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i-ConstructionとICT施工の違いは?国土交通省の考え方で整理

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著者: LRTKチーム

目次

i-ConstructionとICT施工は似ているようで位置づけが違う

ICT施工は施工段階を中心にICTを活用する取組

i-Constructionは前後工程まで含む広い考え方

両者の違いを工程の広さで整理する

両者の違いをデータ連携の考え方で整理する

i-Construction 2.0で違いはさらに明確になった

なぜ現場ではi-ConstructionとICT施工が混同されやすいのか

実務で言葉をどう使い分けるべきか

i-ConstructionとICT施工の違いを正しく理解することが重要


i-ConstructionとICT施工は似ているようで位置づけが違う


この違いを見落とすと、i-Constructionを施工技術の名称としてだけ捉えてしまい、本来重視されている前後工程やデータ連携の意義が見えにくくなります。反対に、ICT施工をi-Constructionの中の具体的な取組の一部として理解すると、両者の関係がすっきり整理できます。言い換えれば、ICT施工はi-Constructionの中に位置づけられる施工中心の実践であり、i-Constructionはその施工を含みながら、もっと広い範囲を視野に入れた政策的・構造的な考え方だといえます。


この整理は、単なる用語の違いではありません。現場で何を改善しようとしているのか、組織としてどこまで見直す必要があるのか、将来に向けてどのような体制をつくるべきかを考えるうえで、判断の軸になります。施工段階だけを改善すればよいのか、それとも調査から維持管理までをつなぐ形で変えていく必要があるのかによって、取るべき行動は大きく変わるからです。


この背景を押さえると、i-Constructionという言葉に込められた意味がより明確になります。それは単なる新技術導入の合言葉ではなく、工程全体を通じてICTを浸透させることで、建設分野の仕事の進め方そのものを変えていくという方向性です。その方向性の中に、施工段階のICT活用としてICT施工が位置づけられていると考えると、両者の関係が自然につながります。


ICT施工は施工段階を中心にICTを活用する取組


ICT施工の特徴は、その対象が施工段階を中心としている点にあります。工事を進める場面でICTを活用することに焦点が当たっているため、現場感覚としては理解しやすく、実務とも結びつけやすい言葉です。実際、多くの人がICT施工という言葉を聞いたときに思い浮かべるのは、施工中の作業や管理のあり方が変わる姿でしょう。このこと自体は自然であり、ICT施工の意味をつかむうえでも重要です。


ただし、ここで押さえておきたいのは、ICT施工が「施工段階を中心にICTを活用する取組」として理解できる一方で、その守備範囲はあくまで施工を中心にしているということです。施工の前にある調査・測量や設計、施工の後に続く検査や維持管理・更新までを包み込む概念ではありません。もちろん、施工は建設の中核となる重要な工程であり、そこでのICT活用は効果も大きく、現場の変化として見えやすい部分です。しかし、施工だけを高度化しても、前後工程とのつながりが弱ければ、全体最適には届かないことがあります。


この点で、ICT施工は非常に重要でありながらも、それ単体で建設分野全体の変革を説明しきる言葉ではないといえます。施工の質や効率を上げることはできても、工程間の連携やデータの一貫した活用までを当然に含んでいるわけではないからです。だからこそ、ICT施工を過大にも過小にも捉えず、施工中心の取組として正しく理解することが大切になります。


現場にとっては、ICT施工という言葉のほうが具体的で、日々の業務と結びつけやすい面があります。そのため、会話の中ではi-ConstructionよりもICT施工のほうが実感を伴って使われることもあります。しかし、政策や方針の文脈で考えるときには、ICT施工だけを見ていては十分ではありません。施工の改善をどのように前後工程とつなぎ、データをどう活かし、将来の維持管理や更新まで見据えるかという視点が求められるからです。


i-Constructionは前後工程まで含む広い考え方


この考え方に立つと、i-Constructionは「施工をICT化する取組」ではなく、「建設生産プロセス全体をICTによって再構成していく考え方」といえます。施工段階の改善はその中の大きな柱ではありますが、それだけではありません。前の工程で得られた情報が後の工程に活かされ、後の工程で必要になる視点が前の段階から意識されるようになってこそ、i-Constructionの狙いに近づきます。


ここで、ICT施工との違いがさらに明確になります。ICT施工は施工中心、i-Constructionは全工程を視野に入れた枠組みです。両者は対立するものではなく、広い枠組みの中に具体的な施工取組が含まれる関係です。この関係を理解していないと、i-Constructionという言葉が大きすぎて実務に結びつかない抽象論に見えたり、反対にICT施工とまったく同じ意味だと誤解されたりします。どちらも本質を取り逃がす原因になります。


両者の違いを工程の広さで整理する


i-ConstructionとICT施工の違いをもっともわかりやすく捉える方法は、対象となる工程の広さに注目することです。ICT施工は施工段階を中心にした取組です。これに対してi-Constructionは、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新までを含む建設生産プロセス全体に関わる考え方です。この差は単純ですが、とても本質的です。


この工程の広さの違いは、実務上の意味合いにも直結します。ICT施工を考えるときは、施工段階でどうICTを活用するかが中心になります。一方、i-Constructionを考えるときは、各工程がどうつながるか、前の工程で作られた情報が次の工程にどう活かされるか、最終的に整備や管理の継続性にどう結びつくかまで見なければなりません。つまり、ICT施工は施工局面の改善に強く関わり、i-Constructionは工程全体の設計思想に関わる言葉だと整理できます。


この違いを理解すると、「ICT施工を導入しているからi-Constructionに取り組んでいる」と単純には言えないことも見えてきます。施工段階のICT化はi-Constructionの重要な一部ですが、前後工程とのつながりや全体の仕組みづくりまで意識しなければ、i-Constructionの全体像には到達しません。逆にいえば、i-Constructionを本当に理解するには、施工だけを見ていては不十分であり、工程全体の連なりを意識する必要があります。


両者の違いをデータ連携の考え方で整理する


工程の広さに加えて、i-ConstructionとICT施工の違いを整理するうえで重要なのが、データ連携に対する考え方です。事実メモには、i-Constructionが施工だけでなく、前後工程やデータ連携を含むより広い考え方であることが示されています。ここから読み取れるのは、i-Constructionでは単に各工程で個別にICTを使うだけでは足りず、工程をまたいで情報がつながることが重視されているという点です。


ICT施工は、施工段階でのICT活用が中心です。そのため、施工の現場でICTをどう活かすかという視点がまず前面に出ます。これは非常に重要なことですが、あくまで施工に軸足があります。一方でi-Constructionでは、施工を含むすべての工程のあいだで情報が断絶しないことが大切になります。調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新がそれぞれ別々に動くのではなく、つながりを持って機能することが期待されているのです。


この考え方の違いは、導入の深さにも関係します。ICT施工は、施工段階での改善を進めるという意味で、比較的焦点が絞られています。それに対してi-Constructionは、工程全体のデータの流れや、仕事の受け渡しのあり方まで見直す必要があります。つまり、個別工程の改善にとどまらず、工程間の関係そのものを変える発想が必要になります。ここが、i-Constructionがより広い考え方だといわれる理由の一つです。


また、データ連携が重視されるということは、ある工程だけが前に進んでも不十分だということでもあります。施工段階で有効なICT活用ができても、その前段階や後段階と情報がつながらなければ、全体の効率化や質の向上は限定的になります。i-Constructionはこの点を踏まえ、工程ごとの個別最適ではなく、全体の流れを意識した最適化を目指していると考えられます。だからこそ、ICT施工とi-Constructionは似た言葉ではあっても、同じレベルの概念として扱うべきではありません。


i-Construction 2.0で違いはさらに明確になった


i-ConstructionとICT施工の違いは、i-Construction 2.0の考え方を見るとさらにはっきりします。i-Construction 2.0では、施工のオートメーション化、データ連携の高度化、施工管理のオートメーション化が柱とされています。この三つの柱を並べて見るだけでも、i-Constructionが単なる施工支援の枠を超えていることがわかります。


まず、施工のオートメーション化という柱は、施工段階の変革に直結するものです。ここだけを見れば、ICT施工と重なる部分が大きいように見えるかもしれません。しかし、i-Construction 2.0ではそれだけで終わっていません。データ連携の高度化が柱として明示されていることからも、工程をまたいで情報がつながる仕組みづくりが重視されていることがわかります。これは、施工段階だけを中心に見るICT施工よりも広い視野を持っていることを示しています。


さらに、施工管理のオートメーション化が柱に含まれている点も重要です。施工そのものだけでなく、施工を支える管理のあり方まで自動化や高度化の対象にしているからです。ここには、単に現場作業をICTで置き換えるという発想ではなく、施工を取り巻く運営や管理の仕組み全体を変えていこうとする意図が読み取れます。つまり、i-Construction 2.0は、施工段階の中でもより広い機能を対象にしつつ、同時にデータ連携まで含めた構造変化を目指しているのです。


このように考えると、ICT施工はi-Constructionの一部として引き続き重要でありながら、i-Construction 2.0の全体像をそのまま言い表す言葉ではないことが明確になります。施工のオートメーション化だけでi-Construction 2.0を説明することはできません。データ連携の高度化や施工管理のオートメーション化まで含めて考える必要があるからです。ここでも、i-Constructionは個別技術の名称ではなく、より包括的な変革の枠組みだという本質が浮かび上がります。


安全に、そして質の高いインフラ整備・管理を継続するためには、施工段階だけを改善しても十分とはいえません。調査・測量の段階で必要な情報が整理され、設計に適切につながり、施工で活かされ、その結果が検査や維持管理・更新に無理なく引き継がれることが求められます。少人数で回る体制というのは、単に現場作業の人数を減らすことではなく、工程全体の無駄や重複、分断を減らし、つながりのある仕事の流れをつくることだと考えられます。ここに、i-Constructionが全工程を対象とする理由があります。


この点を理解すると、i-Constructionという言葉がなぜ政策的に重要なのかが見えてきます。施工現場の改善だけであればICT施工という表現でも一定の説明はできますが、将来にわたって少人数で安全かつ高品質なインフラ整備・管理を続けるという大きな目標を掲げるなら、工程全体を視野に入れたi-Constructionという枠組みが必要になります。言葉の違いは、そのまま目指している変革の広さの違いでもあるのです。


なぜ現場ではi-ConstructionとICT施工が混同されやすいのか


i-ConstructionとICT施工が混同されやすいのには、いくつかの理由があります。第一に、どちらもICTを活用する建設分野の取組として語られるため、表面的には非常に近く見えることです。第二に、現場で実感しやすい変化は施工段階に現れやすく、その結果としてICT施工の印象が強く残りやすいことです。第三に、i-Constructionの中でも施工は重要な位置を占めているため、実務では両者の境界が見えにくくなりやすいことです。


しかし、混同しやすいからといって、同じ意味として扱ってしまうと問題があります。たとえば、i-Constructionを施工中心の取組だとだけ理解すると、調査・測量や設計、検査、維持管理・更新とのつながりを軽視しやすくなります。その結果、施工段階ではICT化が進んでいても、前後工程との連携が弱いままになるおそれがあります。これでは、i-Constructionが本来目指している全体最適には届きません。


一方で、ICT施工という言葉が悪いわけではありません。施工段階に焦点を当てることで、課題や改善点を具体的に捉えやすくする役割があります。むしろ、実務を進めるうえでは、ICT施工という言葉の具体性は大きな強みです。ただし、その具体性ゆえに、それが建設生産全体の変革を表す言葉であるかのように受け止めてしまうと、見える範囲が施工に限られてしまいます。ここに、両者を使い分ける必要性があります。


現場で混同が起こりやすいからこそ、言葉の位置づけを整理して共有することが大切です。i-Constructionは建設生産プロセス全体の変革の方向性であり、ICT施工はその中でも施工段階を中心にICTを活用する取組です。この関係を共通認識として持てれば、議論の軸がぶれにくくなり、どこまでを改善対象にするのかも明確になります。


実務で言葉をどう使い分けるべきか


実務でi-ConstructionとICT施工を使い分けるときは、まず何を説明したいのかをはっきりさせることが重要です。施工段階でのICT活用や、その現場運用について話すのであれば、ICT施工という言葉のほうが適しています。施工の効率化、施工時の情報活用、施工管理との関係など、施工という局面に焦点を当てて議論しやすいからです。


これに対して、組織の方針や業務全体の改革、工程をまたいだデータ連携、将来の維持管理まで見据えた体制づくりを語るのであれば、i-Constructionという言葉を使うほうが自然です。i-Constructionは、調査・測量から維持管理・更新までを対象にした広い考え方であり、施工だけでは説明しきれない変革を表すのに適しています。


また、i-Construction 2.0の文脈では、この使い分けがさらに重要になります。施工のオートメーション化を語るだけならICT施工との接点は大きいですが、データ連携の高度化や施工管理のオートメーション化まで含めて考えると、やはりi-Constructionという枠組みで捉える必要があります。施工だけを改善すれば十分だという話ではなく、工程や管理のつながりそのものを変えていく話だからです。


実務でこの整理ができていると、導入の目的もぶれにくくなります。施工の局面改善なのか、全体の業務変革なのかによって、必要な準備や関係者の巻き込み方は変わります。ICT施工として進めるべき内容と、i-Constructionとして全体設計を考えるべき内容を混同しないことが、結果として導入の精度を高めることにつながります。


i-ConstructionとICT施工の違いを正しく理解することが重要


さらに、i-Construction 2.0では、施工のオートメーション化、データ連携の高度化、施工管理のオートメーション化が柱として示されています。このことからも、i-Constructionが施工中心の概念にとどまらず、工程と管理のつながり全体を変えていく枠組みであることがわかります。ICT施工はその中の重要な実践領域ですが、i-Construction全体をそのまま言い表す言葉ではありません。


現場で両者が混同されやすいのは自然なことですが、用語の違いを正しく押さえることで、議論の精度は大きく変わります。施工局面の改善を語るのか、建設生産全体の変革を語るのかを明確にできれば、何を目的にし、どの範囲を見直すべきかが見えやすくなります。i-ConstructionとICT施工の違いを正しく理解することは、単に言葉を覚えることではなく、建設分野の変革をどのスケールで捉えるかを整理することにほかなりません。今後の取組を考えるうえでも、この視点は欠かせないものになるでしょう。


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