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i-Construction 2.0で何を始める?現場担当者向け入門6項目

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建設現場の人手不足、技能継承、品質確保、書類業務の負担、測量や出来形管理の効率化といった課題に向き合う中で、「i-Construction 2.0」という言葉を見聞きする機会が増えた実務担当者も多いのではないでしょうか。しかし、言葉は知っていても、実際に現場で何から着手すればよいのか、どこまでが従来の延長で、どこからが新しい取り組みなのかが分かりにくいという声は少なくありません。


現場では、壮大な構想よりも、今日の作業、今月の工程、今年度の体制に落とし込めるかどうかが重要です。どれほど立派な方針があっても、測量の流れが変わらない、出来形確認のやり方が変わらない、情報共有の方法が紙中心のままでは、現場担当者にとっては実感しにくいものです。逆にいえば、i-Construction 2.0は、難しい言葉として理解するより、日々の現場業務をどう変えるかという視点で捉えた方が、はるかに実務的です。


特に現場担当者にとって大切なのは、最初からすべてを変えようとしないことです。測る、記録する、共有する、確認する、管理するという基本業務の中で、どこに手戻りが多いのか、どこで待ち時間が発生しているのか、どこで人に依存しているのかを見極め、その改善を積み上げることが、結果としてi-Construction 2.0への対応につながります。


本記事では、「iconstruction 2.0」で検索して情報収集している現場実務者を想定し、制度や方針を難解に解説するのではなく、現場で何を始めるべきかを6項目に整理して解説します。これから導入を検討する段階の方にも、すでに一部のデジタル化を始めている方にも、次の一歩が見える内容としてまとめます。


目次

i-Construction 2.0を現場担当者がどう捉えるべきか

まず始めるべきこと1 現場の測る作業を見直す

まず始めるべきこと2 記録の取り方をデジタル前提に変える

まず始めるべきこと3 出来形管理と品質確認の流れを整える

まず始めるべきこと4 情報共有の遅れを減らす運用をつくる

まず始めるべきこと5 機器導入より先に座標とルールを統一する

まず始めるべきこと6 小さく始めて継続できる体制をつくる

まとめ i-Construction 2.0は現場業務の順番を変える取り組み


i-Construction 2.0を現場担当者がどう捉えるべきか

i-Construction 2.0を目の前にすると、多くの現場担当者は「新しい機械や高度なシステムを入れる話なのではないか」と考えがちです。たしかに、デジタル技術や自動化、三次元データ活用は重要な要素です。しかし、現場実務の観点から見ると、本質はそこだけではありません。より重要なのは、現場にある情報の流れを前提から組み直すことです。


従来の現場では、測量した値を手書きで控え、事務所に戻って整理し、図面や帳票に反映し、必要があれば関係者に共有するという流れが一般的でした。この流れは長く使われてきた一方で、転記ミス、共有の遅れ、確認漏れ、再測の発生といった問題を抱えやすい構造でもあります。人が多く、経験者が十分にいた時代には回っていた方法でも、人手不足や短工期が進む現代では限界が見えやすくなっています。


i-Construction 2.0は、こうした流れを「現場で取得した情報を、できるだけ早く、正確に、再利用しやすい形でつなぐ」という方向へ変えていく考え方として理解すると分かりやすくなります。つまり、測量は測量だけ、施工は施工だけ、管理は管理だけと切り分けるのではなく、それぞれの工程をデータでつなぐ発想です。


現場担当者にとっての重要な視点は三つあります。一つ目は、情報を後で整理するのではなく、取得した時点で使える状態に近づけることです。二つ目は、担当者個人の経験や勘に依存していた判断を、確認しやすい形に変えることです。三つ目は、一度取得したデータを複数の目的に再利用することです。たとえば、位置情報を測るだけで終わらせず、出来形確認、進捗確認、図面反映、報告資料作成へつなげられれば、同じ作業を何度も繰り返す無駄を減らせます。


この考え方に立つと、i-Construction 2.0で何を始めるべきかは自然と見えてきます。最初から大規模な変革や高額な仕組みを目指すのではなく、現場で毎日のように発生する「測る」「記録する」「確認する」「共有する」の4つを見直し、そこに座標やルールの統一、継続できる体制づくりを加えることが出発点になります。


また、導入初期によくある誤解として、機器を導入すればすぐに生産性が上がるという考えがあります。しかし実際には、効果を左右するのは運用です。同じ機器を使っていても、測定ルールが曖昧で、ファイル管理が統一されず、誰が何を確認するのかが決まっていなければ、かえって混乱が増えることがあります。逆に、運用を整理したうえで必要な手段を選べば、比較的小さな導入でも現場の負担を大きく減らせます。


つまり、i-Construction 2.0は「何を買うか」ではなく、「どの業務をどう変えるか」から考えるべき取り組みです。現場担当者が最初にやるべきことは、制度の全体像を暗記することではありません。自分の現場で、どの作業に時間がかかり、どこでミスや手戻りが起き、どの情報が止まっているのかを把握することです。その視点があれば、次に何を始めるべきかを具体的に判断しやすくなります。


まず始めるべきこと1 現場の測る作業を見直す

i-Construction 2.0の入口として最も着手しやすく、かつ効果が出やすいのが、現場で「測る」作業の見直しです。なぜなら、測量や位置確認は、施工の準備、施工中の確認、出来形管理、記録作成まで多くの工程に関わっているからです。ここが非効率なままだと、ほかの業務をデジタル化しても全体最適にはつながりません。


現場で測る作業には、丁張、位置出し、現況確認、構造物の位置確認、出来形測定、仮設物の配置確認など、さまざまな場面があります。これらを振り返ると、意外に多くの時間が「移動」「待機」「再確認」「書き写し」に費やされていることがあります。特に、測定結果をその場で十分に活用できず、後から整理し直している現場では、同じ情報を複数回扱っている可能性があります。


見直しの第一歩は、現場で行っている測定作業を種類ごとに整理することです。たとえば、毎日行う位置確認なのか、週単位で行う出来形確認なのか、着工前の現況把握なのかで、必要な精度、スピード、人数、記録方法は変わります。すべてを同じやり方で行おうとすると無理が出ます。逆に、用途ごとに整理すると、どこを効率化すべきかが明確になります。


次に重要なのは、測った値を現場で確認できる状態にすることです。従来のように、現場では数値だけを控え、事務所で図面や帳票と照合する方法では、誤りの発見が遅れがちです。もし現場で位置情報と対象物を結びつけて確認できれば、その場で不足や異常に気づきやすくなります。これは単に便利というだけでなく、再測や再施工の防止に直結します。


また、測る作業の見直しでは、誰が測るのかも重要です。熟練者にしかできない運用になっていると、担当者不在時に業務が止まりやすくなります。i-Construction 2.0の考え方に沿うなら、特殊な判断だけを経験者が担い、日常的な位置確認や記録取得は、現場担当者が一定のルールのもとで再現できる形に寄せることが望ましいです。これは省人化だけでなく、教育負担の軽減にもつながります。


さらに、測る作業を見直す際には、精度の考え方を整理しておく必要があります。現場では「高精度であるほど良い」と考えられがちですが、実務では用途に応じた精度の見極めが大切です。必要以上に厳しい精度を求めると、時間も手間も増えます。一方で、必要な精度を満たしていないと、後工程で大きな問題になります。したがって、どの業務でどの程度の精度が必要なのかを明文化し、その基準に沿って手段を選ぶことが重要です。


このとき有効なのが、測る作業を「計画」「実施」「確認」「記録」の4段階で見直すことです。計画段階では、何を、どの座標で、どの精度で測るかを決めます。実施段階では、現場での取得方法を統一します。確認段階では、その場で異常や不足を把握します。記録段階では、後工程で再利用しやすい形で保存します。ここまで一連で整えると、単なる測量改善ではなく、現場業務の基盤整備になります。


i-Construction 2.0の導入は、壮大な言葉で始める必要はありません。まずは、現場で毎日行っている測る作業を洗い出し、「手戻りが多い」「人に依存している」「記録に時間がかかる」部分から見直すことが、最も現実的で効果的な第一歩です。


まず始めるべきこと2 記録の取り方をデジタル前提に変える

現場での生産性を左右する要因として見落とされやすいのが、記録の取り方です。測量や施工そのものに比べると地味に見えるかもしれませんが、実際には、写真整理、位置情報との照合、作業日報、出来形記録、進捗報告、社内共有など、記録業務は現場担当者の時間を大きく占めています。i-Construction 2.0を現場で進めるなら、この記録の構造を変えなければ効果は限定的です。


多くの現場で負担になっているのは、現場で取得した情報が、その場では完結せず、あとで別の形式に直し直されることです。写真を撮る、メモを書く、寸法を記録する、位置を控えるという作業がばらばらに行われると、後から「この写真はどこのものか」「この数値は何を示すのか」「この記録はどの工程に対応するのか」を人が頭の中でつなぐ必要があります。このつなぎの作業こそが、目に見えにくい大きな負担です。


デジタル前提の記録に変えるとは、単に紙をなくすことではありません。最初から「後で使うこと」を意識して、記録の単位をそろえることです。たとえば、位置、対象物、日時、作業内容、担当、写真という情報が結びついていれば、後工程での検索や確認が格段にしやすくなります。逆に、それぞれが別々の場所に保存されていると、確認のたびに人が探し回ることになります。


ここで重要なのは、記録様式を増やさないことです。新しい仕組みを導入すると、従来の紙帳票に加えて、別の入力画面や報告様式が増えてしまうことがあります。これでは現場の負担が増すだけです。本来目指すべきは、現場で一度入力・取得した情報が、そのまま共有や報告に活かせる状態です。そのためには、「誰が」「どの場面で」「何を記録するのか」を最小限に整理し、重複入力を減らす設計が必要です。


また、写真の扱いも見直しの重要なポイントです。現場では写真が多用されますが、撮影ルールが曖昧だと、後から確認できない記録になりがちです。撮影対象、撮影方向、位置とのひも付け、ファイル名の付け方、保存場所が統一されていないと、撮った枚数が多いほど管理が難しくなります。i-Construction 2.0の考え方では、写真は単なる証跡ではなく、位置や工程と結びついた実務データとして扱う必要があります。


さらに、記録のデジタル化では、現場と内業の分断を減らすことが重要です。現場で取った記録が内業担当に伝わるまでに時間がかかると、確認や修正が遅れます。逆に、現場で取得した情報が早く共有されれば、問題の早期発見や工程調整につながります。これは単なる情報共有の話ではなく、現場の意思決定速度を上げるという意味で重要です。


一方で、記録のデジタル化を進めると、現場担当者から「入力が面倒になるのではないか」という不安が出ることがあります。これはもっともな懸念です。だからこそ、最初から完璧な入力を求めすぎないことが大切です。必要最小限の項目に絞り、使う人が迷わないルールをつくることが先です。運用が定着してから、必要に応じて項目やフローを見直す方が成功しやすくなります。


記録の取り方を変える目的は、データを増やすことではありません。手戻りを減らし、説明しやすくし、確認しやすくし、再利用しやすくすることです。現場担当者にとってのメリットは、後から思い出しながら資料を作る負担が減ること、必要な情報を探す時間が減ること、関係者との認識差が小さくなることにあります。こうした変化は、一見小さく見えても、現場全体の仕事の質と速さを着実に変えていきます。


まず始めるべきこと3 出来形管理と品質確認の流れを整える

i-Construction 2.0を現場で実感しやすい領域の一つが、出来形管理と品質確認です。なぜなら、ここは施工結果を客観的に確認し、記録として残し、説明責任にも関わる部分だからです。日々の進捗と直結し、手戻りの影響も大きいため、改善効果が見えやすい領域でもあります。


従来の出来形管理では、測定、記録、整理、帳票化という流れが段階的に分かれており、それぞれに時間がかかっていました。さらに、測定した値が設計や管理基準と即座に比較されず、後から整理して判定しているケースもあります。このやり方では、問題発見が遅れ、再測や修正の判断が後手に回ることがあります。特に工程が詰まっている現場では、この遅れがそのまま負担になります。


そこで重要なのが、出来形管理を「最後にまとめて確認する業務」ではなく、「施工中に継続して確認する業務」として再設計することです。つまり、施工後にまとめて帳票を作る発想から、施工の各段階で必要な確認を行い、その結果を蓄積していく考え方に切り替える必要があります。これができると、問題が小さいうちに対処しやすくなり、後戻りのコストを抑えられます。


現場担当者がまず意識すべきは、確認対象の優先順位です。すべてを同じ密度で確認しようとすると、管理業務が重くなりすぎます。重要なのは、後から直しにくいもの、他工程に影響しやすいもの、品質説明で争点になりやすいものを先に押さえることです。たとえば、基準となる位置、高さ、通り、勾配、厚さなど、施工の基盤になる項目は、早い段階で明確に確認できるようにしておく必要があります。


また、出来形管理の効率を高めるには、設計情報とのつながりを意識することが欠かせません。現場では、設計図、施工図、現地状況、測定値が別々に扱われがちです。しかし、これらが頭の中だけで結びついている状態では、担当者が変わったときや、複数人で確認するときに齟齬が出ます。できるだけ、測定値がどの対象を示し、何と比較されるのかが明確な形で運用することが重要です。


品質確認についても同様です。品質は、書類のために確認するものではなく、施工結果を安定させるために確認するものです。ところが、現場によっては報告資料づくりが目的化し、本来の確認が後回しになることがあります。i-Construction 2.0の実務的な価値は、確認そのものを早く、正確に、再現性のある形にすることにあります。つまり、書類を整えることではなく、施工品質のばらつきを減らし、説明しやすい形で残すことが本質です。


ここで役立つのが、確認のタイミングを固定化することです。どの工程で何を確認するのか、誰が確認するのか、どこまで確認したら次へ進むのかを明確にすると、属人化が減ります。現場担当者の経験に頼りきった運用では、忙しい時期ほど抜け漏れが起こりやすくなります。反対に、確認のポイントが共有されていれば、担当が変わっても最低限の品質を守りやすくなります。


さらに、出来形管理と品質確認を改善する際には、記録の粒度も見直す必要があります。細かすぎる記録は継続しにくく、粗すぎる記録は説明力が不足します。どの情報があれば、後から施工状況を説明できるか、再確認に耐えられるかという視点で、必要十分な粒度を定めることが大切です。これは単なる記録方法の問題ではなく、現場で無理なく継続できる管理水準を設定することでもあります。


出来形管理と品質確認を整えることは、i-Construction 2.0の中でも特に成果が見えやすい取り組みです。手戻りの減少、確認時間の短縮、報告のしやすさ、引き継ぎのしやすさにつながるため、現場としても導入の意味を実感しやすくなります。だからこそ、ここは早めに取り組む価値があります。


まず始めるべきこと4 情報共有の遅れを減らす運用をつくる

現場で問題が大きくなる原因の一つに、情報そのものの不足より、情報共有の遅れがあります。必要な情報が存在していても、関係者に届くのが遅ければ、判断も対応も遅れます。i-Construction 2.0を現場で進めるなら、単にデータを取れるようにするだけでなく、そのデータが必要な人に必要なタイミングで届く運用をつくることが不可欠です。


現場には、施工担当、測量担当、品質担当、監督者、協力会社、内業担当など、さまざまな立場の人が関わります。それぞれが必要とする情報は少しずつ異なりますが、共通しているのは、最新の状況を把握したいという点です。ところが、実際には、電話、口頭、紙メモ、個人の端末、手書きの図面修正など、共有手段が分散していることが少なくありません。この状態では、どれが最新か分かりにくく、確認のための確認が増えてしまいます。


情報共有の改善で最初にやるべきことは、共有する情報の種類を分けることです。すべてを同じ扱いにすると運用が重くなります。たとえば、即時に共有すべき情報と、日単位で整理すればよい情報では、流し方を変えるべきです。位置ずれや施工条件の変更のように、現場判断へ直結する情報は早く共有する必要があります。一方で、定期報告向けの整理情報は、一定のタイミングでまとめてもよい場合があります。


次に大切なのは、誰が更新し、誰が確認するのかを明確にすることです。共有の仕組みだけあっても、更新責任が曖昧だと情報は古くなります。逆に、確認責任が曖昧だと、共有しても見てもらえません。現場で使える運用にするには、「入力したら終わり」ではなく、「誰が見て、どう判断につなげるか」まで設計する必要があります。これは単純ですが、意外に見落とされやすいポイントです。


また、情報共有では、詳細すぎる情報を大量に流さないことも重要です。現場では忙しい中で判断をしているため、必要な情報が埋もれてしまうと、共有していないのと同じ結果になります。重要なのは、判断に必要な情報がすぐ分かることです。たとえば、位置、対象、問題内容、影響範囲、対応要否が短時間で把握できるだけでも、現場の動きは大きく変わります。


i-Construction 2.0の文脈で情報共有を考えると、共有の目的は単なる連絡効率化ではありません。現場判断を早め、認識差を減らし、同じ説明を何度も繰り返さなくて済む状態をつくることです。これにより、現場担当者は問い合わせ対応や説明に追われにくくなり、本来の管理業務に集中しやすくなります。


さらに、共有された情報が後で検索しやすいことも重要です。現場では、「以前も同じ場所で似た問題があった」「先週の時点でどう共有されていたか確認したい」といった場面が頻繁にあります。そのとき、情報が人の記憶や個別のやり取りにしか残っていないと、再確認に時間がかかります。位置や対象、日時、工程などとひも付けて管理できれば、過去の経緯も追いやすくなります。


このように考えると、情報共有の改善は、高度な仕組みを入れる前に、まず運用設計から始めるべきだと分かります。何を共有するか、いつ共有するか、誰が更新するか、誰が確認するか、どこに残すか。この5点を整理するだけでも、現場の混乱はかなり減らせます。i-Construction 2.0は、単にデータを増やすことではなく、データが仕事を前に進める状態をつくることです。その意味で、情報共有の遅れを減らす運用づくりは、極めて重要な基礎になります。


まず始めるべきこと5 機器導入より先に座標とルールを統一する

i-Construction 2.0に取り組もうとすると、多くの現場で最初に話題になるのが機器やソフトの導入です。もちろん手段の整備は重要ですが、現場実務で本当に優先すべきなのは、座標と運用ルールの統一です。これが曖昧なままでは、どれだけ便利な手段を使っても、データがつながらず、かえって混乱しやすくなります。


現場で起こりやすい問題の一つが、同じ対象を扱っているのに、担当ごとに基準や表現が異なることです。たとえば、ある人は現地基準で考え、ある人は図面座標で考え、別の人は略称で対象を管理していると、情報を重ね合わせたときに食い違いが出ます。これは小さなズレに見えても、位置出し、出来形確認、図面修正、協議資料作成など、後工程に広く影響します。


座標の統一が重要なのは、測量だけのためではありません。記録、写真、図面、施工確認、進捗管理などをつなげる共通言語になるからです。位置情報を活用するなら、どの座標系を使うのか、基準点は何を基準にするのか、高さの扱いはどうするのか、現場内のローカルルールはどう定めるのかを、最初に整理しておく必要があります。ここが曖昧だと、同じ数値でも意味が変わってしまいます。


また、ファイル名やフォルダ構成、記録項目のルールも同様に重要です。たとえば、同じ場所を示す名称が人によって違ったり、日付の書き方が統一されていなかったり、写真や測定データの保存先がばらばらだったりすると、後から探す時間が増えます。i-Construction 2.0で目指すのは、データを蓄積することではなく、必要なときに使えることです。そのためには、人が入れ替わっても理解できるルールが必要です。


ここでのポイントは、完璧なルールを最初から作り込みすぎないことです。現場ごとに事情が違うため、細かすぎる運用はかえって定着しません。まずは、座標系、対象物の名称、日付表記、データ保存場所、確認担当、記録の必須項目といった基本項目を揃えることが大切です。これだけでも、現場の情報はかなり整理されます。


さらに、ルールは文書化して共有する必要があります。口頭で「前からこうしている」と伝えているだけでは、担当者が変わるたびに解釈がぶれます。特に、複数の協力会社や別部署が関わる現場では、簡潔でもよいので共通ルールを見える形にしておくことが効果的です。これは教育コストの低減にもつながります。


機器導入を急ぎすぎると、現場では「使い方が分かる人しか扱えない」「出てきたデータを誰も整えられない」「従来資料との対応が取れない」といった問題が起きやすくなります。こうした失敗の多くは、手段の問題というより、前提条件の整理不足です。座標とルールが統一されていれば、どの手段を使ってもデータの意味が揃いやすくなり、運用の自由度も高まります。


現場担当者の視点でいえば、ここは地味ですが非常に重要な準備です。派手な導入効果は見えにくいものの、後から効いてきます。情報のズレ、説明の食い違い、探し物の時間、再確認の手間を減らすうえで、座標とルールの統一は土台になります。i-Construction 2.0を形だけで終わらせないためにも、まずこの土台を整えることが欠かせません。


まず始めるべきこと6 小さく始めて継続できる体制をつくる

i-Construction 2.0に限らず、現場改革で失敗しやすいのは、最初に大きく広げすぎることです。意欲的に一気に変えようとしても、現場は日々の工程管理、安全管理、協議対応、品質確保に追われています。その中で新しい運用を同時多発的に入れると、現場担当者の負担が増え、結局もとに戻ってしまうことがあります。だからこそ重要なのは、小さく始めて継続できる体制をつくることです。


継続できる体制とは、特定の担当者だけが頑張る仕組みではありません。誰か一人が詳しくても、その人が忙しくなったり異動したりすると止まる運用は長続きしません。重要なのは、最低限の流れが複数人で回る状態をつくることです。たとえば、日常的な位置確認は現場担当が対応し、判断が必要なケースだけ責任者が確認する、といった役割分担が明確であれば、現場は回りやすくなります。


また、導入テーマは一つずつ絞る方が成功しやすくなります。たとえば、最初の対象を出来形確認だけにする、あるいは現況記録だけにするというように、効果が見えやすい業務に限定して始めるのです。対象を絞ることで、ルールづくり、教育、振り返りがしやすくなります。成果が見えれば、次の業務へ広げやすくなりますし、現場の納得感も得られます。


振り返りの仕組みも重要です。新しい取り組みを始めたら、それが本当に現場の負担を減らしたのか、記録の質を上げたのか、共有が早くなったのかを確認する必要があります。ここで大切なのは、理想論ではなく実務の視点で評価することです。入力が増えすぎていないか、確認が複雑になっていないか、現場の移動が減ったか、再測が減ったか、説明がしやすくなったか。こうした観点で見直すと、運用改善につながります。


さらに、継続のためには教育の難易度を下げる工夫も必要です。操作説明を長時間行わないと使えない仕組みは、忙しい現場では定着しにくくなります。現場で継続しやすいのは、目的が明確で、手順が短く、失敗しても修正しやすい運用です。つまり、高機能であることより、再現しやすいことの方が重要な場合が多いのです。


現場担当者にとっては、導入の成否を左右するのは「使えるかどうか」より「続けられるかどうか」です。初回だけうまくいっても、翌週から誰も使わなくなるようでは意味がありません。だからこそ、最初から現場負担を見積もり、無理のない対象範囲、明確な役割分担、簡潔なルール、短い振り返りのサイクルを組み込むべきです。


小さく始めることは、消極的な姿勢ではありません。むしろ、現場に根づかせるための現実的な方法です。i-Construction 2.0は、掛け声だけで進むものではなく、日々の作業の中で少しずつ定着していくものです。測る作業の見直し、記録方法の改善、出来形管理の整理、共有運用の整備、座標とルールの統一といった取り組みを、無理のない順番で実装していくことが、最終的には大きな差になります。


まとめ i-Construction 2.0は現場業務の順番を変える取り組み

i-Construction 2.0で何を始めるべきかを考えるとき、特別な技術や大規模な導入計画から入る必要はありません。現場担当者にとって本当に重要なのは、日々の業務の順番を変えることです。あとでまとめて測るのではなく、必要な場面で早く確認すること。あとで思い出しながら記録するのではなく、その場で使える形で残すこと。あとで関係者に説明するのではなく、必要な人が早く確認できるようにすること。こうした順番の見直しが、i-Construction 2.0の実務的な入口になります。


本記事で紹介した6項目は、どれも現場の基礎業務に関わるものです。測る作業を見直すこと、記録をデジタル前提に変えること、出来形管理と品質確認の流れを整えること、情報共有の遅れを減らすこと、座標とルールを統一すること、小さく始めて継続できる体制をつくること。これらはそれぞれ独立しているようで、実際には強くつながっています。一つを整えると、ほかの業務も改善しやすくなります。


現場では、忙しいからこそ新しいことに手を出しにくいという事情があります。しかし、本当に忙しい現場ほど、手戻り、探し物、説明の繰り返し、確認待ちといった見えにくいロスが積み重なっています。i-Construction 2.0の価値は、そのロスを減らし、限られた人員でも現場を回しやすくすることにあります。つまり、未来のための取り組みであると同時に、今の現場負担を軽くする取り組みでもあります。


これから着手するなら、まずは自分の現場で最も頻度が高く、手戻りの影響が大きい業務を一つ選び、そこから改善を始めるのが現実的です。たとえば、位置確認のやり方を変える、写真と位置情報の結び付けを見直す、出来形確認のタイミングを固定する、記録ルールを統一するといった小さな一歩でも十分です。その一歩が現場に定着すれば、次の改善につながります。


そして、現場での位置確認や記録取得をより機動的に進めたい場合には、LRTKのようなiPhone装着型GNSS高精度測位デバイスを活用する考え方も有効です。専用の大がかりな体制を組まなくても、現場担当者が日常業務の中で高精度な位置情報を扱いやすくなることで、測る、記録する、共有するという一連の流れを現場に近いところから見直しやすくなります。i-Construction 2.0を難しい概念のままで終わらせず、現場で動く改善に変えていくうえで、こうした身近な入口から始めることは十分に実践的な選択肢です。


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