top of page

国土交通省のヒートマップと出来形管理図表の違いを4つで整理

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均4分30秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

「ヒートマップ 国土交通省」で調べている実務担当者の多くが最初に迷うのは、ヒートマップと出来形管理図表は同じものなのか、それとも別物なのか、という点です。結論から言えば、国土交通省の出来形管理の文脈では、両者は完全に別の概念というより、出来形管理図表という大きな提出物の中で、ヒートマップが中核となる見せ方を担っている関係として理解すると整理しやすいです。実際、現行のICT活用工事(土工)実施要領では「出来形管理図表(ヒートマップ)」という表現が使われ、面的に良否を判定する管理手法として位置づけられています。一方で、研修資料や帳票例を見ると、出来形管理図表にはヒートマップだけでなく、平均値や最大値、最小値、データ数、評価面積、棄却点数なども整理されるため、実務上は「ヒートマップだけを見れば足りる」という理解では不十分です。


目次

ヒートマップと出来形管理図表が混同されやすい理由

違い1 比較対象の範囲が違う

違い2 主な役割が違う

違い3 表現する情報の粒度が違う

違い4 提出物としての位置づけが違う

現場で迷わない整理のしかた

国土交通省対応で押さえたい注意点

まとめ


ヒートマップと出来形管理図表が混同されやすい理由

この用語がややこしいのは、国土交通省の資料側でも、実務者が日常会話で使う言葉でも、両者がかなり近い意味で扱われているからです。現行の要領では、出来形管理にあたって「出来形管理図表(ヒートマップ)」を作成し、出来形の良否を判定する面管理を行うとされています。つまり制度上の呼び方として、出来形管理図表とヒートマップが並列表記されているため、検索する側から見ると同義語のように見えやすいのです。


ただし、より丁寧に資料を読むと、実際には少し階層が違います。関東地方整備局の研修資料では、出来形管理資料とは出来形管理図表を指すと整理されたうえで、帳票例として平均値、最大値、最小値、データ数、評価面積、棄却点数を表形式で整理し、さらに設計面と出来形評価用データの各ポイントとの離れを評価範囲の平面上にプロットした分布図を明示すると説明されています。その分布図の表現方法として使われるのがヒートマップです。つまり、ヒートマップは図表の中心部分ですが、図表全体そのものではありません。


この関係を知らずに資料を読むと、「ヒートマップを出せば終わり」と理解してしまいがちです。しかし実務では、発注者や監督職員が確認したいのは単なる色の分布だけではなく、その色がどの規格値に対する割合なのか、対象部位はどこか、外れ値はどう扱ったか、全体統計はどうか、といった説明可能性まで含めた管理結果です。ここを押さえると、検索語としては近くても、現場での役割には差があることが見えてきます。


違い1 比較対象の範囲が違う

1つ目の違いは、何を指しているかという範囲です。ヒートマップは、設計面と出来形評価用データの各ポイントとの離れを、規格値に対する割合として色分けした可視化表現です。関東地方整備局の資料では、離れの計算結果を規格値に対する割合として示すヒートマップを、マイナス100パーセントからプラス100パーセントの範囲で色分けし、規格値の範囲外は別色で明示するとされています。ここで焦点になっているのは、各点が規格値に対してどこに位置しているかという、点ごとの評価結果です。


これに対して出来形管理図表は、点ごとの色分けだけを指す言葉ではありません。要領や帳票例に沿って整理された提出用の管理資料全体を指します。出来形管理図表には、ヒートマップのほか、平均値、最大値、最小値、データ数、評価面積、棄却点数などの統計情報が含まれ、場合によってはどの管理箇所を対象にした資料なのかも明確に示されます。さらに、出来形確認箇所ごと、あるいは規格値の異なる部位ごとに作成することが望ましいとされており、単なる画像一枚ではなく、管理単位に応じて編成された帳票であることが分かります。


この違いを実務に置き換えると、ヒートマップは「差を色で見せる図」、出来形管理図表は「その図を含んだ判定資料一式」に近いです。たとえば現場内の打合せで「ヒートマップを見せてください」と言う場合は色分布図を指していても通じますが、検査や提出の場面で「出来形管理図表を出してください」と言われたときに、色分布だけの出力物を渡すと、必要な情報が足りない可能性があります。両者の範囲の違いを理解しておくことは、資料不足や手戻りを防ぐうえで非常に重要です。


違い2 主な役割が違う

2つ目の違いは、主な役割です。ヒートマップの役割は、面的なばらつきや偏りをひと目で把握できるようにすることです。従来の断面管理では見えにくかった、断面間の凹凸や局所的な過不足を面的に評価できるようにすることが、3次元出来形管理の大きな狙いでした。国土交通省の初期の整理でも、多点計測による面的施工管理を実現し、従来と同等の出来形品質を確保するための可視化手段としてヒートマップが示されています。


特にヒートマップの強みは、数値表だけでは分かりにくい「どこに問題が集中しているか」を直感的に把握できる点にあります。平均値が規格内であっても、一部に偏った過掘りや盛り過ぎ、局所的な不足があれば、施工品質や後工程への影響を見逃すおそれがあります。ヒートマップは、そうした局所的な異常を色の分布で浮かび上がらせるため、施工途中の是正判断や、監督・検査時の説明にも向いています。色で確認できること自体が目的ではなく、面的な異常の所在を短時間でつかむことが役割です。


一方、出来形管理図表の役割は、可視化だけではなく、合否判定を含む管理結果を整理して提出することです。現行要領では、出来形管理図表を作成して出来形の良否を判定する管理手法として位置づけられていますし、研修資料でも作成した帳票の合否判定を確認することが注意点として示されています。つまり図表は、見やすい図ではなく、施工管理の結果を説明し、監督職員や検査側が判断できる形に整えるための提出資料なのです。


この差を一言で言えば、ヒートマップは「見抜くための表現」、出来形管理図表は「説明し判定してもらうための資料」です。現場でのセルフチェックではヒートマップの価値が前面に出ますが、発注者に対して管理の妥当性を示す場面では、図表としての整理が不可欠になります。検索時には同じように見えても、役割の重心は同じではありません。


違い3 表現する情報の粒度が違う

3つ目の違いは、表現する情報の粒度です。ヒートマップは基本的にポイント単位の情報を平面上に並べて見せる表現です。関東地方整備局の資料では、データのポイントごとに結果をプロットし、規格値に対する割合として色分けすること、さらに色の凡例を明示し、プラスマイナス50パーセントや80パーセントの前後が区別できるように別の色で示すことが説明されています。これは、単に合格か不合格かの二値判定ではなく、規格値にどの程度近づいているかまで視覚化する設計になっていることを意味します。


そのためヒートマップを見るときは、赤や青などの色を漠然と眺めるだけでは足りません。何を100パーセントと定義しているのか、外れ値をどの色で示しているのか、色の切り替え位置はどう設定されているのかを理解する必要があります。規格値が片側しか設定されていない工種でも、反対側を仮定して表示したほうが望ましいとされる考え方や、50パーセント以内、80パーセント以内に収まる計測点数を明示することが望ましいとされている点からも、ヒートマップは単なる見た目ではなく、評価ロジックを含んだ可視化であることが分かります。


これに対して出来形管理図表は、ポイント単位の色分布を、面全体や管理箇所全体の評価に読み替えるための整理を担います。平均値や最大値、最小値、データ数、評価面積、棄却点数といった統計は、個々の点の集まりを工区・部位・管理区分の単位で解釈するための情報です。ヒートマップがミクロな情報を見せるのに対して、出来形管理図表はそのミクロ情報をマクロに読めるように束ねています。色だけでなく、数値で全体像を補強している点が大きな違いです。


実務では、この粒度の違いを理解していないと判断を誤りやすくなります。たとえばヒートマップ上に注意色が散発していても、全体の平均や最大値、評価面積との関係で見れば施工管理上問題のないケースもありますし、逆に色の見た目が全体として落ち着いていても、一部に規格値外が集中していれば対応が必要です。ヒートマップで異常の位置をつかみ、出来形管理図表でその異常が全体評価としてどう位置づくかを確認する。この二段階で読むのが、国土交通省対応の実務ではもっとも安全です。


違い4 提出物としての位置づけが違う

4つ目の違いは、提出物としての位置づけです。現行の要領では、出来形管理にあたっては、計測範囲において1メートル間隔以下、1平方メートル当たり1点以上の点密度を確保できる出来形計測を行い、3次元設計データと各ポイントとの離れを算出して面的に良否を判定するとされています。ここで作成されるのが出来形管理図表であり、実務上の管理成果物として扱われます。つまり制度の入口では、提出対象として明示されるのはヒートマップ単体ではなく、出来形管理図表です。


さらに研修資料では、納品方法として「PDF」または「ビューアー付き3次元データ」が示され、ビューアーで納品した場合はPDF納品が不要とされています。ここから分かるのは、出来形管理図表が単なる画面表示ではなく、納品形式まで含めた成果品の概念を持っていることです。ヒートマップはその中核となる可視化ですが、納品や検査の単位として扱われるのは、あくまで図表ないし管理資料です。ヒートマップだけを画像で保存しておけばよい、という発想では制度上の整理とずれてしまいます。


一方で近年は、提出物の考え方にも変化の兆しがあります。2024年の国土交通省の試行通知では、3次元モデルやAR等のデジタル技術を活用し、従来方法との比較で監督・検査等に支障がないと受発注者双方で確認できた場合には、現行の基準に替えて新たな手法の活用を可能としています。参考事例では、従来作成していた出来形管理図表の作成を省略し、3次元計測データを付与したモデルで出来形確認を行う例も示されています。これは「今後はヒートマップ不要」という意味ではありませんが、提出物としての図表の位置づけが、将来的によりデジタルモデル中心へ移る可能性を示しています。


つまり現在の実務では、原則として出来形管理図表が正式な管理成果物であり、ヒートマップはその中の重要な構成要素です。ただし試行的な取り組みでは、ヒートマップや従来帳票に代わって、3次元モデルや現地投影技術を用いた確認手法が認められる余地が出てきています。この流れを知らないまま古い感覚で「ヒートマップ画像さえあればよい」と考えるのも危険ですし、逆に新しい試行事例だけを見て「図表はもう不要」と決めつけるのも早計です。現時点では、原則と試行の線引きを理解しておくことが重要です。


現場で迷わない整理のしかた

ここまでの違いを、現場で使いやすい形に言い換えると次のようになります。ヒートマップは、設計との差を面的に色で見せるための画面です。出来形管理図表は、その画面に統計値や判定情報、対象範囲の説明を加えた提出資料です。したがって「ヒートマップを確認する」という作業と、「出来形管理図表を作成する」という作業は、似ているようで同じではありません。前者は確認行為であり、後者は提出物の整備です。


また、ヒートマップは運用の途中段階でも役立ちます。施工中の出来形傾向を早めにつかみ、偏りや局所的な外れを見つけることで、手戻りが大きくなる前に調整しやすくなります。出来形管理図表は、その途中確認の成果を最終的に説明可能な形へ落とし込む段階で重要になります。現場管理者、測量担当者、監督職員、検査担当者では見たい情報の粒度が異なるため、色分布だけで済む場面と、図表として整理しないと通らない場面を分けて考えるのが実務的です。


検索の段階で言葉を整理するなら、「ヒートマップ」は主に見せ方のキーワード、「出来形管理図表」は提出物・帳票のキーワードとして理解すると混乱が減ります。もし発注者とのやり取りや社内確認で言葉を選ぶなら、提出や納品の話をするときは「出来形管理図表」、画面上の色分布や差の見え方を話すときは「ヒートマップ」と使い分けると、認識齟齬が起きにくくなります。国土交通省資料が両者を併記しているからこそ、実務ではあえて言い分けることに意味があります。


国土交通省対応で押さえたい注意点

まず押さえたいのは、ヒートマップの色だけで合否を判断しないことです。色の派手さに目が行きがちですが、本来は規格値に対する割合、色凡例、範囲外の別色表示、50パーセントや80パーセント付近の区別など、評価条件がそろって初めて正しく読めます。凡例が不十分だったり、規格値との対応関係が曖昧だったりすると、同じ色分布でも解釈が変わってしまいます。見た目の印象ではなく、評価基準と紐づいた図として読むことが大切です。


次に、出来形管理図表は部位ごと、規格値ごとに整理するという基本を忘れないことです。研修資料では、平場、天端、法面ごとに作成すること、また規格値の異なる部位ごとに作成することが示されています。ここを雑にまとめると、図表としては見やすくても、どの規格でどの結果を判定しているのかが不明確になります。実務では効率化したくなる場面ほど、一枚にまとめすぎない姿勢が重要です。


さらに、近年のデジタル活用の流れを踏まえても、現時点では原則と例外の区別が必要です。新しい試行ではモデル中心の確認や現地投影による省略例が出ていますが、それは従来方法と比較し、支障がないことを確認したうえで活用する枠組みです。通常の運用で何の協議もなく従来図表を省いてよい、という話ではありません。新技術を活用する場合ほど、どの資料が原則で、どこからが協議事項なのかを明確にしておく必要があります。


最後に、ヒートマップと出来形管理図表の違いを理解することは、単なる言葉の整理ではありません。測る、比べる、直す、説明する、納めるという一連の流れを切り分けることでもあります。この切り分けができると、施工途中の確認はスピード重視、提出段階は説明性重視というように、目的に応じた資料づくりがしやすくなります。結果として、検査前のあわただしい段階で資料の意味を取り違えるリスクを大きく減らせます。


まとめ

国土交通省の文脈で見ると、ヒートマップと出来形管理図表は、完全に別々のものとして切り離すよりも、出来形管理図表の中でヒートマップが中核的な可視化を担っていると理解するのがもっとも実務的です。違いを4つで整理すると、比較対象の範囲が違うこと、主な役割が違うこと、表現する情報の粒度が違うこと、そして提出物としての位置づけが違うことに集約できます。ヒートマップは差を見抜くための図であり、出来形管理図表はその図を含めて良否判定を説明するための資料です。この整理ができるだけで、検索で得た知識を現場の判断に結びつけやすくなります。


出来形管理を実務で安定させるには、最終帳票の作り方だけでなく、途中段階でどれだけ早く座標と位置の確認ができるかも重要です。現地での基準点確認や位置出し、簡易な測位確認が遅れると、後段の計測や図表整理にも影響しやすくなります。そうした日常の前準備を軽くしていく手段として、iPhoneに装着して使えるGNSS高精度測位デバイスのLRTKは相性のよい選択肢です。センチ級の位置確認を手元で進めやすくなると、現場での座標確認や測位作業を効率化しながら、出来形確認の前段も整えやすくなります。ヒートマップや出来形管理図表そのものを作る工程とは別ですが、現場の座標確認を素早く行える環境を持っておくことは、結果として出来形管理全体の精度とスピードの底上げにつながります。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page