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非破壊検査をスマホで実現!? 3Dスキャン技術が切り拓くインフラ点検の新時代

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

導入:非破壊検査の役割と現場課題

日本では高度経済成長期に整備された橋梁やトンネルが供用から50年以上を経過し、老朽化した構造物の安全確保が大きな社会課題となっています。実際、全国には道路橋だけで約70万橋、道路トンネルが1万本以上存在するとされ、これらの老朽化対策は急務です。こうしたインフラを健全に維持するには、定期的な非破壊検査(NDT:Non-Destructive Testing)が欠かせません。非破壊検査とは、対象を壊すことなく劣化や損傷を調べる検査手法の総称で、構造物のひび割れ、腐食、変形などを確認し、早期に対策を講じるために用いられます。その代表は近接目視や打音検査、超音波探傷などですが、これらは現場技術者にとって大きな負担を伴う作業でもあります。


現場では点検対象が数多く存在し、その多くが高所や狭所に位置するため、定期点検を実施するだけでも相当の手間と時間を要します。例えば道路橋やトンネルはおおむね5年ごとの近接目視点検が法律で義務付けられており、全国で膨大な点検需要が発生しています。しかし、技術者不足や高齢化も相まって、限られた人手で多くの構造物を効率よく検査することが大きな課題となっています。


また、点検作業は個々の技術者の経験や勘に頼る部分が大きく(属人性)、記録方法も手書きの野帳や写真貼付の報告書作成などアナログな手法が主流です。そのため作業負担が重いだけでなく、データの精度や再現性にもばらつきが生じがちです。せっかく実施した点検結果が十分に活かされず、形だけのファイリングに留まってしまうケースも少なくありません。


従来の非破壊検査手法の限界

従来のインフラ点検では、カメラで撮影した写真と測定器による計測値とを別々に記録する必要がありました。例えばコンクリート表面のひび割れを調査する際、目視で異常を発見したらデジタルカメラで撮影し、さらに定規やクラックスケールで幅を測って手帳に寸法を書き込む──といった手順を踏みます。当然ながら撮影機器と測定機器が分離しているため、後で写真を見返しても「どの場所のどの数値だったか」が直感的に把握しにくく、報告書作成時に照合する手間がかかります。また、紙の図面に損傷箇所をマーキングしたり表計算ソフトに転記したりと、記録作業が煩雑でミスの温床になりがちです。


こうした手作業中心の点検では、データの再現性や蓄積活用にも課題が残ります。初回点検時に指摘した劣化箇所が次回点検で見落とされたり位置を特定できなかったりすると、経年変化を追跡することが困難です。担当者ごとに記録様式や着目点が異なると、せっかく集めた点検データが十分活用されず、報告書にまとめてファイルされるだけになってしまいます。さらに、現場で測定した数値もその場で簡単に共有・分析する術がなく、問題箇所の見極めや関係者間の情報共有にタイムラグが生じることもありました。結果として、撮影した何百枚もの写真整理や報告図面の作成に時間を取られ、現場作業以上に事務作業に追われるケースもしばしば見られます。


スマホ+LRTKで実現する「見える・残せる・測れる」非破壊検査

こうした課題解決に向け、近年ではICTやロボット等を用いた点検DX(デジタル化)が推進されています。その中でも、日常的なスマートフォンを活用したアプローチは現場への浸透が期待される技術です。特に最新のiPhoneなど一部スマホにはLiDAR(光検出と測距)センサーや高性能カメラ、GPSが搭載され、小型ながら高度な空間計測が可能です。なお、LiDAR非搭載のスマホでも複数の写真から3D復元するフォトグラメトリ技術で点群取得は可能ですが、撮影枚数や処理時間を要するため、やはりLiDAR搭載端末を用いるのが効率的でしょう。これに屋外でのセンチメートル級測位を可能にするGNSS受信デバイス「LRTK」を組み合わせれば、スマホ1台が高精度3Dスキャナー兼測量機に早変わりします。LRTKはスマホに装着して使用するポケットサイズのRTK-GNSSモジュールで、補正衛星(準天頂衛星みちびき等)からのデータを活用して位置情報をリアルタイムに高精度化します(測位精度は水平±2cm・垂直±3cm程度)。その結果、スマホで取得する点群データ一つひとつに緯度・経度・高さの情報が付与され、従来は難しかったグローバル座標付きの3D記録が現場で手軽に実現できるのです。


スマホ+LRTKを使えば、これまで別々だった「見る・測る・記録する」という作業を一度にこなすことができます。LiDARで構造物表面をスキャンすれば、現場の状況が3次元モデルとして「見える化」され、ひび割れや変形もその場で立体的に確認可能です。取得した高密度の点群データや写真には位置座標が紐付いているため、重要な劣化箇所を確実にデジタル記録として残せます。もちろん、後から点群モデル上で寸法を自由に計測できるので、「亀裂の幅は後で図面を見ながら定規で測り直し」といった手間も不要です。まさに「見える・残せる・測れる」点検がスマホひとつで実現すると言えるでしょう。


さらに、スマホで計測したデータはそのままクラウドへアップロードして一元管理できます。従来は現場が撮影した写真データや紙の報告書を個別に共有するのがやっとでしたが、点群データも含めクラウド上で共有すれば、オフィスに居ながら現場の3D状況を即座に把握できます。関係者が同じモデルを見ながら劣化箇所を議論するといったリアルタイム連携も可能です。写真一枚一枚にも地図上の座標や方位情報が付加されているため、「どの構造物のどの位置を写したものか」が直感的に分かり、報告資料の精度も格段に向上します。さらにスマホアプリによる直感的な操作性も相まって、ベテランから若手まで誰もが扱いやすく、技術の属人化解消にもつながります。こうして点検結果のデジタル化によって再現性客観性が飛躍的に高まり、誰が実施しても一定の品質で現況を記録できるようになります。


活用シーン別メリット:橋梁・建物外壁・配管設備・埋設物・舗装

スマホ+LRTKを活用した3D記録は、あらゆるインフラ点検シーンで威力を発揮します。その具体的なメリットを用途別に見てみましょう。


橋梁:橋や高架構造物の点検では、高所や桁下など人の近づきにくい箇所の把握が課題です。スマホの3Dスキャンなら、足場や高所作業車を使わずとも届く範囲で構造物の形状や損傷を詳細に記録できます。例えば桁の下面に発生したひび割れも、点群データとして正確な位置・寸法とともに残せるため、後日オフィスで安全に解析したり報告書に転用したりできます。もちろん必要に応じて橋梁点検車などで近接目視を行う場合も、併せて3D記録しておくことで点検結果を網羅的に保存できます。毎回の定期検査で得た3Dデータを蓄積しておけば、前回からの変化も定量的に把握でき、補修の優先度判断にも役立ちます。また、3D記録により点検車の出動回数や長時間の通行規制を減らせれば、コスト縮減や利用者負担軽減の効果も期待できます。

建物外壁:ビルや建物の外壁点検では、タイルの剥離やひび割れを見落とさないことが重要です。近年では高さが一定以上の建築物に外壁調査が義務化され、建物所有者も定期的な安全点検が求められています。従来は双眼鏡での目視や打診棒による打音調査が中心でしたが、スマホスキャンを併用すれば外壁全面をデジタルな野帳として記録できます。高所作業車などで外壁に近接しながらLiDARスキャンしておけば、後からオフィスで3Dモデル上に浮きやクラックをマーキングでき、報告書作成時に「どの階のどの位置にどんな劣化があるか」を正確に示せます。写真平面図では伝わりにくい微細な変状も立体的に示せるため、建物所有者への説明や補修範囲の検討が格段に容易になるでしょう。近年、外壁材の落下事故が相次ぎ社会問題となっていますが、3Dスキャンによる客観記録は点検の確実性を高め、責任ある維持管理に寄与します。

配管設備:工場やプラントの配管・設備点検にも3Dスキャンは有効です。複雑に入り組んだ配管や装置類を丸ごと点群化すれば、腐食や漏洩箇所を見逃さず記録できます。高温の配管や狭いプラント内でも離れた位置から計測できるため、安全性と作業効率が向上します。取得データをクラウド共有すれば、遠く離れた場所の技術者も現場の3Dモデルを見ながら助言でき、専門知識を持つ検査技術者の遠隔支援も受けやすくなります。また、点群上でクリアランス(隙間)や配管径を測定し、そのまま補修・更新工事の計画に反映するといった連携も可能です。一度スキャンしておけば何度も現場採寸に行かずに済み、結果的に点検から補修設計までのリードタイム短縮に寄与します。運転停止を伴わず安全距離から劣化箇所を計測できれば、生産への影響も最小限に抑えられます。

埋設物:上下水道管やケーブルなどの埋設物は、埋め戻してしまうと位置を把握しづらくなりますが、施工時にスマホで3D記録しておけば見えないインフラの可視化が可能です。開削したトレンチ内で配管を敷設した段階で周囲ごとスキャンすれば、埋設深度や配管経路を忠実に反映した3Dマップが得られます。これをクラウドに残して共有しておけば、将来の維持管理で掘り返す際に役立つだけでなく、他工事との干渉リスク評価にも活用できます。国土交通省も埋設物の3次元記録を推進しており、こうしたスマホ計測データは将来的に統一的な地下空間マップ構築にも貢献するでしょう。小規模工事では外部の測量会社に依頼せずとも自社で記録を完結できるため、コスト削減や施工プロセスの効率化にもつながります。埋設物の記録不備による掘削時の損傷事故を防止する効果も期待できます。

舗装:道路や舗装面の点検では、ひび割れ本数のカウントやわだち掘れの深さ測定など、地道な作業が数多く発生します。スマホによる舗装面の3Dスキャンを行えば、損傷部の形状をその場で丸ごとデータ化できるため、帰社後に必要な指標を自由に算出可能です。例えば道路面に生じた段差や凹凸も点群データ上で断面形状を解析でき、沈下量や穴ぼこ(ポットホール)の体積も自動計算できます。また、道路巡回点検で担当者がスマホを携行すれば、その場で路面状態を3D保存でき、不具合データをGISマップ上で一元管理するといった展開も容易です。点検現場で直ちに補修要否を判断したり、補修材の見積数量を精度高く算出したりできるため、維持管理のPDCAサイクルをスピードアップできます。蓄積した舗装点検データを分析して補修計画立案に活用するといった展開も考えられます。


さらに、こうして取得した3Dデータは既存の図面や他の調査データとも容易に連携可能です。点群データをCAD図面やBIMモデルと重ね合わせれば、設計とのズレを色分けで可視化するなど補修計画の検討がスムーズになります。また、過去の点検点群と新たなデータを比較して劣化の進行度合いを解析するといった高度な分析も実現します。クラウド上に蓄積したデータはGISマップやアセットマネジメントシステムとも紐付けられ、現場とオフィス、発注者と施工者といった立場を超えて一貫した情報共有を実現します。データ同士が繋がることで、点検業務の効率と精度はさらなる高みへと引き上げられるでしょう。さらに今後はAIによる自動ひび割れ検出や変位解析との連携も期待されます。スマホ点検データがインフラ維持管理の高度化に果たす役割は一層大きくなるでしょう。


実際、2024年に発生した能登半島地震の被災現場では、現地に急行した技術者がLRTKを装着したスマホで倒壊・変状箇所を次々とスキャンし、その高精度点群モデルと位置情報付き写真をクラウド経由で即時に共有しました。液状化で傾斜した電柱の沈下量や道路の亀裂の深さを現場で測定し、関係機関が迅速に状況把握できたといいます。従来は調査結果のとりまとめに時間を要した災害対応でも、こうしたデジタル点検手法がスピーディーな意思決定に貢献した好例と言えるでしょう。一人一台のスマホ測量デバイスによる高精度計測は、インフラの緊急点検や災害調査の現場でも大きな力を発揮しています。


結び:LRTKによる簡易測量で広がるインフラ点検の未来

スマートフォン+LRTKによる非破壊検査ソリューションは、現場点検の課題を解決すると同時に、インフラ維持管理の新たな可能性を切り拓きます。専用機器に比べ導入コストが低く操作も簡単なため、現場DXのハードルを大きく下げる効果も期待できます。スマホ1台で高精度な測量・計測とデータ共有ができるようになったことで、点検周辺のさまざまな作業にも応用が利くようになりました。


スマホ+LRTK導入による主なメリットをまとめると、次のような点が挙げられます。


効率化:点検にかかる手間と時間を大幅に削減できます。紙の記録作業や人力での寸法測定が減り、少人数でも多くの施設を効率的に点検可能です。

高精度化:RTK測位により位置情報がcm単位の精度で記録され、点検データの信頼性が向上します。正確な寸法データに基づき、劣化の程度を定量評価できます。人による読み取り誤差や記載ミスも防げ、品質管理が容易になります。

安全性向上:離れた位置から計測できるため、高所や危険箇所での作業リスクを低減できます。足場や高所作業車に依存する従来手法に比べ、作業員の安全確保につながります。必要な足場設置や車線規制を減らせれば、作業員の安全確保とともに利用者への影響やコスト低減にも寄与します。

情報共有:クラウドを通じて点検データを即座に共有できるため、現場とオフィス間、発注者と施工者間の連携が円滑になります。熟練技術者が遠隔からデータを確認し新人をサポートするといった活用も可能です。過去データも蓄積され、長期的な資産管理に活用できます。

多用途性:取得した3Dデータは点検だけでなく、補修計画や出来形管理など様々な目的に活用可能です。スマホ+LRTK一台で測量や設計支援までこなせるため、機器の追加投資を抑えつつ業務範囲を拡大できます。災害調査や竣工図作成への応用も期待できます。


さらに、点検で取得した3Dデータを補修工事前の簡易な現況測量(寸法取りや数量算出)に活用することも可能です。従来なら別途測量班を手配していた作業も、スマホひとつでさっと現場計測が完了するため、調査から施工への段取りがスムーズになります。また、LRTKを用いれば設計図上の座標を現地に展開し、杭打ちや墨出し(位置出し)を単独でこなすこともできます。さらに、AR機能を使えば完成イメージの3Dモデルを実物の風景に重ねて表示しながら「この位置にボルトを設置」や「この範囲を補修」といった指示を出すこともできるため、点検で発見した不具合箇所の補修計画立案まで一貫してこなせるようになります。


このように、スマホとLRTKの組み合わせはインフラ点検のDXを強力に後押しします。現場担当者一人ひとりが高精度の「デジタル目」を持つことで、劣化の見逃し防止、記録の高度化、意思決定の迅速化が期待できます。非破壊検査をスマホで実現するこの新技術をぜひ活用し、あなたの現場でも安全・効率・精度の新時代を切り拓いてみませんか。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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