目次
• PVSystにおける汚れ損失とは何か
• 汚れ損失を設定する前に整理すべき前提条件
• PVSystで汚れ損失を設定する基本手順
• 実務で使う4つの考え方
• 汚れ損失の入力値を決めるときの注意点
• 月別設定で見るべき季節変動と現場条件
• シミュレーション結果で汚れ損失を確認する方法
• 汚れ損失を過小評価しないための現地確認
• まとめ
PVSystにおける汚れ損失とは何か
PVSystで太陽光発電設備の発電量をシミュレーションするとき、汚れ損失は非常に重要な入力項目の一つです。汚れ損失とは、太陽電池モジュールの表面に付着した砂ぼこり、花粉、黄砂、鳥のふん、落ち葉、排気由来の粉じん、塩分、泥はねなどによって 、モジュールに届く日射が一部遮られ、発電量が低下する影響を指します。
太陽光発電の発電量は、日射量、モジュール容量、温度、方位角、傾斜角、影、配線、変換効率など、さまざまな条件に左右されます。その中で汚れ損失は、現場環境や維持管理の方針によって大きく変わる項目です。設計段階では同じモジュール、同じ容量、同じ傾斜角であっても、山間部、農地周辺、工場地帯、海岸部、乾燥地域、積雪地域、市街地では、想定すべき汚れの付き方が異なります。
PVSystでは、汚れによる損失を年間一定値として入力することも、月別に変化させて入力することもできます。実務では、単に「汚れ損失を何%にするか」だけではなく、その数値が現場条件、清掃計画、降雨頻度、モジュールの傾斜、周辺環境、提出先の期待値に対して妥当かどうかを説明できることが重要です。
汚れ損失は小さな数字に見えますが、事業収支や発電量予測に与える影響は無視できません。例えば、年間発電量の想定に対して汚れ損失を1%低く見積も ると、その分だけ年間発電量を高めに見せることになります。発電所の規模が大きくなるほど、1%の差は年間発電電力量、売電収入、性能評価、保守計画に影響します。
一方で、汚れ損失を過大に入れすぎると、設計上の発電量が必要以上に低く見積もられ、案件評価や投資判断で不利になる場合があります。そのため、PVSystで汚れ損失を設定するときは、控えめに見せるためでも、楽観的に見せるためでもなく、現場の実態に近い前提を置くことが大切です。
汚れ損失を設定する前に整理すべき前提条件
PVSystで汚れ損失を入力する前に、まず整理しておきたいのは、対象となる太陽光発電設備の設置環境です。汚れ損失は、モジュール自体の性能というよりも、設置場所の外部環境と運用方法に強く依存します。そのため、入力画面を開く前に、現場条件を言語化しておくと、数値設定の根拠を作りやすくなります。
最初に確認したいのは、周辺に粉じんの発生源があるかどうかです。造成中の土地、未舗装道路、採石場、農地、工場、物流施設、交通量の多い道路、港湾部などが近い場合、空気中の粒子がモジュール表面に付着しやすくなります。特に乾燥した時期や風の強い地域では、雨が少ない期間に汚れが蓄積しやすくなります。
次に、モジュールの傾斜角を確認します。傾斜が大きいモジュールは、雨によって表面の汚れが流れ落ちやすい傾向があります。反対に、低傾斜のモジュールでは、雨が表面を流れにくく、下端部に泥や粉じんが溜まりやすくなります。屋根上や低勾配架台では、この差が発電量に影響することがあります。
降雨の頻度も重要です。雨は汚れを完全に落とすものではありませんが、一定の洗浄効果があります。雨が定期的に降る地域では、長期間にわたって汚れが蓄積するリスクは比較的抑えられます。一方で、乾燥が続く季節がある地域や、梅雨前、黄砂が飛来しやすい時期、花粉が多い時期などは、月別の汚れ損失を検討する価値があります。
清掃計画の有無も必ず整理します。定期清掃を行う前提の発電所と、基本的には雨任せで運用する発電所では、同じ地域でも汚れ損失の設定が変わります。清掃を行う場合でも、年に何回実施するのか、どの時期に行うのか、全面清掃なのか、局所清掃なのかによって、月別の損失設定に反映すべき内容が変わります。
さらに、発電所の目的や提出先も考慮します。社内検討用の初期シミュレーションなのか、投資判断用なのか、金融機関や発注者へ提出するレポートなのか、設備認定や設計比較のための資料なのかによって、数値の説明責任は変わります。実務では、PVSystの入力値そのものよりも、「なぜその値を採用したのか」を説明できることが大切です。
PVSystで汚れ損失を設定する基本手順
PVSystで汚れ損失を設定する流れは、太陽光発電システムの基本条件を作成したあと、詳細損失の設定項目から汚れに関する入力画面を開き、年間または月別の損失率を設定するという流れになります。画面構成はバージョンによって多少異なる場合がありますが、考え方は共通してい ます。
まず、対象プロジェクトを開き、システム構成、気象データ、方位角、傾斜角、アレイ構成などの基本条件を設定します。汚れ損失は、発電量に対する追加の損失条件として扱うため、基本条件が未整理の段階で入力しても、全体の妥当性を判断しにくくなります。先に設備容量、設置方位、傾斜、影の有無、電気的な構成をある程度固めてから設定する方が実務的です。
次に、損失設定の画面で汚れ損失の項目を探します。汚れ損失は、モジュール面に届く日射が汚れによって減少するという考え方で反映されます。入力する数値は通常、パーセントで表現されます。例えば、年間を通じて2%の汚れ損失を想定する場合は、年間一定の損失として2%を入力します。
より実務に近い設定を行う場合は、月別に損失率を入力します。月別入力では、乾燥しやすい月、花粉や黄砂の影響が大きい月、降雨が多い月、清掃後の月などを区別できます。例えば、雨の多い時期は低め、乾燥が続く時期は高め、清掃直後は低めにすることで、年間一定値よりも現場の実態に近いシミュレーションになります。
入力後は、必ずシミュレーションを実行し、損失図や結果レポートで汚れ損失がどの程度反映されているかを確認します。PVSystでは、損失の内訳を見ることで、汚れ損失が全体の発電量に対してどの程度の影響を持っているかを確認できます。ここで、他の損失項目と比べて不自然に大きすぎないか、逆に現場環境に対して小さすぎないかをチェックします。
最後に、設定値の根拠をメモとして残しておくことをおすすめします。PVSystの設定ファイルだけでは、後から見たときに、なぜその汚れ損失を採用したのかが分かりにくい場合があります。現場条件、想定した清掃頻度、周辺環境、月別設定の考え方を簡単に記録しておけば、社内レビューや顧客説明、設計変更時の比較に役立ちます。
実務で使う4つの考え方
PVSystで汚れ損失を設定するとき、実務では大きく4つの考え方を使い分けると整理しやすくなります。1つ目は、標準的な年間一定値で置く考え方です。これは、初期検討や概算シミュレーションでよく使われます。現場の詳細情報がまだ少ない段階では、過度に細かく月別設定を行っても根拠が弱くなりがちです。そのため、一般的な設置環境であれば、まずは年間一定の汚れ損失を仮定し、設計案の比較を行う方法が現実的です。
年間一定値のメリットは、条件比較がしやすいことです。傾斜角、方位角、過積載率、ストリング構成、影の影響などを比較したいとき、汚れ損失を共通条件として固定しておけば、設計条件による差を見やすくなります。特に初期段階では、汚れ損失の細かな違いよりも、レイアウトや容量設計による差の方が大きいことも多いため、標準値を使って全体感をつかむことが有効です。
2つ目は、月別に変動させる考え方です。これは、現場条件や維持管理計画がある程度見えている案件で有効です。汚れは年間を通じて一定に付着するわけではありません。乾燥が続く時期、風が強い時期、花粉が多い時期、農作業や造成工事の影響がある時期、降雨が多い時期では、モジュール表面の状態が変わります。月別設定を使えば、このような季節変動を 反映できます。
月別設定では、単に各月に違う数字を入れるだけでなく、年間を通じたストーリーを作ることが大切です。例えば、春先に花粉や黄砂の影響を高めに見る、梅雨時期には降雨による洗浄効果を見込んで低めにする、夏から秋にかけて台風や降雨で汚れが流れやすいと考える、冬に乾燥が続く地域では再び高めにする、といった考え方です。清掃を行う場合は、清掃予定月の直後に損失を低めにし、その後少しずつ増えるような設定も考えられます。
3つ目は、保守方針から逆算する考え方です。太陽光発電設備では、清掃をどの程度行うかが汚れ損失に直結します。定期的に清掃する前提であれば、汚れが蓄積し続けるリスクは抑えられます。逆に、清掃を行わず、雨による自然洗浄を前提とする場合は、地域や季節によって汚れの蓄積を慎重に見込む必要があります。
保守方針から考える場合、清掃コストと発電量回復効果のバランスも重要です。汚れ損失を大きく見込む現場では、清掃によって回復できる発電量が大きく なる可能性があります。ただし、清掃には人件費、移動、作業時間、安全対策、水の確保などが関係します。PVSyst上では清掃コストそのものを直接評価するわけではありませんが、清掃ありと清掃なしのシミュレーションを比較することで、保守方針の検討材料を作ることができます。
4つ目は、リスクを見込んだ保守的な考え方です。提出用の発電量予測や長期収支では、過度に楽観的な汚れ損失を入れると、実績発電量が予測を下回る原因になります。特に、周辺に汚れの発生源がある現場、低傾斜の屋根設置、乾燥地域、鳥害が懸念される場所、農地や未舗装地に近い発電所では、標準的な値よりも慎重に見る必要があります。
ただし、保守的に見ることと、根拠なく大きな値を入れることは違います。汚れ損失を大きくする場合は、周辺環境、気象、傾斜、清掃頻度、過去の類似案件など、説明できる理由が必要です。実務では、楽観ケース、標準ケース、保守ケースのように複数条件で比較し、最終的な採用値を決める方法も有効です。このとき、PVSyst上で複数のバリアントを作成しておくと、汚れ損失の違いが年間発電量にどの程度影響するかを確認しやすくなります。
汚れ損失の入力値を決めるときの注意点
汚れ損失の入力値を決めるときに最も避けたいのは、根拠のない固定値をすべての案件に使い回すことです。もちろん、社内標準や過去案件の経験値を持つことは有効です。しかし、同じ数値を機械的に使うと、現場ごとの違いを見落とすことがあります。PVSystの使い方としては、数値入力そのものよりも、現場条件に合わせて入力値を調整する判断が重要です。
例えば、傾斜角が十分にあり、周辺に大きな粉じん源がなく、定期的な降雨が見込める場所では、汚れ損失は比較的小さめに設定できる場合があります。一方、低傾斜で、近くに未舗装道路があり、乾燥した季節に砂ぼこりが舞いやすい場所では、同じ地域でも汚れ損失を高めに見るべきです。特に地上設置では、造成後の裸地、周辺の農作業、車両走行による粉じんなどが影響しやすくなります。
鳥のふんや落ち葉など、局所的な汚れも注意が必要です。PVSystの汚れ損失は、基本的にはモジュール面全体に対する平均的な損失として扱います。しかし、実際の現場では、特定のモジュールだけに鳥のふんが付着したり、樹木の近くで落ち葉や樹液が影響したりすることがあります。このような局所的な汚れは、単純な一律損失では表現しにくい面があります。影やミスマッチの影響と合わせて、別のリスクとして見る必要があります。
また、汚れ損失と影損失を混同しないことも大切です。汚れ損失は、モジュール表面に付着した汚れによって日射の透過が妨げられる損失です。一方、影損失は、建物、樹木、架台、電柱、周辺構造物などによって直達日射が遮られる損失です。鳥のふんや落ち葉が局所的に強い遮蔽を起こす場合、現象としては汚れに分類されますが、電気的には部分影に近い影響を持つこともあります。PVSystでは各損失項目の意味を理解し、二重計上や過小評価を避けることが重要です。
入力値を決める際には、年間の平均損失として考えるのか、月ごとの最大リスクとして考えるのかも整理する必要があります。年間一定値で3%を入れる場合と、ある月に6%、別の月に1%を入れる場合では、年間合計の影響が異なるだけでなく、発電量の季節分布も変わります。夏場や春先の発電量が重要な案件では、月別の設定が収支評価に影響することがあります。
さらに、シミュレーションの目的によっても適切な粒度は変わります。初期の概算検討では、細かな月別設定よりも、分かりやすい年間一定値で設計案を比較する方が効率的です。一方、最終設計や提出用レポートでは、現場条件を反映した月別設定や保守方針との整合性が求められることがあります。PVSystを使う実務担当者は、段階に応じて入力の細かさを変える意識を持つとよいです。
月別設定で見るべき季節変動と現場条件
汚れ損失を月別に設定する場合、季節ごとの汚れやすさを考えることが重要です。日本国内の多くの地域では、春先に花粉や黄砂の影響を受けやすく、乾燥した時期には粉じんが付着しやすくなります。梅雨や台風の時期には降雨による洗浄効果が見込める一方で、泥はねや周辺環境による再付着が起こる場合もあります。冬場は地域によって、乾燥による粉じん、積雪による洗浄、融雪後の汚れなど、異なる影響が出ます。
月別設定を行うときは、単に気候だけでなく、現場周辺の活動も考慮します。農地の近くでは、耕作、収穫、土の移動、散水、農道の車両通行などが季節によって変化します。工事中の造成地や開発地の近くでは、特定の期間に粉じんが増える可能性があります。港湾部や海岸部では、風向きや季節によって塩分の付着が気になる場合があります。工場や道路の近くでは、粉じんや排気由来の汚れが継続的に発生することがあります。
清掃時期も月別設定に大きく関係します。例えば、春先に汚れが溜まりやすい現場で、発電量が高くなる時期の前に清掃を行う計画がある場合、清掃後の月は汚れ損失を低めに設定できます。逆に、清掃を行わないまま乾燥期が続く場合は、月を追うごとに少しずつ損失が増えるような設定が考えられます。
ただし、月別設定を細かくしすぎると、かえって説明が難しくなることがあります。実測データが十分にない場合、月ごとの数字に過度な意味を持たせるのは避けるべきです。実務では、汚れやすい期間、雨で回復しやすい期間、清掃後の期間というように、大きな傾向で設定する方が説明しやすくなります。
また、月別設定を使う場合は、シミュレーション結果の月別発電量も確認する必要があります。年間発電量だけを見ると、月別の汚れ損失の影響が見えにくいことがあります。特に発電量が多い季節に高い汚れ損失を設定すると、年間発電量への影響は大きくなります。反対に、発電量が少ない季節の汚れ損失が高くても、年間合計への影響は相対的に小さくなる場合があります。
このように、月別設定は実務に近い表現ができる反面、入力値の根拠を持つことが求められます。PVSystの使い方としては、月別設定を使えば精度が必ず上がるというよりも、現場条件を反映できる材料がある場合に有効な方法だと考えるとよいです。
シミュレーション結果で汚れ損失を確認する方法
PVSystで汚れ損失を入力したら、シミュレーション結果でその影響を確認します。確認 すべきポイントは、年間発電量、損失図、月別発電量、他の損失項目とのバランスです。入力した値が結果に反映されているかを確認するだけでなく、全体の中で不自然な見え方になっていないかをチェックします。
損失図では、日射から最終的な出力に至るまでの損失が段階的に表示されます。汚れ損失は、日射がモジュール面で有効に利用される前段階の損失として発電量に影響します。この損失が大きい場合、後段の温度損失、配線損失、変換損失などよりも前に、そもそもモジュールに届く有効日射が減っているという意味になります。
年間発電量の比較では、汚れ損失を変えた複数ケースを作成すると分かりやすくなります。例えば、汚れ損失を低め、標準、高めの3条件で比較すると、年間発電量がどの程度変わるかを把握できます。この差は、清掃計画や維持管理方針を検討するときの判断材料になります。
月別発電量を見る場合は、汚れ損失の高い月に発電量がどの程度下がっているかを確認します。発電量が多い月に高い 汚れ損失を入れている場合、年間発電量への影響が大きくなることがあります。逆に、冬場の発電量が少ない月に高い汚れ損失を設定しても、年間合計では大きな差にならない場合があります。このため、汚れが発生しやすい月と、発電量が多い月が重なるかどうかは重要です。
他の損失項目との関係も見ます。例えば、影損失が大きい案件で、さらに汚れ損失も高く設定している場合、年間発電量が大きく下がることがあります。その設定が現場実態に合っていれば問題ありませんが、影の影響と汚れの影響を二重に厳しく見ていないか確認が必要です。また、ミスマッチ損失や低照度損失など、別の要因と混同していないかも確認します。
実務でのレビューでは、PVSystの出力結果を見ながら、入力値の妥当性を説明できる状態にしておくことが大切です。「汚れ損失を何%にしたか」だけではなく、「なぜその値にしたか」「現場条件のどの要素を反映したか」「清掃計画と整合しているか」「月別設定を使った理由は何か」をまとめておくと、後から条件変更があった場合にも対応しやすくなります。
汚れ損失を過小評価しないための現地確認
PVSystの汚れ損失は入力値で決まりますが、その入力値の精度を高めるには現地確認が欠かせません。机上のシミュレーションだけでは、周辺の粉じん、雨水の流れ、鳥害、落ち葉、土ぼこり、車両動線、地面の状態などを十分に把握できないことがあります。特に実務では、現地を見ればすぐに分かるリスクが、図面や衛星画像だけでは見落とされることがあります。
現地確認では、まずモジュールの設置予定場所の周辺を観察します。未舗装道路が近いか、車両が頻繁に通るか、周囲に土が露出しているか、風で砂ぼこりが舞いやすいか、近くに樹木や電線があり鳥が集まりやすいかを確認します。屋根設置の場合は、周囲の排気口、設備機器、樹木、隣接建物、雨水の流れ方なども確認します。
次に、地形と風の通り方を見ます。風上側に粉じん源がある場合、モジュール表面に汚れが付着しやすくなります。傾斜地では、雨が降ったときに泥はねが発生する位置や、下段モジュールに汚れが集中する可能性もあります。地面が砕石、土、草地、舗装のどれかによっても、雨や風の影響は変わります。
既設発電所の場合は、実際のモジュール表面を観察することが最も分かりやすいです。汚れが均一に広がっているのか、下端部に帯状に溜まっているのか、特定の列や特定のエリアに集中しているのかを確認します。清掃前後の発電量変化が分かる場合は、汚れ損失の想定値を見直す重要な材料になります。
新設案件でまだモジュールがない場合でも、近隣の屋根や車両、設備表面、既存構造物の汚れ方を見ることで、粉じんや塩分、鳥害の傾向を推測できることがあります。造成直後と運転開始後で周辺環境が変わる場合もあるため、工事中の状態だけで判断しないことも重要です。
この現地確認を効率化するうえで、高精度な位置情報と写真記録は非常に役立ちます。どの場所で汚れやすい要因を確認したのか、どの方角に粉じん源があるのか、どのエリアに清掃や点検の注意が必要かを、位置付きの記録として残しておく と、PVSystの設定根拠だけでなく、施工後の維持管理にも活用できます。発電量シミュレーションは机上で行う作業ですが、その入力値の説得力は現地での観察によって高まります。
まとめ
PVSystで汚れ損失を設定する方法は、画面上では数値を入力するだけに見えるかもしれません。しかし実務では、その数値の背景にある現場条件、清掃計画、季節変動、周辺環境、提出目的を整理することが重要です。汚れ損失は、太陽光発電設備の長期的な発電量予測に関わる項目であり、過小評価しても過大評価しても、設計判断や収支評価に影響します。
まずは、対象地の粉じん、花粉、黄砂、鳥害、落ち葉、塩分、泥はねなどのリスクを確認し、年間一定値で考えるのか、月別設定で考えるのかを決めます。初期検討では年間一定値でシンプルに比較し、詳細設計や提出用レポートでは、現場条件に応じて月別設定を使うと実務に近い検討がしやすくなります。
実務で使う考え方としては、標準的な年間一定値で置く方法、月別に変動させる方法、保守方針から逆算する方法、リスクを見込んで保守的に設定する方法があります。どの方法を使う場合でも、重要なのは「なぜその汚れ損失を採用したのか」を説明できることです。PVSystの出力結果では、損失図、年間発電量、月別発電量、他の損失項目とのバランスを確認し、入力値が現場の実態に対して妥当かを見直します。
汚れ損失の精度を高めるには、机上の設定だけでなく、現地確認が欠かせません。周辺環境、地面の状態、風の通り方、雨水の流れ、鳥が集まりやすい場所、粉じん源の位置などを記録しておくことで、PVSystの入力値に説得力を持たせることができます。特に、低傾斜の屋根、未舗装道路の近く、農地周辺、海岸部、工場地帯、造成地周辺では、現地の観察結果を設定に反映する意識が重要です。
太陽光発電の設計や維持管理では、シミュレーション上の数値と現場の実態をつなぐことが、発電量予測の精度を高めるうえで大切です。LRTKは、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスとして、現場で確認した汚れ要因、点検位置、写真記録、周辺状況を高精度な位置情報 とともに残す用途に活用できます。PVSystで汚れ損失を設定する前提整理や、運転開始後の点検記録、清掃対象箇所の把握をより実務的に行いたい場合、現地の状況を正確な位置付きデータとして蓄積できることは大きな強みになります。シミュレーションの精度を高めるには、ソフト上の入力だけでなく、現場で得た情報をどれだけ正しく反映できるかが重要です。LRTKを活用すれば、発電所の現地確認、点検、記録、報告までを一貫して支援し、PVSystでの発電量検討と現場管理をより確かなものにできます。
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