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PVSystで概算設計する方法|短時間でまとめる5手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSystの概算設計で最初に決めるべき考え方

手順1 敷地条件と検討目的を整理する

手順2 気象データと方位・傾斜を仮設定する

手順3 モジュール容量とアレイ構成を概算で組む

手順4 損失条件と影の影響を必要最小限で入力する

手順5 結果画面で発電量と妥当性を確認する

概算設計を短時間でまとめる実務上のコツ

概算から詳細設計へ進むときの注意点

まとめ 現地条件を押さえるほど概算設計の精度は上がる


PVSystの概算設計で最初に決めるべき考え方

PVSystで概算設計を行うときは、まず「何を判断するための概算なのか」を明確にすることが重要です。太陽光発電の設計検討には、設備容量の見込みを出す段階、発電量の目安を出す段階、事業性の初期判断を行う段階、提案書に載せる比較案を作る段階など、複数の目的があります。目的が曖昧なままPVSystを開くと、入力項目をどこまで細かく設定すべきか迷いやすくなり、短時間でまとめるはずの概算設計に時間がかかってしまいます。


概算設計では、詳細設計と同じ精度を最初から求める必要はありません。むしろ、現時点で確定している情報と、仮定として置いている情報を分けて管理することが大切です。たとえば、設置場所、敷地面積、屋根形状、方位、傾斜角、周辺障害物、想定する設備容量、使用するモジュールの出力帯、系統連系の前提、蓄電池の有無などは、初期検討の段階で情報の確度にばらつきがあります。PVSystでは多くの項目を設定できますが、概算段階では「後で差し替える前提の仮条件」として扱う項目も多くなります。


短時間でまとめるためには、最初に検討範囲を限定します。たとえば、屋根上設置の概算であれば、まずは屋根面ごとの方位と傾斜、設置可能な面積、モジュールの概算枚数を中心に考えます。地上設置であれば、敷地形状、アレイ間隔、造成や斜面の影響、周辺の影を中心に見ます。自家消費案件であれば、年間発電量だけでなく、需要カーブとの関係を見る必要がありますが、初期段階では代表的な需要条件で仮置きすることもあります。


PVSystは、入力条件を細かく設定できる反面、すべてを厳密に入れようとすると時間がかかります。概算設計では、詳細な機器仕様や現地測量成果が未確定でも、一定の仮定に基づいて発電量の目安を出すことが目的になります。そのため、概算時点では「大きく結果に影響する条件」と「後で調整しても大勢に影響しにくい条件」を分けて考えると効率的です。


特に発電量に大きく影響するのは、設置場所の気象条件、方位、傾斜、設置容量、影、温度条件、損失条件です。これらを大まかに押さえるだけでも、提案初期に必要な年間発電量や発電効率の目安を把握できます。一方で、配線長や細かな機器損失、詳細な障害物形状などは、概算段階では標準的な値や簡略モデルで扱い、詳細設計に進む段階で見直す方法が現実的です。


概算設計の成果物としては、年間発電量、設備容量、単位容量あたりの発電量、月別発電傾向、主な損失内訳、設計条件の前提が整理されていることが望ましいです。PVSystの結果は、単なる数値だけでなく、入力条件とセットで見せることで説得力が増します。つまり、概算設計では「何kW入るか」だけでなく、「どの条件でその数値を出したか」を説明できる形にしておくことが重要です。


手順1 敷地条件と検討目的を整理する

PVSystで概算設計を始める前に、まず敷地条件と検討目的を整理します。ここでの整理が不十分だと、PVSyst上で設定を進めても、後から「この条件は実際の敷地と合っていなかった」「提案に必要な数値が出ていなかった」という手戻りが発生しやすくなります。概算設計はスピードが求められますが、最初の条件整理だけは省略しないほうが、結果的に短時間でまとまります。


最初に確認したいのは、設置場所の種類です。屋根上なのか、地上設置なのか、駐車場上部のような架台設置なのか、工場や倉庫の自家消費用なのか、発電事業用の大規模案件なのかによって、概算設計で重視する項目は変わります。屋根上であれば屋根面の向き、勾配、障害物、荷重制限が重要になります。地上設置であれば敷地境界、勾配、造成条件、アレイ間隔、周辺樹木や建物の影が重要になります。自家消費の場合は、発電量だけでなく、電力需要との時間帯の重なりも検討対象になります。


次に、PVSystで出したいアウトプットを決めます。概算段階でよく求められるのは、年間発電量の目安、月別発電量、設備容量、想定するモジュール枚数、発電量の妥当性、主な損失要因です。提案書に使う場合は、発電量の数字だけでなく、前提条件を簡潔に説明できることも重要です。社内検討用であれば、複数案を比較するために、同じ条件で方位や傾斜、容量だけを変えて結果を見ることもあります。


敷地情報として最低限整理しておきたいのは、所在地、設置可能範囲、方位、傾斜、周辺障害物、利用できる面積です。所在地は気象データの選定に関わります。設置可能範囲はモジュール枚数や容量の上限に関わります。方位と傾斜は日射量の受け方に直結します。周辺障害物は影による損失に関わります。これらが不明な場合でも、概算設計では仮定を置いて進められますが、その仮定を記録しておくことが大切です。


たとえば、現地調査前の段階では、図面や航空写真、簡易な敷地情報だけで概算することがあります。この場合、PVSyst上では厳密な3Dモデルを作り込むよりも、設置面の方位、傾斜、概算容量を優先して設定し、影については大きな障害物があるかどうかを簡略的に扱うほうが実務的です。逆に、現地写真や測量データがある場合は、影の影響や設置可能範囲をもう少し現実に近づけることができます。


概算設計では、設計条件を一度で確定させるのではなく、段階的に更新する考え方が向いています。最初は「仮の容量で発電量を見る」、次に「設置可能範囲に合わせて容量を調整する」、さらに「影や損失を追加して現実寄りにする」という流れです。この順番にすると、入力に時間をかけすぎず、結果の変化も把握しやすくなります。


また、初期検討では、過度に楽観的な条件を置かないことも大切です。方位が最適、影がまったくない、損失が非常に小さい、といった条件ばかりで計算すると、概算として見栄えは良くても、後の詳細設計で発電量が下がりやすくなります。概算設計では、提案の初期段階で使う数字だからこそ、現実的な安全側の仮定を置くことが信頼につながります。


手順2 気象データと方位・傾斜を仮設定する

PVSystで概算設計を行う際、次に設定するのが気象データ、方位、傾斜です。この3つは、年間発電量に大きく影響する基本条件です。短時間で概算を出す場合でも、ここを雑に扱うと結果全体が大きくずれる可能性があります。詳細な現地データがない段階でも、設置場所に近い気象条件を選び、方位と傾斜を現実的な値で仮設定することが重要です。


気象データは、設置地点の太陽光資源を表す基礎情報です。PVSystでは地点情報をもとに気象データを扱いますが、概算段階では、厳密な現地観測データがなくても、近傍地点や標準的な気象データを使って検討を始めることができます。ただし、山間部、海沿い、積雪地域、霧が多い地域、都市部のように、近隣でも気象条件が変わりやすい場所では注意が必要です。概算結果を見るときも、気象データの選定が発電量に影響していることを前提として解釈します。


方位角は、太陽光パネルがどの方向を向くかを表します。概算設計では、屋根面や敷地の向きに合わせて代表値を設定します。南向きに近いほど発電量が出やすい傾向がありますが、実務では屋根形状や敷地形状、電力需要の時間帯、施工性によって、必ずしも最適方位だけを選べるとは限りません。東西向きの屋根に分散配置する場合や、限られた敷地内で容量を優先する場合もあります。そのため、概算では実際に設置できる向きを前提に設定し、必要に応じて複数の方位案を比較します。


傾斜角は、モジュール面が水平面に対してどの程度傾いているかを示す条件です。屋根上設置であれば屋根勾配に合わせることが多く、地上設置であれば架台の計画角度を仮設定します。傾斜角は年間発電量だけでなく、季節ごとの発電傾向にも影響します。傾斜を大きくすると冬季の日射を受けやすくなる場合がありますが、設置間隔や風荷重、施工性、影の影響も考える必要があります。概算段階では、地域や設置形態に応じた現実的な角度を設定し、過度に理想化しないことが重要です。


PVSystの使い方としては、まずプロジェクトの場所を設定し、利用する気象データを選定したうえで、システムの向きや傾斜を入力していきます。概算設計では、最初から複雑な多面構成にするよりも、代表的な設置面をひとつ作成し、結果を見ながら必要に応じて面を追加するほうが効率的です。たとえば、同じ屋根に南面と東面がある場合、最初に南面のみで概算し、その後に東面を追加して全体容量を調整する流れです。


方位や傾斜の仮設定では、入力値の根拠を残しておくことも大切です。図面から読み取った値なのか、現地写真から推定した値なのか、一般的な屋根勾配として仮置きした値なのかによって、結果の信頼度は変わります。提案資料や社内メモには、「方位・傾斜は概算値」「現地確認後に再計算予定」といった前提を添えると、後工程での認識違いを防ぎやすくなります。


短時間で概算設計をまとめる場合、気象データ、方位、傾斜の設定は、完璧さよりも一貫性を重視します。複数案を比較する場合は、気象データを同じにして、方位や傾斜、容量だけを変えることで、条件差による発電量の違いを読み取りやすくなります。条件を一つずつ変えることで、どの要素が結果に効いているのかを把握しやすくなり、提案時の説明もしやすくなります。


手順3 モジュール容量とアレイ構成を概算で組む

気象条件と設置面の条件を設定したら、次はモジュール容量とアレイ構成を組みます。概算設計では、この段階で「どのくらいの設備容量を入れるか」を決めることになります。詳細設計では、機器仕様、電圧範囲、回路構成、配線、保護機器などを細かく確認しますが、概算段階では、設置可能面積と想定するモジュール出力から、現実的な容量の目安を作ることが目的です。


まず考えるべきなのは、設置可能面積とモジュール枚数の関係です。屋根上の場合は、屋根全体の面積がそのまま設置可能面積になるわけではありません。端部離隔、点検通路、設備機器、排気口、トップライト、避雷設備、影がかかる範囲などを考慮する必要があります。地上設置の場合も、敷地境界、通路、法面、排水、メンテナンス動線、アレイ間隔を除いた範囲が実際の設置可能範囲になります。概算では、これらを完全に詰めるのではなく、余裕を見た面積からモジュール枚数を見積もります。


PVSystでは、モジュールとパワーコンディショナに相当する機器条件を設定し、ストリング構成やアレイ構成を組みます。ここで実務上注意したいのは、概算だからといってシステム構成の整合性を無視しないことです。モジュール枚数や直列数、並列数が現実離れしていると、発電量の目安として使いづらくなります。概算段階でも、電圧範囲や容量比が極端にならないようにし、後で実機選定に進める程度の構成にしておくと、詳細設計への移行がスムーズです。


ただし、概算設計では機器型式の厳密な確定を目的にしないほうがよい場合もあります。初期提案では、モジュールの出力帯や一般的な変換機器の容量帯を仮定し、全体容量と発電量を把握することが優先されます。最終的な機器選定は、在庫、調達条件、施工条件、系統連系条件、設計基準に応じて変わるため、概算時点では「代表的な構成」として扱います。


アレイ構成を概算で組むときは、まず目標容量から逆算する方法と、設置可能枚数から積み上げる方法があります。提案段階で「おおよそ何kW程度の設備を検討したい」という目標がある場合は、目標容量に近いモジュール枚数を設定し、配置可能かどうかを確認します。一方で、敷地や屋根の制約が強い場合は、設置可能なモジュール枚数を先に見積もり、その結果として設備容量を算出します。実務では後者のほうが現実に近く、特に屋根上や狭小地では設置可能範囲から考えることが重要です。


PVSystの結果を概算資料に使う場合、設備容量だけでなく、どの程度の前提でその容量を置いたかを説明できるようにしておきます。たとえば、設置可能範囲を一部除外しているのか、影が強い範囲を避けているのか、将来の点検通路を確保しているのか、屋根面ごとに容量を分けているのか、といった情報です。これらを整理しておくと、発電量の数字だけが独り歩きすることを防げます。


また、概算設計では過積載の考え方にも注意が必要です。太陽光発電では、直流側容量と交流側容量の比率を調整することで、発電量や設備利用率に影響が出ます。概算段階では極端な比率を避け、一般的な範囲で設定するのが無難です。過積載を大きくすると年間発電量が増える場合がありますが、出力制限やピークカットが増える可能性もあります。PVSystでは結果画面で損失として確認できるため、概算段階でも大きな違和感がないか見ておく必要があります。


手順4 損失条件と影の影響を必要最小限で入力する

PVSystで概算設計を行うとき、多くの担当者が迷いやすいのが損失条件の設定です。PVSystにはさまざまな損失項目がありますが、概算段階で全項目を詳細に詰める必要はありません。重要なのは、発電量に大きく影響する代表的な損失を現実的に入力し、未確定の項目は標準的な仮定として扱うことです。損失を小さく見積もりすぎると発電量が過大になり、逆に過度に保守的にしすぎると提案の可能性を狭めてしまいます。


概算設計でまず確認したい損失は、温度損失、配線損失、ミスマッチ損失、汚れ損失、変換損失、影による損失です。温度損失は、モジュール温度が上がることで出力が下がる影響です。屋根上で通風が悪い場合や、気温が高い地域では影響が大きくなることがあります。配線損失は、直流側や交流側の配線で発生する損失です。概算段階では配線ルートが確定していないことも多いため、標準的な値で仮置きし、詳細設計時に見直します。


ミスマッチ損失は、モジュールごとのばらつきや、日射条件の違いによって発生する損失です。概算では標準的な設定で扱うことが多いですが、複数方位の面を同じ回路にまとめるような現実離れした構成にすると、実際の挙動とずれる可能性があります。汚れ損失は、砂ぼこり、花粉、鳥のふん、積雪後の汚れ、周辺環境の影響などによって変わります。概算段階では地域性や清掃計画を考慮し、過度に楽観的な値にしないことが大切です。


影の影響は、概算設計でも特に注意が必要です。影は発電量に大きく影響するだけでなく、月別、時間帯別の発電傾向にも関わります。屋根上では、隣接建物、塔屋、空調設備、手すり、煙突、アンテナなどが影の原因になります。地上設置では、周辺建物、樹木、電柱、法面、隣接するアレイ列などが影を作ります。初期段階で影を完全にモデル化できない場合でも、大きな障害物があるかどうかは必ず確認します。


PVSystでは、近接影の条件をモデル化してシミュレーションに反映できます。ただし、概算設計で複雑な3D形状をすべて作り込むと時間がかかります。そのため、短時間でまとめる場合は、まず代表的な障害物やアレイ間隔による影を簡略的に扱い、影が大きそうな案件だけ詳細に見ていく方法が現実的です。影の有無によって発電量が大きく変わる場合は、概算段階でも影ありと影なしの両方を比較し、リスクとして説明できるようにします。


損失条件を入力するときの実務上のポイントは、根拠を細かく書きすぎるよりも、条件の種類を整理しておくことです。確定値なのか、仮定値なのか、後で見直す値なのかを分けておくと、詳細設計に進むときに修正漏れを防げます。たとえば、温度条件は標準、配線損失は仮定、影条件は現地確認後に再評価、汚れ損失は地域特性を考慮、といった整理です。


また、概算段階では、損失をすべて細かく調整して発電量を合わせにいくことは避けるべきです。PVSystは入力条件に応じて結果が変わるため、意図的に数値を良く見せるような設定をすると、後で説明が難しくなります。概算設計では、現実的で説明可能な条件を置き、その条件での結果を素直に評価することが大切です。


手順5 結果画面で発電量と妥当性を確認する

入力が一通り終わったら、PVSystでシミュレーションを実行し、結果画面で発電量と妥当性を確認します。概算設計では、結果の数字をそのまま使うのではなく、入力条件に対して妥当な範囲に収まっているかを確認することが重要です。年間発電量が高すぎる、低すぎる、月別の傾向が不自然、損失の一部が極端に大きいといった場合は、入力条件に誤りがある可能性があります。


まず見るべきなのは、年間発電量です。設備容量に対して年間どの程度の発電量が出ているかを確認し、地域や設置条件から見て大きな違和感がないか判断します。次に、月別発電量の傾向を確認します。一般的には、日射条件や気温、傾斜角の影響によって季節ごとに発電量が変化します。特定の月だけ極端に低い場合は、影の条件、気象データ、方位、傾斜、積雪や損失設定に問題がないか見直します。


次に確認したいのが、単位容量あたりの発電量です。設備容量が異なる案を比較する場合、年間発電量の総量だけを見ると判断しにくくなります。単位容量あたりの発電量を確認することで、同じ1kWあたりでどの程度発電する設計なのかを比較できます。概算段階では、この指標を見ることで、方位や傾斜、影、損失条件の違いによる効率差を把握しやすくなります。


損失内訳も重要です。PVSystの結果では、どの段階でどの程度の損失が発生しているかを確認できます。温度損失が大きい場合は設置形態や通風条件を見直す余地があります。影の損失が大きい場合は配置変更や設置範囲の見直しが必要かもしれません。変換損失やピークカットが目立つ場合は、直流側容量と交流側容量の比率を再検討する必要があります。概算設計では、損失の細部まで最適化するというより、極端な異常がないかを確認する視点が大切です。


結果確認では、入力条件との整合性も見ます。たとえば、南向きで影が少ない条件にしたのに発電量が極端に低い場合、方位角の入力方向を間違えている可能性があります。屋根傾斜を入力したつもりが水平に近い値になっていることもあります。モジュール枚数や容量の設定が意図と違っている場合もあります。PVSystに慣れていない段階では、結果の違和感から入力ミスを見つけることが多いため、計算後の確認作業は必須です。


概算資料にまとめるときは、結果を数字だけで示すのではなく、入力条件とセットで整理します。たとえば、設置場所、設備容量、方位、傾斜、主な損失条件、影の扱い、年間発電量、月別発電傾向を一つの流れで説明できるようにします。社内検討や顧客向け提案では、詳細な設定画面をすべて見せる必要はありませんが、前提条件が分かる形にしておくことで、概算結果の信頼性が高まります。


また、概算設計では一度の計算で終わらせず、必要に応じて比較案を作ります。容量を少し増やした案、方位を変えた案、傾斜を変えた案、影を考慮した案、損失を保守的に見た案などを比較すると、提案の幅が広がります。ただし、案を増やしすぎると資料が複雑になるため、最初は基準案と調整案の2から3案程度に絞ると扱いやすくなります。


概算設計を短時間でまとめる実務上のコツ

PVSystで概算設計を短時間でまとめるには、入力作業そのものよりも、進め方を定型化することが効果的です。毎回ゼロから考えるのではなく、案件ごとに確認する項目、仮定値として使う項目、結果確認の手順を決めておくことで、作業時間を大きく短縮できます。特に、初期提案が多い実務では、PVSystの操作に慣れるだけでなく、社内で共通の概算ルールを持つことが重要です。


まず、概算用の入力テンプレートを用意しておくと便利です。設置場所、検討目的、設置形態、方位、傾斜、設備容量、損失条件、影の扱い、出力結果を記録する簡単なフォーマットを作っておけば、PVSystの設定と提案資料の作成を並行して進めやすくなります。PVSyst上で計算した結果を見ながら、どの条件を使ったのかをすぐに記録できるため、後で資料化するときの手戻りが減ります。


次に、標準条件を決めておくことも大切です。たとえば、屋根上設置の概算ではどの程度の損失を仮置きするのか、地上設置ではアレイ間隔をどの程度見るのか、影が未確認の場合はどのように扱うのか、といった社内ルールです。これにより、担当者によって概算結果が大きくばらつくことを防げます。もちろん、案件ごとに条件は変わりますが、最初の基準があるだけで作業は進めやすくなります。


比較案を作る場合は、条件を一度に多く変えないことが重要です。たとえば、容量、方位、傾斜、損失条件を同時に変えると、どの要素が発電量の差を生んでいるのか分かりにくくなります。短時間で判断するためには、基準案を一つ作り、そこから容量だけを変える、傾斜だけを変える、影条件だけを変えるという形で比較します。これにより、結果の説明がしやすくなり、提案資料にも反映しやすくなります。


また、概算設計では「細かい精度」よりも「意思決定に必要な精度」を意識します。初期段階で必要なのは、詳細な施工図レベルの精度ではなく、案件を進める価値があるか、設置容量の方向性は妥当か、発電量の目安はどの程度かを判断するための情報です。PVSystの設定項目をすべて埋めることが目的ではなく、判断に必要な情報を短時間で取り出すことが目的です。


一方で、短時間でまとめるからこそ、入力ミスには注意が必要です。所在地、単位、方位角、傾斜角、容量、モジュール枚数、機器構成、影設定などは、入力ミスが結果に大きく影響します。特に方位角の扱いは、ソフト上の定義を誤解すると、想定と反対方向の設計になることがあります。計算結果が出たら、必ず月別発電量や損失内訳を見て、常識的な範囲にあるか確認します。


短時間でまとめる実務では、PVSystの結果をそのまま最終資料にするのではなく、要点を整理して伝える力も必要です。発電量、設備容量、主な前提条件、注意点を簡潔にまとめることで、専門外の関係者にも伝わりやすくなります。逆に、PVSystの画面や数値をそのまま大量に並べると、何を判断すればよいのか分かりにくくなります。概算設計では、結果を読む人が意思決定しやすい形に整えることも、設計担当者の重要な役割です。


概算から詳細設計へ進むときの注意点

PVSystで作成した概算設計は、あくまで初期検討のための結果です。案件が進むにつれて、現地調査、測量、詳細図面、機器仕様、系統連系条件、施工条件などが明らかになり、入力条件を見直す必要があります。概算結果を詳細設計の確定値として扱ってしまうと、後から発電量や容量、コスト、施工性にズレが出る可能性があります。


詳細設計へ進むときに最初に見直したいのは、設置可能範囲です。概算では広めに設置できると考えていた範囲でも、実際には点検通路、設備離隔、構造上の制約、法的な制限、排水、雪、風、避雷、メンテナンス動線などによって設置可能枚数が減ることがあります。特に屋根上では、図面では分からない障害物や劣化状態が現地で見つかることもあります。地上設置では、勾配や地盤条件、造成の可否によって配置が変わることがあります。


次に、影条件を再評価します。概算段階では見落としていた障害物が、詳細調査で発電量に大きく影響することがあります。影は単純に「ある、なし」ではなく、時間帯や季節によって影響が変わります。冬季の低い太陽高度で影が伸びる場合や、朝夕に隣接建物の影がかかる場合など、年間発電量に対する影響を確認する必要があります。PVSystの近接影設定を詳細化することで、概算時より現実に近いシミュレーションが可能になります。


機器条件も詳細設計で見直します。概算時に使ったモジュールや変換機器の条件は、実際に採用する機器と異なる場合があります。出力、電気特性、温度係数、入力電圧範囲、変換効率、回路構成が変われば、PVSystの結果も変わります。概算段階では問題なく見えた容量比やストリング構成も、実機仕様に当てはめると調整が必要になることがあります。


損失条件についても、詳細設計ではより具体的に確認します。配線ルートが決まれば配線損失の見直しができます。設置方法が決まれば温度条件の見直しができます。清掃や保守の方針が決まれば汚れ損失の考え方も整理できます。積雪地域や塩害地域、粉じんの多い地域などでは、地域特有の損失や保守条件も考慮する必要があります。概算時に標準値として扱った項目は、詳細設計時に再確認する前提で管理しておくことが大切です。


自家消費案件では、需要データの精度も重要になります。概算段階では年間使用量や代表的な負荷パターンで検討することがありますが、詳細設計では時間帯別の需要、休日と平日の違い、季節変動、設備稼働状況などを確認する必要があります。発電量が多くても、需要と時間帯が合わなければ自家消費率は想定より低くなることがあります。PVSystを使う場合も、発電側だけでなく、消費側の条件を見直すことが重要です。


概算から詳細設計へ進むときは、前提条件の履歴を残しておくと便利です。最初の概算では何を仮定したのか、現地調査後に何が変わったのか、詳細設計でどの条件を修正したのかを整理しておくことで、発電量の変化を説明しやすくなります。提案初期の数字と最終設計の数字が違う場合でも、その理由を明確に説明できれば、関係者の理解を得やすくなります。


まとめ 現地条件を押さえるほど概算設計の精度は上がる

PVSystで概算設計を行う方法は、難しい操作を最初からすべて覚えることではなく、短時間で判断に必要な条件を整理し、発電量の目安を現実的に出すことです。まず敷地条件と検討目的を明確にし、次に気象データ、方位、傾斜を設定し、モジュール容量とアレイ構成を概算で組みます。そのうえで、代表的な損失条件と影の影響を必要最小限で入力し、結果画面で年間発電量、月別発電量、単位容量あたりの発電量、損失内訳を確認します。


概算設計では、すべてを厳密に入力するよりも、どの条件が確定で、どの条件が仮定なのかを分けて扱うことが大切です。PVSystは詳細なシミュレーションができる一方で、入力条件が現実とずれていれば結果もずれます。だからこそ、短時間でまとめる場合でも、設置場所、方位、傾斜、影、損失、容量といった基本条件の整合性を確認する必要があります。


また、概算設計は一度で終わるものではありません。初期提案では大まかな容量と発電量を把握し、現地情報が増えるにつれて条件を更新していく流れが実務的です。現地調査や測量、詳細図面、機器仕様がそろえば、PVSyst上の入力条件をより現実に近づけることができます。概算段階で前提条件を丁寧に整理しておけば、詳細設計に進んだときの修正点も明確になります。


特に、太陽光発電の設計では、机上での入力条件だけでなく、現地の形状や障害物、設置可能範囲をどれだけ正確に把握できるかが重要です。屋根の端部、設備機器、段差、周辺建物、地盤の起伏、法面、既設構造物などは、発電量や施工性に影響します。概算段階でこれらを完全に反映することは難しくても、現地条件を早めに押さえるほど、PVSystの計算結果は実務に近づきます。


そのため、PVSystによる概算設計をより確かなものにするには、現地の位置情報や形状情報を効率よく取得する仕組みも重要になります。iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスのLRTKを活用すれば、現場で位置情報を取得しながら、設置範囲や確認ポイントを記録しやすくなります。太陽光発電の概算設計では、PVSystで発電量を検討する前段階として、現地のどこに、どの範囲で、どのような条件で設置できるかを把握することが欠かせません。PVSystによるシミュレーションと、LRTKによる現地把握を組み合わせることで、短時間の概算設計でも、より説明しやすく、次の詳細設計につながる検討資料を作りやすくなります。


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