top of page

階段に手すりがないエクステリア|家族を守る5つの設置基準

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

エクステリア階段に手すりが必要な理由

法令上の義務と安全上の必要性を分けて考える

設置基準1|利用者と階段の危険度から設置範囲を決める

設置基準2|握りやすい高さと形状を利用者に合わせる

設置基準3|昇り始めから降り終わりまで連続させる

設置基準4|支柱と取付部の強度を確保する

設置基準5|照明・床面・排水まで一体で整える

転落防止柵と歩行補助手すりを混同しない

既存のエクステリア階段へ後付けする際の確認点

設計・施工の打ち合わせで確認しておきたいこと

まとめ|手すり単体ではなく階段全体の安全性を整える


エクステリア階段に手すりが必要な理由

玄関までのアプローチや庭、駐車場と建物の間に高低差がある住宅では、エクステリアに階段が設けられることがあります。完成直後は不自由なく利用できていても、家族の年齢や身体状況、荷物の持ち方、天候などが変わると、手すりのない階段が大きな負担になる場合があります。


屋外階段は、室内階段よりも利用条件が変化しやすい場所です。雨で踏面がぬれたり、落ち葉や砂がたまったりするほか、地域や季節によっては霜や凍結が発生します。日中でも日なたと日陰の明暗差が生じ、夜間は段鼻や最終段の位置を見誤ることがあります。履物も、靴底がぬれた靴、サンダル、長靴など一定ではありません。


このような場所で手すりが果たす役割は、身体を引き上げることだけではありません。歩行速度を調整し、足を置く位置を確かめ、バランスを崩したときに姿勢を立て直すための支えになります。手すりがあれば事故を必ず防げるわけではありませんが、つかまる場所がない階段よりも、昇降時の不安や身体的な負担を減らしやすくなります。


特に階段を下りるときは、次の踏面を確認しながら身体を前方へ移動させるため、足を滑らせた場合に体勢を戻しにくくなります。上りでは問題を感じない人でも、下りでは手すりを必要とすることがあります。そのため、設置位置を考える際は、上りだけでなく下りの動作を実際に確認することが重要です。


高齢者がいる家庭だけを対象に考える必要はありません。小さな子ども、妊娠中の家族、けがや病気から回復中の人、視力が低下した人なども階段の影響を受けます。買い物袋や通勤かばん、宅配物を持つ場面では、健康な成人でも身体のバランスを崩しやすくなります。現在の家族構成だけで判断せず、来客や将来の生活変化まで含めて検討することが大切です。


エクステリアの手すりは、単独で安全性を完成させる設備ではありません。階段の幅、勾配、段数、踏面と蹴上げの寸法、床面の仕上げ、照明、排水、周囲の落差などと組み合わせて計画する必要があります。見た目だけで位置や形状を決めず、誰が、いつ、どのような状態で使うかを整理することが出発点です。


法令上の義務と安全上の必要性を分けて考える

階段の手すりを検討するときは、法令上設置しなければならないかという判断と、家族が安全に使うために設けたほうがよいかという判断を分けて考えます。


建築基準法施行令第25条は、対象となる階段に手すりを設けること、手すりがない側には側壁またはこれに代わるものを設けることを定めています。階段の幅が3メートルを超える場合は、一定の緩やかな階段を除き、中間手すりに関する規定もあります。一方、同条第4項では、高さ1メートル以下の階段の部分について、これらの規定を適用しない扱いが定められています。([e-Gov 法令検索][1])


ただし、この条文を敷地内のすべての屋外段差へ一律に当てはめることはできません。玄関ポーチと一体の階段、建物から離れて設けた外構階段、擁壁に沿う階段などでは、建物との関係や構造、用途、確認申請上の扱いが異なる可能性があります。自治体の条例や地域ごとの運用が関係することもあるため、「屋外だから対象外」「全高が低いから確認不要」と決めつけないことが重要です。法令上の扱いに疑問がある場合は、計画地と階段の状況が分かる図面や写真を用意し、設計者、施工会社、確認検査機関、自治体の建築担当窓口などへ確認します。


また、高さ1メートル以下の部分に法令上の適用除外があることと、安全上手すりが不要であることは同じではありません。数段の階段でも、踏面が狭い、勾配が急、段ごとの高さが不ぞろい、横に側溝や擁壁がある、雨水が流れ込むといった条件が重なると危険性は高まります。高齢者や子どもが日常的に利用する場合は、法令の最低条件だけでなく、実際の使い方を基準に設置を検討します。


国土交通省の建築設計標準には、階段の歩行補助手すりについて、上段を段鼻から75センチメートルから85センチメートル程度、二段手すりの下段を60センチメートルから65センチメートル程度とする参考例があります。また、手すりを連続させることや、始終端に水平部分を設ける考え方も示されています。ただし、これらは主として高齢者や障害者等の利用に配慮した建築物を計画するための設計上の目安であり、戸建住宅の外構階段へ一律に適用される法定寸法ではありません。([国土交通省][2])


住宅性能表示制度の評価方法基準にも、対象となる住宅の等級や条件に応じて、階段の手すりを踏面先端から700ミリメートルから900ミリメートルの位置に設ける基準があります。これも制度上の評価基準であり、すべての既存住宅や外構階段に直接義務付けられる数値ではありません。 参考寸法を採用するときは、適用される制度、利用者の体格、階段の勾配、手すりの目的を確認します。


法令、評価基準、設計標準は、それぞれ目的と適用範囲が異なります。数値だけを抜き出して「この高さなら必ず適法で安全」と判断するのではなく、最新の法令や条例を確認したうえで、現地条件に合わせて設計することが必要です。


設置基準1|利用者と階段の危険度から設置範囲を決める

第一の設置基準は、段数だけで判断せず、利用者と階段の危険度を踏まえて設置範囲を決めることです。


最初に確認したいのは、その階段を誰が利用するかです。現在は健康な成人だけが暮らしていても、親族の訪問、子どもの成長、家族の加齢、けがによる一時的な歩行能力の低下などによって、必要な設備は変わります。長期間使う住宅では、現在の使い方だけに合わせると、数年後に後付け工事が必要になることがあります。


次に、階段の全高、段数、勾配、踏面の奥行き、蹴上げの高さ、階段幅、踊り場の有無を確認します。段ごとに高さが違う階段や、途中で踏面の奥行きが変わる階段は、歩行のリズムを乱しやすくなります。曲線状の段や回り段では、同じ一段でも内側と外側で踏面の奥行きが異なるため、足を置く位置にも注意が必要です。


階段の左右に何があるかも重要です。片側が壁で反対側が低い植栽帯という条件と、片側が擁壁、駐車場、側溝、ドライエリアなどに面して大きな落差がある条件とでは、必要な対策が異なります。後者では、歩行を支える手すりだけでなく、側方への転落を防ぐ柵や立ち上がりも検討しなければなりません。


手すりを設置する側は、利き手だけで決めないようにします。玄関から道路へ下りるとき、駐車場から玄関へ上るとき、荷物を持つときなど、利用場面によってつかみたい側は変わります。身体の片側に痛みやまひがある人は使える手が限られる場合があり、上りと下りで支えやすい側が異なることもあります。


階段幅に余裕があり、歩行に不安のある人が日常的に利用する場合は、両側への設置を検討します。一方、手すりや支柱を増やすことで有効幅が狭くなると、介助者が並びにくくなったり、大きな荷物を運びにくくなったりします。支柱が踏面へ張り出す位置では、足や衣服、かばんが接触する可能性もあります。


設置範囲は、手すりの長さだけでなく、門扉、郵便受け、宅配ボックス、玄関扉、自転車置き場などとの関係を含めて決めます。門扉を開けるたびに階段上で手を離す配置や、玄関鍵を操作する場所に平らな待機スペースがない配置では、手すりの効果を十分に得にくくなります。日常の一連の動作を再現し、どこで支えが必要になるかを確認します。


設置基準2|握りやすい高さと形状を利用者に合わせる

第二の設置基準は、手すりの高さ、太さ、形状、表面の状態を、実際に使う人へ合わせることです。


手すりが高過ぎると、肩や腕を持ち上げた状態になり、体重を預けにくくなります。低過ぎると前かがみになり、姿勢が不安定になることがあります。一般的な寸法を図面へ機械的に当てはめるのではなく、階段を上るときと下りるときの双方で、自然な位置に手を置けるかを確認します。


高さは、階段下の地面から一律に測るのではなく、原則として各段の踏面先端付近を基準に考えます。階段の勾配と手すりの傾きが合っていないと、途中で相対的な高さが変化し、手を滑らせながら連続して使いにくくなります。既存階段では段の寸法にばらつきがあることもあるため、施工前に複数箇所を測定します。


公的な設計資料で示される75センチメートルから85センチメートル程度、二段手すりの下段60センチメートルから65センチメートル程度という数値は、検討の出発点として利用できます。ただし、利用者の身長や腕の動かしやすさ、階段の勾配によって適切な位置は変わります。着工前に現地へ仮の高さを示し、実際に握る動作を確認すると、完成後の違和感を減らしやすくなります。


握る部分は、手のひらを載せるだけの幅広い笠木よりも、指を回して保持できる形状が歩行補助に向いています。公共建築の設計資料では、円形で外径3センチメートルから4センチメートル程度を標準的な考え方とする例がありますが、これも戸建住宅の一律の法定寸法ではありません。家族の手の大きさや握力を考慮し、力を入れやすい断面を選びます。([国土交通省][3])


表面には、ささくれ、鋭い角、ボルトの突出などがなく、手を滑らせたときに引っ掛かりにくいことが必要です。屋外では、雨にぬれた状態の滑りやすさ、夏の日射による表面温度の上昇、冬季の冷たさも確認します。金属、樹脂、木質系などの材質にはそれぞれ特徴があるため、見た目だけでなく設置方位や気候、維持管理方法を踏まえて選びます。


壁付け手すりでは、壁と握り部分の間に指を入れられる空間を確保します。国土交通省の公共建築向け資料には、壁との間隔を4センチメートルから5センチメートル程度とし、支持金具を下側へ配置する考え方があります。住宅の外構へ採用する場合も、壁面の凹凸や仕上げ材を含め、手を連続して動かせるかを現地で確認します。([国土交通省][3])


子ども向けに下段手すりを設けるときは、成長後の使い方だけでなく、横桟が足掛かりにならないかも検討します。落差のある場所では、握りやすさと転落防止の双方を満たす必要があります。歩行補助手すりの高さだけを整えても、柵の開口や足掛かりに問題があれば、階段全体として安全とはいえません。


設置基準3|昇り始めから降り終わりまで連続させる

第三の設置基準は、手すりを階段の途中だけに設置せず、昇り始めから降り終わりまで連続させることです。


階段で姿勢が不安定になりやすいのは、段の途中だけではありません。平らな通路から最初の一段へ足を上げる瞬間や、最後の段から地面へ下りる瞬間にも重心が移動します。階段部分だけに短い手すりを設けると、最初の一歩を踏み出す前や、降り切る直前に手を離さなければならない場合があります。


国土交通省の建築設計標準では、階段の手すりを連続させ、始終端に水平部分を設ける考え方が示されています。住宅の外構階段でも、利用者が一定の姿勢で手を移動できるよう、段の途中や踊り場で不用意に途切れない配置を検討します。ただし、公共建築向けの延長寸法をそのまま採用するのではなく、敷地内の動線や障害物を確認して長さを決めます。


階段の上下端で手すりを水平部分まで延ばすと、身体を安定させてから一段目へ移りやすくなります。一方で、道路、駐車スペース、門扉、自転車の通路へ手すりが突き出すと、新たな接触事故の原因になります。延長する方向と長さは、歩行者だけでなく、自転車、ベビーカー、車のドア、荷物の搬入動線まで含めて検討します。


端部は、衣服の袖、かばんの持ち手、傘などが引っ掛かりにくい形状にします。通路側へ開いたまま終わらせず、壁側へ戻す、下方へ滑らかに納めるなど、突出を抑える処理が有効です。装飾的な端部を大きくすると、狭い階段では有効幅を圧迫することがあるため注意します。


途中に踊り場がある場合は、踊り場でも手すりを連続させることを基本に考えます。方向が変わる場所で高さや握る位置が急に変わると、持ち替えの際に支えを失います。やむを得ず左右を持ち替える構成では、身体を安定させられる平らな空間があるかを確認します。


門扉が階段の途中や上端にある場合は、扉の開く方向も重要です。扉を開けるために一段下がる必要がある配置や、開いた扉が手すりと干渉する配置は避けます。郵便物を取り出す、宅配物を受け取る、玄関鍵を操作する、照明スイッチを使うといった動作も含め、どの時点で手を離すかを確認します。


設置基準4|支柱と取付部の強度を確保する

第四の設置基準は、手すり本体だけでなく、支柱、基礎、取付金具、壁下地まで含めた強度を確保することです。


手すりは、軽く手を添えるだけの設備ではありません。利用者がバランスを崩したときには、身体を支えようとして急な力が加わります。見た目が丈夫でも、支柱の根元や壁への固定部分が弱ければ、必要な場面でぐらついたり外れたりするおそれがあります。


独立支柱を立てる場合は、支柱を何へ固定するかを確認します。薄い化粧材、敷石、タイル、舗装材だけでは、十分な支持力を得られないことがあります。下地となるコンクリートの厚さや状態、階段端部からの距離、既存のひび割れなどを調べ、部材の施工条件に合う固定方法を選びます。


既存階段へ穴を開ける工事では、内部の鉄筋、埋設配管、電気配線、防水層などを損傷しないよう注意します。階段の端に近過ぎる位置へ固定すると、穿孔や締結、使用時の力によってコンクリートが欠けることがあります。外観だけで固定位置を決めず、必要に応じて図面確認や探査を行います。


壁付け手すりでは、仕上げ材の内側に力を伝えられる下地があるかを確認します。化粧材や薄いモルタル面だけへの固定は、見た目には納まっていても強度が不足する可能性があります。ブロック塀や門柱を利用する場合は、取付部だけでなく、その構造物自体の安定性も確認します。傾き、ひび割れ、目地の劣化、基礎の沈下がある場所へ手すりを追加しても、全体の安全性が高まるとは限りません。


支柱間隔や固定金具の種類は、部材の材質、断面、手すりの長さ、想定荷重、設置方法によって決まります。現場の都合だけで支柱数を減らしたり、指定と異なる金具へ変更したりすると、たわみや緩みにつながることがあります。採用する製品や部材の施工要領、設計者の指示に従い、基礎を含めて計画します。


屋外では腐食と水処理も重要です。支柱根元に水がたまり続ける納まりや、切断部と穴開け部の処理が不十分な状態では、劣化が進みやすくなります。異なる種類の金属を組み合わせる場合は、設置環境によって電食が生じる可能性もあるため、金具や被覆、排水の納まりまで確認します。


完成後は、手で揺らしてぐらつきがないかを見るだけでなく、支柱根元のひび割れ、固定金具の緩み、部材の変形、接合部の隙間を確認します。使用開始後も定期的に点検し、異音や動き、さび、ひび割れを見つけた場合は、使い続けながら様子を見るのではなく、施工者や専門家へ相談します。


設置基準5|照明・床面・排水まで一体で整える

第五の設置基準は、手すりを設置するだけで終わらせず、照明、床面、段差、排水、植栽などを一体で整えることです。


手すりは歩行を補助しますが、滑りやすい床や見えにくい段差そのものを解消する設備ではありません。踏面に水がたまる、段鼻が欠けている、舗装材が浮いている、段ごとの高さが不均一といった問題がある場合は、手すりの追加と同時に補修を検討します。


床面は、乾燥時だけでなく、雨でぬれた状態も想定して選びます。滑りに配慮した仕上げであっても、泥、苔、落ち葉、砂が付着すれば滑りやすくなることがあります。清掃しやすいか、水が自然に流れるか、冬季に凍結しやすい場所ではないかを確認します。


雨水の経路も重要です。敷地の高い側から水が集中すると、踏面を水が横切ったり、段鼻から下段へ流れ落ちたりします。支柱を追加したことで水の流れが妨げられ、局所的な水たまりができることもあります。排水溝、集水ます、舗装勾配、土の高さを確認し、階段上へ水を滞留させにくい計画にします。


照明は、階段全体を明るくするだけでなく、段差の境界を認識できるように配置します。器具の位置によっては、利用者自身の影で足元が隠れたり、強い光が目に入って段差が見えにくくなったりします。階段を上から見た場合と下から見た場合の両方で、段鼻と踏面、最上段と最下段を確認できるかを検討します。


手すりと背景の見分けやすさも確認します。壁や植栽と同系色で一体化すると、視力が低下している人には位置が分かりにくい場合があります。国土交通省の建築設計標準でも、手すりと壁との明度、色相または彩度の差に配慮する考え方が示されています。住宅の外構でも、周囲から識別しやすい色や仕上げを選ぶことは、薄暗い時間帯の使いやすさにつながります。([国土交通省][4])


植栽は完成時だけでなく、成長後を想定します。枝葉が伸びて手すりを覆う、とげや硬い枝が握る動作を妨げる、根が舗装を持ち上げるといった変化が起こることがあります。剪定や清掃のために手すりを乗り越える必要がある配置も避けます。


手すり、床面、排水、照明を別々の工事として考えると、支柱が排水経路をふさいだり、照明の影が手すりで強く出たりすることがあります。階段全体を一つの動線として確認し、相互に干渉しないよう調整することが重要です。


転落防止柵と歩行補助手すりを混同しない

エクステリア階段を計画する際は、歩行を支えるための手すりと、高い場所からの転落を防ぐための柵を区別します。


歩行補助手すりは、握りやすい高さと形状で、階段の昇降を支える設備です。一方、転落防止柵は、人が階段や踊り場の外側へ落ちることを防ぐ設備です。目的が異なるため、握りやすい横棒を一本設けただけでは、側方への転落防止として不十分な場合があります。


階段の横に落差がある場合は、柵の高さ、腰壁の高さ、部材の向き、開口、足掛かりの有無を確認します。必要な高さや開口寸法は、適用される法令や評価基準、場所の条件によって異なるため、根拠を確認せず一つの数値へ決めつけないことが重要です。子どもが利用する場所では、横桟を足場として登れる形状になっていないかも検討します。


反対に、転落防止柵の上端が高過ぎたり太過ぎたりすると、歩行補助手すりとして握りにくいことがあります。その場合は、柵の内側へ別の握り部を設ける方法があります。手すりと柵を一体化する場合も、昇降時に握れることと、側方へ転落しにくいことの両方を満たしているかを確認します。


「柵があるから歩行補助手すりは不要」「手すりがあるから転落防止も十分」と判断しないことが大切です。階段横の落差、利用者の年齢、階段幅、通行方向を踏まえ、必要に応じて二つの機能を分けて設計します。


既存のエクステリア階段へ後付けする際の確認点

既存階段への後付けでは、新築時とは異なる制約があります。手すりを取り付けられるかだけでなく、現在の階段に補修すべき問題がないかを先に確認します。


まず、階段のひび割れ、欠け、沈下、傾き、目地の開き、舗装材の浮きを調べます。階段本体や周囲の地盤が動いている状態で手すりを固定すると、取付部にも継続的な力が加わり、緩みや破損につながる可能性があります。状況によっては、手すり工事より先に階段や地盤の補修が必要です。


次に、支柱を設けるスペースを確認します。階段幅が狭い場所で踏面上へ支柱を立てると、足を置ける範囲が減ります。支柱を避けようとして身体が中央や反対側へ寄り、かえって歩きにくくなることもあります。階段外側への設置、壁面への固定、階段脇への新しい基礎の設置など、複数の方法を比較します。


既存の塀や門柱を利用する場合は、内部構造と劣化状況を確認します。外観がきれいでも、手すりに加わる力を支える補強がないことがあります。化粧材だけへ固定せず、構造部分へ確実に力を伝えられるかを調べます。


埋設物の確認も欠かせません。玄関周辺には、給排水管、雨水管、照明配線、通信線などが通っている可能性があります。支柱の基礎を掘削したり、コンクリートへ深い穴を開けたりする前に、図面や現地調査で位置を確認します。図面が残っていない場合は、確認できない範囲を施工者と共有し、慎重な施工方法を検討します。


工事中の安全確保も必要です。階段は家族が毎日使う動線であることが多いため、作業期間中の通行方法を事前に決めます。穴を開けた状態、仮固定の状態、固定材が所定の性能を発揮していない状態で使用すると危険です。別の出入口を使えるか、作業範囲をどう区切るか、夜間の足元をどう確保するかを施工前に整理します。


後付け工事では、既存デザインへ合わせることが重視されがちです。しかし、安全性を損なってまで目立たない納まりにするのは適切ではありません。細過ぎる部材、支柱が少な過ぎる構成、背景と同化して見えにくい色を避け、毎日の使いやすさを優先します。


設計・施工の打ち合わせで確認しておきたいこと

手すり工事を依頼するときは、「階段に手すりを付けたい」と伝えるだけでは、利用状況に合った計画にならないことがあります。現場を見ながら、設置目的と条件を具体的に共有します。


打ち合わせでは、日常的に利用する家族、将来利用する可能性がある人、荷物を持つ場面、主な利用時間帯を伝えます。利き手だけでなく、上りと下りのどちらで不安を感じるかも確認します。可能であれば実際に階段を歩き、自然に手を伸ばす位置や、門扉を操作する動作を施工者と共有します。


設置位置は、階段の上下端、門扉、玄関扉、駐車場、通路との関係を図面と現地の双方で確認します。手すりの端が車のドア、郵便受け、自転車、植栽の手入れ、宅配物の搬入へ干渉しないかも見ておきます。


高さについては、どこを基準に測るのかを明確にします。踏面先端を基準にするのか、水平部分は床面を基準にするのか、途中で高さが変わらないかを確認します。着工前にテープや仮材で高さを示してもらうと、完成後に「想定より高い」「下りで握りにくい」と感じる可能性を減らせます。


固定方法については、支柱や金具を何へ固定するのか、既存構造をどのように確認するのかを聞きます。コンクリートへ固定する場合は、階段端部や既存ひび割れとの関係も確認します。塀や門柱へ取り付ける場合は、その構造物が手すりから伝わる力を支えられるかを確認します。


屋外用部材については、耐候性、腐食対策、表面温度、清掃方法を確認します。海に近い地域、積雪地域、凍結しやすい地域、日射の強い場所では、材料や固定部の劣化条件が変わります。設置環境を伝え、切断部や固定金具を含む仕様を確認します。


完成時には、手すりのぐらつき、接合部、端部の処理、通路の有効幅、段差の見え方、排水状態を確認します。晴天の日中だけでなく、可能であれば照明を点灯した状態や、階段を上から見た状態でも確認します。引き渡し後の点検方法、緩みや腐食を見つけた場合の連絡先も確認しておくと安心です。


法令や条例の適用については、誰がどの資料で確認したかも明確にします。安全上の提案と法令上の必須事項が混在すると、判断根拠が分かりにくくなります。適用条文、自治体への確認結果、採用した参考寸法を記録しておくと、将来の修理や改修でも役立ちます。


まとめ|手すり単体ではなく階段全体の安全性を整える

階段に手すりがないエクステリアでは、法令上の義務だけで設置の要否を判断するのではなく、利用者、段数、勾配、周囲の落差、雨天時の状態、夜間の見え方を総合的に確認する必要があります。


家族を守るための第一の基準は、利用者と階段の危険度から設置範囲を決めることです。第二に、自然に握れる高さと形状を選びます。第三に、昇り始めから降り終わりまで支えが途切れにくい配置にします。第四に、支柱、基礎、壁下地を含めた固定強度を確保します。第五に、床面、排水、照明、植栽まで一体で整えます。


建築基準法施行令の規定、住宅性能表示制度の評価方法基準、国土交通省の建築設計標準は、目的と適用範囲が異なります。参考寸法を一つ見つけただけで適法性や安全性を断定せず、計画地の最新の法令、条例、階段の位置付けを確認することが大切です。


また、歩行補助手すりと転落防止柵は目的が異なります。階段の横に落差がある場合は、握りやすさだけでなく、側方への転落を防げる構造になっているかを確認します。既存階段への後付けでは、階段本体の劣化、固定できる下地、埋設物、設置後の通路幅を事前に調べます。


手すりは、設置しただけで安全を保証する設備ではありません。しかし、階段全体の状態を見直し、家族に合った高さ、位置、強度、周辺環境を整えることで、日々の昇降に伴う不安や負担を減らしやすくなります。自宅の階段に必要な対策を判断しにくい場合は、階段の全景、段差、周囲の落差、門扉や玄関までの動線が分かる情報を整理し、Phoneから専門担当者へ相談することが計画を具体化する第一歩です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page