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i-Construction 2.0の課題は何?現場導入で悩む6つの壁

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

i-Construction 2.0の課題が注目される理由

壁1 目的が曖昧なまま導入が始まりやすい

壁2 データ取得の前提条件が現場でそろわない

壁3 座標系と精度要求の理解不足で手戻りが起きる

壁4 現場と内業の分断でデータが活きない

壁5 人材育成と運用定着に時間がかかる

壁6 小さく始める設計ができず全体最適を失う

i-Construction 2.0を現場導入で成功させる考え方

まとめ


i-Construction 2.0の課題が注目される理由

i-Construction 2.0は、建設現場の生産性向上や省人化、品質確保、安全性向上を進めるうえで避けて通れないテーマとして注目されています。単に新しい機器や仕組みを入れる話ではなく、調査、測量、設計、施工、出来形管理、維持管理までを通して、現場の情報をデジタルでつなぎ、判断や作業の無駄を減らしていく考え方が中心にあります。そのため、関係者の多くが「導入しなければいけない流れは理解しているが、実際に現場へ落とし込むと難しい」と感じやすい分野でもあります。


特に実務担当者が悩みやすいのは、i-Construction 2.0の考え方そのものが広く、単一の技術や単一の書類対応だけで完結しない点です。現場では、位置情報の取得、3次元データの作成、数量把握、施工計画、進捗共有、検査対応、維持管理への引き継ぎなど、複数の工程が連続しています。そのどこか一部だけを高度化しても、全体の流れに接続できなければ、本来期待した効果は出にくくなります。


また、導入の現場では「便利そうだから使う」「周囲が始めたから合わせる」「発注対応で必要になったから急いで整える」といった入り方になりやすく、目的整理より先に手段選定が進んでしまうことがあります。この順序の逆転が、運用定着の失敗や現場負担の増加につながる大きな原因です。データを取るだけで終わる、内業で加工しきれない、成果物の精度説明ができない、担当者しか扱えない、といった問題は、多くの場合、導入初期の設計不足から生まれています。


さらに、i-Construction 2.0は「導入した瞬間に成果が出る仕組み」ではありません。従来の紙中心、経験中心の業務に対して、データ連携や標準化、再利用を前提とした仕事の進め方へ変えていく必要があります。これは単なる道具の変更ではなく、現場運営の考え方を変えることでもあります。そのため、現場の忙しさ、人員構成、協力会社との役割分担、内業の処理能力、教育体制など、技術以外の要因が強く影響します。


検索で「iconstruction 2.0」と調べる実務担当者の多くは、制度や概念の説明だけでなく、「現場では何が壁になるのか」「どこで失敗しやすいのか」「何から直せばいいのか」を知りたいはずです。そこで本記事では、i-Construction 2.0の現場導入で悩みやすい課題を6つの壁として整理し、それぞれがなぜ起きるのか、どう向き合うべきかを実務目線で解説します。単なる一般論ではなく、現場でよくある手戻りやすれ違いを前提に、導入を前に進めるための視点まで含めて掘り下げていきます。


壁1 目的が曖昧なまま導入が始まりやすい

i-Construction 2.0の最初の壁は、導入目的が曖昧なまま話が進みやすいことです。現場では、3次元化、データ活用、省人化、遠隔確認、出来形管理の効率化など、さまざまな期待が同時に語られます。しかし、導入の起点として「この現場では何を改善したいのか」が明確でないと、関係者ごとに認識がずれてしまいます。


たとえば、ある担当者は測量作業の時間短縮を狙っている一方で、別の担当者は図面化の効率化を重視しているかもしれません。また、管理者は進捗の見える化を重視し、現場担当者は手戻り削減を最優先していることもあります。これらはすべて正しい関心ですが、最初に優先順位を決めずに導入すると、必要なデータ、必要な精度、運用方法が定まらず、結果として中途半端な仕組みになります。


現場でありがちなのは、「まずデータを取ってみよう」という進め方です。この姿勢自体は悪くありませんが、何に使うかが決まっていないデータは、後で再利用しにくくなります。点で取れば足りるのか、面として必要なのか、日々の進捗比較に使うのか、出来形確認に使うのか、維持管理に引き渡すのかによって、取得方法も整理方法も変わります。目的が曖昧なまま取得したデータは、容量だけ大きく、意思決定には使えないという状態になりやすいのです。


また、目的が曖昧な導入は、現場の協力を得にくいという問題もあります。現場は常に工程、品質、安全、周辺調整に追われています。そのなかで新しい運用を追加するには、「なぜ必要なのか」「何が楽になるのか」「どの負担が減るのか」を明確に伝えなければなりません。目的が伝わらないままでは、担当者は新しい作業を増やされたと感じ、運用は形骸化しやすくなります。


さらに、目的が曖昧だと、成果の評価も曖昧になります。導入後に「うまくいったのか、いかなかったのか」が判断できず、次の現場へ展開する根拠も残りません。省力化を狙うなら作業時間の比較が必要ですし、品質向上を狙うなら誤差や手戻り件数の変化を見る必要があります。情報共有の改善を狙うなら、報告や確認のタイムラグがどう変わったかを見なければなりません。つまり、目的が不明確なままでは、評価指標も作れず、改善サイクルも回らないのです。


この壁を越えるには、導入前に「現場の何を変えたいのか」を一文で言える状態にすることが重要です。たとえば、起工測量から出来形管理まで同じ座標の考え方でつなげたい、施工中の進捗把握を早めたい、協議資料の作成時間を減らしたい、といったように、改善対象を具体化します。そのうえで、対象工程、対象データ、必要精度、成果物、担当者、保存場所、活用タイミングを整理すれば、導入は現場の仕事と結びつきます。


i-Construction 2.0は理念としては魅力的ですが、現場では目的の解像度が低いとすぐに失速します。最初の壁は技術不足ではなく、目的設計の不足です。ここを丁寧に整理できるかどうかが、その後のすべての運用を左右します。


壁2 データ取得の前提条件が現場でそろわない

二つ目の壁は、データ取得の前提条件が現場でそろわないことです。i-Construction 2.0では、位置情報や形状情報をデジタルで取得し、それを次工程へつなぐことが重要になります。しかし実際の現場では、理想的な条件が常にそろうわけではありません。地形、構造物、周辺環境、作業時間、天候、作業帯の制約などが重なり、思ったようにデータが取れないことが多くあります。


たとえば、見通しが悪い場所、上空が開けていない場所、重機や車両の往来が多い場所、足場が不安定な場所では、安定した位置情報取得が難しくなります。さらに、日中の作業時間は限られており、他工種との干渉もあるため、理想どおりの計測時間を確保できない場合があります。現場担当者がデジタル化の必要性を理解していても、実際の作業条件が追いつかなければ、取得品質はばらつきます。


ここで重要なのは、機器や手法そのものよりも、「どの条件なら、どの程度の品質で、何を取得できるか」を事前に把握しているかどうかです。i-Construction 2.0の導入がうまくいかない現場では、取得対象だけを決めて、取得条件の確認が甘いことがよくあります。たとえば、舗装前の地形確認、掘削進捗の把握、出来形のチェックなど、目的は明確でも、その場で必要な視界、基準、計測ルート、障害物の影響、再観測の要否が整理されていないと、後で使えないデータになります。


また、取得ルールの未整備も大きな問題です。誰が、いつ、どの範囲を、どの基準で、どの名前で保存するのかが決まっていないと、同じ現場内でもデータ品質が揃いません。担当者ごとに取得密度が違う、保存場所が違う、日付の付け方が違う、ファイル名に規則がない、といった小さな差が積み重なると、後工程での統合が困難になります。データは取得そのものより、再利用できる形で残すことが重要ですが、現場ではこの視点が抜けやすいのです。


さらに、取得対象の優先順位が曖昧なことも壁になります。現場では、すべてを細かく取ることが理想に見えますが、時間にも処理能力にも限界があります。毎日全面を取る必要があるのか、変化が大きい部分だけでよいのか、確認点だけ押さえればよいのかを整理しないと、取得負荷ばかり高まり、活用が追いつかなくなります。i-Construction 2.0は大量取得を目指すものではなく、必要な情報を必要な品質で継続的に扱える状態を作ることが本質です。


この壁を乗り越えるためには、現場条件を前提にした取得計画が欠かせません。理想論としての計測方法ではなく、その現場で安定して回せる運用を設計する必要があります。どのタイミングで、どの範囲を、どの程度の精度で取得し、どの工程に渡すのかを先に決めておけば、現場で迷いにくくなります。また、再取得が必要になりやすい条件を洗い出しておくことで、余計な手戻りも防げます。


i-Construction 2.0の導入は、優れた技術を選ぶことだけでは成立しません。現場条件のばらつきを織り込んだうえで、無理なく継続できる取得体制を作れるかどうかが重要です。現場でデータが取れなければ、その先のデジタル活用は始まりません。だからこそ、取得前提をそろえることは、見えにくいですが非常に大きな壁なのです。


壁3 座標系と精度要求の理解不足で手戻りが起きる

三つ目の壁は、座標系と精度要求に対する理解不足です。これはi-Construction 2.0の導入で特に見落とされやすく、しかも後戻りのコストが大きい壁です。現場では「位置が合っていればいい」と感覚的に扱われることがありますが、実務ではどの基準に対して、どの程度の誤差まで許容するのかを明確にしなければ、データ同士を正しくつなげることができません。


座標系の理解不足が引き起こす問題は多岐にわたります。現場独自の基準で運用しているのか、公的な基準へ合わせているのか、高さの扱いをどうしているのか、図面や設計データと現地の基準点の対応が整理されているのかによって、同じ位置情報でも意味が変わります。測量段階では問題なく見えても、設計データとの重ね合わせ、施工位置の確認、出来形評価、他工区との接続、維持管理データへの引き継ぎの場面でずれが顕在化することがあります。


特に現場導入で起こりやすいのが、座標の取り扱いが担当者の頭の中だけで成立している状態です。過去の慣習や口頭確認に頼っていると、担当者が変わった瞬間に運用が崩れます。どの原点を使っているのか、設計図面側と現場側で何を基準にしているのか、変換や補正の有無はどうなっているのかといった情報が明文化されていないと、データ連携は極めて不安定になります。


精度要求についても同様です。i-Construction 2.0では3次元データや位置情報の活用が強調されるため、何となく高精度であることが期待されがちです。しかし、実務では用途ごとに必要精度が異なります。日々の進捗把握に使う情報と、出来形確認に使う情報とでは、求められる厳しさが違います。にもかかわらず、その区別をしないまま「とにかくデジタル化する」「位置情報を付ける」という発想で進めると、過剰品質で現場負担が増えたり、逆に品質不足で成果物に使えなかったりします。


また、精度は取得時点だけで決まるものではありません。基準点の確認、観測条件、取得手順、後処理、他データとの整合確認まで含めて管理しなければ、実務で使える精度にはなりません。現場では取得時の数値だけを見て安心しがちですが、実際には成果物に変換した段階でずれが目立つこともあります。点群や図面化データ、施工管理データなど、後工程へ渡す際に整合が崩れると、再確認や再加工が発生し、導入効果を大きく損ないます。


この壁への対策として重要なのは、最初に座標と精度の前提を共有言語にすることです。専門担当者だけが理解している状態では不十分で、現場責任者、施工担当、内業担当が同じ意味で扱えるように整理する必要があります。難しい理論を全員が詳しく覚える必要はありませんが、この現場では何を基準にし、どの用途にどの精度が必要で、どこで確認するのかは共有しておくべきです。


さらに、確認工程を前倒しにすることも有効です。取得したあとに全量処理してから不整合に気づくのでは遅すぎます。小さな範囲で試行し、設計データや既存図面、基準点との整合を先に確認しておけば、大きな失敗を防ぎやすくなります。i-Construction 2.0ではデータが連携して初めて意味を持ちます。つまり、座標系と精度要求は単なる技術論ではなく、業務をつなぐ共通ルールなのです。ここを曖昧にしたままでは、現場導入は長続きしません。


壁4 現場と内業の分断でデータが活きない

四つ目の壁は、現場と内業の分断です。i-Construction 2.0では、現場で取得したデータが内業で整理され、そこから施工判断、報告、確認、共有へとつながっていくことが理想です。しかし現実には、現場側は「取るところまで」、内業側は「加工するところまで」で分かれてしまい、その先の活用目的がつながらないことが少なくありません。


現場担当者は、日々の工程や安全管理に追われながらデータ取得を行っています。そのため、取得後の整理方法や命名規則、内業で必要となる付帯情報まで意識する余裕がないことがあります。一方、内業担当者は、渡されたデータを加工して図面や資料にまとめますが、現地の状況や取得時の制約を十分に把握していないことがあります。このすれ違いがあると、現場では「ちゃんと取ったのに使えないと言われる」、内業では「必要な情報が足りず再確認が必要になる」という不満が起こります。


この分断は、単なる連携不足ではなく、業務設計の問題です。i-Construction 2.0の本質は、データを工程間で再利用することにあります。にもかかわらず、現場での取得条件と内業での利用条件が別々に考えられていると、せっかくのデジタル化がデータの受け渡し作業に終わってしまいます。現場で取った情報が、内業で判断材料としてすぐに使える形になっていなければ、紙の写真整理や手作業の転記と本質的に変わらない状態になります。


さらに問題なのは、現場と内業で評価基準が違うことです。現場は短時間で確実に進めることを重視し、内業は整合性と説明性を重視します。この違い自体は自然ですが、双方の優先順位を理解せずに運用すると、どちらかに無理が偏ります。現場に厳密な整理を求めすぎれば実作業が回らなくなりますし、内業側に補正を任せすぎれば処理時間が増え、タイムリーな活用ができなくなります。


また、データが活きない現場では、「誰が最終的に使うか」が曖昧なまま運用されています。進捗確認に使うのか、協議資料に使うのか、出来形確認に使うのか、次工程へ渡すのかによって、必要な整理は変わります。使い手が不明確なままでは、取得項目も整理基準も定まりません。結果として、データは蓄積されるのに、現場の判断は従来どおり経験と電話連絡に頼る状態が続きます。


この壁を越えるには、現場と内業を一つの流れとして設計することが必要です。具体的には、取得時に必要な付帯情報を最小限に絞って決める、保存ルールを統一する、確認頻度を決める、加工後の出力形式を現場判断に使いやすい形へ寄せる、といった工夫が重要です。現場に負担をかけすぎず、内業にも過度な補正を押し付けない中間点を探ることが、運用定着の鍵になります。


さらに、データを渡した後のフィードバックが重要です。どの取得が役立ったのか、どの情報が不足していたのか、どの表現が現場で分かりやすかったのかを共有することで、次回の取得品質が上がります。i-Construction 2.0は、一度決めた運用を固定するものではなく、現場と内業の往復のなかで改善していくべきものです。


デジタル導入が失敗する現場の多くは、機器の性能より前に、現場と内業の接続に課題があります。データを取ることと使うことが分かれている限り、導入効果は限定的です。逆に言えば、この分断を埋めるだけでも、i-Construction 2.0の効果は大きく高まります。


壁5 人材育成と運用定着に時間がかかる

五つ目の壁は、人材育成と運用定着です。i-Construction 2.0は、優れた仕組みを入れればすぐ成果が出るものではありません。現場で継続して回し、判断や報告に使い、次の工程へつなぐためには、担当者が一定の理解を持ち、日常業務の中で無理なく扱える状態にする必要があります。しかし実際の現場では、人員に余裕がなく、教育のための時間も限られているため、ここが大きな壁になります。


特に問題になりやすいのは、特定の担当者だけが理解している状態です。導入初期には熱心な担当者が中心となって運用を回すことがありますが、その人に知識や手順が集中すると、休暇、異動、担当変更が起きた瞬間に現場が止まりやすくなります。属人化した運用は、短期的には回っているように見えても、継続性が低く、横展開もしにくいという弱点があります。


また、人材育成の難しさは、単に操作方法を覚えることではありません。i-Construction 2.0では、なぜそのデータが必要なのか、どの工程で使われるのか、どの精度が求められるのかを理解したうえで作業することが重要です。操作だけを教えても、想定外の現場条件に対応できず、少し条件が変わると運用が崩れます。実務では、手順の暗記よりも、考え方の理解が求められます。


さらに、教育対象が広いことも難しさの一つです。現場担当者だけでなく、管理者、内業担当者、協力会社、時には発注側との認識合わせも必要になります。全員が同じ深さで理解する必要はありませんが、それぞれが最低限どこまで分かっていればよいかを整理しないと、説明の負担だけが増えます。現場では、専門用語が多すぎて伝わらない、逆に簡略化しすぎて誤解される、といったことが起こりやすく、運用定着を難しくします。


運用定着を妨げるもう一つの要因は、導入初期に理想を求めすぎることです。最初から完璧な取得、完璧な整理、完璧な連携を目指すと、現場は疲弊します。日常業務のなかで新しい運用を定着させるには、最初は最低限の成功体験を積むことが重要です。たとえば、進捗確認に使う範囲だけ定例化する、出来形確認で活用する項目だけ整える、特定工種だけで運用を固定するなど、小さな単位で成果を見せることが有効です。


また、教育資料や運用手順が現場向けになっていないケースもあります。説明資料が概念中心すぎると、担当者は自分の作業に置き換えられません。逆に細かい操作説明だけでは、なぜその手順が必要か分からず、応用が利きません。必要なのは、現場の流れに沿った手順書、よくある失敗例、確認ポイント、保存ルール、判断基準などを、実務の文脈でまとめることです。短くてもよいので、現場で参照できる形になっていることが重要です。


人材育成では、失敗を許容する設計も欠かせません。新しい運用では、最初からすべてがうまくいくことは稀です。取得漏れ、保存ミス、整合不良、説明不足などの小さな失敗を、責任追及ではなく改善材料として扱える現場ほど、定着が進みます。逆に、一度の失敗で「やはり難しい」「従来のやり方のほうが早い」と結論づけてしまうと、せっかくの導入機会を失います。


i-Construction 2.0の本当の課題は、技術導入ではなく、現場の習慣へ組み込むことにあります。教育は一度きりの説明会では終わらず、運用を回しながら理解を深める継続的な取り組みです。人材育成と運用定着に時間がかかるのは当然であり、そこを計画に入れずに導入すると、現場は必ず苦しくなります。


壁6 小さく始める設計ができず全体最適を失う

六つ目の壁は、小さく始める設計ができないことです。i-Construction 2.0は対象範囲が広いため、導入時に「あれもこれも一度に整えたい」と考えがちです。起工測量、施工管理、出来形、進捗共有、報告資料、維持管理連携まで、すべてを一括で高度化できれば理想的です。しかし、現場の実情を考えると、最初から全工程を同時に最適化するのは非常に難しいです。


導入がうまくいかない現場では、理想像が大きすぎるために、準備項目が増え、関係者調整が長引き、結局どこも深く実行できないことがあります。全体設計は必要ですが、実行の入口は絞らなければなりません。最初から全工種、全範囲、全成果物を対象にすると、取得ルールも教育内容も確認方法も複雑化し、担当者の理解が追いつかなくなります。


また、小さく始められない現場では、費用対効果が見えにくくなります。導入時の負担が大きい一方で、どの部分が効果を生んだのかが分からず、継続判断が難しくなります。現場担当者から見れば、やることが増えた印象ばかりが残り、改善実感が持てません。これでは次の現場に展開しようとしても、前向きな評価を得にくくなります。


小さく始める設計とは、単に規模を縮小することではありません。全体像を見据えたうえで、最も効果が出やすく、最も定着しやすい部分から始めることです。たとえば、毎日の進捗確認で使う範囲に限定する、手戻りが多い工程だけを対象にする、関係者が少ない工種から始めるなど、現場負担と効果のバランスが取れた入口を選びます。この考え方があると、初期導入で得た知見を次段階へ広げやすくなります。


さらに、小さく始めることは、全体最適を捨てることではありません。むしろ逆です。いきなり広げて失敗するより、限定範囲で運用ルール、座標の扱い、保存形式、教育内容、確認手順を固めたほうが、後で広げる際の再現性が高くなります。全体最適は、一度に作るものではなく、小さな成功を積み重ねて近づくものです。


この壁の背景には、導入担当者の責任感もあります。せっかく取り組むなら大きな成果を示したい、社内外に分かりやすい変化を見せたいという思いから、対象を広げすぎてしまうことがあります。しかし、i-Construction 2.0は見せ方より継続性が重要です。現場で回る仕組みでなければ、どれだけ立派な初期計画でも意味がありません。


実務で重要なのは、「どこまでやるか」ではなく、「どこなら確実に回せるか」です。対象範囲、確認頻度、出力内容、担当者、保存方法を絞り込むことで、現場は初めて継続可能になります。小さく始める設計ができないと、導入は理想論のまま終わります。逆に、絞り込んだ小さな成功を積み上げられる現場ほど、結果的に大きな変化を実現しやすいのです。


i-Construction 2.0を現場導入で成功させる考え方

ここまで、i-Construction 2.0の現場導入でぶつかりやすい6つの壁を見てきました。では、実際に導入を前に進めるには、どのような考え方が必要なのでしょうか。重要なのは、i-Construction 2.0を最新技術の導入競争として捉えず、現場の判断を速く、正確に、再現性高くするための業務改善として捉えることです。


まず大切なのは、導入の目的を工程単位まで落とし込むことです。現場全体の生産性向上という大きな言葉だけでは、具体的な行動に変わりません。どの工程で、どの確認を、どれだけ早くしたいのか。どの資料作成の手間を減らしたいのか。どの手戻りを減らしたいのか。そこまで具体化して初めて、必要なデータや運用ルールが見えてきます。


次に、データ取得と活用を一体で考えることが重要です。取れるから取るのではなく、使うために取るという発想へ切り替える必要があります。そのためには、取得時点で保存形式、名称、座標の扱い、確認方法、引き渡し先まで決めておくことが有効です。現場で取得したデータが、そのまま内業や管理判断へつながる流れを作れれば、i-Construction 2.0の価値は大きく高まります。


また、精度要求の整理も欠かせません。すべてを最高水準で扱おうとすると、現場負担が大きくなり、運用が続きません。用途ごとに必要な品質を見極め、過不足のない設計にすることが現実的です。重要なのは、目的に対して十分かどうかであり、ただ高精度であることそのものではありません。


さらに、担当者が変わっても回る運用を目指す必要があります。手順書、命名ルール、保存場所、確認頻度、役割分担などを明文化し、属人化を減らすことが継続の条件です。教育は操作説明だけでなく、なぜその運用が必要なのかという背景理解まで含めることで、現場の応用力が高まります。


そして、導入は必ず小さく始めるべきです。最も効果が見えやすく、関係者が理解しやすい部分から着手し、成果と課題を整理しながら広げていくことが現実的です。全体像を持ちつつ、入口は小さくする。この姿勢が、結果として全体最適につながります。


現場では、位置情報を正確に扱えるかどうかが多くの工程の土台になります。調査、測量、施工、出来形、維持管理のどの場面でも、位置のずれは判断のずれにつながります。その意味で、i-Construction 2.0を現場で機能させるには、使いやすく、持ち出しやすく、実務に組み込みやすい位置情報取得環境を整えることが重要です。複雑な仕組みを無理に押し込むより、現場担当者が日常の流れのなかで扱える道具と手順を整えるほうが、導入効果は安定しやすくなります。


まとめ

i-Construction 2.0の課題は、単に新しい技術を使いこなせるかどうかではありません。目的が曖昧なまま導入が始まりやすいこと、データ取得の前提条件が現場でそろいにくいこと、座標系と精度要求の理解不足で手戻りが起きること、現場と内業が分断されてデータが活きないこと、人材育成と運用定着に時間がかかること、そして小さく始める設計ができず全体最適を失いやすいことが、現場導入で悩む6つの大きな壁です。


これらの壁に共通しているのは、機器やソフトの性能以前に、業務のつなぎ方と運用設計が問われる点です。i-Construction 2.0は、道具を入れ替えるだけでは定着しません。現場で何を改善したいのかを明確にし、必要なデータを必要な品質で取得し、判断や共有に使える形へ整え、担当者が変わっても回る運用にしていくことが重要です。


特に実務では、位置情報の扱いを曖昧にしないことが導入成功の出発点になります。測る、記録する、共有する、確認するという基本動作が正確でなければ、どれほど高度な取り組みを掲げても現場では活きません。だからこそ、日常業務のなかで無理なく位置情報を扱える環境づくりが重要です。


現場での導入をこれから進めるのであれば、まずは位置の取得と共有を確実にするところから見直すのがおすすめです。LRTKは、iPhone装着型GNSS高精度測位デバイスとして、現場で扱いやすい形で高精度な位置情報活用を進めたい場面と相性がよい選択肢です。大がかりな仕組みを一気に広げる前に、日々の測位や記録、確認の流れを整えたい実務担当者にとって、i-Construction 2.0を現場へ着実に根づかせる第一歩になりやすいでしょう。


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