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【PVSystで日射量データを確認する方法|見るべき5指標】

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

PVSystで日射量データを確認する目的

日射量データを確認する前に押さえる基本

見るべき指標1:水平面全天日射量

見るべき指標2:直達日射量と散乱日射量

見るべき指標3:傾斜面日射量

見るべき指標4:月別の日射量変動

見るべき指標5:欠測値と異常値

日射量データを確認する具体的な流れ

初心者が間違えやすい確認ポイント

実務で日射量データを活用する考え方

まとめ


PVSystで日射量データを確認する目的

PVSystで太陽光発電所のシミュレーションを行うとき、最初に確認すべき重要な情報が日射量データです。発電量の計算は、設置場所にどれだけ太陽光が届くかを前提に進みます。そのため、パネル容量やPCS容量、傾斜角、方位角、損失条件を細かく設定しても、元になる日射量データの理解が不十分だと、シミュレーション結果の見方を誤ってしまいます。


PVSystの使い方を調べている実務担当者の多くは、画面上でどの数値を見ればよいのか、どの項目が発電量に大きく影響するのか、どこまで確認すれば実務上問題ないのかで迷います。日射量データは専門用語が多く、水平面、傾斜面、直達、散乱、月別値、年間値など、似たような項目が並びます。しかし、見るべきポイントを整理すれば、初心者でもデータの妥当性を判断しやすくなります。


この記事では、PVSystで日射量データを確認する際に見るべき5つの指標を中心に、実務での確認手順と注意点を解説します。目的は、単に画面上の数値を読むことではなく、発電量シミュレーションの前提条件として、その日射量データが設計条件に対して妥当かどうかを判断できるようになることです。


太陽光発電のシミュレーションでは、数パーセントの差が年間発電量や事業性評価に影響することがあります。特に、候補地比較、基本設計、概算発電量の算出、金融機関向け資料、施工後の発電量検証などでは、日射量データの扱いが重要になります。PVSystを使い始めた段階から、日射量データを見る習慣をつけておくことで、後工程の手戻りを減らせます。


日射量データを確認する前に押さえる基本

PVSystで日射量データを確認する前に、まず日射量とは何を表しているのかを理解しておく必要があります。日射量とは、一定期間に地表やパネル面へ到達する太陽エネルギーの量です。一般的には、1平方メートルあたりのエネルギー量として扱われます。太陽光発電では、日射量が大きいほど発電に使えるエネルギーが多くなるため、年間発電量の大きな前提条件になります。


ただし、日射量が大きければ必ず発電量が比例して増えるわけではありません。実際の発電量には、気温、パネル温度、影、汚れ、配線損失、PCS変換損失、機器仕様、設置角度、方位、地形などが影響します。PVSystでは、これらの条件を組み合わせてシミュレーションを行いますが、その出発点にあるのが気象データであり、その中でも特に重要なのが日射量データです。


PVSystで扱う日射量には、水平面に入射する日射、太陽から直接届く日射、大気中で散乱して届く日射、パネルの傾斜面に届く日射などがあります。これらは似ていますが意味が異なります。水平面の日射量は、地点の気候特性を把握する基本値です。直達日射と散乱日射は、空の状態や大気条件を理解するために使います。傾斜面日射量は、実際のパネル面にどれだけ光が届くかを見るために重要です。


また、年間合計だけを見るのではなく、月別の変動を確認することも大切です。年間の日射量が同程度でも、春と秋に安定している地点、夏に大きく偏る地点、冬に落ち込みが大きい地点では、発電カーブや設備利用率の印象が変わります。事業計画では年間値が重視されがちですが、実務では月別値の確認が欠かせません。


日射量データの確認では、数値の大小だけで判断しないことも重要です。極端に高い値や低い値がある場合、実際の気候特性を反映していることもあれば、入力データのミス、地点設定の誤り、単位の取り違え、欠測補完の影響が含まれていることもあります。PVSystの使い方としては、画面に表示された値をそのまま信じるのではなく、地点条件、データ期間、月別傾向、他の設定との整合性を確認しながら読み解く姿勢が必要です。


見るべき指標1:水平面全天日射量

最初に確認したい指標は、水平面全天日射量です。これは、地面に水平な面に届く太陽光の総量を表す基本的な日射量です。太陽光発電の候補地を評価する際、地域全体の日射ポテンシャルを把握するために使われます。PVSystでは、気象データを読み込んだ後、地点情報や月別気象データの画面で、この水平面全天日射量を確認できます。


水平面全天日射量は、直達日射と散乱日射を合わせたものとして理解するとわかりやすいです。晴天が多く太陽光が強い地域では大きくなり、曇天や降雨が多い地域では小さくなる傾向があります。もちろん、緯度、標高、季節、雲量、大気の透明度などによっても変わります。日本国内でも地域差があり、同じ発電設備を置いたとしても、地点によって年間発電量に差が出ます。


PVSystでこの値を見るときは、まず年間合計がその地域の気候感覚と大きく外れていないかを確認します。たとえば、日射条件が良い地域として想定しているのに年間値が極端に低い場合や、山間部や曇天が多い地域なのに異常に高い場合は、地点設定や気象データの選択を見直す必要があります。緯度経度の入力ミス、標高の違い、近隣地点データの選択、データ生成時の条件違いなどが原因になることがあります。


次に、水平面全天日射量を月別に確認します。年間合計だけでは、どの季節に日射が多いのかがわかりません。太陽光発電では、夏に日射が多く、冬に日射が少なくなる傾向がありますが、地域によっては梅雨や積雪、季節風、雲量の影響で特徴が変わります。月別値を確認することで、年間発電量の内訳を理解しやすくなり、後でシミュレーション結果を見たときにも納得しやすくなります。


水平面全天日射量は、PVSystにおける日射量確認の入口です。ただし、実際の太陽光パネルは水平ではなく、一定の傾斜角で設置されることが一般的です。そのため、水平面全天日射量だけで最終判断するのは不十分です。あくまで地点の基本的な日射条件を把握する指標として使い、その後に傾斜面日射量や損失項目を確認する流れが自然です。


また、複数の候補地を比較する場合は、水平面全天日射量を共通の基準として見ると便利です。同じ条件でシミュレーションする前段階として、地点ごとの日射ポテンシャルを把握できます。ただし、候補地比較では、日射量が高い地点が必ず最適とは限りません。土地形状、造成条件、送電接続、影の影響、施工性、保守性なども関係します。日射量は重要な指標ですが、設計全体の一部として扱うことが実務では大切です。


見るべき指標2:直達日射量と散乱日射量

2つ目に確認したい指標は、直達日射量と散乱日射量です。直達日射量は、太陽から大気を通って直接地表に届く日射です。一方、散乱日射量は、大気中の水蒸気、雲、ちりなどによって散乱され、空全体から届く日射です。水平面全天日射量が日射の総量を示すのに対し、直達日射量と散乱日射量は、その中身を分解して見るための指標です。


太陽光発電では、直達日射と散乱日射の割合によって、発電の傾向が変わります。晴天が多い地域では直達成分が大きくなりやすく、曇天が多い地域では散乱成分の割合が高くなりやすいです。一般的な固定式の太陽光発電では、直達日射だけでなく散乱日射も発電に寄与します。そのため、単純に晴天時の日射だけを見るのではなく、曇りの日にも届く散乱光を含めて考えることが重要です。


PVSystで直達日射量と散乱日射量を確認する目的は、気象データの性格を把握することです。たとえば、年間の水平面全天日射量が標準的に見えても、直達と散乱のバランスが極端であれば、データの由来や補完方法を確認したほうがよい場合があります。特に、外部の気象データを取り込んだ場合や、現地観測データを加工して使用した場合は、直達成分と散乱成分の整合性を見ることで、入力データの品質を確認しやすくなります。


また、直達日射と散乱日射の比率は、影の影響や傾斜面変換にも関係します。太陽から直接届く成分は、障害物の影や地形の影の影響を受けやすくなります。一方、散乱成分は空全体から届くため、影の影響の受け方が異なります。PVSystでは、日射をパネル面へ変換し、さらに影や損失を考慮して発電量を計算します。そのため、直達と散乱の内訳を理解しておくと、後で損失結果を見たときに理由を追いやすくなります。


初心者が注意したいのは、直達日射量だけを見て地点の良し悪しを判断しないことです。太陽光発電では、パネルの受ける総日射量が重要です。直達成分が高いことは有利に働くことがありますが、散乱成分を含めた全体のエネルギー量、季節変動、設置角度との関係を合わせて見る必要があります。特に日本のように季節ごとの天候変化が大きい地域では、月別の直達・散乱バランスを確認することで、発電量の季節変動を理解しやすくなります。


実務では、直達日射量と散乱日射量を確認する際に、月別の並びに違和感がないかを見ます。たとえば、雨や曇りが多い時期に散乱成分の割合が上がる、晴天が多い時期に直達成分が増える、といった傾向が自然です。もちろん地域差はありますが、季節感と大きく矛盾する場合は、地点やデータ設定を再確認するきっかけになります。


見るべき指標3:傾斜面日射量

3つ目に確認すべき指標は、傾斜面日射量です。これは、実際に太陽光パネルを設置する面に届く日射量を表します。水平面全天日射量が地点の基本的な日射条件を示すのに対し、傾斜面日射量は、設計したパネルの角度や方位を反映した、より発電量に近い指標です。PVSystで発電量を検討するうえでは、この傾斜面日射量が非常に重要です。


太陽光パネルは、通常、水平ではなく一定の角度をつけて設置されます。傾斜角や方位角を変えると、同じ地点でもパネル面に届く日射量が変わります。南向きに近い角度で設置する場合と、東西方向に振った場合では、年間合計だけでなく、朝夕や季節ごとの発電傾向も変化します。PVSystでは、設計条件を入力すると、水平面の日射量をもとに、傾斜面へ変換した日射量を計算します。


傾斜面日射量を見るときは、まず設計した方位角と傾斜角が正しく反映されているかを確認します。入力した角度が誤っていると、傾斜面日射量も発電量も大きくずれます。たとえば、方位の基準を取り違えたり、角度のプラス・マイナスを誤解したりすると、意図した向きと異なる条件で計算してしまうことがあります。PVSystの使い方に慣れていない段階では、数値入力後に必ず設定内容を見直すことが大切です。


次に、水平面全天日射量と傾斜面日射量の関係を確認します。一般的に、適切な傾斜角で設置すると、年間の傾斜面日射量は水平面より有利になることがあります。ただし、設置角度、地域、季節によって関係は変わります。特に傾斜角を小さくした設計や、方位が大きくずれた設計では、期待したほど傾斜面日射量が増えない場合があります。これは発電量の差にも直結するため、設計比較では必ず確認したい項目です。


傾斜面日射量は、影の影響を考える前の段階と、影や損失を考慮した後の段階で意味が異なります。まずは、純粋にパネル面へ入射する日射量として確認し、その後に近接影、遠方影、地表反射、汚れなどの損失を反映した結果を見ます。PVSystの結果画面では、どの段階の日射量を見ているのかを意識することが重要です。単に「傾斜面日射量」と言っても、損失前か損失後かで解釈が変わります。


実務上は、傾斜面日射量を使って設計案を比較することがよくあります。たとえば、傾斜角を少し変えた場合、方位を変えた場合、架台配置を変えた場合に、どの程度日射取得量が変わるかを確認します。ただし、傾斜面日射量だけで設計を決めるのではなく、設置可能容量、離隔距離、影の影響、施工性、風荷重、保守通路なども含めて判断する必要があります。PVSystは日射と発電量の比較には有効ですが、現場条件を正しく入力してこそ実務に使える結果になります。


見るべき指標4:月別の日射量変動

4つ目に見るべき指標は、月別の日射量変動です。日射量データを確認する際、年間合計だけを見て安心してしまうことがありますが、実務では月別の変動を必ず確認するべきです。年間の日射量が同じでも、どの月に多く、どの月に少ないかによって、発電量の見え方、収益計画、保守計画、設備運用の考え方が変わります。


太陽光発電では、一般的に春から夏にかけて日射量が増え、冬に少なくなる傾向があります。ただし、必ずしも真夏が最大発電月になるとは限りません。夏は日射量が多い一方で、気温上昇によるパネル温度の影響を受けやすくなります。また、梅雨や台風、積雪、季節性の雲量などによって、月別の日射量は地域ごとに特徴が出ます。PVSystで月別データを見ることで、その地点ならではの発電傾向を把握できます。


月別の日射量変動を確認するときは、まず極端な月がないかを見ます。ある月だけ不自然に高い、または低い場合は、データの欠測補完や入力ミスが疑われることがあります。特に外部データを取り込んだ場合、月別値の並びを見ることで、異常値に気づきやすくなります。年間合計では目立たない問題でも、月別に見ると違和感が明確になることがあります。


次に、月別の日射量と月別の発電量が自然に対応しているかを確認します。日射量が多い月に発電量も増えるのが基本ですが、気温損失、影の影響、出力抑制想定、汚れ、積雪などがある場合、単純な比例関係にはなりません。PVSystの結果を読むときは、日射量の月別変動と発電量の月別変動を並べて見て、どの損失がどの季節に効いているのかを理解することが大切です。


また、月別の日射量は、事業計画上の説明にも役立ちます。年間発電量だけを提示すると、発電の季節性が伝わりにくくなります。月別の傾向を理解しておけば、なぜ冬季の発電量が少ないのか、なぜ特定月に低下しているのか、設計条件の変更でどこが改善するのかを説明しやすくなります。実務担当者にとって、PVSystの使い方は単に計算を実行することではなく、結果を関係者に説明できる状態にすることでもあります。


月別変動を見る際には、候補地比較にも注意が必要です。年間値が高い地点でも、特定の時期に発電量が落ち込みやすい場合があります。一方、年間値は標準的でも、季節変動が安定していて運用しやすい地点もあります。どちらがよいかは、事業の目的、売電条件、需要との関係、保守体制によって変わります。したがって、PVSystでは年間値と月別値の両方を確認することが基本です。


見るべき指標5:欠測値と異常値

5つ目に確認すべき指標は、欠測値と異常値です。これは日射量そのものの種類ではありませんが、データ品質を判断するうえで非常に重要な確認項目です。どれだけPVSystの設定を丁寧に行っても、元データに問題があれば、シミュレーション結果の信頼性は下がります。特に現地観測データや外部で加工した気象データを使う場合は、欠測や異常値の確認を省略しないことが大切です。


欠測値とは、何らかの理由でデータが記録されていない状態を指します。観測機器の停止、通信不良、記録ミス、データ変換時のエラーなどによって発生します。短時間の欠測であれば補完できる場合もありますが、長期間の欠測や特定季節に偏った欠測がある場合は、年間日射量や月別傾向に影響します。PVSystに取り込む前、または取り込んだ後に、欠測の有無と補完方法を確認する必要があります。


異常値とは、現実的には考えにくいほど高い値や低い値、または周辺データと比べて不自然な値を指します。たとえば、夜間に日射量が入っている、晴天時の値として極端に小さい、瞬間的に異常に大きい、月別合計が周辺月と極端に異なる、といった例があります。単位の変換ミス、時刻のずれ、観測機器の故障、データ加工時の誤りなどが原因になることがあります。


PVSystで日射量データを確認する際は、年間値や月別値だけでなく、データの品質にも目を向けます。画面上で値が表示されているからといって、そのデータが必ず正しいとは限りません。特に、複数のデータを比較したり、現地観測値を使ったりする場合は、データ期間、時刻基準、単位、欠測補完、異常値処理の考え方を確認することが重要です。


初心者が見落としやすいのは、単位の違いです。日射量データには、時間単位の強度を表す値と、一定期間の積算量を表す値があります。入力形式を誤ると、シミュレーション結果が大きく外れます。また、時刻の扱いも重要です。太陽位置と時刻がずれていると、日射の分布や発電カーブが不自然になる場合があります。PVSystで外部データを扱う場合は、データ形式を確認してから取り込むようにします。


欠測値や異常値の確認は、慣れてくると作業時間を大きく取らない確認項目です。しかし、これを怠ると、後で発電量の説明が難しくなります。たとえば、シミュレーション結果が想定より低いとき、設計条件が悪いのか、損失設定が大きいのか、日射量データに問題があるのかを切り分ける必要があります。データ品質を最初に確認しておけば、後工程の検証がスムーズになります。


日射量データを確認する具体的な流れ

PVSystで日射量データを確認する際は、画面を開いて数値を眺めるだけではなく、一定の順序で確認すると理解しやすくなります。まず最初に行うのは、地点設定の確認です。緯度、経度、標高、タイムゾーン、対象地域が正しく設定されているかを確認します。日射量データは地点に強く依存するため、位置情報がずれていると、その後のすべての確認が意味を失います。


次に、使用している気象データの期間と種類を確認します。長期平均データなのか、特定年の観測データなのか、複数年をもとにした代表値なのかによって、結果の解釈は変わります。長期平均データは標準的な設計検討に使いやすい一方で、特定年の極端な気象変動を反映しにくい場合があります。現地観測データは対象地点に近い条件を反映できますが、観測期間が短い場合や欠測がある場合は注意が必要です。


その後、水平面全天日射量の年間値を確認します。ここでは、地域感覚と大きく外れていないかを見ることが目的です。日射が強いと想定している地域で極端に低い値が出ていないか、逆に曇天が多い地域で不自然に高くなっていないかを確認します。違和感がある場合は、地点設定、気象データの選択、単位、取り込み形式を見直します。


次に、月別の日射量を確認します。年間合計が妥当に見えても、月別の並びに違和感がある場合があります。たとえば、特定月だけ極端に高い、季節傾向が地域の気候と合わない、冬季と夏季の差が不自然、などです。月別値は、データ品質と地域特性の両方を確認するために有効です。


その次に、直達日射量と散乱日射量のバランスを見ます。ここでは、晴天型のデータなのか、散乱成分が多いデータなのかを理解します。直達と散乱の内訳は、傾斜面変換や影の影響を理解する際に役立ちます。外部データを使う場合は、直達と散乱の算出方法や補完処理によって結果が変わることがあるため、極端な値がないかを確認します。


最後に、設計条件を入力した後で傾斜面日射量を確認します。水平面の日射量が妥当でも、傾斜角や方位角の設定ミスがあると、傾斜面日射量が不自然になります。発電量のシミュレーション結果を見る前に、パネル面に入る日射量が設計意図どおりになっているかを確認することで、設定ミスを早い段階で発見できます。


この流れで確認すると、PVSystの操作に慣れていない人でも、どこから見ればよいか迷いにくくなります。地点、データ種類、水平面日射、月別変動、直達と散乱、傾斜面日射、欠測と異常値という順で見ると、日射量データを立体的に理解できます。


初心者が間違えやすい確認ポイント

PVSystで日射量データを確認する際、初心者がよく間違えるのは、年間発電量の結果だけを見て日射量データの確認を済ませてしまうことです。シミュレーション結果として発電量が表示されると、それが最終的な答えのように見えます。しかし、その発電量は日射量データ、設計条件、損失設定をもとに計算された結果です。元になる日射量データを確認しなければ、結果が妥当なのか判断できません。


次に多い間違いは、水平面全天日射量と傾斜面日射量を混同することです。水平面全天日射量は地点の気象条件を表す基本値であり、傾斜面日射量はパネル面に入る日射量です。発電量により近いのは傾斜面日射量ですが、地点比較やデータ確認では水平面全天日射量も重要です。両者の意味を区別しておくことで、結果の読み間違いを防げます。


また、月別データを確認しないことも大きなミスです。年間値だけでは、季節ごとの発電傾向がわかりません。特に実務では、月別発電量の説明が求められる場面があります。冬季の発電低下、夏季の温度損失、梅雨時期の日射低下などを説明するには、月別の日射量と発電量の関係を理解しておく必要があります。


方位角や傾斜角の入力ミスもよくあります。PVSystでは、設置条件を数値で入力するため、基準方位の考え方や角度の向きを誤ると、意図しない設計条件になります。入力後は、傾斜面日射量や発電量の変化を見て、設計意図と合っているか確認することが大切です。特に複数案を比較する場合、角度の入力ミスがあると、比較そのものが成り立たなくなります。


外部気象データを取り込む場合は、単位や時刻の取り扱いにも注意が必要です。日射量の単位、時間間隔、時刻基準、欠測処理が適切でないと、PVSyst上ではデータが読み込めても、結果が不自然になることがあります。データ取り込み後は、必ず月別値や日別傾向を確認し、極端な違和感がないかを見ます。


さらに、日射量だけで発電量を判断しすぎることにも注意が必要です。発電量は日射量の影響を強く受けますが、温度、影、機器仕様、汚れ、配線、PCS、地形など多くの要素で変わります。日射量が高いのに発電量が伸びない場合、温度損失や影損失が大きい可能性があります。逆に、日射量が標準的でも、設計条件が良ければ発電量が安定する場合があります。


実務で日射量データを活用する考え方

実務でPVSystを使う場合、日射量データは単なる入力値ではなく、設計判断と説明資料の土台になります。候補地の初期検討では、水平面全天日射量を使って地域の発電ポテンシャルを確認します。基本設計では、傾斜面日射量を見ながら、方位角や傾斜角の妥当性を判断します。詳細設計では、影や損失を反映したうえで、発電量と損失内訳を確認します。


日射量データを活用するうえで大切なのは、数値を単独で見るのではなく、設計条件と組み合わせて解釈することです。同じ日射量でも、架台の配置、パネル角度、地形、周辺障害物によって発電量は変わります。PVSystで複数案を比較する場合は、日射量の差、傾斜面日射量の差、影損失の差、温度損失の差を分けて見ると、どの条件が結果に効いているのかを把握しやすくなります。


また、関係者へ説明する場面では、専門用語をそのまま並べるのではなく、意味を整理して伝えることが重要です。水平面全天日射量は地域の太陽エネルギーの基本量、傾斜面日射量はパネルが実際に受けるエネルギー、直達日射と散乱日射は光の届き方の内訳、月別変動は季節ごとの発電傾向、欠測と異常値はデータの信頼性を確認する項目として説明すると、非専門の関係者にも伝わりやすくなります。


日射量データは、施工後の発電量検証にも役立ちます。計画時のシミュレーションと実績発電量を比較する場合、まず確認すべきなのは、実際の期間の日射条件が計画時と比べてどうだったかです。計画時より日射が少なければ、発電量が下がるのは自然です。一方、日射条件が同程度なのに発電量が低い場合は、影、汚れ、機器不具合、配線、PCS、測定条件などを確認する必要があります。


現場条件を正しく反映することも、日射量データ活用の重要なポイントです。机上のシミュレーションでは、地形や障害物を完全に把握できない場合があります。実際の現場には、樹木、建物、法面、電柱、フェンス、周辺設備、造成後の地盤高の変化などが存在します。これらが影や配置条件に影響すると、PVSyst上の前提と実際の発電条件に差が出ます。したがって、現地調査や測量データと組み合わせて、設計前提を整えることが大切です。


特に大規模な太陽光発電所や地形の起伏がある現場では、パネル配置、地盤高、影の発生条件を正確に把握することが重要です。日射量データが正しくても、地形条件がずれていれば、実際の発電量との乖離が生じやすくなります。PVSystで得られる日射量や発電量の結果を実務に活かすには、入力する現場情報の精度も同じくらい重要です。


まとめ

PVSystで日射量データを確認する際に見るべき指標は、水平面全天日射量、直達日射量と散乱日射量、傾斜面日射量、月別の日射量変動、欠測値と異常値の5つです。これらを順番に確認することで、発電量シミュレーションの前提が妥当かどうかを判断しやすくなります。


水平面全天日射量は、地点の日射ポテンシャルを把握する基本指標です。直達日射量と散乱日射量は、光の届き方や気象データの性格を理解するために役立ちます。傾斜面日射量は、実際にパネル面へ届く日射量として、発電量により近い重要な指標です。月別の日射量変動を見れば、季節ごとの発電傾向やデータの違和感を把握できます。さらに、欠測値と異常値を確認することで、シミュレーション結果の信頼性を高められます。


PVSystの使い方で大切なのは、計算結果をそのまま受け取るのではなく、元になる条件を確認しながら結果を読むことです。日射量データは、発電量計算の入口であり、設計判断、候補地比較、関係者説明、施工後検証のすべてに関係します。年間値だけでなく、月別値、内訳、設計条件との整合性を確認することで、実務に使えるシミュレーションに近づきます。


また、PVSyst上の設定を正しく行うためには、現場の位置、地形、周辺環境を正確に把握することも欠かせません。日射量データが妥当でも、設置位置や地盤高、周辺障害物の情報が曖昧であれば、影や配置条件の評価にずれが生じます。太陽光発電所の設計や現地確認では、机上のシミュレーションと現場の測位・測量情報をつなげて考えることが重要です。


その点で、iPhone装着型GNSS高精度測位デバイスであるLRTKを活用すれば、現場で取得した高精度な位置情報をもとに、候補地確認、測点記録、現況把握、施工前後の確認を効率化できます。PVSystで日射量や発電量の前提を整理し、LRTKで現場の位置情報を正確に押さえることで、太陽光発電の計画、設計、施工、維持管理までをより確実につなげやすくなります。


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