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i-Construction 2.0の目的は?導入背景を4つで整理

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

i-Construction 2.0とは何か

i-Construction 2.0の目的

導入背景1 生産年齢人口の減少と担い手不足

導入背景2 災害の激甚化・頻発化

導入背景3 インフラ老朽化と維持管理負担の増大

導入背景4 DXの本格化とデータ連携の必要性

i-Construction 2.0で現場はどう変わるのか

導入を進める企業が押さえたい実務ポイント

まとめ


i-Construction 2.0とは何か

i-Construction 2.0は、国土交通省が2024年4月に取りまとめた、建設現場のオートメーション化に向けた政策です。2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性1.5倍の向上を目指し、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として位置付けています。


前提として、国土交通省は2016年度からi-Constructionを推進し、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの建設生産プロセス全体でICT活用を広げてきました。その結果、ICT施工による作業時間短縮効果を基にした直轄事業の生産性向上比率は、対2015年度比で21%に達したと整理されています。つまり、これまでの取組は一定の成果を上げています。


そのうえでi-Construction 2.0が重要なのは、単なるICT導入の延長ではなく、政策の軸足を「ICT等の活用」から「自動化」へ移している点です。国土交通省は、人口減少下でも将来にわたり社会資本の整備・維持管理を持続するためには、現状の取組だけでは生産性向上が頭打ちになり得るとして、一人が複数台の機械を管理する施工、BIM/CIMを核にしたデータ連携、遠隔化やオフサイト化を含む施工管理まで視野に入れた抜本的な省人化が必要だと整理しています。


ここで押さえたいのは、i-Construction 2.0が特定の技術や機械を指す言葉ではないことです。あくまで現場全体の運営をどう変えるかという枠組みであり、施工、書類、検査、設計変更、維持管理までを一つのデータの流れでつなぎ、危険作業や反復作業をできるだけ人から切り離す考え方です。言葉としては新しく見えても、実態は建設現場の仕事の進め方そのものを組み替える政策だと理解すると全体像をつかみやすくなります。


i-Construction 2.0の目的

i-Construction 2.0の目的を一言でいえば、人口減少が進んでも、社会インフラの整備と維持管理を止めない体制をつくることです。国土交通省は、建設現場で働く一人ひとりの生産量や付加価値を高め、少ない人数でも安全に、快適な環境で働ける生産性の高い現場を実現することを目指しています。


公式資料では、目標は生産性だけに限定されていません。2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進めることに加えて、建設機械の自動化・遠隔化によって人的被害のリスクを減らす安全確保、屋外中心の厳しい作業を快適な環境へ移していく働き方改革、時間や場所を有効に使える柔軟な働き方や多様な人材の活躍を後押しすることも含まれています。


そのために設定された3本柱には、それぞれ明確な役割があります。施工のオートメーション化は、センサーやAIを使って現場情報を取得し、一人のオペレーターが複数の建設機械の動作を管理できる方向へ進める考え方です。データ連携のオートメーション化は、BIM/CIMなどで調査・測量、設計、施工、維持管理を3次元データでつなぎ、同じデータの手入力や資料探索、問い合わせ待ちを減らすことを狙います。施工管理のオートメーション化は、遠隔臨場を検査まで広げ、画像解析、プレキャスト、通信基盤強化などで現場管理そのものを省人化していく取組です。


加えて、公式資料では、賃金や休暇の面でも魅力ある建設業へ転換することが目標として示されています。生産性が上がれば、同じ人数でもより高い価値を生み出せるようになり、計画的な施工や完全週休二日の確保にもつながりやすくなります。つまりi-Construction 2.0は、現場の効率化政策であると同時に、建設業を若い世代や多様な人材にとって選ばれる産業へ変えるための人材政策でもあります。


実務で誤解されやすいのですが、ここでいう省人化は、単純に人を減らすことそのものが目的ではありません。人が担ってきた手作業や危険作業、反復的な確認作業をAIやシステム、遠隔技術へ置き換え、人はマネジメントや高度判断へ集中することで、必要な施工能力を維持するという考え方です。人手不足に受け身で対応するのではなく、仕事の構造を変えて、少ない人数でも回る現場へ転換することが本質です。


導入背景1 生産年齢人口の減少と担い手不足

最も大きい背景は、働き手そのものが減っていくことです。国土交通省資料では、生産年齢人口は2020年度の約7,509万人から2040年度には約6,213万人へ減り、対2020年度比で約2割減少すると整理されています。建設分野だけが特別に厳しいのではなく、日本全体で「人を集めれば解決する」という前提が成り立ちにくくなっているのです。


さらに建設業は、担い手構造そのものに課題を抱えています。令和7年版国土交通白書では、2024年時点の建設業就業者のうち55歳以上の割合は36.7%、29歳以下は11.7%で、全産業平均より高齢化が深いと示されています。加えて、建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、若手確保のためにも長時間労働の是正と生産性向上を同時に進める必要があります。


このため、従来のように熟練者の経験や現場常駐の長時間労働に依存する運営は持続しません。技能者が減るなかで施工量を維持するには、経験のある少数者が現場全体を統括し、判断に必要な情報はデータで補い、機械操作や確認作業は遠隔化・自動化していく方向が合理的です。i-Construction 2.0が一人で複数台の建設機械を管理する施工や、クラウド上で共有されたデータを使った働き方を重視するのは、この構造的な人手不足が背景にあるからです。


また、担い手不足は元請だけの課題でもありません。公共工事を支える地域建設業や専門工事業者の裾野まで含めて人材確保が難しくなれば、発注者側の計画や災害復旧のスピードにも直接影響します。だからこそ、i-Construction 2.0は個社の効率化を超え、国民生活を支えるインフラ提供体制そのものを守るための政策として位置付けられているのです。


導入背景2 災害の激甚化・頻発化

2つ目の背景は、災害対応の重要性が年々高まっていることです。国土交通省は、近年の気候変動の影響により、短時間強雨や記録的な降雨・降雪、台風による水害や土砂災害、交通障害が激甚化・頻発化していると整理しています。そのうえで、災害が発生した場合には、人口減少下でも地域の守り手として速やかに復旧・復興に取り組むことが求められると明記しています。


災害対応では、単に工事を早く終わらせるだけでは足りません。斜面崩壊の危険がある場所、出水リスクが高い場所、積雪寒冷地のように厳しい条件下の現場では、作業員を危険箇所へ近づけないこと自体が重要な価値になります。国土交通省も、i-Construction 2.0の省人化対策では、災害の激甚化・頻発化や厳しい現場条件、地域特性を考慮する必要があるとしており、遠隔施工や自動施工を通常時から広げていく方針を示しています。


実際、2024年度には国土交通省発注工事で21件の遠隔施工が実施され、2025年度には更なる実施に向けた工事発注ルールを策定する方針が示されました。これは、遠隔施工が災害復旧専用の特殊技術ではなく、平時の工事にも広がる前提で制度化が進んでいることを示しています。災害時だけ無人化できればよいのではなく、平時から遠隔・自動の運用経験を積み、非常時に切り替えられる体制を持つことが、i-Construction 2.0の狙いです。


さらに、災害時は人手不足と安全確保の課題が同時に表面化します。現地に十分な人数を集めにくい一方で、被災直後ほど危険箇所への立入りは制限されます。だからこそ、現場データを遠隔で取得し、離れた場所から施工や点検を進められる仕組みは、平時の効率化以上に、非常時の社会機能維持に直結します。i-Construction 2.0が災害対応力の強化と結び付けて語られる理由はここにあります。


導入背景3 インフラ老朽化と維持管理負担の増大

3つ目の背景は、既存インフラの老朽化です。国土交通省のインフラメンテナンス情報によれば、建設後50年以上が経過する施設の割合は今後20年間で加速度的に増え、2040年3月時点では道路橋が約75%、トンネルが約52%、港湾施設が約68%に達する見込みです。老朽化の波は道路だけでなく、河川、水道、下水道、港湾まで広く及びます。


問題は、老朽化する資産が増える一方で、それを管理する人材が潤沢ではないことです。国土交通省資料では、市区町村では土木部門全体の職員数が減少し、全国の4分の1の市区町村では技術系職員が配置されていないと整理されています。つまり、更新や補修の必要性は増えるのに、点検や設計変更、施工管理を担う技術者は限られているのです。


この状況を踏まえ、国土交通省は予防保全型のインフラメンテナンスへの本格転換を求めています。壊れてから対応するのではなく、点検結果や履歴データを基に早めに手を打つには、情報の整理と共有が欠かせません。老朽化対策は現場での修繕工事だけで完結するものではなく、点検、診断、設計、施工、更新判断までを通したデータ連携の問題でもあるのです。


そこでi-Construction 2.0では、画像解析による出来形検査、ロボットの自動・遠隔操作による設備点検、ドローンやAIの活用、プレキャストの拡大などを通じて、施工管理や維持管理の省人化を進める方向が打ち出されています。老朽化対策は人手依存で乗り切る段階ではなく、データと遠隔技術を前提にした運営へ移らなければならないということです。


導入背景4 DXの本格化とデータ連携の必要性

4つ目の背景は、DXを実装できる技術条件が整ってきたことです。国土交通省は、AI、5G、クラウドなどの革新的技術が社会実装される一方、インフラに関する多様なデータは点在しており、人流、物流、地形、気象といった他データとも十分に連携できていないと指摘しています。逆に言えば、データがつながれば、調査、設計、施工、維持管理の効率化余地がまだ大きく残っているということです。


その中心に置かれているのがBIM/CIMです。国土交通省は2023年度からBIM/CIMの原則適用を開始しましたが、同時に課題も明確にしています。具体的には、各段階で必要なデータが何かが整理されておらず有効活用できていないこと、2次元図面と3次元モデルが連動していないため、3次元モデルが契約図書として十分に機能していないことです。つまり、3次元モデルを作るだけでは不十分で、後工程へつながるデータ構造まで整えなければ、本当の省人化には届きません。


加えて、国土交通省は2026年度を目標に、3次元モデルや設計支援ソフトで算出した数量を積算へ直接活用できるツールの開発・試行を進める方針を示しています。これは、BIM/CIMを単なる見える化ツールではなく、積算や設計変更、施工段階の実務に直結する基盤として育てる発想です。データが業務フローの中心に入れば、現場と内業の分断も縮まり、作業の属人化を減らしやすくなります。


だからこそ、i-Construction 2.0ではデータ連携のオートメーション化が中核になります。同じデータの繰り返し入力、不要な調査や問い合わせ、資料を探す時間、紙書類中心のバックオフィス業務を削減し、設計データを施工や積算へ直接つなぐ流れをつくろうとしているのです。実際、令和8年度予算決定概要でも、地方公共団体におけるICT施工導入支援、BIM/CIMのデータマネジメント環境構築、自動化・遠隔化技術の現場実装、デジタル技術を活用した監督検査の効率化などが並んでおり、DXは継続的な実装フェーズに入っています。


i-Construction 2.0で現場はどう変わるのか

i-Construction 2.0が進むと、現場の変化は単なる機械化にはとどまりません。まず大きいのは、調査・測量、設計、施工、検査、維持管理が別々の作業ではなく、同じデータを引き継ぐ一連の流れとして扱われるようになることです。設計段階の3次元データや属性情報が施工や積算に直接使えれば、転記や復元の手間が減り、手戻りの原因も減ります。現場の効率化とバックオフィスの効率化が同時に進む点が、従来の部分最適型DXとの大きな違いです。


次に、現場管理の前提が「常にその場に行くこと」から「必要なときに必要なデータへアクセスすること」へ変わります。遠隔臨場を検査まで適用し、画像解析で出来形を確認し、ロボットやドローンで点検し、高速ネットワークで動画や3次元モデルを共有することで、移動時間や待機時間を減らせます。国土交通省は施工管理のオートメーション化において、国家座標に準拠したデータ活用も推進するとしており、位置情報と現場記録の整合性がより重要になります。


また、現場帳票や書類の考え方も変わります。紙のためにデータを作るのではなく、現場で得たデータをそのまま確認、共有、検査、分析に使う流れへ変わるためです。資料を探す時間や問い合わせ待ちを減らし、BIツールなどで必要な情報を可視化して判断するという発想は、現場だけでなく監督職員や内業部門の働き方にも影響します。i-Construction 2.0が現場改革とバックオフィス改革を同時に求めるのはこのためです。


さらに、現場運営は経験依存からデータ依存へ変わります。建設機械から得られる稼働データや位置情報を共通ルールで集約し、リアルタイムで共有できれば、工程調整、要員配置、待ち時間の削減をその場で判断しやすくなります。ロードマップ上も、短期ではリアルタイムデータ活用、中期では一定条件下での自動施工の標準化、長期では大規模現場での自動施工・最適施工を目指すとされており、すべての現場が一気に無人化するのではなく、段階的に「見える化」から自動化へ進む構図です。


導入を進める企業が押さえたい実務ポイント

現場でi-Construction 2.0に対応するうえで、最初から大規模な自動施工を全面導入する必要はありません。むしろ重要なのは、データの入口を整えることです。測量成果、写真、出来形、設計変更、検査記録をどの座標系で管理するのか、どの形式で共有するのか、3次元モデルと2次元図面の関係をどう保つのかといった基礎が曖昧なままでは、自動化の効果は安定しません。公式資料でも、必要データの整理不足や2次元・3次元の非連動が大きな課題として挙げられています。


次に、効果の見えやすい業務から着手することが実務的です。たとえば土工の運搬計画、反復的な出来形確認、遠隔臨場、画像解析、施工データの見える化は、比較的効果を確認しやすい領域です。2025年度の国土交通省資料でも、機械稼働データを使って滞留箇所や待機時間を可視化し、運搬経路や機械能力を見直した結果、日当たり施工量が25%増加し、工程を8日短縮し、延べ80人の省人化につながった事例が紹介されています。大切なのは全工程を同時に変えることではなく、効果が出る工程から標準化することです。


また、自社の規模にかかわらず取り組めるテーマから始めることも大切です。国土交通省は小規模工事向けのICT施工技術の手引きを整備し、小規模現場で活用できる3次元計測技術や小型ICT建設機械の活用例も整理しています。自治体工事や修繕工事のように大規模な土工ではない現場でも、計測、位置出し、出来形管理、写真記録のデジタル化は十分に取り組み得る領域です。i-Construction 2.0は大規模ダムやトンネルだけの話ではありません。


最後に、体制づくりと人材育成を軽視しないことです。国土交通省は2025年度から自動施工コーディネーター向けの人材育成プログラムを実施する方針を示しており、令和6年度には無人化施工講習会を30件、延べ1,018人が受講しました。また、地方自治体支援やICTアドバイザー制度、未経験企業向け研修、小規模工事向け手引きの整備も進められています。つまり、i-Construction 2.0は一部の大規模現場だけの話ではなく、中小企業や自治体工事も含めて進める前提で制度設計されているのです。自社内にデータと施工の両方を理解する担当を置き、外部支援を活用しながら内製化できる部分を増やすことが、長期的には大きな差につながります。


まとめ

i-Construction 2.0の目的は、人口減少が進んでも、建設現場の施工能力を維持しながら、インフラの整備・維持管理を持続することにあります。その背景には、生産年齢人口の減少と担い手不足、災害の激甚化・頻発化、インフラ老朽化、そしてDXの本格化という4つの大きな変化があります。だからこそ、国土交通省は「施工」「データ連携」「施工管理」をまとめてオートメーション化しようとしているのです。


重要なのは、i-Construction 2.0を遠い未来の完全無人化構想として眺めるのではなく、今日の現場記録、測量、出来形確認、検査準備、設計変更のやり方をどう変えるかという実務テーマとして捉えることです。現場の入口データが整えば、施工、検査、維持管理まで一気通貫でつながりやすくなりますし、逆に入口が曖昧なままでは高度な自動化ほど定着しません。政策の真価は、日々の業務フローに落とし込めるかどうかで決まります。


実務での第一歩は、派手な無人化よりも、位置情報と現場記録を正しく結び付ける日常業務の標準化にあります。国土交通省も施工管理のオートメーション化で国家座標に準拠したデータ活用を推進しており、入口データの品質が後工程の効率を左右します。その意味では、位置情報付きの記録取得を現場で無理なく回しやすいLRTKのような仕組みを業務フローに組み込むことは、i-Construction 2.0を現場実装へ近づける実務上有効な選択肢の一つといえるでしょう。


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