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i-Construction 2.0の3本柱とは?国交省方針をわかりやすく整理

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

i-Construction 2.0の3本柱とは、施工のオートメーション化、データ連携のオートメーション化、施工管理のオートメーション化の3つです。国土交通省は2024年4月にi-Construction 2.0を公表し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に高めることを目標に掲げました。単にICTを使う段階から一歩進み、建設現場そのものをオートメーション化していくことが、国交省方針の中心にあります。


この3本柱を正しく理解すると、i-Construction 2.0が単なる新しい流行語ではなく、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理までをつなぐ実務改革だと見えてきます。特に重要なのは、3本柱がそれぞれ独立した施策ではなく、機械の動き、データの流れ、現場管理のやり方を同時に変える一体施策だという点です。


目次

i-Construction 2.0とは何か

なぜ今「3本柱」なのか

1本目 施工のオートメーション化

2本目 データ連携のオートメーション化

3本目 施工管理のオートメーション化

3本柱はどう連動するのか

実務担当者が押さえるべきポイント

今後の見方

まとめ


i-Construction 2.0とは何か

i-Constructionは、もともと2016年度から国土交通省が進めてきた建設現場の生産性向上策です。従来のi-Constructionでは、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの建設生産プロセス全体でICT活用を広げ、2025年度までに生産性を2割向上することを目標としてきました。実際、国交省資料では、直轄土木工事でICT施工を実施できる対象工事の87%で導入が進み、2015年度比で平均約21%の作業時間短縮効果が確認されています。ここまでは、ICTの全面的な導入によって現場を効率化するフェーズだったと言えます。


その次の段階として整理されたのが、i-Construction 2.0です。国交省は、これまでの取組だけでは将来の人口減少局面で施工能力を維持するには不十分であり、今後は「ICT等の活用」から「自動化」へステージを上げる必要があると位置づけています。つまり、i-Construction 2.0は従来施策の否定ではなく、ICT施工やBIM/CIMで整えてきた土台の上に、自動化、データ連携、遠隔化を重ねていく深化版だと理解するとわかりやすいです。


なお、データ面の土台としては、令和5年度から全ての直轄土木業務・工事でBIM/CIMの原則適用が進められてきました。国交省自身も、i-Construction 2.0のデータ連携のオートメーション化を進めるうえで、BIM/CIMを受発注者のデータ活用・共有を容易にする仕組みとして位置づけています。そのため、i-Construction 2.0を理解する際は、建機の自動化だけを見ても不十分で、3次元データと業務フローの標準化まで含めて捉える必要があります。


なぜ今「3本柱」なのか

国交省が3本柱を打ち出した最大の理由は、建設現場を取り巻く前提条件が大きく変わっているからです。i-Construction 2.0の本文では、総人口が50年後には現在の7割に減少し、65歳以上人口はおよそ4割を占め、生産年齢人口は2040年に2割減少すると整理されています。加えて、建設業では55歳以上の比率が全産業平均より高い水準で増加している一方、29歳以下の比率の伸びは緩やかで、高齢就業者の大量退職も見込まれています。人を増やして乗り切る前提が成り立ちにくいからこそ、少ない人数で回る仕組みが必要になっているのです。


さらに、災害の激甚化・頻発化とインフラ老朽化が同時に進んでいます。復旧・復興のスピードが求められる一方で、道路、橋、河川、港湾などの維持管理需要は今後も増えます。つまり、仕事量は軽くならないのに、担い手は減るというのが現実です。そこで国交省は、建設現場の仕事のあり方そのものを変革し、デジタル技術とデータを活用して省人化を進める必要があるとしています。3本柱は、その変革を現場に実装するための整理軸です。


もう一つ重要なのは、国交省が3本柱を単なる効率化策ではなく、安全確保や働き方改革とも結び付けていることです。i-Construction 2.0の目標は、生産性1.5倍だけではありません。建設現場の死亡事故削減、屋外作業のリモート化・オフサイト化、快適な環境での作業、多様な人材の活躍の場づくりまで含めて描かれています。つまり、3本柱は省人化のためだけでなく、危険な場所から人を離し、経験者の知見を遠隔・データ経由で活かしやすくするための方針でもあります。


1本目 施工のオートメーション化

1本目の施工のオートメーション化は、もっともイメージしやすい柱です。国交省は、各種センサーで現場情報を取得し、AIなどを活用して自動作成された施工計画に基づき、一人のオペレータが複数の建設機械の動作を管理する姿を目指しています。ここでのポイントは、単に建機を高機能化することではなく、人が1台ずつ乗って動かす前提から、人が監督・管制に回る前提へ変えることです。加えて、標準的な安全ルールの整備、異なるメーカー間でも使える共通制御信号の整備、遠隔建設機械の普及促進、海上工事における作業船の自動化までが含まれています。


この柱は、将来の完全自動化だけを語っているわけではありません。現時点では、遠隔施工や施工データ活用による最適化も重要な実装段階です。2024年度には、国土交通省発注工事で21件の遠隔施工が実施されました。また、自動施工の試行工事は2024年度に4件行われ、2025年度は大規模土工だけでなく山岳トンネルにも対象を拡大する方針が示されています。国交省資料には、3名の監視者が14台の自動建設機械を昼夜連続で監視した事例も示されており、現場での役割分担がすでに変わり始めていることがわかります。


また、施工のオートメーション化は、自動運転だけではなく、現場データを使って施工を最適化する取組も含みます。たとえば、ダンプトラックやバックホウの位置情報と稼働状況を可視化し、運搬経路や機械能力を見直した結果、日当たり施工量を25%増やし、トータルで8日間の工程短縮、延べ80人の削減につながった事例が公表されています。これは、完全自動化を待たなくても、データを使って現場を回し方から変えるだけで省人化が進むことを示しています。


実務的に言えば、この柱で問われるのは「建機を自動化できるか」だけではありません。現場のどこに待機時間があり、どこに熟練者依存があり、どこが監視・制御に置き換えられるのかを見極めることです。施工のオートメーション化は、現場を無人化する話ではなく、人が本当に人である必要のある判断業務に集中できるよう、動かし方を再設計する話だと理解すると実務に落とし込みやすくなります。


2本目 データ連携のオートメーション化

2本目のデータ連携のオートメーション化は、3本柱の中で最も誤解されやすい一方、実は最も重要な柱です。国交省はこれを、調査・測量、設計、施工、維持管理までの建設生産プロセス全体をデジタル化・3次元化し、必要な情報を必要な時に加工できる形式で容易に取得できる環境を構築することだと説明しています。目的は明確で、同じデータの繰り返し手入力をなくし、不要な調査や問い合わせ、復元作業、資料を探す手間や待ち時間を減らすことにあります。


この柱の中心にあるのがBIM/CIMです。BIM/CIMは、3次元モデルをきれいに作ること自体が目的ではありません。2次元図面、3次元モデル、点群、GIS、属性情報などを用途に応じて統合管理し、受発注者が同じ情報を別々に打ち直さずに済む状態をつくるための基盤です。国交省は2025年度の取組として、BIM/CIM取扱要領の策定、3次元モデルと2次元図面の連動、属性情報の標準化によるBIM/CIM積算、現場データ活用による書類削減を進めています。つまり、データ連携のオートメーション化とは、図面を3Dにすることではなく、データが工程をまたいで再利用されるようにすることです。


この方向性は、具体的な数字にも表れています。2024年度には、3次元モデルを契約図書として活用する前提となる3次元モデルと2次元図面の連動に86件で取り組みが行われました。2025年度は、3次元モデルを契約図書の一部として活用するためのロードマップ作成・公表、連動確認ルールの策定、2次元図面削減の検討、試行工事の実施が進められています。ここで大事なのは、2次元図面がただちに消えるのではなく、当面は3次元モデルと2次元図面のハイブリッドで進むという点です。実務担当者は、3D化イコール即2D廃止と考えない方が現実的です。


さらに、積算分野でも動きがあります。国交省は、3次元モデルで自動算出される数量を積算に直接活用する取組を進めており、2024年度には橋梁下部工で11件の試行を実施しました。公表資料では、3次元モデルの数量を用いて積算システムに取り込むデータを半自動作成し、2次元図面による数量算出作業の削減や転記ミス防止につなげる考えが示されています。設計、数量算出、積算、施工準備が別々の仕事ではなく、一連のデータフローに変わっていく象徴的な動きです。


実務の観点から見ると、この柱の本質は、現場の手戻りを減らすことにあります。施工前の合意形成、施工中の判断、検査時の確認、完成後の引継ぎまで、すべての場面で「同じ情報を何度も作り直す」ことが損失です。i-Construction 2.0に対応したいなら、まずはデータを誰がどこで作り、次工程でどう再利用するかという流れを見直すことが近道です。機械の自動化より先に、データの流れを整えるだけでも効果が出やすいのはこのためです。


3本目 施工管理のオートメーション化

3本目の施工管理のオートメーション化は、現場の確認、検査、監督、部材製作、運搬、設置を、リモート化・オフサイト化によって省力化していく柱です。国交省は本文で、施工の自動化やBIM/CIMによるデジタルデータ活用に加え、部材製作、運搬、設置や監督・検査など、あらゆる場面で新技術を使いながら施工管理のオートメーション化を進めるとしています。遠隔臨場の検査適用、画像解析による配筋出来形確認、プレキャストの大型構造物への展開、高速・大容量回線の整備、そして衛星測位技術の活用では国家座標に準拠したデータ活用の推進までが整理されています。


ここで重要なのは、施工管理のオートメーション化が単なるオンライン会議化ではないことです。国交省の2025年度資料では、遠隔臨場の原則適用が令和6年度から始まっていること、プレキャスト部材の活用や監督・検査のリモート化、さらには高速ネットワーク整備を通じて、快適なオフィスでの作業判断を実現していく方向が示されています。つまり、現場に出向かなければできない仕事を減らし、現地確認が必要な場合でもデジタルデータや通信基盤を前提に再設計することが、この柱の中身です。


この柱の効果がわかりやすいのが、デジタルデータを活用した監督・検査の試行です。2024年度の試行結果を踏まえ、出来型面管理データを現地で重ね合わせて監督・検査を行う場合、出来形管理図表の作成・提出を不要とするよう要領が改訂されました。ARで施工段階の3次元モデルや出来形管理図表を現地に投影し、出来形の良否を視覚的に確認することで、段階確認や実地検査の効率化・迅速化、書類の一部ペーパーレス化が進んでいます。これは、施工管理のデジタル化が、現場作業だけでなくバックオフィスの負担も減らすことを示す好例です。


加えて、品質管理の一部も省人化が進んでいます。生コンスランプをカメラで撮影し、AIで画像解析することで、従来の現場受入時の品質試験の一部を代替する試行は、令和5年度から全国直轄工事で始まり、令和6年度は11件実施されました。施工管理のオートメーション化は、検査を楽にするだけでなく、品質確保のやり方そのものをデジタル起点に組み替えていく流れだと考えると理解しやすいです。


3本柱はどう連動するのか

i-Construction 2.0の3本柱は、別々に導入しても効果は出ますが、本当の意味で効くのは連動したときです。施工のオートメーション化だけ進めても、設計データが建機で使えない形式だったり、検査で紙に戻ってしまったりすれば、現場全体の省人化にはつながりにくくなります。逆に、BIM/CIMで設計・施工・検査のデータがつながり、現場データがリアルタイムに施工機械へ返され、完成形の確認がARや点群で行えるようになると、施工、データ、管理の3本が一本の流れになります。


わかりやすく言えば、1本目は「つくる作業の自動化」、2本目は「情報の受け渡しの自動化」、3本目は「確認と運用の自動化」です。建設現場では、この3つのどこか1つだけが遅れても、最終的には人手でつじつまを合わせることになります。国交省が3本柱として整理した理由は、現場の省人化を本気で進めるには、機械、データ、管理の3領域を同時に変えなければならないからです。これは実務上、とても重要な視点です。


実務担当者が押さえるべきポイント

実務担当者がまず押さえるべきなのは、i-Construction 2.0を「大規模な自動施工の話」と狭く捉えないことです。国交省の公表内容を見ると、遠隔施工、自動施工、BIM/CIM積算、3Dと2Dの連動、AR検査、品質試験の画像解析など、入口は多様です。自社や自現場に置き換えるなら、最初に着手すべきは、毎回同じ手戻りが起きる工程、毎回同じ転記が発生する書類、毎回同じ移動負担が発生する確認作業を特定することです。そこに3本柱のどれを当てるかを考えると、導入の優先順位が見えやすくなります。


次に、データ標準化を後回しにしないことが重要です。施工の自動化は目立ちますが、実務上は、設計データが次工程で使えない、点群や属性情報の受け渡しが曖昧、契約図書の扱いが整理されていないと、結局は人手で補正することになります。国交省が3次元モデルと2次元図面の連動や、属性情報の標準化による積算活用に力を入れているのは、まさにそのためです。派手な設備投資より先に、データ形式と運用ルールを整える方が効果的な現場は少なくありません。


また、2次元図面がすぐになくなると期待しすぎない方が現実的です。2025年度の国交省資料でも、3次元モデルを契約図書化する方向性は示されている一方、当面は2次元図面とのハイブリッドで進める考えが明確です。したがって、現場の実務では、2Dと3Dの二重管理をどう減らすか、どの図面を3Dで代替できるか、どこから自動照査を導入するかという視点で段階的に進めるのが現実解です。


さらに、測位と座標の考え方は、今後ますます重要になります。国交省は施工管理のオートメーション化に向けた衛星測位技術の活用で、国家座標に準拠したデータ活用を推進すると明記しています。現場で3次元データ、出来形、機械制御、検査結果を一貫して扱うなら、位置情報の精度と座標整合は土台になります。i-Construction 2.0を本気で進めるなら、測る技術を単独作業として切り離すのではなく、施工・管理・検査をつなぐ基盤として見る必要があります。


今後の見方

i-Construction 2.0は、すでに発表済みの政策文書を読むだけで終わる段階ではありません。2026年2月には、国土交通省がフィジカルAI・AIロボティクス活用に向けたワーキンググループを立ち上げ、建設プロセスの変革も含めた更なる省人化、安全性向上、維持管理の高度化に向けて議論を加速すると公表しています。これは、施工の自動化が今後さらに高度化し、AIが現場計画や実行支援に深く関わっていく可能性を示しています。


同じく2026年3月には、第15回BIM/CIM推進委員会が開催され、i-Construction 2.0のトップランナー施策であるデータ連携のオートメーション化の実現に向け、令和7年度の実施内容と今後の方向性が議論されることが公表されました。つまり、3本柱のうち特にデータ連携は、制度、基準、要領、運用の整備が引き続き進む中核領域だと見てよいでしょう。


港湾分野でも、2026年2月時点で、海上工事のオートメーション化、AIを活用した海底測量の効率化の適用拡大、BIM/CIM活用要領の改定などが議題として挙がっています。こうした動きを見ると、i-Construction 2.0の3本柱は、土工だけの話でも、大手だけの話でもなく、分野横断で順次具体化される政策パッケージだと理解するのが適切です。


まとめ

i-Construction 2.0の3本柱とは、施工のオートメーション化、データ連携のオートメーション化、施工管理のオートメーション化です。国交省はこの3本を通じて、建設現場を単に効率化するのではなく、少ない人数で、安全に、快適に、高い生産性を発揮できる仕事の仕組みへ変えようとしています。その到達目標が、2040年度までの省人化3割、生産性1.5倍です。


実務上は、まず自社の現場で、どこに人手依存があるのか、どこに手入力があるのか、どこに移動負担や確認負担があるのかを見つけることが出発点になります。そして、施工、データ、管理を別々に最適化するのではなく、一連の流れとして再設計することが重要です。特に、国家座標に準拠した位置情報や3次元データを現場運用に無理なく組み込めるかどうかは、今後の差になりやすいポイントです。その意味では、現場で高精度な位置情報とデジタル計測を日常業務に取り込みやすくするLRTKのような仕組みは、i-Construction 2.0時代の実装を前に進める入口として相性がよいと言えるでしょう。


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