iPhoneがGNSS測量機器に！LRTK Phoneの実力とメリット

GNSS測量の現在地と従来の課題

近年、測量業界ではGNSS（衛星測位システム）の活用が進み、高精度な位置情報を取得する「GNSS測量」が身近になりつつあります。しかし従来の高精度測量にはいくつかの課題がありました。例えば、トータルステーションなどの光学測量機器を使う場合、機器が大型かつ重量で2人1組での作業が必要でした。また定期的なキャリブレーションなどメンテナンスにも手間とコストが掛かります。一方、一般的なGPS受信機では測位誤差が数メートル単位（5～10m程度）もあり、地図作成や杭打ち作業に要求されるセンチメートル精度には到底及びません。そのため、従来はRTK方式の専用GNSS受信機を用意し、基地局との通信やネットワーク経由で補正情報を得る必要があり、高額な機器と専門知識が要求されてきました。

こうした背景から、「手軽に高精度測位ができる方法がないか？」というニーズが高まっています。測量の現場では、人手不足や熟練技術者の減少といった問題も深刻化しており、省力化かつ高精度な新技術への期待が年々高まっているのです。

iPhoneが測量機器になる時代の到来

そんな中、スマートフォン（iPhone）を測量機器に変える画期的なソリューションが登場しました。それが東京工業大学発のスタートアップ企業レフィクシアが開発したLRTK Phoneです。iPhoneやiPadに小型のRTK-GNSS受信機デバイスを取り付けるだけで、従来の測量機器に匹敵するセンチメートル級の測位が可能になります。スマホのカメラやLiDARセンサーと組み合わせることで、測位だけでなく3D点群計測や杭打ち測設（墨出し）、さらにはARによる可視化までiPhoneひとつで完結できます。

言い換えれば、今やiPhoneがGNSS測量機器になる時代が到来したのです。これにより従来は重い機材を担いで行っていた測量作業が、ポケットに入るスマホと小型デバイスだけで実現できるようになりました。現場で働く技術者一人ひとりが自前の測量ツールを持ち歩き、必要なときにすぐ使える――そんな“一人1台”のモバイル測量機が現実のものとなりつつあります。

LRTK Phoneの特徴と機能概要

LRTK PhoneはiPhone対応の超小型RTK-GNSS受信機で、スマートフォンを万能測量機へと変身させるデバイスです。まずは主な特徴を整理してみましょう。

• 超小型・軽量: デバイス本体は約165gと軽く、厚さも約1cm程度とスマホと一体化して持ち運べるサイズです。ポケットに収まるコンパクトさで、常に携帯して必要なときにすぐ使えます。

• バッテリー内蔵で長時間動作: 内蔵バッテリーで約6時間駆動し、USB Type-C経由で充電・給電も可能です。モバイルバッテリーさえあれば現場でも電源切れを心配せず使用できます。

• 簡単装着・取り外し: 専用のスマホケースや磁気アタッチメントを介し、ワンタッチでiPhoneやiPadに着脱できます。必要なときだけ装着し、使わないときは外しておける手軽さです。

• センチメートル級の高精度測位: 複数周波数対応のGNSSアンテナを内蔵し、RTK方式による補正で水平±2cm程度の測位精度が得られます。高さ（Z方向）もセンチメートル精度で測定可能です。

• みちびき（QZSS）CLAS対応: 日本の準天頂衛星「みちびき」が提供する高精度補強信号CLASに対応しており、携帯電波が届かない山間部など圏外でも高精度測位が可能です。もちろんインターネット経由のネットワーク型RTK（Ntrip方式）にも対応し、日本全国どこでもリアルタイムに測位誤差を数センチまで補正できます。

• 単独作業を支援: デバイスを一脚（モノポッド）や先端に石突を付けたポールに取り付ければ、本格的な測量のようにスマホを持ったまま一人で杭打ちや単点測位が行えます。高さオフセットもアプリ上で簡単に設定でき、気泡管で水平を取れば片手でも正確な測位が可能です。

• 多彩な測量機能: 専用のiOSアプリ「LRTKアプリ」を用いて、以下のような幅広い機能が利用できます。 - 高精度座標測位: ワンタップで現在位置の緯度・経度・高さ（標高）を測定し記録。日本の平面直角座標系に対応し、ジオイド高も自動計算されるため、測量成果をそのまま利用可能です。 - 連続測位・平均測位: 数秒間の連続測定による平均座標算出や、移動しながらの連続軌跡ログ（ロギング）取得ができます。複数回測定の平均により精度向上も図れます。 - 3Dスキャン（点群計測）: iPhoneのカメラやLiDARで周囲の地形・構造物を撮影しながら、LRTKの高精度位置データをリアルタイム付与することで、絶対座標付きの3D点群を簡単に生成できます。特別なスキャナーや事前準備なしに、歩き回るだけで広範囲を面的・立体的に計測可能です。 - 座標ナビ（誘導）: あらかじめ設定した目標座標（基準点や杭打ち位置）に向け、スマホ画面上に矢印や距離情報を表示して誘導します。測量の専門家でなくとも、指示に従って移動するだけで目標地点をセンチメートル単位で特定できます。 - AR表示・設計データ重ね合わせ: 設計図や3Dモデルのデータをアプリに取り込み、現場の実景にARで投影することが可能です。絶対座標で位置合わせされたモデルにより、施工物が設計通りの位置・高さか一目で確認できます。また、登録した境界線や地中埋設管の位置をAR表示し、掘削作業時の注意喚起や出来形検査にも役立ちます。 - 写真測量（測位写真）: スマホのカメラで撮影した現場写真に、高精度な撮影位置座標と方位情報を自動でタグ付けできます。これにより、撮影地点を地図や図面上に正確にプロットして管理したり、時系列で同一箇所の状況を比較したりといった活用が容易になります。 - 各種計測・データ活用: 測定した座標データを利用して、2点間距離や面積・体積の計算もアプリ内で行えます。例えば取得した点群から断面を生成し盛土の体積を算出する、といった土量計算も現場で即座に実施可能です。

以上のように、LRTK Phoneはハードウェアとアプリ、そしてクラウドサービスを組み合わせた統合システムとなっています。小型デバイスが高精度GNSS測位を担い、iPhoneが直感的な操作インタフェースとカメラ・センサー機能を提供し、クラウドがデータの保存・共有・解析を支えることで、これ一つで従来の測量機器一式に匹敵する万能性を発揮します。

精度・スピード・携帯性：現場で使える実力

LRTK Phoneの実力は、現場で実際に使える精度・スピード・携帯性の高さに表れています。まず測位精度ですが、RTKのフィックス解（Fix）を得た状態では、公称で水平誤差±2cm・鉛直誤差±4cm以内という高精度を実現します。開けた場所で電源を入れて約20秒ほどで測位がFix状態に収束し、その段階で既にセンチメートル級の位置情報が取得できるのです。実験では、LRTKを固定した状態で単点測位した場合の水平方向標準偏差は約12mm、60回の測定平均を用いた場合では8mm程度まで精度が向上することが確認されています。10mmを切る精度が出せるというのは、まさに本格的な測量機器レベルの精度と言えるでしょう。

次に測定スピードです。LRTKでは測位の初期化が数十秒で完了し、一度Fixを得れば移動しながらでも継続的に高精度位置を測り続けられます。これにより、従来なら一箇所ごとに三脚を据えて観測していた作業も、スマホを持って歩き回るだけで面的に多数の点を同時取得できます。例えば広い造成現場で地盤の高さを測る場合、旧来は要所を抜き出して何点か測って推定していたところを、スマホ測量なら現地全体の地形をまるごと点群計測し、その場で盛土・切土の量を算出することすら可能です。計測漏れが減り、迅速に結果が得られるため、工期短縮や手戻り防止にも繋がります。

携帯性と操作性の面でも、LRTK Phoneは現場での実用に十分耐えます。機器が軽量コンパクトなので、測量スタッフは常に腰袋やポケットにLRTKを忍ばせておき、必要なときにサッと取り出して即測れるという利便性があります。重たい機材を運搬・設置する時間や労力が不要になり、1人での測量作業が容易になります。またスマホ画面に日本語で直感的なUIが表示されるため、専門知識がなくともアプリの指示に従うだけで正確な測位や誘導が行えます。気泡管で水平を取った一脚を使えば、従来2人がかりだった杭打ち作業も一人でこなせるなど、省人化と安全性向上のメリットも現れています。さらにバッテリー駆動時間も6時間程度と現場作業には十分で、長時間の連続測量も安心です（必要に応じて予備バッテリーで充電しながら使用可能）。

加えて、LRTKによる3Dスキャンでは従来のスマホ単体スキャンに付きものだった測位誤差の蓄積（ドリフト）が起きにくい点も見逃せません。LRTKが現在位置を常に高精度に補足しているおかげで、たとえ20m以上離れた大規模構造物であっても、点群データにズレなく実寸通り記録できます。例えば遠方の橋梁や建造物を60m離れた場所からスキャンしても、対象全体を破綻なく高精度に点群化できています。このように高精度×手軽さを両立したLRTK Phoneは、現場で即戦力として使える十分な実力を備えています。

アプリ・クラウドとの連携で変わる業務効率

LRTKシステムの強みは、ハードとアプリ、クラウドサービスが連携することで測量後のデータ活用や共有までシームレスに行える点です。測位や点群の取得が終わったら、ワンタップでデータをクラウド同期できるため、現場で測った情報は即座に社内外で共有可能です。例えばLRTKアプリからアップロードされた測位データは、ウェブ上の「LRTKクラウド」で自動的に地図上にプロットされます。オフィスにいるスタッフや発注者は、専用ソフトをインストールすることなくブラウザからログインするだけで、リアルタイムに現場の測量結果を閲覧できます。

クラウド上では、位置座標や点群データを2D地図や3Dビューで表示でき、距離測定や面積・体積計算といった解析もその場で行えます。測量現場で得た大量の点群から任意の断面図を切り出したり、設計図のデータと重ね合わせて誤差を色分け表示するなど、従来はオフィスに持ち帰って専門ソフトで処理していた作業が、クラウド測量システム上でほぼ完結します。共有リンクを発行すれば、ライセンスを持っていない外部の協力会社やクライアントでも、ネット環境さえあれば点群データや測量成果を手持ちのPCやタブレットで確認できます。受け取った側はハイスペックなPCや特別なビューアが不要なのも大きなメリットです。

また、クラウドとアプリが連携することで、現場とオフィス間のコミュニケーションが円滑になります。例えば現地で追加測定が必要になった場合でも、オフィスからクラウド経由で新たな指示点の座標データを送信すれば、現場のスマホにその点が表示され誘導機能ですぐ測りに行けます。逆に現場からアップした高精度写真や点群を使ってオフィス側ですぐ図面化・報告書作成を進めることも可能です。このようにリアルタイムデータ共有が当たり前になると、従来は日数を要した測量成果の取りまとめやチェック承認プロセスが大幅に短縮され、業務効率が飛躍的に向上します。

さらに、LRTKアプリには現場のニーズに応じた細かな工夫も凝らされています。例えば測点の名称は自動で番号付与されつつ、任意にメモを残すこともできます。紙の野帳代わりにその場で注記をデータ化できるため、「あのときのメモが読めない」「転記ミスで数字が違う」といったヒューマンエラーも防げます。撮影写真には日時・方位・座標が紐付いているので、写真台帳を作る際にも位置の裏付けが取れて安心です。図面データの取り込み機能もあり、設計CADデータ（例えばDWG図面やBIMモデル）をクラウドにアップしておけば、アプリ側で現場座標系に合わせて表示し、ARで現況との比較ができます。これにより、その場で施工精度を確認して手直しが必要か判断するといった即時品質管理も実現します。

このように、LRTK Phoneはハードウェアとしての測量機能のみならず、アプリ・クラウドとのスムーズな連携によって業務フロー全体を効率化するプラットフォームとなっています。データ取得から共有・解析・報告までを一気通貫でこなすその仕組みは、まさに次世代の「スマート測量」スタイルと言えるでしょう。

現場導入事例とユーザーの評価

革新的なLRTK Phoneは、既に全国各地の建設現場や自治体で導入が始まっています。例えば福井市ではいち早くこのiPhone測量システムを災害復旧の現場に取り入れ、従来手法と比べて状況把握や復旧作業のスピードアップとコスト削減に成功しました。大規模災害時には通信インフラが寸断されるケースもありますが、LRTKはみちびき衛星からの補強信号で圏外でも測位できるため、被災現場での初動調査に威力を発揮しています。福井市の事例では、倒壊家屋の位置や地盤変動を市職員が自ら計測し、クラウド上で即共有して早期復旧に役立てたと報じられています。

また、建設会社の現場では出来形管理への活用が注目されています。ある現場監督者は「LRTK Phoneのおかげで、舗装前後の地盤高を面で測って施工厚をチェックでき、仕上がりの品質確認が格段に効率化した」と評価しています。従来はサンプル的に測っていた箇所も、スマホで歩き回って全域スキャンすることで、見落としが無い品質管理が実現したといいます。土量管理でも、盛土・埋戻しの前後に点群計測して差分体積を即計算することで、重機オペレーターへの指示をその日のうちにフィードバックできるようになりました。

ユーザーからは操作の手軽さについての声も多く聞かれます。とある利用者は「デバイスが驚くほど軽く小さいので、胸ポケットに入れて常に持ち歩けるのが非常に重要。現場で常時携帯することを考えると、このサイズ感は革命的だ」とSNSで感想を述べています。別のユーザーからは「専用一脚に取り付けておけば1人でも簡単に測位作業ができた。高さ補正もアプリでボタン一つだった」との声があり、単独作業でも戸惑うことなく扱える点が評価されています。また「スマホの画面で誘導どおりに歩くだけで杭打ち位置が見つかった」「写真を撮るだけで座標が記録されるので報告書作成が楽になった」等、直感的なアプリ操作により初心者でも精度の高い成果を得られたという報告もあります。

メディアにもこの新技術は注目されており、「iPhoneが高精度測位の万能測量機になる」というキャッチーな話題としてテレビや業界紙で取り上げられています。開発元が大学発ベンチャーということもあり、最新技術としての信頼感もユーザー導入を後押ししているようです。総じて、現場からは「思った以上に簡単」「これなら自社でも測量ができる」「測量待ちが発生しないので作業がスムーズ」といった好意的な評価が寄せられており、LRTK Phoneは着実に現場の新定番ツールになりつつあります。

LRTKを使った簡単測量の紹介と導入のすすめ

実際にLRTK Phoneを使った測量の流れは驚くほどシンプルです。例えばあなたが今まで測量経験がなくとも、以下のような手順で高精度測量が可能になります。

• セットアップ: 専用ケースに装着したLRTKデバイスをiPhoneに取り付け、LRTKアプリを起動します。初期設定はほとんど不要で、インターネットに接続できる環境ならそのまま補正情報の取得が始まり、数十秒でRTKによる高精度測位が開始されます（もし通信圏外でも自動的に衛星からのCLAS信号を利用します）。

• 測位の開始: スマホ画面に現在位置の座標が表示され、リアルタイムに精度も確認できます。精度表示が「Fix（フィックス）」になればセンチメートル精度に達しているサインです。あとは測りたい地点で端末をその場所にかざし、アプリ上の「測位」ボタンをタップするだけです。

• データ記録: ボタンを押すと、その地点の緯度・経度・高さがタイムスタンプやメモとともに記録されます。続けて別の点を測りたい場合も、連続してボタンを押していくだけでOKです。アプリが自動で点名を採番し、標高の計算や座標系換算もバックグラウンドで行ってくれます。

• クラウド同期: 現場で必要な点をすべて測り終えたら、ワンクリックでデータをクラウドにアップロードします。アップロード後は、オフィスのPCでクラウドにアクセスすれば即座に測点が地図上に表示され、各点の座標値やメモを確認できます。もし現場で撮影した写真があれば、それも座標付きでクラウドに保存されているので、位置関係を把握しながら写真を見ることもできます。

• データ活用: クラウド上で必要に応じて距離や面積を測ったり、点群データをダウンロードして詳細な解析に使ったりできます。測量成果は既存のCAD図面と照合したり、報告書にそのまま転用したりと即戦力のデジタルデータです。

以上のプロセスからも分かるように、LRTK Phoneを使えば誰でも簡単に高精度測量を行うことができます。これまで測量といえば専門の測量士に依頼したり高額な機材を準備したりする必要がありました。しかしLRTKなら、手持ちのスマホを活用して社内の技術者自らが測量・計測を行えるため、外部への委託コスト削減やスケジュール短縮にもつながります。特に建設業や土木業界では、測量待ちによる工事の停滞や、出来形確認の遅れによる手直しなど、生産性を下げる要因が多々ありましたが、LRTK Phoneの導入によってそうしたムダを大幅に削減できるでしょう。

また、LRTK Phoneは価格面でも従来の測量機器に比べて導入しやすい点も見逃せません。詳しい金額はここでは控えますが、「1人1台配備しても元が取れる」と言われるほどリーズナブルで、現場の常備ツールとして普及が期待されています。現場スタッフが各自のスマホに取り付けて使えるため、これまで測量とは無縁だった作業員も自発的に現況測定や確認作業を行えるようになり、現場のDX（デジタルトランスフォーメーション）が一気に進む可能性があります。

最後に、もしあなたが「GNSS測量の精度を上げたい」「iPhoneを活用して業務を効率化したい」と考えているなら、LRTK Phoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。センチメートル精度の高精度測位、クラウド連携によるスピーディなデータ共有、そして何より現場で誰もが使いこなせる手軽さ――これらを兼ね備えたLRTK Phoneは、これからのスマート測量時代を切り拓く強力なツールと言えます。実際の導入事例やユーザーの声が示す通り、そのメリットと実力は折り紙付きです。ぜひ最新のモバイル測量技術であるLRTK Phoneを活用し、あなたの現場にも生産性向上と品質確保の新しい常識をもたらしてください。