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PVSystのオフグリッド設定方法|最初に見るべき7項目

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

オフグリッド設定で最初に理解すべき考え方

項目1:負荷プロファイルを正しく作る

項目2:太陽電池容量を負荷と季節変動から決める

項目3:蓄電池容量と自律日数を設定する

項目4:充放電条件と蓄電池の運用範囲を見る

項目5:制御方式と余剰電力の扱いを確認する

項目6:不足電力量と損失図を読み取る

項目7:現地条件と施工前提をシミュレーションに反映する

オフグリッド設計で失敗しやすいポイント

PVSystの結果を実務で共有する方法

まとめ


オフグリッド設定で最初に理解すべき考え方

PVSystでオフグリッドシステムを扱うとき、最初に意識したいのは、評価の中心が年間発電量ではなく電力供給の成立性になるという点です。系統連系の太陽光発電では、発電した電力を系統へ送る、または施設内で消費することを前提に、年間発電量、PR、損失、月別発電量などを確認することが多くなります。一方、オフグリッドでは電力を受け入れる系統がないため、発電量が多い時間帯に余った電力は使い切れず、逆に夜間や悪天候時には蓄電池に蓄えた電力だけで負荷を支える必要があります。


そのため、オフグリッド設計では、太陽電池容量を大きくすれば必ず良いという単純な判断にはなりません。太陽電池を大きくすると晴天時の充電余力は増えますが、蓄電池が満充電になった後の発電分は使えない電力として切り捨てられます。蓄電池を大きくすると夜間や曇天時の余裕は増えますが、太陽電池容量が不足していると、そもそも蓄電池を十分に充電できません。さらに、負荷の使い方が昼型なのか夜型なのか、毎日一定なのか季節で変わるのかによって、同じ設備容量でも結果は大きく変わります。


PVSystのオフグリッド設定では、主に負荷、太陽電池、蓄電池、制御、損失、気象条件を組み合わせて、電力不足が発生しないかを確認していきます。ここで重要なのは、最初から完璧な数値を入れようとするのではなく、まずは現実的な仮定で初期ケースを作り、結果を見ながら設計を調整することです。電力不足が多い場合は、太陽電池容量を増やすのか、蓄電池容量を増やすのか、負荷を見直すのかを判断します。余剰電力が大きすぎる場合は、設備容量が過大になっていないか、負荷の時間帯を変更できないかを検討します。


特に実務では、発電側の設計よりも負荷側の整理が不十分なままシミュレーションを始めてしまうケースが少なくありません。オフグリッドでは、負荷条件が少し変わるだけで必要な蓄電池容量や不足電力量が大きく変わります。まずは、どの機器が、何時に、何時間、何Wで動くのかを整理し、その上で季節変動や同時使用率を考慮することが重要です。


項目1:負荷プロファイルを正しく作る

オフグリッド設定で最も重要なのが負荷プロファイルです。負荷プロファイルとは、電力を消費する側の時間ごとの使い方を表すデータです。PVSystでは、1日あたりの消費電力量だけでなく、時間帯別の消費パターンや季節ごとの変化を考慮して設定することができます。オフグリッドでは、この負荷プロファイルが設計の土台になります。


たとえば、同じ1日5kWhの負荷でも、昼間に多く使う場合と夜間に多く使う場合では、必要な蓄電池容量が変わります。昼間に負荷が集中する場合、太陽電池が発電している時間に直接消費できるため、蓄電池への依存度は比較的小さくなります。反対に、夜間に負荷が集中する場合は、昼間に蓄電池へ充電し、夜間に放電する流れになるため、蓄電池容量と充放電効率が結果に強く影響します。


負荷を設定するときは、まず機器ごとの定格消費電力を確認し、実際の運転時間を整理します。照明、通信機器、ポンプ、制御盤、センサー、監視装置、空調、冷却設備など、対象設備に含まれるすべての負荷を洗い出します。次に、それぞれが常時運転なのか、一定時間だけ動くのか、日中だけなのか、夜間も動くのかを確認します。起動時に一時的に大きな電力を必要とする機器がある場合は、平均消費電力だけでなくピーク負荷も意識する必要があります。


PVSystの入力では、単純な日負荷として設定する方法もありますが、実務ではできるだけ時間帯別のプロファイルを作ることをおすすめします。なぜなら、オフグリッドの成立性は、年間の総消費電力量だけでは判断できないからです。日中に発電した電力をその場で使うのか、蓄電池に貯めて後で使うのかによって、必要設備が変わります。時間帯別に負荷を入れることで、蓄電池の充放電挙動や不足電力量をより現実に近い形で確認できます。


季節変動も重要です。夏に換気や冷却の負荷が増える設備、冬に保温や融雪関連の負荷が増える設備、雨季や積雪期に稼働条件が変わる設備では、年間平均ではなく月別の負荷を想定する必要があります。特に、日射量が少ない季節と負荷が大きい季節が重なる場合、設計上の厳しい条件になります。月別発電量の平均だけでなく、負荷の増減と重ねて見ることで、電力不足が発生しやすい時期を把握できます。


負荷プロファイルを作る段階では、過度に楽観的な設定を避けることが大切です。実測値がない場合は、定格値、運転時間、使用率をもとに複数ケースを作り、標準ケースと厳しめケースを比較すると判断しやすくなります。最初から1つの値に決め打ちするのではなく、負荷が10%増えた場合、夜間運転が長くなった場合、冬季の消費が増えた場合などを試すことで、設計の余裕度を確認できます。


項目2:太陽電池容量を負荷と季節変動から決める

負荷条件を整理したら、次に太陽電池容量を設定します。オフグリッドでは、太陽電池容量は年間発電量を増やすためだけでなく、蓄電池を十分に充電し、日射が弱い時期でも負荷を支えるための要素になります。ここで見るべきなのは、年間合計の発電量だけではありません。月別発電量、日射の季節変動、蓄電池の充電不足、余剰電力の発生量を合わせて確認します。


太陽電池容量を決めるときは、まず1日あたりの負荷電力量を基準にします。たとえば、日負荷が大きいほど必要な発電量も増えます。ただし、実際には発電した電力のすべてを負荷に使えるわけではありません。配線損失、変換損失、蓄電池の充放電損失、温度損失、汚れ損失、影の影響などがあるため、発電側には一定の余裕が必要です。また、日射量は季節で変わるため、年間平均だけを基準にすると、発電量が少ない月に不足が出ることがあります。


PVSystでは、太陽電池の容量、方位角、傾斜角、アレイ構成、温度条件、影の条件などを設定し、シミュレーション結果として月別や年別の発電状況を確認できます。オフグリッドの場合、太陽電池容量を増やすと不足電力量は減る傾向がありますが、同時に使い切れない余剰電力も増えることがあります。したがって、単に不足をゼロに近づけるだけでなく、過大な設備になっていないかも見る必要があります。


実務では、まず標準的な太陽電池容量でケースを作り、結果を確認します。不足電力量が多い場合は、太陽電池容量を増やす、蓄電池容量を増やす、負荷を抑える、負荷の時間帯を変更する、といった対策を比較します。太陽電池容量を増やしても不足があまり減らない場合は、夜間負荷が大きい、蓄電池容量が足りない、悪天候が続く期間に弱い、あるいは制御条件が適切でない可能性があります。


傾斜角の設定もオフグリッドでは重要です。年間発電量を最大化する角度と、冬季の発電量を確保する角度は必ずしも同じではありません。通年で負荷が一定の独立電源では、年間合計よりも発電量が少ない季節を重視した方が安定運用に近づくことがあります。冬季に電力不足が出やすい地域では、冬の日射を取り込みやすい角度を検討する価値があります。ただし、傾斜を大きくすると夏季の発電量や設置条件、風荷重、施工性に影響するため、シミュレーション結果と現地条件を合わせて判断します。


方位角についても同様です。真南に近い向きが基本になることが多いですが、負荷の時間帯によっては朝や夕方の発電を重視した配置を比較する場合があります。たとえば、朝に負荷が大きい設備では、朝方の発電が立ち上がる条件を確認することがあります。ただし、オフグリッドでは蓄電池が間に入るため、方位角の効果は負荷プロファイルと蓄電池容量によって変わります。PVSyst上では複数ケースを作り、同じ負荷条件で比較すると違いが分かりやすくなります。


項目3:蓄電池容量と自律日数を設定する

オフグリッド設計で太陽電池と同じくらい重要なのが蓄電池容量です。蓄電池は、昼間に発電した電力を夜間や悪天候時に使うための設備です。蓄電池容量が不足すると、発電量が十分にある日でも夜間に電力不足が起きることがあります。逆に蓄電池容量を大きくしすぎると、充電しきれない容量が増え、設備の使い方として非効率になることがあります。


蓄電池容量を考えるときによく使われるのが自律日数という考え方です。自律日数とは、太陽光による十分な発電が得られない場合に、蓄電池だけで何日分の負荷を支えるかという目安です。通信設備や監視設備のように停止できない負荷では、ある程度の自律日数を持たせる必要があります。一方、負荷を一時的に停止できる用途や、補助電源を併用できる用途では、自律日数の考え方を柔軟に設定できます。


PVSystで蓄電池を設定するときは、蓄電池の公称容量だけでなく、使用可能容量を意識することが重要です。蓄電池には放電深度、最低充電率、最大充電率、充放電効率、温度影響、寿命に関する条件があります。公称容量が大きく見えても、実際に使える範囲が制限されていれば、負荷に供給できる電力量は小さくなります。したがって、必要容量を検討するときは、単純に日負荷に日数を掛けるだけでなく、使用可能範囲と損失を加味する必要があります。


蓄電池容量を増やした場合、シミュレーション上では不足電力量が減ることがあります。ただし、太陽電池容量が小さいと、蓄電池を大きくしても十分に充電できず、期待した効果が出ないことがあります。この場合、結果画面では蓄電池の充電状態が低いまま推移したり、特定の季節に充電不足が続いたりします。つまり、蓄電池容量は太陽電池容量とセットで評価する必要があります。


また、蓄電池容量を決めるときは、日単位の平均値だけでなく、連続した悪天候や季節変動も考慮します。年間の平均日射量では成立していても、数日間にわたって発電量が低い期間があると、蓄電池が深く放電し、不足電力が発生する可能性があります。PVSystの時系列結果や月別結果を確認し、どの時期に蓄電池が厳しくなるかを把握することが大切です。


実務担当者が注意したいのは、蓄電池を大きくすれば安心という判断に偏らないことです。蓄電池はあくまで発電と負荷の時間差を吸収する設備であり、長期的な発電不足を完全に解決するものではありません。太陽電池容量、負荷削減、運用制御、補助電源の有無と合わせて、全体のバランスで設計します。


項目4:充放電条件と蓄電池の運用範囲を見る

蓄電池容量を入力したら、次に充放電条件と運用範囲を確認します。PVSystのオフグリッド設定では、蓄電池がどの範囲で充電され、どこまで放電できるかが結果に影響します。ここを適当に設定すると、シミュレーション上は問題ないように見えても、実際には蓄電池に無理な使い方をさせている可能性があります。


まず見るべきなのは、最低充電率と最大充電率の考え方です。蓄電池は、完全に空になるまで使えるわけではありません。過放電を避けるために、一定の残量を下回らないように制御するのが一般的です。また、満充電付近での制御や充電効率も考慮する必要があります。使用可能な範囲が狭いほど、同じ公称容量でも実際に使える電力量は小さくなります。


充放電効率も重要です。太陽電池で発電した電力を蓄電池に充電し、あとで放電して負荷に供給する場合、その過程で損失が発生します。昼間に直接負荷へ供給する電力と、蓄電池を経由して夜間に使う電力では、最終的に使える電力量が異なります。そのため、夜間負荷が大きいシステムほど、蓄電池の効率が結果に効いてきます。


PVSystの結果を見るときは、蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを確認します。毎日のように最低充電率近くまで下がっている場合、設計に余裕が少ない可能性があります。晴天時にすぐ満充電になり、長時間にわたって余剰電力が発生している場合は、太陽電池容量に対して蓄電池容量や負荷が小さい可能性があります。逆に、長期間にわたって満充電に近づかない場合は、太陽電池容量が不足しているか、負荷が大きすぎる可能性があります。


温度条件も見落としやすい要素です。蓄電池は温度によって性能や使用可能容量が変わる場合があります。寒冷地、屋外盤内、高温になりやすい場所などでは、カタログ上の条件と現地の運用条件が異なることがあります。PVSyst上で詳細に反映できる範囲には限りがありますが、少なくとも設計上の安全側の考え方として、現地環境を考慮した余裕を持たせることが重要です。


また、充放電条件は寿命とも関係します。シミュレーションは電力収支を確認するためのものですが、実際の設備では、深い放電を頻繁に繰り返す運用は劣化を早める可能性があります。PVSystの結果で不足が少なくても、蓄電池が常に厳しい範囲で使われているなら、運用としては余裕があるとは言えません。実務では、単に電力不足が何kWhかを見るだけでなく、蓄電池の状態が健全な範囲に収まっているかを確認します。


項目5:制御方式と余剰電力の扱いを確認する

オフグリッドシステムでは、発電した電力をどのように負荷と蓄電池へ配分するか、蓄電池が満充電になったときに余剰電力をどう扱うかが重要です。系統連系であれば余った電力を外部へ送る考え方がありますが、オフグリッドでは基本的にその逃げ先がありません。したがって、余剰電力は発電抑制や未利用電力として扱われることになります。


PVSystで結果を確認するときは、負荷に使われた電力、蓄電池に充電された電力、蓄電池から放電された電力、使われなかった電力の関係を見ます。余剰電力が多い場合、太陽電池容量が過大である可能性があります。ただし、余剰電力があること自体が必ず悪いわけではありません。発電量が少ない季節や悪天候時に備えるため、晴天時にはある程度の余剰が出る設計になることもあります。


重要なのは、余剰電力がどの時期に、どの程度発生しているかです。夏季に大きな余剰が出ていても、冬季に不足が出る場合、年間合計だけを見ると発電量が足りているように見えることがあります。この場合、設備容量を単純に減らすと冬季の不足が悪化します。逆に、年間を通じて常に大きな余剰が出ており、不足電力量もほとんどない場合は、太陽電池容量や蓄電池容量の見直し余地があります。


制御方式を考えるときは、負荷の優先順位も整理しておくと実務に役立ちます。すべての負荷を常に動かす必要があるのか、非常時に停止できる負荷があるのか、日中に動かした方がよい負荷があるのかを確認します。オフグリッドでは、設備容量だけで解決しようとすると過大設計になりやすいため、負荷の運用時間を工夫することも有効です。たとえば、日中に稼働できるポンプや充電機器を昼間へ寄せることで、蓄電池への負担を減らせる場合があります。


PVSyst上では、こうした運用変更を負荷プロファイルの別ケースとして作成し、標準運用と比較すると分かりやすくなります。同じ太陽電池容量、同じ蓄電池容量でも、負荷の時間帯を変えるだけで不足電力量や蓄電池の放電深度が変わることがあります。これは、オフグリッド設計で非常に重要な視点です。


また、余剰電力を別用途に使う可能性がある場合でも、まずは主負荷が安定して供給できるかを優先して確認します。余剰を見込んだ追加負荷を設定する場合、その追加負荷が本来の重要負荷に悪影響を与えないように、優先制御の考え方を整理しておく必要があります。シミュレーションでは、主負荷のみのケース、追加負荷を含むケース、厳しい気象条件のケースを分けて比較すると判断しやすくなります。


項目6:不足電力量と損失図を読み取る

PVSystのオフグリッド結果で最も重視すべき指標の一つが不足電力量です。不足電力量とは、負荷が必要としたにもかかわらず、太陽電池と蓄電池から供給できなかった電力量です。オフグリッドでは、この値が運用リスクを直接示します。年間発電量が十分に見えても、不足電力量が発生している場合、その時点では負荷を満たせていないことになります。


不足電力量を見るときは、年間合計だけでなく、月別、日別、時間帯別の傾向を確認します。特定の月に集中しているのか、夜間に発生しているのか、連続した悪天候後に発生しているのかによって対策が変わります。冬季に不足が集中している場合は、冬季日射に合わせた太陽電池容量や傾斜角、蓄電池容量の見直しが必要です。夜間に不足が多い場合は、蓄電池容量や夜間負荷の見直しが有効です。日中にも不足が出ている場合は、太陽電池容量、発電損失、負荷ピークの設定を確認します。


損失図も重要です。損失図では、日射から太陽電池出力、変換、蓄電池、負荷供給までの流れの中で、どこに損失があるかを把握できます。オフグリッドでは、未利用電力、蓄電池損失、変換損失、不足電力量が特に重要になります。未利用電力が大きい場合は発電が使い切れていないことを示し、不足電力量が大きい場合は供給が足りていないことを示します。この両方が同じシステムで発生することもあります。たとえば、夏は余剰が多いのに冬は不足するようなケースです。


PVSystの結果を読むときは、PRや年間発電量だけに目を奪われないようにします。オフグリッドでは、発電した電力のうち負荷に使えた割合、蓄電池を通った電力量、使えずに捨てられた電力量、負荷に対して不足した電力量が重要です。特に、設計レビューでは、不足がゼロかどうかだけでなく、どの条件で不足が出るのかを説明できるようにしておく必要があります。


不足電力量が小さい場合でも、その発生タイミングが重要負荷の停止につながる時間帯であれば問題になります。たとえば、監視装置や通信設備のように常時稼働が必要な負荷では、短時間の不足でも運用上のリスクになります。一方、停止しても問題が小さい補助負荷であれば、制御によって優先順位を変えることで対応できる場合があります。シミュレーション結果を読むときは、電力量の大小だけでなく、運用上の重要度と合わせて判断します。


また、結果が良すぎる場合も注意が必要です。不足電力量がゼロで余剰も少ない理想的な結果に見える場合、負荷設定が小さすぎる、損失設定が楽観的、影や汚れを考慮していない、気象データが現地の厳しい条件を反映していない、といった可能性があります。実務では、標準ケースに加えて安全側ケースを作成し、負荷増加や日射低下を想定した感度確認を行うことが大切です。


項目7:現地条件と施工前提をシミュレーションに反映する

PVSystのオフグリッド設定は、画面上の数値だけで完結するものではありません。実際の現場では、設置場所の地形、影、方位、傾斜、架台高さ、配線距離、保守条件、気象条件、積雪、塩害、粉じん、周辺構造物などが発電量や損失に影響します。シミュレーションの精度を上げるには、現地条件をできるだけ設計前提に反映する必要があります。


まず確認したいのは、設置場所の日射条件です。周辺に山、建物、樹木、鉄塔、法面、設備機器などがある場合、朝夕や冬季に影が発生することがあります。オフグリッドでは、影による発電低下が蓄電池の充電不足につながりやすいため、系統連系以上に影の影響を慎重に見る必要があります。短時間の影でも、日射が少ない季節や負荷が大きい時間帯に重なると、供給安定性に影響します。


次に、方位角と傾斜角の実施工条件を確認します。設計上は理想的な向きや角度を入力していても、現場の地形や構造物の制約で実際には異なる配置になる場合があります。傾斜地、屋根上、狭い敷地、仮設架台などでは、図面上の条件と現地の条件がずれることがあります。PVSystでは、実際に設置できる条件に合わせて入力し、理想条件との差を比較しておくと、発電量の見込みを説明しやすくなります。


配線距離と機器配置も見落とせません。オフグリッド設備では、太陽電池、制御盤、蓄電池、負荷の位置関係によって配線損失や施工性が変わります。負荷が離れた場所にある場合、配線損失が増えたり、電圧降下への配慮が必要になったりします。PVSyst上では損失条件として反映し、必要に応じて配線ルートや機器配置を見直します。


汚れや保守条件も重要です。砂ぼこり、鳥害、落葉、海沿いの塩分、農地周辺の粉じん、積雪などは、発電量を低下させる要因になります。保守頻度が低い遠隔地では、汚れ損失を楽観的に見積もると実際の発電量が不足する可能性があります。清掃や点検に行きにくい場所ほど、損失設定と設備余裕を慎重に検討します。


さらに、現地で取得する位置情報や地形情報の精度も設計品質に関係します。影の検討、パネル配置、架台位置、ケーブルルート、機器設置位置を現場で正確に把握できていないと、シミュレーション上の条件と実施工がずれます。特に、山間部や造成地、法面、既設構造物が多い場所では、図面だけで判断するのではなく、現地測位や写真記録、点群データなどを活用して、設置条件を具体化することが重要です。


オフグリッド設計で失敗しやすいポイント

PVSystでオフグリッド設定を行う際に失敗しやすいのは、年間発電量だけで成立性を判断してしまうことです。年間では負荷電力量を上回る発電量があっても、発電する時間と消費する時間が合わなければ不足は発生します。特に夜間負荷が大きい場合、蓄電池容量と充放電条件を見ないまま発電量だけで判断すると、実運用で電力不足が起きる可能性があります。


次に多いのが、負荷設定を簡略化しすぎることです。1日あたりの消費電力量だけを入力し、時間帯や季節変動を反映しないと、蓄電池の挙動が現実から離れます。負荷のピーク、夜間使用、季節増加、起動時の電力、常時稼働負荷を整理しないまま設計すると、シミュレーション結果の信頼性が低くなります。


蓄電池容量の見方にも注意が必要です。公称容量だけを見て十分と判断してしまうと、実際に使える容量を過大評価することがあります。最低充電率、放電深度、充放電効率、温度影響を含めて考える必要があります。また、蓄電池を大きくしても、太陽電池容量が不足していれば充電できません。太陽電池と蓄電池は別々に最適化するのではなく、セットで評価することが重要です。


余剰電力の解釈にも落とし穴があります。余剰が多いからといって単純に太陽電池を減らすと、日射が少ない季節に不足が増える場合があります。逆に、不足を避けるために太陽電池を大きくしすぎると、年間の多くの時間で発電を使い切れない可能性があります。余剰と不足は、年間合計ではなく、季節別、月別、時間帯別に見る必要があります。


影や汚れを軽視することも失敗の原因になります。オフグリッドでは、少しの発電低下が蓄電池の充電不足につながることがあります。特に、冬季の低い太陽高度、周辺樹木、山影、積雪、粉じん、長期間清掃できない環境では、損失を安全側に見積もることが重要です。机上では成立していても、現地条件を反映すると不足が出ることは珍しくありません。


最後に、結果の説明不足にも注意が必要です。設計者がPVSystでシミュレーションを行っても、社内や顧客に対して、どの条件で不足がなく、どの条件ではリスクがあるのかを説明できなければ、設計判断に使いにくくなります。標準ケースだけでなく、負荷増加ケース、日射低下ケース、蓄電池容量変更ケースなどを比較し、設計の根拠を分かりやすく示すことが実務では重要です。


PVSystの結果を実務で共有する方法

PVSystでオフグリッドのシミュレーションを行った後は、結果をそのまま提出するのではなく、実務担当者や意思決定者が理解しやすい形に整理することが大切です。特にオフグリッドでは、年間発電量の数字だけでは設計の良し悪しが伝わりません。負荷に対してどの程度供給できるのか、不足はいつ発生するのか、蓄電池はどのように動くのか、余剰電力はどれくらいあるのかを説明する必要があります。


共有時には、まず設計前提を明確にします。対象負荷、日負荷、時間帯別負荷、太陽電池容量、蓄電池容量、方位角、傾斜角、損失条件、気象条件、影の扱いをまとめます。ここが曖昧なままだと、結果の数字だけが一人歩きしてしまいます。特に、負荷条件は後から変更されやすいため、どの負荷を含めたシミュレーションなのかを明記しておくことが重要です。


次に、結果として不足電力量、未利用電力、蓄電池の充電状態、月別の供給状況を確認します。不足がゼロに近い場合でも、どの程度の余裕があるのかを説明します。不足が残る場合は、どの月、どの条件で不足するのかを示し、対策案として太陽電池容量の増加、蓄電池容量の増加、負荷削減、運用時間の変更などを比較します。


ケース比較も有効です。標準ケース、太陽電池増設ケース、蓄電池増設ケース、負荷削減ケース、厳しめの気象条件ケースを並べると、関係者が判断しやすくなります。単に最も大きい設備を選ぶのではなく、必要な信頼性、運用リスク、施工条件、保守条件を踏まえてバランスを見ることができます。


また、現地調査の情報を結果に添えると説得力が増します。設置予定場所の方位、周辺影、地形、機器配置、配線ルート、保守動線を整理し、PVSystの入力条件と対応させることで、シミュレーションが現場実態に基づいていることを示せます。オフグリッド設備は現場条件の影響を受けやすいため、机上の発電量だけでなく、現地情報と組み合わせて説明することが重要です。


まとめ

PVSystのオフグリッド設定では、系統連系のように年間発電量やPRだけを見るのではなく、負荷に対して電力を安定して供給できるかを中心に確認する必要があります。最初に見るべき項目は、負荷プロファイル、太陽電池容量、蓄電池容量、充放電条件、制御方式、余剰電力、不足電力量、そして現地条件です。これらを一つずつ確認することで、単なる発電量の計算ではなく、実際に使える独立電源として成立するかを判断できます。


特に重要なのは、負荷の時間帯と季節変動を正しく設定することです。同じ日負荷でも、昼に使うのか夜に使うのかで必要な蓄電池容量は変わります。また、冬季や雨季など発電量が少ない時期に負荷が増える場合は、年間平均だけでは判断できません。PVSystでは複数ケースを作成し、標準条件と厳しい条件を比較しながら、設備容量と運用条件のバランスを探ることが大切です。


太陽電池容量と蓄電池容量は、どちらか一方だけを大きくしても最適化できません。太陽電池が小さければ蓄電池を充電できず、蓄電池が小さければ夜間や悪天候時に電力を支えられません。さらに、余剰電力が多い場合も、不足電力量が残る場合も、その発生時期と原因を読み取る必要があります。結果画面では、年間発電量だけでなく、蓄電池の充電状態、不足電力量、未利用電力、損失図を確認し、設計の弱点を把握します。


そして、シミュレーション精度を高めるためには、現地条件の把握が欠かせません。パネルをどこに置けるのか、周辺に影を作るものがあるのか、方位や傾斜は図面通りに確保できるのか、配線距離はどの程度か、保守しやすい場所かといった情報が、オフグリッド設計の信頼性に直結します。現場の位置や地形、設備配置を正確に把握できれば、PVSystの入力条件もより現実に近づきます。


現地調査の段階では、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスであるLRTKを活用することで、設置候補位置、周辺構造物、影の要因、機器配置、配線ルートなどを高精度な位置情報付きで記録しやすくなります。PVSystでオフグリッドシステムを検討する際も、机上のシミュレーションだけでなく、現場で取得した正確な位置情報や記録を組み合わせることで、設計条件のズレを減らし、施工前の判断をより具体的に進められます。


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