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i-Construction 2.0対応で必要な準備は?実務で見る5ステップ

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

i-Construction 2.0対応が求められる背景と準備の考え方

ステップ1 まずは業務全体を見直して対象工程を明確にする

ステップ2 次にデータ基準と運用ルールを整備する

ステップ3 現場で使う計測体制と機器運用を固める

ステップ4 3次元データを活かす社内連携体制をつくる

ステップ5 小さく試して改善を回す実装計画を進める

まとめ i-Construction 2.0対応は準備の質で成果が変わる


i-Construction 2.0対応が求められる背景と準備の考え方

i-Construction 2.0への対応を考える実務担当者が最初に押さえるべきなのは、これは単なる新しい流行語でも、特定の機器を導入すれば終わる話でもないという点です。現場の生産性向上、省人化、品質の安定化、情報共有の迅速化を進めるために、従来の紙中心、経験依存、工程ごとに分断された管理から、データ中心の施工体制へ移っていく流れの中で求められている取り組みだと理解する必要があります。


実務では、i-Construction 2.0と聞くと、まず3次元データ、測位、点群、出来形管理、遠隔確認、施工記録のデジタル化などを思い浮かべる方が多いはずです。もちろんそれらは重要です。しかし、本当に差が出るのは、個別の技術を単発で使うことではなく、調査、設計、施工、検査、維持管理へと続く仕事の流れの中で、どの情報を、どの形式で、誰が、どの段階で使うのかを整理できているかどうかです。


対応準備がうまくいかない現場では、導入の順序が逆になりがちです。先に機器やソフトの話から始まり、社内説明では便利そうに見えても、実際の現場では座標の扱いが統一されていない、データ命名がバラバラで探せない、測った数値をどこに渡せばよいか不明、施工と管理部門で認識がずれている、といった問題が次々に出てきます。これでは現場に負担感だけが残り、かえってデジタル対応そのものへの抵抗感を強めてしまいます。


一方で、準備の進め方が適切な現場では、最初から大きく変えようとはしません。まずは自社の中で、どの工程に無駄や手戻りが多いのか、どこが人手不足の影響を受けやすいのか、どの書類や記録が属人化しているのかを洗い出します。そのうえで、3次元データや位置情報を使うと改善効果が出やすい部分から着手します。つまり、技術起点ではなく業務起点で考えるわけです。


i-Construction 2.0対応で必要な準備を実務目線で整理すると、大きく五つの段階に分けると理解しやすくなります。第一に、業務全体を見直して対象工程を明確にすることです。第二に、データ基準と運用ルールを整備することです。第三に、現場で使う計測体制と機器運用を固めることです。第四に、3次元データを活かす社内連携体制をつくることです。第五に、小さく試して改善を回す実装計画を進めることです。


この五つは、単に順番に並んでいるだけではありません。前の段階が曖昧だと、次の段階で必ず混乱が起きます。たとえば、対象工程が決まっていないままデータ整備を始めると、何のためのデータなのかが不明確になります。データ基準が曖昧なまま計測を始めると、後から使えない成果になります。社内連携が弱いまま3次元データをつくっても、現場と管理側で活用の温度差が生まれます。そして、試行と改善の仕組みがなければ、単発導入で終わってしまいます。


また、i-Construction 2.0対応は、すべての現場で同じ形にする必要はありません。道路、造成、河川、設備、構造物周辺、維持管理寄りの現場では、課題も必要なデータも異なります。平面的に広く展開する現場では位置情報の一貫性が重要になりますし、狭小部や遮へいの多い場所では計測条件の見極めが重要になります。施工管理が中心の現場では出来形や進捗記録の整備が先になることもあります。つまり、自社の仕事に合わせて優先順位を変えながら準備する姿勢が大切です。


実務担当者にとって重要なのは、i-Construction 2.0を壮大な構想として眺めることではなく、今の業務をどう変えれば一歩前進できるかを具体化することです。誰が見ても分かる現場記録を残せるようにする。再測や手戻りの発生しやすい工程を減らす。位置情報と写真、出来形、進捗をひもづけて説明しやすくする。こうした改善の積み重ねが、結果として対応力の差になります。


ここからは、実際に準備を進める際の五つのステップを、現場導入でつまずきやすい点も含めて詳しく見ていきます。机上の理想論ではなく、実務の流れに沿って何を整理し、何を決め、何を試すべきかを順番に確認することで、i-Construction 2.0対応を現実的な業務改善として進めやすくなります。


ステップ1 まずは業務全体を見直して対象工程を明確にする

最初のステップは、自社や現場の業務全体を見直し、i-Construction 2.0対応の対象工程を明確にすることです。ここを飛ばしてしまうと、準備が散漫になり、導入効果も測れません。よくある失敗は、何となく必要そうだから計測手法や3次元データの話を始めてしまうことです。しかし、実務では、どの工程を良くしたいのかが定まっていない施策は定着しません。


対象工程を明確にするためには、まず現場の仕事を細かく分解して見る必要があります。着工前の確認、基準点の確保、丁張や墨出し、出来形確認、写真管理、進捗報告、協議資料作成、出来高把握、検査対応など、日々の仕事は多くの小さな工程に分かれています。その一つひとつについて、時間がかかる作業、複数人が必要な作業、再確認が多い作業、記録の転記が発生する作業、判断が属人化している作業を洗い出していきます。


このとき大切なのは、現場の感覚だけでなく、実際の作業負担を言語化することです。たとえば、出来形確認に毎回二人必要で移動時間も長い、写真整理に半日かかる、座標の確認ミスで再測が発生した、施工後に記録不足が判明して撮り直しになった、といった形で具体的に把握します。こうした見える化ができると、どこにデジタル化や3次元活用の余地があるかがはっきりしてきます。


次に考えるべきなのは、改善効果が出やすい工程から着手することです。すべてを一度に変えようとすると、準備負担が大きくなりすぎます。特に最初の導入段階では、現場担当者が変化のメリットを実感できる工程を選ぶことが重要です。たとえば、位置情報付きの記録で確認作業を簡潔にする、測位を使って現地確認の精度を安定させる、3次元データを活用して施工前後の状況共有を分かりやすくするなど、効果が理解しやすいテーマから始めると社内の納得感を得やすくなります。


また、対象工程を決める際には、現場だけで完結するか、社内の別部門や発注者とのやり取りまで影響するかも見極める必要があります。現場だけで完結する改善は比較的始めやすい反面、効果が限定的になることがあります。一方で、設計照査、施工管理、検査資料作成、維持管理への引き継ぎまで見据えた改善は大きな成果につながりやすいものの、関係者調整が必要です。最初の一歩としては、現場内で導入しやすい範囲から始め、運用が安定した段階で関係部門へ広げていく進め方が現実的です。


ここで忘れてはいけないのが、現場条件によって適した対象工程が変わることです。広い面を扱う土工系の現場では、地形把握、出来形、施工進捗との相性がよくなります。構造物周辺では、位置確認、干渉確認、記録精度の確保が重要になります。維持管理寄りの現場では、点検位置の再現性や写真記録の一貫性が重要です。つまり、i-Construction 2.0対応とは、技術を一律に当てはめることではなく、現場特性に応じて効果の出る工程を選び抜く作業でもあります。


対象工程を明確にする段階では、最終的にどんな状態を目指すのかも定めておくべきです。作業時間を減らしたいのか、品質のばらつきを抑えたいのか、少人数でも対応できる体制にしたいのか、説明資料を分かりやすくしたいのかによって、必要な準備は変わります。たとえば、時間短縮を重視するなら入力の二度手間を減らす仕組みが重要になりますし、品質安定を重視するなら測位や座標管理の標準化が重要になります。目標が曖昧なままだと、導入後の評価も曖昧になります。


さらに、実務では現場担当者の理解と納得が欠かせません。上から方針だけが降りてきても、現場が自分事として受け止めなければ運用は続きません。対象工程を決める段階で、実際にその作業をしている人の声を拾い、どこが負担なのか、何が改善されれば助かるのかを確認しておくことが重要です。現場の困りごとに結びついていない準備は、結局使われない仕組みになりがちです。


このステップで目指すべき状態は、どの工程を改善対象とするのか、その理由は何か、改善後に何を目指すのかが社内で共有されていることです。ここまで整理できれば、次のステップであるデータ基準や運用ルールの整備に移っても、何のための整備なのかがぶれません。i-Construction 2.0対応を成功させる第一歩は、技術の選定よりも先に、業務の目的と対象を明確にすることにあります。


ステップ2 次にデータ基準と運用ルールを整備する

対象工程が決まったら、次に必要なのはデータ基準と運用ルールの整備です。i-Construction 2.0対応において、多くの現場が見落としがちなのがこの部分です。計測や記録の手段に意識が向きやすい一方で、どの座標系を使うのか、ファイル名をどう付けるのか、成果物をどこに保存するのか、誰が確認するのかといった基本ルールが曖昧なまま運用を始めてしまうケースは少なくありません。しかし、実務ではこの基準の曖昧さが最も大きな手戻りを生みます。


特に重要なのは、位置情報を扱う際の基準統一です。同じ現場でも、平面位置は合っているのに高さの扱いが違う、基準点との整合が取れていない、設計側と施工側で前提座標が異なる、といった問題が起こると、後工程で大きな混乱になります。せっかく取得したデータも、基準が合っていなければ比較も再利用もできません。つまり、デジタル活用の価値は、データがあることより、データ同士が正しくつながることによって生まれるのです。


実務担当者がまず決めるべきなのは、現場で使う基準点、座標の取り扱い、標高の扱い、観測時の前提条件です。これらを作業者任せにせず、現場共通のルールとして整理する必要があります。必要なのは難しい理論の共有ではなく、誰が作業しても同じ条件で記録される仕組みです。たとえば、現場で使う基準の起点を明確にする、測る前に確認すべき事項を決める、データ受け渡し時の確認項目を統一する、といった基本運用が整っているだけで精度トラブルは大きく減ります。


ファイル管理のルールも同じくらい重要です。現場では写真、点群、測位結果、図面、報告資料、日報、検査用資料など、多くのデータが日々発生します。これらが個人ごとの保管方法に任されていると、必要なときに見つからず、最新版も分からず、誰が何を確定したのかも不明になります。i-Construction 2.0対応を進めるなら、最低限、保存場所、命名規則、版管理、更新担当、共有範囲を明確にしておくべきです。ここが整っていないと、どれほど良いデータを取得しても活用につながりません。


また、取得する情報の粒度も事前にそろえる必要があります。何をどこまで記録するのかが人によって違うと、データの比較や集計ができません。たとえば、進捗記録を残す場合でも、記録の単位、更新頻度、写真の撮影位置、コメントの書き方がばらつくと、後から一覧化しても読み取りづらくなります。3次元データや位置情報は見た目に分かりやすい反面、周辺情報が不足していると意味を持ちません。日時、場所、対象、作業内容、担当者、確認状態など、後で使うために必要な項目を最初に定義しておくことが大切です。


さらに、運用ルールは現場で守れる形にする必要があります。立派なルールをつくっても、入力項目が多すぎる、確認工程が複雑すぎる、作業の流れに合っていないとなれば定着しません。実務では、精密さと運用負荷のバランスが重要です。現場が毎日無理なく続けられる範囲に絞り込み、本当に必要な情報だけを確実に残す設計にするべきです。ルールは厳密であることより、継続できることのほうが価値があります。


この段階では、異常時の対応も決めておくと運用が安定します。測位条件が悪い場合、データ欠損が出た場合、基準点に不安がある場合、記録漏れが判明した場合にどう判断するかを、事前に決めておくのです。現場では必ず想定外が起こります。そのたびに担当者の経験や勘だけで対応していると、品質が人に依存してしまいます。確認手順や再取得の基準を定めておくことで、判断のばらつきを抑えられます。


データ基準と運用ルールを整備することは、一見すると地味な作業です。しかし、i-Construction 2.0対応において最も再現性を高める工程でもあります。現場の誰が担当しても、同じ条件で取得し、同じルールで整理し、同じ前提で共有できる体制があれば、業務改善は現場ごとの一過性の工夫ではなく、会社の仕組みとして積み上がっていきます。


このステップを終えた時点で目指すべきなのは、現場で扱うデータがつながる状態になっていることです。測る前に何を確認するかが分かる。取得した後にどう保存するかが分かる。誰に渡し、どう確認してもらうかが分かる。この流れが明確になってはじめて、次のステップである計測体制と機器運用の整備が意味を持ちます。i-Construction 2.0対応では、データを増やすことよりも、使える形で整えることが重要です。


ステップ3 現場で使う計測体制と機器運用を固める

データ基準と運用ルールを整えたら、次は現場で使う計測体制と機器運用を固める段階に入ります。ここでのポイントは、最新そうなものを並べることではなく、現場条件の中で安定して使える体制をつくることです。i-Construction 2.0対応という言葉に引っ張られてしまうと、高度な計測を一気に取り入れたくなりますが、実務では継続運用できることが最優先です。


計測体制を考えるとき、まず見なければならないのは現場の環境です。空が開けていて位置情報を取りやすいのか、構造物や樹木で遮へいが多いのか、広い範囲を短時間で回る必要があるのか、細かな構造を丁寧に記録する必要があるのかによって、適した計測方法は変わります。たとえば、位置情報の取得がしやすい現場では効率化の余地が大きくなりますが、遮へいの多い場所では別の確認方法や補完手段を併用する前提で考える必要があります。大切なのは、現場条件に対して無理のない運用設計をすることです。


また、計測を担当する人のスキル差も無視できません。経験者だけが扱える仕組みでは、担当者が変わった途端に品質が落ちます。i-Construction 2.0対応を定着させたいなら、一定の手順を踏めば誰でも同程度の品質で運用できることが重要です。そのためには、事前確認、計測中のチェック項目、取得後の確認方法を簡潔に標準化する必要があります。現場では作業時間に余裕がないため、複雑なマニュアルよりも、短く要点を押さえた確認手順のほうが有効です。


機器運用では、精度そのものだけでなく、取り回しやすさ、記録との連動、日常的な使いやすさも重要な評価軸になります。実務では、精度が高くても準備に時間がかかりすぎる、運搬が負担になる、記録整理に別作業が必要になる仕組みは、継続しにくくなります。現場担当者にとって本当に価値があるのは、必要な精度を確保しつつ、作業全体の流れを止めない道具立てです。特に、日々の出来形確認や位置記録のように頻度の高い業務では、素早く扱えて、記録とひもづけやすい運用が求められます。


この段階で重要なのは、精度要求を明確にしておくことです。何センチの差でも許されないのか、施工管理上は概況把握で十分なのか、検査資料として使うのか、社内確認用なのかによって、計測体制は変わります。精度要求が曖昧なままだと、過剰な計測をして無駄が増えるか、逆に必要精度を満たさず再作業になるかのどちらかに陥ります。現場で扱う情報を、目的別に整理しておくことが大切です。


さらに、計測結果の妥当性確認をどう行うかも決めておかなければなりません。取得した位置や形状が正しいかどうかを、何を基準に確認するのかが曖昧だと、現場は不安を抱えたまま使うことになります。基準点との照合、既知点との比較、複数回取得による確認、現地目視との整合確認など、現場に応じた確認手順を準備しておくことで、データへの信頼性が高まります。これは、単に精度を担保するためだけでなく、現場担当者が安心してデジタル活用を続けるためにも必要です。


また、機器運用は単体で考えるのではなく、日常業務の中に組み込む視点が必要です。測ること自体が目的になってしまうと、現場に余分な手間が増えます。そうではなく、施工前確認のついでに取得できる、巡回の流れの中で更新できる、写真やメモと一緒に残せるといった形で、既存業務に自然に組み込まれる運用を目指すべきです。i-Construction 2.0対応は、特別なことを増やすというより、今ある業務をより少ない負担で、より確実に回すための工夫として考えるほうが定着しやすくなります。


現場運用では、通信環境や電源、保管方法、持ち出し管理といった実務的な論点も見逃せません。どれだけ理想的な運用計画でも、必要な場面で使えない、充電切れが多い、持ち出し履歴が不明、データ転送が滞るといった問題が起これば現場は離れていきます。技術的な性能だけでなく、日々の運用に必要な周辺条件まで含めて設計することが重要です。


このステップの到達点は、現場担当者が迷わず使える計測体制が整っていることです。どの場面で使うか、何を確認するか、どの程度の品質を求めるか、取得後にどう扱うかが明確になっていれば、計測は単発のイベントではなく、現場管理の一部として定着していきます。i-Construction 2.0対応では、計測の高度さよりも、現場で繰り返し使える運用の強さが成果を左右します。


ステップ4 3次元データを活かす社内連携体制をつくる

計測体制が整っても、それだけではi-Construction 2.0対応は完結しません。次に必要なのは、取得した3次元データや位置情報を社内で活かす連携体制をつくることです。実務でよくあるのは、現場では頑張ってデータを取っているのに、社内の他部門がそれを十分使えていないという状態です。これでは、現場に入力負担だけが残り、組織全体としての成果につながりません。


まず見直したいのは、データがどの部門を通るのかという流れです。現場、施工管理、品質管理、積算、書類作成、管理職など、関わる人ごとに必要な情報は異なります。現場担当者にとっては位置付きで分かることが重要でも、管理側は進捗の見える化を重視するかもしれません。品質担当は出来形や証跡の再現性を重視するでしょう。つまり、一つのデータであっても、見る側によって使い方が違います。この違いを理解せず、ただ共有フォルダに置くだけでは活用は進みません。


そのため、社内連携体制では、誰がどの目的で何を見るのかを整理する必要があります。現場は何を入力するのか、管理側は何を確認するのか、報告資料はどこから作るのか、検査対応では何を根拠にするのかをつなげて考えるのです。ここが整理されると、現場側も無駄な入力を減らせますし、管理側も必要な情報を探し回らずに済みます。データ活用の本質は、集めることではなく、必要な場面で取り出しやすくすることです。


特に重要なのは、3次元データや位置情報を、現場だけの特殊な情報にしないことです。担当者の中だけで理解される状態では、担当交代や現場変更に弱くなります。誰が見ても意味が分かる状態にしておくには、データそのものだけでなく、簡潔な説明、図面との対応、更新履歴、確認状況などを合わせて残すことが有効です。現場経験の浅い人や管理職でも状況を把握しやすくなり、社内説明の質が上がります。


また、社内連携体制をつくるうえでは、3次元データの使い道を施工中だけに限定しない視点も必要です。施工前の説明、着手前の確認、作業中の出来形管理、進捗報告、完成時の記録、維持管理への引き継ぎまで視野を広げると、同じデータの価値が高まります。単発の記録として扱うのではなく、現場の時間軸に沿って使い回せる情報資産として捉えることが、i-Construction 2.0対応の本質に近い考え方です。


一方で、社内連携を進める際には、完璧な統合を最初から目指さないことも大切です。現場と本社、若手とベテラン、施工部門と管理部門では、データへの理解度や期待値が異なります。最初から全員が同じ温度感で使うことは難しいため、まずは連携が生みやすい場面から着手するとよいでしょう。たとえば、進捗共有を分かりやすくする、協議資料の作成を早くする、出来形確認の根拠を明確にするなど、成果が見えやすいテーマで社内利用を広げていくと、活用意義が伝わりやすくなります。


さらに、社内連携体制では役割分担の明確化が欠かせません。現場が全部を抱えると運用は続きません。誰がルールを整えるのか、誰が教育するのか、誰が成果の確認をするのか、誰が改善要望を吸い上げるのかを決めておく必要があります。特に導入初期は、現場で起きる小さな不具合や使いにくさを放置しない仕組みが重要です。ここを丁寧に拾える組織ほど、対応力は着実に高まります。


社内教育の進め方もポイントです。i-Construction 2.0対応という大きな概念だけを説明しても、現場には響きません。必要なのは、この作業がなぜ変わるのか、この入力が後で何に役立つのか、この記録がどの判断につながるのかを具体的に伝えることです。背景と目的が伝わると、単なる追加作業ではなく、意味のある仕事として受け止められやすくなります。


このステップで目指す状態は、取得したデータが現場の中だけで埋もれず、社内の複数工程で使われる状態です。現場が取った情報が管理に生き、管理の視点が現場の入力設計に反映され、結果として全体の手戻りが減る。この循環ができると、i-Construction 2.0対応は個人の頑張りではなく、組織の仕組みとして回り始めます。


ステップ5 小さく試して改善を回す実装計画を進める

最後のステップは、小さく試して改善を回す実装計画を進めることです。ここで重要なのは、準備を整えたらすぐ全社展開するのではなく、試行、評価、修正の流れを前提に実装することです。i-Construction 2.0対応は、計画通りに一度で完成するものではありません。実際の現場で使ってみて初めて見える課題が必ずあります。だからこそ、最初から改善を織り込んだ導入計画が必要です。


試行導入では、対象現場の選び方が重要です。難しすぎる現場で始めると課題ばかりが目立ち、導入そのものへの否定的な印象が強まります。一方で、条件が良すぎる現場だけで成功しても、他の現場に広がりません。最初の対象としては、一定の改善余地がありつつ、関係者の理解も得やすく、基礎条件を整理しやすい現場が向いています。ここで大切なのは、成功事例をつくることではなく、標準化できる学びを得ることです。


試行時には、評価項目を事前に決めておくべきです。作業時間がどれだけ減ったか、再作業が減ったか、説明資料の作成がしやすくなったか、少人数でも対応しやすくなったか、データの共有が早くなったかといった観点で見ていくと、単なる感想ではなく改善判断ができます。特に実務では、便利そうという印象だけでは社内展開の説得力が弱くなります。定量と定性の両面から評価できるようにしておくと、その後の展開が進めやすくなります。


また、試行導入では失敗の記録も重要です。うまくいった点だけをまとめても、実務では再現しません。どの場面で使いにくかったのか、どんな条件で精度や作業性が落ちたのか、入力負担はどこで増えたのか、誰が困ったのかを残しておくことで、次の改善につながります。むしろ導入初期は、課題を早く見つけられること自体が成果といえます。問題を隠すのではなく、仕組み改善の材料として扱う姿勢が大切です。


小さく試すことの利点は、現場の抵抗感を下げられる点にもあります。最初から全面的な運用変更を求められると、現場は身構えます。しかし、限定範囲で試し、改善しながら広げる進め方であれば、受け入れやすくなります。実務担当者にとっては、完璧な制度より、使いながら良くなる仕組みのほうが安心感があります。導入の成否は技術だけでなく、現場が心理的に受け入れられるかどうかにも左右されます。


改善を回す際には、現場の声を定期的に拾うことが欠かせません。管理側だけで運用を設計し続けると、現場の小さな不便が蓄積して離脱につながります。逆に、現場の要望だけを取り入れると全体最適が崩れることもあります。そのため、現場と管理側の双方が確認できる振り返りの場を設け、何を残し、何を修正するかを整理することが重要です。改善のルールがある組織ほど、i-Construction 2.0対応は長続きします。


さらに、試行から標準化へ進むときには、教育資料や確認手順を更新していく必要があります。最初に作ったマニュアルがそのまま最適とは限りません。試行で見つかった実務上の工夫、不要だった手順、誤解されやすかった表現などを反映し、現場が使いやすい形に変えていくことで、運用品質が安定します。改善は現場だけでなく、ルールや教育にも反映されて初めて意味を持ちます。


このステップで目指すべき状態は、導入が単発で終わらず、改善を前提に続いていくことです。試して終わりではなく、次の現場にどう展開するか、どの条件なら再現できるか、何を共通ルールとして残すかが整理されている状態です。i-Construction 2.0対応を本当に自社の力に変えるには、最初の成功よりも、改善し続けられる実装力のほうが重要です。


まとめ i-Construction 2.0対応は準備の質で成果が変わる

i-Construction 2.0対応で必要な準備は、単に新しい技術を導入することではありません。業務全体を見直して対象工程を定め、データ基準と運用ルールを整え、現場で使える計測体制をつくり、3次元データを社内で活かす連携体制へつなげ、最後に小さく試して改善を回していくことが重要です。この流れが整ってはじめて、現場の生産性向上や省人化、説明力の向上といった効果が現実のものになります。


実務では、準備不足のまま導入を急ぐと、せっかくの取り組みが現場負担の増加で終わることがあります。逆に、準備を丁寧に行えば、同じ技術でも成果は大きく変わります。i-Construction 2.0対応の差は、導入したものの多さではなく、現場で無理なく回せる形に落とし込めているかどうかで決まります。今の業務のどこに課題があり、どの情報がつながれば改善できるのかを見極めながら、無理のない順序で進めることが大切です。


とくに、位置情報を伴う現場記録や施工管理の精度を高めたい場合は、扱いやすさと精度を両立した運用手段を早い段階で検討しておくと、準備の質が上がります。現場で素早く位置を押さえながら、記録や共有につなげやすい仕組みがあると、i-Construction 2.0対応は机上の構想ではなく、日々の実務改善として進めやすくなります。そうした観点で見ると、LRTKのようなiPhone装着型GNSS高精度測位デバイスは、現場での導入ハードルを抑えつつ、位置情報の活用を前進させる選択肢の一つです。大がかりな体制変更の前に、まずは現場で使える形から始めたい場合にも取り入れやすく、i-Construction 2.0対応の第一歩として検討しやすい存在といえます。


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