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ICT施工の省人化効果を現場で測る5つの指標

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

ICT施工を導入するとき、多くの現場で期待されるのが省人化です。ただし、省人化は「人が少なくなった」という印象だけで判断すると、実際の効果を見誤ることがあります。作業員数が一時的に減っても、準備やデータ整理に別の手間が増えていれば、現場全体では省人化できていない場合があります。反対に、人数は大きく変わらなくても、測量待ち、手戻り、確認作業、帳票整理が減っていれば、実務上の省人化は進んでいると考えられます。


ICT施工の効果を正しく見るには、現場の作業を「人数」「時間」「待ち」「やり直し」「記録」の単位に分けて、導入前後で比べることが大切です。本記事では、ICT施工の省人化効果を現場で測るために使いやすい5つの指標を、実務担当者向けに整理します。


目次

ICT施工の省人化は人数だけで判断しない

指標1 作業別の延べ人工を測る

指標2 測量と丁張りにかかる時間を測る

指標3 重機待ちと確認待ちの時間を測る

指標4 手戻りと再施工の発生回数を測る

指標5 写真整理と出来形書類の作成時間を測る

省人化効果を見える化する記録の残し方

まとめ ICT施工の効果は現場単位の小さな指標で測る


ICT施工の省人化は人数だけで判断しない

ICT施工の省人化効果を考えるとき、最初に注意したいのは、単純に現場の人数だけを比べないことです。導入前は10人で施工していた現場が、導入後に8人で回るようになれば、省人化が進んだように見えます。しかし、その裏側で事前の3次元設計データ作成、測位機器の準備、施工履歴データの整理、管理資料の確認に多くの時間がかかっている場合、全体の負担が本当に減ったかどうかは別の問題になります。


現場で重要なのは、どの作業に何人が何時間関わったかを把握することです。ICT施工では、従来の作業が完全になくなるというより、作業の場所やタイミングが変わることがあります。たとえば、丁張りの設置作業は減っても、施工前の座標確認やデータ照合の時間が増える場合があります。現場での測量補助者は減っても、事務所側でデータを確認する担当者の作業が増えることもあります。


そのため、省人化を評価するときは、現場作業だけでなく、準備、施工中の確認、施工後の整理までを含めて見る必要があります。ICT施工は現場の人員を減らすためだけの仕組みではなく、人が判断しなくてもよい部分を機械やデータに任せ、人が確認すべき部分に集中できるようにする仕組みです。つまり、省人化の本質は、単なる人数削減ではなく、人の作業密度を下げ、同じ人数でより安定した施工を進められる状態を作ることにあります。


また、現場によって省人化の出方は異なります。土工量が多く、同じ作業を広い範囲で繰り返す現場では、重機の自動制御や施工履歴の活用による効果が出やすくなります。一方で、狭い現場、既設構造物が多い現場、段取り替えが多い現場では、ICT施工を導入してもすぐに人数削減につながらない場合があります。ただし、そのような現場でも、測量の確認回数が減る、丁張り復旧が減る、出来形確認の段取りが早くなるなど、別の形で省人化効果が現れることがあります。


省人化を正しく測るには、導入前の状態を記録しておくことも欠かせません。導入後だけを見て「便利になった」「楽になった」と感じても、比較対象がなければ効果を説明しにくくなります。できれば、従来施工のときに、測量、丁張り、重機作業、出来形確認、写真整理、書類作成にどれくらいの時間と人手がかかっていたかを残しておくと、ICT施工導入後の変化を説明しやすくなります。


省人化は、現場の感覚だけでなく、継続して比較できる指標に落とし込むことで管理しやすくなります。ここからは、現場で測りやすく、導入効果の説明にも使いやすい5つの指標を見ていきます。


指標1 作業別の延べ人工を測る

ICT施工の省人化効果を測る基本となるのが、作業別の延べ人工です。延べ人工とは、作業に関わった人数と時間を掛け合わせて把握する考え方です。たとえば、2人で3時間かかった作業は6人時として扱えます。現場では日報や作業記録に近い感覚で管理できるため、特別な仕組みを用意しなくても始めやすい指標です。


作業別に分けて見る理由は、ICT施工の効果がすべての作業に均等に出るわけではないからです。測量、丁張り、重機作業、出来形確認、写真整理、書類作成では、それぞれ省人化の出方が違います。たとえば、ICT建機を使うことで重機オペレーターの確認作業が減る場合がありますが、その効果は丁張り作業や測量補助の削減として現れることもあります。全体の人工だけを見ると、どの工程で効果が出たのか分かりにくくなります。


延べ人工を測るときは、まず作業を大きく分けて記録します。測量準備、基準点確認、設計データ確認、施工範囲確認、重機施工、出来形確認、写真撮影、帳票整理など、現場の流れに沿って分類すると実態に合いやすくなります。分類を細かくしすぎると記録する人の負担が増えるため、最初は現場担当者が無理なく続けられる粒度にすることが大切です。


特に重要なのは、ICT施工のために新たに発生した作業も記録することです。3次元設計データの確認、機器の設定、座標系の照合、施工データの取り込み、現場端末の確認などは、従来施工では目立たなかった作業です。これらを記録せずに、現場の作業時間だけを比較すると、省人化効果を過大に見積もる可能性があります。逆に、これらを含めても全体の延べ人工が減っていれば、ICT施工による省人化をより説得力を持って説明できます。


延べ人工を見るときは、1日単位だけでなく、施工数量あたりで比較すると分かりやすくなります。たとえば、同じ1日でも施工した土量や面積が違えば、単純な比較はできません。施工数量が増えているのに延べ人工が同じであれば、単位数量あたりの人工は減っていると考えられます。これは、ICT施工の効果が人数削減ではなく、生産性向上として現れている例です。


また、現場では天候、土質、搬入条件、近接作業、交通規制などによって作業効率が大きく変わります。そのため、1回の結果だけで判断せず、複数日または複数範囲で比較することが重要です。ICT施工の省人化効果は、導入直後よりも、現場の担当者が運用に慣れた後に見えやすくなることがあります。初日は設定確認や操作確認に時間がかかっても、数日後には同じ作業を少ない確認で進められるようになる場合があります。


作業別の延べ人工は、現場の改善点を見つけるためにも役立ちます。たとえば、重機施工の人工は減っているのに、出来形確認の人工が増えている場合は、施工後のデータ整理や確認手順に課題があるかもしれません。測量の人工は減っているのに、データ修正の人工が増えている場合は、施工前の設計データ確認が不足している可能性があります。このように、延べ人工は省人化の結果を測るだけでなく、次の改善につなげるための入口になります。


ICT施工を導入したら、まずは「どの作業で、誰が、どれくらいの時間を使ったか」を残すことから始めるとよいです。大がかりな分析をしなくても、作業別の延べ人工を並べるだけで、現場のどこに人手が残っているかが見えてきます。


指標2 測量と丁張りにかかる時間を測る

ICT施工で省人化効果が見えやすい作業の一つが、測量と丁張りです。従来施工では、施工位置や高さを現場に示すために、丁張りの設置、確認、復旧、撤去が必要になる場面が多くありました。ICT施工では、3次元設計データや測位機器を活用することで、現場に設置する目印や確認作業を減らせる場合があります。そのため、測量と丁張りにかかる時間は、省人化効果を測るうえで重要な指標になります。


ただし、ここでも「丁張りが減ったかどうか」だけを見るのは不十分です。丁張り作業が減っても、施工前のデータ確認や現地との照合に時間がかかっていれば、全体では効果が薄くなることがあります。測量と丁張りの省人化を測るには、従来の丁張り設置時間だけでなく、ICT施工に必要な基準点確認、座標確認、設計データ確認、現場での位置確認まで含めて比較する必要があります。


測るべき時間としては、施工前の測量準備、現場での基準点確認、丁張り設置または位置出し、施工中の確認、丁張りの復旧、施工後の出来形確認があります。ICT施工では丁張りの復旧が減ることが大きな効果になる場合があります。従来施工では、重機や搬入車両の通行、降雨、掘削作業によって丁張りが動いたり失われたりし、そのたびに再設置や再確認が必要になることがあります。この復旧作業は日報上では目立ちにくいものの、現場の人手を確実に使っています。


測量と丁張りの時間を記録するときは、作業の目的を分けておくと効果を把握しやすくなります。施工するための位置出しなのか、出来形を確認するための測量なのか、設計データとの整合を確認するための測量なのかによって、ICT施工で減らせる範囲が違います。位置出しの時間は減っても、品質確認のための測量は残ることがあります。これは省人化が失敗しているわけではなく、人が確認すべき工程が残っているということです。


ICT施工では、測量作業の人数構成も変わります。従来は複数人で行っていた作業が、条件によっては少人数で進めやすくなる場合があります。たとえば、測る人、記録する人、杭を持つ人、確認する人という役割が、機器や端末の活用によって整理されることがあります。この変化を把握するには、測量時間だけでなく、測量に関わった人数も合わせて記録する必要があります。


また、測量と丁張りの省人化効果は、施工範囲の広さや繰り返し作業の有無によって変わります。広い土工範囲で同じ設計面を連続して施工する場合は、ICT施工の効果が出やすくなります。一方で、狭い範囲で構造物が多く、細かい取り合い確認が続く場合は、従来の確認作業も一定程度残ります。そのため、現場ごとの条件を記録しながら比較することが大切です。


測量と丁張りの時間を測るもう一つの目的は、段取りの改善です。ICT施工で測量作業そのものが短くなっても、測位できる場所が限られている、基準点の確認に時間がかかる、現場端末のデータ更新に手間取るといった問題があると、期待した省人化効果は出にくくなります。時間を記録しておくと、どこで詰まっているかが分かります。


省人化効果を見るときは、施工前と施工中と施工後に分けて測ると、より具体的な改善につながります。施工前の準備時間が長い場合は、データ確認手順の標準化が必要かもしれません。施工中の確認時間が長い場合は、現場での表示方法や確認ルールが分かりにくい可能性があります。施工後の出来形確認に時間がかかる場合は、施工履歴データや写真記録とのつなぎ方を見直す必要があります。


測量と丁張りにかかる時間は、ICT施工の省人化を説明しやすい指標です。現場の担当者にも理解されやすく、導入前後の変化を比較しやすいため、最初に取り組む指標として適しています。


指標3 重機待ちと確認待ちの時間を測る

ICT施工の省人化効果は、作業そのものの時間短縮だけでなく、待ち時間の削減にも現れます。現場では、重機が止まっている時間、作業員が確認を待っている時間、測量担当者の到着を待つ時間、指示が出るまで作業できない時間が発生します。これらの待ち時間は、日報上では細かく見えにくいものですが、現場全体の人工と工程に大きく影響します。


ICT施工では、重機のオペレーターが設計面や施工位置を確認しながら作業できる場面が増えます。その結果、従来であれば測量担当者や職長の確認を待っていた時間を減らせる可能性があります。特に、掘削、盛土、整形、路床、法面など、位置や高さの確認を繰り返す作業では、確認待ちの削減が省人化につながりやすくなります。


重機待ちと確認待ちを測るときは、単に「重機が止まっていた時間」を記録するだけでは不十分です。止まっていた理由を分ける必要があります。測量待ちなのか、施工指示待ちなのか、搬入待ちなのか、作業範囲の調整待ちなのか、機器設定の確認待ちなのかによって、対策が変わります。ICT施工によって減らせるのは、主に位置確認や高さ確認に関係する待ち時間です。搬入待ちや交通規制による待ち時間までICT施工の効果として扱うと、評価が不正確になります。


確認待ちの記録では、待ち時間の長さだけでなく、待ちが発生した回数も重要です。1回あたりの待ち時間が短くても、1日に何度も発生すると、現場全体では大きなロスになります。たとえば、重機が数分ずつ止まり、そのたびに作業員が確認に向かうような状態では、作業の流れが細かく途切れます。ICT施工によって確認回数が減れば、実際の時間短縮以上に、作業の連続性が高まります。


重機待ちの削減は、作業員の配置にも影響します。従来は、重機の近くに補助者が付き、位置や高さを確認しながら施工していた場面でも、ICT施工により補助者の常時配置を減らせる場合があります。ただし、安全確認や周囲の誘導が必要な作業では、補助者を単純に減らすことはできません。省人化を評価するときは、減らせる作業と残すべき作業を分けて考える必要があります。


確認待ちの時間を測るには、現場で使う記録方法を簡単にすることが大切です。待ちが発生するたびに長い文章を書く運用では続きません。作業日報や施工記録の中で、待ちの理由と時間を短く残せるようにしておくと、後から集計しやすくなります。たとえば、測量待ち、データ確認待ち、機器調整待ち、施工範囲確認待ちのように分類しておくと、ICT施工で改善できる待ち時間が見えてきます。


重機待ちと確認待ちを見るときは、導入直後の一時的な待ち時間にも注意が必要です。ICT施工を始めたばかりの現場では、機器の設定確認、データの読み込み、操作手順の確認に時間がかかることがあります。この時間だけを見ると、従来施工より非効率に見える場合があります。しかし、運用に慣れるにつれて確認待ちが減り、施工の流れが安定することもあります。そのため、導入初日だけで判断せず、一定期間の推移を見ることが重要です。


また、重機待ちの削減は工程全体にも影響します。重機が止まりにくくなれば、同じ時間内で施工できる範囲が広がる可能性があります。これは、人数が減っていなくても、省人化に近い効果です。同じ人数でより多くの施工を進められるため、単位施工量あたりの人工が下がるからです。ICT施工の価値を説明するときは、「何人減ったか」だけでなく、「同じ人数でどれだけ待ちを減らせたか」も見る必要があります。


確認待ちの少ない現場は、職長や測量担当者の負担も軽くなります。毎回呼ばれて現場を確認するのではなく、事前に整えたデータとルールに沿って現場が自律的に動けるようになるためです。もちろん、最終確認や品質判断は人が行う必要がありますが、すべての細かい確認に人が張り付く状態から脱却できれば、現場全体の省人化は大きく進みます。


指標4 手戻りと再施工の発生回数を測る

ICT施工の省人化効果を測るうえで、手戻りと再施工の発生回数は重要です。省人化というと、直接的な作業時間の短縮に注目しがちですが、実際の現場では、やり直しが減ることによる効果も大きくなります。施工位置のずれ、高さの誤り、勾配の不整合、設計データとの取り違え、出来形確認後の修正などが減れば、その分だけ人の移動、再測量、再施工、再撮影、書類修正が減ります。


手戻りは、一度発生すると複数の作業に波及します。たとえば、掘削高さを誤って施工した場合、再測量、重機の再投入、発生土の調整、周辺作業との再調整、出来形写真の撮り直し、日報の修正が必要になることがあります。表面上は小さな修正に見えても、現場全体では多くの人手を使います。ICT施工によってこうした手戻りを減らせれば、省人化効果として評価しやすくなります。


手戻りを測るときは、発生回数、修正にかかった時間、関わった人数、原因を記録します。発生回数だけでは、影響の大きさが分からないためです。小さな位置修正が1回発生した場合と、広い範囲の再施工が1回発生した場合では、同じ1回でも負担は大きく違います。できれば、手戻りの規模も簡単に残しておくと、後から省人化効果を説明しやすくなります。


原因の記録では、ICT施工に関係するものと、そうでないものを分けることが大切です。設計データの確認不足、座標系の取り違え、基準点の確認不足、現場端末の表示確認不足などは、ICT施工の運用改善に関係します。一方で、天候急変、資材搬入遅れ、別工種との干渉などは、ICT施工だけでは解決しにくい原因です。すべての手戻りをICT施工の評価に入れるのではなく、位置、高さ、形状、出来形確認に関わる手戻りを中心に見ると、指標として使いやすくなります。


ICT施工では、設計データを現場で活用するため、施工中にずれを早く見つけやすくなる場合があります。これは、手戻りを完全になくすというより、大きな手戻りになる前に小さな修正で済ませる効果です。たとえば、施工途中で高さの傾向を確認できれば、完成後に広範囲を直す必要が減ります。このような早期発見の効果も、省人化につながります。


手戻りの記録では、再施工だけでなく、確認のやり直しも含めるとよいです。出来形確認のために再測量が必要になった、写真の撮影位置が分からず撮り直した、施工範囲と写真が対応せず整理に時間がかかったといった作業も、人手を使う手戻りです。ICT施工では、施工履歴、位置情報、写真、出来形データを関連付けることで、こうした確認のやり直しを減らせる場合があります。


また、手戻りが減ると、現場の心理的な負担も下がります。手戻りが多い現場では、担当者が常に確認に追われ、次の段取りに集中しにくくなります。職長や測量担当者が修正対応に時間を取られると、本来見るべき安全、品質、工程の管理が後回しになることもあります。ICT施工によって手戻りを減らすことは、単に人工を減らすだけでなく、管理者が重要な判断に時間を使える状態を作ることでもあります。


手戻りと再施工の発生回数は、発注者や社内説明にも使いやすい指標です。人数削減だけを前面に出すと、安全管理や品質管理への不安につながることがありますが、手戻り削減であれば、品質の安定や工程の平準化と合わせて説明できます。ICT施工の省人化は、人を減らすための無理な削減ではなく、やり直しを減らして無駄な作業を抑える取り組みとして伝えることができます。


この指標を継続して記録すると、ICT施工の成熟度も見えてきます。導入初期はデータ確認不足による手戻りが発生することがありますが、運用ルールが整うと同じ原因の手戻りは減っていきます。もし同じ種類の手戻りが繰り返される場合は、データ作成、現場確認、作業指示、記録方法のどこかに改善点が残っています。省人化効果を高めるには、手戻りを単なる失敗として扱わず、次回の運用改善につなげることが大切です。


指標5 写真整理と出来形書類の作成時間を測る

ICT施工の省人化効果は、施工中だけでなく、施工後の写真整理や出来形書類の作成にも現れます。現場では、作業が終わってからの整理に多くの時間がかかることがあります。写真の撮影位置を確認する、施工箇所と写真を対応させる、出来形測定結果を整理する、帳票に転記する、提出用の資料を整えるといった作業は、目立ちにくいものの確実に人手を使います。


ICT施工では、施工データ、位置情報、写真、出来形確認の記録を組み合わせることで、後工程の整理を効率化できる場合があります。たとえば、施工範囲と写真の対応が分かりやすくなれば、写真台帳の整理時間を減らせます。出来形データの確認手順が整っていれば、測定結果の転記や確認にかかる時間を減らせます。現場での省人化を評価するときは、このような事務作業の時間も必ず含める必要があります。


写真整理と出来形書類の作成時間を測るときは、撮影、分類、確認、修正、提出準備に分けて見ると分かりやすくなります。撮影自体の時間は変わらなくても、分類や確認の時間が大きく減る場合があります。特に、施工箇所が多い現場や、同じような写真が大量に発生する現場では、整理時間の削減が大きな効果になります。


写真整理でよく発生する手間は、どの写真がどの位置のものか分からなくなることです。撮影者がその場では理解していても、数日後に整理する担当者が見ると判断できない場合があります。施工範囲、測点、方向、対象物、撮影時刻が十分に残っていないと、確認のために現場へ戻ったり、担当者に聞き直したりする必要が出ます。こうした確認作業は省人化の妨げになります。


ICT施工では、位置情報や施工データと写真を関連付ける運用を整えることで、後から確認しやすい記録を作れます。ただし、位置情報を使う場合でも、写真の対象物と撮影位置が必ず一致するわけではありません。撮影者が立っている場所と、写っている対象物の位置が離れていることもあります。そのため、写真整理の省人化を進めるには、位置情報だけに頼らず、撮影ルール、命名ルール、メモの残し方も合わせて整える必要があります。


出来形書類の作成時間も、重要な指標です。ICT施工では、出来形管理に使うデータの取り扱いが増えるため、整理方法が不十分だと、かえって確認に時間がかかることがあります。データの保存場所が分かりにくい、ファイル名が統一されていない、施工日や範囲との対応が不明確、修正版と旧版が混在しているといった状態では、省人化どころか確認作業が増えてしまいます。


そのため、書類作成時間を測るときは、単に作成にかかった時間だけでなく、修正や探し物にかかった時間も見る必要があります。資料を探す時間、写真を選び直す時間、測定値を照合する時間、担当者に確認する時間は、すべて省人化の対象です。ICT施工の効果が出ている現場では、これらの確認時間が少なくなります。


写真整理と出来形書類の作成時間は、現場担当者の残業や繁忙感にも直結します。施工中は順調に見えても、月末や検査前に書類整理が集中すると、現場全体の負担は大きくなります。ICT施工の省人化を考えるなら、現場で人が少なくて済んだかだけでなく、検査前の整理に追われる時間が減ったかを見ることが大切です。


また、この指標は次の現場への展開にも役立ちます。写真整理や出来形書類の作成時間が減った理由を分析すれば、他の現場でも使えるルールになります。たとえば、撮影時に必ず施工範囲を記録する、日付と測点の表記を統一する、施工データと写真を同じ単位で整理する、修正版の管理ルールを決めるといった改善は、ICT施工の有無にかかわらず現場の効率化につながります。


ICT施工による省人化は、現場の外からは見えにくい事務作業にも表れます。写真整理と出来形書類の作成時間を測ることで、現場担当者の実感に近い省人化効果を把握できます。


省人化効果を見える化する記録の残し方

5つの指標を使って省人化効果を測るには、記録の残し方が重要です。どれほど良い指標を決めても、現場で記録できなければ継続できません。ICT施工の効果測定は、担当者だけが特別に分析するものではなく、日々の現場記録の延長で続けられる形にすることが大切です。


まず必要なのは、導入前後で同じ項目を比べられるようにすることです。ICT施工を導入した後だけ詳しく記録しても、従来施工との比較が難しくなります。可能であれば、導入前の現場や同種の過去現場で、測量時間、丁張り時間、重機待ち時間、手戻り回数、書類整理時間を大まかに把握しておくとよいです。完全に正確でなくても、同じ考え方で記録していれば比較材料になります。


記録の粒度は、細かすぎないことが大切です。省人化効果を細かく測ろうとして、作業を何十種類にも分けると、現場担当者の負担が増えます。記録するための作業が増えすぎると、それ自体が省人化に逆行します。最初は、測量、丁張り、重機施工、確認待ち、手戻り、写真整理、書類作成のように、現場で直感的に分かる単位で始めると続けやすくなります。


記録には、数字と簡単な理由をセットで残すと効果的です。たとえば、確認待ちが30分あった場合、その理由が測量待ちなのか、データ確認待ちなのか、搬入待ちなのかによって意味が変わります。数字だけを見るとICT施工の効果が分かりにくくなりますが、理由が残っていれば、改善できる待ち時間かどうか判断できます。


省人化効果を見える化する際は、現場条件も一緒に残す必要があります。施工範囲、施工数量、天候、土質、作業員の経験、機器の使用状況、近接作業の有無などによって、作業時間は変わります。ICT施工の導入前後を比べるときに、現場条件が大きく違うと、単純な比較はできません。条件の違いを簡単に残しておけば、後から結果を説明しやすくなります。


また、ICT施工の省人化効果は、日単位だけでなく工程単位で見ることが重要です。ある1日だけを見ると、機器設定や確認作業で時間がかかっているように見えることがあります。しかし、工程全体で見ると、丁張り復旧が減り、確認待ちが減り、出来形整理が早くなっている場合があります。導入効果は短期の作業時間だけでなく、工程全体の人工や手戻り削減として見る必要があります。


記録を残すうえでは、担当者ごとの感覚差にも注意が必要です。ある人は待ち時間として記録し、別の人は段取り時間として記録するなど、判断がばらつくと比較しにくくなります。細かいルールを作りすぎる必要はありませんが、何を測量時間に含めるか、何を手戻りとするか、どこから書類作成時間とするかは、現場内で簡単に共有しておくとよいです。


見える化した結果は、現場だけでなく、社内説明や次回計画にも活用できます。ICT施工の導入効果を説明するとき、「省人化できました」と言うだけでは説得力が弱くなります。測量と丁張りの延べ人工が減った、確認待ちが減った、手戻りが減った、写真整理時間が短くなったという形で説明できれば、次の現場でも導入判断がしやすくなります。


さらに、省人化効果を見える化することで、ICT施工の課題も見つけやすくなります。もし、施工中の人工は減っているのに書類整理時間が増えているなら、データ整理のルールに課題があるかもしれません。測量時間は減っているのに機器設定待ちが増えているなら、事前準備や担当者教育を見直す必要があります。省人化の記録は、良い結果を示すためだけでなく、改善点を見つけるためにも使うべきです。


ICT施工の効果測定は、完璧な分析を最初から目指す必要はありません。まずは、現場で無理なく残せる指標を決め、同じ形で記録を続けることが重要です。記録が蓄積されるほど、現場ごとの傾向が見え、省人化につながる運用とそうでない運用の差も分かってきます。


まとめ ICT施工の効果は現場単位の小さな指標で測る

ICT施工の省人化効果は、単に現場の人数が減ったかどうかだけでは測れません。作業別の延べ人工、測量と丁張りにかかる時間、重機待ちと確認待ちの時間、手戻りと再施工の発生回数、写真整理と出来形書類の作成時間を組み合わせて見ることで、現場の実態に近い効果を把握できます。


省人化は、目に見える人数削減として表れることもあれば、待ち時間の削減、確認作業の削減、手戻りの防止、書類整理の効率化として表れることもあります。ICT施工を導入しても、すべての現場ですぐに人員を減らせるわけではありません。しかし、同じ人数でより広い範囲を施工できる、確認に追われる時間が減る、検査前の整理が楽になるといった変化が出ていれば、省人化は着実に進んでいると考えられます。


大切なのは、導入前後を同じ指標で比べることです。現場の感覚だけに頼ると、効果があるのに説明できなかったり、逆に一部の便利さだけを過大評価したりすることがあります。日報や作業記録の中で、人数、時間、待ち、手戻り、整理作業を簡単に残しておけば、ICT施工の効果を数字で説明しやすくなります。


また、省人化効果を測ることは、ICT施工の導入判断だけでなく、現場運用の改善にもつながります。どの作業で人手が残っているのか、どの確認で待ちが発生しているのか、どの書類整理に時間がかかっているのかが分かれば、次に改善すべきポイントが明確になります。ICT施工は、導入すれば自動的に省人化できるものではなく、現場に合った運用と記録を積み重ねることで効果が高まります。


省人化を急いで人数削減だけで判断すると、安全確認や品質確認に無理が出るおそれがあります。ICT施工の目的は、人が見るべきところを削ることではなく、人が毎回同じ確認に追われる状態を減らし、重要な判断に集中できる現場を作ることです。そのためには、測量、施工、確認、記録の流れを整理し、どこで人手を減らせるのか、どこは人が確認すべきなのかを見極める必要があります。


これからICT施工の省人化効果を測る現場では、まず5つの指標を大きく記録することから始めるとよいです。最初から細かく分析しようとせず、作業別の延べ人工、測量と丁張り時間、待ち時間、手戻り回数、書類作成時間を継続して残すだけでも、現場の変化は見えてきます。その記録をもとに、次の現場では準備手順、データ確認、写真管理、出来形整理を改善できます。


ICT施工の省人化は、現場の小さな無駄を一つずつ減らすことで実現します。測量に呼ばれる回数が減る、丁張りの復旧が減る、重機の確認待ちが減る、写真を探す時間が減る、出来形書類の修正が減る。こうした一つひとつの変化を記録し、積み重ねることで、現場全体の省人化効果を説明できるようになります。位置出しや座標確認、現場記録の効率化をより手軽に進めたい場合は、次のステップとしてスマートフォン型の測位機器や現場端末の活用を検討すると、ICT施工の省人化効果を現場で測りやすくなります。


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