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GNSS測量 vs 従来測量法:LRTKで実現する新常識

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万能の測量機LRTKの説明

従来の測量は熟練の技術と多くの人手を要するものでした。しかし近年登場したGNSS測量技術やRTKシステムの普及により、測量の方法論は劇的に変化しつつあります。本記事では、従来測量とGNSS測量の違いを比較し、一人で高精度測位が可能となるLRTK(高精度RTK測位システム)の登場がもたらすスマート測量の新常識について解説します。


1. 測量とは?従来手法の基本と課題

測量とは、土地や構造物の位置や高さを測定して図面やデータを作成する作業です。従来の測量方法では、主にトータルステーションやレベル(測量用の望遠鏡付き水準器)などの光学測量機器を使用してきました。例えばトータルステーションは、望遠鏡で目標を捉えながら角度と距離を測ることで地形の点の位置を求める代表的な測量機器です。


従来手法の基本は、既知の基準点から相対的に測定を重ねて位置座標を求めていくことです。測点間で視通(お互いが見える状態)が必要であり、計測のためにしっかり機器を据え付けて、水平・垂直を調整してから角度・距離を読み取ります。


こうした光学測量の課題として、機材が大型かつ重量で運搬に労力がかかる点が挙げられます。また測量作業に2人以上の人手が必要で、一人が機器を操作しもう一人が目標プリズムや標尺を持って移動するのが一般的です。さらに精度維持のために機器の定期的な校正やメンテナンスが必要で、メーカーに送って調整しなければならない場合もあります。その間は機器が使えず、作業に支障が出る恐れもあります。


時間と手間がかかるのも従来測量法の大きな課題です。広い現場を測るには、複数回機器を据え直しながら少しずつ測量範囲を広げる必要があります。現地で取得したデータを事務所に持ち帰って整理・図化するなどアナログ的な工程も多く、リアルタイムにデータを活用しにくいという問題もありました。熟練した技術者が必要で省人化が難しい、これが従来測量の抱える悩みでした。


2. GNSS測量の原理と導入背景

GNSS測量とは、GPSに代表される人工衛星測位システムを活用して行う測量手法です。GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、GPS(米国)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、みちびき(日本のQZSS)などの全球測位衛星システムの総称です。GNSS測量では、複数の衛星から受信する信号をもとに受信機(アンテナ)の位置を地球上の座標として算出します。


衛星測位の利点は、地上に基線を設けなくても広範囲で絶対的な位置座標を取得できる点にあります。従来のトータルステーション測量が視通のとれる範囲内で相対的に測るのに対し、GNSS測位は上空の衛星との通信さえ確保できれば見通しの悪い地形や遠く離れた地点でも測位が可能です。また既知の基準点から離れた場所でも直接世界測地系の座標を得られるため、地盤や構造物の測量成果を地図座標に直結できます。


ただし、GNSSを測量に導入するためには測位精度の大幅な向上が不可欠でした。標準的な単独GPS測位では先述の通り5~10m程度の誤差が生じ、高精度が要求される測量には使えません。そこで登場したのがRTK(Real Time Kinematic)と呼ばれる高精度測位技術です。RTKは基地局となる固定GNSS受信機と移動局(ローバー)との間で衛星信号の誤差補正情報をリアルタイムにやりとりし、センチメートル級の測位を実現します。


日本でも2000年代以降、国土地理院の電子基準点網などを活用したGNSS測量が本格的に普及しました。最近ではインターネット経由で全国どこでも補正情報が受け取れるネットワーク型RTKや、準天頂衛星みちびきによるセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)など、基地局が無くても高精度測位できる仕組みも整っています。その結果、GNSS測量は土木測量や用地測量の現場で一般的に利用されるようになり、一人測量による省人化を実現する技術として注目されてきました。


3. 精度の違い:GNSSと従来法の比較

測量精度の観点で、従来測量法とGNSS測量を比較してみましょう。トータルステーションを用いる従来法では、短距離であれば数ミリの誤差まで測距でき、局所的な相対精度は非常に高い特徴があります。例えば建物の基礎位置出し(墨出し)や精密な変位計測などでは、光学測量機器によるミリ単位の測定が現在でも不可欠です。一方、広い範囲での測量や位置の絶対精度が要求される場面では、GNSS測量が真価を発揮します。


GNSS測量(RTK方式)の精度は、一般に水平±1~2cm、鉛直±3~4cm程度とされています。これは通常のGPS単独測位の誤差(5~10m)と比べて圧倒的に高精度であり、地形測量や出来形管理に十分耐えうる精度です。ただし、従来法で可能なミリ単位の厳密な精度と比べればやや粗い面もあるため、橋梁の位置決めや機械の芯出しといった超高精度を要する作業では今なお光学測量に軍配が上がる場合があります。


とはいえ、GNSS測量の実用精度は多くの土木・建設現場で必要十分なレベルに達しています。特に近年のGNSS受信機は複数の衛星測位システムと周波数帯を利用し、電離層誤差などをモデル化して補正することで、安定してセンチ単位の測位を可能としています。また GNSS で得られた測位結果は直ちに緯度・経度・高さといった世界共通の座標に結び付いているため、従来のように基準点との結合計算や座標変換に伴う誤差蓄積を気にせずに済むという利点もあります。


LRTKのような最新の高精度GNSS端末では、一点測位で約1~2cmの誤差、数秒間の平均測定を行えば水平方向で1cm未満の精度も実現しています。つまり機器さえ適切に扱えば、ほぼトータルステーションに匹敵する位置決定精度が得られる時代になったのです。この高精度測位の実現が、GNSS測量を実務で使えるレベルへと押し上げ、従来測量法との垣根を大きく低くしています。


4. 作業時間と人手の差が生む生産性の違い

従来測量法と GNSS 測量では、現場作業に必要な時間と人手に大きな違いがあります。この差はそのまま生産性の違いに直結します。例えばトータルステーションによる測量では、二人一組での作業で 1 日に取得できる点の数に限りがあります。移動のたびに機器を三脚に据え付け、水平出しをして、後視・前視を繰り返すため、一つの現場を測り終えるのに数日かかることも珍しくありません。


これに対し、GNSS測量では測量時間の大幅短縮一人測量の実現が期待できます。高精度 GNSS 受信機を用意しておけば、作業員 1 名がアンテナを持って測りたい地点を歩くだけで次々と測点の座標を取得できます。視通の確保や機器の据え替えに時間を取られることも無く、広いエリアでも測位範囲は衛星が見える限り無制限です。極端な話、熟練の測量士が不在でも、現場スタッフ一人が GNSS 機器を使ってある程度の測量を完了できてしまいます。


人員と時間を削減できるということは、そのままコスト削減にもつながります。従来は外部の測量会社に依頼していたような業務も、自社で GNSS 測量機器を導入し社員が扱えるようになれば、外注費や日程調整の負担を減らせるでしょう。また測量の迅速化は、後続の設計・施工工程を早める効果もあります。現場で測ったデータを即日クラウド共有して関係者に展開すれば、測量成果を待つ時間が不要となり、全体の工期短縮や意思決定のスピードアップにも寄与します。


このように GNSS 技術の活用は、測量作業の省人化と効率化を強力に後押しします。人手不足が深刻な建設業界において、最新の測量技術による生産性向上は現場と経営の双方に大きなメリットをもたらします。


5. デジタル化対応とデータ活用力

従来測量と GNSS 測量の差は、精度や効率だけではありません。得られるデータのデジタル化の度合いや、その後の活用範囲にも大きな違いがあります。従来の手法では、現場で手書きの野帳に記録した数値を事務所で電子化したり、CAD図面に起こしたりする手間が発生しました。機器からデータを取り出せてもフォーマット変換や座標系の調整が必要になることも多く、必ずしもリアルタイムにデータ共有・利活用できる形とは言えませんでした。


一方、GNSS測量はその本質がデジタル測位であり、取得した座標データを直接コンピュータで扱える利点があります。特に LRTK のようなスマート測量システムでは、測った座標が即座にスマートフォン上に保存され、クラウドに同期してリアルタイムに共有することが可能です。紙の野帳ではなく、最初からデジタルデータとして保存されるため、後続の設計や解析作業にシームレスに活用できます。


また、GNSS測量とデジタル技術の融合により、新たなデータ活用の可能性も広がっています。例えばスマートフォンと GNSS を組み合わせたシステムでは、単に点の座標を測るだけでなく、写真に高精度な位置情報を付加して測位写真として残したり、LiDARスキャナと連携して3次元点群データを取得したりといったことも容易です。従来は別々の機材や専門手法が必要だった空間データの取得が、オールインワンのデジタル機器で実現できるようになっています。


データ活用の面でも、クラウドプラットフォームを通じて測量データを関係者間で共有し、遠隔で現場の状況を把握したり、取得データから自動で土量を計算したりといった高度な処理が可能です。GNSS測量で得られる大量の位置情報は、単なる図面作成にとどまらず、施工管理の効率化や維持管理へのデータ蓄積にも役立ちます。このようにデジタル対応したスマート測量は、単発の測量作業を超えて建設プロジェクト全体の生産性と品質を底上げする原動力となりつつあります。


6. LRTKで実現するスマート測量の常識化

LRTKは、こうした GNSS 測量を現場で手軽に実践するために開発された高精度測位システムです。特に LRTK Phone はスマートフォンに装着して使う小型の GNSS 受信機で、従来の常識を覆す次のような特徴を備えています:


ポケットに収まるコンパクトサイズ:重さ約165g、厚さ1cm程度の小型筐体で持ち運びが容易。専用ケースを介して iPhone の背面に取り付け可能で、かさばる三脚や大型機器が不要です。

センチ単位の高精度測位:みちびき(QZSS)の CLAS 信号やインターネット経由の補正情報を活用し、水平±2cm・垂直±4cm程度の精度で測位できます。通信圏外の山間部でも衛星補強信号により高精度測位が途切れません。

一人で完結するスマート測量:Bluetooth 等でスマホと連携し、画面上のボタン操作で測点の保存や杭打ち位置へのナビゲーションが直感的に行えます。専用の一脚(ポール)に取り付ければ高さ補正も自動で計算され、スタッフ1名で本格的な測量作業が可能です。

オールインワンの多機能:LRTKシステム一つで、高精度な座標計測だけでなく、iPhoneの LiDAR カメラによる 3Dスキャン、AR(拡張現実)による設計モデルの現場投影、撮影写真への位置・方位記録など、従来は別々の機材や工程が必要だった作業が一台でこなせます。


これらの機能により、LRTK は "測量は大掛かりで専門的な作業" という常識を一変させつつあります。極端に言えば、これまで測量経験のなかった技術者でも、スマートフォンのアプリ感覚で基準点測量や出来形確認ができるようになります。現場に一台 LRTK を持ち込めば、一人測量によるスマート測量が日常業務となり、測量待ち・外注待ちの時間ロスも減りました。今や先進的な建設会社や自治体ではこのようなシステムを積極的に導入し、高精度測位の恩恵を現場の当たり前にしようとしています。


7. 測量の新習慣:LRTKによる簡単な測量手順と導入のすすめ

LRTKを使った測量は、初めての人でも迷わず行えるシンプルな手順で完結します。その基本的な流れは次のとおりです。


端末とアプリの準備:現場で測量を開始する際、まず LRTK Phone 端末の電源を入れ、iPhone に装着します。専用の LRTK アプリを起動し、Bluetooth 等で端末と接続します。空が開けた屋外に端末を置くと、約20~40秒で GNSS 衛星を捕捉して測位が始まります。

高精度測位の開始:測位状態が安定し、高精度モード(RTK Fix)になると準備完了です。アプリの画面上に現在位置の座標値(平面座標や緯度経度)が表示され、精度も常時モニタリングできます。測位精度がセンチ級になったことを確認したら、測りたいポイントへ移動しましょう。

ポイントの測定と記録:測定したい地点で端末をその位置にセットし(ポール先端を地面の目標点に合わせる、または端末付属の石突きを直接地面に当てる等)、スマホの画面で"測位"ボタンをタップします。数秒で安定した座標が取得できたら"保存"ボタンを押し、点の座標データを記録します。必要に応じて点名やメモも入力できます。

データの共有と活用:記録した測点データはクラウドに同期することで、社内の別端末やオフィスの PC から即座に確認できます。測量が完了したら、クラウド上で座標データをダウンロードして CAD 図面に反映したり、点群データと重ね合わせて解析したりと、多目的に活用可能です。


このように、LRTK を使えば従来は専門技術者に頼っていた測量作業が誰でも手軽に行える新習慣となります。現場担当者自らが高精度測位を駆使して状況を把握できるため、コミュニケーションロスが減り、判断も迅速になります。もちろん全ての測量業務を一朝一夕に切り替えることは難しいかもしれませんが、まずは基準点測量や出来形確認といった部分からでも LRTK を導入してみる価値は大いにあるでしょう。効率化と精度向上を両立するスマート測量を新たな習慣として取り入れ、これまでの常識にとらわれない現場運用に踏み出してみてはいかがでしょうか。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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