み合 わせた高精度なデータ収集システムでは、高速でかつ前処理済みの座標上の点群が得られます。これにより、最初から世界座標系に合致した点群をダイレクトに使えるため、少ない人員でも快速に高度な現場技術を発揮できます。
例えば、IMUなしで移動計測を行うと、市街地のビル陰や樹木下でGNSSが途切れるたびにデータの位置関係が不明瞭になり、後処理での手動補正が必要になる場合があります。しかし、INSを併用しておけばセンサー移動の軌跡が途切れず記録されるため、データ間の繋ぎ合わせを人手で調整する手間がほとんど生じません。
方法4: 点群同士の自動位置合わせ
複数の点群データを統合する際には、マッチングや重ね合わせを自動化するツールを活用すると効率的です。共通する形状や特徴点を指定しなくても、ソフトが点群の重複部分を照合し、合致します。代表的なアルゴリズムにICP(Iterative Closest Point)法があり、ごく精度高く点群を正しく合わせられます。ICPは複数の点群を互いに近似点を探して互いに縮小させていく手段で、小さなずれも自動修正されます。例えば、隣接する区画 のスキャンに共通して映るマンホールの立ち上がり部や道路の傾斜部分などの構造物・地形を用いて点群を合成することが可能です。
ICP以外にも、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術や写真測量(SfM-MVS)ソフトによる自動位置合わせの方法がありますが、基本的な発想は同じです。広い現場を部分ごとに分割測量しても、共通部での自動位置合わせを活用すれば精度は保たれます。結果的に、複数回に分けたスキャン作業を自動で統合できると同時に、各組の点群がきちんと空間上の座標で一つに組み合わされるので、大規模プロジェクトの高精度化と作業時間短縮を同時に実現できます。従来なら作業者が道路や建物の共通点を手作業で合わせ込む必要がありましたが、自動アルゴリズムに任せることでその負担が大きく軽減します。特に、複雑な地形や構造物の点群を整合させる際には、人為ミスの防止と時間短縮に寄与します。
方法5: 座標系と高さ基準の統一・自動変換
屋外測量や土木計測では、日本国のJGD2011/2020などの標準座標系や、海抜高を基準とするジオイド高を基準とする施工も多いです。し かし、LiDARデータの上では、設備版のGPSや計測系の部分が違うことがあります。つまり、点群は取得時にWGS84やローカル座標上にあり、これを補正しないと現場の現実な位置と違えています。例えば所内の作業内で実施される地方系と、世界標準座標系とが分かれている等です。
この繁雑な座標問題を解決するため、あらかじめ座標系やスケールを統一しておくことが重要です。GNSSは便利ですが理論上特定の基準値を持たないため、たとえRTKでもデータ上の座標値を地図に直接用いると不具合が生じます。例えば、自分の位置が精度よくWGS84で得られても、実際に公共図面の配置には役立ちません。そのため、あらかじめ測量で使用する座標系と高さ基準を決め、それに合わせてデータを変換する手順を組み込みましょう。例えば、GNSSで基準点を計測する際に現場のローカル座標へ換算するパラメータを適用したり、点群処理ソフト上で出力座標系を指定して自動変換する方法があります。高さについても、GNSSの楕円体高からジオイド高への変換をリアルタイムもしくは後処理で適用すれば、標高値を調整する手間が省けます。こうした設定を徹底することで、取得した点群は初めから設計図やGISデータと整合する座標・高さを持ち、手作業での座標補正が不要になります。データを即座に他の図面と重ね合わせて検討できるため、ミスの削減と効率化につながります。ちなみに、日本の公共測量では世界測地系(JGD2011/2020)やジオイド高への適合が厳格に求められます。自動変換の仕組みを導入することで、こうした基準への一致も確実になり、取得した点群データを信頼性の高い図面作成にそのまま活用できるようになります。
方法6: スマートフォンLiDARと高精度GNSSの混合
最近はスマートフォンのカメラにLiDAR機能が搭載され、設備や構造物の3Dスキャンが手軽に行えるようになりました。しかし、スマホで獲得した点群データは端末内蔵のIMUやセンサのバイアスにより、現場の座標系に対して正確な位置を表さないものが多いです。ここで、小型で持ち運び可能な高精度GNSS受信機をスマートフォンに装着し、LiDARデータと同期する方法が有効です。これにより、小さな装置でも現場で数センチ精度の座標付き点群を迅速に取得できるようになります。
スマートフォンLiDARの最大の利点は、機動性と手軽さにあります。重い機材や人手を使わずとも、現場担当者自身が1台で小規模な領域の3D測量を行えます。例えば、配置変更が多発する横引き配管の工事現場や工場内の小規模な設置箇所を取得する際にも有効です。このように、必要なときにすぐ高密度な3Dスキャンを実施できる環境が整いつつあります。これは、LiDAR測量に必要だった高価な専用機器やいわゆる「高精度カメラ」の使用を不要とし、チームでの現場データ収集に新たな選択肢を提供します。こうしたスマホ測量の手法は、国土交通省のi-Constructionでも注目されており、手軽な現場DXツールとして今後ますます普及が見込まれます。
方法7: RTK対応ドローンで写真・LiDAR測量
ドローンを用いた空中写真測量やLiDAR計測では、RTK(リアルタイムキネマティック)に対応した機体を使うことで、取得データに自動で高精度な座標を付与できます。従来、空撮から正確な地形モデルを作るには、地上に多数の標定点(ターゲット)を設置して手動で合成する必要がありました。しかしRTK搭載ドローンであれば、飛行中に機体の位置をセンチメートル級で測位し、各写真や点群に測位情報を記録します。その結果、解析ソフト上で写真や点群が自動的に所定の座標系に配置され、地上基準点の数を大幅に削減できます。例えば従来は10点以上の地上基準点が必要だった現場でも、RTKドローンなら2~3点の検証用ポイントで済むケースもあり、フィールドでの作業を大幅に圧縮できます。特に広範囲の土木工事現場や危険で立ち入りにくい地形でも、ドローンを使えば短時間で上空からデータを取得し、即座に測量座標に落とし込めます。
精度を確保するには、ドローンのGNSSを基地局やネットワーク型の補正情報に接続して運用します。リアルタイムでの補正が難しい場合でも、PPK(事後解析)により飛行後に軌跡データを補正する方法があります。いずれにせよ、ドローン測量で測位情報を活用すれば、地上での作業量を減らしつつ、高精度な3次元モデルを効率的に作成できます。
方法8: GNSS基準局サービスの活用で基準点設置を簡略化
RTK測量では通常、自前で基地局(基準点)を設置し、その位置を既知点としてローバー側(移動局)の測位に使います。しかし、各現場でこの基地局設置と既知点測定を行うのは時間と手間がかかります。そこで役立つのがGNSS基準局サービス(全国の電子基準点ネットワークなど)です。これらのサービスに接続すれば、インターネット経由で高精度な補正情報を取得でき、ローバー単体で正確な測位が可能となります。言い換えれば、現場に物理的な基準器を置かなくても、常設の基準局網からリアルタイムに座標を得られるのです。日本 国内でも全国に約1300か所の電子基準点が整備され、多くの地域でリアルタイム補正サービスが利用可能です。
この方法を使えば、LiDAR計測時にも事前準備が簡素化されます。例えば、市街地の小規模測量で毎回基準点を設けなくても、GNSS受信機をネットワークRTKに接続しておけば即座に測位が始められます。複数現場を転々とする場合や、基準点設置に適した場所がない場合でも、GNSS基準局サービスを活用することで作業効率を維持できます。最終的に、基準点測設に費やす時間を削減し、座標取得をスピーディに行うことができるでしょう。
LRTKで現場測量の座標取得をスマートに効率化
LRTKシリーズは、iPhoneに装着して利用できる小型の高精度GNSS測位デバイスです。建設・土木・測量の現場でセンチメートル級の測位を実現し、座標取得にかかる作業時間を大幅に短縮するとともに生産性の飛躍的向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応した最新技術であり、業界のデジタル化を支援する最適なソリューションです。
このデバイスをiPhoneに取り付けることで、スマートフォンが高精度GNSS受信機に早変わりします。専用アプリを起動してカメラをかざしながら歩くだけで、リアルタイムに測位補正された絶対座標付きの点群データや位置情報を取得できます。難しい設定や複雑な機器は不要で、現場担当者一人でも手軽に利用できるのが特長です。座標の自動付与により測量後のデータ調整作業が減り、即座に図面化や分析へと移行できます。
もし現場での効率的な測位やLiDARデータ取得を検討しているなら、LRTKの活用によってその作業効率と精度は格段に向上するでしょう。LRTKの詳細は公式サイトで紹介されており、導入事例や技術仕様も公開されています。ぜひ最新の測位技術で、測量業務のスマート化を実現してみてください。座標自動付与の技術を活用すれば、従来にないスピードと精度で測量成果を得られる時代が到来しています。現場の生産性向上に、これら最新技術をぜひ役立ててください。今後も技術革新に注目しながら、現場に合った効率化策を取り入れていきましょう。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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