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赤外線外観検査をライン検査に組み込む6つの手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

赤外線外観検査は、目視や通常の可視光カメラでは捉えにくい温度ムラ、発熱異常、冷却状態のばらつき、内部欠陥に起因する表面温度差などを可視化できる検査手法です。製造現場で「赤外線 外観検査」を検討する実務担当者にとって重要なのは、赤外線カメラを設置すること自体ではなく、どの工程で、何を、どの条件で、どの基準によって判定するかをライン検査の仕組みに落とし込むことです。本記事では、赤外線外観検査をライン検査へ組み込むための手順を、現場導入でつまずきやすいポイントも含めて解説します。


目次

赤外線外観検査をライン検査に組み込む前に押さえる考え方

手順1 検査目的と検出したい異常を定義する

手順2 ワーク条件とライン条件を整理する

手順3 赤外線撮像条件と検査環境を設計する

手順4 判定ロジックとしきい値を作り込む

手順5 搬送設備と制御システムへ接続する

手順6 試運転で精度を検証し運用ルールに落とし込む

赤外線外観検査を安定稼働させるための改善ポイント

まとめ 赤外線外観検査は工程設計と運用設計で成果が決まる


赤外線外観検査をライン検査に組み込む前に押さえる考え方

赤外線外観検査は、製品や部品の表面から放射される赤外線を捉え、熱画像として温度分布を確認する検査です。通常の外観検査が色、形状、傷、汚れ、寸法、印字などの見た目を中心に扱うのに対し、赤外線外観検査は温度という別の情報を使って異常を見つけます。そのため、表面に明確な傷が出ていなくても、内部の剥離、接合不良、加熱不足、冷却不良、通電異常、成形条件のばらつきなどが温度差として現れる場合があります。


ただし、赤外線外観検査は万能ではありません。温度差が出ない欠陥、放射率の影響を強く受ける表面、周囲温度の変動が大きい工程、反射の影響を受けやすい金属面などでは、検査条件を慎重に設計する必要があります。ライン検査に組み込む場合は、単に赤外線カメラで撮影して異温部を探すのではなく、良品と不良品の温度パターンに再現性があるか、搬送速度に対して十分な撮像時間を確保できるか、判定結果を後工程の制御や排出機構に渡せるかを確認することが重要です。


特に量産ラインでは、検査精度だけでなく、停止しないこと、誤判定を増やさないこと、作業者が扱いやすいこと、保全担当者が状態を把握しやすいことが求められます。研究や評価の場では見える異常でも、現場に入れると照明、外気、治具、搬送姿勢、ワークの個体差によって見え方が変わります。したがって、赤外線外観検査をライン検査に組み込む際は、検査装置の選定より先に、検査対象、工程条件、判定基準、運用方法を一体で考える必要があります。


また、赤外線外観検査は既存の可視光外観検査を置き換えるものとは限りません。可視光検査で表面傷や形状異常を確認し、赤外線外観検査で熱的な異常や内部要因の兆候を確認するように、複数の検査を組み合わせることで品質保証の範囲を広げられます。現場導入の目的は「赤外線を使うこと」ではなく、「流出させたくない不良を安定して見つけること」です。この目的を見失わず、次の6つの手順に沿って検討を進めることが、導入後の手戻りを減らす近道です。


手順1 検査目的と検出したい異常を定義する

最初に行うべきことは、赤外線外観検査で何を検出したいのかを明確にすることです。ライン検査の導入相談では、「温度ムラを見たい」「発熱を確認したい」「内部欠陥を見つけたい」といった表現がよく使われます。しかし、そのままでは検査仕様として不十分です。温度ムラがどの程度なら不良なのか、発熱が発生するタイミングはいつなのか、内部欠陥が表面温度にどのように現れるのかを具体化しなければ、装置構成も判定基準も決められません。


まず、対象ワークの不良モードを整理します。接着や溶着の不良、樹脂成形品の冷却ムラ、電気部品の局所発熱、封止部の異常、塗布量のばらつき、熱処理後の温度分布異常など、赤外線外観検査が有効になりやすいテーマは工程によって異なります。重要なのは、不良の名前だけでなく、その不良が発生したときに熱画像上でどのような変化として現れるかを仮説化することです。良品より高温になるのか、低温になるのか、周辺との温度差として出るのか、時間経過による冷却曲線の違いとして出るのかを考えます。


次に、検査の位置づけを決めます。全数検査として不良品を排出するために使うのか、工程監視として異常傾向を早期に検知するために使うのか、抜き取り検査の自動化として使うのかによって必要な仕様は変わります。全数検査であれば、搬送速度に追従できる撮像、判定、信号出力が必要です。工程監視であれば、個々のワーク判定だけでなく、温度分布の推移や平均値の変化を記録し、設備状態の変化を把握できる仕組みが重要になります。


さらに、良品と不良品のサンプルを準備し、赤外線外観検査で識別できる可能性を事前に評価します。ここで注意したいのは、明らかな不良品だけで評価しないことです。現場で問題になるのは、良品に近い境界品や、条件によって見え方が変わる不良です。限度見本に近いサンプルを含めて撮像し、温度差が安定して出るかを確認します。もし温度差が小さい場合は、撮像タイミング、加熱条件、冷却条件、撮像角度、背景温度などを変えて、検出しやすい条件を探る必要があります。


検査目的が曖昧なまま装置導入を進めると、現場で「異常らしきものは見えるが、不良判定に使えない」という状態になりやすくなります。赤外線外観検査では、見えることと判定できることは別です。判定できる状態にするためには、不良モード、発生工程、熱的な現れ方、許容範囲、記録すべきデータ、後工程での扱いを最初に定義しておく必要があります。この定義が、後の撮像条件、判定ロジック、設備連携の土台になります。


手順2 ワーク条件とライン条件を整理する

検査目的が決まったら、次にワーク条件とライン条件を整理します。赤外線外観検査は、対象物の温度分布を扱うため、ワークそのものの性質と、ライン上での状態が結果に大きく影響します。同じ製品でも、搬送直後、加熱直後、冷却中、組立後では熱画像の見え方が変わります。安定したライン検査を行うには、ワークがどの状態で検査位置に到達するのかを把握することが不可欠です。


ワーク条件では、材質、表面状態、色、光沢、形状、厚み、放射率、温度変化の速さを確認します。特に金属光沢のある表面や反射の強い表面は、周囲の熱源や人、設備の映り込みによって実際の温度とは異なる見え方をする場合があります。樹脂やゴム、塗装面などは比較的温度分布を捉えやすい場合がありますが、それでも表面の汚れ、油分、ロット差、加工状態によって見え方が変わることがあります。赤外線外観検査では、温度そのものだけでなく、表面からどのように赤外線が放射されるかも重要です。


ライン条件では、搬送速度、ワーク間隔、停止撮像か移動中撮像か、検査可能なスペース、振動、周囲温度、風、熱源、照明、作業者の動線を確認します。搬送速度が速い場合は、撮像のぶれや取得できるフレーム数が問題になります。ワーク間隔が短い場合は、判定処理や排出信号のタイミングがシビアになります。検査位置の近くにヒーター、炉、冷却ファン、空調吹き出し口、窓、反射しやすい金属部材がある場合は、温度分布に影響を与える可能性があります。


また、検査をどの工程に置くかも重要です。不良による温度差が最も大きく出るタイミングに検査位置を設けることが理想です。たとえば加熱工程の直後に差が出るのか、一定時間冷却した後に差が広がるのか、通電後の数秒間に発熱異常が現れるのかによって、最適な検査位置は変わります。既存ラインの空きスペースだけで決めると、検査したい異常が十分に見えないことがあります。工程内で温度差が現れる時間帯を調べ、必要であれば搬送距離や待機時間を調整することも検討します。


ワークの姿勢や位置決めも見落とせません。赤外線外観検査では、検査領域が毎回同じ位置に写ることが判定安定性に直結します。ワークの傾き、回転、浮き、治具への載り方のばらつきが大きいと、同じ良品でも温度領域の位置がずれ、誤判定の原因になります。画像処理で位置補正を行う方法もありますが、まずは機械的に安定した姿勢で検査できる設計にすることが基本です。ライン検査に組み込む段階では、検査装置だけでなく、搬送、治具、位置決め、ワーク供給の状態まで含めて確認します。


この手順で整理した情報は、装置仕様書や検査仕様書の核になります。現場の担当者、品質保証部門、生産技術部門、設備保全部門が同じ前提を共有できるように、ワーク条件とライン条件を文書化しておくと後工程がスムーズです。赤外線外観検査は、熱の見え方に左右される検査だからこそ、対象物とラインの現実を丁寧に把握することが成果につながります。


手順3 赤外線撮像条件と検査環境を設計する

ワーク条件とライン条件を把握したら、赤外線撮像条件と検査環境を設計します。ここでは、赤外線カメラの設置位置、撮像距離、視野、分解能、撮像角度、温度レンジ、フレームレート、検査領域、背景条件を決めていきます。ライン検査では、現場に設置できることと、安定して判定できることの両方を満たさなければなりません。撮像条件の設計が甘いと、初期評価では見えていた異常が量産時に安定して見えないという問題が起こります。


まず、検査したい部位が画像内で十分な大きさになるように視野を決めます。広い範囲を一度に撮影すると全体の状態は把握しやすくなりますが、微小な温度ムラを捉えるには画素あたりの対象サイズが大きくなりすぎる場合があります。反対に視野を狭めると細部は見やすくなりますが、ワーク位置ずれに弱くなったり、複数箇所の同時検査が難しくなったりします。検査目的に応じて、必要な検出サイズとライン上の位置ばらつきを考慮し、過不足のない視野を設定します。


撮像角度も重要です。赤外線外観検査では、対象面に対して適切な角度で撮影することで、反射や死角を抑えやすくなります。特に曲面や光沢面では、撮像角度によって周囲の熱源が映り込むことがあります。検査したい領域が斜面や凹凸部にある場合は、正面から見えるようにカメラ位置を工夫するか、複数方向からの撮像を検討します。ライン上の安全カバーや設備フレームが視野を遮らないか、保全時にカメラへアクセスできるかも同時に確認します。


温度レンジと感度の設定では、検出したい温度差が十分に表現されるようにします。対象物の温度が大きく変動する工程では広い温度レンジが必要ですが、微小な温度差を見たい場合はレンジ設定や画像処理の調整が重要になります。単に最高温度や最低温度を見るのではなく、良品のばらつき、不良品の特徴、周辺環境の変動を含めて、判定に使う温度差が安定して得られるかを確認します。


検査環境の設計では、外乱の低減が大きなテーマになります。空調の風が当たる、近くの熱源が周期的に変化する、作業者が検査位置に近づく、窓から日射が入る、といった要因は熱画像に影響します。量産ラインでは、日中と夜間、夏と冬、稼働開始直後と安定稼働後で環境が変わることもあります。赤外線外観検査を安定させるには、遮熱板、背景板、カバー、風よけ、設備配置の見直しなどによって、検査領域の外乱をできるだけ小さくすることが有効です。


さらに、撮像タイミングを明確にします。ワークが検査位置に到達した瞬間に撮るのか、停止後に一定時間待って撮るのか、連続撮像して最適なフレームを使うのかを決めます。温度変化が速い対象では、わずかなタイミングのずれが判定結果に影響します。トリガ信号の発生位置、搬送遅れ、撮像処理時間、判定結果の出力タイミングを含めて、ライン全体の時間設計を行う必要があります。撮像条件と検査環境は、検査性能を左右する基礎であり、後からソフトウェアだけで補正しきれない部分です。導入初期に時間をかけて設計する価値があります。


手順4 判定ロジックとしきい値を作り込む

撮像条件が固まったら、取得した熱画像をどのように判定するかを設計します。赤外線外観検査の判定では、単純に温度が高いか低いかを見るだけでは不十分なことが多くあります。良品でも温度ばらつきは存在し、ワーク全体の温度が工程条件によって上下することもあります。そのため、判定ロジックでは、絶対温度、周辺との温度差、領域内の温度分布、時間変化、形状パターンなどを組み合わせて、良品と不良品を安定して分ける考え方が必要です。


まず、検査領域を定義します。熱画像全体を対象にすると、背景や治具、搬送部の温度が判定に混ざる可能性があります。検査したい部位だけを領域として切り出し、その中で最大温度、最小温度、平均温度、温度差、面積、異温部の位置などを計算します。複数の部位を検査する場合は、それぞれの領域に異なる判定基準を持たせることもあります。ワーク位置がずれるラインでは、位置補正や領域追従の仕組みを入れることで誤判定を抑えます。


次に、しきい値を決めます。しきい値は、少数のサンプルだけで決めると量産時に破綻しやすくなります。良品サンプルを複数ロット、複数時間帯、複数設備条件で撮像し、良品のばらつきを把握します。不良品についても、代表的な不良だけでなく、軽微な不良、境界品、異なる発生要因の不良を含めて確認します。良品のばらつき幅と不良品の特徴量の差が十分に離れていれば、しきい値による判定が安定しやすくなります。差が小さい場合は、撮像条件や検査タイミングの見直しが必要です。


判定ロジックでは、過検出と見逃しのバランスも決めなければなりません。過検出を減らそうとすると見逃しが増え、見逃しを減らそうとすると過検出が増えることがあります。どちらを優先するかは、対象製品のリスク、後工程での検査有無、不良流出時の影響、生産ラインの許容停止頻度によって異なります。品質保証の観点では見逃しを極力抑えることが重要ですが、過検出が多すぎると現場が運用できなくなり、結果として検査への信頼が下がります。導入時には、判定基準を品質部門と製造部門で合意しておくことが大切です。


また、判定結果を単なる良否だけで終わらせないことも有効です。温度特徴量を記録しておけば、工程の変動や設備劣化の傾向を後から確認できます。たとえば、良品判定の範囲内でも平均温度が徐々に変化している、特定位置の温度差が大きくなっている、といった情報は工程改善や予防保全に役立ちます。ライン検査としては良否判定が中心になりますが、赤外線外観検査で得られる熱データは、工程管理データとしての価値もあります。


判定ロジックを作り込む際は、現場で調整可能な項目と、管理者だけが変更できる項目を分けます。しきい値を簡単に変えられるようにしすぎると、ライン都合で基準が緩み、品質保証の一貫性が崩れる恐れがあります。一方で、環境変動や品種切替に対応するために、一定の調整機能は必要です。品種ごとのレシピ管理、変更履歴、権限管理、検査画像の保存、判定理由の可視化を整えることで、現場で使える判定システムになります。


手順5 搬送設備と制御システムへ接続する

判定ロジックが決まったら、赤外線外観検査を実際のライン制御に接続します。ライン検査では、撮像して判定するだけでは不十分です。ワークの到着を検知し、正しいタイミングで撮像し、判定結果を設備側へ渡し、必要に応じて不良品を排出し、検査履歴を保存する一連の流れを作る必要があります。この接続設計が不十分だと、検査結果は正しくても、別のワークを排出してしまう、判定遅れで後工程に流れてしまう、停止時にデータが欠落するといった問題が起こります。


まず、トリガの取り方を決めます。ワーク検知用のセンサー、搬送装置の位置情報、治具番号、工程完了信号など、どの信号を使って撮像を開始するかを設計します。移動中撮像の場合は、ワークが視野内の適切な位置に来た瞬間を安定して捉える必要があります。停止撮像の場合は、ワーク停止後の揺れや位置決め完了を待ってから撮像することで、画像ぶれや領域ずれを抑えられます。トリガ設計は、撮像品質とサイクルタイムの両方に関わります。


次に、判定結果の出力方法を決めます。良品、不良品、再検査、装置異常、撮像失敗など、どの状態を設備側へ伝えるかを整理します。不良判定だけでなく、カメラ通信異常、温度レンジ外、画像取得失敗、ワーク未検出などもライン制御に反映できるようにしておくと、異常時の対応が明確になります。検査装置が正常に判定できていないのにラインが流れ続けると、不良流出のリスクが高まります。検査不能時の扱いをあらかじめ決めておくことが重要です。


排出機構との連携では、ワーク追跡がポイントになります。検査位置と排出位置が離れている場合、どのワークが不良だったのかを搬送順序や治具番号で追跡し、正しいタイミングで排出信号を出す必要があります。ワーク間隔が一定でないラインや、途中で分岐や合流があるラインでは、単純な時間遅れだけでは誤排出の原因になります。検査結果とワーク識別情報を紐づけ、排出位置まで確実に追跡する設計が求められます。


データ保存の設計も欠かせません。赤外線外観検査では、良否判定結果、撮像時刻、品種、ロット、設備番号、特徴量、判定画像、異常内容などを記録することで、後から原因調査や品質説明に使えます。すべての熱画像を保存するとデータ量が大きくなるため、良品は特徴量のみ、不良品は画像も保存するなど、現場の目的に応じた保存方針を決めます。トレーサビリティを重視する製品では、検査結果を製造履歴と紐づけることで、出荷後の問い合わせや工程改善に対応しやすくなります。


制御システムへ接続する際は、現場の保全性も考えます。カメラ、照明ではなく赤外線検査用の補助熱源、制御盤、通信機器、冷却機構、保護カバーなどが追加される場合、点検しやすい配置にする必要があります。ケーブルの取り回し、粉じんや水分への対策、振動対策、清掃性、安全対策を含めて設計します。ライン検査に組み込む赤外線外観検査は、生産設備の一部です。品質部門だけでなく、生産技術、設備保全、製造現場が運用できる構成にして初めて、安定稼働につながります。


手順6 試運転で精度を検証し運用ルールに落とし込む

設備接続まで完了したら、試運転によって検査精度と運用性を確認します。赤外線外観検査は、実ラインで流してみて初めて見える課題が多い検査です。初期評価で良好な結果が出ていても、量産条件ではワーク温度、搬送状態、周囲環境、品種切替、設備の立ち上がり状態が変わります。試運転では、単に数個のワークで判定できるかを見るのではなく、量産時に発生する変動をできるだけ再現し、継続して安定するかを確認します。


検証では、良品の過検出率、不良品の検出率、判定時間、撮像失敗率、排出成功率、データ保存の欠落、作業者の操作性を確認します。特に、良品を多く流したときにどの程度ばらつきが出るかは重要です。少数の良品では問題がなくても、長時間流すと温度分布が徐々に変化したり、設備の温まり方によって背景温度が変わったりすることがあります。量産を想定した連続運転で、しきい値の余裕を確認します。


不良品の検証では、実際に発生し得る不良をできるだけ用意します。意図的に作った不良サンプルは特徴が強く出ることがあり、実不良より検出しやすい場合があります。そのため、過去の市場不具合、工程内不良、限度見本、再現試験品などを組み合わせて評価することが望ましいです。また、不良品を何度も同じ条件で流し、毎回同じように検出できるかを確認します。検出できたりできなかったりする場合は、撮像タイミング、ワーク姿勢、判定領域、しきい値、環境外乱を見直します。


試運転では、異常時の運用も確認します。カメラが通信できない、ワークが検出できない、温度が想定範囲を外れる、排出機構が動作しない、データ保存先に接続できないといった状態で、ラインがどう動くかを確認します。異常時にライン停止するのか、警告を出して継続するのか、再検査へ回すのかは、品質リスクと生産影響を考慮して決めます。現場では、検査装置が止まったときの対応手順が曖昧だと、作業者判断で運用がばらつきます。試運転の段階で異常時フローを明文化しておくことが必要です。


運用ルールには、日常点検、始業時確認、品種切替時確認、しきい値変更の手続き、検査画像の確認方法、不良発生時の処置、装置清掃、定期点検、再校正の考え方を含めます。たとえば、始業時に基準サンプルを流して熱画像の見え方を確認する、カメラ窓の汚れを点検する、周囲温度が大きく変化した場合は確認運転を行う、判定条件の変更は管理者承認を必要とする、といったルールが考えられます。赤外線外観検査は、導入した瞬間に終わるものではなく、運用しながら安定性を維持する検査です。


試運転の結果は、検査仕様書、設備仕様書、作業標準、保全手順、教育資料に反映します。特定の担当者だけが調整方法を知っている状態では、担当者不在時に対応できません。現場の作業者が見る画面、品質担当者が確認する記録、保全担当者が点検する項目を分けて整理し、それぞれが迷わず扱える状態にします。赤外線外観検査をライン検査として定着させるには、装置性能だけでなく、現場運用に落とし込む力が欠かせません。


赤外線外観検査を安定稼働させるための改善ポイント

赤外線外観検査をライン検査に組み込んだ後も、安定稼働のためには継続的な改善が必要です。導入直後は問題なく動いていても、季節変動、設備の経年変化、ワーク仕様の変更、材料ロットの変化、作業方法の変更によって、熱画像の見え方が変わることがあります。赤外線外観検査は温度情報を扱うため、工程や環境の変化に敏感です。導入後の改善体制を最初から考えておくことで、長期的に使える検査になります。


まず重要なのは、良品データの変動を監視することです。不良品だけに注目すると、工程が少しずつ変化している兆候を見逃すことがあります。良品判定されたワークの平均温度、最大温度、温度差、異温部面積などを記録し、時間とともにどのように変化しているかを見ることで、設備条件の変化や材料ばらつきに気づきやすくなります。判定基準に達する前の段階で傾向をつかめれば、ライン停止や不良増加を未然に防ぐことにもつながります。


次に、誤判定の分析を定期的に行います。過検出が発生した場合、その原因がワークの実際のばらつきなのか、環境外乱なのか、位置ずれなのか、判定ロジックの不足なのかを切り分けます。見逃しが疑われる場合は、不良の熱的な特徴がしきい値に対して十分に差を持っていたか、検査タイミングが適切だったかを確認します。誤判定を単に「しきい値を緩める」「しきい値を厳しくする」で処理すると、別の問題を生むことがあります。原因に応じて、撮像条件、機械位置決め、環境対策、判定ロジックを見直します。


品種追加や仕様変更への対応も大切です。赤外線外観検査では、品種が変わると熱容量、形状、表面状態、検査領域が変わり、同じ判定条件が使えない場合があります。新しい品種を流す前に、良品データと不良サンプルを取得し、既存レシピで判定できるかを確認します。必要に応じて品種別のレシピを作成し、現場で誤ったレシピを選ばない仕組みを整えます。品種切替が多いラインでは、ワーク識別情報と連動して検査条件を自動で切り替える設計が有効です。


保全の観点では、赤外線カメラの視野を遮る汚れやカバーの曇り、取り付け位置のずれ、ケーブル劣化、冷却や空調の状態を定期的に確認します。赤外線外観検査は、カメラが見ている画像に異常がなければ正常に動いているように見えますが、実際には窓材の汚れや角度ずれで温度の見え方が変化していることがあります。基準サンプルや基準面を使った日常点検を行うことで、装置側の変化を早期に発見できます。


教育も安定稼働の重要な要素です。作業者が赤外線外観検査の基本を理解していないと、判定結果の意味を誤解したり、環境変化の影響を見落としたりすることがあります。現場教育では、赤外線外観検査が何を見ているのか、良品と不良品の熱画像がどう違うのか、異常表示が出たときに何を確認するのかを具体的に伝えます。難しい理論を詳しく教える必要はありませんが、温度ムラが品質異常だけでなく環境や姿勢の影響でも発生することは共有しておくべきです。


赤外線外観検査は、導入すれば自動的に品質が安定する検査ではありません。現場のデータを見ながら条件を磨き込み、工程変化に合わせて改善することで、検査の信頼性が高まります。特に、量産ラインでは「検査できる」から「運用し続けられる」へ移行することが重要です。記録、分析、保全、教育を組み合わせて、赤外線外観検査を現場の品質管理サイクルに組み込むことが、長期的な成果につながります。


まとめ 赤外線外観検査は工程設計と運用設計で成果が決まる

赤外線外観検査をライン検査に組み込むには、カメラや画像処理だけでなく、検査目的、ワーク条件、ライン条件、撮像環境、判定ロジック、設備連携、運用ルールを一体で設計することが重要です。赤外線外観検査は、温度分布という強力な情報を使える一方で、環境外乱や表面状態、撮像タイミングの影響を受けます。そのため、導入前の評価と、導入後の運用設計を丁寧に行うほど、量産ラインでの安定性が高まります。


6つの手順を振り返ると、最初に検査目的と検出したい異常を定義し、次にワーク条件とライン条件を整理します。そのうえで、赤外線撮像条件と検査環境を設計し、良品と不良品を分ける判定ロジックを作り込みます。さらに、搬送設備や制御システムへ接続し、試運転で精度と運用性を検証します。この流れを踏むことで、赤外線外観検査を単なる評価装置ではなく、量産品質を支えるライン検査として活用しやすくなります。


実務上は、いきなり本格導入を目指すよりも、まず対象不良が熱画像で安定して見えるかを確認し、次に小さな範囲で実ライン条件に近い評価を行い、最後に制御連携と運用ルールまで含めて展開する進め方が現実的です。赤外線外観検査の成否は、装置単体の性能だけで決まるものではありません。対象物の熱的な特徴を理解し、検査に適した工程位置を選び、現場が扱える仕組みに落とし込むことで、初めて品質改善につながります。


「赤外線 外観検査」をライン検査に取り入れたい場合は、検査対象の不良モード、現場の搬送条件、必要な判定精度、既存設備との接続方法を整理したうえで、具体的な導入方法を検討することが大切です。自社ラインでどのように赤外線外観検査を設計すべきかを詳しく相談したい方は、Phoneからお問い合わせください。


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