はじめに:2025年、GNSS測位の新しい局面
2025年現在、衛星測位技術(GNSS)は飛躍的な進歩を遂げており、土木測量の世界に新たな局面をもたらしています。これまでGPSをはじめとするGNSS測位は一般利用では数メートル程度の誤差が当たり前でした。しかし今、測位誤差をセンチメートル級まで抑える高精度測位が現実のものとなりつつあります。特に近年はスマートフォンを活用したスマホ測量が急速に普及し、誰もが手軽に高度なGNSS測量を行える時代が到来しました。GNSS衛星の増強と技術革新、そしてスマホの対応進化によって、2025年の技術動向として「スマホでできる土木測量」は大きな注目を集めています。
本記事では、GNSSの高精度化動向とスマホ測位普及の背景、そして最新技術LRTK(後述)によって実現する「持ち歩ける土木測量機」の姿について解説します。さらに、日本独自の衛星補強サービスである「みちびき」のCLASの最新状況、コストダウンによる導入障壁の低下、そしてスマホ+GNSSが推進する施工DX(デジタルトランスフォーメーション)と省人化への影響についても展望します。最後に、LRTKを用いた簡単な測量手順を紹介し、最新技術の導入メリットを考えてみましょう。
高精度化が加速するGNSS技術の進展
まず、GNSS測位そのものの技術進展について整理します。GNSS(Global Navigation Satellite Systemの略称)はGPSを含む全球測位衛星システムの総称で、米国GPS、ロシアGLONASS、欧州Galileo、中国BeiDou、日本の準天頂衛星システム(QZSS「みちびき」)などが含まれます。近年、これらマルチGNSSをフル活用することで衛星の捕捉数が飛躍的に増え、測位の安定性と精度が格段に向上しています。また各衛星からの信号も従来の単一周波数(L1帯)だけでなく、GPSやGalileoのL5帯など複数周波数を同時受信することで電離圏誤差を打ち消し、測位精度を上げることが可能になりました。さらに日本の「みちびき」をはじめ、一部の衛星は高精度測位を補強する専用信号を送信しています。つまり、多様なGNSS衛星と新しい補強信号を組み合わせることで、従来数メートルが限界だった誤差を打破し、センチメートル級測位を実現する道が開けてきたのです。
衛星測位の高精度化を支える誤差補正技術も進化を遂げてきました。かつては静止衛星を用いたSBAS(広域衛星補強システム)や、基地局とのコード測位差分で精度を高めるDGPSなどが利用され、数メートルの誤差を1メートル程度まで縮減していました。そして現在主流となっているのがRTK(Real-Time Kinematic)です。RTKは基地局と移動局(ローバー)で同時にGNSSの生データを取得し、無線や通信でやり取りすることで誤差要因をリアルタイムに除去します。RTK測位では通常、水平1~2cm・垂直3~4cm程度の精度が数秒で得られるため、センチメートル級測位の代表的手法として測量機器や建機の位置制御に広く使われています。しかし従来のRTKは自前の基地局設置や通信環境が必要で、利用範 囲も基地局から半径十数キロ程度に限定されるという制約がありました。こうした中、近年登場したのがPPP-RTKと呼ばれる次世代の補正方式です。日本においては準天頂衛星みちびきの「CLAS(センチメータ級測位補強サービス)」がPPP-RTKの仕組みを実現しており、後述するように基地局や通信なしでもリアルタイムにRTK並みの精度を得られる画期的な技術となっています。
このように、GNSSそのものの多周波・多衛星化と補正方式の高度化によって、ここ数年で高精度測位のハードルは一気に下がりました。技術の土台が整ったことで、次はいよいよそれを「誰が」「どう使うか」という応用の段階に入っています。
スマホ測位の急速な普及とその背景
高精度GNSSの恩恵を真っ先に受けるのが、私たちの日常に身近なスマートフォンです。現在のスマホには高性能なGNSSチップが搭載されており、GPSだけでなく複数の衛星系の信号を同時受信できるものが増えています。例えばAndroidスマホでは数年前 からL1/L5のデュアル周波数測位に対応するモデルが登場し、iPhoneも近年「正確な位置情報」機能で測位制度を高めています。こうしたハードの進歩に加え、Androidでは開発者向けに生のGNSS測定データを取得できるAPIが公開されるなど、ソフト面でもスマホで高精度測位を活用しやすい環境が整ってきました。その結果、地図ナビ程度なら数メートル誤差で十分だったスマホ測位が、数十センチ~数センチの精度をも目指せる段階に突入しつつあります。
スマホ測位(スマホによるGNSS測位)が急速に普及している背景には、技術面以外の要因もあります。第一にコストの低下とユーザ数の多さです。専用の測量機器と比べて、スマホは既に多くの人が持っている汎用デバイスであり、追加のハード投資が最小限ですみます。高精度対応の外付けGNSSレシーバも従来の業務用機器に比べれば安価になり、手軽に入手できるようになりました。第二に手軽さと利便性です。スマホは日常的に使い慣れたインターフェースを備え、タッチ操作で直感的に扱えます。わざわざ専門業者に依頼しなくても、現場の技術者自らが測位アプリを操作して必要なデータを取得できるようになれば、作業フローの効率化につながります。こうした利点から、建設・土木の分 野でも現場管理にスマホを活用する動きが広がってきました。いわゆる「スマホ測量」とも呼ばれる取り組みで、現場の担当者がスマホで測位・計測を行い、そのままクラウドで共有・解析するスタイルが各地で実践され始めています。国も「i-Construction」などの政策でICT活用を推進しており、スマホ+GNSSによる省力化・高度化はこの流れに合致したものといえるでしょう。
LRTKが可能にする「持ち歩ける土木測量機」
では、スマホを本格的な測量機器に変えてしまう鍵となる技術とは何でしょうか。その一つの答えがLRTK(エルアールティーケー)です。LRTKは簡単に言えば「スマートフォン用の超小型RTK測位デバイスとクラウドサービスの組み合わせ」で、スマホを使ったGNSS測量を強力にサポートします。LRTKの専用受信機(製品名:LRTK Phone)はスマホと一体化するよう設計されたデバイスで、重さはスマホ並みのわずか百数十グラム、厚さも約1cm程度と非常にコンパクトです。内部に高精度GNSSアンテナとバッテリーを内蔵し、Bluetoothでスマホとワイヤレス接続するためケーブルも不要です。スマホの背面に装着して携帯でき、現場で電源を入れればcm精度測位が可能なGNSS端末として機能します。まさに「ポケットに入る土木測量機」を実現するデバイスと言えるでしょう。
LRTK Phoneをスマホに取り付ければ、これまで据置型の機器や三脚が必要だった作業も手軽にこなせます。例えば従来、精密な測量には二人一組でトータルステーションを操作したり、重量級のGNSS受信機を持ち歩いたりする必要がありました。しかしLRTKなら片手で持ち歩きながら測位ができ、複雑な設定も要りません。スマホ画面のアプリ上で「測位開始」をタップするだけで、数十秒~1分程度で位置精度がセンチ単位に収束します。加えて、日本の準天頂衛星システムに対応しており、後述のCLAS衛星補強信号を受信できるため、山間部など携帯通信が届かない現場でも単独で高精度GNSS測位が可能です。この「通信圏外でも使える」という特長は、山林測量や災害現場での活用において大きな強みとなっています。
実際、土木測量の現場でLRTKを導入した事例も出始めています。例えば福井県福井市では、2022年の豪雨災害の復旧現場に試験的にLRTK Phoneを導入し、被災箇所 の測量を迅速化する取り組みを行いました。その結果、現地に専門の測量士が赴かなくても、担当職員がiPhoneに取り付けたLRTKで被災地の地形データを短時間で取得し、復旧工事の計画立案に役立てることができました【[福井放送の報道](https://news.yahoo.co.jp/articles/363a7f5dd8ee7b325503aa13d28fce0c600d67f9)】。通信インフラが麻痺しかけている状況でも、みちびき衛星からの補強信号を使って正確に測位できるため、孤立した被災地の状況を即座に把握し、後方の支援チームとデータ共有することが可能になります。実際この現場では、崩れた法面の体積を点群スキャンで算出したり、崩落道路の寸法を即測定したりといった使い方がなされ、早期復旧とコスト削減に大きく寄与したと報告されています。このようにLRTKは災害対応でも威力を発揮しており、「持ち歩ける測量機」として現場の機動力を飛躍的に高めています。
またLRTK Phoneは、市販の一脚や三脚に取り付けて本格的な単点測量にも利用できます。専用の一脚アダプタを使えば、測量用のポールのように端末を据えてポイントの座標を測定できます。高さオフセット(地面から受信機までの高さ)もアプリ側で自動計算されるため、難しい補正作業は不要です。一人でポールを持ってボタンを押すだけで、測量機器と遜色ない精度の座標が取得できます。これは従来、測量専門技術者にしか扱えなかった精密測位作業を、一般の技術者でもこなせるようにする画期的なポイントです。自社内で少人数でも測量を完結できるため、業務の内製化やコスト圧縮にもつながるでしょう。
衛星補強サービス(CLASなど)の制度と最新状況
LRTKの高精度測位を支える要素として、日本独自の衛星補強サービスである「CLAS」が重要な役割を担っています。CLAS(センチメータ級測位補強サービス)とは、準天頂衛星みちびきが提供する測位誤差補正情報の配信サービスです。国土地理院の電子基準点網から集めた観測データをもとに日本全国向けの誤差情報を生成し、それをL6帯電波で衛星から直接送り届けることで、ユーザー側でリアルタイムに位置補正を行える仕組みになっています。要するに「人工衛星を使った広域RTK」とも言える技術で、対応受信機さえあれば誰でも無料で利用可能なのが特徴です。従来のネットワーク型RTK(VRS方式など)は携帯回線による常時通信や有料サービス契約が必要でしたが、CLASならその必要がありません。山間部や海上など通信圏外の環境でも、空さえ見えていれば衛星経由でcm級測位ができるため、日本全国どこでも安定した高精度GNSS測量が実現します(ただしCLASは日本国内向けサー ビスで、補強情報は国内の基準点データを前提としているため国外では利用できません)。
2025年現在、このCLASを取り巻く制度と技術もさらに発展しています。みちびきは2018年に4機体制で正式運用を開始しましたが、今後は予備衛星を含めた7機体制への拡充が進められており、衛星測位サービス全体の信頼性向上が期待されています。特にCLASについては、補強対象とするGPSやGalileo衛星の数(補強衛星スロット)を増やすアップデートが計画されており、2025年には補強信号のマルチストリーム化によってさらなる測位精度向上や安定性強化の検証が行われています。実際、2025年9月からは新しい信号規格(IS-QZSS-L6-007)に基づき、同時に補強できる衛星数が大幅に増加する予定だと報じられています。これにより都市部など衛星視野が限られる環境でも、より確実に複数衛星の補正を受けられるようになり、精度と可用性が一段と向上するでしょう。
衛星補強サービスはCLAS以外にも各国で展開されています。日本の準天頂衛星システムには、メートル級精度のサブメータ補強信号(SLAS)もあり、自動運転や農業機械向けに活用が進んでいます。また欧州Galileoは2023年に高精度測位サービス(HAS)の初期提供を開始し、数十セ ンチ精度の補正情報をグローバルに配信し始めました。世界的に見ても、衛星から高精度補正を届ける技術はGNSSの次なるトレンドになっています。その中で、日本のCLASは運用実績が豊富で精度も優秀な先進例と言えます。LRTKはまさにこのCLASをフル活用できるよう設計されており、専用の「圏外対応アンテナ」を接続してアプリでCLASモードをオンにすれば、上空のみちびきから約30秒〜数分で“Fix解”(固定解:誤差数cmの解)を得ることができます。これは従来のRTK方式に比べても遜色ない精度でありながら、基地局の設置も通信費も不要という大きなメリットです。最新の衛星補強サービスを使いこなすことで、スマホ測量の可能性は一層広がっているのです。
コストダウンと導入障壁の低下
技術が進んでも、それを現場で使える形にするにはコスト面・運用面のハードルを下げる必要があります。その点で「スマホ+高精度GNSS」の組み合わせは、驚くほどのコストダウンと導入障壁の低下を実現しています。まず設備投資コストについて考えてみましょう。従来、センチ精度の測量を行おうとすれば、高額な測量機器(1台数百万円にもなるRTK受信機セットやトータルステーション)を用意する必要がありました。さらに運用には三脚やスタッフ、無線装置 、測量士の人件費など多大なコストがかかります。結果として中小の建設業者や自治体にとっては、高精度の測量は外注に頼らざるを得ない分野でした。それが今や、市販のスマートフォンとLRTKのような小型デバイスさえあれば、初期費用を格段に抑えて同等の測位精度を手に入れられるようになったのです。既存のスマホを流用できるうえ、LRTK端末自体も大型機器に比べれば圧倒的に安価です。通信料も、前述のCLASを使えば補正情報を受け取るための追加コストはかかりません(インターネット経由のネットワークRTKも利用できますが、その場合も携帯通信網が使える範囲ならごく少量のデータ通信で済みます)。こうした低コスト化によって、センチメートル級GNSS測量が特殊な一部の専門作業から、幅広い現場で日常的に使える技術へと変わりつつあります。
次に導入の手軽さという面でも、ハードルは大きく下がりました。LRTKを含むスマホ測量システムは、基本的に「スマホが使える人」であれば短時間のトレーニングで扱えるよう設計されています。従来の測量機器は操作パネルも専門的で、扱いに熟練が必要でした。一方スマホ測量では、測位の開始から記録・共有までほとんどワンタップずつで完結します。例えば高さ計算や座標系の設定といった煩雑な作業もアプリが自動処理してくれるため、ユーザーは現在地と結果の精度表示を確認するだけです。これは現場で働く技術者にとって大きな利点です。測量の専門知識がない人でも使えることで、社内の誰もが測量データを取得できるようになります。人手不足が深刻化する建設業界において、省人化・効率化の効果は見逃せません。また、携帯性に優れたスマホ測量機材なら現場への持ち込みも苦にならないため、「ついで測量」で細かな点検を行うこともできます。例えば工事監督者が現場巡回の合間に要所の高さや距離をさっと測って記録するといった具合です。今までは後日測量班を呼んでいたような軽微な計測も、自分たちでその場ですぐできる――この蓄積が全体の生産性向上につながっていくでしょう。要するに、高精度GNSS技術のコストと使い勝手の改善によって、導入の心理的・経済的ハードルが劇的に下がり、多くの現場が恩恵を受けられる環境が整ったのです。
スマホ+GNSSが推進する施工DXと省人化
スマホと高精度GNSSの融合は、単なる測量作業の効率化に留まらず、建設・土木分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に後押ししています。これまでアナログ作業が多かった施工現場にもデジタルデータ活用の波が押し寄せており、スマホ測量はそのキ ー技術の一つとなっています。
まず施工管理や出来形管理の分野での活用が挙げられます。例えば道路工事では、設計図に示された座標と現地のズレをチェックする作業が不可欠です。LRTKを用いれば、設計データ上のポイントをアプリに読み込んで現地で誘導表示する「座標ナビ(誘導)」機能が使えます。これにより、草木や雪に埋もれた既設の測量標杭であっても、スマホ画面の矢印に従って探し当てることが可能です。杭打ち位置のマーキング作業も、一人でスマホを持って歩き回り、所定の位置で知らせてくれるので効率的です。従来は測量担当者と補助員の2人以上が必要だった杭打ち作業も、スマホ+GNSSなら1人で完結できる場合があるということです。これは省人化の効果として非常に大きいでしょう。
次に品質管理や検査のDXです。スマホのカメラとAR(拡張現実)機能を組み合わせ、高精度位置合わせした3Dモデルを現場で重ねて表示すれば、出来形の良否を直感的に確認できます。例えば完成した構造物に設計3DモデルをAR表示してみて、少しでも位置ずれがあればすぐ分かる、といった使い方です【現場で実際にスマホをかざしてモデルを照合する様子が各所で試されています】。LRTKの高精度測位があるおかげで、どれだけ端末を持って歩き回ってもAR表示がずれることなく常に正しい位置に出るため、広範囲を歩いて検査しても安心です。これにより手戻りの防止や品質向上が図られ、工事完成後の手直しやクレームを減らす効果も期待できます。また点群データを活用した施工DXも促進されます。LRTKを使えば現場を3Dスキャンして得た点群に即座に絶対座標(緯度経度・標高)を与えられるため、地形の出来高や掘削量をその場で計算することも可能です。例えば造成現場で盛土の体積をスキャンから自動算出し、必要なダンプの台数や運搬土量を即時に把握するといった高度な活用も現実味を帯びています。これらのデジタルデータはクラウド経由で事務所や発注者ともリアルタイムに共有できるため、遠隔で進捗状況を把握したり迅速な意思決定を行ったりすることにも繋がっています。
さらに安全管理や維持管理の領域でもスマホ+GNSSは力を発揮します。例えばインフラ点検では、橋梁や道路標識などの位置を測位写真として記録することで、後から同じ場所を正確に比較できます。LRTKの測 位写真機能では、写真に撮影時の正確な座標と方位角を自動付与できるため、点検報告の資料作成もボタン一つです。時系列で同地点の写真を並べて劣化の進行具合を把握する、といったことも容易になります。また道路下に埋設された上下水道管の位置をあらかじめLRTKで測定しデジタル記録しておけば、次回掘削工事の際にその地下配管モデルをAR表示で透視することも可能です。これにより、掘削時に誤って管を損傷するリスクを減らし、安全かつ効率的な作業が実現します。このように、施工から維持管理まで一貫してデジタル化していく流れの中で、スマホ+GNSSのコンビは重要な役割を担っているのです。国土交通省も出来形管理要領を改定し、3次元データによる管理手法を積極的に取り入れていますが、LRTKで取得した点群や座標データはこうした要領にも沿った活用が可能であり、将来的には標準的な手法の一つになることが期待されます。
LRTKで実現する簡単な測量の流れと導入のすすめ
最後に、LRTK Phoneを使った簡単な測量の一連の流れを紹介します。専門的な技術がなくても、以下の手順に沿って操作すれば誰でもセンチメートル精度の測位データを取得・共有できます。
• 機器とアプリの準備:スマートフォンにLRTK Phone端末を装着し、端末の電源を入れます。iPhoneの場合は専用のLRTKアプリを起動し、Bluetooth接続ボタンをタップして端末とリンクさせます。装着が完了したら、できるだけ見通しの良い屋外に移動しましょう。
• 高精度測位の開始:アプリ上で測位を開始すると、端末が自動でGNSS衛星を捕捉し始めます。最初の数十秒は誤差が数メートルありますが、みちびきからCLAS補強信号を受信して内部処理が進むにつれて精度が向上していきます。空が広く開けた場所なら概ね30秒~1分程度で状態表示が「Fix(固定)」に変わり、センチメートル級の測位が可能な状態になります。
• ポイントの測定と記録:測りたい地点にスマホ(またはLRTK端末)を持って移動し、できれば付属の一脚などで端末を安定させてから、アプリの「測位」ボタンを押します。するとその地点の座標値が取得され、画面上に緯度・経度・高さがリアルタイム表示されます。必要に応じて数秒間連続測位し、平均値をとって精度をさらに安定させることも可能です。十分な精度が得られたら「保存」ボタンを タップし、その点のデータをスマホ内に保存します。保存時に点名やメモを入力できるので、後で分かりやすい名前を付けておきます。
• データの共有・活用:現場で保存した測位データは、後ほどまとめて活用できます。スマホのアプリからワンタップでLRTKクラウドにデータを同期すれば、オフィスのPCブラウザからすぐにその座標群を地図上で確認したり、一覧表としてダウンロードしたりできます。クラウド上では複数点間の距離や囲まれた面積を計測することも可能で、測量成果の作図や数量算出に役立ちます。現場で取得したデータを即座に社内外で共有・解析できるため、関係者との情報共有や報告書作成もスムーズに進むでしょう。
以上のように、LRTKを使った測量ワークフローは非常にシンプルです。従来のような高度な測量スキルや煩雑な機器操作はもはや必要ありません。スマホ操作に慣れていない方でも直感的に扱えるアプリ設計になっており、「測る→保存→共有」がボタン操作だけで完結します。わずかな時間でセンチ精度の測位ができるため、現場作業の合間に追加の測量をしたり、急な計測依頼に即対応したりすることも苦になりません。「高精度測位をもっと身近に、もっと手軽に」――LRTKはGPS誤差の課題を解決し、測位の世界を次のステージへ押し上げる頼もしいツールと言えるでしょう。
これから先、GNSSや点群データを活用した施工DXや業務効率化を検討している技術者の方々は、ぜひこの最新補正技術であるLRTKの導入を前向きに検討してみてください。スマホ測量がもたらす利便性と性能は、現場の風景を一変させるほど大きな可能性を秘めています。2025年以降さらに加速するであろうGNSS技術動向の波に乗り、未来の土木測量をリードしていきましょう。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
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