top of page

手戻りゼロの現場をつくる概算数量設計

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均3分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

建設現場の生産性を脅かす要因の一つに、施工中の手戻り(やり直し作業)があります。工期遅延やコスト超過の主因となる手戻りは、多くの場合、設計段階での情報不足や数量算出ミスといった事前の計画不備に起因する人為的なミスです。しかし裏を返せば、これらは適切な対策によって防止可能なものでもあります。


そんな手戻りをゼロに近づける鍵として注目されるのが、概算数量設計というアプローチです。これは工事に必要な土量や資材の数量を早期に概算して設計・積算に反映し、現場での数量ミスを減らす手法です。計画段階で正確な数量を把握できれば、施工中の追加工事ややり直しを大幅に減らせます。本記事では、概算数量設計とは何か、その現場にもたらす効果、そして正確に進めるための具体的な手順を解説します。さらに、設計と施工の一貫性を高める仕組みや、ICT施工出来形管理との接続性についても触れ、最後に現地測量に基づく数量設計の重要性を、最新ツールであるLRTKの「簡易測量」機能を例に紹介します。


概算数量設計とは何か

概算数量設計とは、文字通り「概算の数量」に基づいて設計を行う手法です。工事に必要な掘削・盛土の土量や使用する資材の数量をあらかじめ簡易な方法で算出し、その概算値をもとに設計図書や積算書を作成します。詳細な実施設計を省略または簡略化して発注し、施工段階で必要に応じて設計を調整することが特徴です。つまり、最初から厳密な数量を確定するのではなく、標準的な断面や過去実績から求めた平均値などを用いて一旦設計数量を決め、後で現場条件に合わせて修正・確定するアプローチといえます。


この概算数量設計の考え方は、近年積算・設計業務の効率化策として注目されています。例えば水道管や下水管の工事では、発注時に配管ルートの平面図と標準的な横断図だけを示し、管の延長に応じた概算数量で材料を積算して入札を行う自治体も現れています。契約後に施工業者が現地を詳細調査し、埋設物の位置や地盤高など現地条件を踏まえてから、初めて正確な配管図や数量表を作成するという流れです。これにより、着工前の設計作業量を削減しつつ、契約後に実情に即した設計へとアップデートできるため、無駄な設計変更や手戻りを減らせる期待があります。概算数量設計は、このように発注・施工プロセス全体の効率化と現場での手戻り防止を両立しようとする取り組みなのです。


現場での数量ミスと手戻りの実態

施工現場で起こる数量ミスは、ささいな計算間違いが重大な手戻りを招く厄介な問題です。どれだけ施工が順調でも、必要数量の見積もり違いがあれば後で必ずツケを払わされます。例えば、以下のようなケースが現場で実際に発生します。


土工量の算定ミス: 掘削や盛土の体積計算を誤り、予定より土砂が足りなくなったり余ったりする。足りなければ追加の土砂搬入や再掘削が必要となり、余った場合も余剰土の処分でコストが増大する。

資材発注数量の誤り: 鉄筋や型枠、配管などの必要本数・数量を間違え、現場で資材が不足して工事が中断する。追加調達に時間がかかれば工程が遅れ、場合によっては納期に影響する。

単位の取り違え: 計算時に寸法単位を読み違え、本来「m」で計算すべきところを「mm」で算出してしまうなど、桁違いの誤差を生む初歩的ミス。大幅な数量過不足が生じ、施工計画の練り直しを迫られる。

図面と仕様書の不整合: 設計図に示された数量と仕様書の数量が食い違っており、現場でどちらを信じるべきか迷った末に施工ミスにつながる。例えば、配管の長さが図面と実際で合わず、継手の追加施工を余儀なくされるケースなどがある。

数量集計漏れ: 設計段階で一部の構造物や作業項目の数量を拾い落としてしまい、見積もりに含まれていなかった。施工途中で「必要な箇所の数量が計上されていない」と判明し、急遽設計変更や追加発注をする羽目になる。


上記のようなミスが発覚すると、現場では追加のやり直し作業や工程変更が避けられません。一度据え付けた設備を外して付け直したり、不足分を補うために夜間作業で対応したりと、余計な手間とコストが発生します。本来防げたはずの手戻りが生じることで、職員の士気低下や発注者との信頼関係悪化にもつながりかねません。


早期の数量設計がもたらす効果

では、こうした数量設計を工事の早い段階で徹底することで、どのような効果が得られるのでしょうか。主なメリットを挙げてみます。


設計の精度向上: 施工条件や現場状況を踏まえて数量を算出しておけば、設計図書の精度が高まり、不整合や漏れのない計画を立てることができます。着工前に数量的な矛盾を洗い出せるため、後から図面修正する手間が減ります。

コスト・工期の安定: 数量に基づく正確な積算により、工事費の見積もり精度が向上します。契約後に「予算が足りない」「工期が延びる」といった事態を防ぎ、計画通りの予算・スケジュールで進めやすくなります。

資源活用の最適化: 早い段階で土量バランスや必要資材量を把握できるため、切土と盛土のバランスを調整して残土処理や搬入土の最小化を図れます。また資材も適量発注が可能になり、余剰在庫や資材待ちのロスが減ります。

現場施工の効率化: 施工チームは事前に正確な数量情報を得ているため、段取り良く施工を進められます。想定外のやり直しが発生しない分、作業が中断することなく流れ、全体の施工効率が向上します。

信頼性と安全性の向上: 数量に裏付けられた計画は発注者や関係者からの信頼感も高まります。「計画通りにいかない」という不安が減り、無理のない計画は現場の安全管理上もプラスに働きます。結果として、手戻りリスクは大幅に低減し、現場に安心感が生まれます。


このように、数量設計を早期に適切に行うことは、手戻り防止のみならずプロジェクト全体の品質・生産性向上につながる重要なポイントです。国土交通省が提唱する「フロントローディング」(初期段階での入念な計画と関係者調整)の推進とも合致しており、施工前の入念な数量チェックは今や建設業界全体で重視されています。


正確な数量設計のための手順

引き続き、正確な数量設計を進めるための基本的な手順を確認しておきましょう。


現地調査と測量を実施: 計画対象となる現場を入念に調査し、最新の現況を把握します。地形測量を行って地盤の高さや地形形状をデータ化するとともに、埋設物や既存構造物の位置も確認します。必要に応じて地質調査や周辺環境のヒアリングも実施し、数量算出の前提となる条件を正確に洗い出します。

計画図・断面図の作成: 現地測量データをもとに、計画する構造物や造成の配置を検討します。道路や管路であれば平面図上でルートを定め、主要な位置で縦断図や横断図を作成して地盤線と設計線を描きます。これにより切土・盛土の断面積や必要な構造物の寸法を視覚的に把握できます。標準断面を適用する場合も、実際の地形に合わせて無理のない形状かを確認します。

数量・体積の算出: 作成した図面から具体的な数量を計算します。例えば土工であれば各断面の断面積を求めて平均断面法により区間ごとの体積を算出し、全体の土量を積算します。構造物のコンクリート量や鉄筋重量、配管延長なども設計図から拾い出し、表計算ソフト等で集計します。単位の換算や係数(例: 締固めによる増減量)にも注意しながら、必要数量を漏れなく算出します。

算出結果の検証と調整: 算出した数量が妥当かどうか、複数の視点からチェックします。図面と計算結果を突合し、見落としがないかを確認します。土量であれば切土と盛土のバランスを見て、大きな過不足があれば設計計画を見直す検討をします。また、他の工種との整合性も確認し、数量に関連する設計ミスが潜んでいないか洗い出します。この段階で発見された問題は、設計修正や追加調査によって解決しておきます。

設計図書への反映: 最終的に確定した数量を設計図書や積算書に反映します。平面図や断面図には必要に応じて数量に基づく注記を加え、数量表や出来高表を作成して関係者と共有します。確定数量に基づいて工事費の積算を行い、発注仕様書や工程表にもその情報を反映させます。こうして、現場に引き継がれる設計情報には正確な数量データが盛り込まれ、施工段階での手戻りリスクを最小化できるのです。


設計と施工の一貫性を高める仕組み

設計段階と施工段階の情報断絶を無くし、常に設計意図通りのものを施工できるようにするためには、設計と施工の一貫性を高める仕組みづくりが欠かせません。一つのアプローチは、プロジェクトの進め方自体を見直すことです。例えば設計施工一貫方式(デザインビルド)のように、設計と施工を同一チームまたは企業が担えば、施工者のノウハウが設計に反映され、施工段階で「図面通りにできない」といった不整合が起きにくくなります。また、設計段階から施工管理担当者が図面チェックに参加したり、発注者・設計者・施工者で事前に念入りな調整(いわゆるフロントローディング)を行うことで、施工中の手戻りにつながる問題を未然に摘み取ることができます。


もう一つの重要な仕組みは、デジタル技術を活用して設計情報を一元管理・共有することです。従来は紙の図面や数量表を受け渡す中で情報ロスが生じがちでしたが、現在ではBIM/CIMと呼ばれる3次元モデルで設計から施工までデータを連携させる手法が普及しつつあります。設計段階で作成した地形や構造物の3Dモデルを施工者が直接利用し、ICT建機のマシンガイダンスや出来形計測に活用すれば、設計データと施工現場がシームレスにつながります。クラウド上で図面や数量データを共有しておけば、設計変更があった際も全員が即座に最新版にアクセスでき、齟齬のない指示出しが可能です。さらに、タブレットやスマートフォンのAR(拡張現実)表示によって、設計モデルを現地風景に重ねて確認することもできます。現場で直接「設計通りに仕上がりそうか」を視覚的にチェックできるため、勘違いや思い込みによるミスを防ぎ、設計意図と施工実施のギャップを埋めるのに大いに役立ちます。


ICT施工や出来形管理との接続性

近年推進されているICT施工(情報通信技術を活用した施工)との親和性も、数量設計をデジタル化することで飛躍的に高まります。あらかじめ設計段階で作成した3Dの地形モデルや施工データを、施工時にICT建機へ取り込んでマシンコントロールに利用すれば、重機が自動的に設計通りの高さ・勾配まで掘削や盛土を行ってくれます。熟練オペレーターの勘に頼らずとも、高精度GNSSやセンサーを備えた施工機械が出来高(進捗量)を正確になぞるため、狙い通りの数量で仕上げることが可能です。従来は人力で行っていた丁張設置や測量立会いの回数も減り、ミスが発生する余地自体が小さくなります。


施工後の出来形管理(完成物の寸法・形状確認)においても、数量設計データが威力を発揮します。設計時の基準データが明確に数値化されているため、ドローンによる写真測量や3Dレーザースキャナーで取得した点群データをそのまま設計モデルと比較することができます。地形の出来形を面的に把握して設計との差分を色分け表示すれば、僅かな高低差や凹凸も一目瞭然です。例えば盛土厚が基準を下回る部分があれば即座に検出でき、その場で追加施工して是正できます。出来形測定自体も、従来は各所を巻尺やレベルで測って回るのに半日かかっていたような作業が、ドローン飛行やモバイル測量なら短時間で完了します。国土交通省の報告でも、ICT土工の現場では測量作業時間が平均3割以上削減されたとのデータがあり、出来形検査の効率化と精度向上は顕著です。測定結果の記録・報告もソフトウェアで半自動化でき、クラウド経由で発注者と共有すれば検査承認もスムーズに進みます。このように、ICT施工と出来形管理まで見据えて数量設計をデジタル連携しておくことで、施工品質の確保と手戻りゼロに向けた体制が盤石になるのです。


現地測量に基づく数量設計の重要性とLRTKの簡易測量

最後に強調したいのは、やはり現地測量に基づく数量設計の重要性です。机上の設計だけで数量をはじき出しても、実際の現場状況とかけ離れていては意味がありません。逆に、現場の正確な測量データさえあれば、たとえ概算レベルの設計であっても後戻りのリスクを大幅に減らせます。近年は測量技術も進歩し、従来は専門技術者に頼っていた計測作業を現場管理の技術者自らが手軽に行えるようになっています。


例えば、LRTK(小型高精度GNSS測量デバイス)の「簡易測量」機能を使えば、現場で必要な測量・計測をスピーディーにこなすことができます。スマートフォンに装着するコンパクトな端末で、数cmの誤差範囲で位置座標を取得可能です。これ一台で写真測位(写真に撮影場所の高精度な位置情報を自動記録)、AR表示(設計モデルや測定結果を現地の風景に重ねて確認)、クラウド同期(計測データを即座にクラウド共有)、さらには一脚測定(モノポッドを用いた手軽な高さ計測)やその場での体積算出まで対応できます。専門の測量班を待たずとも、現場担当者が自分たちで必要十分な測量データを取得し、即座に設計に反映できるのです。


このような最新ツールを導入すれば、現地調査から設計へのフィードバックが格段に迅速化・簡便化します。設計時点で実際の現況を正確に踏まえられるため、数量の食い違いによる手戻りがほぼ発生しない理想的な施工サイクルに近づくでしょう。概算数量設計の効果を最大限に引き出すには、やはり現場と設計のデータ連携が肝心です。その意味で、LRTKのような手軽で高精度な簡易測量ツールは、手戻りゼロの現場づくりを強力に後押ししてくれる心強い味方となるでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page